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Oracle® R Enterpriseインストレーションおよび管理ガイド
リリース1.4 for Windows, Linux, Solaris, and AIX
E52976-01
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8 Oracle R Enterpriseの管理タスク

この章では、Oracle R Enterpriseの保守及び最適化のための管理タスクについて説明します。この章の内容は次のとおりです。

8.1 Oracle R Enterprise接続のOracleウォレットの作成

Oracleウォレットは、Oracle Databaseのセキュリティ資格証明書の格納に使用する、パスワードで保護されたコンテナです。ウォレットを使用することで、埋込みRスクリプトで接続の詳細を指定するためのセキュアなメカニズムが得られます。

Oracle R Enterprise接続のウォレットを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Wallet Managerを起動します。

    • (LinuxおよびUNIXの場合)コマンド・ラインでowmと入力します。

    • (Windowsの場合)「スタート」「プログラム」「Oracle - HOME_NAME」「Integrated Management Tools」「Wallet Manager」の順に選択します。

  2. ご使用のOracle Databaseのドキュメントの手順に従って、ウォレットを作成します。

    • Oracle Database 11.2の場合は、『Oracle Database Advanced Security管理者ガイド』のOracle Wallet Managerの使用に関する項を参照してください。

    • Oracle Database 12.1の場合は、『Oracle Databaseエンタープライズ・ユーザー・セキュリティ管理者ガイド』のOracle Wallet Managerの使用に関する項を参照してください。

  3. tnsnames.oraで、Oracle R Enterprise用の接続文字列を探します。例:

    mydb_test =
          (DESCRIPTION =
             (ADDRESS =
                (PROTOCOL = TCP)
                (HOST = server23)
                (PORT = 1521)
             )
             (CONNECT_DATA = (sid=ORCL))
          )
    
  4. ウォレットに接続情報を指定します。手順2で参照されているOracle Databaseのセキュリティに関するドキュメントの手順に従います。

  5. ウォレットを構成した後は、接続識別子を指定するだけで、Oracle R Enterprise Serverのデータベースに接続できます。例:

    ore.connect(conn_string = "mydb_test", all = TRUE)
    

    ore.connectの詳細を確認するには、次のようにRヘルプ・コマンドを使用します。

    help(ore.connect)
    

8.2 埋込みRが使用するメモリーの制御

Rのgcメカニズムで自動的に管理されるヒープ・メモリー(R用語でのベクトルとコンス)を制限することによって、埋込みRの実行で使用されるメモリーを制御できます。データベースでヒープ・メモリーのサイズを制限するには、sys.rqconfigsetユーティリティを使用します。sys.rqconfigsetのキーワード引数を表8-1に示します。

表8-1 SYS.RQCONFIGSETのキーワード引数

キーワード デフォルト値 説明

MIN_VSIZE

32MB

最小のRベクター・ヒープ・メモリー

MAX_VSIZE

4GB

最大のRベクター・ヒープ・メモリー

MIN_NSIZE

1M

Rコンス・セルの最小値

MAX_NSIZE

20M

Rコンス・セルの最大値


例8-1 埋込みRが使用するメモリーの制御用のSQLコマンド

-- Set the minimum R vector heap memory to 20MB
EXEC sys.rqconfigset('MIN_VSIZE', '20MB');

-- Set the maximum R vector heap memory to 100MB
EXEC sys.rqconfigset('MAX_VSIZE', '100MB')

-- Set the minimum number of R cons cells to 500x1024
EXEC sys.rqconfigset('MIN_NSIZE', '500K');

-- Set the maximum number of R cons cells to 10x10x1024
EXEC sys.rqconfigset('MAX_NSIZE', '10MB');

-- Set maximum vector heap memory and maximum cons cells to unlimited
EXEC sys.rqconfigset('MAX_VSIZE', NULL); 
EXEC sys.rqconfigset('MAX_NSIZE', NULL);

注意:

sys.rqconfigsetプロシージャでは、Calloc、Realloc、callocまたはmallocによって割り当てられる場合のあるCタイプのメモリーを制御できません。Cタイプのメモリーは、Cで実装されるRの関数により使用される、一時的な値を保存するために作成されます。通常、Cタイプのメモリーのサイズは限定的であるため、Rのメモリー使用量に著しく影響することはありません。

sys.rqconfigsetプロシージャは、sys.rq_configと呼ばれる構成表で設定を編集します。Oracle R Enterpriseの様々な環境設定を確認するためにこの表の内容を表示できます。sys.rq_configに格納された設定で、埋込みRのメモリーが制限されます。必要な場合はこれらのメモリー制限を変更できますが、ほとんどの場合、sys.rq_configの値は変更しないでください。

次の問合せは、sys.rq_configに格納されているサンプルの値を示します。

SQL> SELECT * FROM sys.rq_config;
 
NAME                      VALUE
------------------------- -----------------------------------------------------
R_HOME                    /usr/lib64/R
R_LIBS_USER               /dbhome_1/R/library
VERSION                   1.4
MIN_VSIZE                 32M
MAX_VSIZE                 4G
MIN_NSIZE                 2M
MAX_NSIZE                 20M
SUPP_LIB_PATH             /opt/freeware/lib

8.3 Oracle R Enterpriseのアップグレード

Oracle R Enterpriseを再インストールすることで、以前のリリースから現在のリリースにアップグレードできます。


IBM AIXに関する注意:

Oracle R Enterprise 1.1からのアップグレードはIBM AIXでサポートされていません。IBM AIXでOracle R Enterprise 1.1をアップグレードするには、まずOracle R Enterprise 1.1を(Rを含めて)アンインストールした後、新しいバージョンをダウンロードしてインストールします。

Oracle R Enterpriseをアップグレードするには次の手順を実行します。

  1. 新しいバージョンのOracle R Enterpriseに必要なバージョンのRがインストールされていることを確認します。最新の要件は、『Oracle R Enterpriseリリース・ノート』を参照してください。

    Rをインストールするには、第3章、「Oracle R Enterprise向けのRのインストール」の手順に従います。

  2. Oracle R Enterprise Serverをアップグレードするには、次のインストール手順に従います。インストール・スクリプトによって旧バージョンのOracle R Enterpriseが検出された場合は、アップグレードするかどうかを確認されます。Noを選択するとプロセスが終了し、Yesを選択するとアップグレードが開始されます。

    Oracle R Enterprise Serverのインストール手順は、第4章を参照してください。

  3. Oracle R Enterprise Clientをアップグレードするには、Client PackagesおよびSupporting Packagesを再インストールします。新しいパッケージをインストールする前に現在のパッケージをアンインストールする必要はありません。

    Oracle R Enterprise Clientのインストール手順は、第6章を参照してください。

8.4 Oracle R Enterpriseデータの移行

Oracle R Enterprise Serverには、rqsysスキーマおよびOracle R Enterpriseユーザー・データをソース・データベースからターゲット・データベースに移行するために実行できる移行スクリプトが含まれています。ソースおよびターゲットでは、同じバージョンのデータベースおよびOracle R Enterprise Serverが必要です。

移行スクリプトは、表1-1、「Oracle R Enterpriseのプラットフォーム要件」に記載されているWindowsを除くすべてのオペレーティング・システムで実行できます。

このスクリプトを見つけるには、serverディレクトリに移動してmigrationサブディレクトリに変更します。

/oreserver_install_dir/server/migration

migrationサブディレクトリには、READMEおよび次のサブディレクトリが含まれています。

  • exp: rqsysおよびすべてのOracle R Enterpriseユーザー・データをダンプ・ファイルにエクスポートするためのスクリプトore_srcexport.plが含まれています。

  • imp: rqsysおよびすべてのOracle R Enterpriseユーザー・データをore_screxport.plで作成したダンプ・ファイルからインポートするためのスクリプトore_destimport.plが含まれています。

  • oreuser: 特定のOracle R Enterpriseユーザーのデータをエクスポートおよびインポートするためのスクリプトが含まれています。

移行スクリプトの実行手順は、READMEに記載されています。

8.5 Oracle R Enterpriseのアンインストール

Oracle R Enterpriseをアンインストールするには、次のトピックの手順に従います。

8.5.1 Oracle R Enterprise Serverのアンインストール

アンインストール・スクリプトは、serverディレクトリのOracle R Enterprise Serverのファイルに含まれています。このスクリプトによって、$ORACLE_HOME/libにインストールされたライブラリが削除され、Oracle R Enterprise Serverのインストールによって作成されたすべてのデータベース・オブジェクトが削除されます。

アンインストール・スクリプトを実行するユーザーは、第4.2.3項「ユーザー要件」に指定されている要件を満たしている必要があります。

Linuxシステムでは、次の手順に従ってOracle R Enterprise Serverをアンインストールします。

cd download_path/server/
./uninstall.sh

8.5.2 Oracle R Enterprise Clientのアンインストール

Oracle R Enterprise Client PackageおよびSupporting Packagesをアンインストールするには、Rを起動して例8-2にリストされているコマンドを入力します。

例8-2 Oracle R Enterpriseパッケージのアンインストール用のRコマンド

remove.packages("ORE")
remove.packages("ORExml")
remove.packages("OREeda")
remove.packages("OREcommon")
remove.packages("OREembed")
remove.packages("OREgraphics")
remove.packages("OREstats")
remove.packages("OREbase")
remove.packages("ROracle")
remove.packages("DBI")
remove.packages("png")
remove.packages("OREdm")
remove.packages("OREpredict")

8.6 Rのアンインストール

Rをアンインストールするには、次のトピックの手順に従います。

8.6.1 WindowsでのOracle R Distributionのアンインストール

Windowsの「コントロール パネル」の「プログラムの追加と削除」を使用して、他のWindowsプログラムのアンインストールと同様にOracle R Distributionをアンインストールします。

8.6.2 LinuxでのOracle R Distributionのアンインストール

Oracle R DistributionをLinuxからアンインストールするには、rootでログインし、次のコマンドをこの順序どおりに実行します。異なるバージョンのRをアンインストールする場合は、3.0.1をそのバージョン番号で置き換えます。

例8-3 Oracle R Distributionのアンインストール用のLinuxコマンド

次のコマンドをrootで実行します。

rpm -e R-3.0.1
rpm -e R-devel
rpm -e R-core
rpm -e libRmath-devel
rpm -e libRmath

8.6.3 Oracle SolarisでのOracle R Distributionのアンインストール

Oracle SolarisでOracle R Distributionをアンインストールするには、Oracle Technology NetworkのOracle R Distributionのダウンロード・ページのREADMEに記載されている手順に従います。

https://oss.oracle.com/ORD/

Oracle SolarisにおけるOracle R Distributionのインストール・ディレクトリには、アンインストール・スクリプトが含まれています。rootでログインして、次のスクリプトを実行します。

例8-4 Oracle R Distributionのアンインストール用のSolarisスクリプト

次のスクリプトをrootで実行します。

./uninstall.sh

8.6.4 IBM AIXでのOracle R Distributionのアンインストール

IBM AIXでOracle R Distributionをアンインストールするには、Oracle Technology NetworkのOracle R Distributionのダウンロード・ページのREADMEに記載されている手順に従います。

https://oss.oracle.com/ORD/

例8-5 Oracle R Distributionのアンインストール用のAIXスクリプト

すべてのファイル・セットをアンインストールするには、次のスクリプトをrootで実行します。

./installp -u ORD
    

個別のファイル・セットをアンインストールするには、名前を指定します。

installp -u ORD.devel
installp -u ORD.core