この章では、複数のRecovery Applianceラックの配線方法について説明します。内容は次のとおりです。
関連項目:
ラックを追加して、システム容量およびパフォーマンスを向上できます。Recovery Applianceは、柔軟な構成が可能です。ラックは、2台の計算サーバーと、3台以上のストレージ・サーバーで構成されます。Recovery Appliance X6またはX5のフル・ラックには18台のストレージ・サーバー、Recovery Appliance X4のフル・ラックには14台のストレージ・サーバーを設置できます。最大構成はフル・ラックの18です。
ストレージ・サーバーの台数に関係なく、複数のRecovery Applianceラックを配線できます(フル・ラックである必要はありません)。複数のラックのInfiniBandネットワークは、スパイン・スイッチで接続します。スパイン・スイッチとケーブルは注文する必要があります。
ラックを配線する前に、次のことを実行してください。
配線するラックの数を決定します。
設置に必要な、合計本数分のInfiniBandケーブルを入手します。「複数ラック配線表」を参照してください。
各ラックの一番下のラック・ユニット(U1)に、Sun Datacenter InfiniBand Switch 36スパイン・スイッチが設置されていることを確認してください。「Recovery Appliance X6およびX5ラックのレイアウト」と「Recovery Appliance X4ラックのレイアウト」を、それぞれ参照してください。
次の道具を用意します。
ペン
メモ帳
懐中電灯
ケーブルおよびラックのラベル
ケーブル・タイ(フック・アンド・ループ・ストラップをお薦めします)
関連項目:
ケーブルのラベルの詳細は、「InfiniBandスイッチの部品」を参照してください
安全ガイドラインを確認します。Zero Data Loss Recovery Applianceセーフティおよびコンプライアンス・ガイドを参照してください。
Recovery Applianceは、別のRecovery Applianceラックに追加することで拡張できます。手順には、ラックの配線と構成が含まれます。ラックは、停止時間なしで配線できます。
次の点に注意してください。
ラック配線中にパフォーマンスが低下します。このパフォーマンスの低下は、ネットワーク帯域幅が小さくなったことと、ケーブルを抜いた時のパケット損失によるデータ再送信によるものです。
リーフ・スイッチを1つオフにする必要があるため、高可用性環境にはなりません。トラフィックはすべて残りのリーフ・スイッチ経由で送信されます。
既存のラックのみが操作可能で、新しいラックはすべて停止します。
システム上で実行中のソフトウェアには、InfiniBandの再起動に関連する問題がないようにしてください。
新しいラックには配線前に、拡張システムに移行される適切なIPアドレスが構成されている必要があります。同じIPアドレスを使用することはできません。
既存のスパイン・スイッチは、配線手順中は優先度10に設定されます。この設定により、ファブリックのその他のスイッチより、スパイン・スイッチの優先度が高くなります。配線手順中に、新しいサブネット・マネージャ・マスターが設定されるたびに、スパイン・スイッチが最初にサブネット・マネージャ・マスター・ロールを取得します。
1つのInfiniBandファブリックに複数のラックを構成する場合は、各ラックにスパイン・スイッチが必要です。スパイン・スイッチは出荷前に工場でインストールすることも、サイトでインストールすることもできます。Recovery Applianceは、スパイン・スイッチとして、第3のSun Datacenter InfiniBand Switch 36を使用します。
注意:
この手順はRecovery Applianceに固有です。Sun Datacenter InfiniBand Switch 36のマニュアルの手順とは異なります。
Sun Datacenter InfiniBand Switch 36スイッチにより、床または床下配線のInfiniBandケーブルを使用できます。床および床下配線では、ケーブルの重量に対するInfiniBandケーブルの伸長をスイッチのラックの高さに制限します。
注意:
頭上の配線の詳細は、このガイドに含まれていません。頭上の配線の詳細は、オラクル社のサービス・エンジニアに問い合せてください。
この項では、隣り合った2つのラックの配線方法について説明します。既存のラックはR1で、新しいラックはR2です。
2つのラックを配線するには、次のようにします。
スパイン・スイッチで現在アクティブなサブネット・マネージャ・マスターの優先度を10
に設定します。
アクティブなシステムで任意のInfiniBandスイッチにログインします。
getmaster
コマンドを使用して、スパイン・スイッチでサブネット・マネージャ・マスターが実行中であるかどうかを確認します。実行中でない場合は、「サブネット・マネージャ・マスターとしてのスパイン・スイッチの設定」の手順に従ってください。
スパイン・スイッチにログインします。
disablesm
コマンドを使用して、サブネット・マネージャを停止します。
setsmpriority 10
コマンドを使用して優先度を10に設定します。
enablesm
コマンドを使用して、サブネット・マネージャを再起動します。
手順1.bを繰り返して、スパイン・スイッチでサブネット・マネージャ・マスターが実行中であることを確認します。
新しいラックが既存ラックの近くにあることを確認します。InfiniBandケーブルは各ラックのサーバーまで届く必要があります。
新しいラック(R2)を完全に停止します。
表E-4に従って、新しいラックのリーフ・スイッチを配線します。
リーフ・スイッチR1 IB2の電源をオフにします。これにより、すべての計算サーバーおよびストレージ・サーバーのInfiniBandトラフィックがR1 IB3にフェイルオーバーされます。
R1IB2とR1 IB3間のすべての内部スイッチ・リンクを切断します。
表E-3に従って、リーフ・スイッチR1 IB2を配線します。
リーフ・スイッチR1 IB2の電源をオンにします。
R1 IB2が完全に操作状態になるまで3分待ちます。
スイッチをチェックするには、スイッチにログインしてibswitches
コマンドを実行します。3つのスイッチ、R1 IB1、R1 IB2およびR1 IB3が出力表示されます。
リーフ・スイッチR1 IB3の電源をオフにします。これにより、すべての計算サーバーおよびストレージ・サーバーのInfiniBandトラフィックがR1 IB2にフェイルオーバーされます。
表E-3に従って、リーフ・スイッチR1 IB3を配線します。
リーフ・スイッチR1 IB3の電源をオンにします。
R1 IB3が完全に操作状態になるまで3分待ちます。
スイッチをチェックするには、スイッチにログインしてibswitches
コマンドを実行します。3つのスイッチ、R1 IB1、R1 IB2およびR1 IB3が出力表示されます。
R2のすべてのInfiniBandスイッチの電源をオンにします。
スイッチが完全に操作状態になるまで3分待ちます。
スイッチをチェックするには、スイッチにログインしてibswitches
コマンドを実行します。6つのスイッチ、R1 IB1、R1 IB2、R1 IB3、R2 IB1、R2 IB2およびR2 IB3が出力表示されます。
任意のスイッチからgetmaster
コマンドを実行して、R1 IB1でサブネット・マネージャ・マスターが実行中であることを確認します。
R2のすべてのサーバーの電源をオンにします。
スパイン・スイッチR1 IB1にログインし、優先度を8に下げます。
disablesm
コマンドを使用して、サブネット・マネージャを停止します。
setsmpriority 8
コマンドを使用して優先度を8に設定します。
enablesm
コマンドを使用して、サブネット・マネージャを再起動します。
スパイン・スイッチのいずれかでサブネット・マネージャ・マスターが実行中であることを確認します。
ラックを配線したら、「Recovery Applianceラックの構成」の説明に従って構成します。
この項では、隣り合った複数のラックの配線方法について説明します。既存のラックはR1、R2、...Rn、新しいラックはRn+1で、サブネット・マネージャ・マスターはR1 IB1で実行中です。
複数のラックを配線するには、次のようにします。
スパイン・スイッチで現在アクティブなサブネット・マネージャ・マスターの優先度を10
に設定します。
アクティブなシステムで任意のInfiniBandスイッチにログインします。
getmaster
コマンドを使用して、スパイン・スイッチでサブネット・マネージャ・マスターが実行中であるかどうかを確認します。実行中でない場合は、「サブネット・マネージャ・マスターとしてのスパイン・スイッチの設定」の手順に従ってください。
スパイン・スイッチにログインします。
disablesm
コマンドを使用して、サブネット・マネージャを停止します。
setsmpriority 10
コマンドを使用して優先度を10に設定します。
enablesm
コマンドを使用して、サブネット・マネージャを再起動します。
手順1.bを繰り返して、スパイン・スイッチでサブネット・マネージャ・マスターが実行中であることを確認します。
新しいラックが既存ラックの近くにあることを確認します。InfiniBandケーブルは各ラックのサーバーまで届く必要があります。
新しいラック(Rn+1)を完全に停止します。
「マルチラック配線表」の該当する表に従って、新しいラックのリーフ・スイッチを配線します。たとえば、ラックRn+1がR4の場合は、表E-11を参照します。
元の各ラックに対して次の手順を実行します。この手順で、RxはR1からRnまでのラック番号を表します。
リーフ・スイッチRx IB2の電源をオフにします。これにより、すべての計算サーバーおよびストレージ・サーバーのInfiniBandトラフィックがRx IB3にフェイルオーバーされます。
「マルチラック配線表」に従って、リーフ・スイッチRx IB2を配線します。
リーフ・スイッチRx IB2の電源をオンにします。
Rx IB2が完全に操作状態になるまで3分待ちます。
スイッチをチェックするには、スイッチにログインしてibswitches
コマンドを実行します。ラックR1、R2、...RnのIB1、IB2およびIB3に対してn*3スイッチが出力表示されます。
リーフ・スイッチRx IB3の電源をオフにします。これにより、すべての計算サーバーおよびストレージ・サーバーのInfiniBandトラフィックがRx IB2にフェイルオーバーされます。
「マルチラック配線表」に従って、リーフ・スイッチRx IB3を配線します。
リーフ・スイッチRx IB3の電源をオンにします。
Rx IB3が完全に操作状態になるまで3分待ちます。
スイッチをチェックするには、スイッチにログインしてibswitches
コマンドを実行します。ラックR1、R2、...RnのIB1、IB2およびIB3に対してn*3スイッチが出力表示されます。
すべてが再配線されるまで、「マルチラック配線表」に従って、それぞれのラックにこの手順を繰り返します。
Rn+1のすべてのInfiniBandスイッチの電源をオンにします。
スイッチが完全に操作状態になるまで3分待ちます。
スイッチをチェックするには、スイッチにログインしてibswitches
コマンドを実行します。ラックR1、R2、...Rn+1のIB1、IB2およびIB3に対して(n+1)*3スイッチが出力表示されます。
任意のスイッチからgetmaster
コマンドを実行して、R1 IB1でサブネット・マネージャ・マスターが実行中であることを確認します。
Rn+1のすべてのサーバーの電源をオンにします。
スパイン・スイッチR1 IB1にログインし、優先度を8に下げます。
disablesm
コマンドを使用して、サブネット・マネージャを停止します。
setsmpriority 8
コマンドを使用して優先度を8に設定します。
enablesm
コマンドを使用して、サブネット・マネージャを再起動します。
任意のスイッチからgetmaster
コマンドを実行し、スパイン・スイッチのいずれかでサブネット・マネージャ・マスターが実行中であることを確認します。
任意のスイッチから次のコマンドを使用して、各スパイン・スイッチでサブネット・マネージャが実行中であることを確認します。
ibdiagnet -r
出力のファブリックSMの優先度状態の概要セクションに、スパイン・スイッチが実行中であることが表示されます。
スパイン・スイッチが実行中でない場合は、そのスイッチにログインし、enablesm
コマンドを使用してサブネット・マネージャを有効化します。
現在、4つ以上のラックがある場合は、各ラックのリーフ・スイッチにログインし、disablesm
コマンドを使用してサブネット・マネージャを無効化します
新しいラックへのハードウェアの設置に加え、次の手順も実行する必要があります。
インストール・ファイルを生成します。「Deployment Assistantの使用」を参照してください。
ラック・コンポーネントを構成します。「Recovery Applianceラックの構成」を参照してください。
Recovery Applianceソフトウェアをインストールします。「Recovery Applianceソフトウェアのインストール」を参照してください。