この章では、Oracle Enterprise Manager Cloud Control(Cloud Control)を使用して、シングル・クリックで、既存のOracle RACスタック(Oracle Clusterware、Oracle ASM、Oracle RACデータベース)を拡張およびスケールアップする方法について説明します。この章の具体的な内容は次のとおりです。
この項では、この章に取り組むための手引きとして、既存のOracle RACスタックの拡張の手順の概要を説明します。この項は、Oracle RACの拡張を成功させるために必要な一連の処理を理解するためのドキュメント・マップと考えてください。各手順の参照リンクをクリックすると、詳細情報が説明されている関連セクションが表示されます。
この項では、ワンクリックで、必要な数の追加ノードを含むように既存のOracle RACを拡張する方法について説明します。
この項の内容は次のとおりです。
デプロイメント・プロシージャを実行する前に、次の前提条件を満たしている必要があります。
設計者に対する前提条件
第2章に示されている前提条件を満たしていることを確認します。
oinstallおよびdbaグループを使用可能にしておく必要があります。
oracleおよびcrsuserなどのオペレーティング・システム・ユーザーが、クラスタのすべてのノードで使用可能であることを確認します。これらのユーザーはdbaおよびoinstallなどの関連するオペレーティング・システム・グループの一部である必要があります。
この操作を実行するためにグループIDと一緒に使用される資格証明は、選択したクラスタのすべてのノードで同じであることが必要です。
オペレータに対する前提条件
環境でPAM/LDAPが有効になっている場合は、ターゲット・エージェントがPAM/LDAPで構成されていることを確認します。詳細は、My Oracle Supportのノート422073.1を参照してください。
オペレーティング・システム・ユーザーがデプロイメント・プロシージャを実行する権限を持っていることと、rootユーザーに切り替えて宛先ホストですべてのコマンドを実行できることを確認します。たとえば、mkdirやlsなどのコマンドです。
これを行う権限がない、つまり、ロックされたアカウントを使用している場合は、デプロイメント・プロシージャを別のユーザーとして実行できるように、または特別な権限を必要とする手順は無視できるように、管理者(設計者)にデプロイメント・プロシージャのカスタマイズを依頼します。
たとえば、ユーザー・アカウントAがroot権限を持っているが、ユーザー・アカウントBを使用してデプロイメント・プロシージャを実行できるようにするとします。この場合、デプロイメント・プロシージャをカスタマイズして、ユーザー・アカウントBからAに切り替えることができます。
カスタマイズの詳細は、第51章を参照してください。
既存のクラスタ・ノードで使用されている共有記憶域に、追加するノードからアクセスできることを確認します。
ターゲット・ホストのumask値が022であることを確認します。確認するには、次のコマンドを実行します。
$ umask
使用しているシェルにより、この値は/etc/profile
、/etc/bashrc
または/etc/csh.cshrc
で確認することもできます。
既存のOracle RACを拡張するには、次の手順に従います。
「エンタープライズ」メニューから、「プロビジョニングとパッチ適用」、「データベースのプロビジョニング」を選択します。
「データベースのプロビジョニング」ページでOracle Real Application Clustersの拡張を選択し、「起動」をクリックします。
「Real Application Clustersの拡張」ページが表示されます。
「Real Application Clustersの拡張」ページで、次を実行します。
Real Application Clusters (RAC)の選択セクションで、拡張するOracle RACを選択します。関連するクラスタウェアと自動ストレージ管理(ASM)もまた、すでに存在しない場合には拡張されます。
「検索」セクションを使用して、特定のOracle RACについて検索することもできます。「検索」リストから、検索のベースとなるターゲット・タイプを選択し、「実行」をクリックします。%や*などのワイルドカードを使用できます。
注意: 拡張するクラスタ・データベースがこのページに表示されない場合は、次を実行します。
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「参照ホスト・オプション」セクションで、「参照ホスト」リストから、この操作を実行するプライマリ・ホストとして使用するホストを選択します。参照ホストとは、クローン・アーカイブの作成用に選択されて、追加される新規ターゲット・ノードに転送されるホストのことです。
「作業ディレクトリ」には、クローニング用のステージング・ファイルに使用できる選択したホスト上の既存のディレクトリへのフルパスを指定します。指定したディレクトリがターゲット・ホストに存在しない場合、デプロイメント・プロシージャにより作成されます。作業ディレクトリがノード上で共有されていないことを確認してください。
各Oracleホームの「除外するファイル」には、この操作の実行中に除外するファイルを指定します。ここで指定した正規表現に対応するファイルまたはフォルダが除外されることに注意してください。
「Oracleホーム共有記憶域オプション」セクションでは、共有記憶域にあるOracleホームの場所を選択します。
「新規ノードの選択」セクションで、「追加」をクリックし、選択したOracle RACに含める新しいノードを追加します。ノードの追加後、新しいノードそれぞれに仮想ノード名を指定し、その値がデフォルトで表示されることを確認します。
注意: Oracle Management Agents 12cリリース1 (12.1.0.1)以降により監視される対象のノードを選択していることを確認します。 |
オプションで、「オプションの表示」をクリックして、「プライベート・ノード名」、「プライベートIP」、「仮想IP」および「作業ディレクトリ」を指定できます。「プライベート・ノード名」および「プライベートIP」が必要なのは、プライベート・ネットワークをプロシージャの一環として設定する場合のみです。「仮想ノード名」および「仮想IP」が必要なのは、ノードが固定されていてDHCPベースではない場合のみです。ノードがすでにOracle RACシステムの一部である場合、これは無視されます。ノードがすでにOracle Clusterwareの一部である場合、プライベート・ネットワークおよび仮想ホスト情報は無視されます。「作業ディレクトリ」について、指定する場所はノード上で共有されていないことを確認してください。
これらの詳細をクラスタ構成ファイルに格納した場合、「ファイルからインポート」をクリックして、そのクラスタ構成ファイルを選択します。通常、このファイルには、追加される新しいノードの情報が含まれます。また、Oracle RACが拡張される、プライベート・ノード名、プライベートIPアドレス、仮想ホスト名および仮想IPアドレスに関する情報を含めることも可能です。
「ユーザー資格証明(優先資格証明の上書き)」セクションで、デフォルトの選択(「優先資格証明の使用」)を保持します。
注意: これらの優先資格証明をオプションでオーバーライドできます。たとえば、ユーザーがAおよびBである2つの宛先ホストを追加した場合、それぞれのホストに対して異なる資格証明で優先資格証明を上書きする選択ができます。同様に、宛先ホストに同じ資格証明があり、それが優先資格証明とは異なる場合、すべてのホストに対して同一の資格証明で優先資格証明を上書きできます。ここで指定した資格証明は、プロビジョニング操作を実行するデプロイメント・プロシージャによって使用されます。この環境が安全であり、ロックされたアカウントがある場合は、次の点を確認してください。
詳細は、第51章を参照してください。 |
「ホスト資格証明」リストから、各Oracleホームごとに異なるオペレーティング・システム資格証明を使用する場合には「各Oracleホームごとに個別」を選択し、すべてのOracleホームで同じ資格証明を使用する場合には「すべてのOracleホームで同一」を選択します。選択に基づき、資格証明を指定します。ユーザーが同じグループ(dba/oinstall)に属していることを確認してください。
注意: ベンダー・クラスタウェアを使用している場合、root およびオペレーティング・システム・ユーザー(クラスタウェアや様々なOracleホームを所有しているoracle やcrsuser など)は、ベンダー・クラスタウェアによって規定されているオペレーティング・システム・グループに含まれている必要があります。
たとえば、High Availability Cluster Multiprocessing (HACMP)クラスタウェアをシステムで使用している場合、 詳細は、『Oracle ClusterwarおよびOracle Real Application Clustersインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。 |
「スケジュール」セクションで、デプロイメント・プロシージャを即時または後で実行するようにスケジュールします。
「前提条件(前提条件および修正の実行)」セクションでは、デフォルトでは「前提条件および修正のスキップ」は選択されていません。このため、デプロイメント・プロシージャは、選択されたノードで前提条件チェックと修正を実行します。
この操作のすべての要件を満たし、クラスタに追加する準備ができていることを確認するには、前提条件チェックが必要です。オプションは、選択されたノードで事前に前提条件チェックが実行されていないことを想定して選択されていません。
選択されたノードで前提条件チェックをすでに実行しており、デプロイメント・プロシージャでそれらの再実行をスキップする場合は、「前提条件および修正のスキップ」を選択します。
選択したノードで前提条件チェックを実行せず、デプロイメント・プロシージャでそれらを実行する場合は、「前提条件および修正のスキップ」を選択解除します。デプロイメント・プロシージャは前提条件チェックを実行し、問題があれば解決してから、拡張クラスタ操作に進みます。
前提条件のみチェックし、この時点で操作には進まない場合は、「前提条件チェックのみ実行」をクリックします。
「確認」をクリックします。
「確認」ページで、Oracle RACを拡張するために指定した詳細を確認し、「発行」をクリックします。
注意: Linux Itanium x64でデプロイメント・プロシージャを実行するときに「共有場所の検証用CVUの実行」ステップが失敗した場合、次のステップに進む前に、手動で修正してください。このプラットフォームでは自動修正は使用できません。 |