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Oracle® Enterprise Manager Cloud管理ガイド
12c リリース5 (12.1.0.5)
B70509-13
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7 IaaSセルフ・サービス・ポータルの設定

この章では、セルフ・サービス・ポータルを設定するプロセスについて説明します。内容は次のとおりです。

7.1 セルフ・サービス・ポータルの設定

セルフ・サービス・ポータルでは、管理者はクラウドを構成して、各ユーザーが予約可能なリソースの総量や各ユーザー・ロールの割当てなどの様々な操作を行うことができます。ユーザーは、セルフ・サービス・ポータルにログインして、必要なイメージを特定し、リソース(たとえば、処理能力、記憶域、メモリーなど)を予約し、システム固有のポリシーを定義できます。


注意:

ここをクリックすると、Enterprise Manager Cloud Control 12cを使用してクラウドのセルフ・サービス機能を有効化する方法について、視覚的デモンストレーションを参照できます。割当て制限と権限を割り当て、セルフ・サービス・ポータルにアセンブリを公開し、クラウドのメータリングとチャージバックを構成して、セルフ・サービスのロールおよびユーザーを設定する方法を確認できます。

セルフ・サービス・ポータルを使用するには、ユーザー割当て制限、ゾーン・アクセスのロールおよびソフトウェア・コンポーネントを定義する必要があります。

前提条件

  • Enterprise Manager Cloud Controlは、クラウド環境を管理するように設定されます。

  • Enterprise Manager管理者は、セルフ・サービス・アプリケーションを設定する権限を持っている必要があります。このユーザーにはEM_SSA_ADMINISTRATORロールが必要です。詳細は、第3.3項「ロールの定義およびユーザーの割当て」を参照してください。

このプロセスに従って、セルフ・サービス・ポータルを設定し構成します。

  1. 「設定」メニューから、「クラウド」「インフラストラクチャ」の順に選択します。左側のパネルの「マシン・サイズ」をクリックします。「XSサイズ」、「Mサイズ」および「XLサイズ」の即時利用可能なマシン・サイズが利用できます。

    図7-1 セルフ・サービス・ポータルの設定 - マシン・サイズ

    セルフ・サービス・ポータルの設定 - マシン・サイズ
    • セルフ・サービス・ポータル設定のデモを見るには、ページの「ページ・リフレッシュ」セクションの横のビデオ・リンクをクリックします。「作成」をクリックし、マシン・サイズを追加します。名前(マシン・サイズの内部名)、説明、VCPUの数、メモリー量、このサイズのマシンに割り当てられるローカル記憶域を入力するよう求められます。「作成」をクリックし、このマシン・サイズを追加します。

    • リストからマシン・サイズを選択し、「編集」をクリックします。各マシンのメモリー量、CPUの数およびローカル記憶域を指定して、マシン・サイズを構成できます。サーバーをリクエストするとき、SSAユーザーは、ここに示すマシン・サイズを指定できます。

  2. 左側のパネルの「リクエスト設定」をクリックし、リクエストに関連するポリシーを定義します。このページでは、次の詳細を入力できます。

    • 将来の予約: リクエストを事前に作成できる最大期間を示します。

    • リクエスト期間: リクエストを作成できる最大期間。

    • ネットワーク制限: EM_SSA_USERロールごとに物理ネットワークを制限できます。この機能を有効にすると、「ロール」ページに移動してEM_SSA_USERロールごとにネットワークを割り当てることができます。

    • EMエージェントの構成: 「EMエージェント構成の有効化」チェック・ボックスを選択し、セルフ・サービス・ユーザーのリクエストを処理するサーバー上の管理エージェントを構成します。


      注意:

      管理エージェントを構成するように選択した場合、次の点を確認する必要があります。
      • 「インストールのベース・ディレクトリ」フィールドに指定したディレクトリへの書込み権限が有効であること。

      • アセンブリまたはテンプレートのデプロイ時に指定した/home/oracle/agentディレクトリへの書込み権眼が有効であること。

      • 必要なソフトウェア・コンポーネントが構成されていること。


    • 一部デプロイメントの許可: 一部デプロイメントを有効にするには、このオプションを選択します。デフォルトでは、デプロイメントが失敗すると、アセンブリ・インスタンス、層インスタンスおよび作成したゲストVMは、自動的に削除されます。しかし、一部デプロイメントが有効化された場合、このクリーン・アップ・アクティビティは無効になります。

    • ソフトウェア・ライブラリの最上位フォルダ: ユーザー固有のフォルダの作成が必要とされる、ソフトウェア・ライブラリの最上位フォルダを選択します。このフォルダは、SSAユーザーがそのアセンブリ、テンプレートおよびデプロイメント・プランを格納するために使用します。

      図7-2 インフラストラクチャ・クラウド・セルフ・サービス・ポータルの設定 - リクエスト設定

      インフラストラクチャ・クラウド・セルフ・サービス・ポータルの設定 - リクエスト設定
  3. 左側のパネルの「ロール」をクリックして、ロールとその他のエンティティ(ゾーン、割当ておよびネットワーク・プロファイルなど)間のマッピングを定義します。SSA管理者は、SSAユーザーがリクエストできる割当て制限を制御でき、クラウド・リソースの過剰なプロビジョニングを防ぎます。

    図7-3 インフラストラクチャ・クラウド・セルフ・サービス・ポータルの設定 - ロール

    インフラストラクチャ・クラウド・セルフ・サービス・ポータルの設定 - ロール
  4. ロール・ページで、「ロールへのアサイン割当て制限」をクリックして、ロール・レベルの割当て制限を定義します。ロールに割り当てられた割当て制限は、そのロールを保有するすべてのユーザーが使用できます。たとえば、SSA_USER_ROLE1の「サーバー数」が5に設定されている場合、このロールを保有するすべてのユーザーが最大5サーバーまで使用できます。割当て制限とは、特定のロールに属する各セルフ・サービス・ユーザーに付与できるリソースの合計量です。ユーザーに複数のロールがある場合、割当て制限は、それぞれの属性値を持つロールの中の最大値から算出されます。

    • ロールの選択: 懐中電灯アイコンをクリックして、マッピングを定義するロールを選択します。すべてのSSAロールのリストが表示されます。

    • ゾーンの選択: 懐中電灯アイコンをクリックします。ゾーン作成時に「クラウド・セルフ・サービス・ゾーン」とマークされたすべてのゾーンがここに表示されます。リストからゾーンを選択し、「OK」をクリックします。

    • サーバー数: いつでも予約可能な最大サーバー数。これはゾーン全体での数です。たとえば、1ユーザーに5つを割り当てます。その場合は、すべてのゾーンのインスタンスの合計数は5になります。これで、ユーザーはゾーン1に3つのインスタンス、ゾーン2に2つのインスタンスを持ったり、同じゾーンに5つすべてのインスタンスを持つことができます。

    • VCPUの数: 割当て可能なVCPUの最大数。

    • メモリー: 割当て可能なメモリーの最大量。

    • ローカル・ディスク: 割当て可能なローカル記憶域の最大量。

    • 追加記憶域: 割当て可能な追加記憶域の最大量。

    • ソフトウェア・ライブラリへのアーカイブを許可: 失効後にマシン・イメージをソフトウェア・ライブラリにアーカイブできるかどうかを示します。このオプションを選択して、ゲスト仮想マシンの停止時にマシン・イメージをテンプレートとして保存することもできます。

    • ネットワークの選択: このフィールドは、「ネットワーク制限」が有効化されている場合にのみ表示されます。懐中電灯アイコンをクリックすると、そのロールのすべてのユーザーに割り当てる物理ネットワークを選択できます。

    • ネットワーク・プロファイルの選択: 選択したロールに割り当てられているネットワーク・プロファイルを選択します。ネットワーク・プロファイルで定義されている特定のネットワークのすべてのデプロイの完了。


      注意:

      選択されたシステムに関連付けられているコンポーネントの概要が表示されます。ネットワーク・プロファイルの作成の詳細は、第5.8項「ネットワーク・プロファイルの作成」を参照してください。

    • グローバル・リクエスト設定のオーバーライド: 選択したロールのリクエスト設定をオーバーライドするには、このチェック・ボックスを選択します。将来の予約とリクエスト期間を変更し、管理エージェントを構成できます。

    ロールを選択し、「編集」をクリックします。割当て、ゾーンおよびネットワーク・プロファイルをロールに割当てページで、ロールのマッピングを変更できます。

  5. 左側のパネルの「ソフトウェアのコンポーネント」をクリックして、SSAユーザーがアクセス可能なテンプレートまたはアセンブリのセットを選択します。アセンブリおよびテンプレートをSSAポータルに公開し、これらのソフトウェア・コンポーネントへのアクセスをSSAユーザーに提供できます。

    図7-4 インフラストラクチャ・クラウド・セルフ・サービス・ポータルの設定 - ソフトウェアのコンポーネント

    インフラストラクチャ・クラウド・セルフ・サービス・ポータルの設定 - ソフトウェアのコンポーネント
  6. このページでは次を行えます:

    • コンポーネントの追加: 「コンポーネントの追加」をクリックします。アセンブリ/テンプレートのロールへの発行ページが表示されます。

      図7-5 アセンブリ/テンプレートのロールへの発行

      アセンブリ/テンプレートのロールへの発行

    このページで、次を行います:

    1. 「追加」をクリックします。リストからアセンブリまたはテンプレートを選択し、「選択」をクリックします。

    2. 「ロールの選択」セクションで、「追加」をクリックします。リストからロールを選択し、「選択」をクリックします。

    3. 「公開」をクリックして、ソフトウェア・コンポーネントをSSAポータルに公開します。ソフトウェア・コンポーネントは、SSAユーザーに使用可能となり、デプロイされます。


    注意:

    ソフトウェア・ライブラリにアップロードされた場合、アセンブリまたはテンプレートのリストが表示されます。ソフトウェア・ライブラリへのコンポーネントのアップロードの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。

    • インポート: 公開されたアセンブリを、選択したゾーンのセットにインポートできます。アセンブリを選択し、インポートをクリックします。「ゾーンの選択」ページで、1つ以上のゾーンを選択し、「保存」をクリックして、選択したゾーンにアセンブリをインポートします。

    • 構成: ソフトウェア・コンポーネントを選択して、「構成」をクリックして管理エージェントを構成します。


      注意:

      リクエスト設定ページでエージェント構成の有効化チェック・ボックスが選択されている場合にのみ、管理エージェントをデプロイできます。

      次の詳細な管理エージェント構成が表示されます。

      • インストールのベース・ディレクトリ(必須):管理エージェントのインストール先となるディレクトリへのフルパスを指定します。レスポンス・ファイル内に指定するインストールのベース・ディレクトリが空であり、書込み権限を持っていることを確認します。必須フィールドです。

      • プラットフォーム(必須): 管理エージェント・ソフトウェアをダウンロードするプラットフォームです。必須フィールドです。

      • パスワード(必須): 新しい管理エージェントを登録するためのパスワードを指定します。デフォルトで、Oracle Management Serviceと管理エージェント間の通信は保護およびロックされます。登録されるすべての管理エージェントは、認証される必要があります。ここで指定したパスワードは、新しい管理エージェントの認証に使用されます。

      • ポート(必須): 管理エージェント処理に使用されるポートを入力します。値が指定されていない場合は、3872か、または1830から1849の間の任意の空きポートが使用されます。

      • 追加パラメータ: エージェントのインストールでサポートされているいくつかのオプションを追加できます。詳細は、Enterprise Managerの基本インストレーション・ガイドを参照してください。

      • SSHタイムアウト: SSHのタイムアウト(分)。

      • 権限委任設定: rootとして実行。

      • 層構成: 製品およびネットワーク構成のタイムアウト値とログ・ファイルの場所を指定します。

      詳細を指定して「OK」をクリックし、管理エージェントを構成します。

    • ルールのインポート: 事前定義済のスケジュールに基づいて、公開されたアセンブリおよびテンプレートをゾーンに定期的にインポートするルールを定義できます。ルールのインポート・セクションの「作成」をクリックします。ルール名を入力し、ゾーンのセットとインポートのスケジュールを選択し、「保存」をクリックします。公開されたアセンブリまたはテンプレートが、選択したサーバー・プールおよびゾーンに定期的にインポートされます。

  7. 左側のパネルの「チャージバック」タブをクリックします。チャージバック・アプリケーションにより、SSA管理者はチャージ・プランを定義し、そのプランを特定のゾーンまたはターゲットに割り当てることができます。

    図7-6 チャージバック

    チャージバック
  8. チャージバック・プランの設定では、次の操作を実行します。

    • 拡張チャージ・プランの定義: 「チャージ・プランの構成」をクリックします。基本チャージ・プランを編集したり、拡張チャージ・プランを作成して、特定のターゲット・タイプ向けにチャージ・プランをカスタマイズできます。

    • チャージ・プランの割当て: 「ターゲットの構成」をクリックします。チャージ・プランは、ターゲットのセットに割当て可能です。

    • コスト・センターの設定: 「コスト・センターの構成」をクリックします。ユーザーのグループの中で、コストを集約するコスト・センターを設定できます。

    チャージバック・プラン設定の詳細は、第43章の「チャージバック管理」を参照してください。

7.2 大きなサイズのファイルのセルフ・サービス・ポータルへのアップロード

EM_SSA_USERは、ソフトウェア・コンポーネントをライブラリの場所にアップロードできます。詳細は、第8.7項「ライブラリの表示」を参照してください。アップロードするファイルのサイズが大きい場合、EM_SSA_USERに次のメッセージが表示されます。

エラー: ファイルが大きすぎます。もっと小さいファイルを追加してください。

この問題を解決するには、次のいずれかの方法を使用します。

7.2.1 emctlを使用したOMSプロパティの設定

Oracle Management Serviceプロパティを設定するには、次の手順に従います。

  1. OMSプロパティoracle.sysman.emSDK.ui.trinidad.uploadedfilemaxdiskspaceを、アップロードするファイルのサイズより大きい値(バイト単位)に設定します。たとえば、プロパティの値を3GBに設定するには、次のようにします。

    $ORACLE_HOME/bin/emctl set property -name "oracle.sysman.emSDK.ui.trinidad.uploadedfilemaxdiskspace" -sysman_pwd sysman -value 3221225472

  2. アップロードするファイルが巨大な場合、アップロードの進行中にページが期限切れになることがあります(通常、約10分後)。これを避けるために、OMSプロパティoracle.sysman.eml.maxInactiveTimeを、アップロード完了予定時間よりも大きい値(秒単位)に設定する必要があります。このプロパティを設定したら、新しいプロパティ値を反映するためにOMSを再起動する必要があります。

7.2.2 web.xml構成ファイルの変更

web.xml構成ファイルを変更するには、次の手順に従います。

  1. Oracle Management Serviceホームの次の場所に移動して、web.xml構成ファイルを検索します。

    ./oms/sysman/archives/emgc/deployments/EMGC_DOMAIN/emgc.ear/em.war/WEB-INF/web.xml

    このディレクトリ構造が存在しない場合、Oracle Management Serviceホームの次の場所に移動します

    ./oms/sysman/archives/emgc/deployments/GCDomain/emgc.ear/em.war/WEB-INF/web.xml

  2. web.xmlファイルを開き、次の4行を見つけます。web.xmlに次の行がない場合は、追加する必要があります。<param_value>パラメータのサイズを、アップロードされるファイルのサイズより大きい値に増やします。

    <context-param>

    <param-name>org.apache.myfaces.trinidad.UPLOAD_MAX_DISK_SPACE</param-name>

    <param-value>40960000</param-value>

    </context-param>

    <context-param>

    <param-name>org.apache.myfaces.trinidad.UPLOAD_MAX_FILE_SIZE</param-name>

    <param-value>40960000</param-value>

    </context-param>

  3. チャンク・サイズが小さいほど、大規模ファイルのアップロード時のパフォーマンスが向上します。デフォルトでは、チャンク・サイズは2GBになります。これをより小さいチャンク・サイズ(500MBなど)に設定すると、ブラウザのメモリー使用量が最適化されます。チャンク・サイズを設定するためのパラメータは、org.apache.myfaces.trinidad.UPLOAD_MAX_CHUNK_SIZEです。

    <context-param>

    <param-name> org.apache.myfaces.trinidad.UPLOAD_MAX_CHUNK_SIZE</param-name>

    <param-value>40960000</param-value>

    </context-param>

  4. アップロードするファイルが巨大な場合、アップロードの進行中にページが期限切れになることがあります(通常、約10分後)。これを避けるために、OMSプロパティoracle.sysman.eml.maxInactiveTimeを、アップロード完了予定時間よりも大きい値(秒単位)に設定する必要があります。

    たとえば、$ORACLE_HOME/bin/emctl set property -name oracle.sysman.eml.maxInactiveTime -value 3600を設定します。

  5. 更新した設定を反映するためにOracle Management Serviceを再起動します。

  6. ファイル・アップロードの進行中、アップロードされたチャンクがOMSのデフォルトの場所に書き込まれます。デフォルトの場所は、通常、WebLogic Server上にアプリケーションがデプロイされる場所のサブディレクトリです。この場所は、web.xmlファイルのパラメータorg.apache.myfaces.trinidad.UPLOAD_TEMP_DIRをカスタムの場所に設定することで構成できます。OMSで複数のユーザーが同時にファイルをアップロードする場合は、この場所にこれらのデータすべてを収容する十分なディスク領域があることを確認してください。この場所は、OMSがインストールされている場所とは別のボリュームにすることが推奨されます。これによって、ボリュームの領域が不足しても、OMSのパフォーマンスは影響を受けずに済みます。