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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
リリース12.2.1.2
E82650-01
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8 エンタープライズ・デプロイメント用のホスト・コンピュータの準備

エンタープライズ・デプロイメント・トポロジを構成する前に、各コンピュータまたはサーバーで一連のタスクを実行することが重要です。これには、各ホストでのハードウェアおよびオペレーティング・システムの最小要件の検証、オペレーティング・システム・ユーザーおよびグループの構成、Unicodeサポートの有効化、必要な共有記憶域システムのホストへのマウント、および各ホストで必要な仮想IPアドレスの有効化が含まれます。

この章では、エンタープライズ・デプロイメントをホストする各コンピュータまたはサーバーから実行する必要があるタスクについて説明します。

8.1 各ホストの最小ハードウェア要件の検証

エンタープライズ・デプロイメントに必要なハードウェアを取得した後は、各ホスト・コンピュータが最小システム要件を満たしているか確認することが重要です。

エンタープライズ・デプロイメントに必要なハードウェアを取得したら、各ホスト・コンピュータにログインし、「エンタープライズ・デプロイメント・トポロジ用のハードウェアおよびソフトウェアの要件」に示すシステム要件を確認します。

Oracle Exalogicなどの仮想サーバー環境にデプロイしている場合、仮想サーバーそれぞれが最小要件を満たしていることを確認します。

十分なローカル・ディスク記憶域と共有記憶域が「エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備」で説明されているように構成されていることを確認します。

具体的には次のように十分なスワップ領域および一時領域を確保します。

  • スワップ領域: システムに500MB以上ある必要があります。

  • 一時領域: /tmpに500MB以上の空き領域がある必要があります。

8.2 Linuxオペレーティング・システムの要件の検証

この項では、エンタープライズ・デプロイメントの標準的なLinuxオペレーティング・システム設定を確認できます。

ホスト・コンピュータが最小オペレーティング・システム要件を満たしていることを確認するには、動作保証済のオペレーティング・システムがインストールされていることと、そのオペレーティング・システムに必要なパッチがすべて適用されていることを確認してください。

さらに、エンタープライズ・デプロイメント用の一般的なLinuxオペレーティング・システムの設定について、次の項を確認してください。

8.2.1 Linuxのカーネル・パラメータの設定

後で示すkernel-parameterおよびshell-limitの値のみが推奨値です。これらの値をチューニングしてシステムのパフォーマンスを最適化することをお薦めします。カーネル・パラメータの調整については、ご使用のオペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。

カーネル・パラメータは、トポロジのすべてのノードで表8-1に示す値以上の値に設定する必要があります。

次の表の値は、現行のLinuxの推奨値です。Linuxおよびその他のオペレーティング・システムの最新の推奨値は、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様を参照してください。

データベースをホストにデプロイしている場合、追加のカーネル・パラメータを変更する必要がある場合があります。『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Linux』 12c (12.2.1.2)のカーネル・パラメータの構成に関する項を参照してください。


表8-1 UNIXのカーネル・パラメータ

パラメータ

kernel.sem

256 32000 100 142

kernel.shmmax

4294967295


これらのパラメータを設定するには:

  1. rootとしてサインインし、ファイル/etc/sysctl.confのエントリを追加または修正します。
  2. ファイルを保存します。
  3. 次のコマンドを入力して、変更をアクティブ化します。
    /sbin/sysctl -p

8.2.2 UNIXシステムでのオープン・ファイル制限とプロセス数の設定

UNIXオペレーティング・システムでは、Open File Limit (オープン・ファイル制限)は重要なシステム設定です。ホスト・コンピュータ上で動作するソフトウェアのパフォーマンス全体に影響を及ぼす可能性があります。

Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントに適したOpen File Limit (オープン・ファイル制限)の設定のための指針として、「ホスト・コンピュータのハードウェア要件」を参照してください。

注意:

次の例はLinuxオペレーティング・システム用です。オペレーティング・システムのドキュメントを確認して、システムで使用するコマンドを判別します。

詳細は、次の項を参照してください。

8.2.2.1 現在開いているファイル数の表示

次のコマンドでオープンになっているファイル数を確認できます。

/usr/sbin/lsof | wc -l

オープン・ファイル制限を確認するには、次のコマンドを使用します。

Cシェル:

limit descriptors

Bash:

ulimit -n

8.2.2.2 オペレーティング・システムのオープン・ファイルおよびプロセス制限の設定

オープン・ファイル制限の値を変更する手順は次のとおりです。

  1. rootユーザーとしてサインインし、次のファイルを編集します。

    /etc/security/limits.conf

  2. limits.confファイルに次の行を追加します。(ここに示す値は例にすぎません):
    * soft  nofile  4096
    * hard  nofile  65536
    * soft  nproc   2047
    * hard  nproc   16384
    

    nofilesの値はオープン・ファイル制限を表します。nproc値はプロセス制限を表します。

  3. 変更内容を保存して、limits.confファイルを閉じます。
  4. ホスト・コンピュータを再起動します。

8.2.3 DNSまたはホスト・ファイルでのIPアドレスとホスト名の確認

Oracleソフトウェアのインストールを開始する前に、ホストのIPアドレス、完全修飾ホスト名および短縮名がすべてDNSサーバーに登録されていることを確認します。または、ローカルhostsファイルを使用して、次のようなエントリを追加することもできます。

IP_Address Fully_Qualified_Name Short_Name

次に例を示します。

10.229.188.205  host1.example.com  host1

8.3 オペレーティング・システムのユーザーおよびグループの構成

この項では、エンタープライズ・デプロイメントをホストする各コンピュータで定義するユーザーおよびグループのリストを示します。

グループ

各ノードに次のグループを作成する必要があります。

  • oinstall

  • dba

ユーザー

各ノードに次のユーザーを作成する必要があります。

  • nobody: 権限のないユーザー。

  • oracle: Oracleソフトウェアの所有者。別の名前も使用できます。このアカウントのプライマリ・グループはoinstallにする必要があります。このアカウントは、dbaグループにも属している必要があります。

注意:

  • グループoinstallは、Oracleソフトウェアが使用する共有記憶域およびローカル記憶域のすべてのファイル・システムに対する書込み権限を持っている必要があります。

  • 各グループは、ノードごとに同じグループIDを持っている必要があります。

  • 各ユーザーは、ノードごとに同じユーザーIDを持っている必要があります。

8.4 Unicodeサポートの有効化

Unicodeでの文字の処理が可能になるように、オペレーティング・システムでUnicodeのサポートを有効化することをお薦めします。

オペレーティング・システムの構成がOracle Fusion Middleware製品でサポートされる文字の動作に影響を与えることがあります。

UNIXオペレーティング・システムでは、LANGLC_ALLの各環境変数をUTF-8文字セットを使用したロケールに設定し、Unicodeサポートを有効化することを強くお薦めします。これにより、Unicodeのすべての文字が処理できるようになります。たとえば、Oracle WebCenter ContentテクノロジはUnicodeに基づいています。

オペレーティング・システムがUTF-8以外のエンコードを使用するように構成されている場合、Oracle WebCenter Contentコンポーネントが予期しない動作をする可能性があります。たとえば、ASCII以外のファイル名の場合は、ファイルにアクセスできず、エラーが発生する可能性があります。オペレーティング・システムの制約によって発生する問題はサポート対象外となります。

8.5 各ホストへの必要な共有ファイル・システムのマウント

アクセスを必要とするすべてのサーバーに共有記憶域をマウントする方法を理解することが重要です。

「エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項」の説明に従って構成された共有記憶域が、それを使用するホスト上で使用可能になっている必要があります。

エンタープライズ・デプロイメントでは、ハードウェア記憶域ファイラが存在することと、それがデプロイメント用に取得した各ホスト・コンピュータに接続されて使用可能になっていることが前提とされています。

共有記憶域を、アクセスが必要なすべてのサーバーにマウントする必要があります。

各ホストでは、適切な権限をNetwork Attached Storage (NAS)またはStorage Area Network (SAN)内で設定し、共有記憶域への書込みを可能にする必要があります。

共有記憶域のマウントについては、組織のベスト・プラクティスに従ってください。この項では、NFS記憶域を使用してLinuxでこれを行う方法の例を示します。

共有記憶域の場所を作成してマウントし、WCCHOST1WCCHOST2が2つの別々のボリュームへのバイナリ・インストールである場合に、それらが同じ場所を参照できるようにする必要があります。

詳細は、「エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項」を参照してください。

次のコマンドを使用して、共有記憶域をNAS記憶域デバイスからLinuxホストにマウントします。別のタイプの記憶域デバイスまたはオペレーティング・システムを使用している場合、これを行う方法の詳細は製造元のドキュメントを参照してください。

注意:

共有記憶域のファイル・システムの作成に使用されるユーザー・アカウントは、これらのファイルに対する読取り、書込みおよび実行権限を持ちます。オペレーティング・システム・グループにおける他のユーザーは、ファイルの読取りや実行は可能ですが、書込み権限はありません。

インストールと構成の権限の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareインストレーション・プランニング・ガイド』のインストレーション・ユーザーの選択に関する項を参照してください。

次の例では、nasfilerは共有記憶域ファイラを表します。これらは単なる例であることに注意してください。通常、これらの共有記憶域場所のマウントは、UNIXシステム上の/etc/fstabsファイルを使用して行う必要があります。これにより、再起動しても、これらのデバイスのマウントが維持されます。詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。

  1. 「エンタープライズ・デプロイメントの共有記憶域ボリュームのサマリー」の説明に従ってマウント・ディレクトリをWCCHOST1に作成してから、共有記憶域をマウントします。次に例を示します。

    mount -t nfs nasfiler:VOL1/oracle/products/ /u01/oracle/products/
    
  2. VOL2を使用してWCCHOST2でこの手順を繰り返します。

共有記憶域の構成の検証

構成した共有記憶域にテスト・ファイルを作成し、新しくマウントしたディレクトリでファイルの読取りおよび書込みができることを確認します。

次に例を示します。

$ cd newly mounted directory
$ touch testfile

所有者と権限が正しいことを確認します。

$ ls -l testfile

ファイルを削除します。

$ rm testfile

注意:

共有記憶域には、NASデバイスまたはSANデバイスを使用できます。次は、NASデバイスの記憶域をWCCHOST1から作成する例を示しています。オプションは、具体的な記憶域デバイスに応じて異なる場合があります。

mount -t nfs -o rw,bg,hard,nointr,tcp,vers=3,timeo=300,rsize=32768,wsize=32768 nasfiler:VOL1/Oracle/u01/oracle

使用する環境に適切なオプションについては、ストレージ・ベンダーおよびマシン管理者に問い合せてください。

8.6 各ホストでの必要な仮想IPアドレスの有効化

エンタープライズ・デプロイメントのホストを準備するために、各ホストで必要な仮想IPアドレスを有効化する必要があります。使用しているのがOracle Enterprise Linux 5かOracle Enterprise Linux 6かに応じて手順が異なります。

Oracle Enterprise Linux 5

エンタープライズ・デプロイメント用に各ホストを準備するには、「エンタープライズ・デプロイメント用の必須IPアドレスの予約」で説明されている仮想IP (VIP)アドレスを有効化する必要があります。

すでにVIPアドレスおよびホスト名を予約済であり、ネットワーク管理者がそれらを有効化していることを前提とします。次に、適切なホストでVIPを有効化できます。

エンタープライズ・トポロジで使用する仮想IPアドレスは、サーバー全体の移行(選択した管理対象サーバーおよびクラスタの場合)または手動フェイルオーバー(管理サーバーの場合)によって管理されるため、永続化されません。

各ホストでこのVIPアドレスを有効にするには、次のコマンドをrootとして実行します。

/sbin/ifconfig interface:index IPAddress netmask netmask
/sbin/arping -q -U -c 3 -I interface IPAddress

ここで、interfaceeth0またはeth1index01または2です。

次に例を示します。

/sbin/ifconfig eth0:1 100.200.140.206 netmask 255.255.255.0

ネットワークを有効化し、仮想IPアドレスの新しい場所を登録します。

/sbin/arping -q -U -c 3 -I eth0 100.200.140.206

別のノードからpingコマンドを使用して、アドレスが使用可能であることを確認します。次に例を示します。

/bin/ping 100.200.140.206

Oracle Enterprise Linux 6以降

Oracle Enterprise Linux 6以降ではifconfigコマンドが非推奨になり、ipコマンドに置き換わりました。

各ホストでこのVIPアドレスを有効にするには、次のコマンドをrootとして実行します。
  1. ネットマスクのCIDR表記を特定します。各ネットマスクにはCIDR表記があります。たとえば、255.255.240.0のCIDRは20です。
    追加するネットマスクがインタフェースと同じ場合、これを特定する最も簡単な方法は、ネットワーク・カードに割り当てられた既存のIPアドレスを調べることです。このためには次のコマンドを使用できます。
    ip addr show dev bond0
    サンプル出力:
    2: bond0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast qlen 1000
    link/ether 00:21:f6:03:85:9f brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    int 192.168.20.1/20 brd 10.248.11.255 scope global bond0
    この例では、CIDR値はフォワード・スラッシュ(/)の後の値(20)です。CIDR値が不明な場合は、ネットワーク管理者に問い合せてください。
  2. 次のコマンドを使用して、IPアドレス192.168.20.3、ネット・マスク255.255.240 (CIDR20)をネットワーク・カードbond0に追加します。
    ip addr add 192.168.20.3/20 dev bond0:1
  3. 定義する仮想IPアドレスごとに、次のコマンドを使用してARPキャッシュを更新します。
    arping -b -A -c 3 -I bond0 192.168.20.3

注意:

ifconfigユーティリティの既知の問題により、サーバー移行時に、WebLogic管理対象サーバーの移行元のマシン上ですべてのVIPがネットワーク・インタフェースから削除されます。これは、VIPがネットワーク・インタフェースの:0で有効化されている場合に発生します。この問題を回避するには、:1以降のネットワーク・インタフェースでVIPを有効化してください。