Oracle RACデータベースは、Oracle Database Cloud Serviceにデータベース・デプロイメントを作成するときに作成できます。
Oracle RACは、Oracle Database機能を拡張し、異なる計算ノードで複数のデータベース・インスタンスを同時に使用できるようにします。 これにより、データを効率的に格納、更新および取得するために複数のデータベース・インスタンス間でワークロードをスケーリングできるようになります。
Oracle RACには、複数のサーバーおよびデータベース・インスタンスをクラスタと呼ばれる単一のサーバー・セットとして管理するソフトウェアが用意されています。 データベースを構成するデータ・ファイルは、クラスタの一部としてすべてのサーバーからアクセス可能な共有ストレージ上に常駐します。 クラスタ内の各サーバーでは、Oracle RACソフトウェアが実行されます。
データ・ファイルとデータベース・インスタンスが1対1の関係を持つ単一インスタンスのOracleデータベースとは異なり、Oracle RACデータベースではデータ・ファイルとデータベース・インスタンスが1対多数の関係を持ちます。 これは、Oracle RACデータベース内で複数のデータベース・インスタンスから単一のデータベース・ファイルに同時にアクセスでき、データベース・クラスタ内の任意のデータベース・インスタンスからデータにアクセス可能になることを意味します。
これにより、希望のワークロードを実行するのに1つの計算ノードでは不十分な場合、この計算ノードの範囲を超えて水平方向のスケーラビリティを使用できるようになります。 さらに、データベース・インスタンスまたは計算ノードが失敗した場合、データベースおよびデータの可用性も増大します。 失敗したデータベース・インスタンスまたは計算ノードの再起動中、残りのデータベース・インスタンスを使用して操作を続行できます。 また、1つ以上のデータベース・インスタンスを持つことで、ローリング・パッチのアップグレードも実行できるようになります。
Database Cloud ServiceでOracle RACデータベースを作成するには、Provision New Oracle Database Cloud Serviceウィザードで次のように選択します。
「Service Level」には、「Oracle Database Cloud Service」を選択します。
「Software Edition」には、「Enterprise Edition - Extreme Performance」を選択します。
Database Typeでは、Database Clustering with RACを選択します。
Compute Shape(「サービスの詳細」ページ上)では、「トライアル・アカウント用の2つのOCPU、またはサブスクリプション・アカウント用の4つ以上のOCPUを持つシェイプ」で図形を選択します。
これらの選択を行うと、Database Cloud Serviceで、データ、高速リカバリ領域およびREDOログ・ストレージを共有する2つの独立した計算ノード上にデータベースをホスティングする2ノードのOracle RACデータベースが作成されます。 これらの計算ノードは、Oracle Compute Cloudサービスによって提供される計算、ストレージおよびネットワーキング・リソースを使用して作成されます。
Oracle RACを使用しないデプロイメントと比較した、Oracle RACを使用するデプロイメントの管理
Oracle RACを使用するDatabase Cloud Serviceデプロイメントは、それぞれRACデータベース・インスタンスをホスティングする2つの計算ノードで構成されるため、少し異なる方法でデプロイメントを管理します。
クラウド・ツール: bkup_apiまたはdbaascliのかわりにraccliを使用します。 詳細は、raccliユーティリティを参照してください。
データベース・インスタンス、さらに計算ノードも個別に停止および開始できます。 このため、データベース・インスタンスまたは計算ノードを停止しなければならないメンテナンスの実行が必要な場合でも、データベースを利用し続けることができます。
Database Cloud ServiceのOracle RAC構成に関するその他の情報
クラスタ・サイズ: 現在、Database Cloud Serviceデプロイメント上におけるOracle RACデータベースは2ノード・クラスタに制限されています。
クラウド・ツール: スケーリング、バックアップとリカバリ、およびパッチ適用といった共通の管理タスク用にOracle Cloudツールが用意されています。 詳細は、「データベース・デプロイメントのスケーリング」および「raccliユーティリティ」を参照してください。
クライアント・アクセスのためのネットワーキング: Oracle RACデータベースへのクライアント接続を可能にするには、クライアントのtnsnames.oraファイルの接続のエントリに特定のオプションを含めます。 詳細は、Oracle Net Servicesを使用したデータベースへのリモート接続を参照してください。
データベース・ファイル・ストレージ: データベース・データ・ファイル用のストレージ、高速リカバリ領域およびREDOログは、Linux LVMのかわりにOracle Automatic Storage Management (ASM)とOracle ASM Cluster File System (ACFS)を使用して作成ならびに管理されます。
含まれるソフトウェア: Oracle Grid Infrastructure、Oracle ASMおよびOracle ACFSが含まれます。現在、Oracle Application Express、Oracle REST Data ServicesおよびOracle DBaaSモニターは含まれません。