マニュアルページセク ション 5: 標準、環境、マクロ

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更新: 2014 年 7 月
 
 

solaris10(5)

名前

solaris10 - Solaris 10 ブランドゾーン

説明

solaris10 ブランドは、 brands(5) で説明されているブランドゾーンフレームワークを使用して、Solaris 10 バイナリアプリケーションを変更することなく、最新の Solaris オペレーティングシステムカーネルを備えたマシン上で実行できるようにします。

Oracle Solaris 10 ゾーンは、Oracle Solaris 11 カーネルで動作する x86 および SPARC Solaris 10 9/10 (またはそれ以降にリリースされた Oracle Solaris 10 update) ユーザー環境をホストする solaris10 ブランドゾーンです。

元のシステムで最初にカーネルパッチ 142909-17 (SPARC) または 142910-17 (x86/x64)、あるいはそれ以降のバージョンをインストールした場合は、以前の Oracle Solaris 10 リリースを使用できます。

solaris10 ブランドには、Solaris 10 システムイメージを非大域ゾーンにインストールするために必要なツールが含まれています。Solaris 10 ネイティブゾーンを solaris10 ブランドゾーンに移行するために必要なツールもサポートされています。このブランドでは、最新の Solaris オペレーティングシステムが稼働している SPARC または x86 マシンのいずれかでの、32 ビットおよび 64 ビットの Solaris 10 アプリケーションの実行をサポートしています。

構成と管理

solaris10 ブランドは完全ルート非大域ゾーンモデルをサポートします。Solaris 10 ソフトウェアの必須パッケージおよび追加パッケージのすべてが、ゾーン固有のファイルシステムにインストールされます。

ゾーンは固有の zfs (1M) データセット上に構築される必要があり、ZFS だけがサポートされています。ZFS データセットは、ゾーンのインストール時または接続時に自動的に作成されます。ZFS データセットを作成できない場合、ゾーンのインストールや接続は行われません。

zonecfg(1M) ユーティリティーは、solaris10 ブランドゾーンを構成するために使用されます。ゾーンの作成時に SYSsolaris10 テンプレートを使用することも、構成を手動で設定することもできます。ブランドゾーンのインストールが完了したあとは、そのゾーンのブランドの変更や削除を行うことはできません。zoneadm (1M) ユーティリティーは、ゾーンのブランドタイプを報告したり、ゾーンを管理したりするために使用されます。zlogin(1) ユーティリティーは、ゾーンにログインするために使用されます。

現在、委任された ZFS データセット構成のサポートは実験的なもので、まだテストされていません。/dev/sound デバイスをブランドゾーンに構成することはできません。さらに、mdb(1) および dtrace(1M) は、solaris10 ブランドゾーン内で実行されているプロセスを検査するために大域ゾーンで使用される場合、完全には機能しません。

次の zonecfg(1M) リソースおよびプロパティーは、このブランドのライブゾーン再構成でサポートされています。

anet (with exceptions stated below)
capped-memory
dedicated-cpu
device
fs
net (with exceptions stated below)
pool
scheduling-class
zone.* rctls

次の zonecfg(1M) リソースおよびプロパティーは、このブランドのライブゾーン再構成でサポートされていません。

admin
anet:allowed-address
anet:configure-allowed-address
anet:defrouter
dataset
file-mac-profile
fs-allowed
limitpriv
net:allowed-address
net:configure-allowed-address
net:defrouter
zpool

永続的な構成に一覧表示されているサポートされないリソースおよびプロパティーが、実行中のゾーンに適用された場合、そのリソースおよびプロパティーに加えたあらゆる変更は、ライブゾーン再構成によって無視されます。

ライブ構成にリストされているサポートされないリソースおよびプロパティーを直接変更するあらゆる試行は拒否されます。

次の zoneadm(1M) リソースとプロパティーはこのブランドでサポートされていません。

autoshutdown=suspend
anet:id
device:id
net:id
virtual-cpu
anet:mac

次の zoneadm (1M) リソースおよびプロパティーは、solaris ブランドのライブゾーン再構成でサポートされています。

anet (with exceptions stated below)
capped-memory
dedicated-cpu
device
fs
net (with exceptions stated below)
pool
scheduling-class
zone.* rctls
zpool

次の zoneadm (1M) リソースおよびプロパティーは、solaris ブランドのライブゾーン再構成でサポートされていません。

admin
anet:allowed-address
anet:configure-allowed-address
anet:defrouter
dataset
file-mac-profile
fs-allowed
limitpriv
net:allowed-address
net:configure-allowed-address
net:defrouter
anet:mac

永続的な構成に一覧表示されているサポートされないリソースおよびプロパティーが、実行中のゾーンに適用された場合、そのリソースおよびプロパティーに加えたあらゆる変更は、ライブゾーン再構成によって無視されます。

ライブ構成にリストされているサポートされないリソースおよびプロパティーを変更するあらゆる試行は拒否されます。

solaris10 ブランドのインストーラでは、インストール済み Solaris 10 システムのイメージからのゾーンのインストールをサポートしています。これには、完全な cpio (1) または pax (1) xustar アーカイブを使用できます。cpio アーカイブは gzip(1) または bzip2(1) で圧縮することもできます。このイメージとしては、レベル 0 ufsdump(1M)、または Solaris 10 システムのルートディレクトリツリーの最上位パスも使用できます。標準の Solaris 10 配布メディアからゾーンをインストールすることはできません。

Solaris 10 を移行するときに、ゾーンが「疎ルート」ゾーンとして構成されている場合があります。この場合、アーカイブを作成する前に、ホスト上でゾーンを準備するようにしてください。これにより、継承されたディレクトリがアーカイブに含まれることが保証されます。

次の zonecfg(1M) リソースとプロパティーはこのブランドでサポートされていません。

autoshutdown
anet:evs
anet:vport
device:id
file-mac-profile
net:id
tenant
virtual-cpu
anet:mac

次にリストされているように、solaris10 ブランドについてサポートされているプロパティーの固有のデフォルト値があります。

Resource                Property                    Default Value
global                  zonepath                    /system/zones/%{zonename}
                        autoboot                    false
                        ip-type                     exclusive
                        auto-shutdown               shutdown
net                     configure-allowed-address   true
anet                    mac-address                 auto
                        lower-link                  auto
                        link-protection             mac-nospoof

ZFS データセットの com.oracle.zones.solaris10:activebe ユーザープロパティーは、Solaris 10 ブランドゾーンの複数のブート環境をサポートするために存在します。ブート環境をアクティブにするには、ユーザーは、次に示すようにゾーンの ROOT データセットに com.oracle.zones.solaris10:activebe プロパティーを設定する必要があります。

# zfs set com.oracle.zones.solaris10:activebe=\
boot environment name zone's ROOT dataset

複数のブート環境が存在するインストール済み Solaris 10 ゾーンでは、activebe プロパティーが設定されている必要があります。このプロパティーが設定されていないか、または存在しないブート環境名や無効なブート環境名に設定されている場合、ゾーンは次のゾーンまたはシステムブートで使用不可の状態に移行します。これを解決するには、activebe プロパティーを修正し、zoneadm attach を使用してゾーンを接続する必要があります。詳細は、例 4 および 5 を参照してください。

サブコマンド

サポートされている zoneadm(1M) ブランド固有サブコマンドの引数は次のとおりです。

attach [–c sysidcfg]

指定された Solaris 10 ネイティブゾーンイメージをブランドゾーンに接続します。

clone [–c sysidcfg]

既存のインストール済みゾーンをコピーすることでゾーンのインストールを行います。このサブコマンドは、ゾーンをインストールするための代替手段となります。

–c sysidcfg

複製されたゾーンの構成解除後に適用する sysidcfg ファイルを指定します。

install [–a archive] [–d path] [–p] [–s] [–u] [–v ] \
[–c sysidcfg]

指定された Solaris 10 システムイメージをゾーンにインストールします。–u または –p オプションのどちらかが必要で、かつ –a または –d オプションのどちらかが必要です。

–a archive

インストール済み Solaris 10 システム、インストール済み Solaris 10 ネイティブゾーン、または solaris10 ブランドゾーンの統合されたアーカイブ、 cpio (1) pax (1) xustarzfs アーカイブ、またはレベル 0 ufsdump (1M) へのパス。cpio および zfs アーカイブは、gzip または bzip2 を使用して圧縮できます。

archiveadm(1M) は Solaris 10 には存在しません。solaris10 ブランドゾーンを含む統合されたアーカイブは、大域ゾーンから作成する必要があります。統合されたアーカイブは、パス、あるいはファイル、http、または https URI に存在する可能性があります。https が使用される場合は、–x オプションを使用して https セキュリティーパラメータを指定できます。

–c sysidcfg

インストール後に適用する sysidcfg ファイルを指定します。

–d path

インストール済み Solaris 10 システムのルートディレクトリのパス。

–p

ゾーンのインストール後にシステム構成を維持します。統合されたアーカイブからインストールする場合、そのアーカイブが復旧用のアーカイブであれば、–p が暗黙に使用されますが、–u でそれをオーバーライドすることはできません。


-x cert=/path/cert.pem
-x cacert=/path/cacert.pem
-x key=/path/key.pem

指定された証明書、CA 証明書、および鍵 (あるいはそのいずれか) を、統合されたアーカイブへの https アクセスに使用します。

–s

サイレントインストールします。

–u

ゾーンのインストール後にゾーンに対して sys-unconfig を実行します。統合されたアーカイブからインストールする場合で、そのアーカイブが復旧用のアーカイブでなければ、–u が暗黙に使用されます。

–v

インストールプロセスの詳細情報を出力します。

アプリケーションのサポート

solaris10 ゾーンはユーザーレベルの Solaris 10 アプリケーションだけをサポートします。Solaris 10 デバイスドライバや Solaris 10 カーネルモジュールを solaris10 ゾーン内から使用することはできません。ただし、カーネルモジュールによっては、最新バージョンの Solaris カーネルモジュールをユーザーレベルの Solaris 10 アプリケーションに使用できる場合があります。

使用例 1 インストール用の ZFS フラッシュアーカイブを作成する

次の例は、物理から仮想 (P2V) 移行用のアーカイブを作成する方法を示しています。これは、Solaris 10 が動作しているシステムの大域ゾーンで実行されます。Solaris 10 システムに、構成済み、インストール済み、または稼働中の非大域ゾーンがあってはいけません。Solaris 10 システムでは、そのルートファイルシステムとして ZFS または UFS を使用できます。

# flarcreate -n s10box -c /net/somehost/p2v/s10box.flar

使用例 2 フラッシュアーカイブを使用して solaris10 ブランドゾーンをインストールする

次の例では、例 1 からのアーカイブを使用してゾーンをインストールします。このゾーンは zonecfg(1M) を使用して構成済みであり、brand プロパティーが solaris10 に設定されているものと想定します。

# zoneadm -z s10p2v install -a /net/somehost/p2v/s10box.flar -p

使用例 3 インストール用の ZFS アーカイブを作成する

次の例は、仮想から仮想 (V2V) 移行用のアーカイブを作成する方法を示しています。solaris10 ブランドゾーンの zonepath/zones/v2vzone であると想定します。

まず、zonepath dataset の名前を決定します。

# dataset=$(zfs list -H -o name /zones/v2vzone)

次に、ゾーンのデータセットのスナップショットを作成します。

# zfs snapshot -r $dataset@v2v

最後に、bzip2 で圧縮された ZFS 内蔵式の再帰的ストリームを生成します。

# zfs send -rc $dataset@v2v | bzip2 > /net/somehost/v2v/v2v.zfs.bz2

使用例 4 ZFS アーカイブを使用してゾーンをインストールする

次の例では、ZFS アーカイブを使用してゾーンをインストールします。このゾーンは zonecfg(1M) を使用して構成済みであり、brand プロパティーが solaris10 に設定されているものと想定します。

# zoneadm -z v2vzone install -a /net/somehost/v2v/v2v.zfs.bz2
使用例 5 大域ゾーンからのゾーンのアクティブなブート環境の設定
# zfs set com.oracle.zones.solaris10:activebe=zbe-1 \
    rpool/export/zones/branded_zones/S10_zone/rpool/ROOT
使用例 6 Solaris10 ブランドゾーンからの新しいブート環境の作成

次の例では、Solaris10 ブランドゾーンから新しいブート環境を作成します。また、この例では、新しいブート環境にパッチを適用したり、その環境をアクティブにしたり、その環境をブートしたりする方法も示します。

  1. 新しいブート環境を作成します。

    # zfs snapshot rpool/ROOT/zbe-0@snap
    # zfs clone -o mountpoint=/ -o canmount=noauto \
        rpool/ROOT/zbe-0@snap rpool/ROOT/zbe-1
    # zfs promote rpool/ROOT/zbe-1
  2. ブート環境にパッチを適用します。

    # zfs mount -o mountpoint=/mnt rpool/ROOT/zbe-1
    # patchadd -R /mnt -d /var/tmp/999999-01
    # zfs unmount rpool/ROOT/zbe-1
  3. 新しいブート環境をアクティブにし、その環境をブートします。

    # zfs set com.oracle.zones.solaris10:activebe=zbe-1 rpool/ROOT
    
    # shutdown -y -g 0 -r

属性

次の属性については、 attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
system/zones/brand/brand-solaris10
インタフェースの安定性
確実

関連項目

cpio (1) , mdb (1) , pax (1) , zlogin(1), dtrace (1M) , ufsdump (1M) , zfs (1M) , zoneadm(1M), zonecfg(1M), attributes (5) , brands(5), zones(5)