4 電源と冷却

電源装置と配電盤 (PDU) はすべて基本モジュールおよび DEM 内に収容されています。電源構成を選択する際は、ライブラリのドライブの機能と数に加え、電源の冗長性要件についても考慮してください。

電源構成

電源の構成は、電源と電源の冗長性によって決まります。

AC 電源オプション

ライブラリに装着されている各 PDU にそれぞれ別個の AC 電源が必要です。選択した構成に応じて、ライブラリには最大で 4 つの PDU が装着されます (基本モジュールと DEM のそれぞれに 2 つずつ)。2 つの AC 電源オプションがあります。両方とも単相です。

  • 120 VAC、50/60 Hz、20 アンペア (範囲: 100–127 VAC、47–63 Hz、16 アンペア)

    • T9840 および T10000 ドライブのみサポート。冗長ロボットのサポートなし

  • 240 VAC、50/60 Hz、30 アンペア (範囲: 200–240 VAC、47–63 Hz、24 アンペア)

    • すべてのドライブタイプと冗長ロボットをサポート

電源冗長オプション

3 種類の電源構成により、さまざまなレベルの電源冗長性が提供されます。

N+1 電源構成 (標準)

  • DC 電源の冗長性のみ提供

  • 各基本モジュールまたは DEM に 1 つの PDU、1 つの予備ドライブ DC 電源、および 1 つの予備ロボットDC 電源で構成される

  • N+1 の DC 電源冗長性を提供

  • T9840 および T10000 ドライブのみサポート。冗長ロボットのサポートなし

2N 電源構成

  • AC および DC の両電源の冗長性を提供

  • 各基本モジュールまたは DEM に 2 つの PDU (AC 冗長性) および各 PDU 用の DC 電源で構成される

  • 各 PDU に N の DC 電源を提供

  • 各基本モジュールまたは DEM に、2 つの個別の AC 入力電源が必要

  • 冗長ロボットおよび冗長電子装置をサポートする場合に必要

2N+1 電源構成

  • AC および DC の両電源の冗長性に加え、さらに別の DC 冗長性を提供

  • 各基本モジュールまたは DEM に 2 つの PDU (AC 冗長性)、および各 PDU 用の追加の DC 電源で構成される

  • 各 PDU に対して N+1 の DC 電源冗長性を提供 (2 つ目の PDU にはロボット用の N の DC 電源冗長性のみ)

  • 各基本モジュールまたは DEM に、2 つの個別の AC 入力電源が必要

  • 冗長ロボットおよび冗長電子装置をサポート

DC 電源装置

2 種類の DC 電源装置があります。

  • 負荷分散 1200W DC — ロボットユニットとテープドライブに使用

  • 200W cPCI — 電子制御モジュールに使用

図4-1 電源装置の場所 - 基本および DEM (背面ビュー)

電源装置と PDU が装着されている基本および DEM の背面

図の凡例: 

  1. ロボット用 DC 電源装置 (1200W DC)

  2. 電子モジュール用 DC 電源装置 (200W cPCI)

  3. テープドライブ用 DC 電源装置 (1200W DC)

  4. 配電盤 (120 VAC または 240 VAC)

電子制御モジュール用電源装置

電子制御モジュール (ECM) は 200 W cPCI 電源装置を使用します。これらの電源装置は基本モジュールの HBT カードの下にあります (DEM に ECM 電源装置はありません)。図4-1 を参照してください。電子制御モジュール用の電源装置は、ロボットユニットやテープドライブに使用する電源装置とは異なります。

各基本モジュールは標準で、N+1 構成や 2N 構成に使用できる ECM 電源装置が 2 つ装着された状態で出荷されます。2N+1 構成にする場合は、EMC 電源装置を 2 つ追加注文してください (DC 電源装置を参照してください)。

ロボットユニット用電源装置

ロボットユニットは基本モジュールの上部にある負荷分散 1200 W DC 電源装置を使用します (DEM にはロボット用 DC 電源はありません)。図4-1 を参照してください。ロボットユニットに使用する 1200 W DC 電源装置は、テープドライブに使用する電源装置と同じです。

各基本モジュールは標準で、N+1 構成や 2N 構成に使用できるロボット用 DC 電源装置が 2 つ装着された状態で出荷されます。2N+1 構成にする場合は、3 つ目の DC 電源装置を注文してください (DC 電源装置を参照してください)。

テープドライブ用電源装置

テープドライブは負荷分散 1200 W DC 電源装置を使用します。基本モジュールおよび DEM の各 PDU の左側に、最大で 4 つのテープドライブ用電源装置が装着されます。図4-1 を参照してください。

出荷時のライブラリには、各基本モジュールにテープドライブ用電源装置が 2 つと、各 DEM にテープドライブ用電源装置が 2 つ装着されています。必要になるテープドライブ用 DC 電源装置の数は、選択した電源構成とライブラリ内のテープドライブの数およびタイプによって異なります。電源装置の注文数を計算するには、次のテープドライブ用電源装置の数の計算を参照してください。

テープドライブ用電源装置の数の計算

必要になる電源装置の数は、次によって異なります。

  • 電源構成 (120 VAC または 240 VAC のいずれかと、N+1、2N、2N+1 のいずれか)

  • テープドライブの数とタイプ (T10000、T9840、または LTO)

ライブラリ構成に必要な電源装置の数を判別するには、次の手順に従います。

  1. 各ドライブタイプの合計数を確認します。

  2. 各ドライブタイプについて、1 ドライブ当たりのワット数で乗算します。表4-1 1 ドライブ当たりのワット数を参照してください。

  3. 各ドライブタイプで使用されるワット数を合計し、合計消費ワット数を計算します。

  4. 表4-2 - 表4-5 を使用して、必要になる DC 電源装置の数を求めます。

注文パーツ番号については、DC 電源装置を参照してください。

1 ドライブ当たりの消費ワット数

表4-1 1 ドライブ当たりのワット数

ドライブタイプ
各ドライブで使用される最大ワット数

T9840D

100

T10000A/B/C

93

T10000D

127

LTO

46


120 VAC PDU に必要な電源装置

120 VAC PDU を使用するには、ドライブで使用される合計ワット数が基本モジュールで 843 W、DEM で 1,481 W を下回る必要があります。合計ワット数が基本モジュールで 843 W、DEM で 1,481 W を上回る場合、240 VAC PDU が必要になります。ライブラリ内で 120 VAC と 240 VAC の PDU を混在させることはできません。PDU は、すべて同じタイプである必要があります。

表4-2 基本用の DC 電源装置 (120 VAC PDU)

すべてのドライブで使用される合計ワット数
N+1 に必要な電源装置 2N に必要な電源装置 2N+1 に必要な電源装置

1 - 563

2

2

4

564-843

3

4

6


表4-3 DEM 用の DC 電源装置 (120 VAC PDU)

すべてのドライブで使用される合計ワット数
N+1 に必要な電源装置 2N に必要な電源装置 2N+1 に必要な電源装置

1 - 700

2

2

4

701 - 1,400

3

4

6

1,401-1,481

4

6

8


240 VAC PDU に必要な電源装置

ドライブで使用される合計ワット数が基本モジュールで 843 W、DEM で 1,481 W を上回る場合、240 VAC PDU が必要になります。ライブラリ内で 120 VAC と 240 VAC の PDU を混在させることはできません。PDU は、すべて同じタイプである必要があります。

表4-4 基本用の DC 電源装置 (240 VAC PDU)

すべてのドライブで使用される合計ワット数
N+1 に必要な電源装置 2N に必要な電源装置 2N+1 に必要な電源装置

1 - 1,063

2

2

4

1,064 - 2,263

3

4

6

2,264 - 3,463

4

6

8

3,464 - 3,805

5

8

8


表4-5 DEM 用の DC 電源装置 (240 VAC PDU)

すべてのドライブで使用される合計ワット数
N+1 に必要な電源装置 2N に必要な電源装置 2N+1 に必要な電源装置

1 - 1,200

2

2

4

1,201 - 2,400

3

4

6

2,401 - 3,600

4

6

8

3,601 - 4,443

5

8

8


例: 必要になるドライブ用 DC 電源装置の数の計算

ライブラリ例には基本モジュールと DEM が含まれており、それぞれに 3 タイプ (T10000、T9840、LTO) すべてのドライブが装着されています。表4-6 および表4-7 は、基本モジュールと DEM 内のテープドライブで使用される合計ワット数の計算方法を示しています。

表4-6 基本モジュールのテープドライブの消費ワット数の例

ドライブタイプ
ドライブの数
乗算する 1 ドライブ当たりのワット数 ドライブタイプ当たりの合計ワット数

T10000D

6

127

762

T9840D

6

100

600

LTO4

4

46

184


基本モジュール内のドライブは 1,546 W を使用します。表4-2 で、1,546 W は 120 VAC PDU でサポートされる最大ワット数 843 W を上回ります。そのため、基本モジュールではドライブ構成をサポートするため 240 VAC PDU が必要になります。表4-4 を参照してください。

表4-7 DEM のテープドライブの消費ワット数の例

ドライブタイプ
ドライブの数
乗算する 1 ドライブ当たりのワット数 ドライブタイプ当たりの合計ワット数

T10000C

4

93

372

T9840D

2

100

200

LTO5

4

46

184


DEM 内のドライブは 756 W を使用します。表4-3 および 表4-5 で、120 VAC と 240 VAC の PDU のどちらでも 756 W をサポートできます。しかし、ライブラリ内で 120 VAC と 240 VAC の PDU を混在させることはできません。そのため、この例のライブラリでは 240 VAC PDU が必要になります。

標準で、基本モジュールにはテープドライブ用 DC 電源装置が 2 つ、DEM には電源装置が 2 つ装着された状態で出荷されます。そのため、必要な DC 電源装置数から 2 を差し引いてください。表4-4 および表4-5 を使用して、注文内容を決定します。

次の表は、例のライブラリに必要な電源装置を一覧したものです。

表4-8 例の基本に必要な DC 電源装置

構成オプション
必要な DC 電源装置 注文する DC 電源装置 (= 必要数 - 2)

N+1 (240 VAC PDU)

3

1

2N (240 VAC PDU)

4

2

2N+1 (240 VAC PDU)

6

4


表4-9 ドライブ拡張モジュールに必要な DC 電源装置 - 例

構成オプション
必要な DC 電源装置 注文する DC 電源装置 (= 必要数 - 2)

N+1 (240VAC PDU)

2

0

2N (240VAC PDU)

2

0

2N+1 (240VAC PDU)

4

2


注文する必要のあるドライブ用 DC 電源装置の数は、選択した電源構成によって異なります。たとえば、例のライブラリが 2N+1 構成である場合、ドライブ用 DC 電源装置を新たに 6 つ注文する必要があります (基本モジュール用に 4 電源、DEM 用に 2 電源)。2N+1 ではさらに、ロボット用の DC 電源装置 1 つと、ECM 用の 200W cPCI 電源装置が 1 つ必要になります。ECM 用電源装置は、この例に一覧されているテープドライブやロボット用の電源装置とは異なります。注文に関する詳細は、DC 電源装置 を参照してください

AC 電源ケーブル

次の表は、各電源構成に必要なケーブルを一覧したものです。PDU を取り付けるたびに、電源コードを 1 本注文する必要があります。

  • N+1 - 基本モジュール用の電源ケーブル 1 本と、DEM (設置されている場合) 用にさらに電源コード 1 本を注文します

  • 2N または 2N+1 - 基本モジュール用に 2 本の電源コードおよび DEM (取り付けられている場合) 用に 2 本の追加電源コード

表4-10 電源ケーブルの説明

電源
説明
回路遮断器
壁側コネクタ
ライブラリ側コネクタ
電源コード長さ/タイプ

120 VAC/20A

米国/日本

20A

L5-20P

L5-20R

3.7 m (12 フィート) 12 AWG

240 VAC/30A

米国

30A

L6-30P

L6-30R

3.7 m (12 フィート) 12 AWG

240 VAC/30A

国際

30A

330P6W

L6-30R

4 m (13 フィート) HAR


消費電力

環境的または経済的な観点から、SL3000 ライブラリとテープドライブの合計消費電力 (ワット数)、CO2 排出量および英国熱量単位 (BTU/時) を決定できます。次の表は、消費電力のワット数を一覧したものです。

表4-11 消費電力

コンポーネント
数量
アイドル時ワット数
最大ワット数

基本ライブラリ (必須)

次を含む: ECM x 1、ロボット x 1、CAP x 1

1

156

197

冗長電子装置 (オプション)

1

100

100

冗長ロボット (オプション)

1

28

55

オペレータパネル (オプション)

1

29

37

増設 CAP (オプション)

それぞれ

10

14

アクセス拡張モジュール (オプション)

それぞれ

8

30

T9840

それぞれ

79

100

T10000A/B/C

それぞれ

61

93

T10000D

それぞれ

64

127

LTO

それぞれ

30

46


合計ワット数、CO2 排出量、BTU/時の計算

ライブラリの合計消費電力 (ワット数) を計算するには、表4-11 から、ライブラリ構成に該当するすべてのワット数を合計します。

1 日当たりの CO2 の排出量 (kg) を計算するには、ワット数に CO2 排出量定数を掛けます。国別の定数を使用します (米国の場合は 0.02497)。

電力値を BTU/時に変換するには、ワット数に 3.412 (1 W =3.412 BTU/時) を掛けます。多くのメーカーが自社製品の KW、kVA、および BTU を公開しています。メーカーから提供されている情報を利用してください。または、次の式を使用します。

  • 3.41214 x ワット数 =BTU/時

消費電力の例 1

次のコンポーネントの最大連続値を使用します。

表4-12 消費電力の例

数量
コンポーネントの説明
ワット数

1

SL3000 基本 (ECM x 1、ロボット x 1、CAP x 1 を含む)

197

16

LTO4 テープドライブ

736

--

合計

933


  • 排出量: 933W x 0.02497 = 23.3 Kg の CO2

  • 消費電力: 933W x 3.412 = 3,183 BTU/時

消費電力の例 2

次のコンポーネントの最大連続値を使用します。

表4-13 消費電力の例

数量
コンポーネントの説明
ワット数

1

SL3000 基本 (ECM x 1、ロボット x 1、CAP x 1 を含む)

197

8

T9840D テープドライブ

800

1

ドライブ拡張モジュール

--

8

T10000C テープドライブ

744

1

カートリッジ拡張モジュール

--

3

CAP (各 10 ワットが 3 つ)

30

--

合計

1,771


  • 排出量: 1,771W x 0.02497 = 44.2 Kg の CO2

  • 消費電力: 1,771W x 3.412 = 6,043 BTU/時

冷却

SL3000 ライブラリ内の冷却は、3 つの領域に分けられます。

  • 電子制御モジュール

  • テープドライブ

  • DC 電源装置

ライブラリの電子制御モジュール

電子制御モジュールの右側に 2 台のファンが取り付けられており、ライブラリの電子装置を冷却します。ライブラリの両側から吸気され、ファンを経由してライブラリの背面へと排気されます。

  • ライブラリコントローラカード (HBCR) はファンが正しく動作しているかどうかをモニターします。

  • ファンのオレンジ色の「Fault」インジケータにより、障害が示されます。

2 台の専用ファンが取り付けられていますが、1 台のファンでライブラリや電子装置を十分に冷却できます。ファンはライブラリ操作を妨げることなく交換できます。障害が検知された場合はファンを交換してください。

テープドライブ

各テープドライブトレーには、ドライブを冷却するためのファンが 1 台取り付けられています。ファンの電源は、テープドライブの電源コンバータカードから供給されます。ドライブの前面から吸気され、ファンを経由してドライブ/ライブラリの背面へと排気されます。

DC 電源装置

各 1200 ワット DC 電源装置には、ファンが付いています。このファンでは、ライブラリから吸気して、電源の後ろを経由してライブラリの背面に排気します。