11供給ネットワーク・モデル

この章の内容は次のとおりです。

「供給ネットワーク・モデルの保守」ページを使用して、組織、顧客、サプライヤ、運送業者および事業所間の出荷ネットワークの詳細など、収集したデータを表示できます。「供給ネットワーク・モデルの保守」ページにアクセスするには、「サプライ・チェーン・プランニング」作業領域にナビゲートします。「タスク」パネル・タブをクリックし、「供給ネットワーク・モデルの保守」リンクを選択します。

ビジネスの施設や機能を表現するために、組織を使用します。通常、ビジネスにおいて2つの異なる機能を実行する1つの物理的な施設がある場合は、2つの組織としてモデル化します。たとえば、製造工場であり配送センターでもある施設が1つあるとします。これは、2つの別個の組織としてモデル化できます。また、ビジネスにおいて2つの別個の物理的な施設で実行される1つの機能がある場合は、1つの組織としてモデル化できます。複数の施設を1つの組織としてモデル化した場合は、施設ごとの在庫を表すために、個別の保管場所を作成できます。

収集したデータのレビュー

検索結果に基づいて、「組織」タブの情報を使用して次の操作を実行します。

  • すべてのソース・システムについて、組織に関連付けられたタイム・ゾーンを含む組織をレビューします。

  • 組織への顧客およびサプライヤの関連付けを作成します。これは、売買転送を作成するときに使用されます。

  • ドロップシップ検証組織を選択します。ソース・システムごとに、直接出荷検証組織として選択できる組織は1つのみです。直接出荷検証組織にカレンダを割り当てることもできます。

  • 組織ごとに、次のような期日超過パラメータを設定します。

    • 予測の期日超過日数

    • 販売オーダーの期日超過日数

    • 供給の期日超過日数

「顧客」タブおよび「サプライヤ」タブを使用して、収集されたデータを確認し、タイム・ゾーンを顧客サイトおよびサプライヤ・サイトに割り当てます。顧客サイトまたはサプライヤ・サイトにタイム・ゾーンが関連付けられていない場合、顧客サイトまたはサプライヤ・サイトは需要または供給に関連付けられた組織と同じタイム・ゾーンにあるとみなされます。

「運送業者」および事業所間出荷事業所タブを使用して、運送業者、出荷方法および移動時間について収集されたデータをレビューします。

組織グループの管理

組織グループを作成および管理するには、「組織」タブの「組織グループの管理」ボタンをクリックします。組織グループはソース・システム内で管理されており、ネット・チェンジ・データの収集をソース・システムから特定の組織に限定するために使用します。

売買転送

購買オーダーおよび販売オーダー文書を使用して、1つのOracle Fusionソース・システム内の2つの組織間で資材転送を実施できます。転送の出荷にはソース組織の販売オーダーが使用されます。転送の受入には搬送先組織の購買オーダーが使用されます。

供給ネットワーク・モデルでは、受け側組織の購買オーダー供給については、

  • サプライヤとソース組織間の関係を定義します。また、出荷組織の販売オーダー需要については、

  • 顧客と搬送先組織間の関係を定義します。

組織をサプライヤとしてモデル化するには、関連する組織の「サプライヤ」および「サプライヤ・サイト」列を更新します。

組織を顧客としてモデル化するには、関連する組織の「顧客」および「顧客サイト」列を更新します。

社内オーダーの予測および消込み

社内オーダーを予測して消し込むには、転送の搬送先である組織に顧客と顧客サイトを割り当てます。搬送先組織にとって意味がある顧客名(「M1転送」など)を使用します。「組織」タブで顧客および顧客サイトを割り当てた後、その組織の「組織間転送に顧客および顧客サイトを使用します」チェック・ボックスを選択します。

注意: 社内オーダーを予測および消込みするための設定を完了するには、次の操作も行う必要があります。
  • 「プランニング・データの収集」ページの「パラメータ」タブの「需要プランニング・データ」サブタブで、「履歴転送オーダーの収集」チェック・ボックスを選択します。

  • プランのプラン・オプションで、需要: 詳細オプション・ダイアログ・ボックスの「転送オーダーを含む」チェック・ボックスを選択します。このチェック・ボックスは、「需要管理」、「プランニング・セントラル」または「需要および供給プランニング」作業領域からのみ使用できます。

サプライヤへのオーダー予測の公開

サプライヤが供給をコミットしたり、需要を満たせるかどうかを示したりできるようにするために、サプライヤにオーダー予測を公開します。オーダー予測を公開してサプライヤとコラボレーションすると、次のようなことが可能になります。

  • サプライヤがOriginal Equipment Manufacturer (OEM)に供給コミットを送信できる

  • OEMがサプライヤ生産能力として供給コミットを受信できる

サプライヤでは、コラボレーションによってOEMの需要予測に関するインサイトが得られるため、その需要を満たすためのサプライ・チェーン・アクティビティの計画が可能になります。OEMでは、サプライヤとのコラボレーションにより、サプライ・チェーンの下流のアクティビティの計画を効率化できます。

「供給ネットワーク・モデルの保守」ページの「サプライヤ」タブにある「コラボレーション基準」列を使用して、サプライヤにオーダー予測を公開するための基準を指定します。次のいずれかの日付に基づいてオーダー予測をサプライヤおよびサプライヤ・サイトのレベルで公開するように選択できます。

  • 開始日: サプライヤは、開始日を使用して、オーダーを適時に履行するためにはいつ製造を開始する必要があるかを把握します

  • 納入予定日: サプライヤは、納入予定日を使用して、オーダーをいつまでに履行する必要があるかを把握します

サプライ・チェーン・プランニングの承認済サプライヤ・リストの定義方法

承認済サプライヤ・リスト(ASL)は、特定の出荷先組織または企業全体に提供するサプライヤおよびサプライヤ・セットに品目をリンク付けする情報のリポジトリです。ASLは、グローバルでも組織固有でもかまいませんが、供給プランニングでのみグローバルASLが認識されます。プランニング・プロセスでは、ASLをOracle Fusion Procurementから収集して品目のサプライヤおよびサプライヤ・サイトを特定します。

供給プランニングで使用するためにASL属性を2つの異なる方法で定義します。Oracle Fusion Procurementで一部の属性を定義した後、供給プランニングで使用する属性を定義するCSVファイルをアップロードできます。

Oracle Fusion Procurementで、次の品目対サプライヤの関係およびオーダー・モディファイアを定義します。

  • サプライヤ

  • サプライヤ・サイト

  • 最小オーダー数量

  • 固定ロット乗数

供給プランニングで使用するその他の属性をアップロードするには、ASLを作成して購買から収集する必要があります。その後で、CSVファイル・アップロードを使用して次のような追加属性を定義できます。

  • 品目-サプライヤ・リード・タイム

  • サプライヤ生産能力カレンダ

  • 日次サプライヤ生産能力

サプライヤ・サイト・カレンダを使用して、サプライヤ・サイトからの購買の処理リード・タイムを測定します。サプライ・チェーン・プランニング・カレンダをサプライヤ・サイトに関連付けて、そのサプライヤ・サイトから調達されるすべての品目に使用できます。カレンダは、収集されるプランニング・データに含まれます。

カレンダをサプライヤ・サイトに関連付けて、サプライヤ・サイトと品目の組合せに対する承認済サプライヤ・リストのアップロードを介して定義されるカレンダがない場合に使用できます。「サプライ・チェーン・プランニング」作業領域から、「供給ネットワーク・モデルの保守」ページの「サプライヤ」タブに移動します。サプライヤの「サプライヤ・サイト・カレンダ」列で、収集されたカレンダのリストからカレンダ名を選択します。サプライヤ行にサプライヤ・サイトが含まれている場合にのみ、このフィールドを編集できます。

プランを実行したときに、サプライヤ・サイトと品目の組合せの承認済サプライヤ・リスト・カレンダが空白の場合、プランニング・プロセスでは、「供給ネットワーク・モデルの保守」ページで選択したカレンダが使用されます。サプライヤ・サイトと品目の組合せの承認済サプライヤ・リスト・カレンダが空白で、「供給ネットワーク・モデルの保守」ページでカレンダをサプライヤ・サイトに関連付けていない場合、プラニング・プロセスでは、24時間年中無休のカレンダが使用されます。

「サプライ・チェーン・プランニング」作業領域の割当セットは、ソース・ルールと物流構成表を品目にリンクするために使用します。ソース・ルール、物流構成表および割当セットを組み合せて使用して、サプライ・チェーン全体の資材の供給、製造および転送の方法を指定できます。

注意: このトピックは、「プランニング・セントラル」、「販売および業務プランニング」、「供給プランニング」、「需要および供給プランニング」の作業領域にのみ該当します。

ソース・ルールと物流構成表を作成するとき、品目の補充に使用する手段の摘要を作成します。ただし、品目番号は定義フォームのいずれの場所でも指定されないため、定義したソース・ルールまたは物流構成表を後から品目または品目のグループに割り当てることができます。割当セットは、特定の品目番号、カテゴリまたは組織をソース・ルールおよび物流構成表に関連付けるために使用します。

ソーシングを使用して、プランニング・プロセスのサプライ・チェーンを記述する必要があります。そのためには、次の3つの構造を使用します。

  • ソース・ルール

  • 物流構成表

  • 割当セット

ソース・ルール

ソース・ルールと物流構成表によって、組織間の資材の移動が決定されます。これらの組織には、サプライヤ、製造および物流施設が含まれます。「サプライ・チェーン・プランニング」作業領域に移動し、「タスク」ドロワーから「ソース・ルールの管理」をクリックして、ソース・ルールを作成したり、既存のソース・ルールを検索できます。

次の3種類のソースがあります。

  • 転送元: 組織間出荷機能によって、組織間の転送が行われます。「組織」列にソース組織を入力します。

  • 製造場所: この内部組織で品目が製造されます。「組織」列に製造組織を入力します。

  • 購買元: 外部企業から品目を購入します。「サプライヤ」および「サプライヤ・サイト」列のデータ入力は有効になっており、「組織」列は無効になっています。

配賦とランク: ランク内のすべてのソースの合計配賦率が100%になる必要があります。ランクが最も高い(数値が最も小さい)ソースが、配賦において最も優先されます。Planning Centralでは、ランク1のソースのみが考慮されます。

物流構成表

資材が3つ以上の組織を通過する場合は、ソース・ルールよりも物流構成表のほうが、サプライ・チェーンのリンクを効率的に記述できます。ただし、物流構成表で記述できる関係は、一連のソース・ルールで記述することもできます。通常、ほとんどのユーザーは、物流構成表ではなくソース・ルールを使用します。「サプライ・チェーン・プランニング」作業領域に移動し、「タスク」ドロワーから「物流構成表の管理」をクリックして、物流構成表を作成したり、既存の物流構成表を検索できます。

注意: 物流構成表では、その名称にもかかわらず、外部向け(プッシュ)タイプのソーシング関係が記述されません。ソース・ルールと物流構成表のいずれも、ソースから搬送先への資材のプルにのみ使用されます。

割当セット

割当セットは、ソース・ルールと物流構成表を品目にリンクするために使用します。つまり、割当セットを使用して、ソース・ルール、品目および供給ノードをリンクします。割当セットによって、サプライ・チェーン・プランに含まれる各品目の組織間のソーシングおよび転送リンクが作成されます。代替割当セットを作成して、代替サプライ・チェーンをモデル化することもできます。「サプライ・チェーン・プランニング」作業領域に移動し、「タスク」ドロワーから「割当セットの管理」をクリックして、割当セットを作成したり、既存の割当セットを検索できます。

ソース割当階層

プランニング・プロセスでは、ソース割当階層を使用して、特定の品目の実際のソースが決定されます。次のレベルで補充ソースを割り当てることができます。具体的なソース割当は一般的な割当レベルよりも優先されます。

次の表に、供給ソース階層を示します。

ランク 品目またはカテゴリ 適用先

1

品目-組織

  1. ソース・ルール

  2. 品目-組織属性(製造/購買)

2

カテゴリ-組織

N/A

3

品目

  1. 物流構成表

  2. グローバル・ソース・ルール

4

カテゴリ

  1. 物流構成表

  2. グローバル・ソース・ルール

5

組織

  1. 物流構成表

  2. グローバル・ソース・ルール

  3. 品目-マスター属性(製造/購買)

6

グローバル

  1. 物流構成表

  2. グローバル・ソース・ルール

注意: 割当セットでカテゴリを使用するには、ソース割当のプロファイル・オプション・カタログを設定して、ソーシングに使用されるカタログを選択する必要があります。通常はプランニング・カタログが使用されます。ただし、収集された任意のカタログをプロファイル・オプションで選択できます。プロファイル・オプションが空白の場合、割当階層でカテゴリを使用することはできません。

販売オーダーおよび予測(非依存需要)の供給をソーシングする場合、オーダー納期回答およびプランニングでは、より詳細な履歴が使用されます。この履歴には、非依存需要のディメンションである需要区分、顧客および顧客サイトが含まれます。

次の表に、需要ソース階層を示します。

ランク 品目またはカテゴリ

1

品目-顧客/顧客サイト

2

品目-顧客

3

品目-需要区分

4

品目-リージョン

5

カテゴリ-顧客/顧客サイト

6

カテゴリ-顧客

7

カテゴリ-需要区分

8

品目

9

カテゴリ-リージョン

10

カテゴリ

11

顧客/顧客サイト

12

顧客

13

需要区分

14

リージョン

15

グローバル

需要ソース階層を使用すると、需要明細に需要区分の値が含まれている場合に、品目-顧客/顧客サイトまたは品目-顧客のソース・ルールが存在しないのに、品目-需要区分のルールが存在するときには、そのルールを使用して、需要明細の供給ソースが決定されます。

このソース階層を使用するとき、2つのルールが競合している場合は、より粒度の高いルールが使用されます。割当セットに使用されるソースを確認するには、セット内で、次の必須パラメータを入力した後、「ソーシングの表示」ボタンをクリックします。

  • 割当セット

  • 組織

  • 品目

  • 日付

選択した品目、組織および日付の組合せに適用される割当がダイアログ・ボックスに表示されます。複数のルールが適用される場合は、「アクティブなルール」がフォーム内でマークされます。

割当セットのカタログの指定

カタログは、階層に編成できる品目を分類するために使用されるカテゴリの集合です。カタログはのカテゴリのフラット・単一レベル構造にすることも、カテゴリの階層構造にすることもできます。

割当セットを作成するとき、割当セットごとにカタログを指定する必要があります。割当セットとカタログの関連付けは、次の目的で行います。

  • 割当セットでそのカタログに関連付けられているカテゴリを使用します。

  • カタログに関連付けられているカテゴリにソース割当をリンクします。

割当セットのカタログを指定しない場合、割当セットでは「ソーシング割当のカタログ」(MSC_SRC_ASSIGNMENT_CATALOG)プロファイル・オプションをデフォルト・カタログとして使用します。

割当セットを作成してカタログを指定するには、いずれかの「サプライ・チェーン・プランニング」作業領域の「割当セットの管理」タスクを使用します。

注意: 割当セットは、「需要管理」作業領域には該当しません。

供給プランニングの品目属性およびオーダー・モディファイア

品目は、製造および物流プロセスで使用し、在庫として保管する資材を表します。品目属性では、各品目のプロパティを指定します。供給プランニングに関する品目属性は、「製品情報管理」作業領域で設定します。

供給プランニングの品目組織属性を設定するには、次のステップを使用します。

  1. 「製品情報管理」作業領域に移動し、「タスク」ドロワーから「品目の管理」タスクを開きます。

  2. 品目を検索します。

  3. 品目を選択し、「仕様」タブで属性を編集します。計画属性は、「計画」セクションで見つけることができます。

この表は、供給プランニングに関連する属性を示しています。

品目属性 品目構成

品目概要

単位

製造

構成品目タイプ

製造

ベース・モデル

製造

自動作成された構成

製造

オーダー組立

製造

製造品

製造

供給タイプ

在庫

在庫品目

在庫

在庫保有可能

在庫

トランザクション可能

オーダー管理

顧客オーダー可能

オーダー管理

転送オーダー使用可能

プランニング

製造/購買

プランニング

安全在庫計算方法

プランニング

プランナ・コード

プランニング

プランニング方法

プランニング

予測管理

プランニング

タイム・フェンス: 需要

プランニング

タイム・フェンス: リリース

プランニング

タイム・フェンス: プランニング

プランニング

原価

プランニング

保管%

プランニング

減損率

プランニング

許容前倒日数

プランニング

リード・タイム: 処理

プランニング

リード・タイム: 前処理

プランニング

リード・タイム: 後処理

プランニング

リード・タイム: 固定

プランニング

リード・タイム: 変動

プランニング

最小オーダー数量

プランニング

最大オーダー数量

プランニング

固定オーダー数量

プランニング

固定ロット乗数

プランニング

固定供給日数

プランニング

端数処理

購買

購買可能

購買

承認済サプライヤ・リスト

特定の目的には次の属性を使用できます。

  • 製造/購買: ソース・ルールが存在しない場合、この属性がデフォルトで使用されます。

  • プランニング方法: プランニング方法としてMRP計画またはMPS計画を使用します。

  • タイム・フェンス: 計画ではすべてが使用されます。

  • 購買品目では、処理リード・タイムが使用されます。製造品目では、固定および変動が使用されます。

  • 製造、購買、転送のすべてで前処理リード・タイムが使用されます。購買および転送では、後処理リード・タイムが使用されます。

  • 「許容前倒日数」は、既存の供給を再計画する必要がある場合に使用します。供給の期日が許容前倒日数内である場合、先送り推奨は発行されません。

オーダー・モディファイア

オーダー・モディファイアを使用して、環境で使用する可能性が高い計画オーダーを取得します。たとえば、数量100のパレットでのみ品目を提供するサプライヤから品目を購入するとします。数量が不足している場合、たとえば、72個が必要であるとすると、要件をサポートするために、計画オーダー数量を72のかわりに100に設定できます。オーダー・モディファイアはファントムに適用できません。

使用可能なオーダー・モディファイアは次のとおりです。

  • 最小オーダー数量

  • 最大オーダー数量

  • 固定オーダー数量

  • 固定ロット乗数

  • 固定供給日数

  • 端数処理

資材プランニングでは、オーダー・モディファイアの優先順位(優先度)が使用されます。特定のオーダー・モディファイアが他より先に適用され、特定の他のオーダー・モディファイアの使用に基づいて、特定のオーダー・モディファイアが無視されます。オーダー・モディファイアの優先度は次のとおりです。

  • 固定供給日数: 品目の1つの計画オーダーによって、この値で指定された日数のすべての不足に対応する必要があります。たとえば、正味所要量が月曜日には50個、水曜日には100個、木曜日には70個であるとすると、固定供給日数を5に設定している場合、プランニング・プロセスでは、月曜日を期日とする、数量が220 (50 + 100 + 70)個の計画オーダーが1つ作成されます。期間の開始日は固定されません。この例では、次の5日間が常に次の月曜日に始まるわけではなく、金曜日より後の、次に正味所要量がある日に始まります。他のオーダー・モディファイアを使用して、固定供給日数の値を調整できます。そのため、次の5日間が、次の水曜日から翌週の火曜日までになることもあります。

  • 固定オーダー数量: 常に、計画オーダー数量をこの値に設定する必要があります。たとえば、正味所要量が1個であるとすると、固定オーダー数量を200に設定している場合、プランニング・プロセスでは、数量が200個の計画オーダーが1つ作成されます。これを設定すると、プランニング・プロセスは、オーダー数量端数処理モディファイアにスキップします。

  • 固定ロット乗数: 常に、この値に応じた計画オーダー数量を使用する必要があります。たとえば、正味所要量が400個であるとすると、固定ロット乗数を150に設定している場合、プランニング・プロセスでは、数量が450個の計画オーダーが1つ作成されます。

  • 最小オーダー数量: 計画オーダー数量をこの値より少なくすることはできません。たとえば、正味所要量が100個であるとすると、最小オーダー数量を150に設定している場合、プランニング・プロセスでは、数量が150個の計画オーダーが1つ作成されます。これを設定すると、プランニング・プロセスは、オーダー数量端数処理モディファイアにスキップします。

  • 最大オーダー数量: 品目の1つの計画オーダーの数量がこの値を超えることはできません。たとえば、正味所要量が200個であるとすると、最大オーダー数量を150に設定している場合、プランニング・プロセスでは、数量が150個の計画オーダーと数量が50個の計画オーダーの2つの計画オーダーが作成されます。

  • 端数処理: 計画オーダー数量は、常に整数である必要があります。プランニング・プロセスでは、常に、分数の数量が次に大きい整数に切り上げられます。たとえば、正味所要量が99.2個であるとすると、オーダー数量端数処理を選択している場合、プランニング・プロセスでは、数量が100個の計画オーダーが1つ作成されます。

直接出荷

供給プランニングの直接出荷

直接出荷とは、サプライヤから顧客に資材を直接出荷することです。これは、販売者が製品を在庫として保持しないオーダー履行戦略です。むしろ、販売者は、注文品の製造、保管および顧客への直接出荷をサプライヤまたは契約製造業者に頼っています。社内組織はプロセスを管理しますが資材は扱いません。直接出荷フローでは、1つのサプライヤ購買オーダーに対して1つの販売オーダーがあります。顧客情報はサプライヤと共有されます。内部組織は顧客に請求し、サプライヤに支払います。

供給プランニングで直接出荷を正しく計画するには、直接出荷のサプライ・チェーン・ネットワークを定義する必要があります。

  • 直接出荷をサポートするサプライヤ・サイトを決定する直接出荷ソース・ルールを定義します。

  • サプライヤと顧客サイトの間の移動時間を定義します。

  • 直接出荷検証組織を設定します。

  • 収集のための直接出荷検証品目組織を使用可能にします。

供給プランニングでの直接出荷の処理方法

供給プランニングでは、直接出荷に対する新しい計画オーダーが推奨され、直接出荷購買オーダーが管理されます。プランニング・プロセスでは、次の両方の条件が満たされている場合に、供給が販売オーダーにペグされます。

  • 販売オーダー明細が直接出荷としてマークされている。

  • 販売オーダーの顧客サイトに直接出荷される既存の購買オーダーがある。

実際には予約ではありませんが、供給プランニング・プロセスでは、直接出荷購買オーダーが予約として扱われます。この場合、直接出荷購買オーダーは他の需要には使用できません。

直接出荷検証組織の設定

供給プランニング・プロセスでは、直接出荷の需要および供給に対して直接出荷組織と呼ばれる特殊な組織を使用します。直接出荷検証組織は、直接出荷品目に関するリード・タイムやタイム・フェンスなど、様々な品目組織の属性を取得するのに使用します。直接出荷をサポートするソース・システムごとに直接出荷検証組織を指定する必要があります。直接出荷検証組織の値は、「供給ネットワーク・モデルの保守」のタスクの組織の管理ページで指定します。

注意: 供給プランニングでは、直接出荷計画オーダーがある直接出荷検証組織に対してすべての需要がソーシングされます。そのため、予期しない結果になることがあるため、直接出荷検証組織は、トランザクションがある標準在庫組織にしないでください。

直接出荷検証組織は、次の目的で使用します。

  • 直接出荷計画オーダーの作成時に、組織-品目属性のソースとして

  • 直接出荷の予測および手動需要における組織のプロキシとして

  • 直接出荷販売オーダーおよび直接出荷履歴の収集時に、組織のプロキシとして

直接出荷検証組織は、予測の生成時または手動需要の作成時に指定します。直接出荷販売オーダーの記帳および出荷履歴は、倉庫から品目を出荷する際に、直接出荷検証組織によって収集されます。需要予測では、直接出荷検証組織の予測を作成し、プランニング供給の予測をリリースできます。直接出荷検証組織をソース・システムの品目マスターにすることは可能ですが、必須ではありません。

直接出荷検証組織をソース・システムの品目マスターにすることは可能ですが、必須ではありません。

注意: 直接出荷検証組織は品目組織にする必要があります。直接出荷検証組織を設定するときに、品目マスターにトランザクションがある場合は、新しい直接出荷検証組織を作成します。

直接出荷検証組織を設定するには:

  1. 「製品情報管理」作業領域で品目組織を定義します。

  2. 新しい品目組織をOracle Fusionソース・システムからの収集に対して有効にします。

  3. 収集を実行して組織エンティティを収集します。

  4. サプライ・チェーン・プランニング作業領域で次のステップを実行して、直接出荷ソーシングの設定を完了します。

    1. サプライ・チェーン・プランニング作業領域に移動します。

    2. 「タスク」パネル・タブをクリックします。

    3. 「タスク」パネルで、「供給ネットワーク・モデルの保守」をクリックします。

      注意: ソース・システムごとに直接出荷検証組織として有効にできる組織は1つのみです。
    4. 「組織」リージョンで、「直接出荷検証組織」オプションを選択します。

    これで直接出荷検証組織の設定が完了しました。

直接出荷ソース・ルールの設定

直接出荷を適切に計画するには、直接出荷をサポートするサプライヤ・サイトを決定する直接出荷ソース・ルールをまず定義する必要があります。これらは、購買元サプライヤとサプライヤ・サイト・ソースが設定されたソース・ルールです。定義すると、品目および顧客事業所の様々な集計レベルに直接出荷ソース・ルールを割り当てることができます。有効な品目レベルは、品目とカテゴリです。有効な顧客事業所レベルは、顧客サイト、地域/ゾーンおよびすべての事業所です。直接出荷ソース・ルールを割り当てるときには、どのサプライヤ・サイトがどの顧客サイトに直接出荷できるかを決定します。

直接出荷ソース・ルールは、非依存需要にのみ適用できます。需要ソース階層は、直接出荷の場合に適用されます。レベル1のルールが品目および顧客または顧客サイトに対して見つかった場合、そのルールが使用されます。それ以外で、最上位レベルのルールがカテゴリ-顧客レベルに割り当てられている場合は、そのルールが使用されます。

次の表に、様々な需要ソース階層のランクを示します。

ランク 需要ソース階層

1

品目-顧客/顧客サイト

2

品目-顧客

3

品目-需要区分

4

品目-リージョン

5

カテゴリ-顧客/顧客サイト

6

カテゴリ-顧客

7

カテゴリ-需要区分

8

品目

9

カテゴリ-リージョン

10

カテゴリ

11

顧客/顧客サイト

12

顧客

13

需要区分

14

リージョン

15

グローバル

品目またはカテゴリにすでに割り当てられている直接出荷ルールが割当セットに含まれる場合、直接出荷されるとともに在庫組織にも出荷される品目またはカテゴリに組織固有のルールを定義する必要があります。直接出荷需要のソース・ルールに転送元ソースまたは製造場所が含まれる場合、転送元ソースおよび製造場所は無視されます。複数の購買元ソースが存在する場合、購買元ソースは100%になるよう再配分されます。

直接出荷ソース・ルールの作成

直接出荷ソース・ルールを作成するには:

  1. グローバル・ソース・ルールを定義し、購買元のサプライヤ、サプライヤ・サイトおよびサプライヤ・ソース・システムを指定します。

  2. 割当セットで、グローバル・ソース・ルールを品目またはカテゴリが含まれる割当レベルに割り当てます。必要に応じてグローバル・ソース・ルールを顧客またはゾーンに割り当てますが、ルールを組織に割り当てることはできません。

直接出荷のサプライヤと顧客サイト間の移動時間の定義

直接出荷ソース・ルールを作成した後、サプライヤと顧客サイトの間の移動時間を定義する必要があります。特定のサプライヤと特定の顧客の間の移動時間を定義する方法は複数ありますが、移動時間の定義ページですべて作成します。制約ベース供給プランニングでは、直接出荷に対して次の移動時間レーンの組合せがサポートされています。

  • 外部事業所から外部事業所へ

  • 外部事業所から地域/ゾーンへ

  • 地域/ゾーンから地域/ゾーンへ

直接出荷プランの設定

直接出荷のプランを設定する際に、直接出荷販売オーダーと標準販売オーダー(予測および供給)の両方を直接出荷組織から同じプランに含めることができます。

直接出荷プランを設定するには:

  1. 「サプライ・チェーン・プランニング」作業領域から、供給プランまたは需要と供給プランを開きます。

  2. プランで「処理」「プラン・オプションの編集」をクリックします。

  3. 「プラン・オプションの編集」ページで、「供給」タブをクリックしてから「詳細オプションの選択」をクリックします。

  4. 「供給: 詳細オプション」ページで、「直接出荷の需要と供給を含む」を選択します。

  5. オプションで、他の直接出荷組織を含めることができます。

  6. 必要に応じて他のプラン・パラメータを設定します。

    たとえば、「タイム・フェンスの作成」を選択して、タイム・フェンスを直接出荷予測に適用します。

  7. プランを保存します。

  8. プランを実行して、プラン出力に直接出荷を含めます。

    注意: 直接出荷プランでは、供給および需要を直接出荷検証組織で検索します。顧客情報は購買オーダーに表示され、サプライヤ情報は販売オーダーに表示されることに注意してください。

直接出荷の予測

直接出荷の出荷履歴または記帳履歴に基づいて直接出荷予測を作成します。また、見積直接出荷計画オーダーを確認するために、直接出荷予測を使用してプランを作成することもできます。

直接出荷履歴を有効にするために、収集プロセスによって直接出荷の出荷および記帳履歴の出荷元組織の値が直接出荷検証組織に設定されます。

直接出荷履歴には、直接出荷検証組織への組織参照が含まれます。履歴を収集して使用すると、将来の直接出荷の出荷または記帳について予測の作成が容易になります。予測では、直接出荷検証組織が使用されます。この予測は、直接出荷が含まれる供給プランの需要スケジュールとして使用できます。

バック・トゥ・バック履行

バック・トゥ・バック履行

バック・トゥ・バック履行プロセス・プロ―では、供給が倉庫で受け入れられると、直接顧客に出荷されます。このフローは、在庫が保守されない、原価が高い製品または移動が低速な製品の履行に最も適しています。たとえば、手持在庫として保守するには高すぎる品目に対してバック・トゥ・バック履行を使用できます。また、ほとんど販売されない在庫品目に倉庫のスペースを使用しない場合にもバック・トゥ・バック履行を使用できます。

バック・トゥ・バック履行の供給は、販売オーダーが入力されてスケジュールされた後にのみ倉庫に調達され、受け入れられます。販売オーダー需要により供給作成がトリガーされ、販売オーダーと供給との間にリンクが確立されます。出荷までの間、供給は販売オーダーに対して予約されます。

バック・トゥ・バック履行は完全に自動化されたオーダー履行プロセスであり、次が含まれます。

  • 供給のソース(内部または外部)の自動選択

  • 履行までの供給の予約

  • 供給と需要の変更への自動応答

供給プランニングでのバック・トゥ・バック履行の処理方法

バック・トゥ・バック履行を使用して、在庫レベルを減らしながら、定時充足レートを増やして収益とマージンを改善します。バック・トゥ・バック・オーダーは、供給オーダーと販売オーダーが1対1で一致する特別なタイプのオーダーです。

通常、バック・トゥ・バックは、販売オーダーと照合されて、倉庫でクロスドッキングされる購買オーダーです。オーダー納期回答で供給ソースが推奨され、推奨がサプライ・チェーン・オーケストレーションに送信されます。サプライ・チェーン・オーケストレーションで供給が作成され、供給と販売オーダー明細の間の予約が常に作成されます。

供給プランニングでは、バック・トゥ・バックの需要と供給が収集されて、それらの間の予約が考慮されます。バック・トゥ・バック供給が需要を下回ったり、リソースまたはサプライヤの生産能力超過が発生すると、プランニング・プロセスで例外が発生します。制約付き供給プランニングでは、供給が欠落しているバック・トゥ・バック・オーダーの計画供給が生成されますが、これらの計画オーダーは計画からリリースできません。オーダー管理にオーダー明細を確認するよう通知し、オーダー納期回答を使用して明細の納期処理を行って、供給推奨をサプライ・チェーン・オーケストレーションに送信できます。

供給プランニングでバック・トゥ・バック・オーダーを正しく計画するには、バック・トゥ・バックのサプライ・チェーン・ネットワークを定義する必要があります。

  • 「製品情報管理」作業領域で、品目-組織属性「バック・トゥ・バック可能」「はい」に設定します。

  • 品目-組織属性「プランニング方法」MRPプランニングまたはMPSプランニングに設定します。

  • 品目のソース・ルールを指定し、次の方法を供給プランニングに指示します。

    • 販売オーダーの出荷元組織の決定。

    • 出荷元組織に資材を搬入する供給ソースの決定。

  • ソース・ルールをオーダー納期回答の割当セットに追加します。

  • 直接出荷を計画する供給プランを設定します。

    • 詳細プラン・オプション・ダイアログ・ボックスで、「直接出荷の需要と供給を含む」属性を「はい」に設定します。

    • オプションで、直接出荷予測を表す需要スケジュールを選択します。