この章では、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を削除またはスケール・ダウンする方法について説明します。この章の具体的な内容は次のとおりです。
この項では、この章に取り組むための手引きとして、既存のOracle RACスタックの削除またはスケール・ダウンの手順の概要を説明します。この項は、Oracle RACスタックの削除またはスケール・ダウンを成功させるために必要な一連の処理を理解するためのドキュメント・マップと考えてください。各手順の参照リンクをクリックすると、詳細情報が説明されている関連セクションが表示されます。
表11-1 既存のOracle RACの削除またはスケール・ダウンの概要
ステップ | 説明 | 参照リンク |
---|---|---|
ステップ1 |
ユースケースの選択 ここでは、既存のOracle RACの削除およびスケール・ダウンのユースケースのいくつかを説明します。ご自身の要件に最適なユースケースを選択してください。 |
|
ステップ2 |
前提条件の確認 デプロイメント・プロシージャを実行する前に、プロビジョニング環境の設定、必須パッチの適用およびOracleソフトウェア・ライブラリの設定などの前提条件を満たす必要があります。 |
|
ステップ3 |
デプロイメント・プロシージャの実行 デプロイメント・プロシージャを実行して既存のOracle RACを正常に削除またはスケール・ダウンします。 |
|
Oracle Real Application Clustersの削除およびスケール・ダウンのデプロイメント・プロシージャを使用して、既存のOracle RACのノードまたはOracle RAC全体を削除できます。結果として、デプロイメント・プロシージャにより、Oracle Clusterware、リスナー、および削除対象として選択されたノードと関連付けられたOracle RACおよびASMホームが削除されます。
このデプロイメント・プロシージャでは、シングル・クリックで、クラスタ・データベース・スタック全体(Oracle Clusterware、Oracle ASMおよびOracle RACデータベース)をスケール・ダウンすることも、Oracle RACクラスタの1つまたは複数のノードをスケール・ダウンすることもできます。これには、様々なプラットフォーム間で、第4.2項で説明されているような様々なリリースのクラスタ・データベースが含まれます。
このプロシージャは次のものを含むクラスタをスケール・ダウンまたは削除できます。
Oracle CRS、Oracle ASMおよび同じまたは異なるユーザーが所有するOracle Databaseホーム。
Oracle CRS、Oracle ASMおよびすべてのメンバー・ノードで共有される共有ストレージに存在するOracle Databaseホーム。
部分的にプロビジョニングされたかまたはインストールに失敗したOracle RACクラスタ(インストールされた1つまたは複数のスタックの層が含まれる可能性があります。たとえば、クラスタウェアのインストールが失敗した後のクリーンアップまたはクラスタウェアが部分的にのみプロビジョニングされた場合のクリーンアップ)。
再イメージ化または停止されたノード、およびCloud Controlでこのノードへのすべての参照を削除するために解決する必要のある既存の構成。
この項では、Oracle RAC全体を削除する方法について説明します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
デプロイメント・プロシージャを実行する前に、次の前提条件を満たしている必要があります。
設計者に対する前提条件
第2章に示されている前提条件を満たしていることを確認します。
oinstallおよびdbaグループを使用可能にしておく必要があります。
oracleおよびcrsuserなどのオペレーティング・システム・ユーザーが、クラスタのすべてのノードで使用可能であることを確認します。これらのユーザーはdbaおよびoinstallなどの関連するオペレーティング・システム・グループの一部である必要があります。
この操作を実行するためにグループIDと一緒に使用される資格証明は、選択したクラスタのすべてのノードで同じであることが必要です。
オペレータに対する前提条件
環境でPAM/LDAPが有効になっている場合は、ターゲット・エージェントがPAM/LDAPで構成されていることを確認します。詳細は、My Oracle Supportのノート422073.1を参照してください。
オペレーティング・システム・ユーザーがデプロイメント・プロシージャを実行する権限を持っていることと、rootユーザーに切り替えて宛先ホストですべてのコマンドを実行できることを確認します。たとえば、mkdirやlsなどのコマンドです。
これを行う権限がない、つまり、ロックされたアカウントを使用している場合は、デプロイメント・プロシージャを別のユーザーとして実行できるように、または特別な権限を必要とする手順は無視できるように、管理者(設計者)にデプロイメント・プロシージャのカスタマイズを依頼します。
たとえば、ユーザー・アカウントAがroot権限を持っているが、ユーザー・アカウントBを使用してデプロイメント・プロシージャを実行できるようにするとします。この場合、デプロイメント・プロシージャをカスタマイズして、ユーザー・アカウントBからAに切り替えることができます。
カスタマイズの詳細は、第51章を参照してください。
REMOVE_ANY_TARGET Enterprise Manager権限
Oracle RAC全体を削除するには、次の手順に従います。
「エンタープライズ」メニューから、「プロビジョニングとパッチ適用」、「データベースのプロビジョニング」を選択します。
「データベースのプロビジョニング」ページで「Oracle Real Application Clustersの削除/縮小」を選択し、「起動」をクリックします。
「Oracle Real Application Clustersの削除/縮小」ページが表示されます。
「Oracle Real Application Clustersの削除/縮小」ページで、次を実行します。
「クラスタの選択」ページで、「クラスタの選択」のための懐中電灯アイコンをクリックし、削除するOracle Clusterwareインスタンスを選択します。選択したOracle Clusterwareとともに、関連付けられているOracle RACおよびASMインスタンスも削除されます。選択したOracle Clusterwareの一部であるメンバー・ノードについての詳細が表に表示されます。
注意: 懐中電灯アイコンを使用してOracle Clusterwareを選択するときに、探しているOracle Clusterwareが見つからない場合、表の下に示されるヒントから「ここ」をクリックして、クラスタウェアの詳細を手動で指定して検索します。 これは、部分的にプロビジョニングされた、または構成されたOracle Clusterwareインスタンスを削除する場合に特に有用です。デフォルトでは、懐中電灯アイコンのクリックでは、完全にプロビジョニングされたクラスタウェア・インスタンスのみが選択用に表示されるからです。この場合、部分的にプロビジョニングされたインスタンスを検索、選択、および削除するには、「ここ」をクリックし、「クラスタ詳細を入力」ウィンドウで、部分的にプロビジョニングされたインスタンスを含むクラスタ・ノードに関する詳細を指定して「OK」をクリックします。次に「削除するノードの選択」セクションに表示されるホストを選択し、削除対象としてマークすることができます。 |
「参照ホスト・オプション」セクションで、「クラスタ・ノード」リストから、すべてのクリーンアップ操作を実行するプライマリ・ノードとして使用するノードを選択します。
「作業ディレクトリ」には、一時的にステージング・ファイルに使用できる選択したノード上の既存のディレクトリへのフルパスを指定します。
「削除するノードの選択」セクションで、「すべてマーク」をクリックし、削除するすべてのノードを選択します。「すべてマーク」をクリックすると、すべてのノードの「削除」列に十字アイコンが表示されます。これらの十字アイコンは、ノードが削除対象として選択されていることを示します。
「ユーザー資格証明(優先資格証明の上書き)」セクションで、デフォルトの選択(「優先資格証明の使用」)を保持します。
注意: これらの優先資格証明をオプションでオーバーライドできます。たとえば、ユーザーがAおよびBである2つの宛先ホストを追加した場合、それぞれのホストに対して異なる資格証明で優先資格証明を上書きする選択ができます。同様に、宛先ホストに同じ資格証明があり、それが優先資格証明とは異なる場合、すべてのホストに対して同一の資格証明で優先資格証明を上書きできます。たとえば、ユーザーがAおよびBである2つの宛先ホストを追加した場合、それぞれのホストに対して異なる資格証明で優先資格証明を上書きする選択ができます。同様に、宛先ホストに同じ資格証明があり、それが優先資格証明とは異なる場合、すべてのホストに対して同一の資格証明で優先資格証明を上書きできます。 ここで指定した資格証明は、プロビジョニング操作を実行するデプロイメント・プロシージャによって使用されます。この環境が安全であり、ロックされたアカウントがある場合は、次の点を確認してください。
詳細は、第51章を参照してください。 |
「ホスト資格証明」リストから、各Oracleホームごとに異なるオペレーティング・システム資格証明を使用する場合には「各Oracleホームごとに個別」を選択し、すべてのOracleホームで同じ資格証明を使用する場合には「すべてのOracleホームで同一」を選択します。選択に基づき、資格証明を指定します。ユーザーが同じグループ(dba/oinstall)に属していることを確認してください。
「スケジュール」セクションで、デプロイメント・プロシージャを即時または後で実行するようにスケジュールします。
「確認」をクリックします。
「確認」ページで、Oracle RACを削除するために指定した詳細を確認し、「発行」をクリックします。
この項では、Oracle RACを、その一部である1つまたは複数のノードと、その一部ではあるがCloud Controlでターゲットとして表示されないその他のノードを削除することでスケール・ダウンする方法について説明します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
設計者に対する前提条件
第2章に示されている前提条件を満たしていることを確認します。
oinstallおよびdbaグループを使用可能にしておく必要があります。
oracleおよびcrsuserなどのオペレーティング・システム・ユーザーが、クラスタのすべてのノードで使用可能であることを確認します。これらのユーザーはdbaおよびoinstallなどの関連するオペレーティング・システム・グループの一部である必要があります。
この操作を実行するためにグループIDと一緒に使用される資格証明は、選択したクラスタのすべてのノードで同じであることが必要です。
オペレータに対する前提条件
環境でPAM/LDAPが有効になっている場合は、ターゲット・エージェントがPAM/LDAPで構成されていることを確認します。詳細は、My Oracle Supportのノート422073.1を参照してください。
オペレーティング・システム・ユーザーがデプロイメント・プロシージャを実行する権限を持っていることと、rootユーザーに切り替えて宛先ホストですべてのコマンドを実行できることを確認します。たとえば、mkdirやlsなどのコマンドです。
これを行う権限がない、つまり、ロックされたアカウントを使用している場合は、デプロイメント・プロシージャを別のユーザーとして実行できるように、または特別な権限を必要とする手順は無視できるように、管理者(設計者)にデプロイメント・プロシージャのカスタマイズを依頼します。
たとえば、ユーザー・アカウントAがroot権限を持っているが、ユーザー・アカウントBを使用してデプロイメント・プロシージャを実行できるようにするとします。この場合、デプロイメント・プロシージャをカスタマイズして、ユーザー・アカウントBからAに切り替えることができます。
カスタマイズの詳細は、第51章を参照してください。
Oracle RACをその一部である1つまたは複数のノードの削除によりスケール・ダウンするには、次の手順に従います。
「エンタープライズ」メニューから、「プロビジョニングとパッチ適用」、「データベースのプロビジョニング」を選択します。
「データベースのプロビジョニング」ページで「Oracle Real Application Clustersの削除/縮小」を選択し、「起動」をクリックします。
「Oracle Real Application Clustersの削除/縮小」ページが表示されます。
「Oracle Real Application Clustersの削除/縮小」ページで、次を実行します。
「クラスタの選択」ページで、「クラスタの選択」のための懐中電灯アイコンをクリックし、スケール・ダウンするOracle Clusterwareインスタンスを選択します。選択したOracle Clusterwareとともに、関連付けられているOracle RACおよびASMインスタンスも削除されます。選択したOracle Clusterwareの一部であるメンバー・ノードについての詳細が表に表示されます。
注意: 懐中電灯アイコンを使用してOracle Clusterwareを選択するときに、探しているOracle Clusterwareが見つからない場合、クラスタウェアの詳細を手動で指定して検索します。それには、表の下に示されるヒントから「ここ」をクリックします。 |
「参照ホスト・オプション」セクションで、「クラスタ・ノード」リストから、すべてのクリーンアップ操作を実行するプライマリ・ノードとして使用するノードを選択します。
「作業ディレクトリ」には、ステージング・ファイルに使用できる選択したノード上の既存のディレクトリへのフルパスを指定します。
「削除するノードの選択」セクションで、削除するノードを選択し、「削除対象としてマーク」をクリックします。「削除対象としてマーク」をクリックすると、選択したノードの「削除」列に十字アイコンが表示されます。これらの十字アイコンは、ノードが削除対象として選択されていることを示します。
クラスタに属するノードが表示されない場合は、「ノードの追加」をクリックし、それらのノードを追加して、Cloud Controlでターゲットとして表示されないノードも削除対象として選択されるようにします。
ノードの選択を解除するには、「マーク解除」をクリックします。一度にすべてのノードを選択するには「すべてマーク」をクリックし、すべてのノードの選択を解除するには「すべてマーク解除」をクリックします。
「ユーザー資格証明(優先資格証明の上書き)」セクションで、デフォルトの選択(「優先資格証明の使用」)を保持します。
注意: これらの優先資格証明をオプションでオーバーライドできます。たとえば、ユーザーがAおよびBである2つの宛先ホストを追加した場合、それぞれのホストに対して異なる資格証明で優先資格証明を上書きする選択ができます。同様に、宛先ホストに同じ資格証明があり、それが優先資格証明とは異なる場合、すべてのホストに対して同一の資格証明で優先資格証明を上書きできます。ここで指定した資格証明は、プロビジョニング操作を実行するデプロイメント・プロシージャによって使用されます。この環境が安全であり、ロックされたアカウントがある場合は、次の点を確認してください。
詳細は、第51章を参照してください。 |
「ホスト資格証明」リストから、各Oracleホームごとに異なるオペレーティング・システム資格証明を使用する場合には「各Oracleホームごとに個別」を選択し、すべてのOracleホームで同じ資格証明を使用する場合には「すべてのOracleホームで同一」を選択します。選択に基づき、資格証明を指定します。ユーザーが同じグループ(dba/oinstall)に属していることを確認してください。
「スケジュール」セクションで、デプロイメント・プロシージャを即時または後で実行するようにスケジュールします。
「確認」をクリックします。
「確認」ページで、Oracle RACを削除またはスケール・ダウンするために指定した詳細を確認し、「発行」をクリックします。