18 HCMスプレッドシート・データ・ローダーの概要

この章の内容は次のとおりです。

HCMスプレッドシート・データ・ローダーの使用方法: 考慮する点

データをデータ(.dat)ファイルまたはスプレッドシートからHCMデータ・ローダー・ステージ表にロードできます。データをロードする頻度やロードするデータの複雑度が、そのアプローチに大きく影響を及ぼします。このトピックでは、スプレッドシートからのデータ・ロードの主な特徴について説明します。この情報は、ビジネス・ケースに最も適したアプローチの特定に役立ちます。

スプレッドシート・テンプレート

スプレッドシートは、スプレッドシート・テンプレートから生成する必要があります。一部のスプレッドシート・テンプレートは事前に定義されています。テンプレートを作成するには、事前定義済テンプレートをコピーして編集するか、テンプレートを最初から作成します。

どのようなときにスプレッドシートを使用するか

スプレッドシートには多くの利点があります。次に例を示します。

  • スプレッドシートは簡単に使用できます。

  • スプレッドシート・テンプレートを作成し、ビジネス・ケースにあったスプレッドシートを生成できます。たとえば、属性を除外したり、属性の順序を変更したり、属性ラベルを変更したり、ヘルプ・テキストを追加できます。

  • スプレッドシートのデータを定期的にステージ表に保存できます。このため、スプレッドシート・サイズの制限に妨げられることなく、大量のレコードをロードできます。

  • エラーはスプレッドシート内で報告され、そこでエラーを修正できます。

  • スプレッドシートと.datファイルを組み合せて使用できます。たとえば、データをスプレッドシートからロードし、.datファイルを使用してそのデータを維持できます。

  • スプレッドシートを使用してデータを削除できます。

  • 特定のケースにおいては、スプレッドシートを使用する方が適しています。たとえば、.datファイルから、5行で1つのエレメントが構成されるエレメント・エントリをロードするには、次のものを指定します。

    • エレメント・エントリに対して1つのレコード

    • 各名前と値に対して1つのレコード

    スプレッドシートでは、スプレッドシートの1行のみを指定し、同じ行の個別の列に値を設定します。

スプレッドシートの制限

データをスプレッドシートからロードする場合は、次の制限があります。

  • 添付ファイルまたはイメージはロードできません。

  • HCMスプレッドシート・データ・ローダーでは、ソース・キーは認識されません。このため、スプレッドシートからロードするオブジェクトは、デフォルトのソース・キーを持ちます。このようなオブジェクトを.datファイルで維持するには、ユーザー・キーを入力します。

注意: データをスプレッドシートからロードするか.datファイルからロードするかに関係なく、ロードされたオブジェクトに対する承認プロセスは存在しません。

HCMデータ・ローダー・スコープ

「HCMデータ・ローダー・スコープ」パラメータが「全体」に設定されている場合のみ、HCMスプレッドシート・データ・ローダーを使用して、データをHCMデータ・ローダー・ステージ表にインポートできます。このパラメータは、リリース10以降のすべての新しいカスタマについてはデフォルトで「全体」に設定され、変更できません。

設定要件

すべてのユーザーは、Microsoft ExcelでHCMスプレッドシート・データ・ローダーを使用するようにデスクトップ統合を設定する必要があります。

HCMスプレッドシート・データ・ローダーを使用したデータのアップロード: 処理方法

スプレッドシートの「アップロード」をクリックすると、データがOracle HCM Cloudにアップロードされます。内部的には、アップロードは2つのステージで構成されるプロセスです。第1ステージでは、HCMスプレッドシート・データ・ローダーがデータをHCMデータ・ローダー・ステージ表にインポートします。第2ステージでは、HCMデータ・ローダーが有効なビジネス・オブジェクトをアプリケーション表にロードします。

次の図は、HCMスプレッドシート・データ・ローダーを使用したデータのアップロード・プロセスを要約しています。

この図は、「スプレッドシート・データ・ローダー
の実行」タスクから開始しています。
このタスクを使用して、選択したスプレッドシート・テンプレートからスプレッドシートを生成します。スプレッドシートからロードしたデータは、最初に
ステージ表にインポートされます。正常にステージ表にインポートされたオブジェクトは、
自動的にアプリケーション表にロードされます。インポートとロードの
ステージで発生したすべてのエラーは、スプレッドシートでレポートされます。元の
スプレッドシートでインポートとロードのエラーを修正し、
修正したオブジェクトをアップロードできます。

スプレッドシート・データのロード方法

このプロセスの詳細は、次のとおりです。

  1. 「データ交換」作業領域で「スプレッドシート・データ・ローダーの実行」タスクを実行して、スプレッドシート・テンプレートからビジネス・オブジェクトのスプレッドシートを生成します。

  2. スプレッドシートの「データ・セットの作成」をクリックして、ロードするデータのデータ・セットを作成します。

  3. スプレッドシートにデータを入力し、「アップロード」をクリックします。この処理により、スプレッドシート・データ・セットがHCMデータ・ローダー・ステージ表にインポートされます。

  4. ステージ表では、いくつかの検証が実行されます。「リフレッシュ」をクリックすると、スプレッドシートの「スプレッドシート行ステータス」セクションの「進捗」および「メッセージ」列にインポート・エラーが報告されます。

    スプレッドシート・フォーマットによってビジネス・オブジェクトの構造およびルールが強制されるため、このステージでのエラーはまれです。

  5. 各オブジェクトが正常にステージ表にロードされると、HCMデータ・ローダーは関連するオブジェクト・サービスをコールして、オブジェクトをアプリケーション表にロードします。

  6. オブジェクト・サービスはオブジェクトを検証します。「リフレッシュ」をクリックすると、スプレッドシートの「スプレッドシート行ステータス」セクションの「進捗」および「メッセージ」列にエラーが報告されます。

  7. スプレッドシートでインポート・エラーまたはロード・エラーを修正し、「アップロード」を再度クリックします。この処理により、修正したデータがステージ表に再度インポートされます。

ヒント: HCMデータ・ローダーの「データのインポートおよびロード」ページでHCMスプレッドシート・データ・ローダー・データ・セットのステータスをレビューできます。データ・セットをファイル・タイプで検索して、スプレッドシートからロードされたデータをリストします。

スプレッドシートの「メッセージ」ワークシートに、このデータ・セットについて生成されたすべてのインポートおよびロード・メッセージの要約が保持されます。

HCMスプレッドシート・データ・ローダーのアクセス要件

このトピックでは、HCMスプレッドシート・データ・ローダーを使用するために必要な機能セキュリティ権限を識別します。事前定義された「人材管理統合スペシャリスト」ジョブ・ロールには、これらすべての権限が含まれます。必要に応じて、これらの権限をカスタム・ロールに割り当てることもできます。

次の表では、「データ交換」作業領域でこれらのタスクを実行するために必要な機能セキュリティ権限について説明しています。

  • スプレッドシート・データ・ローダーの実行

  • スプレッドシート・テンプレートの管理

権限名およびコード 権限の説明 スプレッドシート・データ・ローダーの実行 スプレッドシート・テンプレートの管理

HCMスプレッドシート・データ・ローダー・テンプレートへのアクセス

(HRC_ACCESS_HSDL_TEMPLATES_PRIV)

「スプレッドシート・データ・ローダーの実行」タスク、およびユーザーがアクセスする権限を持つアクティブなスプレッドシートをレビューできるページへのアクセスを提供します。

不可

HCMスプレッドシート・データ・ローダーを使用したデータのロード

(HRC_LOAD_DATA_USING_HSDL_PRIV)

データ入力用のスプレッドシートを生成し、スプレッドシートからデータをアップロードするHCMデータ・ローダー・プロセスを送信することをユーザーに許可します。

「データ交換」作業領域の管理

(HRC_MANAGE_DATA_EXCHANGE_PRIV)

「データ交換」作業領域にアクセスし、HCMスプレッドシート・データ・ローダーのタスクを実行することをユーザーに許可します。

HCMスプレッドシート・データ・ローダー・テンプレートの管理

(HRC_MANAGE_HSDL_TEMPLATES_PRIV)

「スプレッドシート・テンプレートの管理」タスク、およびユーザーがスプレッドシート・テンプレートを作成して保守できるページへのアクセスを提供します。

不可

HCMスプレッドシート・データ・ローダー・プロセス・フローおよび接続のテスト: 説明

独自のデータのロードを試行する前に、不要なデータを作成することなく、HCMスプレッドシート・データ・ローダーのエンドツーエンド処理をテストすることが必要になる場合があります。このトピックでは、HCMスプレッドシート・データ・ローダーのエンドツーエンド処理をテストする方法について説明します。

エンドツーエンド処理のテスト

エンドツーエンド処理をテストするには、次を使用します。

  • 「HCMデータ・ローダー・プロセス・フローおよび接続のテスト」プロセス

  • オブジェクトの例としてのオブジェクト

「HCMデータ・ローダー・プロセス・フローおよび接続のテスト」プロセスを送信する場合は、「処理」パラメータを「HCMスプレッドシート・データ・ローダーのテスト」に設定します。このプロセスの動作は次のとおりです。

  1. 例オブジェクトに対して、.csvデータ・ファイルを生成します

  2. HCMスプレッドシート・データ・ローダーを開始し、ファイルをインポートしてロードします

  3. ログ・ファイルを作成します。これは、「スケジュール済プロセス」ページからアクセス可能です

約2万件のサンプル・データ・レコードがオブジェクトの独自の表にインポートおよびロードされます。データは、アプリケーション表には保存されません。

例オブジェクト

例オブジェクトの特徴は、次のとおりです。

  • 子コンポーネントおよび孫コンポーネントがあります

  • 作成処理および削除処理がサポートされます

  • ほとんどのデータ型の属性が含まれます

例オブジェクトには事前定義済のスプレッドシート・テンプレートが用意されています。生成された.csvファイルはこのテンプレートに基づいています。

テスト・データの削除

「HCMデータ・ローダー・プロセス・フローおよび接続のテスト」プロセスを定期的に実行して、テスト・データおよび関連データ・セットを削除することをお薦めします。プロセスを実行する場合は、「処理」パラメータを「テスト・データの削除」に設定します。プロセスによって、データがHCMデータ・ローダーによって作成されたかHCMスプレッドシート・データ・ローダーによって作成されたかに関係なく、すべてのサンプル・データが削除されます。HCMデータ・ローダーDELETE命令のファイルが生成され、そのファイルがDeleteExampleObject||<date and time>||.zipファイルに追加されて、その.zipファイルがアップロードされます。

HCMスプレッドシート・データ・ローダーに関するFAQ

HCMスプレッドシート・データ・ローダーにアクセスできないのはなぜですか。

適切な権限がない可能性があります。「人材管理統合スペシャリスト」ジョブ・ロールまたは権限が必要です。

さらに、「HCMデータ・ローダー・スコープ」構成パラメータを「全体」に設定する必要があります。