このセクションでは、ホットデスクが発生した場合に Windows セッションを管理できるさまざまな方法について説明します。
uttsc コマンドを使用すると、ユーザーがほかのクライアントにホットデスクを行なっているときの Windows セッションの動作を指定できます。この動作は、-H
オプションを使用して設定できます。
このモードには、次のような種類があります:
-H reconnect
- リモートデスクトップサーバーがデバイス CAL モードで構成されている場合、Sun Ray セッションをホットデスクすると、既存のリモートデスクトップセッションは切断され、再接続されます。ユーザーは証明書を再入力しなければなりません。これはデフォルトのモードです。
-H nodisconnect
- Sun Ray セッションをホットデスクしても、リモートデスクトップセッションは切断および再起動されません。リモートデスクトップセッションは接続されたままです。以前は -O
オプションでした。
-H autoreconnect
- Windows リモートデスクトップサーバーで自動再接続機能が有効になっている場合、Sun Ray セッションをホットデスクすると、常にリモートデスクトップセッションに再接続されます。このアクションにより、リモートデスクトップサーバー上のクライアント情報が更新されます。ユーザーは証明書を再入力する必要がありません。詳細については、「自動再接続」を参照してください。
位置の把握は、Windows セッションにホットデスクの追加機能を提供する機能です。これにより、次のことが可能になります:
セッション起動後、またはホットデスク後でも、Windows セッションで一意のクライアント名を取得できます。クライアント名はホットデスク中に転送されます。
関連するクライアントセッションがホットデスク中に切断され再接続された場合に、Windows セッションで実行するコマンドまたはスクリプトによる動作を設定できます。再接続用に設定された動作はセッション起動時にも実行されます。
Windows Connector で言うクライアント名とは、Sun Ray クライアントまたは Oracle Virtual Desktop Client のクライアント ID (DTU ID とも呼ばれる) を指します。詳細については、「Oracle Virtual Desktop Client と Sun Ray クライアント間のクライアント ID の違い」 を参照してください。
場合によっては、この機能を使用することで、フォローミー印刷の設定などの Sun Ray サーバーのオペレーティングシステムレベルで utaction を使用する必要がなくなります。
位置の把握により、Windows セッションでアクションが実行されるときに使用できる、複数の環境変数が設定されます。表 17.7 に、環境変数とそれらに含まれる情報を示します。
表17.7 位置の把握の環境変数
環境変数 | 説明 |
---|---|
| Sun Ray クライアントまたは Oracle Virtual Desktop Client の IP アドレス。 |
| Sun Ray クライアントまたは Oracle Virtual Desktop Client のクライアント ID。 |
| Sun Ray サーバー管理者によって定義された、クライアントの位置。詳細については、「クライアントの場所と情報を構成する方法」を参照してください。 |
| Sun Ray サーバー管理者によって定義された、クライアントに関するその他の情報。詳細については、「クライアントの場所と情報を構成する方法」を参照してください。 |
セッションが開始または再接続するとき、UTCINFO_CLIENTNAME
変数の値は Windows CLIENTNAME
環境変数および HKey_Current_User\Volatile Environment\CLIENTNAME
レジストリキーにコピーされます。
位置の把握機能を有効にするには、Sun Ray Windows コンポーネントインストーラを使用して、Client Information Agent を Windows システムにインストールする必要があります。これは、「Windows システムに Windows Connector コンポーネントをインストールする方法」に説明されています。インストールが完了すると、位置の把握がデフォルトで有効になり、Windows セッションが起動すると自動的に使用されます。
位置の把握機能を使用すると、セッション起動後、またはホットデスク後でもクライアント名を取得できるようになります。クライアント名は、さまざまな構成シナリオで使用できます。標準の Windows インタフェースのいずれかを使用して、クライアントの名前を取得できます。
CLIENTNAME
環境変数。
HKCU\Volatile Environment\CLIENTNAME
レジストリキー。
Windows デスクトップセッションでの GetComputerName()
機能の使用。
ターミナルサービスセッションでの WTSSessionQueryInformation()
機能の使用。
位置の把握機能を使用すると、関連するクライアントセッションがホットデスク中に切断され再接続された場合、および Windows セッションが起動した場合に Windows セッションで実行するコマンドまたはスクリプトを設定できます。管理者としてこれを実行するには、1 つ以上のレジストリ値、
ペアを次のレジストリキーに指定します:
name
=data
セッションの切断 - HKLM\Software\Oracle\Sun Ray\ClientInfoAgent\DisconnectActions
セッションの再接続およびセッションの起動 - HKLM\Software\Oracle\Sun Ray\ClientInfoAgent\ReconnectActions
セッションの切断 - HKLM\Software\Wow6432Node\Oracle\Sun Ray\ClientInfoAgent\DisconnectActions
セッションの再接続およびセッションの起動 - HKLM\Software\Wow6432Node\Oracle\Sun Ray\ClientInfoAgent\ReconnectActions
レジストリキーを変更する前に、Windows システムのレジストリを必ずバックアップしてください。
次に、前述のレジストリキーのレジストリ値の例を示します。Command
名は順序を示すのに使用されます。
n
Command1=notepad.exe Command2=wscript.exe c:\tmp\myscript.vbs
の値は実行されるコマンドまたはスクリプトを指定し、「data
String
」または「REG_SZ
」のどちらかの値のタイプを指定できます。
.exe
ファイルなどの実行可能ファイルのコマンドには、絶対パスを指定できます。パスを指定しない場合、実行可能ファイルは次の順序で検索されます: 現在のディレクトリ、Windows システムのディレクトリ、Windows ディレクトリ、および PATH 環境のディレクトリ。
スクリプトの場合は、インタプリタまたはシェルで実行するスクリプトを指定するようにしてください。スクリプトのパスは絶対パスである必要があります。たとえば、cmd.exe /c c:\foo\script.bat
や wscript.exe c:\foo\script2.vbs
などです。
実際の状況で位置の把握を使用する方法は多数あります。以下は、ほんのいくつかの例です。
医療機関が各患者の部屋のローカルプリンタへのアクセスを必要とします。ReconnectActions
レジストリキーを使用することで、医療機関が部屋の Sun Ray クライアントにログインするたびに実行するスクリプトを指定できます。この状況の場合、新しいクライアントの名前 (Sun Ray クライアントの一意 ID) を読み取るためのスクリプトを作成し、ルックアップを実行して部屋内のプリンタを特定し、部屋のプリンタを Windows セッションのデフォルトのプリンタとして構成する必要があります。DisconnectActions
レジストリキーを使用して、医療機関が Sun Ray クライアントから切断したときに現在構成されているプリンタを削除する別のスクリプトを実行することもできます。
講師は、学生がログインするときに、その学生の毎日の時間割および実習に関する指示内容を自動的に表示したいと考えています。トレーニングルーム内の Sun Ray クライアントのクライアント名はわかっているため、学生が教室内の Sun Ray クライアントのいずれかにログインしたときにトレーニングコンテンツを自動的に表示するようにスクリプトを設定できます。この場合も、スクリプトは ReconnectActions
レジストリキーによって実行されます。