Oracle® Real Application Clustersインストレーション・ガイド 12c リリース1 (12.1) for Linux and UNIX Systems B71325-07 |
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この章では、Database Configuration Assistant(DBCA)をスタンドアロン・モードで使用して、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)データベースを作成および削除する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
データベースの作成および削除
データベース・テンプレートの作成
プラガブル・データベース(PDB)の作成、接続、切断および削除
データベース・インスタンスの追加および削除
データベースのOracle Enterprise Manager Cloud Controlへの登録
Directory Serverを使用した(Oracle Database Vaultなどの)データベース・オプションの構成とデータベースの登録
注意: クラスタ管理サービスは、DBCAでは管理できなくなりました。かわりに、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのクラスタ管理サービスに関するページ(使用可能な場合)またはSRVCTLを使用します。詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
関連項目:
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DBCAを使用してOracle RACデータベースを作成することをお薦めします。事前構成済データベースを使用すると、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)、自動UNDO管理などの機能に合わせて環境を最適化できるためです。
DBCAによって、ポリシー管理データベースと管理者管理データベースの両方を作成できます。DBCAを使用すると、データベースの作成時にサイト固有の表領域を作成することもできます。DBCAテンプレートとは異なるデータ・ファイル要件がある場合は、DBCAによってデータベースを作成し、後でデータ・ファイルを変更します。また、データベースの作成時に、ユーザー定義のスクリプトを実行することもできます。
また、DBCAは、クラスタ管理ツールなど、Oracleの様々な高可用性機能を使用できるOracle RAC環境を構成します。DBCAは、定義した構成のサポートに必要なすべてのデータベース・インスタンスも起動します。
DBCAを使用すると、Oracleが供給するテンプレートから、またはユーザーが作成したテンプレートからデータベースを作成できます。このテンプレートには、特定のタイプのワークロードに最適化された設定が含まれています。
次の2つのタイプのワークロードのテンプレートが提供されています。
汎用またはトランザクション処理
データ・ウェアハウス
より複雑な環境では、「カスタム・データベース」オプションを選択できます。このオプションはテンプレートを使用しないため、より広範囲なインタビューが行われます。これによって、データベースを作成する時間が長くなります。
「詳細表示」をクリックして、各タイプのデータベースの構成を確認します。使用するデータベースでサポートされるワークロードのタイプに適したテンプレートを選択します。どちらを選択するか不明な場合は、デフォルトの「汎用またはトランザクション処理」テンプレートを選択します。
システムにOracle Database 10gまたは11gがインストールされている場合に、共存させたり、Oracle Database 10.1、10.2または11.1または11.2の環境をアップグレードするために、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)をインストールすると、ほぼすべてのインストール・タイプで、既存のOracle Databaseリスナーが12cリリース1 (12.1)のOracleホームに自動的に移行されます。移行時に、アップグレード・プロセスによって、IPCキー値の既存のリスナーと同じTCP/IPポートを使用して、デフォルトのOracle Net Listenerが構成および起動されます。
Oracle Clusterwareのアップグレード時に、デフォルト・リスナー(LISTENER_
NODENAME
)はOracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)に移行されます。DBCAでは常にデフォルト・リスナーが使用されます。
このリスナー移行プロセスによって、既存のOracleホームのリスナーが停止され、新しいOracleホームからリスナーが再起動されます。データベースでデフォルト・リスナー(LISTENER_
NODENAME
)を使用していた場合、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードの一部として、Oracle Net Configuration Assistant (NETCA)によりGridホームにリスナーは自動的に移行されます。データベースでデフォルト以外のリスナーが使用されている場合、そのデフォルト以外のリスナーは、Database Upgrade Assistant (DBUA)によってOracle Databaseホームに移行されます。
注意: 移行時には、移行中のリスナーに登録されているいずれのデータベースにもクライアント・アプリケーションを接続できない場合があります。 |
Database Configuration Assistant (DBCA)を使用してデータベースの構成を変更する場合は、構成を変更する準備がシステムで完了しているかどうかを検証するために、クラスタ検証ユーティリティ(CVU)で次のコマンド構文を実行します。
/Grid_home/bin/cluvfy stage -pre dbcfg -fixup -n node_list -d Oracle_home [-verbose]
前述の構文例で、Grid_home
変数はOracle Grid Infrastructureホーム、node_list
変数はクラスタ内のノードのカンマ区切りリスト、Oracle_home
変数はOUIでデータベースを作成または変更するOracleホーム・ディレクトリのパスです。-fixup
フラグにより、修正スクリプトが生成されます。これは、チェックの前に多くのオペレーティング・システムの構成タスクが完了していない場合、それらのタスクを処理するためにrootとして実行されます。
たとえば、node1およびnode2で構成され、Oracle Grid Infrastructureホームのパスが/u01/app/12.1.0/grid
、Oracleホームのパスが/u01/app/oracle/product/12.1.0/db1
の2ノードのクラスタのシステムで、Oracle DatabaseおよびOracle RACのインストールのための準備が完了しているかどうかを検証するには、次のコマンドを入力します。
$ /u01/app/12.1.0/grid/bin/cluvfy stage -pre dbcfg -fixup -n node1,node2 -d\ /u01/app/oracle/product/12.1.0/db1
-verbose
オプションを選択すると、CVUによるシステム検証の進捗状況および検証結果の詳細を表示できます。
CVUのサマリーにクラスタ検証の失敗が表示され、修正スクリプトを実行してもこれらの問題を解決できない場合は、該当するシステム構成手順を確認および修正して、再度テストを実行します。
DBCAを使用してデータベースを作成するには、Oracle Net Configuration Assistant (NetCA)を起動してOracle Netのlistener.ora
ファイルを構成する必要があります。オペレーティング・システム環境変数ORACLE_HOMEをOracle RACデータベース・ホームに設定する必要がなく、または、Oracle RACでOracle透過型データ暗号化を使用していないかぎり、ORACLE_UNQNAMEをデータベースの一意の名前に設定する必要がありません。
注意: DBCAまたはOUIのいずれかからOracle RACデータベース用の電子メール通知を設定する必要がなくなりました。 |
この項では、Oracle RACでDBCAを使用する方法を次の内容で説明します。
Oracle Grid Infrastructureのインストール時に実行していない場合、DBCAを使用してOracle RACデータベースを作成する前に、システムがソフトウェア要件を満たすよう構成する必要があります。
次の項では、実行する必要のあるいくつかの一般的な手順について説明します。
Oracle RAC環境では、DBCAを起動する端末セッション用にSSH鍵をメモリーにロードする必要があります。これを行わない場合、DBCAの起動時にユーザー等価関係エラーが表示されます。システムでSSHにパス・フレーズを使用している場合、SSH鍵をロードするためにパス・フレーズを指定する必要があります。
SSH鍵をロードするには、次のコマンドを使用します。
$ exec /usr/bin/ssh-agent $SHELL $ /usr/bin/ssh-add
必要に応じて、プロンプトに従って、パス・フレーズを指定します。これで、DBCAを起動できるようになります。
グローバル・データベース名には、30文字以内の、英字で始まる文字列を指定できます。グローバル・データベース名のドメイン部分には、128文字以内の、英数字およびピリオド(.)からなる文字列を指定できます。
SID接頭辞に使用できる文字列の最大数は8文字です。DBCAは、SID接頭辞を使用して、各インスタンスのORACLE_SID
変数に一意の値を生成します。SID
接頭辞は、英字で始める必要があります。
Oracle RACデータベースを構成するためにDBCAを起動する前に、クラスタ用にOracle Grid Infrastructureをインストールし、Oracle RACファイル用の共有記憶域領域を構成している必要があります。記憶域の管理タスクを実行するにはOSASMオペレーティング・システムのグループのメンバーに付与されるSYSASMシステム権限が必要です。このグループは、メンバーにSYSDBAシステム権限が付与されているOSDBAグループとは同一でない場合があります。
共有記憶域の構成要件の詳細は、ご使用のプラットフォーム用の『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。
この項では、DBCAを使用してOracle RACまたはOracle RAC One Nodeデータベースを作成する方法について説明します。
DBCAを起動するには、インストール所有者アカウント(oracle
など)として、Oracle RACがインストールされているノードのいずれかに接続し、SSH鍵をメモリーにロードして、$ORACLE_HOME/bin
ディレクトリからdbca
を入力します。
注意: オペレーティング・システム環境変数ORACLE_HOMEにOracle RACデータベース・ホームを、またはORACLE_UNQNAMEにデータベースの一意の名前を設定する必要はなくなりました。ただし、Oracle RACでOracle透過型データ暗号化をしている場合は、ORACLE_UNQNAMEパラメータを構成する必要があります。 |
DBCAを起動すると、Oracle RAC用にOracleホームが有効になっていることが中央のOracle Inventoryで検出される場合、Oracle RACオプションが自動的に表示されます。
DBCAによってOracle RACのオプションが自動的に表示されない場合、DBCAはクラスタにOracleホームがインストールされていることを検出できていません。この場合は、OUIインベントリが/etc/oraInst.loc
ディレクトリに正しく配置され、oraInventory
ファイルが破損していないことを確認します。また、次のCVUコマンド構文を使用してクラスタウェア診断を実行します。
/Grid_home/bin/cluvfy/cluvfy.sh stage -post crsinst -n nodelist
たとえば、マウント・ポイント/u01/app/12.1.0/grid
と、ノードnode1
およびnode2
で構成されている場合は、次のコマンドを実行します。
$ /u01/app/12.1.0/grid/bin/cluvfy stage -post crsinst -n node1,node2
DBCAを使用する際、クラスタ・インストールの一部であるノードが「ノードの選択」ページに表示されない場合は、Opatch lsinventory
コマンドを実行してインベントリを診断します。また、CVUを使用しクラスタウェアを診断します。
「管理オプション」ページに、Oracle Enterprise Manager Database ExpressまたはOracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用してデータベースを管理するオプションが示されます。Oracle RACデータベースの場合、Oracle Enterprise Manager Database Expressは単一クライアント・アクセス名(SCAN)を使用してクラスタに接続するように構成されています。
記憶域として、Oracle ASMディスク・グループまたはサポートされているクラスタ・ファイル・システムを使用することを選択できます。
「データベース記憶域オプションの指定」ページで、DBCAにディスク・グループが表示されていない場合は、Oracle ASMが構成されていないか、ディスク・グループがマウントされていないかのいずれかです。DBCAを起動する前に、Grid InfrastructureホームでASMCAを使用し、ディスク・グループを作成できます。
記憶域にOracle ASMまたはクラスタ・ファイル・システムを使用している場合、このページで高速リカバリ領域とサイズを選択することも可能です。Oracle ASMを使用している場合、デフォルトでは、高速リカバリ領域はOracle ASMディスク・グループに設定されます。
現在のDBCAセッションに存在するノードより多くのノードをクラスタに追加する場合は、「初期化パラメータ」ページで、「すべての初期化パラメータ」をクリックして、パラメータCLUSTER_DATABASE_INSTANCES
をクラスタに追加する総ノード数に変更します。
また、「すべての初期化パラメータ」をクリックする際には、グローバル・データベース名が8文字を超える場合、データベース名の値(DB_NAME
パラメータ)は、最初の8文字に切り捨てられ、DB_UNIQUE_NAME
パラメータ値が、グローバル名に設定されることに注意してください。
Linuxシステムにインストールする場合は、初期化パラメータMEMORY_TARGETまたはMEMORY_MAX_TARGET
を設定するメモリー・サイズ(SGAおよびPGA)
は、オペレーティング・システムの共有メモリー・ファイル・システムより大きい値にはできません。
たとえば、システムの共有メモリー・ファイル・システムには1GBのメモリーしか割り当てられていないにもかかわらず、メモリー・サイズ(MEMORY_TARGET
)に2GBと設定している場合、データベースの起動時に次のエラーが表示されます。
ORA-00845: MEMORY_TARGET not supported on this system ORA-01078: Failure in processing system parameters
この問題は他のプラットフォームでは発生しません。
関連項目: 初期化パラメータの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。 |
DBCAのプロンプトに従って作業を行い、「サマリー」ダイアログ・ボックスの情報を確認して「OK」をクリックすると、DBCAによって次の処理が行われます。
Oracle RACデータベースとそのインスタンスの作成
Oracle RACデータ・ディクショナリ・ビューの作成
データベースのCRS (Cluster Ready Service)リソースの開始
注意: Oracle RACデータベースを作成した後で、作成したOracle RACデータベースにOracle Database製品をさらにインストールする場合は、追加の製品をインストールする前に、Oracle RACデータベース・ホームで実行されているすべてのプロセスをすべて停止する必要があります。Oracle Universal Installerが特定の実行ファイルやライブラリを再リンクできるよう、Oracle RACホームで実行されているプロセスをすべて停止する必要があります。詳細は、付録D「既存のOracle RACデータベースでのプロセスの停止方法」を参照してください。 |
クラスタ・ノードにOracle RACソフトウェアのみをインストールするよう選択した場合、Oracle Database Configuration Assistant (DBCA)を使用してOracle RAC One Nodeを構成できます。
インストール後、DBCAを起動します。「データベース操作」ページで、「データベースの作成」オプションを選択します。「作成モード」ページで「拡張モード」を選択します。「データベース・テンプレート」ページで「Oracle RAC One Nodeデータベース」を選択します。
1つのノードを選択すると、1つのノードでOracle RAC One Nodeがデプロイされます。Oracle RAC One Nodeのフェイルオーバー先となるクラスタ内ですべてのノードを選択することをお薦めします。
2つ未満のノードを選択するか、2
以上のカーディナリティでサーバー・プールを作成すると、選択したこの構成ではOracle RAC One Nodeインスタンスのフェイルオーバーがサポートされないことを示す警告メッセージが、DBCAによって表示されます。
管理者管理のOracle RAC One Nodeデータベースを作成した場合は、そのデータベースが、バイナリがインストールされたノードのプールの1つのみで起動される間、すべての候補サーバーが汎用サーバー・プールに配置されることに注意してください。候補サーバーがまだ汎用サーバー・プールまたは空きサーバー・プールに存在しない場合、候補サーバーで実行されているリソースが停止することがあります。
DBCAを使用してOracle RAC One Nodeデータベースを作成する際には、自動的にフェイルオーバー・サービスが構成されます。
DBCAを使用してOracle RACデータベースを削除するには、まずデータベースを削除してから、データベースの初期化パラメータ・ファイル、インスタンス、Optimal Flexible Architecture(OFA)構造およびデータベースのOracleネットワーク構成を削除します。
DBCAを使用してデータベースを削除するには、次の作業を行います。
いずれかのノードでDBCAを起動します。
$ORACLE_HOME/bin
ディレクトリからdbca
コマンドを実行します。
DBCAに、様々なデータベース・デプロイ・オプションが表示される「操作」ページが表示されます。
「データベースの削除」を選択して「次へ」をクリックします。DBCAにDBCAが実行されているOracleホームのOracle RACおよび単一インスタンス・データベースの一覧がすべて表示されます。
ユーザーIDおよびパスワードにオペレーティング・システムの認証がない場合、「クラスタ・データベースのリスト」ページにユーザー名およびパスワードを入力するフィールドが表示されます。このフィールドが表示されたら、SYSDBA
権限のあるユーザー・アカウントのユーザーIDおよびパスワードを入力します。
削除するデータベースを選択し、「終了」をクリックします。
「終了」をクリックすると、DBCAによって削除されるよう構成されたデータベースおよびインスタンスを確認するダイアログ・ボックスがDBCAに表示されます。
「OK」をクリックすると、データベース本体と関連ファイル、サービスおよび環境設定の削除が開始されます。「取消」をクリックすると、操作が中止されます。
「OK」をクリックすると、DBCAは操作を継続して、このデータベースに関連するすべてのインスタンスを削除します。DBCAは、パラメータ・ファイル、パスワード・ファイルおよびoratab
エントリも削除します。
この時点で、次の作業が完了しました。
クラスタからの選択したOracle RACデータベースの削除
Oracle RACデータベースに割り当てられた高可用性サービスの削除
Oracle RACデータベースのOracle Net構成の削除
Oracle RACデータベースのOracle Enterprise Managerの構成解除
クラスタからのOracle RACデータベースのOFAディレクトリ・ファイル構造の削除
Oracle RACデータベース・データ・ファイルの削除