この項では、次のタスクを完了する方法について説明します。
これらのタスクを実行する前に、「Exalogic vDCの管理とインフラストラクチャの設定」の説明に従って、クラウド管理タスクを完了しておく必要があります。
Exalogic ControlコンソールにCloudAdmin
ユーザーとしてログインします。
このユーザー・ロールの作成の詳細は、「クラウド管理ユーザーの作成」を参照してください。
1つのアカウントには、少なくとも1つのクラウド・ユーザーが必要です。アカウントに1つのクラウド・ユーザーしか関連付けられていない場合は、そのアカウントからクラウド・ユーザーを削除できません。
複数のクラウド・ユーザーを持つアカウントから1つのクラウド・ユーザーを削除するには、次のステップを完了します。
Exalogic vDCでは、マシンの基礎となるCPUハードウェア・リソースをvCPUの形式でvServerに割り当てます。デフォルトでは、各vCPUで1つのCPUハードウェア・スレッドを使用します。
たとえば、Exalogic X2-2マシンの各Sun Fire X4170 M2計算ノードは、2つの6コア・ソケット、つまり計算ノードごとに12コアで構成されています。各コアは、2つのハードウェア・スレッドをサポートします。したがって、1つのX2-2計算ノードでは、24個のvCPU、つまりハードウェア・スレッドごとに1つのvCPUをデフォルト構成でサポートできます。
ハードウェアの使用率を改善し、さらに稠密なアプリケーションの統合を促進するために、Exalogic Elastic Cloud Softwareリリース2.0.4.0.0以降、使用可能なCPUスレッドより多いvCPUをサポートするようにExalogic vDCを構成すること、すなわちCPUリソースのオーバーサブスクライブが可能です。
Cloud Admin
ユーザーは、物理CPUスレッドに対するvCPUの比率を増やすことで、CPUのオーバーサブスクリプションを有効にできます。たとえば、標準のExalogic X2-2マシンをベースにするvDCでは、物理CPUスレッドに対するvCPUの比率をデフォルトの1:1から2:1に増やすと、Exalogic X2-2マシン上の各Sun Fire X4170 M2計算ノードで使用可能なvCPUの数が24から48に増加します。表10-1には、物理CPUスレッドに対するvCPUの各比率で使用可能なvCPUの数が示されています。
表10-1 物理CPUスレッドに対するvCPUの各比率におけるvCPUの数
物理CPUスレッドに対するvCPUの比率 | X2-2フル | X2-2 1/2 | X2-2 1/4 | X2-2 1/8 |
---|---|---|---|---|
1:1 – CPUオーバーサブスクリプションは無効 |
720 |
384 |
192 |
96 |
2:1 |
1440 |
768 |
384 |
192 |
3:1 |
2160 |
1152 |
576 |
288 |
この項では、次のシナリオ例について説明します。
Exalogic X2-2フル・ラックを仮想データセンターとして設定します。
物理CPUスレッドに対するvCPUの比率がデフォルトの1:1の場合、720個のvCPU (24 x 30)がvDC内で使用可能です。
Cloud Admin
は、vDC向けに計画したワークロードをサポートするには720個を超えるvCPUが必要であると判断します。
このシナリオでは、Cloud Admin
は、CPUのオーバーサブスクリプションを有効化することで、vDC内で使用可能なvCPUの数を増やすことができます。たとえば、Cloud Admin
は、「CPUのオーバーサブスクリプションの構成」の説明に従って、物理CPUに対するvCPUの比率を2:1に増加することで、vDC内で使用可能なvCPUの数を1440個(2 x 24 x 30)に増やすことができます。
Exalogic X2-2フル・ラックを仮想データセンターとして設定します。
物理CPUスレッドに対するvCPUの比率がデフォルトの1:1の場合、720個のvCPU (24 x 30)がvDC内で使用可能です。
vDCにおけるアカウントのvCPUの割当て制限は、アカウントに割り当てられているクラウド・ユーザーが作成したvServerに完全に割り当てられています。
vDCにおけるアカウントのメモリーおよびストレージの割当て制限は、vServerにまだ完全に割り当てられていません。
Cloud Users
はさらに多くのvServerを作成する必要がありますが、vCPUの割当て制限が完全に割り当てられているため、そうすることができません。
このシナリオでは、Cloud Admin
が、CPUのオーバーサブスクリプションを有効化することで、Cloud Users
はさらに多くのvServerを作成できるようになります。たとえば、Cloud Admin
は、「CPUのオーバーサブスクリプションの構成」の説明に従って、物理CPUに対するvCPUの比率を2:1に増加することで、vDC内で使用可能なvCPUの数を1440個(2 x 24 x 30)に増やすことができます。次に、Cloud Admin
は、vDCのアカウントのvCPU割当て容量を増やすことができ、追加のvServerを作成できます。
Exalogic X2-2フル・ラックを仮想データセンターとして設定します。
CPUのオーバーサブスクリプションが有効化されていて、現行のオーバーサブスクリプション比率は2:1です。つまり、1440個のvCPU(2 x 24 x 30)がvDC内で使用可能です。
vDCにおけるアカウントのvCPUの割当て制限は、アカウントに割り当てられているクラウド・ユーザーが作成したvServerに完全に割り当てられています。
vDCにおけるアカウントのメモリーおよびストレージの割当て制限は、vServerにまだ完全に割り当てられていません。
Cloud Users
はさらに多くのvServerを作成する必要がありますが、vCPUの割当て制限が完全に割り当てられているため、そうすることができません。
このシナリオでは、Cloud Admin
が、CPUのオーバーサブスクリプション比率をさらに増やすことで、Cloud Users
はさらに多くのvServerを作成できるようになります。たとえば、Cloud Admin
は、「CPUのオーバーサブスクリプションの構成」の説明に従って、物理CPUに対するvCPUの比率を3:1に増加することで、vDC内で使用可能なvCPUの数を2160個(3 x 24 x 30)に増やすことができます。次に、Cloud Admin
は、vDCのアカウントのvCPU割当て容量を増やすことができ、追加のvServerを作成できます。
Exalogic X2-2フル・ラックを仮想データセンターとして設定します。
CPUのオーバーサブスクリプションが有効化されていて、その現行の比率は3:1です。つまり、2160個のvCPU(3 x 24 x 30)がvDC内で使用可能です。
使用可能な2160個のvCPUのうち1000個のみがvServerで使用されています。
Cloud Admin
は、このvDCのオーバーサブスクリプション比率が2:1で十分であると判断します。
このシナリオでは、Cloud Admin
は、物理CPUに対するvCPUの比率を2:1に減らすことで、vDC内で使用可能なvCPUの数を1440(2 x 24 x 30)に減らすことができます。
注意:
前述のCPUのオーバーサブスクリプションのどのシナリオにおいても、vDC全体にわたるアプリケーション・パフォーマンスを確実に予測可能な範囲にとどめるために、Cloud Admin
は、CPU上限を100%のままにし、変更しないことをお薦めします。CPU上限は非推奨の機能のため、使用の際は注意してください。
特定の状況において、OVSノードをvServerの配置に使用できないようにする場合があります。たとえば、計算ノードをメンテナンスする場合です。
OVSノードを、vServerの配置に使用できないようにするには、次のタスクを実行する必要があります。
タスク1: OVSノードを特定し、vserver_placement.ignore_node=trueでタグ付けする
vServerの配置に使用できないようにするOVSノードを識別します。
次の手順を実行して、OVSノードをvserver_placement.ignore_node=true
でタグ付けします。
Exalogic ControlにELAdmin
ユーザーとしてログインします。
左側の「Navigation」ペインで、「Assets」をクリックします。
次のスクリーンショットに示すように、「Assets」の下のドロップダウン・リストから「Server Pools」を選択します。
OVSノードのリストが表示されます。
次のスクリーンショットに示すように、ステップ1で特定したOVSノードを選択します。
次のスクリーンショットに示すように、OVSノードのダッシュボードが表示されます。
「Summary」タブをクリックします。
右側の「Actions」ペインで、「Edit Tags」をクリックします。
「Edit Tags」ダイアログ・ボックスが表示されます。
プラス・ボタン(+)をクリックします。
「Tag Name」にvserver_placement.ignore_node
と入力します。
「Value」にtrue
と入力します。次のスクリーンショットは、vserver_placement.ignore_node=true
タグを追加した後の「Edit Tags」ダイアログ・ボックスを示しています。
「Save」ボタンをクリックします。ジョブが完了すると、そのタグは「Tags」表の下の「Summary」タブに表示されます。作成した新しいvServerは、vserver_placement.ignore_node=true
でタグ付けされたノード以外のノード上に配置されます。
注意:
OVSノードを再び配置に使用できるようにするには、タグを削除するかvserver_placement.ignore_node
タグの値をfalseに設定します。
次の手順を実行して、タグ付けされたOVSノードで実行されているvServerを特定します。
Cloud Admin
ロールを持つユーザーとしてExalogic Controlにログインします。
左側の「Navigation」ペインで、「vDC Management」をクリックします。
「vDCs」を開きます。
「MyCloud」を開きます。
「Server Pools」を開きます。
次のスクリーンショットに示すように、該当するサーバー・プールをクリックします。
サーバー・プールのダッシュボードが表示されます。
「Summary」タブをクリックします。
次のスクリーンショットに示すように、「Oracle VM Servers」セクションまでスクロール・ダウンします。
「タスク1: OVSノードを特定し、vserver_placement.ignore_node=trueでタグ付けする」でタグ付けしたOVSノードを選択します。
「Virtual Machines」セクションの下で、そのノード上でホストされているvServerをメモしておきます。
「vServerの停止」で説明しているステップに従って、前述のステップで特定したvServerを停止します。
「vServerの起動」で説明しているステップに従って、前述のステップで停止したvServerを起動します。
注意:
HA対応のvServerが失敗すると、失敗したvServerを再起動するためのノードを選択している場合、Exalogic Controlによりvserver_placement.ignore_node=true
でタグ付けされたノードを含むすべての使用可能なノードが検討されます。OVSノードをHA対応のvServerでも使用できないようにするには、「タスク3 (オプション): OVSノードをメンテナンス・モードに設定する」を実行する必要があります。
MOSドキュメント1594316.1を参照してください。
https://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?id=1594316.1