この章では、ユーザーvServerのバックアップおよびリカバリの手順を示します。内容は次のとおりです。
次のようにExaBRを使用して、ユーザーvServerをバックアップできます。
第5.1.1項「EECS 2.0.6ゲスト・ベース・テンプレートを使用して作成されたユーザーvServerのバックアップ」
第5.1.2項「EECS 2.0.4以前のゲスト・ベース・テンプレートを使用して作成されたユーザーvServerのバックアップ」
EECS 2.0.6ゲスト・ベース・テンプレートを使用して作成されたユーザーvServerでは、論理ボリューム・マネージャ(LVM)ベースのパーティション化がサポートされます。ExaBRでは、LVMベースのスナップショットを使用して、これらのvServerをバックアップできます。デフォルトでは、これらのLVMは/exalogic-lcdata/backupsディレクトリ内に保存されます。
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注意: ExaBRは、STIGが強化されたユーザーvServerをサポートしていません。 |
概要
ExaBRでは、次のタスクを実行して、LVMベースのスナップショットを使用したユーザーvServerのバックアップが作成されます。
vServerファイル・システムの、LVMベースのスナップショットを作成します。
スナップショットをマウントします。
マウントされたファイルシステムのアーカイブをスナップショットから作成します。
スナップショットをアンマウントして、削除します。
LVMベースのバックアップをリストアすると、ExaBRによりバックアップ済のファイルが置き換えられます。ただし、バックアップ実行後に作成されたすべてのファイルは、リストア中に削除されません。
ExaBRではデフォルトで、vServerのバックアップ時に次のディレクトリが除外されます。
/tmp
/var/tmp
/var/run
/var/lib/nfs
ExaBRでは、ルート・ディレクトリ(/)および/bootディレクトリのファイルのみがバックアップされます。vServer上のNFSマウントやNFSマウントされたボリュームはバックアップされません(存在する場合)。
--exclude-pathsオプションを使用すると、独自の除外リストを定義できます。指定したディレクトリのみをバックアップするには、--include-pathsオプションを使用できます。--include-pathsオプションは、カスタマイズのバックアップに便利です。これらのオプションについては、第2.4.2項「ExaBRのオプション」で説明しています。
前提条件
ExaBRでLVMベースのスナップショットを使用してLinux計算ノードをバックアップするときの前提条件を次に示します。
ExaBRで最初のバックアップを作成する際に、スワップ領域が使用中ではない必要があります。最初のバックアップで、ExaBRは1GBのスワップ領域を後続のすべてのLVMベースのスナップショットに対して割り当てます。
ユーザーvServerに空きメモリーがある場合、rootユーザーとしてユーザーvServerにログインして次のコマンドを実行し、スワップ領域を空にします。
swapoff -av swapon -a
ルート(/)ボリュームが含まれる論理ボリューム・グループに、1GB以上の未使用領域または512MBより大きいスワップ領域が必要です。使用可能な空き領域の量をVFree列に表示するには、vgsコマンドを使用します。
バックアップ対象の共有に、LVMベースのスナップショットの抽出用に十分な空き領域が必要です。
手順
次を実行することによって、ExaBRを使用して、これらのvServerのバックアップとしてLVMベースのスナップショットを作成できます。
第2.2項「ExaBRを使用するための準備」に示されているタスクを実行します。
バックアップするvServerのアドレスをexabr.configファイルのuser-vmパラメータの下に追加します。virt-adminアドレス、または適用可能な場合はvServerのパブリックIPアドレスを使用できます。
次のいずれかの方法でExaBRを使用して、ユーザーvServerをバックアップします。
特定のユーザーvServerをバックアップするには、次のようにExaBRを実行します。
./exabr backup address_of_vServer [options]
exabr.configファイルにリストされているすべてのユーザーvServerをバックアップするには、次のようにExaBRを実行します。
./exabr backup all-itemized-vms [options]
オプションの完全なリストについては、第2.4.2項「ExaBRのオプション」を参照してください。
例:
./exabr backup all-itemized-vms --exclude-paths /var/tmp,/var/lib/nfs,/tmp,/dev,/custom
この例では、ExaBRによって、exabr.configにリストされているすべてのユーザーvServerが、指定したバックアップの場所にバックアップされます。また、--exclude-pathsオプションが使用されているため、/var/tmp、/var/lib/nfs、/tmp、/devおよび/customの各ディレクトリが除外されます。
--exclude-pathsオプションは、デフォルトの除外リストをオーバーライドします。
デフォルトでは、バックアップは/exalogic-lcdata/backupsディレクトリ内に保存されます。
この手順を使用して作成したバックアップをリストアするには、第5.2.1項「EECS 2.0.6ゲスト・ベース・テンプレートを使用して作成されたユーザーvServerのリストア」を参照してください。
ユーザーvServerのアーティファクトはすべて、ZFSストレージ・アプライアンス内のExalogicRepo共有に保存されます。これらのアーティファクトのバックアップは、ExaBRを使用してZFSスナップショットを作成することによって、または既存のバックアップ戦略(エージェントベースのバックアップ、NDMP、ZFSレプリケーションなど)を使用して外部ストレージ・デバイスへの全体バックアップを実行することによって実施できます。ExaBRでは、EECS 2.0.4以前のゲスト・ベース・テンプレートを使用して作成されたユーザーvServerのバックアップは、スナップショットを作成し、そのスナップショットをストレージ・アプライアンスに保存することによって実行されます。第2.1項「バックアップの場所」で説明しているように、ExaBRでは、これらのバックアップはバックアップ・ディレクトリには保存されません。
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注意: ユーザーvServerの非対話型バックアップを行うには、init-sshコマンドを使用して、最初の計算ノードおよびストレージ・ヘッドに対してキーベースの認証を有効にします。init-sshコマンドの使用方法は、第2.3.1項「ExaBRに対するキーベースの認証の有効化」で説明しています。 |
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注意: ExaBRを使用してExalogic制御スタックをバックアップすると、ユーザーvServerもバックアップされます。制御スタックをバックアップした場合は、次の手順を実行する必要はありません。 |
ExaBRを使用してユーザーvServerをバックアップするには、次を実行します。
第2.2項「ExaBRを使用するための準備」に示されているタスクを実行します。
次のようにExaBRを実行して、ユーザーvServerをバックアップできます。
./exabr backup user-vm [options]
オプションの完全なリストについては、第2.4.2項「ExaBRのオプション」を参照してください。
ExaBRでは、スナップショットを取得することによって、すべてのユーザーvServerがバックアップされます。この操作によって、vServerのローカル仮想ディスクがバックアップされます。vServerのNFSマウントやvServer上のNFSマウントされたボリュームはバックアップされません(存在する場合)。
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注意: バックアップ対象のvServerが重要なアプリケーションをホストしている場合は、そのvServerが停止しているときに、バックアップしてください。 |
例:
./exabr backup user-vm
この例では、ExalogicRepo共有のスナップショットを取得することによって、ExaBRですべてのvServerがバックアップされます。
この手順を使用して作成したバックアップをリストアするには、第5.2.2項「EECS 2.0.4以前のゲスト・ベース・テンプレートを使用して作成されたユーザーvServerのリストア」を参照してください。
詳細は、Exalogicバックアップおよびリカバリのベスト・プラクティス・ホワイト・ペーパー(http://www.oracle.com/technetwork/database/features/availability/maa-exalogic-br-1529241.pdf)を参照してください。
次のようにExaBRを使用して、ユーザーvServerをリストアできます。
この項では、LVMスナップショットを使用してバックアップしたvServerをリストアする方法について説明します。バックアップの方法については、第5.1.1項「EECS 2.0.6ゲスト・ベース・テンプレートを使用して作成されたユーザーvServerのバックアップ」で説明しています。
LVMベースのバックアップをリストアすると、ExaBRによりバックアップ済のファイルが置き換えられます。ただし、バックアップ実行後に作成されたすべてのファイルは、リストア中に削除されません。
バックアップしたユーザーvServerをリストアするには、次を実行します。
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注意: vServerのリストアは、そのvServerがExalogic制御に存在する場合にのみ実行できます。Exalogic制御でvServerを削除した場合は、そのvServerをリストアすることはできません。 |
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注意: ExaBRは、STIGが強化されたユーザーvServerをサポートしていません。 |
第2.2項「ExaBRを使用するための準備」に示されているタスクを実行します。
リストアするvServerのアドレスが、exabr.configファイルのuser-vmパラメータに存在することを確認してください。
次のようにExaBRを実行することによって、バックアップのリストを表示します。
./exabr list all-itemized-vm
例:
./exabr list all-itemized-vm
この例では、ExaBRによって、ユーザーvServerについて作成されたバックアップがリストされます。ユーザーvServerのリストアに使用するバックアップの名前をメモしておきます。
リストアするユーザーvServerに、次のいずれかのような破損したデータが含まれる場合があります。
SSHを使用してアクセスできない。
bashおよびtarなどの必須バイナリが存在しない。
次の手順を実行します。
Exalogic制御にログインします。
データが破損しているvServerの名前、IPアドレスおよびタイプをメモしておきます。
Exalogic Control内のvServerを削除します。
手順bでメモしたvServerの名前、IPアドレスおよびタイプでvServerを再作成します。
次のようにExaBRを実行して、ユーザーvServerをリストアできます。
ユーザーvServerのデータが破損していない場合、次のようにExaBRを実行します。
./exabr restore address_of_vServer [options]
オプションの完全なリストについては、第2.4.2項「ExaBRのオプション」を参照してください。
例:
./exabr restore 192.168.1.2 -b 201309121315
最初の例では、ExaBRによって、アドレスが192.168.1.2のユーザーvServerが、バックアップ201309121315からリストアされます。
./exabr restore 192.168.1.2 -b 201309121315 --include-paths /home/Oracle
2番目の例では、ExaBRによって、アドレスが192.168.1.2のユーザーvServerの/home/Oracleディレクトリが、バックアップ201309121315からリストアされます。
手順4で説明するようにユーザーvServerのデータが破損している場合、次のようにExaBRを実行します。
./exabr restore address_of_vServer --exclude-paths /etc/sysconfig/network-scripts [options]
オプションの完全なリストについては、第2.4.2項「ExaBRのオプション」を参照してください。
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注意: ユーザーvServerのリストアで、次のエラーが発生する場合があります。
"ERROR: directory_name Cannot change ownership to ..."
リストア・コマンドを実行中に、 たとえば、次のようなエラーの場合、 ERROR tar: /u01/common/general: Cannot change ownership to uid 1000, gid 54321: 次のように、リストア・コマンドを実行します。 ./exabr restore 192.168.1.2 -b 201308230428 --exclude-paths /u01/common/general |
次を実行して、第5.1.2項「EECS 2.0.4以前のゲスト・ベース・テンプレートを使用して作成されたユーザーvServerのバックアップ」でバックアップしたユーザーvServerをリストアします。
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注意: vServerのリストアは、そのvServerがExalogic制御に存在する場合にのみ実行できます。Exalogic制御でvServerを削除した場合は、そのvServerをリストアすることはできません。 |
第2.2項「ExaBRを使用するための準備」に示されているタスクを実行します。
Exalogic制御を使用して、リストアするvServerを停止します。
次のようにExaBRを実行することによって、バックアップのリストを表示します。
./exabr list user-vm
例:
./exabr list user-vm
この例では、ExaBRによって、ユーザーvServerについて作成されたバックアップがリストされます。ユーザーvServerのリストアに使用するバックアップの名前をメモしておきます。
次のようにExaBRを実行して、ユーザーvServerをリストアできます。
./exabr restore user-vm --vm vm_name [options]
オプションの完全なリストについては、第2.4.2項「ExaBRのオプション」を参照してください。
例:
./exabr restore user-vm --vm test -b exabr_201309121315
この例では、ExaBRによって、testという名前のユーザーvServerがexabr_201309121315という名前のバックアップからリストアされます。同じ名前のvServerが複数存在する場合は、次の例のようにvServer GUIDをかわりに使用します。
./exabr restore user-vm --vm 0004fb0000060000399e5199ecae0041 -b exabr_201309121315
vServerのGUIDは、Exalogic制御を使用して、そのvServerの「Summary」ページで「Domain Name」として識別できます。
リストアの完了後に、リストアしたすべてのvServerにログインします。
Exalogic Controlにrootユーザーとしてログインします。
左側のナビゲーション・ペインで、「vDC Management」をクリックします。
MyCloudなど、使用しているクラウドを開きます。
「Accounts」を開きます。
リストアしたvServerが属しているアカウント(Dept1など)を開きます。
そのアカウント内のすべてのvServerが表示されます。
リストアしたvServerを選択します。
そのvServerのダッシュボードが表示されます。
右側のアクション・ペインで、「Launch Virtual Console」をクリックして、vServerの起動をモニターします。ディスクに関する問題が検出された場合、fdiskが自動的に起動します。