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Oracle® Automatic Storage Management管理者ガイド
12cリリース1 (12.1)
B71290-10
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優先読取りの障害グループ

Oracle ASM障害グループを構成する場合、ノードが読み取るエクステントがセカンダリ・エクステントであっても、最も近いエクステントから読み取った方が効率的である場合があります。つまり、ノードからは遠い可能性があるプライマリ・コピーから読み取るのではなく、セカンダリ・エクステントがノードに近ければ、そこから読み取るようOracle ASMを構成できます。優先読取りの障害グループ機能の使用は、拡張クラスタにおいて最も役に立ちます。

この機能を使用する場合、拡張クラスタ内のノードに対してローカルであるディスクからミラー化されたエクステント・コピーを1つ以上構成することをお薦めします。ただし、1つのインスタンスに優先される障害グループが、同じOracle RACデータベース内の別のインスタンスに対してはリモートである可能性があります。優先読取り障害グループのパラメータ設定は、インスタンス固有です。優先読取りの障害グループの構成の詳細は、優先読取りの障害グループの構成および管理を参照してください。

優先読取りの障害グループを使用するには、Oracle ASMクライアントとOracle ASMはいずれも、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)以上を必要とします。

注意:

ディスク・グループの障害グループを指定しない場合、ディスク・グループ内の各ディスクは独自の障害グループに属します。1つのOracle ASMインスタンスについて、ディスク・グループ内に優先読取りの障害グループを複数構成することをお薦めしません。どのインスタンスについても、同じディスク・グループ内の複数の障害グループを優先読取りとして指定すると、アラート・ログに警告メッセージが書き込まれます。

関連項目:

拡張クラスタ内の優先読取りディスクの構成については、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

優先読取りの障害グループの構成および管理

この機能を構成するには、ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS初期化パラメータを設定し、優先読取りディスクとして障害グループ名のリストを指定します。この初期化パラメータの詳細は、ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPSを参照してください。

diskgroupはディスク・グループの名前、failuregroupは障害グループの名前で、これらの変数をピリオドで区切ってこのパラメータを設定します。指定したディスク・グループに障害グループが存在しない場合、この障害グループの名前をこのパラメータ設定で使用しても、Oracle ASMは無視します。次のように、カンマをセパレータとして複数の値を追加できます。

ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS = diskgroup.failuregroup,...

拡張クラスタでは、ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPSパラメータの設定を使用して指定する障害グループには、インスタンスに対してローカルであるディスクのみが含まれます。標準冗長性のディスク・グループの場合、拡張クラスタの各サイトに存在する障害グループは1つのみです。

ミラー化コピーが複数あり、ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPSパラメータの値を設定してある場合、優先読取りディスク上にあるコピーがOracle ASMにより最初に読み取られます。この読取りが失敗すると、Oracle ASMにより次のミラー化コピーからの読取りが試みられますが、このコピーは優先読取りディスク上にはない可能性があります。

1つのサイトに複数の障害グループがある場合、このサイトに障害が発生すると、別のサイトからディスク・グループにアクセスできなくなることがあります。また、1つのサイトに複数の障害グループがある場合、エクステントを別のサイトにミラー化できないことがあります。これにより、その他のサイトにある障害グループの読取りパフォーマンスが低下する場合があります。

たとえば、標準冗長性のディスク・グループの場合、あるディスク・グループの2つの障害グループが1つのサイトに含まれていると、Oracle ASMによりエクステントの両方のミラー・コピーが同じサイトに配置される可能性があります。このような構成では、Oracle ASMはサイトの障害によるデータの損失を回避できません。

高冗長性のディスク・グループの場合、1つのサイトで構成する障害グループは最大でも2つにする必要があります。1つの拡張クラスタに3つのサイトがある場合、前述と同じ理由により、作成する障害グループは1つにする必要があります。

2サイトの拡張クラスタの場合、標準冗長性のディスク・グループにある障害グループは2つのみです。この場合、インスタンスごとに優先読取りの障害グループとして指定できる障害グループは1つのみです。

ビューを使用して、優先読取りの障害グループを識別できます。たとえば、PREFERRED_READ列の値によってディスクが優先読取りディスクであるかどうかを示すV$ASM_DISKビューなどがあります。また、V$ASM_DISKを使用して、拡張クラスタ内のローカル・ディスクが優先読取りディスクであるかどうかの検証もできます。構成した優先読取りディスクが読取り操作に使用されているかどうかを検証するには、Oracle ASMのディスクI/O統計を使用します。

拡張クラスタに対してディスク・グループが最適に構成されていない場合、Oracle ASMによりアラート・ログに警告メッセージが記録されます。Oracle ASMの優先読取りの障害グループに関する特定のパフォーマンス上の問題を識別するには、V$ASM_DISK_IOSTATビューを使用します。このビューには、Oracle ASMクライアントごとのディスクI/O統計が表示されます。また、データベース・インスタンスについてV$ASM_DISK_IOSTATビューに問い合せることもできます。ただし、この問合せではデータベース・インスタンスのI/O統計のみが表示されます。通常、優先読取りの拡張クラスタ構成が最適であれば、パフォーマンスとディスク・グループの可用性のバランスがとれます。

関連項目:

V$ASM*動的パフォーマンス・ビューの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。