パート I Oracle VM Server for SPARC 3.1 ソフトウェア
第 1 章 Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアの概要
Oracle VM Server for SPARC と Oracle Solaris OS のバージョンについて
Oracle VM Server for SPARC 物理から仮想への変換ツール
Oracle VM Server for SPARC Configuration Assistant
Oracle VM Server for SPARC 管理情報ベース
必須の Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアコンポーネント
新しいシステムへの Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアのインストール
Logical Domains Manager のダウンロード
Logical Domains Manager ソフトウェアをダウンロードする方法 (Oracle Solaris 10)
Logical Domains Manager のインストール
Logical Domains Manager ソフトウェアの自動的なインストール (Oracle Solaris 10)
Logical Domains Manager ソフトウェアの手動によるインストール
Oracle VM Server for SPARC 3.1 ソフトウェアを手動でインストールする方法 (Oracle Solaris 10)
Logical Domains Manager デーモンの有効化
Logical Domains Manager デーモンを有効にする方法
Oracle VM Server for SPARC をすでに使用しているシステムのアップグレード
Logical Domains の制約データベースファイルの保存および復元
Oracle Solaris 10 Live Upgrade 機能を使用する場合の Logical Domains の制約データベースファイルの保持
Logical Domains Manager およびシステムファームウェアのアップグレード
プラットフォーム上で動作している制御ドメイン以外のすべてのドメインを停止する方法
Oracle VM Server for SPARC 3.1 ソフトウェアへのアップグレード
Oracle VM Server for SPARC 3.1 ソフトウェアにアップグレードする方法 (Oracle Solaris 10)
Oracle VM Server for SPARC 3.1 ソフトウェアにアップグレードする方法 (Oracle Solaris 11)
Logical Domains Manager を無効にする方法
Logical Domains Manager を削除する方法
第 3 章 Oracle VM Server for SPARC のセキュリティー
Logical Domains Manager 権利プロファイルの内容
役割を使用してすべてのドメインコンソールへのアクセスを制御する方法
権利プロファイルを使用してすべてのドメインコンソールへのアクセスを制御する方法
役割を使用して 1 つのコンソールへのアクセスを制御する方法
権利プロファイルを使用して 1 つのコンソールへのアクセスを制御する方法
制御ドメインまたはサービスドメインとその他のドメイン間のネットワークの有効化
ゲストドメインへの Oracle Solaris OS のインストール
DVD からゲストドメインに Oracle Solaris OS をインストールする方法
Oracle Solaris ISO ファイルからゲストドメインに Oracle Solaris OS をインストールする方法
Oracle Solaris 10 ゲストドメインで Oracle Solaris JumpStart 機能を使用する方法
PCIe バスの割り当てによってルートドメインを作成する方法
PCIe バスの割り当てによって I/O ドメインを作成する方法
PCIe エンドポイントデバイスの割り当てによる I/O ドメインの作成
PCIe エンドポイントデバイスを割り当てることによって I/O ドメインを作成する方法
PCIe SR-IOV 仮想機能の割り当てによる I/O ドメインの作成
Ethernet デバイス固有のプロパティーとネットワーク固有のプロパティー
I/O ドメイン上の Ethernet SR-IOV 仮想機能の追加と削除
Ethernet SR-IOV 仮想機能を I/O ドメインに追加する方法
Ethernet 仮想 SR-IOV 機能を I/O ドメインから削除する方法
高度な SR-IOV のトピック: Ethernet SR-IOV
SR-IOV 仮想機能の使用による I/O ドメインのブート
I/O ドメインを作成するための SR-IOV 仮想機能の使用
SR-IOV 仮想機能を割り当てることによって I/O ドメインを作成する方法
I/O ドメイン上の InfiniBand 仮想機能の追加および削除
InfiniBand 仮想機能を I/O ドメインに追加する方法
InfiniBand 仮想機能を I/O ドメインから削除する方法
ルートドメインへの InfiniBand 仮想機能の追加および削除
InfiniBand 仮想機能をルートドメインに追加する方法
InfiniBand 仮想機能をルートドメインから削除する方法
高度な SR-IOV のトピック: InfiniBand SR-IOV
ファイバチャネル仮想機能の World-Wide Name の割り当て
I/O ドメイン上のファイバチャネル SR-IOV 仮想機能の追加と削除
ファイバチャネル SR-IOV 仮想機能を I/O ドメインに追加する方法
ファイバチャネル SR-IOV 仮想機能を I/O ドメインから削除する方法
高度な SR-IOV のトピック: ファイバチャネル SR-IOV
primary 以外のルートドメインでの直接 I/O デバイスの管理
primary 以外のルートドメインでの SR-IOV 仮想機能の管理
物理ディスクスライスを仮想ディスクとしてエクスポートする方法
フルディスクとしてエクスポートされるファイルまたはボリューム
1 つのスライスディスクとしてエクスポートされるファイルまたはボリューム
ZFS ボリュームを 1 つのスライスディスクとしてエクスポートする方法
ファイルおよびディスクスライスを仮想ディスクとしてエクスポートする場合のガイドライン
CD または DVD をサービスドメインからゲストドメインにエクスポートする方法
制御ドメインから ISO イメージをエクスポートしてゲストドメインをインストールする方法
未構成システムのディスクイメージのスナップショットを作成する方法
Oracle VM Server for SPARC 環境でのボリュームマネージャーの使用
Solaris ボリュームマネージャーによる仮想ディスクの使用
仮想ディスクでの Solaris ボリュームマネージャーの使用
仮想ネットワークのパフォーマンスを最大にするためのドメインの構成
仮想ネットワークデバイスで消費される物理ネットワーク帯域幅の量の制御
Oracle Solaris OS ネットワークインタフェース名を検索する方法
ネットワークアダプタが GLDv3 準拠かどうかを判別する方法 (Oracle Solaris 10)
NAT およびルーティング用の仮想スイッチおよびサービスドメインの構成
Oracle Solaris 10 システムでの NAT の構成
ドメインが外部に接続できるように仮想スイッチを設定する方法 (Oracle Solaris 10)
Oracle Solaris 11 システムでの NAT の構成
ドメインが外部に接続できるように仮想スイッチを設定する方法 (Oracle Solaris 11)
Oracle VM Server for SPARC 環境での IPMP の構成
ドメインの IPMP グループへの仮想ネットワークデバイスの構成
Oracle VM Server for SPARC 仮想ネットワークでのリンクベースの IPMP の使用
Logical Domains 1.3 以前のリリースの IPMP の構成および使用
VLAN を仮想スイッチおよび仮想ネットワークデバイスに割り当てる方法
インストールサーバーが VLAN に存在する場合にゲストドメインをインストールする方法
ジャンボフレームを使用するように仮想ネットワークおよび仮想スイッチデバイスを構成する方法
ジャンボフレームに対応していない旧バージョンの vnet および vsw ドライバとの互換性 (Oracle Solaris 10)
Oracle Solaris 11 のネットワーク固有の機能の相違点
アクティブなドメインで電源管理のエラスティックポリシーが有効にされている場合のマイグレーション
OpenBoot PROM からまたはカーネルデバッガで実行中のドメインの移行
その他の Oracle VM Server for SPARC 機能とハードパーティション化されたシステムとの相互作用
XML ファイルからのドメイン構成の復元方法 (ldm add-domain)
XML ファイルからのドメイン構成の復元方法 (ldm init-system)
FMA を使用した障害のあるリソースのブラックリスト登録または構成解除
障害のあるリソースまたは見つからないリソースを検出したあとのドメイン復旧
Oracle VM Server for SPARC による Oracle Solaris OS の運用
Oracle Solaris OS の起動後には OpenBoot ファームウェアを使用できない
サービスプロセッサでの Oracle VM Server for SPARC の使用
CPU およびメモリーアドレスのマッピングによるエラー発生箇所の確認
Oracle VM Server for SPARC では、論理ドメインチャネル (LDC) を使用して、すべての通信 (コンソール、仮想 I/O、制御トラフィックなど) を実装します。LDC は、2 つのエンドポイント間の通信を可能にするために使用される方法です。通常、各エンドポイントは異なるドメインにありますが、それらのエンドポイントを同じドメインに配置してループバック通信を可能にすることができます。
Oracle VM Server for SPARC 3.1.1.1 ソフトウェアおよびシステムファームウェアによって、制御ドメインやゲストドメインに使用できる LDC エンドポイントの大きなプールが提供されます。この LDC エンドポイントプールは、SPARC T4、SPARC T5、SPARC M5、および SPARC M6 プラットフォームでのみ使用できます。プール内の LDC の数は、次のようにプラットフォームタイプに基づいています。
SPARC T4、SPARC T5 – ゲストドメインあたり 1984 個の LDC エンドポイント、合計 98304 個の LDC エンドポイント
SPARC M5、SPARC M6 – ゲストドメインあたり 1984 個の LDC エンドポイント、物理ドメインあたり 98304 個の LDC エンドポイント
LDC エンドポイントプールをサポートするために必要なシステムファームウェアは、SPARC T4 の場合は 8.5.1.b、SPARC T5、SPARC M5、および SPARC M6 の場合は 9.2.1.b です。
サポートされるプラットフォームや UltraSPARC T2、UltraSPARC T2 Plus、SPARC T3、または Fujitsu M10 システム上で古いバージョンのシステムファームウェアを実行している場合は、次のゲストドメインあたりの LDC エンドポイントの制限が引き続き適用されます。
UltraSPARC T2 システム – ゲストドメインあたり 512 個の LDC エンドポイント
UltraSPARC T2 Plus、SPARC T3、SPARC T4、SPARC T5、SPARC M5、SPARC M6、および Fujitsu M10 システム – ゲストドメインあたり 768 個の LDC エンドポイント
この制限は制御ドメインで問題になることがあります。これは、仮想 I/O データ通信と、Logical Domains Manager によるほかのドメイン制御の両方に多数の LDC エンドポイントが使用される可能性があるからです。
サービスの追加やドメインのバインドを試みたために、LDC エンドポイントの数が 1 つのドメインでの制限を超えてしまった場合、その操作は失敗して、次のようなエラーメッセージが表示されます。
13 additional LDCs are required on guest primary to meet this request, but only 9 LDCs are available
次のガイドラインを使用すると、LDC エンドポイントの使用計画を正しく立てたり、制御ドメインで LDC 機能のオーバーフローが発生する可能性のある原因を説明したりできます。
制御ドメインでは、構成されているほかのドメインの数に関係なく、ハイパーバイザ、障害管理アーキテクチャー (FMA)、およびシステムプロセッサ (SP) とのさまざまな通信目的で、約 15 個の LDC エンドポイントを使用します。制御ドメインによって使用される LDC エンドポイントの数は、プラットフォーム、および使用されているソフトウェアのバージョンによって異なります。
Logical Domains Manager は、ドメイン (自身を含む) ごとに制御トラフィック用の LDC エンドポイントを制御ドメインに 1 つ割り当てます。
制御ドメインの各仮想 I/O サービスは、そのサービスに接続されているクライアントごとに LDC エンドポイントを 1 つ使用します。各ドメインには、仮想ネットワーク、仮想ディスク、および仮想コンソールが少なくとも 1 つずつ必要です。
次の式では、これらのガイドラインを取り入れて、制御ドメインで必要とされる LDC エンドポイントの数を算出します。
15 + number-of-domains + (number-of-domains x number-of-virtual-services) = total-LDC-endpoints
number-of-domains は制御ドメインを含むドメインの総数であり、number-of-virtual-services はこのドメインによって処理される仮想 I/O デバイスの総数です。
次の例は、制御ドメインが 1 つ、追加のドメインが 8 つある場合に、式を使用して LDC エンドポイントの数を算出する方法を示しています。
15 + 9 + (8 x 3) = 48 LDC エンドポイント
次の例では、ゲストドメインが 45 あり、各ドメインに 5 つの仮想ディスク、2 つの仮想ネットワーク、および 1 つの仮想コンソールがあります。計算によって次の結果が得られます。
15 + 46 + 45 x 8 = 421 LDC エンドポイント
使用しているプラットフォームでサポートされている LDC エンドポイントの数に応じて、Logical Domains Manager が構成を受け入れるか拒否するかが決まります。
制御ドメインで LDC エンドポイントを使い果たした場合は、サービスドメインまたは I/O ドメインを作成して仮想 I/O サービスをゲストドメインに提供することを検討してください。このアクションを実行すると、制御ドメインではなく、I/O ドメインとサービスドメインに LDC エンドポイントを作成できます。
ゲストドメインでも、LDC エンドポイントを使い果たす可能性があります。このような状況は、inter-vnet-link プロパティーが on に設定されることで、相互に直接接続するゲストドメインに追加の LDC エンドポイントが割り当てられるために起こることがあります。
次の式では、inter-vnet-link=off のときにゲストドメインで必要とされる LDC エンドポイントの数を算出します。
2 + number-of-vnets + number-of-vdisks = total-LDC-endpoints
2 は仮想コンソールと制御トラフィックを表し、number-of-vnets はゲストドメインに割り当てられている仮想ネットワークデバイスの総数、number-of-vdisks はゲストドメインに割り当てられている仮想ディスクの総数です。
次の例は、inter-vnet-link=off で、仮想ディスクと仮想ネットワークが 2 つずつある場合に、式を使用して 1 ゲストドメインあたりの LDC エンドポイント数を算出する方法を示しています。
2 + 2 + 2 = 6 LDC エンドポイント
次の式では、inter-vnet-link=on のときにゲストドメインで必要とされる LDC エンドポイントの数を算出します。
2 + [[(number-of-vnets-from-vswX x number-of-vnets-in-vswX)] ...] + number-of-vdisks = total-LDC-endpoints
2 は仮想コンソールと制御トラフィックを表し、number-of-vnets-from-vswX は vswX 仮想スイッチからゲストドメインに割り当てられている仮想ネットワークデバイスの総数、number-of-vnets-in-vswX は vswX 仮想スイッチ上の仮想ネットワークデバイスの総数、number-of-virtual-disks はゲストドメインに割り当てられている仮想ディスクの総数です。
次の例は、inter-vnet-link=on で、仮想ディスクと仮想スイッチが 2 つずつある場合に、式を使用して 1 ゲストドメインあたりの LDC エンドポイント数を算出する方法を示しています。最初の仮想スイッチには 8 つの仮想ネットワークがあり、そのうちの 4 つがドメインに割り当てられます。2 つ目の仮想スイッチは、8 つすべての仮想ネットワークをドメインに割り当てます。
2 + (4 x 8) + (8 x 8) + 2 = 100 LDC エンドポイント
ゲストドメインで LDC エンドポイントが不足する問題を解決するには、ldm add-vsw または ldm set-vsw コマンドを使用して inter-vnet-link プロパティーを off に設定することを検討してください。このアクションによって、仮想ネットワークデバイスが存在するドメイン内の LDC エンドポイントの数が減ります。ただし、off プロパティー値は、仮想スイッチを含むサービスドメインには影響しません (サービスドメインでは各仮想ネットワークデバイスへの LDC 接続を引き続き必要とするため)。このプロパティーが off に設定されていると、LDC チャネルは inter-vnet 通信に使用されません。代わりに、LDC チャネルは仮想ネットワークデバイスと仮想スイッチデバイス間の通信のみに割り当てられます。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。