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Oracle® Fusion Middleware Oracle Traffic Directorのアップグレード
12c (12.2.1.2)
E82831-01
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3 Oracle Traffic Directorの11gからのアップグレード

Oracle Traffic Directorを、Oracle Fusion Middlewareリリース11gから12c (12.2.1.2)にアップグレードできます。

次の各項の手順を完了して、アップグレードを実行します。

3.1 Oracle Traffic Directorのアップグレード・プロセスについて

Oracle Traffic Directorのアップグレード・プロセスの概要については、ロードマップを参照してください。

既存のドメインをアップグレードするために実行する手順は、ドメインがどのように構成されているか、およびどのコンポーネントをアップグレードするかによって異なります。各自のデプロイメントに該当する手順にのみ従ってください。

表3-1 Oracle Traffic Directorをアップグレードするためのタスク

タスク 説明

必須

このガイドの概要に関するトピックを再確認して、アップグレード前のタスクを完了します(まだ実行していない場合)。

「アップグレード前チェックリスト」を参照してください

必須

Oracle Fusion Middleware InfrastructureとOracle Traffic Director 12c (12.2.1.2)のディストリビューションをダウンロードして、新しいOracleホームにインストールします。

参照

「製品ディストリビューションのインストール」

必須

11g環境を停止します(すべての管理サーバーと管理対象サーバーを停止します)。

警告: アップグレード中にサーバーを停止しないと、データが破壊される可能性があります。

「サーバーとプロセスの停止」を参照

必須

Upgrade Assistantを起動(再起動)して、ドメイン・コンポーネントの構成をアップグレードします。

Upgrade Assistantは、ドメインのコンポーネント構成を更新するために使用します。

11gから12cへのアップグレードの詳細は、「コンポーネント構成のアップグレード」を参照してください

必須

Upgrade Assistantを起動(再起動)して、スタンドアロン・システム・コンポーネントの構成をアップグレードします。

Upgrade Assistantは、スタンドアロン・エージェントのコンポーネント構成を更新します。

「Upgrade Assistantの起動」を参照

必須

アップグレードを完了して確認します。

新規の管理サーバーと管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動など、アップグレード後に必要な構成タスクを必要に応じて実行して、問題がないことを確認します。

バックアップを削除する前に、アップグレードしたすべてのコンポーネントが期待どおりに動作しているか確認することをお薦めします。

「コンポーネント構成のアップグレードの確認」を参照してください

3.2 Traffic Director固有のアップグレード前タスクの実行

Oracle Traffic Director 12cにアップグレードする前に、次の手順に従う必要があります。
  1. Oracle WebLogic Serverが新しいOracleホームにインストールされ、Oracle Traffic Directorテンプレートで拡張されていることを確認してください。

    注意:

    Oracle Traffic Directorドメインの構成の詳細は、「Oracle Traffic Directorの管理」を参照してください。

  2. 11g環境を停止します。
  3. 12c環境を停止します。

    注意:

    Oracle Traffic Director11gと12cのインストールが別のホスト/マシンにある場合(たとえば、11gがOEL5で12cがOEL6にある)、次のいずれかを実行する必要があります。

    リモートでORACLE_HOMEディレクトリとINSTANCE_HOMEディレクトリを、11gのホストと同じパスを保持したまま11gのホストから12cにコピーします。

    たとえば、12cのホストで次を実行します。

    # scp -r <11g host>:/otd/oracle_home /otd/oracle_home

    # scp -r <11g host>:/otd/instance_home /otd/instance_home

    11gのホスト上のパスと同じパスを保持したまま、11gのORACLE_HOMEとINSTANCE_HOMEのパスを12cのホストにマウントします。

    たとえば、12cのホストで次を実行します。

    # mount <11g host>:/otd/oracle_home on /otd/oracle_home

    # mount <11g host>:/otd/instance_home on /otd/instance_home

3.3 Oracle Traffic Directorの12c (12.2.1.2)へのアップグレードの準備

この項では、Oracle Traffic Directorを12c (12.2.1.2)にアップグレードするための、準備の手順について説明します。

Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantでは、次のOracle Traffic Director 11gリリースについて、12c (12.2.1.2.0)へのアウトオブプレース・アップグレードがサポートされています。

  • Oracle Traffic Director FMW 11gリリース1 (11.1.1.7.0)

  • Oracle Traffic Director FMW 11gリリース1 (11.1.1.9.0)

Oracle Traffic Director 12c (12.2.1.2)にアップグレードする前に、次の手順に従ってください。

  1. 12.2.1.2バイナリが新規MW_HOMEにインストールされていることを確認します。Oracle Traffic Directorと依存するJRFテンプレートで拡張された有効なWebLogic Serverドメインも、ターゲットの場所に作成する必要があります。
    詳細は、Oracle Traffic Directorの管理Oracle Traffic Director用のWebLogic Serverドメインの構成を参照してください。
  2. ソース(11gまたは12.2.1)環境を停止します。
  3. ターゲットの12.2.1.2.0環境を停止します。
  • Oracle Traffic Director 11gと12cのインストールが別のホスト/マシンにある場合(たとえば、11gがOEL5でcがOEL6にある)、次のいずれかを実行する必要があります。

    • アップグレード・アシスタントで、アップグレードのソース・バージョンとして「11gソース」を選択する場合、Oracle Traffic Director 11gインスタンスのリモート・ディレクトリ・パスを指定します。第4.1.3項「コンポーネント構成のアップグレード」を参照してください。

    • リモートでORACLE_HOMEディレクトリとINSTANCE_HOMEディレクトリを、11gのホストと同じパスを保持したまま11gのホストから12cにコピーします。

      たとえば、12cのホストで次を実行します。

      # scp -r <11g host>:/otd/oracle_home /otd/oracle_home
      # scp -r <11g host>:/otd/oracle_home /otd/oracle_home
    • 11gのホスト上のパスと同じパスを保持したまま、11gのORACLE_HOMEINSTANCE_HOMEのパスを12cのホストにマウントします。

      たとえば、12cのホストで次を実行します。

      # mount <11g host>:/otd/oracle_home on /otd/oracle_home
      # mount <11g host>:/otd/instance_home on /otd/instance_home
  • Oracle Traffic Director 11g INSTANCE_HOMEには、11gの管理サーバーconfig-store内の構成にアクセスするためにアップグレード・アシスタントを実行しているユーザーに対する読取り権限が必要です。

  • 異なるプラットフォーム間でのアップグレードはサポートされていません。たとえば、Linux環境からSolaris環境にOracle Traffic Directorをアップグレードすることはできません。

3.4 製品ディストリビューションのインストール

アップグレードの開始前に、Oracle Fusion Middleware InfrastructureOracle Traffic Director 12c (12.2.1.2)のディストリビューションをターゲット・システムにダウンロードし、Oracle Universal Installerを使用してインストールします。

注意:

アップグレードにInfrastructureが必要な場合は、最初にOracle Fusion Middleware Infrastructureのディストリビューションをインストールしてから他のFusion Middleware製品をインストールする必要があります。
次に示すインストールの説明は、標準のOracle Fusion Middlewareインストール・トポロジを対象にしています。サポートされている他のトポロジのインストールの詳細は、『Oracle Traffic Directorインストレーション・ガイド』を参照してください。
12c (12.2.1.2)のディストリビューションをインストールするには、次の手順を実行します。
  1. 12c (12.2.1.2)製品のディストリビューションをインストールするターゲット・システムにログインします。
  2. 次に示す12c (12.2.1.2)製品のディストリビューションを、Oracle Technology NetworkまたはOracle Software Delivery Cloudからターゲット・システムにダウンロードします。
    • Oracle Fusion Middleware Infrastructure (fmw_12.2.1.2.0_infrastructure_generic.jar)
    • Oracle Traffic Director (UNIX: fmw_12.2.1.2.0_otd_linux64.bin)、(Windows: setup_fmw_12.2.1.2.0_otd_win64.exe)
  3. 12c (12.2.1.2)製品のディストリビューションをダウンロードしたディレクトリに移動します。
  4. Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストール・プログラムを起動します。
    • (UNIX) JDK_HOME/bin/java -jar fmw_12.2.1.2.0_infrastructure_generic.jar
    • (Windows) JDK_HOME\bin\java -jar fmw_12.2.1.2.0_infrastructure_generic.jar
  5. UNIXオペレーティング・システムでは、このホストにOracle製品を初めてインストールする場合に、「インストール・インベントリの設定」画面が表示されます。
    中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名に対して中央インベントリの場所への書込み権限が付与されていることを確認し、「次へ」をクリックします。

    注意:

    「インストール・インベントリの設定」画面は、Windowsオペレーティング・システムでは表示されません。
  6. 「ようこそ」画面で、情報をレビューしてすべての前提条件を満たしていることを確認します。「次」をクリックします。
  7. 「自動更新」画面で「自動更新をスキップ」を選択します。次のオプションがあります。
    • この時点でソフトウェアの更新をシステムで確認しないようにする場合は、「自動更新をスキップ」を選択します。

    • パッチ・ファイルをダウンロードした場合は、「ディレクトリからパッチを選択」を選択して、ローカル・ディレクトリに移動します。

    • My Oracle Supportアカウントを持っている場合にソフトウェアの更新を自動でダウンロードするには、「My Oracle Supportで更新を検索」を選択します。Oracle Supportの資格証明を入力して、「検索」をクリックします。インストーラがMy Oracle Supportにアクセスするようにプロキシ・サーバーを構成するには、「プロキシ設定」をクリックします。「接続のテスト」をクリックして接続をテストします。

    「次」をクリックします。
  8. 「インストールの場所」画面でOracleホーム・ディレクトリの場所を指定し、「次へ」をクリックします。
    Oracle Fusion Middlewareディレクトリ構造の詳細は、 『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』のインストールおよび構成のためのディレクトリの選択に関する項を参照してください。
  9. 「インストール・タイプ」画面で、次を選択します。
    1. Infrastructureの場合は、Fusion Middleware Infrastructureを選択します。
    2. Oracle Traffic Directorの場合は、Oracle Traffic Director
    インストールのタイプを選択し、インストールする製品および機能セットを選択します。
    • Oracle Traffic Directorをスタンドアロン・ドメインにインストールしているか、Oracle Traffic Directorを同じ場所に配置されたドメインのリモート・ノードにインストールしている場合には、「スタンドアロンOTD (WebLogic Serverとは切り離して管理)」を選択します。
    • Oracle Traffic Directorを管理サーバー・ノードのWebLogic Serverドメインにインストールしている場合には、「同じ場所に配置されたOTD (WebLogic Server経由で管理)」を選択します。
    「次」をクリックします。

    詳細は、「Oracle Traffic Directorのインストール」を参照してください。

  10. 「前提条件チェック」画面では、ホスト・コンピュータを分析して、特定のオペレーティング・システムの前提条件を満たしているか確認します。
    確認されたタスクのリストを表示するには、「正常なタスクの表示」を選択します。ログの詳細を表示するには、「ログの表示」を選択します。前提条件のチェックが失敗すると、エラー・メッセージが画面の下方に表示されます。エラーを修正し、「再実行」をクリックして再試行します。エラー・メッセージや警告メッセージを無視してインストールを続けるには、「スキップ」をクリックします(非推奨)。
  11. 「インストールの概要」画面で、選択したインストール・オプションを確認します。
    これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を入力します。レスポンス・ファイルには、入力したすべての情報が収集して格納され、後で(コマンドラインから)サイレント・インストールを実行するために使用できます。

    「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

  12. 「インストールの進行状況」画面で、進行状況バーが100%になったら、click 「終了」をクリックしてインストーラを閉じるか、「次」をクリックしてサマリーを表示します。
  13. 「インストール完了」画面に、インストールの場所とインストールされた機能セットが表示されます。情報を確認し、「終了」をクリックしてインストーラを閉じます。
  14. Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストール後、次に示すコマンドを入力して、製品ディストリビューションのインストーラを開始し、インストーラの各画面を通じて前述の手順を繰り返します。
    (UNIX) ./fmw_12.2.1.2.0_otd_linux64.bin
    (Windows) setup_fmw_12.2.1.2.0_otd_win64.exe

3.5 サーバーとプロセスの停止

Upgrade Assistantを実行してスキーマと構成をアップグレードする前に、管理サーバーや管理対象サーバーを含む、すべてのプロセスとサーバーをシャットダウンする必要があります。

Oracle Fusion Middleware環境は、Oracle WebLogic Serverドメイン、管理サーバー、複数の管理対象サーバー、Javaコンポーネント、アイデンティティ管理コンポーネントなどのシステム・コンポーネント、およびメタデータのリポジトリに使用されるデータベースで構成できます。コンポーネントは相互に依存していることがあるため、適切な順序で停止する必要があります。

注意:

この項の手順では、WLSTコマンドライン・ユーティリティまたはスクリプトを使用してサーバーとプロセスを停止する方法について説明します。また、Oracle Fusion Middleware ControlとOracle WebLogic Server管理コンソールを使用することもできます。『Oracle Fusion Middlewareの管理』の管理サーバーと管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動と停止に関する項を参照してください。

Fusion Middleware環境を停止するには、次に示す手順を実行します。

ステップ1: システム・コンポーネントの停止

Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを停止するには、stopComponentスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopComponent.cmd component_name

システム・コンポーネントは任意の順序で停止できます。

ステップ2: 管理対象サーバーの停止

WebLogic Server管理対象サーバーを停止するには、stopManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

プロンプトが表示されたらユーザー名とパスワードを入力します。

ステップ3: Oracle Identity Managementコンポーネントの停止

環境の一部を成している、Oracle Internet DirectoryなどのOracle Identity Managementコンポーネントを停止します。
  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopComponent.cmd component_name

ステップ4: 管理サーバーの停止

管理サーバーを停止すると、WebLogic Server管理コンソールやFusion Middleware Controlなど、管理サーバーで実行されているプロセスも停止されます。

管理サーバーを停止するには、stopWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopWebLogic.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopWebLogic.cmd

プロンプトが表示されたら、ユーザー名とパスワードおよび管理サーバーのURLを入力します。

ステップ5: ノード・マネージャの停止

ノード・マネージャを停止するには、それが実行されているコマンド・シェルを閉じます。

またはnodemanager.propertiesQuitEnabledの属性をtrueに設定した後(デフォルトはfalseです)、WLSTを使用して、ノード・マネージャに接続して停止できます。詳細は、『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のstopNodeManagerに関する項を参照してください。

3.6 Upgrade Assistantの起動

Upgrade Assistantを実行して、製品スキーマ、ドメイン・コンポーネントの構成またはスタンドアロン・システム・コンポーネントを12c (12.2.1.2)にアップグレードします。Upgrade Assistantを非SYSDBAユーザーとして実行し、一度に1つのドメインのアップグレードを完了することをお薦めします。

Upgrade Assistantを起動するには、次の手順に従います。
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. Upgrade Assistantの起動:
    • (UNIX) ./ua
    • (Windows) ua.bat

ロギング・パラメータなどコマンド・ラインで指定できるパラメータの詳細は、次を参照してください。

3.6.1 Upgrade Assistantコマンドライン・パラメータ

コマンド・ラインからUpgrade Assistantを起動すると、他のパラメータも指定できます。

表3-2 Upgrade Assistantコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須/オプション 説明

-readiness

準備状況チェックに必要

注意: スタンドアロン・インストール(WebLogic Serverで管理されていないインストール)では、準備状況チェックを実行できません。

実際のアップグレードを実行せずに、アップグレードの準備状況チェックを実行します。

スキーマおよび構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合は、このパラメータを使用しないでください。

-threads

オプション

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を識別します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックに必要

レスポンス・ファイルに保存された入力を使用して、Upgrade Assistantを実行します。このレスポンス・ファイルは、GUIモードでUpgrade Assistantを実行したときの入力データから生成されます。このパラメータを使用すると、Upgrade Assistantはサイレント・モード(Upgrade Assistantの画面を表示しないモード)で実行されます。

-examine

オプション

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel attribute

オプション

次のいずれかの属性を指定して、ロギング・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

-logLevel TRACE属性を設定して、より多くのログが記録されるようにすることを検討してください。これは、失敗したアップグレードをトラブルシューティングする際に役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir location

オプション

アップグレード・ログ・ファイルと一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。このディレクトリには、Upgrade Assistantによってログ・ファイルと一時ファイルが作成されます。

デフォルトの場所は次のとおりです。

(UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

(Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\temp

-help

オプション

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

3.7 コンポーネント構成のアップグレード

Oracle Traffic Directorコンポーネント構成をアップグレードするためにアップグレード・アシスタントを実行するとき、Oracle Traffic Directorドメインに基づいて次の点を考慮してください。

同じ場所に配置されたドメインのアップグレード:

  • アップグレードの開始点を指定します。オプションは、「12cソース」および「11gソース」です。

  • インスタンスがある11g Oracle Traffic Directorインスタンス・ホームを指定します。

  • 各Oracle Traffic Director構成に対して、内部トークンのNSS DBパスワードを指定します(存在する場合)。

次の方法で、アップグレード・アシスタントを実行できます。

3.7.1 グラフィカル・モードによるOracle Traffic Directorのアップグレード

アップグレード・アシスタンスを起動し、次の手順を実行します。

  1. 「ようこそ」画面に実行するタスクのリストが表示されます。「次へ」をクリックして、続行します。

  2. 「すべての構成」画面で、「ドメインによって使用されるすべての構成」を選択し、「ドメイン・ディレクトリ」フィールドに適切なドメイン・パスを入力します。

  3. 「次へ」をクリックして、続行します。

  4. 「コンポーネント・リスト」画面で「次へ」をクリックして続行します。

  5. 「前提条件」画面で、すべてのチェック・ボックスを選択し、「次」をクリックして続行します。

  6. OTD 11gの「インスタンス・ホーム」画面で、「次」をクリックして続行します。

  7. 「調査」画面に、終了したタスクのリストが表示されます。「次へ」をクリックして、続行します。

  8. 「アップグレード・サマリー」画面が表示されます。

    注意:

    「レスポンス・ファイルの保存」ボタンをクリックして、「コマンドライン」アップグレードの入力として使用できるレスポンス・ファイルを作成します。

  9. 「次へ」をクリックして、続行します。

  10. 「アップグレードの進行状況」画面で、「次へ」をクリックして続行します。

  11. 「アップグレード成功」画面で、「閉じる」をクリックしてアップグレードを完了します。

3.7.2 サイレント・モードによるOracle Traffic Directorのアップグレード

サイレント・モードを使用してアップグレードするには、アップグレードUAコマンドをレスポンス・ファイル・オプションで実行します。

このレスポンス・ファイルは、アップグレード・ウィザードを使用して生成します。「アップグレード・サマリー」画面の「レスポンス・ファイルの保存」ボタンをクリックします。

アップグレードが成功すると、コンソールに成功メッセージが表示されます。ログ・ファイルは次のパスにあります。

<FMW_HOME>\oracle_common\upgrade\logs

サイレント・アップグレードのコマンドライン(UNIXの場合):

構文

<MW_HOME>/oracle_common/upgrade/bin/ua -response <response-file> -logLevel <Log-verbosity>

サンプル・レスポンス・ファイル:

[GENERAL]
fileFormatVersion = 3

[UAWLSINTERNAL.UAWLS]
pluginInstance = 1
UASVR.path = <PATH-TO-12C-OTD-DOMAIN>

[JRF.JRF_CONFIG_PLUGIN]
pluginInstance = 5

[CAM.SYSCOMP]
pluginInstance = 2

[OTD.CONFIG_UPGRADE]
pluginInstance = 12
INSTANCE_HOME.path = <PATH-TO-11g-OTD-INSTANCE-HOME>

SSL_TOKEN_TABLE.CONFIG_NAME.0.string = <OTD-11G-CONFIG-NAME>
SSL_TOKEN_TABLE.SSL_TOKEN_PIN.0.encryptedPassword = 
<ENCRYPTED-SSL-TOKEN-PIN-FOR-CONFIG-IN-11G>
SSL_TOKEN_TABLE.WALLET_PSWD.0.encryptedPassword = 
<ENCRYPTED-WALLET-PASSWORD-FOR-UPGRADED-CONFIG-IN-12C>

注意:

SSL_TOKEN*フィールドは、11gインスタンスにSSLが有効な構成がある場合のみ適用可能です。

3.8 コンポーネント構成のアップグレードの確認

コンポーネント構成のアップグレードの確認

Oracle Traffic Director 11g構成の場合:

  • 11g構成ファイルが12.2.1.2.0ドメインのDOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OTD/ディレクトリにコピーされています。

  • server.xmlファイルの構成要素が変更されています。

  • 12.2.1.2.0でサポートされない11g server.xml要素は削除されています。

  • 12.2.1.2.0でサポートされない11g obj.confパラメータは削除されています。

  • NSSデータベースからの証明書構成はKSS、およびOracle Traffic Director実行時消費のOracleウォレットに移動しています。

  • config-storeのserver.xmlのバージョンが12.2.1.2に変更されています。

3.9 アップグレード後の手順

Upgrade Assistantを使用してOracle Traffic Director 12c (12.2.1.2)にアップグレードした後に実行する必要のある、次のアップグレード後のタスクのリストを確認します。

  • Oracle Traffic Directorシステム・コンポーネント・インスタンスは、Fusion Middleware ControlまたはWLSTを使用してシステム・コンポーネント構成をマシンにターゲット指定することで、アップグレード後に作成する必要があります。詳細は、Oracle Traffic Directorの管理のインスタンスの管理を参照してください。

  • インスタンスおよびフェイルオーバー・グループの作成はデプロイメント・タスクです。これらの手順は、アップグレード以外でアップグレード後の手順として処理するのが適しています。デプロイメント・トポロジおよびフェイルオーバー・グループの構成の詳細は、Oracle Traffic Directorの管理の高可用性を提供するためのOracle Traffic Directorの構成を参照してください。

  • Oracle Traffic Director構成ファイル内のINSTANCE_HOMEおよびORACLE_HOME以外のパスへのリファレンスは、アップグレード後にアクセスできない可能性があります。これは手動で構成する必要があります。

3.10 サーバーおよびプロセスの起動

アップグレードが正常に完了したら、すべてのプロセスと管理サーバーや管理対象サーバーを含めたすべてのサーバーを再起動します。

コンポーネントは相互に依存していることがあるため、適切な順序で起動する必要があります。

注意:

この項の手順では、WLSTコマンドラインまたはスクリプトを使用してサーバーとプロセスを起動する方法について説明します。また、Oracle Fusion Middleware ControlとOracle WebLogic Server管理コンソールを使用することもできます。『Oracle Fusion Middlewareの管理』の管理サーバーと管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動と停止に関する項を参照してください。

Fusion Middleware環境を起動するには、次に示す手順を実行します。

ステップ1: 管理サーバーの起動

管理サーバーを起動すると、WebLogic Server管理コンソールやFusion Middleware Controlなど、管理サーバーで実行されているプロセスも起動されます。

管理サーバーを起動するには、startWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startWebLogic.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startWebLogic.cmd

プロンプトが表示されたら、ユーザー名とパスワードおよび管理サーバーのURLを入力します。

ステップ2: ノード・マネージャの起動

ノード・マネージャを起動するには、startNodeManagerスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startNodeManager.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startNodeManager.cmd

ステップ3: Oracle Identity Managementコンポーネントの起動

環境の一部を成している、Oracle Internet DirectoryなどのOracle Identity Managementコンポーネントを起動します。
  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startComponent.cmd component_name

ステップ4: 管理対象サーバーの起動

WebLogic Server管理対象サーバーを起動するには、startManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

プロンプトが表示されたらユーザー名とパスワードを入力します。

注意:

通常、管理対象サーバーを起動すると、そのサーバーにデプロイされているアプリケーションが開始されます。したがって、管理対象サーバーの起動後にアプリケーションを手動で開始する必要はありません。

ステップ5: システム・コンポーネントの起動

Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを起動するには、startComponentスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startComponent.cmd component_name

システム・コンポーネントは任意の順序で起動できます。