このマニュアルでは、Oracle Fail Safeのインストールについて順を追って説明します。Oracle Fail Safeのインストールでは、Oracle Fail Safe Manager、Oracle Fail Safe ServerおよびOracle Fail Safeドキュメントをインストールするためのオプションが用意されています。通常、3つのすべてのコンポーネントをインストールしますが、要件に応じてインストールをカスタマイズできます。たとえば、すべてのクラスタを管理するために使用する単一のデスクトップ・システムがある場合、そのシステムにOracle Fail Safe ManagerおよびOracle Fail Safeドキュメントをインストールできます。
Oracle Fail Safe Managerは、Microsoft Windowsフェイルオーバー・クラスタで可用性が高まるようにOracleシングルインスタンス・データベース、Oracle Management Agent、汎用サービスなどを構成および管理するグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。Oracle Fail Safeは、メインのサーバー・コンポーネントです。
Oracle Universal Installerのグラフィカル・ユーザー・インタフェースを使用してインストールを実行します。複数のシステム上に同じインストールを実行する場合には、Oracle Universal Installerをサイレント・モードで実行し、バッチ・ファイルまたはスクリプトでインストール・プロセスを自動化できます。サイレント・インストールは、付録Bに説明されています。
この章では、次の項目について説明します。
Oracle Fail Safeのインストール前に次の構成作業を実行する必要があります。
Microsoft Windowsフェイルオーバー・クラスタ・マネージャの「Actions」メニューにある「Validate This Cluster」アクションを選択して、「View Validation Report」アクションを実行して結果を確認します。先に進む前にMicrosoft Windowsフェイルオーバー・クラスタ検証プロセス中に検出された問題を解決します。
各システムでOracle Net tnsnames.ora
が適切に構成されていて、そのローカルのデータベースにアクセスできることを確認します。
クラスタのノードのサブセット上にOracle Fail Safeをインストールする場合、Oracle Fail Safeをインストールしたノードの1つでクラスタ・グループを実行していることを確認してください。Microsoft Windowsフェイルオーバー・クラスタ・マネージャを使用して、クラスタ・グループの場所を表示または変更できます。クラスタ・グループをOracle Fail Safeをインストールしていないノードに移動すると、Oracle Fail Safeが適切に機能しません。
Oracle Fail Safeのインストール中に、Microsoft Windowsイベント・ビューアが実行されていないことを確認します。これが問題となるのは、既存のインストール上でインストールする(インプレース・アップグレード)場合だけです。
注意: Microsoft Windowsイベント・ビューアを実行しながら、Oracle Fail Safeをインストールすると、インストール手順で、fsus.dll ファイル(日本語システムでは、fsja.dll )をコピーできないことを示すエラーが返され、再試行するか、無視するか、取り消すかを尋ねられます。Microsoft Windowsイベント・ビューアを停止してOracle Fail Safeインストールのエラーウィンドウで再試行をクリックすると、インストールを続行できます。 |
各種オペレーティング・システムの現行ソフトウェアの互換性については、『Oracle Fail Safeリリース・ノートfor Microsoft Windows』を参照してください。
次の表にインストール・タイプごとのディスク領域の要件を示します。
インストール・タイプ | ディスク領域(MB) |
---|---|
標準インストール | 188 |
クライアントのみインストール | 177 |
Oracle Fail Safe Managerには、Microsoft .NET 3.5 Service Pack 1が必要です。.NET 3.5 Service Pack 1がWindows Server 2008 R2以降にインストールされていない場合、次の説明に従って「Server Manager」インタフェースまたはPowerShellを使用して追加してください。
「Server Manager」インタフェースの使用
「Server Manager」インタフェースで、「Add Features」を選択して、利用可能な機能のリストを表示します。
「Select Features」インタフェースで、「.NET Framework 3.5.1 Features」を拡張します。
「.NET Framework 3.5.1 Features」を拡張した後、2つのチェック・ボックスが表示されます。1つは.NET Framework 3.5.1に使用し、もう1つはWCFアクティブ化に使用します。「.NET Framework 3.5.1」の隣にあるボックスを選択して、「Next」をクリックします。
注意: 「.NET Framework 3.5.1 Features」を拡張しないで選択すると、Add Featuresウィザードというポップアップが表示されます。「Cancel」をクリックして「.NET Framework 3.5.1 Features」を拡張し、その下の「.NET Framework 3.5.1」チェック・ボックスを選択します。 必要なロール・サービスおよび機能もインストールされていない場合、.NET Framework 3.5.1機能はインストールできません。 |
「Confirm Installation Selections」インタフェースで、選択内容を確認して、「Install」をクリックします。
インストール・プロセスの完了したら、「Close」をクリックします。
Windows PowerShellの使用
「スタート」メニューから「すべてのプログラム」を選択し、「アクセサリ」を選択します。
拡張して「Windows PowerShell」を右クリックして、「管理者として実行」を選択します。「ユーザー アカウント制御」ボックスで「はい」をクリックします。
PowerShellコマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力して、各コマンドの後に[Enter]を押します。
Import-Module ServerManager
Add-WindowsFeature as-net-framework
このマニュアルではOracle Fail Safeのインストールを詳細に説明していますが、Oracle Fail Safe環境を実装するためには、他の製品のインストールも必要です。図1-1に、2ノード・クラスタへのソフトウェアの推奨インストール順序を示します。
次のリストに、インストールの順序と、Oracle Fail Safeの起動に役立つ他の作業の詳細を示します。
各クラスタ・ノードで、Microsoft Windowsフェイルオーバー・クラスタ機能を追加および構成します。
Oracle Fail Safeと一緒に使用できるMicrosoft Windowsのバージョンについては、『Oracle Fail Safeリリース・ノートfor Microsoft Windows』を参照してください。
クラスタ・ノードごとに、Oracle Fail Safeとの併用を計画するオプションのOracleソフトウェア(Oracle Databaseと他のアプリケーション)をインストールします。共有クラスタ・ディスク上にすべてのアプリケーションとデータベース・データ、コントロールおよびログ・ファイルを配置し、それらがフェイルオーバーできるようにします。Oracle Fail Safeを起動した後にOracle製品を追加する場合、新しいインストールを識別できるように、Oracle Fail Safeを再起動する必要があります。クラスタの各ノードのクラスタ・サービス・アクションを再起動して、これを実行できます。クラスタ・サービスを再起動すると、ノードのすべてのクラスタ・グループが強制的に別のノードにフェイルオーバーするので注意してください。
Oracle Databaseソフトウェアをインストールする場合、Oracle Fail Safeをインストールする前でも後でもデータベースを作成できます。非クラスタ環境の場合と同様に、データベース・リスナーも含めてデータベースを作成します。ただし、データベースはクラスタ・ディスク上に作成する必要があります。
各クラスタ・ノードに、Oracle Fail Safeのサーバー・コンポーネントをインストールします。
Oracle Fail Safeのインストールの詳細は、第2章を参照してください。
(他の管理コンソールを設定する場合などに)オプションで、Oracle Fail Safe Managerを1台以上のクライアント・システムにインストールします。
図1-2は、プライベート・ディスクおよび非共有クラスタ・ディスク上にインストールする必要のあるソフトウェアおよびファイルを示しています。
Oracle Fail Safeには、ユーザーが指定したクラスタ・ディスクに事前構成済のサンプル・データベースをインストールする「サンプル・データベースの作成」コマンドがあります。サンプル・データベースの機能は限定されており、テスト目的にかぎり、オンラインの『Oracle Fail Safeチュートリアルfor Microsoft Windows』で使用することが意図されています。サンプル・データベースを本番で使用しないでください。本番用のデータベースを作成するには、Database Configuration Assistantを使用するか、手動でデータベースを作成してください。
Oracle Fail Safeが正常にインストールされた後、次の作業を実行します。
任意のOracleソフトウェアをインストールした場合、次の作業を実行します。
共有クラスタ・ディスクまたはプライベート・ディスクのどちらかにおける、アラート・ファイルおよびトレース・ファイルの構成。
アラート・ファイルおよびトレース・ファイルをプライベート・ディスク上で構成することにより、管理者は問題が発生したノードを判別できますが、複数のファイル・セットをメンテナンスする必要があります。それぞれのクラスタ・ノードで違うパラメータにする場合にのみ、プライベート・ディスクにパラメータ・ファイルを置いてください。たとえば、プライマリ・ノードより少ないリソースのフェイルオーバー・ノード上でデータベースを使用する場合(フェイルオーバー・ノードに、リソースが必要な別のアプリケーションまたはデータベースがある場合など)に利用できます。
クラスタ・ディスク上のデータベースの再作成については、使用しているデータベースの、インポートおよびエクスポートに関するドキュメントを参照してください。
Oracle Fail Safe Managerを起動し、各クラスタ・ノードで管理者権限を持つドメイン・アカウントでクラスタ別名に接続します。プロンプトが表示されたときにインストールが完了していることを確認する必要があります。サイレント・インストールを実行する場合、fscmd verifycluster
コマンドまたはPowerShellコマンドTest-OracleCluster
を実行して、インストールを完了できます。
コマンドライン・ユーティリティの詳細は、『Oracle Fail Safe概要および管理ガイドfor Microsoft Windows』を参照してください。
Oracle Fail Safeの起動に関する情報は、第3章を参照してください。
グループの作成およびグループへのリソースの追加の順を追った説明は、『Oracle Fail Safeチュートリアルfor Microsoft Windows』を参照してください。