この項の内容は、次のとおりです。
Dynamic Converterは、業界で認められた、重大なビジネス・ドキュメント用の変換テクノロジおよびオンデマンドの公開ソリューションを提供します。Dynamic Converterを使用すると、どんなビジネス・ドキュメントでも、ドキュメントの作成に使用されたアプリケーションを使用せずに閲覧できるよう、簡単にWebページに変換できます。その利点は直接的なものであり、独自アプリケーションのボトルネックなしに自由に情報を交換できます。
Webブラウザでまずドキュメントをリクエストすると、そのドキュメントをWebページとしてどのように表示するかを決定するために一連のルールが適用されます。これらのルールは、Dynamic Converterのコア・コンポーネントであるテンプレートで定義できます。
Dynamic Converterには、ユーザーにとっていくつかの重要な利点があります。
ビジネス・ドキュメントをWebブラウザで簡単に表示できます。
ネイティブ・アプリケーション(Adobe Acrobat、Microsoft Wordなど)が不要です。
異なるWebブラウザ用に、ドキュメントの複数レンディションが可能です。
テンプレートにはContent Publisherとの互換性があります。
レガシー形式を含めた多くのタイプのビジネス・ドキュメントがサポートされています。
Content Server内のソース・ドキュメントのHTMLレンディションを表示するには、Content Serverの検索結果ページおよびコンテンツ情報ページに表示されるHTMLリンクを使用します。
Dynamic Converter 11g R1には、次のような新機能や強化された機能があります(10gR3との比較)。
Content Server 11gR1との互換性: このバージョンのDynamic Converterは、Content Server 11gR1とシームレスに連携するように設計されています。
新しいテンプレート・エディタ・オプション: Dynamic Converterでは、テンプレートのカスタマイズに使用するHTML変換エディタが提供されるようになりました。旧GUIテンプレート・エディタは、クラシックHTML変換エディタという名前になりました。どちらのエディタにも拡張ヘルプ・システムが付属しており、インタフェースから起動できます。
新規サポート: Dynamic Converterで、Office 2010のファイル、Officeアート、表のスタイル、代替テキストおよび保護されたワークブックがサポートされるようになりました。
Dynamic Converterに関しては、次の概念が重要です。
図1-1は、Dynamic Converterの基本的なプロセスを示しています。
プロセスは、次の5つの手順で構成されています。
ユーザーが、Webブラウザを介してコンテンツ・アイテムをリクエストします。
WebサーバーからこのリクエストがDynamic Converterに渡され、メタデータ一致基準に基づいて、HTML変換に使用するテンプレートが決定します。
Dynamic Converterでネイティブ・ファイル(WordドキュメントやExcelスプレッドシートなど)が変換されます。
変換の結果、1つ以上のHTMLページとサポート・ファイル(GIF、JPEGなど)が作成され、Dynamic Converterによって、Content ServerのWeb表示可能なファイルのリポジトリ(Web Layout)の専用のキャッシュ領域に出力されます。
Webサーバーでは、その他のファイル(たとえばCSSファイルや、ページのヘッダーとフッターに使用されるイメージ)を取得し、これらをDynamic Converterで作成されたすべてのファイルとともにユーザーに提供します。
注意: Dynamic Converterでは、キャッシュを使用して、サーバーに対する負荷を軽減し、ドキュメントが不必要に再変換されないようにします。 |
初期のDynamic Converterでは、コンテンツ・アイテムは、ユーザーが最初にリクエストしたとき、つまり、ユーザーが検索結果またはコンテンツ情報ページ上のコンテンツ・アイテムの横にある(HTML)リンクをクリックしたときに、Webで表示可能な形式(HTML、XMLなど)に変換されました。コンテンツ・アイテムは一度変換されると、Content Serverにキャッシュされたため、変換済ファイルに対するその後のリクエストは即時に処理されました。
バージョン6.0 (circa 2004)以降、Dynamic Converterでは、ユーザーがリクエストしたときではなく、コンテンツ・アイテムがチェックインされたときに、変換ルールに一致するコンテンツ・アイテムが変換されます。そのため、ユーザーは、動的に変換されたコンテンツ・アイテムのレンディションを即時に表示できます。
この事前変換は、Dynamic Converterで変換ルールに一致するコンテンツ・アイテムに対してのみ適用されます。ルールは、「テンプレートの選択ルール」ページで指定されます(「「テンプレートの選択ルール」ページ」を参照)。
そのコンテンツ・アイテムにルールがない場合、デフォルトのテンプレートやレイアウト・ファイルがそのコンテンツ・アイテムに使用可能であっても、事前変換は行われません。デフォルトのテンプレートやレイアウト・ファイルは、「Dynamic Converterの構成」ページで指定します(「「Dynamic Converterの構成」ページ」を参照)。
「Dynamic Converterの構成」ページの「変換とキャッシュの最適化」セクションで、事前変換を有効化する必要があることに注意してください(「変換とキャッシュの最適化」を参照)。
自身のWebサイト上で異なる目的に使用できるように、同じコンテンツ・アイテムの複数の変換を指定できます。たとえば、ある場所ではHTMLコードのスニペットとして使用し、別の場所では完全な記事として含める場合があります。これは、Dynamic Converterで強制変換を使用して行われます。
強制変換では、すべてのルールが評価されるルールのリストを指定できます。最初のルールが一致すると、それが適用されます。次のルールが一致すると、それも適用されます。このようにして、Dynamic Converterでは、必要に応じて同じコンテンツの複数のレンディションを作成できます。そのため、異なるテンプレートやレイアウト・ファイルを使用して、コンテンツを複数回変換できます。
テンプレート・ルールの強制変換は、「テンプレートの選択ルール」ページで有効化できます(「「テンプレートの選択ルール」ページ」を参照)。
強制変換は、事前変換と同時に、つまりコンテンツ・アイテムがContent Serverにチェックインされたときに実行されます。エンド・ユーザーには、事前変換と強制変換の違いはわかりません。方法に関係なく、ユーザーが(HTML)リンクをクリックするまでに、コンテンツ・アイテムを変換し、キャッシュに格納するという目的は同じです。
強制変換は、「Dynamic Converterの構成」ページの「変換とキャッシュの最適化」セクションで、事前変換とともに有効化する必要があることに注意してください(「変換とキャッシュの最適化」を参照)。
強制変換(「強制変換」を参照)の一種が、フラグメントのみの変換です。フラグメントとは、別のコンテンツ・アイテムに含まれるコンテンツの一部分です。したがって、個々のフラグメントを組み合せてコンテンツリッチなWebページを構成できます。フラグメントには一般に<html>
または<body>
タグが含まれていないため、簡単に別のWebページに組み込むことができます。フラグメントは単独で表示するためのものではないので、(HTML)動的変換リンクをクリックするユーザーには表示されません。フラグメント用のルールは、ユーザー・リクエスト中に、Dynamic Converterのルール評価から除外する必要があります。
強制変換を選択すると、「テンプレートの選択ルール」ページでテンプレート・ルールのフラグメントのみの変換を有効化できます(「「テンプレートの選択ルール」ページ」を参照)。
他の強制変換と同様に、フラグメントのみの変換は、コンテンツ・アイテムがContent Serverにチェックインされるときに事前に行われます。
Dynamic Converterには、変換およびキャッシュの方針があり、イントラネットや外部Webサイトの全体的パフォーマンスを大幅に改善します。この要素により、Content Serverでは、初期のリリースよりはるかに迅速に、動的に作成されたWebページを表示できます。
変換およびキャッシュの強化はアプリケーションに組み込まれていますが、Dynamic Converterの微調整のために設定できる構成オプションもいくつかあります。
これらの構成オプションはすべて、「Dynamic Converterの構成」ページの「変換とキャッシュの最適化」セクションで設定できます(「変換とキャッシュの最適化」を参照)。
ユーザーが、検索結果ページまたはコンテンツ情報ページ上の(HTML)動的変換リンクをクリックするたびに、Content Serverデータベースで、ソース・ドキュメント、変換テンプレート、レイアウト・ファイル(該当する場合)の3つのファイルに対する問合せが行われます。データベース問合せにより、動的に変換されたファイルが最新のものであることが確認されますが、これらの問合せは、最新の変換が使用可能な場合でも実行されます。
Dynamic Converterリリース6.2以上では、新しいメソッドを使用して、毎回データベースに問い合せることなく、コンテンツ・アイテムと変換テンプレートのリビジョンを検証します。かわりに、変換済コンテンツ・アイテムのタイムスタンプが、サーバーのメモリーベースのキャッシュに格納されます。その結果、以後の変換リクエストでは、データベースに問い合せなくても、キャッシュされたこれらのタイムスタンプを変換されるコンテンツ・アイテムのタイムスタンプと比較できます。事前変換要素(「事前変換」を参照)と組み合せると、Dynamic Converterのリビジョンおよび変換の問合せの効率は大幅に向上します。新しいリビジョンごとに新しいファイルが新しいタイムスタンプで作成されるため、キャッシュおよび問合せのメカニズムでは、タイムスタンプを使用して、Content Serverのコンテンツ・アイテムの新しいリビジョンを検出します。
コンテンツ・アイテムの作成者またはそのユーザーがコンテンツ・アイテムにメタデータのみの変更を行った場合は、新しいファイルも新しいタイムスタンプも作成されないため、変更は検出されないままになります。この問題を解決するには、メタデータの変更がすべて確実にDynamic Converterによって識別されるようにする必要があります。これには、「Dynamic Converterの構成」ページで「メタデータ更新時の再変換」オプションを有効にします(「変換とキャッシュの最適化」を参照)。このオプションにより、メタデータの更新後に、Content Serverがソース・コンテンツ・アイテムのタイムスタンプを更新します。このオプションを有効にすると、Webで表示可能なすべての形式のタイムスタンプは、対応するソース・コンテンツ・アイテムについて発生したメタデータの変更を反映するために更新されます。その結果、更新されたタイムスタンプはDynamic Converterによって認識され、メタデータが更新されたコンテンツ・アイテムは再変換されます。
コンテンツ・アイテムのメタデータが更新されたかどうかを確認するデータベース・メソッドの使用を選択できます。このオプションは、「Dynamic Converterの構成」ページで設定します(「変換とキャッシュの最適化」を参照)。この構成オプションを有効にすると、コンテンツ・アイテムの更新によって変換済ファイルでのタイムスタンプの変更が継続して示されます。しかし、新しいキャッシュおよび問合せメソッドを使用して、コンテンツ・アイテムが最新かどうかの確認は行われません。かわりに、Content Serverデータベースに、この情報の問合せが行われます。たとえば、最適化された問合せ要素で問題が発生した場合や、関連する問題のトラブルシューティングを行う場合に、このメソッドを使用できます。
デフォルトでは、Dynamic Converterは、1,500ミリ秒(1.5秒)ごとに変換されたコンテンツ・アイテムのタイムスタンプを確認します。サイトへのビジター数と実行される問合せ数のバランスをとる場合、この値を増減できます。タイムスタンプ確認頻度は、「Dynamic Converterの構成」ページで変更できます(「変換とキャッシュの最適化」を参照)。
この設定を、たとえば1分(60,000ミリ秒)に増やした場合に、新しいコンテンツ・アイテムがContent Serverにチェックインされると、ユーザーは1分経過するまで新しいバージョンを使用できません。
キャッシュ間隔は、変換キャッシュが評価される頻度で、キャッシュに存在している期間と変換ステータスに応じて、キャッシュ・アイテムの削除が決定されます。キャッシュ間隔(日にち単位)は、「Dynamic Converterの構成」ページで設定できます(「変換とキャッシュの最適化」を参照)。デフォルトは7日間(毎週1回)です。
動的に変換されたファイルは、不要な再変換を回避するため、キャッシュに保持されます。キャッシュの最大サイズは、「Dynamic Converterの構成」ページで設定できます(「変換とキャッシュの最適化」を参照)。デフォルトは10,000MB(約10GB)です。キャッシュがこの最大サイズを超えると、次のクリーンアップ・サイクル(デフォルトでは7日間)中に、キャッシュ・アイテムのうち最も長くアクセスされていないものが最初に削除されます。(削除用のリストは、最後にアクセスされた日にちにより、昇順でソートされます。)キャッシュ・サイズ制限を超えていない場合、キャッシュ・アイテムは同じ順序で削除の可能性について調査されますが、既存ドキュメントの強制変換されたアイテムは削除されません。
変換されたコンテンツ・アイテムは、アイテムが不要に再変換されないよう、Dynamic ConverterによりWeb Layout変換キャッシュに保持されます。キャッシュ内の変換されたアイテムが削除について検討されるまでに経過する必要がある日数を制御できます。デフォルトでは、キャッシュのクリーンアップは7日ごとに評価されます。日にちの期限切れは、すでに存在しないドキュメントのキャッシュ・アイテム、および強制変換で生成されたのではないキャッシュ・アイテムにのみ適用されます(「強制変換」を参照)。デフォルトでは、キャッシュの有効期限は7日間です。
キャッシュの有効期限の設定は、キャッシュが評価される頻度を制御するキャッシュ間隔(「キャッシュ間隔」を参照)と連動して機能します。たとえば、キャッシュ間隔が14日に設定されていて、キャッシュの有効期間が8日間に設定されている場合、キャッシュは14日ごとに評価され、8日より古いキャッシュ・アイテムのすべてが削除されます(強制変換で生成されたものでない場合)。
Dynamic Converterでは、次の特殊変換をサポートしています。
Dynamic Converterでは、HTMLフォームのHTMLへの変換をサポートしています。これにより、HTMLフォームで提供される情報は、臨機応変な形で提示されます。
たとえば、データ入力のために使用されるHTMLフォームは、次のようになります。
「送信」ボタンをクリックして送信すると、このHTMLフォームは、入力された値とともにHCSFファイルとしてContent Serverに自動的にチェックインされます。ユーザーがフォーム・データを表示する場合は、テンプレートを使用してHTMLフォームのデータを表示できます。
注意: 上述のHTMLフォームとHTMLテンプレートのどちらも、サンプルとして含まれています。 |
Dynamic Converterでは、XSLファイルを使用したXMLのHTMLへの変換をサポートしています。XSLファイル(拡張子.xsl)は、WebブラウザでXMLファイルがどのようにHTMLとして表示されるかを定義するテンプレートです。
Dynamic ConverterによってXMLファイルが正しく識別され、変換されるようにするには、次の作業が必要です。
XSLファイルをContent Serverにチェックインします。
XMLファイルを認識するようにDynamic Converterを構成します。動的変換用のファイル形式を追加する方法については、「動的変換用のファイル形式の追加」を参照してください。(この場合、「フォーマット」テキスト・ボックスにapplication/xmlを追加します。)
変換対象のXMLファイルと一致するDynamic Converterルールを作成し、そのルール用の変換テンプレートとしてXSLファイルを指定します。詳細は、第3章「テンプレート・ルール」を参照してください。
注意: サンプルのXMLファイルとXSLファイルは、ディレクトリ/ucm/Distribution/DynamicConverterTemplatesに格納されています。 |
Dynamic Converterでは、段落を画像としてレンダリングできます。この機能を使用すると、保護されたカスタム・フォントを、フォントへのパブリック・アクセスを許可することなく、ドキュメントに追加できます。
この設定は、クラシックHTML変換テンプレート・エディタ(「フォーマット」→「段落」の順に選択)にあります。WindowsでDynamic Converterを実行している場合、レンダリングに使用するフォントは、変換で使用されるものと同じフォントです。
UNIXにDynamic Converterがインストールされている場合、変換プロセスでは異なるグループのフォントから描画されます。その場合、テンプレート・エディタで選択するフォントは、UNIXシステムでも使用可能であることが必要です。レンダリングを有効にするには、両方のフォントの名前がまったく同じである必要があります。GD_Font_Path
変数はフォント・ディレクトリを指し、そのディレクトリには少なくとも1つのTrueTypeフォント(ファイル拡張子.ttf)が含まれている必要があります。これらの要件が満たされなければ、パラグラフを画像としてレンダリングすることはできません。
パラグラフを画像としてレンダリングする場合、Dynamic Converterでは埋込み画像はサポートされません。段落内のイメージは、文字列[]に置換されます。テンプレートでは、画像を含む項で、画像としてパラグラフをレンダリングすることは避ける必要があります。
この項では、Dynamic Converterソフトウェアをインストールした後のContent Serverインタフェースへの変更について説明します。
Dynamic Converterソフトウェアのインストールの詳細は、『Dynamic Converterインストレーション・ガイド』を参照してください。
Dynamic ConverterがContent Serverに正常に追加された場合、「管理」ページおよびメニューには、「Dynamic Converterの管理」というリンクが含まれます。
「Dynamic Converterの管理」リンクがない場合は、Dynamic Converterコンポーネントが正しくインストールされていないか、有効になっていません。Dynamic Converterコンポーネントのインストール方法の詳細は、Dynamic Converter配布パッケージ(documentationディレクトリ)にある『Dynamic Converterインストレーション・ガイド』を参照してください。