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Oracle® Fusion Middleware Upgrade Assistantによるアップグレード
12c (12.2.1)
E69941-02
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1 Upgrade Assistantの使用方法

Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantは、多くのアップグレード・タスクを自動化します。このトピックでは、Upgrade Assistantの使用方法について説明します。
アップグレード・タスクは、Upgrade Assistantを使用して実行します。また、Upgrade Assistantを–readinessモードで使用することにより、アップグレードする前に準備状況チェックを実行することもできます。

注意:

Upgrade Assistantを起動する前に、『Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング』、サポートされているアップグレード開始点の詳細を説明したコンポーネント固有のドキュメントおよび特定のインストール・タイプの前提条件とアップグレード・パスを参照してください。

ここでは、以下の項目について説明します。

1.1 Upgrade Assistantについて

Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを使用して、サポートされている11gおよび12cのコンポーネント・スキーマ、コンポーネント構成およびスタンドアロン・システム・コンポーネント構成をFusion Middleware 12c (12.2.1)にアップグレードします。リリース12c (12.2.1)時点では、Upgrade Assistantを使用して、アップグレード前の準備状況チェックを実行することもできます。

Upgrade Assistantは、Fusion Middleware 12c (12.2.1)インストールの次の場所にあります。
  • UNIXオペレーティング・システムでは、Upgrade Assistantは次の場所にあります

    oracle_common/upgrade/bin/ua

  • Windowsオペレーティング・システムでは、Upgrade Assistantは次の場所にあります

    oracle_common\upgrade\bin\ua

Upgrade Assistantを実行すると、次のタスクが実行されます。

  • Upgrade Assistantを—readinessモードで実行すると、ドメインに関連付けられたスキーマおよびコンポーネント構成に対してアップグレード前のチェックが実行されます。このチェックは、ドメインがオンラインであるときに実行する必要があります。
  • スキーマ・アップグレードの場合、管理サーバーはオフラインであり、Upgrade Assistantは現在のOracleホーム・ディレクトリを調査し、アップグレード対象のコンポーネント・スキーマのリストを特定します。また、存在する特定の依存関係情報に基づいて、スキーマ・アップグレードの順序を決定します。
  • コンポーネント構成のアップグレードの場合、管理サーバーはオフラインであり、アップグレードするコンポーネント構成のリストは、ドメイン構成をオフラインで読み取ることで特定されます。

    注意:

    Upgrade Assistantを拡張する前に、SYSDBA以外のユーザーを作成することをお薦めします。

1.2 12cアップグレード・プロセス全体におけるUpgrade Assistantの使用方法

Upgrade Assistantを他のFusion Middlewareツールおよびプロセスとともに使用して、11gおよび12cコンポーネントの12c (12.2.1)へのアップグレードを実行します。

11gから12cへのアップグレード・プロセスは、以前のリリースからのアップグレードの場合と大きく異なります。アップグレード・プロセスにおけるUpgrade Assistantおよび他のアップグレード・ツールの使用方法を理解するには、12cアップグレード・プロセスの理解に関する項を参照してください

通常のアップグレードでは、次で説明するように、Upgrade Assistantを複数回使用できます。

1.2.1 Upgrade Assistantを使用したアップグレード前の準備状況チェックの実行

Upgrade Assistantを-readinessモードで実行することにより、実際にアップグレードを実行する前にアップグレードの潜在的な問題を特定できます。準備状況チェックは、システムがオンライン中に実行できます。準備状況チェックは、既存のドメインまたはデータベース・スキーマをスキャンし、スキャンの結果が記載されたテキスト・ファイルを生成する読取り専用操作です。準備状況チェックでは、スキーマが特定のドメインの一部である必要はありません。アップグレード前の環境に問題がある場合、アップグレードする前にこれらの問題を修正してから、準備状況チェックを再実行できます。

注意:

Upgrade Assistantによってのみ実行可能なアップグレード手順は、準備状況チェック機能によってチェックされます。

または、準備状況チェックを-responseモードで実行して、レスポンス・ファイルを使用してサイレント準備状況チェックを実行することもできます。Upgrade Assistantでのレスポンス・ファイルの使用の詳細は、「レスポンス・ファイル・モードでのUpgrade Assistantの起動」を参照してください。

アップグレード・プロセスの調査フェーズは別の操作です。通常、調査フェーズ中に実行されるチェックより、準備状況チェックの方が徹底しています。準備状況チェックは、実際のアップグレードを開始する前に実行する読取り専用プロセスです。調査フェーズは「アップグレード」をクリックする直前に移行し、スキーマおよび構成問題に関する潜在的な問題を特定します。

注意:

準備状況チェックは、実際にアップグレードを開始する前にのみ実行する必要があります。すでにアップグレード手順を実行した場合、準備状況チェックを実行しないでください。実行しても結果が正しくない可能性があります。

アップグレード前の準備状況チェックの実行の詳細は、「アップグレード前の準備状況チェックの実行」を参照してください。

注意: アップグレードを実行した際に、アップグレードの正常な実行を妨げる問題が発生した場合、バックアップを使用してアップグレード前の環境に戻し、アップグレードを再実行する必要がある場合があります。準備状況チェックを実行すると、これらの問題の一部を特定し、システムのダウンタイムが延長されることを回避できます。

1.2.2 Upgrade Assistantを使用したスキーマのアップグレードについて

Upgrade Assistantにはスキーマのアップグレードに対して2つのオプションが用意されています。「個別に選択されたスキーマ」および「ドメインで使用されるすべてのスキーマ」です。

個別に選択されたスキーマ

このオプションを使用すると、アップグレードするコンポーネント・スキーマを選択できます。ドメイン内にアップグレードしないコンポーネント・スキーマがある場合に、このオプションを選択します。

たとえば、ドメインの外部にあるRCUを使用してスキーマを作成してUpgrade Assistantを試行してから、Upgrade Assistantを使用してこれらをアップグレードします。

ドメインで使用されるすべてのスキーマ

このオプションにより、Upgrade Assistantは指定したドメイン内のすべての使用可能なスキーマを検出し、それらをアップグレードに含めることができます。

1.2.3 再構成ウィザードを使用したドメインの再構成

スキーマがアップグレードされたら、別の再構成ウィザードを使用して、既存のドメインを再構成します。

再構成ウィザードの使用方法の詳細は、「WebLogicドメインの再構成」を参照してください。

1.2.4 Upgrade Assistantを使用したコンポーネント構成のアップグレード

ドメインが再構成されたら、Upgrade Assistantを再度使用して、コンポーネント構成をアップグレードします。

1.3 Upgrade Assistantでアップグレードできるスキーマの識別

Upgrade Assistantはアップグレード可能なすべてのスキーマを識別し、含めます。アップグレードするスキーマを選択することもできます。アップグレードを開始する前に、使用可能なスキーマのリストを確認するには、スキーマのバージョン・レジストリを問い合せます。

ヒント:

スキーマ・バージョン・レジストリから収集した情報と対応するスキーマを比較し、ドメイン内にまだアップグレードできないスキーマがあるかどうかを判断します。

Oracle Databaseを使用する場合、Oracle DBA権限を持つユーザーとしてデータベースに接続し、SQL*Plusから次を実行して現行のバージョン番号を取得します。

SET LINE 120
COLUMN MRC_NAME FORMAT A14
COLUMN COMP_ID FORMAT A20
COLUMN VERSION FORMAT A12
COLUMN STATUS FORMAT A9
COLUMN UPGRADED FORMAT A8
SELECT MRC_NAME, COMP_ID, OWNER, VERSION, STATUS, UPGRADED FROM SCHEMA_VERSION_REGISTRY ORDER BY MRC_NAME, COMP_ID ;

SQLスクリプト(version.sqlなど)に保存されると、次のレポートが生成されます。

VERSIONの数値が11.1.1.6.0以上で、STATUS列がVALIDであれば、そのスキーマはアップグレードでサポートされます。

あるスキーマではアップグレードの必要がない場合、schema_version_registry表には、12.2.1アップグレード後もアップグレード前のバージョンでそのスキーマが保持されます。

アップグレードが必要なスキーマに関する注意

  • ほとんどのコンポーネントで、アップグレードできるスキーマ・バージョンの開始点は、11gリリース1 (11.1.1.6、1.1.1.7、11.1.1.8または11.1.1.9)または12c (12.1.2または12.1.3)のみです。スキーマが、サポートされているバージョンでない場合、12c (12.2.1)のアップグレード手順を使用する前に、それらをアップグレードする必要があります。

    Oracle Enterprise Data QualityやOracle Golden Gate Veridataなど、一部のコンポーネントでは、サポートされている標準的なOracle Fusion Middlewareバージョン以外のバージョンからのアップグレードがサポートされています。

    アップグレードに必要なスキーマに関する追加情報は、コンポーネント固有のインストールおよびアップグレードのドキュメントを参照してください。

  • 11gでファイルベースのポリシー・ストアを使用していた場合、Upgrade Assistantを実行する前に、ファイルベースのポリシー・ストアをデータベースベースのセキュリティ・ストアに再度関連付ける必要があります。

    詳細は、「アップグレード前のファイルベースのポリシー・ストアの再関連付け」を参照してください。

  • 11gでOIDベースのポリシー・ストアを使用していた場合は、アップグレード前に新しい12c OPSSスキーマが作成済であることを確認してください。

  • Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1)リリースでアップグレード可能な製品のスキーマのみをアップグレードできます。まだ12c (12.2.1)へのアップグレードが可能になっていないコンポーネントを含むドメインをアップグレードしないでください。

1.4 このリリースにアップグレード可能なコンポーネント・スキーマ

データベースにスキーマが作成されると、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)は、schema_version_registryという表を作成して維持します。一部のスキーマではアップグレードが必要ない場合があるため、アップグレードを実行する前にこの表を参照してください。

注意: 「スキーマ」列は、接頭辞とスキーマ名の間にアンダースコア(_)を使用したデフォルトのスキーマ名フォーマットを示します。デフォルトの接頭辞はDEVですが、RCUを使用すると、スキーマに新しく接頭辞を作成できます。

表1-1 Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1)へアップグレードできるスキーマ

コンポーネント名 スキーマ アップグレード前のスキーマ・バージョン アップグレード後のスキーマ・バージョン 依存関係および追加情報

AS共通スキーマ

監査サービス1

prefix_IAU

11.1.1.6

11.1.1.7

11.1.1.9

12.1.2

12.1.3

12.2.1

依存関係はありません。

このスキーマの最新バージョンは12.2.1です。

メタデータ・サービス

prefix_MDS

11.1.1.6.

11.1.1.7

11.1.1.9

12.1.2

12.1.3

12.2.1

依存関係はありません。

このスキーマの最新バージョンは12.2.1です。

プラットフォーム・セキュリティ・サービス2

prefix_OPSS

11.1.1.6

11.1.1.7

11.1.1.9

12.1.2

12.1.3

12.2.1

prefix_IAUスキーマを最初にアップグレードする必要があります。

共通インフラストラクチャ・サービス(LocalSvcTbl)

prefix_STB

12.1.2

12.1.3

12.1.3

SOAINFRAなどの他のコンポーネントを12c (12.2.1)にアップグレードする場合は、prefix_STBスキーマを12.1.3にアップグレードする必要があります。

ユーザー・メッセージング・サービス

prefix_ORASDPM

11.1.1.6

11.1.1.7

11.1.1.9

12.1.2

12.1.3

12.2.1

12.2.1の新規インストールであるシステムをアップグレードする場合、スキーマ名はprefix_UMSになります。

WebLogic診断フレームワーク

prefix_WLDF

11.1.1.6

11.1.1.7

12.1.2

12.2.1

 

Oracle Data Integrator

Data Integrator (マスターおよび作業リポジトリ)

prefix_ODI_REPO

11.1.1.6

11.1.1.7

11.1.1.9

12.1.2

12.1.3

12.2.1

なし。

Oracle SOA Suite

SOAインフラストラクチャ(Oracle Business Activity Monitoring、Business Process ManagementおよびOracle Service Busを含む)

prefix_SOAINFRA

11.1.1.6

11.1.1.7

11.1.1.9

12.1.3

12.2.1

prefix_STBスキーマを最初にアップグレードする必要があります。

Oracle Enterprise Scheduler

prefix_ESS

11.1.1.6

11.1.1.7

11.1.1.9

12.1.3

12.2.1

 

Oracle Managed File Transfer。

prefix_MFT

12.1.3

12.2.1

prefix_MDS、prefix_IAUおよびprefix_UMSもアップグレードする必要があります。

Oracle WebCenter

Oracle WebCenter Contentサーバー

prefix_OCS

11.1.1.6

11.1.1.7

11.1.1.83

11.1.1.9

12.2.1

prefix_MDSスキーマを最初にアップグレードする必要があります。

Oracle WebCenter Enterprise Capture

prefix_CAPTURE

11.1.1.8

12.2.1

prefix_MDSおよびprefix_OPSSスキーマを最初にアップグレードする必要があります。

Oracle WebCenterポータル

prefix_PORTLET

prefix_ACTIVITIES

prefix_DISCUSSIONS

prefix_DISCUSSIONS_CRAWLER

prefix_WEBCENTER

11.1.1.74

11.1.1.8

12.2.1

prefix_MDSスキーマを最初にアップグレードする必要があります。

Oracle Enterprise Data Quality

Enterprise Data Quality

prefix_EDQCONF

prefix_EDQRES

11.1.1.7.3

12.1.3

12.2.1

 

Oracle Golden Gate Monitor

Golden Gate Monitor

prefix_OGGMON

11.1.1.7

12.1.3

12.2.1

 

Oracle Golden Gate Veridata

Veridata

prefix_VERIDATA

11.2.1

12.1.3

12.2.1

 

1.5 Upgrade Assistantでアップグレードできる構成の識別

Upgrade Assistantを使用して構成をアップグレードすると、構成されるコンポーネントおよび最新バージョンにアップグレードできるコンポーネントのリストがUpgrade Assistantによって自動的に作成されます。Upgrade Assistantを実行してスキーマをアップグレードした後は、再構成ウィザードを使用してドメインを再構成します。再構成した後、残りの構成プロパティをアップグレードするには、再度Upgrade Assistantを使用します。

Upgrade Assistantを使用して、次のコンポーネント構成を12c (12.2.1)にアップグレードできます。

  • Oracle Data Integrator (ODI)

  • Oracle Enterprise Data Quality (EDQ)

  • Oracle Forms

  • Oracle Reports

  • Oracle Golden Gate Monitor (OGGMON)

  • Oracle Golden Gate Veridata

  • Oracle HTTP Server(OHS)

  • JRFインフラストラクチャ

  • Oracle MapViewer

  • Oracle Managed File Transfer (MFT)

  • Oracle Traffic Director (OTD)

  • Oracle User Messaging Service(UMS)

  • Oracle WebCenter Content (WCC)

  • Oracle Web Services Manager。

注意: 推奨されないか12.2.1リリースではまだ使用できない既存のFusion Middleware 11gコンポーネントを使用し続ける場合は、アップグレードを試みないでください

アップグレードしたコンポーネントとともにこれらを使用し続ける場合は、アップグレードする前にこのリリースの相互運用性および互換性ガイドを参照してください。アップグレードによってFusion Middleware 11gコンポーネントに非互換性の問題が発生するかを確認する必要があります。

1.6 Upgrade Assistantの使用を開始する前に

この項では、Upgrade Assistantを実行する前に実行する必要がある手順について説明します。

1.6.1 アップグレード前の要件を満たしているかどうかの検証

アップグレード前のチェックリストを参照して、アップグレード前の要件をすべて満たしているか確認してください。また、アップグレードする各コンポーネントに対してコンポーネント固有のアップグレード前のタスクがすべて完了していることも確認してください。

Oracle Fusion Middlewareアップグレード前のチェックリスト

注意:

Oracle Fusion Middlewareアップグレード前のチェックリストに加え、各コンポーネントには、アップグレード前に実行するコンポーネント固有の追加のタスクが必要な場合があります。アップグレードを開始する前に、必ずコンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。

1.6.2 アップグレード前のサーバーとプロセスの停止

Upgrade Assistantを実行する前に、すべてのOracle Fusion Middleware管理対象サーバー、管理サーバーおよびアップグレードするスキーマまたは構成データを使用している可能性があるシステム・コンポーネント(OHSなど)を停止します。

また、Fusion Middlewareデータベース・スキーマを含むデータベースは、Upgrade Assistantを実行する前に停止する必要があります。データベース・サーバーをシャットダウンして再起動するか、Upgrade Assistantによってアップグレードされるデータベース・インスタンス上で他のデータベース・ユーザーが稼働していないことを確認します。これを行わないと、結果としてアップグレードが不完全になったり、障害が発生する場合があります。

ノード・マネージャを実行している場合は、ノード・マネージャも停止する必要があります。これを行うには、ノード・マネージャが実行されているコンソール・ウィンドウを閉じるか、stopNodeManager WLSTコマンドを使用します。

Oracle Fusion Middlewareの停止手順は、Oracle Fusion Middleware環境の停止についての説明を参照してください。

1.7 Upgrade Assistantの起動

Upgrade Assistantはスキーマのアップグレード、コンポーネント構成およびスタンドアロン・システムのコンポーネント構成に使用されます。

他のドメインのアップグレードを開始する前に、単一のドメインのスキーマのアップグレードおよびコンポーネント構成を正常に完了させることをお薦めします。

注意:

Upgrade Assistantは可能であればいつでも、SYSDBA以外のユーザーが実行する必要があります。非SYSDBAユーザーの作成手順については、「非SYSDBAユーザーの作成」に記載されています。
Upgrade Assistantを起動するには、次の手順に従います。
  1. Unixオペレーティング・システムでは、ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    Windowsオペレーティング・システムでは、ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\binディレクトリに移動します。
  2. 次のコマンドを入力して、アップグレード・アシスタントを起動します。

    UNIXオペレーティング・システムの場合:

    ./ua

    Windowsオペレーティング・システムの場合:

    ua.bat

    Upgrade Assistantの各画面で必要な情報を指定します。表示される画面は、選択するアップグレードのタイプによって異なります。

1.8 Upgrade Assistantを使用したスキーマのアップグレード

スキーマを持つコンポーネントが含まれているOracleホームからUpgrade Assistantを実行する場合、「スキーマ」アップグレード・オプションが表示されます。Upgrade Assistantにより、スキーマのアップグレード候補のコンポーネントのみがリストされます。コンポーネント・リストからアップグレードするスキーマを選択できます。

表1-2に、スキーマをアップグレードするためにUpgrade Assistantを実行したときに表示される画面を示しますが、これは選択するオプションによって異なります。

表1-2 スキーマのアップグレード: Upgrade Assistantのナビゲート画面

画面のタイトル 画面が表示されるタイミング 説明

ようこそ

常時。

この画面では、アップグレード・アシスタントの概要と、アップグレード前の重要なタスクについての情報が示されます。

スキーマ

常時。

この画面で、実行するスキーマのアップグレード操作を選択します。画面上のオプションは、次で選択したオプションに応じて変わります。

  • 個別に選択されたスキーマ

  • ドメインで使用されるすべてのスキーマ

使用可能なコンポーネント

個別に選択されたスキーマを選択した場合。

この画面では、アップグレード可能なスキーマがあるインストール済のOracle Fusion Middlewareコンポーネントのリストが提供されます。コンポーネントを選択すると、スキーマとすべての依存関係が自動的に選択されます。

すべてのスキーマのコンポーネント・リスト

「ドメインで使用されるすべてのスキーマ」を選択した場合。

この画面は読取り専用で、アップグレードに含まれる特定のドメイン・ディレクトリ内のすべてのコンポーネントおよびスキーマが表示されます。

前提条件

常時。

この画面では、アップグレードを続行する前にすべての前提条件が満たされていることを確認する必要があります。続行する前にボックスを確認します。

スキーマ資格証明画面

常時。

この画面で、選択したスキーマとそのスキーマをホストするデータベースへの接続に必要な情報を入力します。

画面名は、選択したスキーマ・タイプによって変わります(例: MDSスキーマ)。

リリース12.1.2のUCSUMSスキーマでは、コンポーネントIDまたはスキーマ名が変わるため、Upgrade Assistantは、使用可能なスキーマを自動的に認識し、それらをドロップダウン・リストに表示することはありません。テキスト・フィールドに手動で名前を入力する必要があります。名前は、アップグレードの開始点に応じて、prefix_ORASDPMまたはprefix_UMSのいずれかになります。

調査

常時。

この画面には、各コンポーネントを調査し、コンポーネントのアップグレード準備が整っていることを検証するUpgrade Assistantのステータスが表示されます。

注意:

調査フェーズ中に検出された問題は、バックアップからリストアしなくても修正できます。

アップグレード・サマリー

常時。

この画面で、選択したオプションのサマリーをレビューし、アップグレード・プロセスを開始します。

アップグレードの進行状況

常時。

この画面には、アップグレード処理のステータスが表示されます。

アップグレード成功

アップグレードに成功した場合。

アップグレードが成功しました。新規インストールでコンポーネントを機能させるために手動で実行する必要のあるタスクが、アップグレード後のアクションのウィンドウに表示されます。

アップグレード失敗

アップグレードに失敗した場合。

アップグレードは特定のコンポーネントで失敗しました。Upgrade Assistantを再起動する必要があります。

Upgrade AssistantのログはORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logsにあります。

注意:

アップグレードで障害が発生した場合、アップグレード前の環境をバックアップからリストアし、問題を修正して、Upgrade Assistantを再起動する必要があります。この操作中にファイルが変更されているため、この問題を修正してUpgrade Assistantを再起動することはできません。

SOA SuiteおよびBPMのアップグレードの場合のみ:

クローズされているアクティブなSOAインスタンス・データの12c (12.2.1)へのアップグレードは、Upgrade AssistantでのSOAスキーマ・アップグレード・プロセスの一部として自動的に行われます。詳細は、「SOAインスタンス・データのアップグレードの管理と監視」を参照してください。

1.9 Oracle WebLogicコンポーネント構成のアップグレード

管理対象WebLogicドメインのコンポーネントを含むOracleホームからUpgrade Assistantを実行する場合、「ドメインによって使用されるすべての構成」アップグレード・オプションを使用できます。

コンポーネント・スキーマをアップグレードした後、再構成ウィザードを実行して、ドメインを再構成する必要があります。詳細は、再構成ウィザードを使用したOracle WebLogicドメインの再構成に関する項を参照してください。ドメインを再構成した後、Upgrade Assistantを再度使用して、この項の説明に従ってコンポーネント構成をアップグレードします。

Oracle Web Services Manager (OWSM)などのWebLogicコンポーネント構成をアップグレードすると、Upgrade Assistantに次の画面が表示されます。

表1-3 Upgrade Assistant画面: Oracle WebLogicコンポーネント構成のアップグレード

画面 画面が表示されるタイミング 説明

ようこそ

常時。

この画面では、アップグレード・アシスタントの概要と、アップグレード前の重要なタスクについての情報が示されます。

ドメインによって使用されるすべての構成

アップグレード・タイプとして「ドメインによって使用されるすべての構成」を選択したときの画面名は、「WebLogicコンポーネント」です。

管理対象WebLogic Serverドメインのコンポーネント構成をアップグレードするには、「ドメインによって使用されるすべての構成」オプションを選択します。構成のアップグレードは、12.2.1ではオフラインです。アップグレードするドメインのドメイン・ディレクトリを入力してください。

WebLogic Serverのコンポーネント・リスト

「ドメインによって使用されるすべての構成」オプションが選択されている場合のみ。

この画面では、WebLogicドメインのコンポーネント構成アップグレードに含められるコンポーネントのリストが提供されます。ドメインの名前は、ドメイン内にあるコンポーネントのリストとともに提供されます。

前提条件

常時。

この画面では、アップグレードを続行する前にすべての前提条件が満たされていることを確認する必要があります。続行する前にボックスを確認してください。

ユーザー・メッセージング・サービスの構成

UMS 11g構成ファイルをホストするリモート管理対象サーバーがある場合(つまり、管理サーバーで、必要な構成ファイルにローカルにアクセスできない場合)のみ。

この画面では、UMS 11g構成ファイルをホストするリモート管理対象サーバーのログイン資格証明を指定します。必要な前提条件をすべて満たし、必要なログイン情報を指定した場合、アップグレード・アシスタントにより、リモート構成ファイルが自動的にコピーされます。

調査

常時。

この画面には、各コンポーネントを調査し、コンポーネントのアップグレード準備が整っていることを検証するUpgrade Assistantのステータスが表示されます。

アップグレード・サマリー

常時。

この画面を使用して、選択したオプションのサマリーをレビューし、アップグレード・プロセスを開始します。

アップグレードの進行状況

常時。

この画面には、アップグレード処理のステータスが表示されます。

アップグレード成功

または

アップグレード失敗

常時。

アップグレードが成功しました。新規インストールでコンポーネントを機能させるために手動で実行する必要のあるタスクが、アップグレード後のアクションのウィンドウに表示されます。

または

特定のコンポーネントのアップグレードが失敗したため、Upgrade Assistantを再起動する必要があります。

1.10 アップグレード後手順の実行

次のトピックでは、アップグレードの完了後に実行する基本的なタスクについて説明します。リストされている製品がアップグレードされていないために、これらのタスクの一部が環境に適用されない場合があります。

アップグレード後の手順の詳細は、必ずコンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。

注意: アップグレードした後は、この項で説明されたタスクを正常に完了できるようになっているはずです。これらのタスクのうち1つ以上が、新しくアップグレードした環境で完了できない場合、「アップグレードのトラブルシューティング」 を参照してください。

1.10.1 アップグレード後の基本的な管理タスクの実行

この項では、新しくアップグレードしたドメインで実行できる一般的な管理タスクについて説明します。

注意: 次の表内の管理タスクはオプションです。アップグレードした環境に適用するタスクのみを実行してください。

表1-4 アップグレード後の基本的な管理タスク

タスク 説明 詳細

製品およびサーバーの起動と停止

Oracle Fusion Middleware(管理サーバー、管理対象サーバー、コンポーネントを含む)起動と停止の方法について学習します。

これらのタスクを実行することで、アップグレードが成功しているか検証されます。

「Oracle Fusion Middlewareの起動と停止」

アップグレードされたアプリケーションの起動および停止

新しい12.2.1環境でアップグレードされたアプリケーションを起動して、正常に動作するが確認する方法を説明します。

「アプリケーションの起動と停止」

Secure Sockets Layer (SSL)の構成

Oracle Fusion Middlewareコンポーネント間で、SSLを使用したセキュアな通信を設定する方法について学習します。

Oracle Fusion MiddlewareでのSSLの構成に関する項

アプリケーションのデプロイ

アプリケーションをOracle Fusion Middlewareにデプロイする方法を学習します。

「アプリケーションのデプロイ」

Oracle Fusion Middlewareのモニタリング

Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのステータスを追跡する方法を学習します。

「Oracle Fusion Middlewareの監視」

Web層のフロントエンドのWebLogicドメインへの追加

OracleのWeb層でWebページ(静的と動的)をホストし、組込みのクラスタ、ロード・バランシングおよびフェイルオーバーの機能とともにセキュリティと高パフォーマンスを実現します。特にWeb層にはOracle HTTP Serverが含まれます。

Oracle HTTP Serverのインストールと構成

トポロジのCoherenceのチューニングと構成

標準インストール・トポロジには、記憶域が有効な管理対象Coherenceサーバーが含まれるCoherenceクラスタがあります。この構成はCoherenceの使用には適切な出発点ですが、特定の要件によっては、本番環境でのパフォーマンスを向上させるためにCoherenceをチューニングして再構成することを検討してください。

Coherenceクラスタの詳細は、「Coherenceクラスタの構成と管理」を参照してください

Coherenceのチューニングの詳細は、『Oracle Coherenceの管理』を参照してください。

HTTPセッション・データの格納の詳細は、「WebLogic ServerでのCoherence*Webの使用方法」を参照してください。

Coherenceアプリケーションの作成とデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Server Oracle Coherenceアプリケーションの開発 』を参照してください。

1.10.2 正常なスキーマ・アップグレードの検証

次のSQLコマンドを使用して、schema_version_registryのスキーマ・バージョンが正しくアップグレードされていることを検証できます。

SET LINE 120
COLUMN MRC_NAME FORMAT A14
COLUMN COMP_ID FORMAT A20
COLUMN VERSION FORMAT A12
COLUMN STATUS FORMAT A9
COLUMN UPGRADED FORMAT A8
SELECT MRC_NAME, COMP_ID, OWNER,
VERSION, STATUS, UPGRADED FROM 
SCHEMA_VERSION_REGISTRY ORDER BY MRC_NAME, COMP_ID ;

VERSION列内の数値はすべて、アップグレード前のチェック時に指定したバージョンである必要があります。詳細は、「Upgrade Assistantでアップグレードできるスキーマの識別」を参照してください。

問合せ結果のSTATUSフィールドは、スキーマへのパッチ適用処理中は「UPGRADING」または「UPGRADED」に、処理が終了すると「VALID」になります。

ステータスが「INVALID」と表示された場合は、ステータスのアップグレードが失敗しています。ログ・ファイルを調べて、失敗した理由を判定する必要があります。

1.10.3 無効なデータベース・オブジェクトの確認

Oracle Databaseを使用している場合は、Upgrade Assistantを実行した後、データベース・オブジェクトを再コンパイルしてください。そのためには、SYSとしてデータベースに接続し、SQL*Plusから次のコマンドを実行します。

SQL>@/rdbms/admin/utlrp.sql

これによって、アップグレード・アシスタントによってアップグレードされたデータベース・オブジェクトがコンパイルされます。

その後、次の問合せを発行して、無効なデータベース・オブジェクトがなくなったことを確認します。

SELECT owner, object_name FROM all_objects WHERE status='INVALID';

この時点では、アップグレードされたスキーマに、無効になっているデータベース・オブジェクトはないはずです。もしあった場合は、utlrp.sqlコマンドをもう一度実行して再確認します。問題が続く場合は、サービス・リクエストを提出します。

1

_IAUを11gの開始点からアップグレードすると、Upgrade Assistantは、2つの補助スキーマ(IAU_APPENDおよびIAU_VIEWER)を更新し、それらを12.2.1のschema_version_registryに追加します。これらのスキーマは、11.1.1.6または11.1.1.7のschema_version_registry表に含まれていませんでした。

2

リリース11.1.1.7より、OPSS監査データはJPS表ではなく、IAU共通の表に保存されます。_OPSSスキーマを11.1.1.6から12.2.1にアップグレードする場合、JPS表の既存データはレポートまたは監査目的では変更されないため、JPS表に列を追加してアップグレードする必要はありません。

3

エディション・ベースの再定義(EBR)対応のスキーマをサポートする最初のリリース

4

エディション・ベースの再定義(EBR)対応のスキーマをサポートする最初のリリース