この章では、Recovery Applianceソフトウェアをインストールする手順について説明します。内容は次のとおりです。
注意:
リカバリ・アプライアンス・ソフトウェアは、Recovery Applianceハードウェアにインストールされている場合にのみサポートされます。ソフトウェアのライセンスについては、「Zero Data Loss Recovery Applianceライセンス情報ユーザー・マニュアル」を参照してください。
次のスクリプトでRecovery Applianceソフトウェアがインストールされます。
ra_preinstall.pl
: 初期チェックを実行し、新規インストールおよびアップグレードのためにRecovery Applianceの準備をします。このスクリプトはZero Data Loss Recovery Applianceソフトウェア更新12.1.1.1.7で導入されました。詳細は、Zero Data Loss Recovery Applianceのアップグレードおよびパッチ適用(ドキュメントID 2028931.1)を参照してください。
install.sh
: Oracle Exadata Deployment Assistantで生成されたファイルを使用して、ネットワーク、Oracle Databaseおよびその他のソフトウェア・コンポーネントを構成します。
「Deployment Assistantの使用」で使用するためのOracle Exadata Deployment Assistantが含まれるOneCommand ZIPファイルにも、このスクリプトが含まれます。このスクリプトは、Recovery Applianceと同じネットワーク上のどのシステムからも実行できます。一部のプラットフォームではinstall.cmd
が使用されます。
ra_install.pl
: Recovery Applianceインフラストラクチャの追加の構成手順が実行されます。このスクリプトは、Recovery Appliance計算サーバーへのログイン中に実行する必要があり、同じネットワーク上の別のサーバーからは実行できません。
ソフトウェアのインストールを開始する前に、次の手順が完了していることを確認してください。
Oracle Exadata Deployment Assistantを使用して構成ファイルを生成しました。「Deployment Assistantの使用」を参照してください。
インストール・ファイルをOneCommandインストール・ディレクトリ配下のWorkDir
ディレクトリ内に集約しました。(OneCommandインストール・ディレクトリとは、linux-x64
など、OneCommand ZIPファイルを展開するディレクトリです。)OneCommandインストール・ディレクトリの詳細は、「構成ファイルの生成」を参照してください。インストール・ファイルのリストについては、My Oracle Support Doc ID 1927416.1を参照してください。
checkip
スクリプトが、エラーを残すことなく正常に実行されました。「Recovery Applianceのネットワークへの接続」を参照してください。
マルチラック設置のすべてのラックが配線されています。「複数の ラックを使用したRecovery Applianceの拡張」を参照してください。
すべての新規ラックのすべてのコンポーネントが構成されています。「Recovery Applianceラックの構成」を参照してください。
Oracle Management ServerがRecovery Applianceと同じネットワーク上で動作しています。
すべての計算サーバーでディスク領域を再利用します。「計算サーバーでのディスク領域の再利用」を参照してください。
Oracleテープ・ライブラリがインストールされ、稼働しています。テープ・ライブラリはRecovery Applianceのオプション・コンポーネントです。
新しいRecovery Applianceラックを旧ラックに追加する際、ファクトリ・インストール・イメージは一般的に異なります。旧ラックを新しいイメージに更新するか、旧バージョンを保持して、それに合うように新規ラックを再イメージ化することができます。どちらの場合でも、すべてのサーバーとすべてのSun Datacenter InfiniBand Switch 36スイッチは同じパッチ・レベルである必要があります。
リカバリ・アプライアンス・ソフトウェアをインストールする前に、各計算サーバーでreclaimdisks
スクリプトを実行する必要があります。このスクリプトは、ボリューム構成をチェックし、リカバリ・アプライアンスの容量をすべて正しく再割当てします。ディスク領域を再利用すると、ディスク・コントローラ・レベルのRAID-5構成の4枚のディスクにLinuxシステムが変換されます。
計算サーバーでディスクを構成するには、次の手順を実行します。
インストール・ユーティリティの構文を使用すると、1つまたは複数の手順を実行したり、エラーが発生した1つ以上の手順を元に戻すことができます。エラーを引き起こした問題を修正したら、手順を再度実行できます。
表11-1では、各オプションについて説明します。
表11-1 インストール・ユーティリティのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
XML構成ファイルを識別します。必須。 |
|
スクリプト・オプションを記述します。 |
|
XMLファイルに記述された構成に対して、ソフトウェアをインストールおよび構成するために必要な手順をリストします。 |
|
手順nからN、または手順nを実行します。 |
|
手順nを実行します。 |
-u { |
手順nからN、または手順nを元に戻します。 |
次の例では、構文例とサンプル出力を示します。XML構成ファイルはExample_Inc-ra01.xml
(linux-x64/ExadataConfigurations/Example_Inc-ra01.xml
)と名付けられます。
このコマンドではユーティリティのヘルプが表示されます。
$ ./install.sh -cf ExadataConfigurations/Example_Inc-ra01.xml -h
install.sh -cf <config.xml> -l [options]
install.sh -cf <config.xml> -s <step #> | -r <num-num>
install.sh
ARGUMENTS:
-l List all the steps that exist
-cf config file name [Full path please]
-s <step #> Run the step # at a time
-r <num-num> Run the steps one after the other as long as no errors
are encountered
-u <num-num> | <step#> Undo a range of steps or a particular step
-h Usage
Version : 14.254.04:00
このコマンドでは手順がリストされます。
$ ./install.sh -cf ExadataConfigurations/Example_Inc-ra01.xml -l
1. Validate Configuration File
2. Setup Required Files
3. Create Users
4. Setup Cell Connectivity
5. Verify Infiniband
6. Calibrate Cells
7. Create Cell Disks
8. Create Grid Disks
9. Configure Alerting
10. Install Cluster Software
11. Initialize Cluster Software
12. Install Database Software
13. Relink Database with RDS
14. Create ASM Diskgroups
15. Create Databases
16. Apply Security Fixes
17. Install Exachk
18. Setup ASR Alerting
19. Create Installation Summary
20. Resecure Machine
次の例では手順7が実行されます。
./install.sh -cf ExadataConfigurations/Example_Inc-ra01.xml -s 7
Executing Create Cell Disks
Check physical disks for errors before creating celldisks..............
Restarting cell services..................
Initializing cells..............
Cleaning cells....................
Restarting cell services...................
Creating cell disks.........................
Creating flashlog on cells..........
Creating flashcache on cells........
Successfully completed execution of step Create Cell Disks
]
このコマンドでは手順15が元に戻されます。
$ ./install.sh -cf ExadataConfigurations/Example_Inc-ra01.xml -u 15
Undoing Create Databases
Deleting databases...
Deleting database zdlra
.
.
.
次の説明では、ソフトウェアのインストールが完了するまでの各手順について示します。インストール・スクリプトではサブステップがその実行に従ってリストされます。
手順1 構成ファイルの検証
一連のチェックを実行して、現在のネットワーク上の指定クラスタに適した設定が構成ファイルに含まれていることを確認します。
ホスト名およびIPアドレスを検証します
オペレーティング・システムを検証します
クラスタ・ネットワークおよびネットワーク接続を検証します
ネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)設定を検証します
ストレージ・サーバーの物理ディスクを検証します
データベース準備用の計算サーバーを検証します
手順2 必須ファイルの設定
必須ファイルがアクセス可能なことを確認し、そのファイルを2番目の計算サーバーにコピーして、必要に応じて解凍してから、シンボリック・リンクを作成します。
この手順が失敗した場合は「ソフトウェアをインストールするための前提条件」を参照してください。
手順3 ユーザーの作成
クラスタに必要なユーザーおよびグループを作成し、/etc/hosts
を更新して、セキュア・シェル(SSH)を設定します。
手順4 セル接続の設定
必要に応じてcellip.ora
、cellinit.ora
およびcellaffinity
などの、他の手順で使用される様々なファイルを生成します。
手順5 InfiniBandの検証
InfiniBandファブリックで一連のチェックを実行して、計算サーバー、ストレージ・サーバーおよびInfiniBandスイッチが正しく配線されていることを確認します。
エラーが発生すると、診断ZIPファイルが生成されます。この手順の出力にはこのファイルの場所が含まれています。
手順6 セルの測定
Oracle DatabaseのI/O測定機能を使用して、ストレージ・サブシステムのI/O機能を評価します。
手順7 セル・ディスクの作成
セル・ディスクを作成してから、各セルでフラッシュ・ログおよびフラッシュ・キャッシュを作成することが含まれる、一連の手順をストレージ・サーバー・ディスクで実行します。
手順8 グリッド・ディスクの作成
クラスタのグリッド・ディスクを作成します。
このリリースでは、追加的な手作業でこの手順に従う必要があります。
手順9 アラートの構成
問題発生時にアラートを送信できるように、ストレージ・サーバーで電子メールを構成します。
手順10 クラスタ・ソフトウェアのインストール
Oracle Databaseユーティリティを使用してグリッド・ディスク識別子を取得してから、クラスタウェア・インストーラを実行します。必要に応じて、ソフトウェアにパッチが適用されます。
手順11 クラスタ・ソフトウェアの初期化
レプリケーション・ネットワークが構成中の場合、この手順ではそのシングル・クライアント・アクセス名(SCAN)および仮想IP (VIP)が作成されます。次に、クラスタが初期化されます。
手順12 データベース・ソフトウェアのインストール
両方の計算サーバーで、Oracle Databaseソフトウェアをインストールして、Oracle Databaseホーム・ディレクトリを作成します。必要に応じて、ソフトウェアにパッチも適用されます。
このリリースでは、追加的な手作業でこの手順に従う必要があります。
手順13 データベースのRDSとの再リンク
Oracle Databaseを高信頼性データグラム・ソケット(RDS)と再リンクします。
手順14 ASMディスク・グループの作成
グリッド・ディスク識別子を取得して、自動ストレージ管理(ASM)ディスク・グループを作成します。
手順15 データベースの作成
両方の計算サーバーで、Recovery Applianceカタログを作成します。
手順16 セキュリティ修正の適用
クラスタ・ソフトウェアを再起動してセキュリティ・パラメータを設定し、必要に応じてturboモードを有効にします。
手順17 Exachkのインストール
Recovery Applianceにexachk
ユーティリティをインストールします。ユーティリティの詳細は、My Oracle SupportドキュメントID 1070954.1を参照してください。
手順18 ASRアラートの設定
自動サービス・リクエスト(ASR)をインストールして構成します。オプションです。
この手順では次の作業が行われます。
必要なソフトウェア・パッケージをインストールします
トラップ送信先を構成します
モニタリング・デーモンを開始します
手順19 インストレーション・サマリーの作成
システム詳細を取得し、ストレージ・サーバーを測定して、サマリーXMLレポートを生成します。この手順の出力にはこのファイルの場所が含まれています。
手順20 マシンのレスキュー
デフォルト・パスワードをカスタム・パスワードに置き換えます。
インストール後ユーティリティは、/opt/oracle.RecoveryAppliance/install
ディレクトリの第1計算ノードにあります。構文は次のとおりです。
./ra_install.pl --help | [--install | --uninstall] --step=STEP_NUMBER [--stdout]
表11-2では、各オプションについて説明します。
表11-2 インストール後ユーティリティのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
ユーティリティ・オプションを記述します。 |
|
手順を実行してソフトウェアをインストールします。デフォルト。 |
|
手順を元に戻してソフトウェアをアンインストールします。 |
|
手順を実行します。有効な値は1から7です。手順はすべて順番通りに完了します。 |
|
ログ・ファイルではなく標準出力にすべてのメッセージを印刷します。 |
この例ではヘルプ・トピックが表示されます。
# ra_install.pl --help
ra_install.pl - Recovery Appliance Installer
You must be logged in as root to run this command.
All steps should be run successfully for install.
Usage: ./ra_install.pl --help | --step=STEP_NUMBER {--install|--uninstall} [--stdout]
Options:
--help: displays this help message
--step=number: Which step to run
--stdout: Print all messages to stdout rather then the log file
--install: Installs the step rather then installing it. [Default]
--uninstall: Uninstalls the step rather then installing it.
Step Numbers:
Step 1 - Validation and Configuration Prep
Step 2 - OS Setup
Step 3 - Oracle User Setup
Step 4 - DBFS Setup
Step 5 - Tape Backup configuration
Step 6 - ZDLRA DB Backup Setup
Step 7 - Enable ZDLRA Services
この例では手順2が実行されます。
# ./ra_install.pl --step=2
Created log file /opt/oracle.RecoveryAppliance/log/ra_install.step1.20140823.1959.log
Start: Configuring OS for ZDLRA - Successful: OK
Start: Running on node: ra06adm07 - Successful: OK
End: Running on node: ra06adm07 - Successful: OK
Start: Running on node: ra06adm08 - Successful: OK
End: Configured OS for ZDLRA - Successful: OK
この項では、インストール後の手順について説明します。各手順では/opt/oracle.RecoveryAppliance/log
にログ・ファイルが生成されます。手順の出力にはログ・ファイルのパスが含まれています。
手順1 検証および構成の準備
ra_xml
構成ファイルを作成し、構成を検証して、インストーラ・ウォレットを設定します。
手順2 OS設定
オペレーティング・システムを構成します。portmap
およびnscd
デーモンを起動して、各種オペレーティング・システムのユーザーおよびグループを作成します。
手順3 Oracleユーザー設定
oracle
オペレーティング・システム・ユーザーを構成します。
手順4 DBFS設定
データベース・ファイル・システム(DBFS)マウントを作成します。
手順5 テープ・バックアップ構成
テープ・バックアップ・システムが存在するかどうかを確認し、Oracle Exadata Deployment Assistantのテープ・ライブラリの接続性ページで指定した詳細に基づいて、該当する構成の変更を行います。
手順6 ZDLRA DBバックアップ設定
Recovery Applianceカタログ・データベースのバックアップを構成して、バックアップを実行するための資格証明を作成します。カタログはRecovery Applianceディスクに自動スケジュールでバックアップされます。
手順7 ZDLRAサービスの有効化
前の手順でインストールされたすべてのサービスが開始されます。
Enterprise ManagerでRecovery Applianceを管理できるようにするには、管理エージェントを各計算サーバーにデプロイし、Recovery Applianceのターゲットを検出する必要があります。ターゲットには、クラスタ、データベース、リスナー、自動ストレージ管理(ASM)およびアプライアンス自体が含まれます。
Oracleサポート・エンジニアと連携して、この項のタスクを実行してください。
注意:
Zero Data Loss Recovery Applianceの管理、モニタリング、および保護されたデータベースの管理に必要なプラグインとパッチの詳細は、ドキュメントID 1929507.1を参照してください。
Recovery Appliance自体を検出する前に、次の手順を実行し、Recovery Applianceクラスタ・データベース、リスナーおよびASMターゲットを検出します。