データ・ポンプを使用して、異なるリリースのデータベース・ソフトウェア間で全データベースまたは一部を移行できます。データ・ポンプ・エクスポートのVERSION
パラメータは、通常、この作業のために使用します。これにより、指定したバージョンと互換性のあるデータ・ポンプのダンプ・ファイル・セットが生成されます。
VERSION
のデフォルト値はCOMPATIBLE
で、これは、エクスポートされたデータベース・オブジェクト定義がCOMPATIBLE
初期化パラメータで指定されたリリースと互換性があることを示します。
アップグレードで、データ・ポンプ・ベースの移行のターゲット・リリースがソースより新しい場合、ソース・データベースのすべてのオブジェクトがターゲット・リリースと互換性があるため、通常は、VERSION
パラメータを指定する必要はありません。例外は、Oracle Database 11g (リリース11.2.0.3以降)全体をOracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)以降にインポートするための準備としてエクスポートする場合です。この場合、VERSION=12
とFULL=YES
を明示的に指定して、Oracle内部のコンポーネント・パラメータの完全セットを含めます。
ダウングレードで、データ・ポンプ・ベースの移行のターゲット・リリースがソースより古い場合、VERSION
パラメータを明示的に指定して、ターゲットと同じバージョンにする必要があります。例外として、ターゲット・リリース・バージョンがソース・システムのCOMPATIBLE
初期化パラメータの値と同じである場合、VERSION
を指定する必要はありません。ただし、通常は、VERSION
パラメータが明示的に指定されていなければ、データ・ポンプ・インポートでは、現在のリリースよりも新しいOracleリリースで作成されたダンプ・ファイル・セットを読み取ることができません。
異なるデータベース・リリース間のエクスポートとインポートを行う場合、次の点を考慮する必要があります。
データ・ポンプのエクスポートで、現在のデータベース・バージョンより古いデータベース・バージョンを指定すると、その古いバージョンのデータベースにインポート可能なダンプ・ファイル・セットが作成されます。たとえば、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)を実行していて、エクスポートでVERSION=11.2
を指定する場合、作成されるダンプ・ファイル・セットはOracle 11.2のデータベースにインポートできます。
注意:
Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)以降のみで有効なデータベース権限(たとえば、表、ビュー、マテリアライズド・ビューおよびシノニムに対するREAD
権限)はOracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)以降にインポートできません。これを実行しようとすると、エラーとして報告され、インポート操作が続行されます。
現在のデータベース・バージョンより古いデータベース・バージョンを指定する場合は、特定の機能を使用できないことがあります。たとえば、VERSION=10.1
を指定した場合に、ジョブに対してデータ圧縮も指定してあるとエラーが発生します。これは、Oracle Database 10gリリース1(10.1)では圧縮がサポートされていないためです。
データ・ポンプ・インポートは、常に、古いリリースのデータベースで作成されたデータ・ポンプのダンプ・ファイル・セットを読み込むことができます。
データ・ポンプ操作がネットワーク・リンクを介して行われる場合、ソース・データベースとターゲット・データベースのバージョンの差違が2バージョン以下である必要があります。たとえば、一方のデータベースがOracle Database 12cの場合、他方のデータベースは12c、11gまたは10gである必要があります。データ・ポンプがチェックするのはメジャー・バージョン番号のみ(10g、11g、12cなど)で、具体的なリリース番号(12.1、10.1、10.2、11.1、11.2など)ではありません。