1財務レポートの概要

この章の内容は次のとおりです。

財務分析とレポートの作成の概要

Oracle Financials Cloudには、ビジネス・インテリジェンスの要件を満たすために役立つ、事前定義済の分析ダッシュボードおよびレポートが用意されています。多数のレポート・ツールを使用して、ユーザー定義またはリアルタイムの分析とレポートを実行、表示および作成できます。

『Oracle Financials Cloud分析とレポートの作成』ガイドには、分析とレポートの作成および編集、および次に示すOracle Fusion Financialsアプリケーションのサブジェクト領域に関する内容が含まれています。

  • 一般会計

  • 会社間

  • 予算管理

  • 補助元帳会計

  • 買掛管理

  • 支払

  • 資金管理

  • 経費精算書

  • 資産

  • 売掛管理

  • 回収

分析とレポートの構成

分析とレポートは、各自のニーズに合せて作成および編集できます。また、適切なロールを持っている場合は、他のユーザーのために構成することもできます。たとえば、次のことが可能です。

  • 分析に対する列の追加または削除。

  • レポート出力に表示するブランディング・ロゴの変更。

  • 最もよく表示される分析を含むダッシュボードの作成。

設定および管理

分析およびレポートの作成と編集をサポートする追加のタスクがあります。たとえば、実装者または管理者は次のことができます。

  • ユーザー定義の分析およびレポートへのアクセスを保護します。

  • ユーザー定義の分析およびレポートをアーカイブして、異なる環境間で移動します。

  • 財務レポート定義を作成します。

財務レポート・センターは、財務エンド・ユーザーが7つのレポート・タイプすべてにアクセスするための主要なユーザー・インタフェースとなることが意図されています。

財務レポート・センター

財務レポート・センターには、会計レポート・スタジオ・レポート、勘定科目グループおよびサンバースト、スマート・ビュー・レポート、Oracle Transactional Business Intelligence分析、Oracle Transactional Business Intelligenceダッシュボード、Oracle Business Intelligence Publisherレポート、ビジネス・インテリジェンス・モバイル・アプリというレポート・タイプがあります。その他のレポート・ツールを使用して、同じ7つのレポート・タイプを実行することもできます。

次の図は、財務レポート・センターで使用できるレポート・タイプを示しています。

この図は、財務レポート・センターで使用できる
レポート・タイプを示しています。エンタープライズ・パフォーマンス・マネジメント・
ワークスペースでは、一般会計残高キューブおよびOracleトランザクション表
からレポートを作成できます。

レポートには様々な方法でアクセスできます。ただし、財務レポート・センターはすべてのタイプのレポートへのアクセスを提供し、財務エンド・ユーザーの主要なユーザー・インタフェースとなることが意図され、タブレットやスマートフォンに適しています。レポートにアクセスするだけでなく、お気に入りの追加、タグの定義、タイプや最終更新日などのレポート詳細の表示を行うことができます。

財務レポートは、「共有」「カスタム」「財務」および「マイ・フォルダ」ディレクトリから読み取られます。他のすべてのレポート・タイプはBIカタログの任意の場所に保存できますが、ユーザー定義のコンテンツは「共有」「カスタム」フォルダにある必要があります。サブフォルダは「共有」「カスタム」フォルダに作成できます。

7つのタイプのレポートを財務レポート・センターおよびその他のレポート・ツールから実行できます。

  • 財務レポート: これらのレポートは、Oracle Fusion General Ledger残高キューブのデータを使用してOracle Financial Reporting Studioから作成されます。たとえば、会社の損益計算書や貸借対照表などです。これらのレポートは、主に一般会計でユーザーが実行します。

  • 勘定科目グループおよびサンバースト: 勘定科目グループは、一般会計で重要な勘定科目をモニターするために使用されます。ユーザーが勘定科目グループを作成すると、財務レポート・センターでサンバースト視覚化ツールを使用して表示できるようになります。サンバースト視覚化ツールによって、様々なビジネス・ディメンションにわたって勘定科目残高を操作し、異なるパースペクティブから残高を表示できます。勘定科目グループは、一般会計でのみ使用します。

  • スマート・ビュー・レポート: スマート・ビューは、Excelの全機能と結合されたマルチディメンション・ピボット分析ツールです。スマート・ビューによって、対話形式で残高を分析し、使い慣れたスプレッドシート環境を使用してレポートを定義できます。これらの問合せは、主に一般会計でのユーザー用です。スマート・ビュー問合せを共有するには、ユーザーは他のユーザーに問合せをEメール送信するか、ユーザーが問合せをローカル・ドライブにダウンロードして使用できる財務レポート・センターに問合せをアップロードします。財務レポート・センターは、ユーザーがスマート・ビュー問合せをアップロードおよびダウンロードできる唯一の場所です。

    注意: スマート・ビュー・レポートを財務レポート・センターにアップロードするには、「財務レポートのワークスペースをオープン」タスクを選択し、BIカタログに移動して、「タスク」セクションにある「アップロード」を選択します。前述したフォルダの場所のいずれかにExcelファイルをアップロードしてください。
  • Oracle Transactional Business Intelligence分析: これらの分析およびレポートは、サブジェクト領域を使用してトランザクション表から作成されます。これらのレポートは、一般会計、買掛/未払金、売掛/未収金、資金管理、会社間などでユーザーが実行できます。

  • Oracle Transactional Business Intelligenceダッシュボード: ダッシュボードによって、ビジネス・ユーザーがジョブを実行するために必要なすべての情報、機能および処理が1箇所に出力されます。ダッシュボードは、分析やレポートなどのOracle Transactional Business Intelligenceオブジェクトから作成されます。これらのレポートは、一般会計、買掛/未払金、売掛/未収金、資金管理、会社間などでユーザーが実行できます。

  • Oracle Business Intelligence Publisherレポート: これらのレポートのほとんどは事前定義されており、最初に発行され、Oracle Enterprise Schedulerによって「スケジュール済プロセス」ナビゲーションから、最新データを表示するために再発行される必要があります。これらのレポートは、一般会計、買掛/未払金、売掛/未収金、資金管理、会社間などでユーザーが実行できます。

  • BIモバイル・アプリ: Oracle Business Intelligence Mobile App Designerは、iPhone、iPad、Android携帯、タブレットなどのモバイル・デバイス用に、優れた対話性、視覚化およびメディアでマルチタッチ情報駆動のアプリケーションを作成できるようにするアプリケーションです。これらのレポートは、一般会計、買掛/未払金、売掛/未収金、資金管理、会社間などでユーザーが実行できます。

その他のレポート・ツール

その他の6つのツールを財務のレポートで使用できます。

次の表は、その他のレポート・ツールとサポートされるレポートのタイプを示しています。

その他のレポート・ツール レポート・タイプ

一般会計ダッシュボードおよび勘定科目インスペクタ

勘定科目グループ

レポートおよび分析

Oracle Transactional Business Intelligenceオブジェクト

BIカタログ

すべてのレポート・タイプ(Oracle Business Intelligence Publisherレポートを除く)

エンタープライズ・パフォーマンス・マネジメント・ワークスペース

レポート、台帳、スナップショット・レポート、スナップショット台帳、財務レポート・バッチ、バッチ・スケジューラ

エンタープライズ・スケジューラ・システム

Oracle Business Intelligence Publisherレポート

財務レポート・センターは財務エンド・ユーザーのレポート・ニーズのための主要なユーザー・インタフェースとなるように設計されていますが、ユーザーによっては次のように、その他の6つのツールのいずれかを財務でのレポート用に使用することを選択する場合があります。

  • 勘定科目グループにアクセスできる一般会計ダッシュボード: 勘定科目モニターを使用して重要な勘定科目残高をリアルタイムで効率的にモニターおよび追跡します。

  • 勘定科目インスペクタ: 基礎となる仕訳および補助元帳トランザクションへのドリルダウンによって、勘定科目グループおよび財務レポートから非定型問合せを実行します。

  • レポートおよび分析: このレポート・ツールには、BIカタログのフォルダ構造を反映したパネルがあります。ユーザーは、Oracle Transactional Business Intelligenceの分析、レポートまたはダッシュボードにアクセスして実行できます。ユーザーは、このインタフェースから財務レポートまたはOracle Business Intelligence Publisherレポートを実行できません。このインタフェースは、すべての財務ユーザーが使用できます。

  • BIカタログ: すべてのレポート・タイプ(Oracle Business Intelligence Publisherレポートを除く)を実行できる、エンタープライズ・パフォーマンス・マネジメント・ワークスペースのコンポーネント。

  • エンタープライズ・パフォーマンス・マネジメント・ワークスペース: レポート、台帳、スナップショット・レポート、スナップショット台帳、財務レポート・バッチ、バッチ・スケジューラを作成し、自動的に実行してEメール送信するようにバッチをスケジュールします。

  • エンタープライズ・スケジューラ・システム: Oracle Business Intelligence Publisherレポートのみをこのインタフェースから発行できます。ユーザーは、「ツール」「スケジュール済プロセス」に移動することによりこのインタフェースにアクセスします。ほとんどの財務ユーザーは、一般会計、買掛/未払金、売掛/未収金などの標準レポートを実行するために、このインタフェースへのアクセス権があります。

レポートおよび分析ツールの概要

Oracle Fusion Financialsで利用できるその他のレポートおよび分析製品は、次のとおりです。

  • Oracle Business Intelligence Publisher (BI Publisher)

  • Oracle Transactional Business Intelligence

  • Oracle Business Intelligence Analytics

  • Spreadsheet Integration

Oracle Business Intelligence Publisher

Oracle Business Intelligence Publisherは、Oracle Fusion General Ledgerを含むOracle Fusion Applications全般で高品質のレポートを作成および書式設定する機能を提供します。ユーザーが使い慣れたデスクトップ・ツールで設計したテンプレートを、標準のデータ抽出およびレポートに適用します。

  • Adobe Acrobat PDF、Word、Excelなどの使い慣れたデスクトップ・ツールを使用するレポート・レイアウト

  • 1つのテンプレートから複数言語のレポートを作成する機能

  • Word、Excel、PDF、RTF、HTMLなど様々な出力で公開されるレポート

  • 広範な送り先へ配布するようスケジュールされたレポート

Oracle Transactional Business Intelligence

Oracle Transactional Business Intelligence (Transaction BI)は、組込みの分析を提供するレポート作成ツールです。Transaction BIでは、ほとんどのトランザクションに対するオンライン照会がサポートされ、ユーザー定義レポートを作成および保守する必要が軽減されます。Transaction BIは、以下も提供します。

  • ドラッグ・アンド・ドロップで作成したレポート・レイアウトを即座に実行して、リアルタイムの結果を取得

  • レポート・カタログ(特定の定義を表示したり保存するために使用するレポート・オプション)を使用した共有の問合せおよびレポート

Oracle Business Intelligence Analytics

Oracle FusionのOracle Business Intelligence Analytics:

  • Oracle Fusion残高キューブおよび外部データ・ウェアハウスからのリアルタイムの問合せをサポート

  • 組織のあらゆるレベルにわたって情報を伝える、事前定義されたキー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)およびメトリック

  • 複数のデータ・ソースにわたる情報を要約して問合せの速度を向上するためのデータの事前集計

Spreadsheet Integration

Oracle Fusion General LedgerおよびOracle Fusion Financials全体で、容易かつ迅速にスプレッドシートにデータを転送できます。また、財務レポート、スマート・ビューおよびビジネス・インテリジェンスでスプレッドシート機能を使用できます。ツールバーで表形式のデータに関連付けられたXLSアイコンを探してください。アイコンを選択すると、表示されている情報を使用してスプレッドシート・タブが作成されます。

Oracle Fusion Financialsは、検証および統制機能を含んだ作成済スプレッドシート・テンプレートを使用することによりデータのインポートを容易にします。

注意: これらのスプレッドシートを使用して作業する場合、スプレッドシートがアップロードされるまで変更はOracle Fusion Applicationsに記録されません。アップロードは、ユーザーが規則、ステータス、検索要件、リフレッシュ要件、およびスプレッドシートに関連付けられた他の指示に従わない場合は失敗します。

財務の「レポートおよび分析」ペイン

BIコンポーザと呼ばれる「レポートおよび分析」ペインは、業務で使用される分析およびレポートをすばやく表示または実行するための中心的な場所です。

権限がある場合は、次のことができます。

  • サブジェクト領域、列、フィルタおよびプロンプトを選択して、レポートおよび他の分析コンテンツを作成または編集します。

  • ビジネス・インテリジェンス(BI)カタログからペインにレポートを追加します。

  • パネル・タブでこのペインを見つけます。「ツール」→「レポートおよび分析」にナビゲートして、「レポートおよび分析」作業領域を開きます。このペインは「コンテンツ」ペインとして表示されます。

ペインの内容

この表では、「レポートおよび分析」ペインの最上位フォルダの内容について説明します。

フォルダ 内容

マイ・フォルダ

自分で使用する目的でのみ保存したユーザー定義の分析またはレポート。

共有フォルダ

  • 自分の作業領域に関連する事前定義済の分析およびレポート。ただし、「レポートおよび分析」作業領域の共有フォルダには、自分がアクセスできるすべての分析およびレポートが含まれています。

  • ユーザー定義サブフォルダ内の共有のユーザー定義レポートおよび分析。共有のレポートと分析は、アップグレード中に保護されるように、このフォルダに配置してください。

ビジネス・インテリジェンス・カタログ

ビジネス・インテリジェンス・カタログには、分析、レポートおよびその他のBIオブジェクトがすべて保存されています。「レポートおよび分析」ペインの各分析、ダッシュボードまたはレポートは、カタログにある同じオブジェクトへのマッピングまたはリンクを表します。また、「レポートおよび分析」ペインはBIカタログのフォルダ構造を反映しています。

分析ダッシュボードおよびレポートは、プロンプトやフィルタなどの他のオブジェクトと一緒にカタログに保存します。製品ファミリ別に編成されたフォルダの階層の他に、別の重要なフォルダは「カスタム」で、「共有フォルダ」内にあります。ここで、作成または編集した分析とレポートを、他のユーザーが使用できるように保存します。

共有フォルダおよびカスタム・サブフォルダ

適切なアクセス権を持つユーザーは、共有フォルダに格納されているオブジェクトにアクセスできます。適切なロールがあれば、共有フォルダにオブジェクトを保存して、他のユーザーが使用できるようにできます。「カスタム」サブフォルダにオブジェクトを保存し、製品ファミリのサブフォルダを使用して、正しいオーディエンスの分析とオブジェクトを編成および公開する必要があります。

カタログで分析を使用する際に、次のことを知っておく必要があります。「カスタム」フォルダ内の変更されたすべての分析およびレポートを保持します。分析またはダッシュボードへの参照が壊れることのないよう、必要な場合以外は事前定義済の分析を直接編集しないでください。

  • 「カスタム」フォルダの外側にある事前定義済の分析、レポートおよびその他のオブジェクトに変更を加えることができる、更新時に変更済の事前定義済オブジェクトを保持します。「カスタム」フォルダの外側に保存した変更内容は、更新中に失われることがあります。

  • 変更したオブジェクトがカタログに散在していない場合は、簡単に見つけることができます。

  • 「カスタム」フォルダ内のオブジェクトは、元のオブジェクトのセキュリティを低下させることなく編集できます。

  • 事前定義済レポートの場合のみ、特殊な「カスタマイズ」オプションを使用して、レポートおよびフォルダの構造と権限をコピーできます。コピーは元のレポートにリンクされているため、コピーを編集することは元のレポートを直接編集することと同じです。

オブジェクトを「カスタム」フォルダにコピーすると、コピーされたオブジェクトは「カスタム」フォルダの権限設定を継承します。管理者は、オブジェクトおよびその中に含まれるフォルダに対する権限をリセットできます。

マイ・フォルダ

「マイ・フォルダ」は自分の個人用ストレージで、ここに保存したものにアクセスできるのは自分だけです。この場所に保存した内容は、「レポートおよび分析」作業領域には表示されますが、それ以外の作業領域の「レポートおよび分析」パネル・タブの「マイ・フォルダ」には表示されません。ただし、「レポートおよび分析」作業領域でウィザードを使用して分析を作成する場合は例外です。「マイ・フォルダ」にウィザード分析を保存すると、その分析は任意の作業領域に表示されるパネル・タブから使用できます。

ビジネス・インテリジェンス・カタログ

分析管理のための主な作業領域は2つあります。メイン・インタフェースでは、ユーザーがユーザーの作業領域およびインフォレット・ページで管理者が設定した分析を参照します。2つ目の領域は、ビジネス・インテリジェンス・カタログです。ビジネス・インテリジェンス・カタログで、レポート、分析、ダッシュボードおよびその他のビジネス・インテリジェンス(BI)オブジェクトが格納されて、管理されます。BIでは、ユーザー作業領域の分析を作成および編集します。2つの領域を切り替えることができます。

カタログへのナビゲート

  1. ナビゲータで「ツール」→「レポートおよび分析」をクリックします。

  2. 「レポートおよび分析」作業領域で、「カタログの参照」ボタンをクリックします。

カタログ内のオブジェクト

カタログでは、製品ファミリ別に編成された個々のファイルのフォルダ構造にBIオブジェクトが格納されます。

BIオブジェクトとレポートは、次のフォルダ階層内に編成されます。

  • 共有フォルダ(親)

  • 製品ファミリ(例: 財務)

  • 製品(例: 買掛管理)

  • レポート・グループ(例: 請求書)

  • ダッシュボード・レポート

  • データ・モデル

  • レポート・コンポーネント

  • BI Publisherレポート

  • プロンプト

次の表は、カタログ内にある共通のBIオブジェクトを示しています。

カタログ・オブジェクト 説明 場所

分析

分析は、インフォレット、営業ページ、および商談などのオブジェクト・ページで使用されます。

分析ライブラリ

ダッシュボード

ダッシュボードに分析内容とカタログ・オブジェクトが編成されて、意味のある方法で表示されます。

レポート・グループ・フォルダ

ダッシュボード・プロンプト

ダッシュボード・プロンプトにより、ユーザーは指定された値を使用してダッシュボード・コンテンツをフィルタ処理できます。

プロンプト・フォルダ

フィルタ

フィルタはダッシュボードと分析で使用されます。

プロンプト・フォルダ

レポート

レポートは、Business Intelligence Publisherで作成された印刷可能な形式の業務レポートです。

分析ライブラリ

データ・モデル

データ・モデルは、Business Intelligence Publisherで作成されたレポートで使用されます。

データ・モデル・フォルダ

サブテンプレート

サブテンプレートは、Business Intelligence Publisherで作成されたレポートで使用されます。

レポート・グループ・フォルダ