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Oracle® Databaseインストレーション・ガイド
12cリリース1 (12.1) for Microsoft Windows
B72973-09
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5 スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureは、Oracle Restartとも呼ばれ、単一インスタンスのOracle Databaseのシステム・サポートを行います。このサポートには、ボリューム管理、ファイル・システムおよび自動再起動の機能が含まれます。Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を使用する場合は、データベースをインストールする前に、Oracle Restartをインストールする必要があります。スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureには、Oracle RestartおよびOracle Automatic Storage Managementが含まれます。2つのインフラストラクチャ製品は、一式のバイナリに結合され、Oracle Restartホームにインストールされます。Oracle Databaseをインストールする前に、Oracle Restartをインストールする必要があります。

Oracle Automatic Storage Managementは、Oracleデータベース・ファイルのボリューム・マネージャおよびファイル・システムで、単一インスタンスOracle DatabaseとOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)の構成をサポートします。また、Oracle Databaseバイナリなど、アプリケーションの要件に対して汎用ファイル・システムもサポートします。Oracle Automatic Storage Managementは、従来のボリューム・マネージャ、ファイル・システムおよびRAWデバイスにかわるOracle推奨のストレージ管理ソリューションです。


注意:

  • Oracle Grid Infrastructureのクラスタ・メンバー・ノードにOracle Restartをインストールすることも、Oracle Grid Infrastructureのクラスタ・メンバー・ノードにOracle Restartサーバーを追加することもできません。クラスタ用のOracle Grid Infrastructureでは、クラスタ上の単一インスタンス・データベースまたはOracle RACデータベースがサポートされますが、Oracle Restartでサポートされるのは、1つのサーバー上の単一インスタンス・データベースです。

  • Oracle ASMまたはOracle Restartを使用する場合は、データベースのインストールおよび作成を行う前にスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。そうでない場合は、データベースを手動でOracle Restartに登録する必要があります。

  • Oracle Restartは、単一インスタンス(非クラスタ)環境でのみ使用されます。


Oracle Restartは、次のようにしてOracleデータベースの可用性を向上させます。

この章の内容は、次のとおりです。

5.1 スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストール要件

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする前に、システムが次の要件を満たしていることを確認してください。

5.1.1 システム要件

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのシステム要件は、64ビットのWindowsサーバー・オペレーティング・システムが必要になるなど、クラスタ用のOracle Grid Infrastructureと同じです。


関連項目:

『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』

Oracle Grid Infrastructureに含まれるコンポーネント(Oracle ASMなど)にも、Oracle Grid Infrastructureと同じシステム要件が適用されます。

次の各項では、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureの具体的なシステム要件について説明します。

5.1.2 メモリー要件

4 GB以上のRAM(Oracle Databaseのインストールを含むスタンドアロン・サーバーのインストール用のOracle Grid Infrastructure)。

5.1.3 ディスク領域要件

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする場合のディスク領域要件は次のとおりです。

4.5GB以上のディスク領域。

%TEMP%ディレクトリで使用可能なディスク領域の容量は、空きディスク領域の合計容量からスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールするために必要な容量を引いた値になります。

%TEMP%ディレクトリで使用可能な空きディスク領域が1GB未満の場合は、次のいずれかの手順を実行します。

  • ディスク領域の要件が満たされるように、%TEMP%ディレクトリから不要なファイルを削除します。

  • TEMP環境変数を設定します。「システムのプロパティ」に移動し、「環境変数」で"TEMP=C:\Temp\"にします。

Oracle Databaseをインストールする場合は、インストール前の追加要件を満たす必要があります。第3章「Oracle Databaseのインストール前の作業」を参照してください。

5.2 Oracle ACFSおよびOracle ADVM

この項では、Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)およびOracle Automatic Storage Management Dynamic Volume Manager (Oracle ADVM)について説明します。内容は次のとおりです。

5.2.1 Oracle ACFSおよびOracle ADVMについて

Oracle ACFSによるOracle ASMテクノロジの拡張によって、単一インスタンスおよびクラスタ構成のどちらでも、すべてのアプリケーション・データがサポートされます。Oracle ADVMは、ボリューム管理サービスと、クライアントとの標準ディスク・デバイス・ドライバ・インタフェースを提供します。Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステムは、Oracle Automatic Storage Management動的ボリューム・マネージャ・インタフェースを介してOracle ASMと通信します。

5.2.2 WindowsでのOracle ACFSおよびOracle ADVMのサポート

Oracle ACFSおよびOracle ADVMは、Windows Server 2008 x64、Windows Server 2008 R2 x64、Windows Server 2012 x64およびWindows Server 2012 R2 x64でサポートされています。


関連項目:


5.2.3 Oracle ACFSの制限事項とガイドライン

Oracle Restartは、rootベースのOracle Clusterwareリソースをサポートしません。このため、Oracle Restart構成でOracle ACFSを実行する場合は、次の制限が適用されます。

  • Oracle Restartでは、どのプラットフォームでもOracle ACFSリソースはサポートされません。

  • Oracle Database 12cから、Oracle Restart構成でOracle ACFSレジストリがサポートされなくなりました。

  • システムの再起動後に、Oracle ACFSドライバを手動でロードする必要があります。

  • Oracle ASMインスタンスの実行終了後に、Oracle ACFSファイル・システムを手動でマウントおよびマウント解除する必要があります。

  • Oracle ACFSファイル・システムへのOracleデータファイルの作成は、Oracle Restart構成ではサポートされません。

Oracle RestartでOracle ACFSを有効にするには、「Oracle Restart構成におけるOracle ACFSの有効化」を参照してください。

Oracle ACFSに関する次の一般的な制限事項とガイドラインにも注意してください。

  • Oracle ACFSは、Oracle ASMが構成されている場合にのみオプションとして使用できます。

  • Oracle Databaseのバイナリおよび管理ファイル(トレース・ファイルなど)をOracle ACFSに配置することができます。

    データベースのバージョンがOracle Database 11gリリース2以上の場合にのみ、Oracle DatabaseホームをOracle ACFSに格納できます。以前のリリースのOracle Databaseは、Oracle ACFS上にはインストールできません。

  • Oracle ACFSでは、Oracle Databaseデータ・ファイル、表領域ファイル、制御ファイルおよびREDOログによるレプリケーションまたは暗号化は、サポートされていません。

  • Oracle Databaseリリース12.1.0.2以降、Oracleデータベース・ファイルをOracle ACFSに配置することもできます(前述のようにOracle Restart構成は除きます)。

  • Oracle ACFSは、他のファイルのための汎用ファイル・システムとなります。


関連項目:

  • 『Oracle Databaseリリース・ノート for Microsoft Windows』

  • Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド


5.3 Oracle Automatic Storage Managementの記憶域の構成

Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)の記憶域構成の詳細は、次の項を確認してください。

5.3.1 旧バージョンのデータベースのディスク・グループの管理

旧バージョンのOracle DatabaseをOracle Grid Infrastructureにインストールするときに、Oracle ASM Configuration Assistant (Oracle ASMCA)を使用して、ディスク・グループを作成および変更します。

Oracle Database 11gリリース2以前のリリースでは、Database Configuration Assistantを使用してOracle ASMで管理タスクが実行されました。11gリリース2(11.2)以降では、Oracle ASMはOracle Restartとともにインストールされます。Oracle DBCAを使用してOracle ASMで管理タスクを実行することはできなくなりました。


関連項目:

Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド

5.3.2 Oracle Automatic Storage Managementインストールの考慮事項

以前のリリースでは、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)は、Oracle Databaseのインストールの一環としてインストールされました。Oracle Database 11gリリース2(11.2)以降では、Oracle Automatic Storage Managementは、クラスタ用またはスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールに含まれます。

Oracle Automatic Storage Managementの既存のインストールをアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードを実行してOracle Automatic Storage Managementをアップグレードする必要があります(既存のOracle Automatic Storage Managementインストールのアップグレード)。Oracle Automatic Storage Managementをインストールしておらず、Oracle Automatic Storage Managementを記憶域オプションとして使用する場合は、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールを完了した後にOracle Databaseのインストールを開始する必要があります。

Oracle ASMインスタンス、ディスク・グループ、ボリュームおよびOracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)のインストールおよび構成のためにOracle Automatic Storage Management Configuration Assistantを実行する必要があります。また、ASMCAコマンドライン・インタフェースを使用できます。


関連項目:

  • Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド

  • Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド


Oracle Automatic Storage Managementをインストールする場合は、次のガイドラインを適用してください。

  • Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループに使用するディスク・パーティションを準備するには、「Oracle Automatic Storage Management用の記憶域の構成」の項にリストされている手順を完了する必要があります。

  • インストールを開始する前に、1つ以上のディスクがOracle ASMディスク・グループに適切に構成されていることを確認します。

  • Oracle Automatic Storage Managementのインストール時に、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistantにより、そのOracle Automatic Storage Managementインスタンス用に別のサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)とパスワード・ファイルが作成されます。Oracle Automatic Storage Managementをインストールすると、ASMSNMPスキーマおよびユーザーが作成されます。詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

  • 既存のディスク・グループを管理するOracle Automatic Storage Managementインスタンスは、Oracle Grid Infrastructureのホーム・ディレクトリで実行されます。

5.3.3 Oracle Automatic Storage Management用の記憶域の構成

Oracle Automatic Storage Managementを使用してデータベースのデータベース・ファイルを管理する場合は、この項の手順を使用してOracle Automatic Storage Managementで使用するために記憶域を構成する必要があります。

この項の内容は、次のとおりです。


注意:

引用符で囲む必要があるため、識別子をデータベース・オブジェクト名に使用することをお薦めしません。これらの引用符で囲んだ識別子は、SQL CREATE文では名前(CREATE DISKGROUP "1data" ...など)として有効な場合がありますが、データベース・オブジェクトを管理する他のツールを使用する際は名前として有効ではない場合があります。


関連項目:

ディスクへのスタンプ付けの詳細は、「Oracle Automatic Storage Management用のディスクの手動構成」を参照してください。

5.3.3.1 Oracle Automatic Storage Managementの記憶域要件の指定

Oracle Automatic Storage Managementを使用するための記憶域要件を指定するには、必要なデバイス数および空きディスク領域量を確認する必要があります。この作業を行う手順は、次のとおりです。

  1. Oracle ASMをOracle Databaseファイルまたはリカバリ・ファイル、あるいはその両方に使用するかどうかを決定します。Oracle Databaseファイルには、データファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル、およびパスワード・ファイルが含まれます。

    データベースのインストール時に、Oracle Databaseファイルの記憶域メカニズムとしてファイル・システムまたはOracle ASMのどちらかを選択するオプションがあります。同様に、リカバリ・ファイルの記憶域メカニズムとしてファイル・システムまたはOracle ASMのどちらかを選択するオプションもあります。


    注意:

    Oracle Databaseファイルとリカバリ・ファイルの両方に同じ記憶域メカニズムを使用する必要はありません。一方のファイル・タイプにファイル・システムを使用し、もう一方にOracle ASMを使用できます。

    Oracle ASMをOracle Databaseファイルの記憶域オプションとして選択した場合、リカバリ・オプションの指定画面の選択内容によって、次のオプションがあります。

    • リカバリ・ファイルにOracle ASMオプションを選択した場合、Oracle Universal Installerでは、Oracle Databaseファイルおよびリカバリ・ファイルの両方に同じディスク・グループを使用するオプションのみが示されます。

    • データベースのインストール時にリカバリを有効にしないように決定している場合、データベースのインストール後に、DB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータを設定して高速リカバリ領域を有効にできます。


    関連項目:


  2. 作成するOracle Automatic Storage Managementディスク・グループごとに、Oracle Automatic Storage Managementの冗長性レベルを選択します。

    Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループに冗長性レベルを選択すると、ディスク・グループにおけるOracle Automatic Storage Managementによるファイルのミラー化方法および必要なディスク数とディスク領域の量を判別できます。冗長性レベルは、次のとおりです。

    • 外部冗長性

      外部冗長性ディスク・グループには、1つ以上のディスク・デバイスが必要です。外部冗長性ディスク・グループの有効なディスク領域は、その全デバイスにおけるディスク領域の合計です。

      Oracle Automatic Storage Managementでは外部冗長性ディスク・グループにデータがミラー化されないため、このタイプのディスク・グループでディスク・デバイスとして独自のデータ保護メカニズムを提供するRAIDまたは類似のデバイスのみを使用することをお薦めします。

    • 標準冗長性

      標準冗長性ディスク・グループでは、パフォーマンスおよび信頼性を最適化するために、Oracle Automatic Storage Managementによりデータファイルに対して双方向ミラー化、および制御ファイルに対して3方向ミラー化がデフォルトで使用されます。また、ディスク・グループの個々のファイルに対してミラー化の特性を選択できます。あるいは、2方向ミラー化を使用するか、ミラー化を使用しないこともできます。

      2方向ミラー化を使用する場合、標準冗長性ディスク・グループには、2つ以上の障害グループ(または2つ以上のディスク・デバイス)が必要です。標準冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、すべてのデバイスのディスク領域の合計の半分です。

      Oracleでは、ほとんどのインストールに標準冗長性ディスク・グループの使用をお薦めします。

    • 高冗長性

      高冗長性ディスク・グループでは、Oracle Automatic Storage Managementは3方向ミラー化を使用して、パフォーマンスを高め、最高水準の信頼性を実現します。高冗長性ディスク・グループには、3つ以上のディスク・デバイス(または3つ以上の障害グループ)が必要です。高冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の3分の1です。

      高冗長性ディスク・グループでは最高水準のデータ保護が提供されますが、この冗長性レベルの使用を決定する前に、追加するストレージ・デバイスによりコストが高くなることを考慮する必要があります。

  3. データファイルおよびリカバリ・ファイルに必要なディスク領域の合計量を判別します。

    次の表を使用して、インストールに必要な最小限のディスク数およびディスク領域を判別します。

    冗長性レベル 最小ディスク数 データファイル リカバリ・ファイル 両方のファイル・タイプ
    外部 1 1.6GB 2.95GB 4.55GB
    標準 2 3.2GB 5.90GB 9.10GB
    3 4.8GB 8.85GB 13.65GB

    Oracle Automatic Storage Managementインスタンスがシステム上にある場合、これらの領域要件を満たすように既存のディスク・グループを使用できます。必要に応じて、データベースのインストール時にディスクを既存のディスク・グループに追加できます。

  4. オプションで、Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループ・デバイスに対する障害グループを識別します。


    注意:

    Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistantを対話型モードで実行するインストール方法を使用する場合(「拡張」データベース構成オプションを選択する場合など)にのみ、この手順を実行する必要があります。他のインストール・タイプでは、障害グループを指定できません。

    標準冗長性ディスク・グループまたは高冗長性ディスク・グループを使用する場合、ディスク・デバイスのセットをカスタム障害グループに関連付けることにより、ハードウェア障害に対するデータベースの保護を強化できます。デフォルトでは、デバイスごとに障害グループが構成されます。しかし、標準冗長性ディスク・グループの2つのディスク・デバイスが同じSCSIコントローラに接続されている場合、コントローラに障害が発生するとディスク・グループは使用できなくなります。この例のコントローラは、シングル・ポイント障害です。

    たとえば、このような障害を回避するために、2つのSCSIコントローラ(それぞれが2つのディスクを持つ)を使用し、各コントローラに接続するディスクに対して障害グループを定義できます。この構成では、ディスク・グループによる1つのSCSIコントローラの障害の許容が可能になります。


    注意:

    カスタム障害グループを定義する場合、標準冗長性ディスク・グループに対して2つ以上の障害グループ、および高冗長性ディスク・グループに対して3つ以上の障害グループを指定する必要があります。

  5. システムに適切なディスク・グループが存在しないことが確実な場合、適切なディスク・デバイスをインストールまたは指定して、新しいディスク・グループに追加します。適切なディスク・デバイスを指定する場合は、次のガイドラインを使用します。

    • Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループのすべてのデバイスは、同じサイズである必要があり、また、同じパフォーマンス特性を持つ必要があります。

    • 複数のパーティションを単一の物理ディスクにディスク・グループ・デバイスとして指定しないでください。Oracle Automatic Storage Managementでは、各ディスク・グループ・デバイスをそれぞれ個別の物理ディスクに配置するよう求められます。

    • 論理ボリュームをOracle Automatic Storage Managementディスク・グループにデバイスとして指定できますが、それらの使用はお薦めしません。論理ボリューム・マネージャは物理ディスク・アーキテクチャを非表示にすることで、Oracle Automatic Storage Managementにより物理デバイス全体のI/Oが最適化されるのを防止できます。


    関連項目:

    このタスクの実行の詳細は、「Oracle Automatic Storage Management用のディスクの手動構成」を参照してください。

5.3.3.2 Oracle Automatic Storage Managementインスタンス用のDASまたはSANディスク・パーティションの作成

Oracle Automatic Storage ManagementにDASまたはSANディスクを使用するには、そのディスクにパーティション表が必要です。ディスクごとに、全体を含むパーティションを1つのみ作成することをお薦めします。


注意:

パーティション化されていれば、任意の物理ディスクをOracle Automatic Storage Managementに使用できます。ただし、NASまたはMicrosoftのダイナミック・ディスクは使用できません。

この項の内容は、次のとおりです。

手順1: ディスク自動マウントの有効化

Windowsでパーティションまたは論理ドライブを構成するには、ディスクの自動マウント機能を有効化する必要があります。次の機能を使用する場合、ディスク自動マウントを有効にしてください。

  • シングル・インスタンスおよびOracle RACインストール両方のディスク・パーティション

  • Oracle RAC用のクラスタ・ファイル・システム

  • Oracle Clusterware

  • 単一ノード・データベース・インストール用のRAWパーティション

  • Oracle Automatic Storage Management用のプライマリまたは論理パーティション

自動マウント機能を有効化する手順は、次のとおりです。

  1. コマンド・プロンプトで次のコマンドを入力します。

    DRIVE_LETTER:\> diskpart
    DISKPART> automount enable
    DISKPART> exit
    
  2. コンピュータを再起動します。

手順2: ディスク・パーティションの作成

ディスク・パーティションを作成するには、オペレーティング・システムまたはサード・パーティ・ベンダーが提供するディスク管理ツールを使用します。次の管理ツールは、オペレーティング・システムで提供されています。

  • ディスク管理スナップイン(ディスク管理用のグラフィカル・ユーザー・インタフェース)。

    このツールにアクセスするには、コマンド・プロンプトでdiskmgmt.mscと入力します。または、「スタート」メニューから、「すべてのプログラム」「管理ツール」「コンピュータの管理」の順に選択します。次に、「記憶域」ツリーの「ディスクの管理」ノードを選択します。

    プライマリ・パーティションと、「新しいシンプル ボリューム」オプションを選択して拡張パーティションの論理ドライブを作成します。RAWデバイスを作成するには、ドライブ文字を割り当てて、パーティションの作成後にその文字を削除します。「このパーティションをフォーマットしない」を選択して、RAWパーティションを指定する必要があります。スパン・ボリュームやストライプ・ボリュームは使用しないでください。これらのオプションを使用するとボリュームがダイナミック・ディスクに変換されます。Oracle Automatic Storage Managementでは、ダイナミック・ディスクはサポートされていません。

    その他のWindows上では、「新しいパーティション」オプションを選択して、プライマリ・パーティションを作成します。「新しい論理ドライブ」オプションを選択して、論理ドライブを作成します。

  • コマンドライン・ツールdiskpart.exe(プライマリ・パーティション、拡張パーティションおよび論理ドライブを作成可能)

    このツールにアクセスするには、コマンド・プロンプトでdiskpart.exeと入力します。この項の手順では、次のような構文でdiskpart.exeを使用します。

    DRIVE_LETTER:\> diskpart
    DISKPART> select disk diskn
    DISKPART> create partition primary | extended | logical size=sizen
    DISKPART> 
    

    各パラメータの意味は次のとおりです。

    • diskpart.exeは、ディスク管理用のコマンドライン・ツールです。

    • disknは、パーティションを作成するディスクの番号です。

    • sizenは、パーティションのサイズです。500の場合、500MBを表しています。


関連項目:

使用している管理ツールのオンライン・ヘルプまたはドキュメント

diskpart.exeコマンドは、コマンドラインで直接入力できます。または、テキスト・ファイルにコマンドを入力し、このファイルをスクリプトとして使用してdiskpart /sを実行することもできます。

1つのディスクにプライマリ・ディスク・パーティションを5つ以上作成することはできません。それ以上必要な場合は、プライマリ・パーティションを3つ作成してから、4つめのパーティションを拡張パーティションとして作成し、その中に必要な数の論理パーティションを構成すると、この制限を回避できます。

たとえば、Disk 5にディスク・パーティションを作成し、それぞれにサイズを割り当てるには、次のように記述します。

DISKPART> select disk 5
DISKPART> create partition primary size=500
DISKPART> ...
DISKPART> create partition extended
DISKPART> create partition logical size=800
DISKPART> ...
DISKPART> create partition logical size=500

5.3.3.3 Oracle Automatic Storage Management用のディスクの手動構成

ダイレクト接続ストレージ(DAS)またはストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)でOracle Automatic Storage Managementを使用するには、ディスクにヘッダーを付ける必要があります。スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureを対話モードでインストールすると、Oracle Universal Installerでインストール・プロセス中にディスクのヘッダーが構成されます。ただし、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをレスポンス・ファイル・モードでインストールする場合、インストールする前にasmtoolg(GUI)またはasmtool(コマンドライン)を使用してディスクを手動で構成する必要があります。これらのツールを使用して、インストール後にディスクを再構成することもできます。asmtoolgおよびasmtoolユーティリティはパーティション化したディスクでのみ動作します。パーティション化されていないディスクではOracle Automatic Storage Managementを使用できません。

asmtoolgおよびasmtoolツールは、ディスクに意味のある永続的な名前を関連付けることによって、Oracle Automatic Storage Managementでこれらのディスクを使用しやすくします。Oracle Automatic Storage Managementでは、ディスクをグループ化しやすくするために、ディスク文字列を使用します。したがって、asmtoolgまたはasmtoolが作成する名前を使用すると、Windowsのドライブ文字よりもグループ化が容易になります。

asmtoolgまたはasmtoolで作成されたディスク名は、識別のためにすべて接頭辞ORCLDISKで始まり、その後にユーザー定義の接頭辞(デフォルトはDATA)とディスク番号が続きます。

asmtoolgツールの使用(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)

asmtoolgツールはデバイス名を作成するためのグラフィカル・インタフェースです。asmtoolgを使用して、Oracle Automatic Storage Managementで使用可能なデバイスを追加、変更、削除および調査します。

ディスク・スタンプを追加または変更する手順は、次のとおりです。

  1. Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)というラベルのインストール・メディアで、メディアのルートからasmtoolディレクトリに移動し、asmtoolg.exeをダブルクリックします。

    Oracle Databaseがインストールされている場合は、ORACLE_HOME\binに移動し、asmtoolg.exeをダブルクリックします。

    ユーザー・アカウント制御が有効な場合は、デスクトップにコマンド・プロンプト・ウィンドウのショートカットを作成します。デスクトップにそのショートカットのアイコンが表示されます。新しく作成されたショートカットのアイコンを右クリックし、「管理者として実行」を指定します。コマンド・ウィンドウが開いたら、ORACLE_HOME\binに移動し、asmtoolgと入力します。

  2. 「Add or change label」オプションを選択し、「Next」をクリックします。

    asmtoolgツールにより、システムで使用可能なデバイスが表示されます。認識されないディスクには「Candidate device」、スタンプ付きのOracle Automatic Storage Managementディスクには「Stamped ASM disk」、スタンプなしのOracle Automatic Storage Managementディスクには「Unstamped ASM disks」というラベルが付けられます。このツールでは、Windowsによってファイル・システムとして認識されるディスク(NTFSなど)も表示されます。これらはディスクとしては使用できないため、選択できません。また、Microsoftのダイナミック・ディスクもOracle Automatic Storage Managementディスクとしては使用できません。

    必要な場合は、「Oracle Automatic Storage Managementインスタンス用のDASまたはSANディスク・パーティションの作成」の手順に従って、Oracle Automatic Storage Managementインスタンス用のディスク・パーティションを作成します。

  3. Stamp Disksウィンドウで、スタンプを付けるディスクを選択します。

    Oracle Automatic Storage Managementでは、指定した接頭辞に対して選択されたすべてのデバイスに、一意のスタンプを生成できます。スタンプは、指定された接頭辞と番号を連結することによって生成されます。たとえば、接頭辞がDATAの場合、最初のOracle Automatic Storage Managementリンク名はORCLDISKDATA0となります。

    個別のデバイスのスタンプを指定することもできます。

  4. オプションで、個々のスタンプ(Oracle Automatic Storage Managementリンク名)を編集するディスクを選択します。

  5. 「次へ」をクリックします。

  6. 「完了」をクリックします。

ディスク・スタンプを削除する手順は、次のとおりです。

  1. 「Delete labels」オプションを選択し、「Next」をクリックします。

    削除オプションは、スタンプ付きのディスクが存在する場合にのみ使用できます。削除ウィンドウには、すべてのスタンプ付きOracle Automatic Storage Managementディスクが表示されます。

  2. Delete Stampsウィンドウで、スタンプを削除するディスクを選択します。

  3. 「次へ」をクリックします。

  4. 「完了」をクリックします。

asmtoolユーティリティの使用(コマンドライン)

asmtoolユーティリティは、ディスクにスタンプを付けるためのコマンドライン・インタフェースです。ユーザー・アカウント制御が有効な場合は、デスクトップにコマンド・プロンプト・ウィンドウのショートカットを作成できます。デスクトップにそのショートカットのアイコンが表示されます。新しく作成されたショートカットのアイコンを右クリックし、「管理者として実行」を指定します。次に、asmtoolを起動します。

次のオプションがあります。

オプション 説明
-add スタンプを追加または変更します。ハードディスク、パーティションおよび新規のスタンプ名を指定する必要があります。ディスクがRAWデバイスまたは既存のOracle Automatic Storage Managementスタンプが付いている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。また、使用可能なディスクを再スキャンするためのOracle Automatic Storage Managementインスタンスも設定します。

ディスクをパーティション化する必要がある場合は、「Oracle Automatic Storage Managementインスタンス用のDASまたはSANディスク・パーティションの作成」の手順に従ってください。

asmtool -add [-force]
\Device\Harddisk1\Partition1 ORCLDISKASM0
\Device\Harddisk2\Partition1 ORCLDISKASM2...
-addprefix スタンプを自動的に生成するために、共通の接頭辞を使用してスタンプを追加または変更します。スタンプは、指定された接頭辞と番号を連結することによって生成されます。ディスクがRAWデバイスまたは既存のOracle Automatic Storage Managementスタンプが付いている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。また、使用可能なディスクを再スキャンするためのOracle Automatic Storage Managementインスタンスも設定します。

asmtool -addprefix ORCLDISKASM [-force]
\Device\Harddisk1\Partition1
\Device\Harddisk2\Partition1...
-list 使用可能なディスクの一覧を表示します。スタンプ、Windowsデバイス名およびMB単位のディスク・サイズが表示されます。ディスクがファイル・システムの場合、スタンプは付けられません。ディスクがRAWデバイスまたは既存のOracle Automatic Storage Managementスタンプが付いている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。

asmtool -list [-force]
-delete ディスクから既存のスタンプを削除します。また、使用可能なディスクを再スキャンするためのOracle Automatic Storage Managementインスタンスも設定します。

asmtool -delete ORCLDISKASM0 ORCLDISKASM1...

5.4 Oracle ASMCAを使用したOracle Automatic Storage Managementディスク・グループの手動構成

コンピュータ上に現在構成されているOracle Automatic Storage Managementインスタンスがない場合、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistantユーティリティは、新しいOracle Automatic Storage Managementインスタンスを作成します。

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールした後、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistantを使用してディスク・グループ、Oracle Automatic Storage Management動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)およびOracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)を作成および構成することもできます。

ディスク・グループを追加作成したり、Oracle Automatic Storage Managementディスクを手動で構成する場合は、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistantを次のように実行します。

DRIVE_LETTER:\> cd ORACLE_HOME\bin
DRIVE_LETTER:\> asmca.bat

関連項目:

Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistantの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

5.5 Oracle Automatic Storage Managementインストールのテスト

Oracle Automatic Storage Managementインストールをテストする手順は、次のとおりです。

  1. SQL*Plusを使用して、SYSASM権限を持つSYSユーザーとしてOracle Automatic Storage Managementインスタンスに接続し、必要に応じてインスタンスを起動します。

    DRIVE_LETTER:\>sqlplus /nolog
    SQL> CONNECT SYS as SYSASM
    Enter password: SYS_password 
    SQL> STARTUP
    
  2. 次のコマンドを入力して、既存のディスク・グループ、そのディスク・グループの冗長性レベルおよび各グループの空きディスク領域を表示します。

    SQL> SELECT NAME,TYPE,TOTAL_MB,FREE_MB FROM V$ASM_DISKGROUP;
    

関連項目:

Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド

5.6 既存のOracle Automatic Storage Managementインスタンスのアップグレード

サーバーにインストールされた以前のリリースから、または既存のスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールで、Oracle Automatic Storage Managementがインストールされている場合、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistantを使用して、既存のOracle Automatic Storage Managementインスタンスを12cリリース1 (12.1)にアップグレードし、その後で、ディスク・グループ、Oracle Automatic Storage ManagementボリュームおよびOracle Automatic Storage Managementファイル・システムを構成できます。


注意:

Oracle Automatic Storage Managementインスタンスをアップグレードするには、先に既存のOracle Automatic Storage Managementインスタンスを使用して、すべてのデータベースおよびアプリケーションを停止する必要があります。

インストール時に、Oracle Automatic Storage Managementを使用するよう選択し、別のOracle Automatic Storage Managementホームにインストールされた以前のバージョンのOracle Automatic Storage Managementが存在することがOracle Automatic Storage Management Configuration Assistantによって検出された場合、Oracle Automatic Storage Management 12cリリース1 (12.1)バイナリのインストール後に、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistantを起動して、既存のOracle Automatic Storage Managementインスタンスをアップグレードできます。

5.7 ソフトウェアのみのインストールを使用した、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストール

ソフトウェアのみのインストールでは、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのバイナリが指定された場所にコピーされるのみです。スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid InfrastructureおよびOracle ASMの構成は、インストールの終了後に手動で行う必要があります。

Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのソフトウェアのみのインストールを実行する場合、ソフトウェアのインストール後にOracle Restartを有効にするには、いくつかの構成ステップを手動で完了する必要があります。


注意:

ソフトウェアのみのインストールでは、インストールは検証されず、スタンドアロン・サーバー用Oracle Grid Infrastructureソフトウェアを有効にするためにインストール後のステップを手動で実行する必要があるため、上級ユーザーのみが実行することをお薦めします。

ソフトウェアのみのインストールには、次のステップが含まれます。

  1. ソフトウェア・バイナリのインストール

  2. ソフトウェア・バイナリの構成

5.7.1 ソフトウェア・バイナリのインストール

  1. 管理者ユーザーとしてWindowsにログインします。

  2. Oracle Database 12c リリース1 (12.1)のインストール・メディアの場所に移動し、管理者権限でコマンド・プロンプトを開き、setup.exeコマンドを実行します。

  3. スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのソフトウェアのみのインストールを完了します。

  4. runcluvfy.bat stage -pre hacfgコマンドを使用して、サーバーがインストール要件を満たしていることを確認します。記憶域およびサーバーのインストール前の要件がすべて完了している必要があります。

  5. ソフトウェア・バイナリを構成します。ソフトウェアのみのインストールを実行した後にスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureを構成する方法の詳細は、「ソフトウェア・バイナリの構成」を参照してください。

5.7.2 ソフトウェア・バイナリの構成

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid InfrastructureのソフトウェアのみのインストールをOracle Restart用に構成およびアクティブ化するには、次のタスクを実行します。

  1. 管理者グループのメンバーとしてログインし、次の構文を使用して、Grid_homeroothas.plスクリプトを実行します。

    Grid_home\perl\bin\perl -IGrid_home\perl\lib -IGrid_home\crs\install 
    Grid_home\crs\install\roothas.pl
    

    たとえば、GridホームがC:\app\oracle\product\12.1.0\gridである場合は、次のスクリプトを実行します。

    C:\app\oracle\product\12.1.0\grid\perl\bin\perl -I C:\app\oracle\product\12.1.0\grid\perl\lib -I
    C:\app\oracle\product\12.1.0\grid\crs\install
    C:\app\oracle\product\12.1.0\grid\crs\install\roothas.pl
    
  2. ディレクトリをGrid_home\oui\binに変更します(ここで、Grid_homeは、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureホームのパスです)。

  3. 次のコマンドを入力します。

    setup.exe -updateNodeList ORACLE_HOME=Grid_home
    CLUSTER_NODES= CRS=TRUE
    

    次に例を示します。

    C:\app\oracle\product\12.1.0\grid> setup.exe -updateNodeList ORACLE_HOME=C:\app\oracle\product\12.1.0\grid
    CLUSTER_NODES= CRS=TRUE
    
  4. Network Configuration AssistantおよびOracle Automatic Storage Management Configuration AssistantとともにSRVCTLユーティリティを使用して、リスナー、Oracle Automatic Storage ManagementインスタンスおよびすべてのOracle Automatic Storage Managementディスク・グループをOracle Restart構成に追加します。


    関連項目:

    • Oracle Database Net Services管理者ガイド

    • Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド

    • 『Oracle Database管理者ガイド』


5.8 スタンドアロン・サーバーでのOracle Grid Infrastructureのインストールおよび構成

Oracle Restartをインストールしてデータベースを作成すると、データベースは自動的にOracle Restart構成に追加され、必要に応じて自動的に再起動されます。ただし、Oracle Restartをインストールしたホスト・コンピュータにデータベースが存在する場合、データベース、リスナー、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)インスタンスおよびその他のコンポーネントをOracle Restart構成に手動で追加する必要があります。


注意:

Oracle Restartでは、1つのホスト・コンピュータ上で複数の単一インスタンス・データベースを受け入れることができます。

この項の内容は、次のとおりです。

5.8.1 新規データベース・インストールによるスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストール

次の手順を実行して、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールしてから、Oracle Restartで管理されるデータベースを作成します。最初に、Oracle RestartおよびOracle Automatic Storage Managementをインストールするスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールしてから、少なくとも1つのディスク・グループでOracle Automatic Storage Managementを構成し、次にOracle Automatic Storage Managementディスク・グループにデータベース・ファイルを格納するOracle Databaseをインストールします。「Oracle Universal Installer」ページの「ヘルプ」ボタンをクリックして、ページ・レベルの詳細を参照してください。

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureを新規データベースとともにインストールするには、次の手順を実行します。

  1. setup.exeをダブルクリックし、Oracle Universal Installerを起動します。


    注意:

    スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureは、Oracle Grid Infrastructureのメディアからインストールする必要があります。

  2. 「インストール・オプションの選択」画面が表示されます。「スタンドアロン・サーバー用にOracle Grid Infrastructureをインストールおよび構成」オプションを選択し、Oracle RestartおよびOracle Automatic Storage Managementをインストールして構成します。「次へ」をクリックします。

  3. 「製品言語の選択」画面で、1つ以上の言語を選択します。「使用可能な言語」リストから「選択された言語」リストに、言語を移します。「次へ」をクリックします。

  4. 「ASMディスク・グループの作成」画面に、デフォルトのパターン\\.\ORCLDISKと一致するすべてのスタンプ付きディスクがリストされます。ディスク・パーティションを作成した後、Oracle ASMによって使用できるようにするには、ディスクにヘッダーをスタンプする必要があります。「ディスクをスタンプ」をクリックします。

    「検出パスの変更」をクリックして、リストに表示されていない、Oracle Automatic Storage Managementで使用するデバイスを選択します。「検出パスの変更」ウィンドウで、Oracle Automatic Storage Managementが使用するデバイスを検索するための文字列(\\.\ORCLDISK*など)を入力し、「OK」をクリックします。


    注意:

    インストール中、Oracle ASMでマウントされ文字列ORCL:*でOracle ASMFDに登録されたディスク・パスが、デフォルトのデータベース記憶域の候補ディスクとして一覧表示されます。

    この手順の実行中は、次のディスク・デバイスに関する情報を考慮します。

    • デフォルトのディスク・グループ名はDATAです。ディスク・グループに新しい名前を入力する、またはデフォルト名を使用することができます。

    • ディスク・デバイスは、グリッド・インストールを実行するユーザーが所有する必要があります。

    • システム管理者に問い合せて、Oracle ASMで使用されるディスクがストレージ・レベルでミラー化されているかどうか確認してください。ミラー化されている場合は、冗長性に「外部」を選択します。ディスクがストレージ・レベルでミラー化されていない場合は、冗長性に「標準」を選択します。


      注意:

      標準冗長性で同一のデータ量を保持するために、倍のディスク領域が必要です。たとえば、100GBのデータベースの場合、必要な記憶域は約200Gです。

    • すべてのOracle ASMディスクは割当て単位(AU)に分割されます。割当て単位は、ディスク・グループ内の割当ての基本単位です。特定のディスク・グループ互換レベルに応じて、AUサイズの値に1、2、4、8、16、32または64MBを選択できます。デフォルト値は1MBに設定されています。

  5. 「ASMパスワードの指定」画面で、Oracle ASMインスタンスへの接続に必要なパスワードを入力します。Oracle Automatic Storage Managementインスタンスは、SYSASMと呼ばれる権限ロールで管理され、これによりOracle Automatic Storage Managementディスク・グループへの完全なアクセスが付与されます。Oracle Automatic Storage Managementインスタンスを監視するためにSYSDBA権限を持つ、より権限の低いユーザーASMSNMPを作成することをお薦めします。

    SYSおよびASMSNMPユーザー・アカウントのパスワードを入力します。パスワードは、8文字以上の長さで、アルファベットを1つ以上、数字を1つ以上、および特殊文字#、_、- (番号記号、アンダースコア、ダッシュ)のうちのいずれかを1つ以上使用する必要があります。これらの3つの特殊文字のみが使用できます。パスワードにその他の特殊文字は使用できません。

    必要に応じて、すべてのアカウントに同じパスワードを使用できます。ただし、アカウントごとに異なるパスワードを指定することをお薦めします。指定したパスワードを覚えておく必要があります。

  6. 「インストール場所の指定」画面で、次の詳細情報を入力して「次へ」をクリックします。

    • Oracleベース: Oracleベースのディレクトリの場所を入力します。パス名にはスペースを入れないようにしてください。

    • ソフトウェアの場所: デフォルトで、Oracleベースの場所がこのフィールドに移入されます。パス名にはスペースを入れないようにしてください。

  7. 「前提条件チェックの実行」画面で、データベースのインストールを実行するための最小システム要件が満たされているかどうか確認します。すべてのシステム要件が満たされている場合、「サマリー」画面に移動します。ただし、インストールが失敗した場合、エラーを確認できます。

    失敗した要件リストを取得するには、「失敗を表示」をクリックします。インストーラで問題を修正してシステム要件を確認するには、「修正および再チェック」をクリックします。「再チェック」をクリックすると、前提条件のチェックを再実行して、データベース・インストールを実行できる最低要件が満たされているかどうか確認できます。

    失敗した前提条件チェックのリストを取得するには、リストから「失敗を表示」を選択します。Oracle Universal Installerにより実行されるすべての前提条件チェックのリストを取得するには、「すべて表示」を選択します。成功した前提条件チェックのリストを取得するには、「成功を表示」を選択します。


    注意:

    • 「修正および再チェック」オプションにより、一部のシステム・パラメータをOracle推奨値に設定するスクリプトが生成されます。このスクリプトの内容を変更しないことをお薦めします。

    • 「すべて無視」オプションを選択する場合は注意が必要です。このオプションを選択すると、Oracle Databaseをシステムに正常にインストールできるかどうかをOracle Universal Installerが確認できない場合があります。


  8. 「サマリー」画面の内容を確認し、「インストール」をクリックします。

    Oracle Database 11gリリース2(11.2)以降では、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックして、すべてのインストール手順をレスポンス・ファイルに保存できます。このファイルは、サイレント・インストールの実行に使用できます。

  9. 「製品のインストール」画面に、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールの進捗状況が表示されます。

  10. 「終了」画面に、インストールのステータスが表示されます。インストールを終了するには「閉じる」をクリックし、「はい」をクリックしてOracle Universal Installerを終了することを確認します。

    問題が発生した場合、構成ファイルを参照して詳細を確認します。構成ログへのパスワードは、「コンフィギュレーション・アシスタント」ウィンドウ上に表示されています。

  11. Oracle ASMCAは、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureインストールの一部としてインストールされます。追加のディスク・グループを作成する場合は、Oracle ASMCAユーティリティを実行します。たとえば、RECOVERYという名前の別のディスク・グループを作成して、高速リカバリ領域を格納できます。


    注意:

    Oracle High Availability Serviceが正しくインストールされているかどうかを確認するには、crsctl check hasコマンドをGrid_home\binディレクトリから実行します。hasは、Oracle Restartとともにインストールされるサービスで、Oracle Automatic Storage Managementのようなソフトウェア・サービスを起動します。

  12. Oracle Databaseをインストールします。Oracle Databaseのインストールの詳細は、「Oracle Databaseソフトウェアのインストール」を参照してください。


    注意:

    • Grid Infrastructureのインストール後に新規データベースがインストールされると、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureホームからリスナーが実行されます。Oracle Automatic Storage Managementはスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureの一部としてインストールされるため、デフォルトのリスナーが作成され、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureホームから実行されます。データベースのインストールを実行する場合は、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールの際に作成されたリスナーをデータベースで使用します。

    • Oracle Restartを使用している場合は、デフォルトのリスナーおよび追加のリスナーを、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureホームから実行する必要があります。


5.8.2 既存データベースに対するスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストール

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールし、既存のOracleデータベース用に構成するには、この項で概説している手順に従ってください。Oracle Restartで管理できるのは、既存の12.1リソースのみであるため、既存の12.1データベースに対してのみスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールできます。ただし、リリース12.1より前のOracleデータベースは、Oracle Restartで管理されないで同じサーバーに共存できます。

既存のデータベース用にOracle Restartをインストールする手順は、次のとおりです。

  • データベースと同じホスト・コンピュータで、Oracle Universal Installerを使用してスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールし、インストール・オプションとして「スタンドアロン・サーバー用にOracle Grid Infrastructureをインストールおよび構成」を選択します。

    スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのコンポーネントは、別のOracleホームにインストールされます。

    詳細な指示は、「ソフトウェアのみのインストールを使用した、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストール」を参照してください。

  • Gridホームの/binディレクトリに移動します。

    -c SINGLEフラグを指定してsrvctl add databaseコマンドを使用し、Oracle Restart構成にデータベースを追加します。また、srvctl addコマンドを使用して、Oracle Restart構成に、リスナー、Oracle ASMインスタンス、すべてのOracle ASMディスク・グループおよびデータベース・サービスを追加します。


    関連項目:

    『Oracle Database管理者ガイド』

5.9 インストール後におけるスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureバイナリの変更

インストール後、最初にOracle Restartスタックを停止してGridホームにインストールされたソフトウェアを変更する必要があります。たとえば、個別パッチを適用するか、Oracle RestartまたはOracle ASMで使用されるDLLを変更するには、次の手順を実行してOracle Restartスタックを停止および再起動する必要があります。


関連項目:

Oracle OPatchユーザーズ・ガイドfor Windows and UNIX


注意:

実行可能ファイルを再リンクする前に、Oracleホーム・ディレクトリで実行されている、再リンク対象の実行可能ファイルをすべて停止する必要があります。また、Oracle共有ライブラリにリンクされたアプリケーションも停止してください。

次の手順に従って、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureホームの変更準備をします。

  1. 管理者グループのメンバーを使用してログインし、ディレクトリGrid_home\binに移動します(ここで、Grid_homeは、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureホームへのパスです)。

  2. 次のコマンドを使用してOracle Restartスタックを停止します。

       DRIVE_LETTER:\Grid_home\bin> crsctl stop has -f
    

    または、roothas.batスクリプトを使用して、次の例に示すようにOracle Restartを停止できます。

       DRIVE_LETTER:\Grid_home\crs\install> roothas.bat -unlock 
    

    注意:

    Oracle Database 12c リリース1 (12.1.0.2)以上では、Oracle Grid Infrastructureホームのroothas.batスクリプトはroothas.plスクリプトに置き換わりました。

    roothas.batスクリプトはOracle Restartを停止してから、停止したことを確認します。

  3. Oracle Restartスタックが完全に停止したら、Gridホームにインストールされたソフトウェアへの変更を実行します。

  4. 次のコマンドを使用して、Oracle Restartスタックを再起動します。

       DRIVE_LETTER:\Grid_home\bin> crsctl start has
    

Oracle Restart構成におけるOracle ACFSの有効化

Oracle Restart構成でOracle ACFSを使用するには、まず、次のコマンドを使用してOracle ACFSへの管理者アクセスを有効化する必要があります。

DRIVE_LETTER:\cd Grid_home\crs\install
DRIVE_LETTER:\Grid_home\crs\install>roothas.bat -lockacfs