ドメインを拡張して、ビジネス・ユーザー向けに設計されたアプリケーション、Oracle Real-Time Integration Business Insightを追加することができます。このアプリケーションを使用すると、ユーザーはWebベースのダッシュボードおよびレポートを使用して、ビジネスレベルのメトリックをモデル化、収集およびモニターできます。
この章の内容は次のとおりです。
InsightAdmin
管理ロールをエンタープライズ・デプロイメントの管理グループ(SOA Administrators
)に追加します。上位トピック: 「エンタープライズ・ドメインの構成」
この章のタスクを実行する際には、この項にリストされているディレクトリ変数を参照してください。
いくつかのディレクトリ変数の値については、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」に定義されています。
ORACLE_HOME
ASERVER_HOME
MSERVER_HOME
OHS_DOMAIN_HOME
さらに、「エンタープライズ・トポロジによって必要とされる物理および仮想IPアドレス」で定義されている仮想IP (VIP)アドレスを参照してください。
ADMINVHN
この章で説明するアクションは、次のホスト・コンピュータで実行されます。
SOAHOST1
SOAHOST2
WEBHOST1
WEBHOST2
BAMHOST1
BAMHOST2
Oracle Insightを既存のOracle SOA Suiteドメインに追加する前に、前提条件が満たされていることを確認してください。
この章では、図3-2に示すように、Oracle SOA Suite (SOA、OSB、BPMおよびBAM)がすでに実行中のドメインでOracle Real-Time Integration Business Insightを構成することを前提としています。
デフォルトのトポロジでは、Oracle InsightはOracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Managementディストリビューションに含まれているため、Oracle Insightをインストールする必要はありません。Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・トポロジの理解に示すように、Oracle InsightはOracle SOA Suiteのインストール時にOracleホーム・ディレクトリにインストールされます。
リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を実行して、必要なOracle BAM/SOAスキーマを作成したときに、Oracle Insightに必要なスキーマがデータベースに作成されます。そのため、Oracle Insightを対象にRCUを実行する必要はありません。
既存のFusion Middlewareホームとドメインをバックアップしていない場合は、今すぐバックアップします。
既存のFusion Middlewareホームとドメインをバックアップするには、エンタープライズ・デプロイメントのバックアップとリカバリの実行を参照してください。
Oracle Real-Time Integration Business Insight用にSOAドメインを拡張する前に、ドメインを拡張する際に実行する必要がある手順を、概要レベルで把握しておいてください。
手順 | 説明 | 詳細情報 |
---|---|---|
構成ウィザードによる、管理サーバー・ドメイン・ホーム内のドメインの拡張 |
Oracle Insightコンポーネントを追加するために、SOAドメイン拡張します。 |
Oracle Real-Time Integration Business Insightを追加するためのSOAドメインの拡張 |
管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリへのドメイン構成の伝播 |
Oracle Insightでは、WebLogic Serverの起動スクリプトに多少の更新が必要です。これらの変更は、packコマンドとunpackコマンドを使用して伝播させます。 |
|
Oracle Insight管理グループへのSOA管理者ロールの追加 |
この手順により、一連の資格証明を使用して、様々な製品固有の管理ユーティリティにアクセスできます。 |
|
関係するサーバーの起動 |
Oracle Insightサーバーにより、既存のドメインが拡張されます。そのため、管理サーバーおよびそれぞれのノード・マネージャはSOAHOST1およびSOAHOST2で稼働しています。 |
|
WLS_BAM管理対象サーバーの検証 |
管理コンソールに表示されるサーバーのステータスが「実行中」であることを確認し、URLにアクセスしてサーバーのステータスを確認します。 |
|
WLS_BAM管理対象サーバーに対するOracle HTTP Serverの更新 |
Oracle HTTP ServerがOracle Insightにルーティングできるようにするには、必要なディレクティブをOracle HTTP Serverの構成ファイルに追加して、WebLogicClusterパラメータをクラスタ内のノードの一覧に設定します。 |
|
WebLogic Serverプロキシ・プラグインの構成 |
Oracle Insightに対してWebLogic Serverプロキシ・プラグインを有効にします。 |
|
Oracle HTTP Serverを介したアクセスの検証 |
サーバーのステータスが「実行中」であることを確認します。 |
この項では、Oracle Real-Time Integration Business Insightを追加して、既存のエンタープライズ・デプロイメントのSOAドメインを拡張する手順について説明します。
ドメインを拡張するには、次のタスクを実行する必要があります。
注意:
ドメインで起動スクリプトに直接カスタマイズを追加した場合、それらのカスタマイズは構成ウィザードによって上書きされます。ドメイン内のすべてのサーバーに適用されるサーバー起動パラメータをカスタマイズするには、setUserOverrides.sh
というファイルを作成して構成します。たとえば、WebLogic Serverクラスパスにカスタム・ライブラリを追加し、サーバーを実行するための追加のJAVAコマンドライン・オプションを指定するか、追加の環境変数を指定します。このファイルに追加されたカスタマイズはドメインのアップグレード操作中に保存され、Pack
およびUnpack
コマンドを使用する際にリモート・サーバーに継承されます。
ドメインの構成を開始するには:
次以降の項で説明する手順を実行して、静的クラスタで使用するトポロジのドメインを作成して構成します。
この手順では、Business Activity Monitoringを含めるドメインの拡張で作成したドメインを拡張して、Oracle Real-Time Integration Business Insightコンポーネントを追加します。
ドメイン作成および構成には次のタスクが含まれます。
「構成タイプ」画面で、「既存ドメインの更新」を選択します
「ドメインの場所」フィールドで、ASERVER_HOME変数の値を選択します。これは、「エンタープライズ・デプロイメント用の初期インフラストラクチャ・ドメインの作成」で作成した管理サーバー・ドメイン・ホームの完全なパスを表します。
ヒント:
この画面に示されるその他のオプションの詳細は、Oracle Fusion Middleware構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成の構成タイプに関する項を参照してください。
「テンプレート」画面で「製品テンプレートを使用してドメインを更新」が選択されていることを確認した後に、次のテンプレートを選択します。
Insight SOAエージェント - 12.2.1.2.0[soa]
Insight Service Busエージェント - 12.2.1.2.0[osb]
Insight - 12.2.1.2.0[soa]
「次へ」をクリックします。
「GridLink Oracle RACコンポーネント・スキーマ」画面で、次の表に示すように、RACデータベースおよびコンポーネント・スキーマへの接続に必要な情報を入力します。
要素 | 説明と推奨値 |
---|---|
「SCAN」、「ホスト名」および「ポート」 |
「SCAN」チェック・ボックスを選択します。 「ホスト名」フィールドには、Oracle RACデータベースのSingle Client Access Name (SCAN)アドレスを入力します。 「ポート」フィールドには、データベースのSCANリスニング・ポートを入力します( |
「ONSホスト」と「ポート」 |
「ONSホスト」フィールドには、Oracle RACデータベースのSCANアドレスを入力します。 「ポート」フィールドには、ONSリモート・ポートを入力します(通常は |
FANの有効化 |
「FANの有効化」チェック・ボックスが選択され、データベースがFANイベントを受信および処理できることを確認します。 |
「JDBCデータ・ソースのテスト」画面で、すべての接続が正常であることを確認します。
接続のテストは自動的に行われます。「ステータス」列に結果が表示されます。正常でない接続がある場合は、「前へ」をクリックして前の画面に戻り、入力を訂正します。
すべての接続に成功したら「次へ」をクリックします。
「次へ」をクリックして、続行します。
「構成サマリー」画面には、これから作成するドメインに関する詳細な構成情報が表示されます。この画面に示された各項目の詳細を調べて、情報に間違いがないことを確認します。
「更新」をクリックします。
「ドメインの拡張」画面で、「完了」をクリックします。
管理サーバーを起動して、ドメインに行った変更が適用されたことを確認します。
Insightコンポーネントを含めることでドメインを拡張し、SOAHOST1上の管理サーバーを再起動したら、そのドメイン変更をドメイン・ディレクトリおよびマシンに伝播する必要があります。
次の表は、変更をすべてのドメイン・ディレクトリとマシンに伝播するために必要な手順をまとめたものです。
タスク | 説明 | 詳細情報 |
---|---|---|
SOAHOST1での拡張済ドメインの圧縮 |
Packコマンドを使用して、新しいBAMサーバー構成が含まれる新しいテンプレートJARファイルを作成します。 ドメインを圧縮する場合は、 |
|
SOAHOST1の管理対象サーバー・ディレクトリでのドメインの解凍* |
SOAHOST1のローカル記憶域上の管理対象サーバー・ディレクトリにテンプレートJARファイルを解凍します。 |
|
SOAHOST2でのドメインの解凍 |
SOAHOST2のローカル記憶域上の管理対象サーバー・ディレクトリにテンプレートJARファイルを解凍します。 |
*個別のホストでOracle BAMを構成する場合は、すべてのノード、つまりBAMHOST1、BAMHOST2、SOAHOST1およびSOAHOST2でドメインを解凍します。
管理対象サーバーのOracle Insight構成を検証する前に、InsightAdmin
管理ロールをエンタープライズ・デプロイメントの管理グループ(SOA Administrators
)に追加します。
このタスクを実行するには、「Oracle SOA Suite製品の管理のためのロールの構成」を参照してください。
管理対象サーバーがまだ起動されていない場合は、この項に示す手順に従って、WLS_BAM1およびWLS_BAM2を起動して検証してください。
Web層のWebサーバー・インスタンスを構成して、拡張したドメイン内の適切なクラスタにパブリックURLと内部URLの両方に対するリクエストをインスタンスでルーティングできるようにします。
考えられるスケールアウト・シナリオの準備での追加の手順は、クロス・コンポーネント・ワイヤリング情報の更新を参照してください。
このドメインでOracle Traffic Directorを構成した場合、状況によっては、Oracle Traffic Director構成に別のオリジン・サーバー・プール、仮想サーバーまたはルートを追加する必要があります。各Oracle Fusion Middleware製品のOracle Traffic Directorの要件を理解するための情報と、オリジン・サーバー・プール、仮想サーバーおよびルートを追加する手順は、エンタープライズ・デプロイメント用のOracle Traffic Director仮想サーバーの定義を参照してください。
Oracle HTTP Serverインスタンスの構成ファイルに対して次の変更を行い、Web層のOracle HTTP Serverインスタンスが、Oracle SOA、OSB、BAMクラスタ上のOracle InsightソフトウェアにOracle Insightのリクエストを正しくルーティングできるようにします。
これらの手順は、Oracle SOA Suiteと同じホストでOracle BAM/Insightを構成することを前提にしています。Oracle BAM/Insight用に個別のホストを使用する場合は、SOAHOSTコンピュータではなくBAMHOSTコンピュータを参照するように、Oracle HTTP Server構成ファイルのWebLogicClusterパラメータを変更する必要があります。
Oracle HTTP ServerがOracle Insightにリクエストをルーティングできるようにする手順:
Oracle Insight URLが、ハードウェア・ロード・バランサからのリクエストを、Oracle HTTP Serverインスタンスを経て中間層のOracle Insightソフトウェアに、正常にルーティングしていることを確認します。
この手順では、Oracle Insightが構成されている管理対象サーバーのフェイルオーバーをテストすることもできます。
URLを検証する手順は次のとおりです。
Oracleのベスト・プラクティスとしては、ドメインの拡張が正常に完了した後や別の論理ポイントでバックアップを作成することをお薦めします。インストールが正常に行われたことを確認したら、その時点までのバックアップを作成します。後の手順で問題が発生した場合、即座にリストアするために迅速なバックアップが使用されます。
バックアップ先はローカル・ディスクです。エンタープライズ・デプロイメント設定が完了すると、このバックアップは破棄できます。エンタープライズ・デプロイメント設定が完了したら、バックアップとリカバリの通常のデプロイメント固有プロセスを開始できます。
構成をバックアップする方法の詳細は、「SOAエンタープライズ・デプロイメントにおけるバックアップとリカバリの実行」を参照してください。