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Oracle® R Enterpriseインストレーションおよび管理ガイド
リリース1.4 for Windows, Linux, Solaris, and AIX
E52976-01
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1 Oracle R Enterpriseのインストールの概要

この章ではOracle R Enterpriseのインストール・プロセスについて説明します。この章には、次の項目が含まれます。

1.1 Oracle R Enterpriseについて

Oracle R Enterpriseでは、オープン・ソースのスクリプト言語および環境であるRが、Oracle Databaseと統合されます。Rには、高度な統計分析と精緻なグラフィック機能が備わっています。Oracle R Enterpriseは、モデルの構築およびデータのスコアリング用の強力でスケーラブルなデータベース内アルゴリズムを提供します。Oracle DatabaseにおけるOracle Advanced Analytics Optionの1つのコンポーネントであるOracle R Enterpriseを使用すると、R言語でOracleデータを透過的に処理でき、データベース・サーバー・マシン上のOracle Databaseを使用してユーザー定義のRスクリプトを実行できます。


関連項目:


1.2 Oracle R Enterpriseおよびオープン・ソースRについて

Oracle R Enterpriseでは、サード・パーティ製のオープン・ソース・ソフトウェアであるRをインストールする必要があります。オープン・ソースRは、OracleライセンスではなくGNU General Public License (GPL)で管理されています。次のOracleツールによって、Oracle DatabaseでRを容易に使用できます。

  • Oracle R Distribution

    Oracle R Distributionは、オープン・ソースRのOracle無償版ディストリビューションです。Oracle R Distributionには、Oracle R Enterpriseで次の大きな利点があります。

    • Oracle R Enterprise向けRのインストールが簡略化されます。

    • LinuxおよびWindowsプラットフォームでのIntel Math Kernel Library (MKL)との統合が簡略化されます。MKLによってRの数学的計算の多く(高度にベクトル化およびスレッド化された線形代数、高速フーリエ変換(FFT)、ベクトル演算関数、統計関数)のパフォーマンスが大幅に向上します。

    • Oracle Solarisシステム上のSun Performance Libraryを自動的に使用します。LinuxおよびWindows用のMKLと同様に、Sun Performance LibraryはOracle Solaris上の多数の数学的計算のパフォーマンスを向上します。Sun Performance LibraryはOracle Solaris Studioの一部です。

    • Oracle Advanced Analytics、Oracle Enterprise LinuxおよびOracle Big Data Applianceのユーザーに対するOracle R Distributionのサポートが提供されています。


    注意:

    Oracle R Enterpriseでは、可能なかぎりOracle R Distributionの使用をお薦めします。

    R with Oracle R Enterpriseでオープン・ソースRを使用する場合は、ソースから構築する必要があります。詳細は、3.1.2項を参照してください。


  • ROracle

    ROracleは、RとOracle Databaseとの相互作用を可能にするオープン・ソースRパッケージです。もともとサード・パーティによって開発されたROracleをオラクル社が機能強化し、現在はオラクル社が保守およびサポートを行っています。ROracleは、Oracle R Enterpriseが使用するSupporting Packagesの1つです。

1.3 Oracle R EnterpriseおよびOracle R Advanced Analytics for Hadoopについて

Oracle R Advanced Analytics for Hadoopは、Rスクリプトを作成してHadoopクラスタでそれらを実行できる一般的な計算のフレームワークを提供します。Oracle R Advanced Analytics for Hadoopには、Apache Hive表、Apache Hadoop計算インフラストラクチャ、ローカルR環境およびOracle Database表で作業するためのインタフェースを提供するRパッケージのコレクションが含まれています。

Oracle R Advanced Analytics for HadoopはOracle Databaseへの基本レベルのアクセスを提供します。データベース表の内容をHDFSに移動し、HDFS分析の結果をデータベースに戻すことができます。その後、戻されたデータセットに対してOracle R Enterpriseを使用して追加の分析を実行できます。


関連項目:

Oracle Big Data Connectorsユーザーズ・ガイドのOracle R Advanced Analytics for Hadoopの使用方法に関する説明を参照してください。

1.4 Oracle R Enterpriseのアーキテクチャ

Oracle R Enterpriseは、Oracle DatabaseおよびOracle Clientに基づくクライアント/サーバー型アーキテクチャを採用しています。Rエンジンは、サーバー・コンピュータおよび各クライアント・コンピュータ上で動作します。

  • SQLの透過性

    Oracle R Enterpriseのクライアント・パッケージではSQLの透過性がサポートされており、Oracle表がネイティブRオブジェクトであるかのように「透過的に」表示されます。SQLの透過性によって、SQLを理解できなくても、データ分析でRを使用したデータの検索、クレンジング、変換が行えます。

  • 埋込みRの実行

    サーバー上のOracle R Enterpriseのパッケージ、ライブラリとRおよびSQLのAPIでは、SQL問合せおよびPL/SQL文内でのRコマンドの実行がサポートされています。埋込みRは、パラレルに実行できる、生成されたRエンジンで実行されます。埋込みRを使用すると、大規模データ・ストアでRアルゴリズムを実行でき、DBMS_SCHEDULERなどのデータベース機能を使用してLights-Out処理用のユーザー定義のR関数の実行をスケジュールできます。

図1-1は、Oracle R Enterpriseのクライアント/サーバー型アーキテクチャを示しています。

図1-1 Oracle R Enterpriseのクライアント/サーバー型アーキテクチャ

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Client-Server Architecture of Oracle R Enterpriseのクライアント/サーバー型アーキテクチャ」の説明

1.5 Oracle R Enterpriseのクライアントおよびサーバー・コンポーネント

Oracle R Enterpriseには、クライアント・コンポーネントおよびサーバー・コンポーネントがあります。

  • Oracle R Enterpriseのクライアント・コンポーネント:

    • Oracle Database Client

    • Oracle R Enterpriseのパッケージおよびサポート用のオープン・ソース・パッケージ

  • Oracle R Enterpriseのサーバー・コンポーネント:

    • Oracle R Enterprise Clientをサポートするスキーマ・オブジェクトおよび共有ライブラリを備えたOracle Database

    • Oracle R Enterpriseのパッケージおよびサポート用のオープン・ソース・パッケージ

1.6 Oracle R Enterpriseのインストール手順

Oracle R Enterprise ClientおよびServerのインストール手順を図1-2に示します。

図1-2 Oracle R Enterprise ClientおよびServerのインストール手順

図1-2の説明が続きます
「図1-2 Oracle R Enterprise ClientおよびServerのインストール手順」の説明


注意:

Oracle DatabaseをホストするコンピュータでOracle R Enterpriseのクライアントとサーバーの両方のコンポーネントを使用する場合は、クライアント・インストールを個別に実行する必要はありません。Oracle Database Clientのローカル・インストールは、自動的にOracle Databaseのインストールに組み込まれます。

1.6.1 インストール後の手順

ソフトウェアのインストール後、Oracle R Enterpriseのデータベース・ユーザーを少なくとも1人作成する必要があります。ユーザー作成用のスクリプトは、Oracle R Enterprise Serverに付属しています。

1.7 Oracle R Enterpriseのシステム要件

Oracle R Enterpriseは、64ビットのプラットフォームでのみ動作します。クライアントおよびサーバー・コンポーネントの両方が、表1-1に示されている各プラットフォーム上でサポートされています。

表1-1 Oracle R Enterpriseのプラットフォーム要件

オペレーティング・システム ハードウェア・プラットフォーム 説明

Linux x86-64

IntelおよびAMD

  • 64ビット版Oracle Linux Release 5 Update 6からOracle Linux 6

  • 64ビット版Red Hat Enterprise Linux Release 5 Update 6からRed Hat Enterprise Linux 6

Oracle LinuxはOracle Exadata Database Machine上で稼働している場合があります。

Oracle Solaris

IntelおよびSPARC

  • 64ビット版Oracle Solaris 10 Update 10からOracle Solaris 11(SPARCとx86-64 (Intel)の両プラットフォーム)

  • Oracle SPARC SuperCluster

  • Oracle Solaris Studio (旧Sun Studio) 12u3以上

Oracle SolarisはOracle Exadata Database Machine上で稼働している場合があります。

IBM AIX

IBM

64ビット版IBM AIX 5.3以上

Microsoft Windows

Intel

64ビット版Microsoft Windows XP、VistaまたはWindows 7


表1-2は、Oracle R Enterpriseのサーバー・コンポーネントのサポートされている構成を示しています。

表1-2 Oracle R Enterprise Serverのサポート・マトリクス

Oracle R Enterprise オープン・ソースRまたはOracle R Distribution Oracle Database (注意を参照)

1.0

2.13.2

11.2.0.3, 11.2.0.4, 12.1

1.1

2.13.2

11.2.0.3, 11.2.0.4, 12.1

1.2

2.15.1

11.2.0.3, 11.2.0.4, 12.1

1.3

2.15.1

11.2.0.3, 11.2.0.4, 12.1

1.3.1

2.15.1, 2.15.2, 2.15.3

11.2.0.3, 11.2.0.4, 12.1

1.4

3.0.1

11.2.0.3, 11.2.0.4, 12.1



注意:

パッチが適用されている場合、Oracle Databaseバージョン11.2.0.1および11.2.0.2はLinuxでサポートされています。手順は、第2.2項「Linux上の11.2.0.1または11.2.0.2 Databaseへのパッチ適用」を参照してください。

他のプラットフォームの場合は、 Oracle Database 11.2.0.3、11.2.0.4または12.1が必要です。



関連項目:

最新のプラットフォーム要件およびOracle R Enterpriseでサポートされている最新バージョンのRの詳細は、『Oracle R Enterpriseリリース・ノート』を参照してください。


注意:

RStudio統合開発環境(IDE)はOracle R Enterpriseに含まれません。RStudio IDEは、無償のオープン・ソース製品であり、RStudio社から入手およびライセンス取得できます。詳細は、付録D「RStudioのインストール」を参照してください。