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Oracle® Fusion Middleware Oracle Data Integratorのアップグレード
12c (12.2.1.0)
E72515-01
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1 Oracle Data Integratorアップグレードの概要

この項では、Oracle Data Integratorをアップグレードする前に目を通して理解する必要がある項目をまとめています。

次のトピックでは、Oracle Data Integratorのアップグレードに関する概念について説明します。

1.1 Oracle Data Integratorをアップグレードする際の有効な開始ポイントの理解

サポートされている次の開始ポイントから、Oracle Data Integrator 12c (12.2.1.0)にアップグレードできます。

  • Oracle Data Integrator 11g リリース1 (11.1.1.6.0)

  • Oracle Data Integrator 11g リリース1 (11.1.1.7.0)

  • Oracle Data Integrator 12c (12.1.2)

  • Oracle Data Integrator 12c (12.1.3)

このガイドのアップグレード手順では、既存のOracle Data Integrator 11gドメインおよび既存の12.1.3ドメインをOracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.0)にアップグレードする方法について説明しています。アップグレードが必要なその他のコンポーネントがドメインに含まれる場合に備えて、サポート・ドキュメントへのリンクが提供されています。

既存のバージョンのOracle Data Integratorが11g リリース1 (11.1.1.6.0)より古い場合、12c (12.2.1.0)にアップグレードする前に、まず次のサポートされるバージョンのいずれかにソフトウェアをアップグレードする必要があります。

  • 11g リリース1 (11.1.1.6.0)にアップグレードするには、11g リリース1 (11.1.1.6.0)ドキュメント・ライブラリのOracle Fusion Middleware Oracle Data Integratorアップグレード・ガイドを参照してください。

  • 11g リリース1 (11.1.1.7.0)にアップグレードするには、11g リリース1 (11.1.1.7.0)ドキュメント・ライブラリのOracle Fusion Middleware Oracle Data Integratorアップグレード・ガイドを参照してください。

    注意:

    現在の開始ポイントが11.1.1.6である場合、まず11.1.1.7にアップグレードしてから12cにアップグレードすることをお薦めします。

    注意:

    12c (12.2.1)へのアップグレードは、11gリリース1 (11.1.1.6.0)、11gリリース1 (11.1.1.7.0)または12c (12.1.3)でのみサポートされます。

1.2 Oracle Data Integrator 11gとOracle Data Integrator 12cの重要な相違点

Oracle Data Integrator 11gとOracle Data Integrator 12cの間には、次の重要な相違点があります。

12cの新機能を全般的に理解するには、Oracle Fusion Middlewareの理解の新機能および変更された機能に関する項を参照してください。

使用している環境にOracle WebLogic ServerとOracle ADFが含まれている場合は、Application Developer 11gとInfrastructure 12cの主な違いに関する項を参照してください。

1.2.1 WebLogic Management Frameworkによるスタンドアロン・エージェントの管理

12cでは、Oracle Data Integratorスタンドアロン・エージェントなどのシステム・コンポーネントはWebLogic Management Frameworkで管理されます。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のWebLogic Management Frameworkの概要に関する項を参照してください。

1.2.2 独自のディレクトリへのスタンドアロン・エージェントのインストール

12cでは、スタンドアロン・エージェントはその他のODIコンポーネントとは別のディレクトリにインストールされます。

詳細は、『Oracle Data Integratorのインストールと構成』のスタンドアロン・エージェントの標準インストール・トポロジの理解に関する項を参照してください。

1.2.3 12.2.1へのリポジトリ・アップグレードでオブジェクト名の一意性が検証される

アップグレードでは、リポジトリを12.2.1にアップグレードする際に、多数のオブジェクトについて名前の重複が確認されます(ネームスペース・ルールに従って、つまり親の範囲で)。このチェックは最初に(実際のアップグレードが開始される前に)行われ、重複が検出された場合は、アップグレード・ログ内の重複リストを含むレポートを出力し、エラーで終了する必要があります。次に、Studioを使用して11gリポジトリに接続し、手動で(名前変更または削除により)重複を修正した後、アップグレードを再開する必要があります。

12.2.1では、次のオブジェクトは一意の名前を持つ必要があります。

  • インタフェース

  • フォルダ

  • プロシージャ/KM

    注意:

    ナレッジ・モジュールは、親スコープ内で一意の名前を持つ必要があります。独自プロジェクトのナレッジ・モジュールの場合と、グローバル・ナレッジ・モジュールの場合があります。

  • パッケージ

  • プロファイル

1.3 Oracle Data Integratorの標準アップグレード・トポロジの理解

Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator 11gソフトウェアを使用して、アプリケーション、組織およびアプリケーション・ユーザーのニーズに応じた様々な本番トポロジを作成できます。

そのため、考えられるすべてのOracle Data Integrator 11gインストールに対して正確なアップグレード手順を示すことは困難です。この問題を解決するために、このアップグレード・ドキュメントでは、いくつかの一般的なOracle Data Integrator構成をアップグレードする詳細な手順を説明しています。これらの一般的なトポロジを、12cの標準アップグレード・トポロジと呼びます。

実際のトポロジは異なる場合がありますが、ここで説明するトポロジを、他の同様のOracle Data Integratorトポロジをアップグレードする際の参考にしてください。

このガイドでは、次の特定のアップグレード・トポロジをアップグレードする方法について順を追って説明しています。

1.3.1 Java EEエージェントのOracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジ

図1-1 に、Oracle Fusion Middleware 11g Oracle Data Integrator Java EEの標準アップグレード・トポロジと、このガイドのアップグレード手順実行後のOracle Fusion Middleware 12c Oracle Data Integrator Java EEトポロジを示します。

このトポロジのアップグレード・ロードマップおよび手順は、Oracle Data Integrator Java EEエージェント環境の11gから12.2.1へのアップグレードにあります。

図1-1 Oracle Data Integrator Java EEエージェントのアップグレード・トポロジ

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Oracle Data Integrator Java EEエージェントのアップグレード・トポロジ」の説明

このトポロジ図のすべての要素については、表1-1 で説明しています。

表1-1 Oracle Data Integrator Java EE標準アップグレード・トポロジの要素の説明

要素 説明と追加ドキュメントへのリンク

11g Oracle Data Integrator Java EEトポロジ

これは図の左側のラベルです。Oracle Fusion Middleware 11g Oracle Data Integratorインストーラを使用して作成された一般的な単一ホスト・トポロジを示します。

これは、2つの管理対象サーバーのクラスタ、Java EEエージェントおよび管理サーバーが含まれる単一ドメインで構成されます。また、ドメインには、マスターおよび作業リポジトリ・スキーマのリレーショナル・データベースのほか、Oracle Platform Security Services (OPSS)のLDAPベース・ストアまたはファイル・ストアのいずれかが必要です。

このマニュアルでは、このトポロジを12cの同等のトポロジにアップグレードする方法について順を追って説明します。

12c Oracle Data Integrator Java EE標準インストール・トポロジ

これは図の右側のラベルです。Oracle Fusion Middleware 12c Oracle Data Integratorディストリビューションを使用して作成された一般的な単一ホスト・トポロジを示します。

11gトポロジと同様に、2つの管理対象サーバーのクラスタ、Java EEエージェント、管理サーバーのほか、マスターおよび作業リポジトリ・スキーマのデータベースが含まれる単一ドメインで構成されます。

11gトポロジとは異なり、OPSSに使用できるのはLDAPベース・ストアのみであり、ファイルベース・ストアは12cでは使用できません。

APPHOST

アプリケーション層をホストしているマシンを示す、Oracleドキュメントで使用される標準用語。

DBHOST

データベースをホストしているマシンを示す、Oracleドキュメントで使用される標準用語。

スキーマがあるデータベース

リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用してOracle Fusion Middlewareスキーマが作成された、サポートされているデータベースを表します。

WebLogicドメイン

論理的に関連するJavaコンポーネントのグループ(このケースでは、管理サーバー、管理対象サーバー、Java EEエージェントおよびその他の関連するソフトウェア・コンポーネント)。

詳細は、「Oracle WebLogic Serverドメインとは」を参照してください。

管理サーバー

ドメインの構成オブジェクトを管理し、管理対象サーバーに構成変更を配布する、ドメインの中央制御エンティティ。

詳細は、管理サーバーとは何かに関する項を参照してください。

Enterprise Manager

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlに関する項を参照してください。

クラスタ

同時に稼働し連携する、複数のWebLogic Serverインスタンスの集合。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解の管理対象サーバーと管理対象サーバー・クラスタの理解に関する項を参照してください。

マシン

1つまたは複数のWebLogic Serverインスタンス(サーバー)をホストするコンピュータを論理的に表現するもの。マシンは、ノード・マネージャを使用して管理対象サーバーを起動または停止するためにWebLogicの管理対象サーバーとノード・マネージャを論理的に結び付けるものでもあり、管理対象サーバーはマシンに関連付けされている必要があります。

管理対象サーバー

アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよび関連リソースをホストします。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解の管理対象サーバーと管理対象サーバー・クラスタの理解に関する項を参照してください。

Java EEエージェント

Java EEエージェントは、WebLogicドメイン内に構成された管理対象サーバー上にデプロイされ動作するJEEアプリケーションです。

これらのエージェントの詳細およびこれらをOracle Data Integratorトポロジ全体に適合させる方法の詳細は、『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』のOracle Data Integratorトポロジの概要に関する項を参照してください。

Oracle JRF

Oracle JRF (Java Required Files)は、Oracle WebLogic Serverインストールに含まれておらず、Oracleビジネス・アプリケーションおよびアプリケーション・フレームワークに共通の機能を提供するコンポーネントで構成されています。

JRFには、共通の場所にデプロイされる、いくつかの個別に開発されたライブラリおよびアプリケーションが含まれています。Java Required Filesに属すると見なされるコンポーネントには、Oracle Application Development Frameworkの共有ライブラリやODLロギング・ハンドラなどがあります。

インフラストラクチャ

次のものを含むサービスのコレクションを表すOracle Fusion Middleware 12cの用語(Oracle JRFと同様)。

  • メタデータ・リポジトリ(MDS)

    これにはOracle Application Developer Frameworkなどの、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのメタデータが含まれます。

    詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のメタデータ・リポジトリの概要に関する項を参照してください。

  • Oracle Application Developer Framework (ADF)

  • Oracle Web Services Manager(OWSM)

1.3.2 WebLogicドメインに登録されていないスタンドアロン・エージェントのOracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジ

11g リリース1 (11.1.1.6.0)および11g リリース1 (11.1.1.7.0)では、次の(WebLogicドメインに登録されていない)スタンドアロン・エージェント構成が可能でした。

  • スタンドアロンOracleインスタンスとしてのスタンドアロン・エージェント

  • OPMNで管理されるスタンドアロン・エージェント

図1-2 に、(WebLogicドメインに登録されていない)スタンドアロン・エージェントの11g Oracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジと、このガイドのアップグレード手順実行後のOracle Fusion Middleware 12cトポロジを示します。

このトポロジのアップグレード・ロードマップおよび手順は、Oracle Data Integratorスタンドアロン・エージェント環境(WebLogicドメインなし)の11gから12.2.1へのアップグレードにあります。

図1-2 WebLogicドメインに登録されていないスタンドアロン・エージェントのOracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジ

図1-2の説明が続きます。
「図1-2 WebLogicドメインに登録されていないスタンドアロン・エージェントのOracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジ」の説明

このトポロジ図の大部分の要素を表1-1 に示します。

追加要素と図1-1 の要素とは異なるものを次の表1-2 に示します。

表1-2 スタンドアロン・エージェントの標準アップグレード・トポロジの要素の説明

要素 説明と追加ドキュメントへのリンク

11g Oracle Data Integratorスタンドアロン・トポロジ

これは図の左側のラベルです。Oracle Fusion Middleware 11g Oracle Data Integratorインストーラを使用して作成された一般的な単一ホスト・トポロジを示します。

これは、1台のマシン上の単一スタンドアロン・エージェント(OracleDIAgent1)で構成されます。スタンドアロン・エージェントはOPMNで管理される場合とそうでない場合があり、アップグレード手順は、11gスタンドアロン・エージェントがOPMNで管理されるかどうかによって多少異なります。

マスターおよび作業リポジトリのリレーショナル・データベースも必要であり、図に示しています。

このマニュアルでは、このトポロジを12cの同等のトポロジにアップグレードする方法について順を追って説明します。

12c Oracle Data Integratorスタンドアロン・エージェント標準インストール・トポロジ

これは図の右側のラベルです。Oracle Fusion Middleware 12c Oracle Data Integratorディストリビューションを使用して作成された一般的な単一ホスト・トポロジを示します。

これは、スタンドアロン・ドメイン内に構成された単一スタンドアロン・エージェント(OracleDIAgent1)と、マスターおよび作業リポジトリのリレーショナル・データベースで構成されます。

スタンドアロン・エージェント

スタンドアロン・エージェントは、独立したJava仮想マシン(JVM)プロセスで動作するOracle Data Integratorエージェントです。

11gでは、スタンドアロン・エージェントはインストールの一部として直接作成されます。

システム・コンポーネント

12cでは、スタンドアロン・エージェントを作成する前にスタンドアロン・ドメインを作成する必要があります。システム・コンポーネントは、WebLogic Management Frameworkで管理されるスタンドアロン・エージェントに対応しています。

スタンドアロン・ドメイン

詳細は、「スタンドアロン・ドメイン」を参照してください。

1.3.3 WebLogicドメインに登録されたスタンドアロン・エージェントのOracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジ

Oracle Data Integrator 11gでは、WebLogicドメイン内にOPMNで管理されるスタンドアロン・エージェントを構成することが可能でした。

図1-3 に、(WebLogicドメインに登録されていない)スタンドアロン・エージェントの11g Oracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジと、このガイドのアップグレード手順実行後のOracle Fusion Middleware 12cトポロジを示します。

このトポロジのアップグレード・ロードマップおよび手順は、Oracle Data Integratorスタンドアロン・エージェント環境(WebLogicドメインなし)の11gから12.2.1へのアップグレードにあります。

図1-3 WebLogicドメインに登録されたスタンドアロン・エージェントのOracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジ

図1-3の説明が続きます
「図1-3 WebLogicドメインに登録されたスタンドアロン・エージェントのOracle Data Integrator標準アップグレード・トポロジ」の説明

このトポロジ図の大部分の要素を表1-1 および表1-2 に示します。

追加要素と前の図の要素とは異なるものを次の表1-2 に示します。

表1-3 WebLogicドメインに登録されたスタンドアロン・エージェントの標準アップグレード・トポロジの要素の説明

要素 説明と追加ドキュメントへのリンク

11g Oracle Data Integratorスタンドアロン・トポロジ

これは図の左側のラベルです。Oracle Fusion Middleware 11g Oracle Data Integratorインストーラを使用して作成された一般的な単一ホスト・トポロジを示します。

これは、1台のマシン上の単一スタンドアロン・エージェント(OracleDIAgent1)で構成されます。スタンドアロン・エージェントはOPMNによって管理され、それ自体が存在するWebLogicドメインに登録されています。

マスターおよび作業リポジトリのリレーショナル・データベースも必要であり、図に示しています。

このマニュアルでは、このトポロジを12cの同等のトポロジにアップグレードする方法について順を追って説明します。

12c Oracle Data Integratorスタンドアロン・エージェント標準インストール・トポロジ

これは図の右側のラベルです。Oracle Fusion Middleware 12c Oracle Data Integratorディストリビューションを使用して作成された一般的な単一ホスト・トポロジを示します。

これは、WebLogicドメイン内に構成された単一スタンドアロン・エージェント(OracleDIAgent1)と、マスターおよび作業リポジトリのリレーショナル・データベースで構成されます。

1.4 Upgrade Assistantを使用したアップグレード前の準備状況チェックの実行

Upgrade Assistantを-readinessモードで実行することにより、実際にアップグレードを実行する前にアップグレードの潜在的な問題を特定できます。準備状況チェックは、システムがオンライン中に実行できます。準備状況チェックは、既存のドメインまたはデータベース・スキーマをスキャンし、スキャンの結果が記載されたテキスト・ファイルを生成する読取り専用操作です。準備状況チェックでは、スキーマが特定のドメインの一部である必要はありません。アップグレード前の環境に問題がある場合、アップグレードする前にこれらの問題を修正してから、準備状況チェックを再実行できます。

注意:

Upgrade Assistantによってのみ実行可能なアップグレード手順は、準備状況チェック機能によってチェックされます。

または、準備状況チェックを-responseモードで実行して、レスポンス・ファイルを使用してサイレント準備状況チェックを実行することもできます。

アップグレード・プロセスの調査フェーズは別の操作です。通常、調査フェーズ中に実行されるチェックより、準備状況チェックの方が徹底しています。準備状況チェックは、実際のアップグレードを開始する前に実行する読取り専用プロセスです。調査フェーズは「アップグレード」をクリックする直前に移行し、スキーマおよび構成問題に関する潜在的な問題を特定します。

注意:

準備状況チェックは、実際にアップグレードを開始する前にのみ実行する必要があります。すでにアップグレード手順を実行した場合、準備状況チェックを実行しないでください。実行しても結果が正しくない可能性があります。

注意: アップグレードを実行した際に、アップグレードの正常な実行を妨げる問題が発生した場合、バックアップを使用してアップグレード前の環境に戻し、アップグレードを再実行する必要がある場合があります。準備状況チェックを実行すると、これらの問題の一部を特定し、システムのダウンタイムが延長されることを回避できます。

アップグレード・アシスタントの準備状況チェックと、その他のアップグレード前タスクの詳細は、「Oracle Fusion Middlewareのアップグレード前チェックリスト」を参照してください。