8 リカバリ・アプライアンスでのバックアップのレプリケート
この章では、障害回復のためのリカバリ・アプライアンスのレプリケーションの目的について説明し、レプリケーション・トポロジの例を示します。また、Cloud Controlを使用してレプリケーションを構成する方法、およびDBMS_RA
を使用してレプリケーションを構成する方法について説明します。この章には次の項が含まれます。
リカバリ・アプライアンス・レプリケーションについて
障害回復戦略の一部として、リカバリ・アプライアンスでは他のリカバリ・アプライアンスにバックアップをレプリケートできます。また、テープ・アーカイブをレプリケートされたリカバリ・アプライアンスにオフロードすることで、プライマリ・リカバリ・アプライアンスのリソースを解放できます。レプリケーションは保護ポリシーによって制御されます。すなわち、ポリシーに関連付けられているすべてのデータベースが、初期設定後、完全に自動的にレプリケートされます。
リカバリ・アプライアンス・レプリケーション専用のレプリケーション・ユーザー・アカウントを作成し、組織内の各アップストリーム・アプライアンスには一意のレプリケーション・ユーザー・アカウントを作成する必要があります。
レプリケーション・ユーザー・アカウントはREPUSER_FROM_[ZDLRA_DB_NAME
またはZDLRA_DB_LOCATION]
の形式にすることをお薦めします。
たとえば、2つのリカバリ・アプライアンスのDB_UNIQUE_NAME
がZDLRA1およびZDLRA2の場合、レプリケーション・ユーザー・アカウントはREPUSER_FROM_ZDLRA1
およびREPUSER_FROM_ZDLRA2
のようになります。または、同じ2つのリカバリ・アプライアンスがFlorenceおよびViennaにある場合、レプリケーション・ユーザー・アカウントはREPUSER_FROM_FLORENCE
およびREPUSER_FROM_VIENNA
のようになります。
レプリケーション・ユーザー・アカウントは、リカバリ・アプライアンスへの接続やバックアップの送信を行うために保護されたデータベースが使用する通常のVPCユーザーとして使用しないでください。
この項には次のトピックが含まれます:
リカバリ・アプライアンス・レプリケーションの概要
図8-1の簡易なレプリケーション・トポロジでは、保護されたデータベースがあるリカバリ・アプライアンスにバックアップを送信し、そのリカバリ・アプライアンスが他のリカバリ・アプライアンスにバックアップを渡します。このトポロジを一方向リカバリ・アプライアンス・レプリケーションと呼びます。1つめのリカバリ・アプライアンスはアップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、2つめはダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスです。
この項には次のトピックが含まれます:
レプリケーションの保護ポリシー
保護されたデータベースのレプリケーションが行われるのは、次の条件が満たされる場合です。
-
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、レプリケーション・サーバー構成によってダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスとして動作するリカバリ・アプライアンスが指定されていること(
CREATE_REPLICATION_SERVER
)。 -
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、保護ポリシーがレプリケーション・サーバー構成に関連付けられていること(
ADD_REPLICATION_SERVER
)。 -
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、レプリケーション・サーバー構成に関連付けられている保護ポリシーに保護されたデータベースが割り当てられていること(
ADD_DB
)。 -
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで、レプリケートされたバックアップの保護ポリシーが存在し(
CREATE_PROTECTION_POLICY
)、保護されたデータベースがそれに追加されていること(ADD_DB
)。
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで保護ポリシーの構成が完了すると、リカバリ・アプライアンスはポリシーで保護されている各データベースの最新の全体バックアップのみをただちにレプリケートします。バックアップとは、受信した最新のレベル0バックアップか、受信した最新のレベル1バックアップに基づいた仮想全体バックアップのいずれか新しい方です。アップストリーム・リカバリ・アプライアンスは、新しいバックアップを受け取るとそれをレプリケートします。
レプリケーション・トポロジの例
レプリケーション・トポロジは、必要だけ複雑にすることができます。主な変数は、次のとおりです。
-
レプリケーション環境内のリカバリ・アプライアンスの合計数および相互の関係
-
送信
レプリケート済バックアップを管理するアップストリーム・リカバリ・アプライアンスの保護ポリシー(CREATE_PROTECTION_POLICY)、および受信レプリケート済バックアップを管理するダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスのポリシー -
レプリケーション環境内の各リカバリ・アプライアンスのレプリケーション・サーバー構成(
CREATE_REPLICATION_SERVER
) -
レプリケーション・サーバー構成と保護ポリシーとの関連付け(
ADD_REPLICATION_SERVER
)
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスが複数のダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにレプリケートし、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスが複数のアップストリーム・リカバリ・アプライアンスからバックアップを受け取るように、レプリケーションをチェーンすることができます。ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスは、自らの保護されたデータベースとレプリケートされたバックアップの両方からバックアップを受け取ることができます。レプリケーション・トポロジ内のすべてのリカバリ・アプライアンスは、アップストリーム・レプリケーション・ロールとダウンストリーム・レプリケーション・ロールを同時に実行できます。
注意:
リカバリ・アプライアンスがアップストリームとダウンストリームの両方である場合、両方のロールに対して構成する必要があります。
1つのダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスへのレプリケーション
図8-2に、reppolicy_us_bronze
保護ポリシー(orcl08
、orcl09
およびorcl10
)に関連付けられている3つのデータベースと、reppolicy_us_gold
保護ポリシー(orcl11
、orcl12
およびorcl13
)に関連付けられている3つのデータベースを示します。reppolicy_us_gold
のみがus_bost_ds_desm
というレプリケーション・サーバー構成に関連付けられています。このトポロジでは、アップストリームZDLRA Boston
はreppolicy_us_gold
ポリシーによって保護されたデータベースのバックアップのみをダウンストリームZDLRA Des Moines
に転送します。
複数のダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスへのレプリケーション
保護されたデータベースそれぞれに独自の保護ポリシーがあるため、各ポリシーを異なるレプリケーション・サーバー構成に関連付けることができます。たとえば、図8-3では、reppolicy_us_bronze
ポリシーは、reppolicy_us_bronze
(orcl08
、orcl09
およびorcl10
)によって保護されたデータベースのバックアップをZDLRA San Francisco
というダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにレプリケートするレプリケーション・サーバー構成us_bost_ds_sf
に関連付けられています。reppolicy_us_bronze
ポリシーは、reppolicy_us_gold
(orcl11
、orcl12
およびorcl13
)によって保護されたデータベースのバックアップをZDLRA Des Moines
というダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにレプリケートするレプリケーション・サーバー構成us_bost_ds_desm
に関連付けられています。
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでの異なるポリシーを使用したレプリケーション
レプリケーション・スキーマの各ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでは、保護ポリシーによってディスク・リカバリ・ウィンドウ目標と受け取ったバックアップのテープ保存ポリシーが定義されます。ダウンストリーム構成とアップストリーム構成は完全に独立しています。このため、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを長期保存バックアップ・リポジトリとして使用するなど、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスよりも多くの記憶域および長いリカバリ・ウィンドウでダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを構成することができます。
図8-4は、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスのreppolicy_us_bronze
バックアップが、ZDLRA San Francisco
のreppolicy_ds_bronze
ポリシーによって保護されていることを示しています。アップストリーム・リカバリ・アプライアンスのreppolicy_us_bronze
バックアップは、ZDLRA Des Moines
のreppolicy_ds_gold
ポリシーによって保護されています。
カスケード型レプリケーション
図8-5に、より複雑なトポロジを示します。データベースorcl11
、orcl12
およびorcl13
は、最も遠いアップストリームであるZDLRA Boston
のreppolicy_us_gold
保護ポリシーによって保護されています。reppolicy_us_gold
ポリシーはこれらのデータベースのバックアップを、すぐ下流のZDLRA Des Moines
にレプリケートします。ただし、ZDLRA Des Moines
には、データベースorcl11
およびorcl12
を保護するreppolicy_ds_gold1
とデータベースorcl13
のみを保護するreppolicy_ds_gold2
の2つの別個の保護ポリシーがあります。
図8-5では、reppolicy_ds_gold2
保護ポリシーはレプリケーション・サーバー構成us_desm_ds_la
に関連付けられています。その後、ZDLRA Des Moines
はreppolicy_ds_gold2
によって保護されている唯一のデータベースorcl13
のバックアップを、最も遠いダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスであるZDLRA Los Angeles
にレプリケートします。ZDLRA Los Angeles
にあるorcl13
のバックアップは、reppolicy_dds_gold
ポリシーによって保護されています。3つ以上のリカバリ・アプライアンスがチェーンにリンクされているこの構成を、カスケード型レプリケーションと呼びます。
リカバリ・アプライアンスでのバックアップのレプリケート方法: 基本プロセス
保護されたデータベースを永久的増分ポリシーを使用してリカバリ・アプライアンスにバックアップすると想定します。保護されたデータベースが、レプリケーションが構成されたリカバリ・アプライアンスにバックアップを送信すると、次の基本手順が行われます。
-
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスはバックアップを収集し、レプリケーション・サーバー構成に関連付けられているかどうか保護ポリシーを確認します。
-
保護ポリシーのレプリケーション・サーバー構成が存在する場合、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスはバックアップをレプリケートします。レプリケーション・プロセスは次のとおりです。
-
メタデータ・レコードを作成して、レプリケートされたレコードを追跡
注意:
リアルタイムREDOトランスポートが有効である場合、受信したREDO変更はリカバリ・アプライアンスによってリアルタイムではレプリケートされません。アーカイブREDOログのバックアップが作成されると、Recovery Applianceは、このバックアップをデータ・ファイルのバックアップとともにレプリケートします。
-
指定された各ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにネットワークを介してデータ・ブロックを転送
-
-
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスはバックアップを収集して、仮想バックアップを作成します。
注意:
ダウンストリームの収集フェーズは、手順1で説明した収集フェーズと同じです。このため、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスもバックアップをレプリケートするように構成されている場合、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスのロールを負い、バックアップをすぐ下流のリカバリ・アプライアンスにバックアップします。
-
その後間もなく、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスはダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスに調整リクエストを送信し、今度はダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスがバックアップに関するメタデータをアップストリーム・リカバリ・アプライアンスに送信します。
リカバリ・アプライアンス・レプリケーションでは、調整はリカバリ・アプライアンスがすぐ下流のリカバリ・アプライアンスからメタデータを受信するプロセスです。
このため、バックアップがレプリケートされた後は、アップストリームおよびダウンストリーム・リカバリ・カタログの両方が保護されたデータベースのバックアップのレコードを所持します。
RMANがレプリケーション環境でバックアップをリストアする方法
保護されたデータベースをリストアする場合、一般にRMANは当初バックアップを送信した同じリカバリ・アプライアンスにAS
CATALOG
を接続します。たとえば、図8-2では、RMANがorcl11
をリストアする必要がある場合、RMANはアップストリーム・リカバリ・アプライアンス上のカタログに接続します。
バックアップがレプリケーション・スキーマの任意のリカバリ・アプライアンスにある場合、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスは他のリカバリ・アプライアンスからバックアップを取得してリストアできます。たとえば、図8-2で、RMANがorcl11
をリストアする必要があるが、バックアップがアップストリーム・リカバリ・アプライアンスからパージされている場合、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスがバックアップをアップストリーム・リカバリ・アプライアンスに提供し、その後にリストアすることができます。
必要に応じて、RMANはダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスから直接バックアップをリストアすることもできます。RMANはAS
CATALOG
をダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスに接続してから、バックアップをリストアします。たとえば、図8-2で、RMANがprod3
をリストアする必要があるが、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスが一時的にアクセス不可である場合、RMANはダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のカタログに直接接続して、保護されたデータベース・ホストに直接バックアップをリストアできます。
注意:
Oracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)またはコマンドラインを使用している場合、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスからバックアップをリストアするには追加構成が必要です。『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。
リカバリ・アプライアンス・レプリケーションのユーザー・インタフェース
この項には次のトピックが含まれます:
Cloud Controlでのレプリケーション・ページへのアクセス
レプリケーション・ページにアクセスするには:
-
「リカバリ・アプライアンスのホームページへのアクセス」の説明に従って、リカバリ・アプライアンスのホームページにアクセスします。
-
「リカバリ・アプライアンス」メニューから、「レプリケーション」を選択します。
図8-6に示すように、レプリケーション・ページが表示されます。
前述の例で、
ZDLRA9_REP
というレプリケーション・サーバーはすでに構成されています。「ステータス」列に使用可能であることが示されます。
関連項目:
レプリケーション・ページの詳細は、Cloud Controlのヘルプを参照してください。
レプリケーションに関連するDBMS_RAプロシージャ
DBMS_RA
パッケージを使用して、レプリケーションを作成および管理できます。表8-1で、レプリケーションに関連する主なプログラム・ユニットについて説明します。
表8-1 レプリケーションに関連する主なプロシージャ
プログラム・ユニット | 説明 |
---|---|
このリカバリ・アプライアンスによるバックアップのレプリケート先ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを指定するレプリケーション・サーバー構成を作成します。 |
|
レプリケーション・サーバー構成を削除します。 |
|
レプリケーション・サーバー構成を、 |
|
レプリケーション・サーバー構成を、 |
|
保護ポリシーにデータベースを追加します。 |
|
保護ポリシーを作成します。このポリシーに割り当てられているデータベースのレプリケーションを有効にするには、 |
|
保護されたデータベースのプロパティを更新します。 |
関連項目:
レプリケーションのリカバリ・カタログ・ビュー
リカバリ・アプライアンス・カタログ・ビューを使用して、レプリケーションをモニターできます。表8-2に、レプリケーションに最も有用なビューについてまとめます。
表8-2 レプリケーションのビュー
ビュー | 説明 |
---|---|
このビューでは、この特定のリカバリ・アプライアンスからレプリケート済バックアップを直接受け取るダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを示します。 たとえば、リカバリ・アプライアンスAはリカバリ・アプライアンスBにレプリケートし、Bはリカバリ・アプライアンスCにレプリケートします。リカバリ・アプライアンスA上の |
|
このビューの |
|
このビューは、定義済の保護ポリシーを示します。 |
|
|
リカバリ・カタログに記録されている使用可能なすべてのバックアップ・ピースに関する詳細情報を表示します。 |
関連項目:
リカバリ・アプライアンス・レプリケーションを構成するための基本的なタスク
図8-7に、レプリケーションを構成するための基本的なワークフローを示します。「リカバリ・アプライアンスの計画」で、データベースの各サービス層のリカバリ要件を決定するワークフロー内のステージについて説明しています。
構成は、Cloud Controlまたはコマンドライン・インタフェースのどちらかを使用して実行できます。手順があまり複雑でないため、Cloud Controlを使用することをお薦めします。
Cloud Controlを使用したリカバリ・アプライアンス・レプリケーションの構成
前提条件
環境が次の前提条件を満たしている必要があります。
-
アップストリームおよびダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスが、ネットワークを超えて相互にやり取りできること。
-
バックアップ・データをレプリケートするすべての保護されたデータベースが、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスに登録されていること。
-
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスが起動され、バックアップを受け取るように構成されていること。
前提条件
リカバリ・アプライアンス環境において、次の文がtrueであると想定します。
-
保護されたデータベース
orcl11
とorcl12
をアップストリーム・リカバリ・アプライアンスZDLRA Boston
にバックアップします。 -
ZDLRA Boston
をダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスZDLRA Des Moines
にレプリケートします。 -
repuser_from_boston
というレプリケーション・ユーザー・アカウントがダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス(ZDLRA Des Moines
)に存在します。 -
vpc_boston1
という仮想プライベート・カタログ・アカウントがアップストリーム・リカバリ・アプライアンス(ZDLRA Boston
)に存在します。 -
アップストリーム・リカバリ・アプライアンス (
ZDLRA Boston
)のデータベース・インストールを所有するオペレーティング・システム・ユーザーの資格証明がわかっています。
リカバリ・アプライアンス・レプリケーションを構成するには:
-
「Cloud Controlでの保護ポリシーの作成ページへのアクセス」の説明に従って、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで
RASYS
として保護ポリシーの作成ページにアクセスします。この例では、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスである
ZDLRA Des Moines
の保護ポリシーの作成ページにアクセスします。 -
「Cloud Controlを使用した保護ポリシーの作成」に説明されているとおりに、レプリケーション保護ポリシーを作成します。
この例では、
reppolicy_ds_gold
というポリシーを作成します。 -
「Cloud Controlを使用した保護されたデータベースの登録」に説明されているとおりに、データベースを追加し、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のレプリケーション・ユーザー・アカウントへのアクセス権を付与します。
注意:
ダウンストリーム・リカバリ・カタログで保護されたデータベースに対して
REGISTER DATABASE
コマンドを実行する必要はありません(これは登録の最終手順です)。この例では、保護されたデータベース
orcl11
とorcl12
を追加し、これらのデータベースにrepuser_from_boston
アクセスを付与します。 -
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、リカバリ・アプライアンスのホームページに移動します。
-
レプリケーションの新しい保護ポリシーを作成する場合は、次のサブステップを完了します。それ以外の場合は、手順6にスキップします。
-
「Cloud Controlでの保護ポリシーの作成ページへのアクセス」の説明に従って、
RASYS
として保護ポリシーの作成ページにアクセスします。この例では、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスである
ZDLRA Boston
の保護ポリシーの作成ページにアクセスします。 -
「Cloud Controlを使用した保護ポリシーの作成」に説明されているとおりに、レプリケーション保護ポリシーを作成します。
この例では、
reppolicy_us_gold
というポリシーを作成します。
-
-
「Cloud Controlを使用した保護されたデータベースの登録」に説明されているとおりに、既存の保護ポリシーにデータベースを追加し、アップストリーム仮想プライベート・カタログ・アカウントへのアクセス権を付与します。
この例では、保護されたデータベース
orcl11
とorcl12
を保護ポリシーreppolicy_us_gold
に追加し、これらのデータベースにvpc_boston1
アクセスを付与します。 -
「リカバリ・アプライアンス」メニューから、「レプリケーション」を選択します。
リカバリ・アプライアンス・ログイン・ページが表示されます。
-
ログイン資格証明を入力して、「ログイン」をクリックします。
レプリケーション・ページが表示されます。
-
レプリケーション・サーバーの作成をクリックします。
注意:
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで保護ポリシーにデータベースを追加してデータベース・アクセスを付与する前に、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでレプリケーション・サーバーを作成すると、レプリケーションは機能しません。
レプリケーション・サーバーの作成ページが表示されます。
-
次のように値を入力して、「OK」をクリックします。
-
「ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス」フィールドで拡大鏡をクリックし、検出されたターゲットのリストからダウンストリーム・ロールで構成するリカバリ・アプライアンスを選択します。
たとえば、ZDLRA Des Moinesを選択します。
-
「ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベース資格証明」セクションで、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上の仮想プライベート・カタログ・アカウントの資格証明を指定します。
注意:
このカタログ・アカウントには、レプリケートされたバックアップをダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上で管理する権限が付与されている必要があります。「仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成」を参照してください。
たとえば、
vpc_des_moines1
と入力します。 -
「アップストリーム・リカバリ・アプライアンス・ホスト資格証明」セクションで、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスのデータベース・インストールを所有するオペレーティング・システム・ユーザーの資格証明を指定します。
ジョブ発行IDを示す情報メッセージが表示されます。
-
-
ジョブ・レポートを表示するには、ジョブ発行IDをクリックします。
プロシージャ・アクティビティ・ページが表示されます。
-
「プロシージャ・ステップ」セクションで、詳細情報を取得するいずれかまたは全部のステップを選択します。
図8-13に、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス情報ステップが選択されたプロシージャ・ステップ・ページのスニペットを示します。
-
リカバリ・アプライアンスのホームページに戻るには、「ターゲット」、「リカバリ・アプライアンス」をクリックしてからアップストリーム・リカバリ・アプライアンスの名前をクリックします。
-
「リカバリ・アプライアンス」メニューから、「レプリケーション」を選択します。
レプリケーション・ページが表示されます。
-
手順9で作成したレプリケーション・サーバー構成を選択して、「保護ポリシーの追加」をクリックします。
保護ポリシーの追加ページが表示されます。
-
手順6で作成したレプリケーション・ポリシーを選択して、「OK」をクリックします。
この例では、
reppolicy_us_gold
というポリシーを選択します。レプリケーション・ページに、保護ポリシーがアタッチされたレプリケーション・サーバー構成が表示されます。
関連項目:
レプリケーション・ページの詳細は、Cloud Controlオンライン・ヘルプを参照してください。
DBMS_RAを使用したリカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成
この項では、コマンドライン・ツールを使用してレプリケーションを構成する方法について説明します。基本的なワークフローは次のとおりです。
-
「DBMS_RAを使用したダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成」の説明に従って、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを構成します。
-
「DBMS_RAを使用したアップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成」の説明に従って、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスを構成します。
-
「リカバリ・アプライアンス・レプリケーションのための保護されたデータベースの構成」に説明されているとおりに、レプリケーションに関与する保護されたデータベースを構成します。
-
「リカバリ・アプライアンスのレプリケーション・サーバー構成のテスト」に説明されているとおりに、レプリケーションをテストします。
図8-14は、構成フェーズを図示したものです。
レプリケーション例の仮定
次に続くレプリケーション・タスクでは、次の条件がtrueであると想定します。
-
データベース
orcl11
とorcl12
を、アップストリーム・レプリケーション・ロールで構成するZDLRA Boston
というリカバリ・アプライアンスにバックアップします。 -
ZDLRA Des Moines
をダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスとして使用します。 -
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで、
repuser_from_boston
というリカバリ・アプライアンス・ユーザー・アカウントを作成します。このアカウントは、レプリケーション・ユーザー・アカウントです。注意:
このアカウントのネーミング規則は、バックアップのレプリケート元のリカバリ・アプライアンス(この場合、
ZDLRA Boston
)を使用します。この例の保護ポリシーの名前では、アップストリームにus
、ダウンストリームにds
を使用します。 -
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで、
reppolicy_ds_gol
という保護ポリシーを作成します。このポリシーは、レプリケーションでのみ使用します。 -
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで、
vpc_des_moines1
という仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成します。RMANでは、このアカウントを使用してデータベースorcl11
とorcl12
をバックアップおよびリストアします。 -
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、
reppolicy_us_gold
という保護ポリシーを作成します。このポリシーは、レプリケーションでのみ使用します。 -
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、
vpc_boston1
という仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成します。RMANでは、このアカウントを使用してデータベースorcl11
とorcl12
をバックアップおよびリストアします。
DBMS_RAを使用したダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成
この項では、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスの構成方法について説明します。
注意:
リカバリ・アプライアンスにアップストリーム・ロールとダウンストリーム・ロールの両方がある場合、次の手順はダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスのロールのみに関係します。
タスク1: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成
保護されたデータベースをバックアップまたはリストアする際、RMANはこのアカウントを使用して、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のリカバリ・カタログに接続します。
このタスクでは、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでvpc_des_moines1
という仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成すると想定します。
仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成するには:
-
「仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成」の手順に従います。
たとえば、次の文を実行してユーザー・アカウント
vpc_des_moines1
を作成します。# ./racli add vpc_user --username=vpc_des_moines1
プロンプト表示されたら、
vpc_des_moines1
ユーザーのパスワードを入力します。
関連項目:
仮想プライベート・カタログの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
タスク2: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション保護ポリシーの作成
このダウンストリームRecovery Applianceにレプリケートしたバックアップのリカバリ・ウィンドウおよびその他のプロパティを指定する保護ポリシーを作成するには、DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICY
を実行します。
このタスクでは、reppolicy_ds_gold
ポリシーを作成してorcl11
およびorcl12
データベースを保護すると想定します。後から、このポリシーをリカバリ・アプライアンスに関連付けます。
レプリケーション保護ポリシーを作成するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、
RASYS
としてダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベースに接続します。 -
DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICY
プロシージャで保護ポリシーを作成します。たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。
BEGIN DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICY ( protection_policy_name => 'reppolicy_ds_gold', description => 'For protected dbs in gold tier', storage_location_name => 'delta', recovery_window_goal => INTERVAL '28' DAY, guaranteed_copy => 'NO'); END;
関連項目:
-
プロシージャの引数の定義については、「CREATE_PROTECTION_POLICY」を参照してください
タスク3: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・ユーザー・アカウントの作成
保護されたデータベースのバックアップをレプリケートするようダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを構成する場合、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスがこのダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスへのログインに使用するレプリケーション・ユーザー・アカウントを作成する必要があります。ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のユーザーの資格証明はアップストリーム・リカバリ・アプライアンスに格納されています(「タスク5: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのOracleウォレットの作成」を参照)。
注意:
管理しやすいように、リカバリ・アプライアンス・レプリケーション専用のレプリケーション・ユーザー・アカウントを作成し、各アップストリーム・アプライアンスには別のレプリケーション・ユーザー・アカウントを作成することをお薦めします。
このタスクでは、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスがこのリカバリ・アプライアンスに対する認証に使用するrepuser_from_boston
というアカウントを作成すると想定します。
レプリケーション・ユーザー・アカウントを作成するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、
SYSTEM
としてまたはDBA
ロールを持つユーザーとして、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベースに接続します。 -
レプリケーション・ユーザー・アカウントを作成します。
たとえば、次のSQL文を実行して
repuser_from_boston
データベース・ユーザー・アカウントを作成し、CREATE SESSION
権限を付与します。CREATE USER repuser_from_boston IDENTIFIED BY ********; GRANT CREATE SESSION TO repuser_from_boston;
注意:
セキュリティを強化するために非常に複雑なパスワードを使用することをお薦めします。このパスワードおよびユーザー名を後続の手順でOracleウォレットに追加します。これらの資格証明をウォレットに保存すると、パスワードを手動で再入力する必要がなくなります。
関連項目:
データベース・ユーザー・アカウントの作成方法の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
タスク4: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーへのデータベースの追加
保護されたデータベースをレプリケーション保護ポリシーに追加するには、DBMS_RA.ADD_DB
を実行します。保護されたデータベースごとに予約するディスク領域の量も指定する必要があります。
このタスクでは、データベースorcl11
およびorcl12
を「タスク2: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション保護ポリシーの作成」で作成したreppolicy_ds_gold
保護ポリシーに追加し、保護されたデータベースごとに128GBの予約済領域を割り当てると想定します。
保護ポリシーにデータベースを追加するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、
RASYS
としてダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベースに接続します。 -
DBMS_RA.ADD_DB
プロシージャを使用して、保護されたデータベースごとにメタデータを追加します。たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。
BEGIN DBMS_RA.ADD_DB ( db_unique_name => 'orcl11', protection_policy_name => 'reppolicy_ds_gold', reserved_space => '128G'); END; BEGIN DBMS_RA.ADD_DB ( db_unique_name => 'orcl12', protection_policy_name => 'reppolicy_ds_gold', reserved_space => '128G'); END;
タスク5: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのデータベース・アクセスの付与
DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS
を実行して、次のデータベース・アカウントに保護されたデータベース・アクセスを付与します。
-
「タスク1: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成」で作成された仮想プライベート・カタログ・アカウント
-
「タスク3: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・ユーザー・アカウントの作成」で作成されたレプリケーション・ユーザー・アカウント
レプリケーションおよびカタログ・アカウントに保護されたデータベース・アクセスを付与するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、
RASYS
としてダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベースに接続します。 -
このアカウントで認証する必要のあるアップストリーム・リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信する保護されたデータベースごとに、レプリケーション・ユーザーに権限を付与します。
次の例では、レプリケーション・ユーザー
repuser_from_boston
に、保護されたデータベースorcl11
およびorcl12
で必要な権限を付与します。BEGIN DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS ( username => 'repuser_from_boston', db_unique_name => 'orcl11'); END; BEGIN DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS ( username => 'repuser_from_boston', db_unique_name => 'orcl12'); END;
-
このアカウントで認証する必要のある各アップストリーム・リカバリ・アプライアンス上の保護されたデータベースごとに、仮想プライベート・カタログ・アカウントに権限を付与します。
次の例ではリカバリ・カタログ・アカウント
vpc_des_moines1
に、保護されたデータベースorcl11
およびorcl12
で必要な権限を付与します。BEGIN DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS ( username => 'vpc_des_moines1', db_unique_name => 'orcl11'); END; BEGIN DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS ( username => 'vpc_des_moines1', db_unique_name => 'orcl12'); END;
DBMS_RAを使用したアップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成
この項では、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスの構成方法について説明します。この項では、「DBMS_RAを使用したダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成」の手順が完了したと想定します。
注意:
リカバリ・アプライアンスにアップストリーム・ロールとダウンストリーム・ロールの両方がある場合、次の手順はアップストリーム・ロールのみに関係します。
タスク1: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成
保護されたデータベースをバックアップする際、RMANはこのアカウントを使用して、アップストリーム・リカバリ・アプライアンス上のリカバリ・カタログに接続します。
この項では、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでvpc_boston1
という仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成すると想定します。
仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成するには:
-
「仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成」の手順に従います。
たとえば、次の文を実行してユーザー・アカウント
vpc_boston1
を作成します。# ./racli add vpc_user --username=vpc_boston1
プロンプト表示されたら、
vpc_boston1
ユーザーのパスワードを入力します。
関連項目:
仮想プライベート・カタログの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
タスク2: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーの作成
DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICY
を実行して、このアップストリーム・リカバリ・アプライアンスへのバックアップのディスク・リカバリ・ウィンドウおよびその他のプロパティを指定する保護ポリシーを作成します。アップストリーム・リカバリ・アプライアンスは、これらのバックアップをダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにレプリケートします。
このタスクでは、reppolicy_us_gold
ポリシーを作成してorcl11
およびorcl12
データベースを保護すると想定します。次のタスクでは、この保護ポリシーを保護されたデータベースに関連付けます。
リカバリ・アプライアンス・レプリケーションの保護ポリシーを作成するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、
RASYS
としてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続します。 -
DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICY
プロシージャで各保護ポリシーを作成します。たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。
BEGIN DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICY ( protection_policy_name => 'reppolicy_us_gold', description => 'For protected dbs in gold tier', storage_location_name => 'delta', recovery_window_goal => INTERVAL '28' DAY, guaranteed_copy => 'NO'); END;
関連項目:
-
プロシージャの引数の定義については、「CREATE_PROTECTION_POLICY」を参照してください
タスク3: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーへのデータベースの追加
保護されたデータベースをレプリケーション保護ポリシーに追加するには、DBMS_RA.ADD_DB
プロシージャを実行します。保護されたデータベースごとに予約するディスク領域の量も指定する必要があります。
このタスクでは、データベースorcl11
およびorcl12
を「タスク2: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーの作成」で作成したreppolicy_us_gold
保護ポリシーに追加し、保護されたデータベースごとに128GBの予約済領域を割り当てると想定します。
保護ポリシーにデータベースを追加するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、
RASYS
としてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続します。 -
DBMS_RA.ADD_DB
プロシージャを使用して、保護されたデータベースごとにメタデータを追加します。たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。
BEGIN DBMS_RA.ADD_DB ( db_unique_name => 'orcl11', protection_policy_name => 'reppolicy_us_gold', reserved_space => '128G'); END; BEGIN DBMS_RA.ADD_DB ( db_unique_name => 'orcl12', protection_policy_name => 'reppolicy_us_gold', reserved_space => '128G'); END;
タスク4: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントへのデータベース・アクセスの付与
「タスク1: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成」で作成したアップストリーム・カタログ・アカウントに保護されたデータベース・アクセスを付与するには、DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS
を実行します。この手順により、RMANは保護されたデータベースのバックアップまたはリストア時にリカバリ・カタログに接続できるようになります。
仮想プライベート・カタログに保護されたデータベース・アクセスを付与するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、
RASYS
としてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続します。 -
バックアップをレプリケートする保護されたデータベースごとに、仮想プライベート・カタログ・アカウントに権限を付与します。
次の例ではカタログ・アカウント
vpc_boston1
に、保護されたデータベースorcl11
およびorcl12
で必要な権限を付与します。BEGIN DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS ( username => 'vpc_boston1', db_unique_name => 'orcl11'); END; BEGIN DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS ( username => 'vpc_boston1', db_unique_name => 'orcl12'); END;
タスク5: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのOracleウォレットの作成
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、mkstore
ユーティリティを使用してOracle自動ログイン・ウォレットを作成し、「タスク3: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・ユーザー・アカウントの作成」で作成したレプリケーション・ユーザー資格証明を追加します。アップストリーム・リカバリ・アプライアンスは、ダウンストリーム・アプライアンスへのログイン時にこれらの資格証明が必要となります。格納されている各資格証明には、リカバリ・アプライアンス・ユーザー・アカウントの名前と検証が含まれます。
注意:
既存のウォレットが自動ログイン・ウォレットである(ウォレットにアクセスするたびにパスワードを入力する必要がない)場合、それを使用できます。Oracleのファイル拡張子は*.sso
です。既存のOracleウォレットを使用する場合は、下の手順2をスキップします。
このタスクでは、次のことを想定しています。
-
アップストリーム・リカバリ・アプライアンス・ホストの
/dbfs_repdbfs/REPLICATION
ディレクトリでレプリケーションに使用するOracleウォレットを作成します。 -
レプリケーション・ユーザー
repuser_from_boston
の資格証明を追加します。
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでOracleウォレットを作成するには:
-
アップストリーム・リカバリ・アプライアンス・ホストに、リカバリ・アプライアンスをインストールしたオペレーティング・システム・ユーザーまたはそのユーザーのオペレーティング・システム・グループのメンバーとしてログインします。
-
Oracleウォレットを作成するには、次のコマンドを実行します。
wallet_location
は、ウォレットを格納するアップストリーム・リカバリ・アプライアンスの既存のディレクトリです。mkstore -wrl wallet_location -createALO
たとえば、次のコマンドは
/dbfs_repdbfs/REPLICATION
ディレクトリに自動ログイン・ウォレットを作成します。mkstore -wrl /dbfs_repdbfs/REPLICATION -createALO
-
資格証明を追加するには、次のコマンドを実行します。
mkstore -wrl wallet_location -createCredential serv_name ds_rep_user pwd
プレースホルダは次のように定義されています。
-
wallet_location
は、ウォレットを作成するディレクトリです。ディレクトリは存在している必要があります。 -
serv_name
は、Oracleネットワーク上でダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを識別するためにEZ接続記述子で使用するOracleネットワーク・サービス名です。 -
ds_rep_user
は、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のレプリケーション・ユーザー・アカウントのユーザー名です。 -
pwd
は、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のレプリケーション・ユーザーのセキュア・パスワードです。
たとえば、次のコマンドは、ポート
1522
およびデータベース名zdlradsm
を使用するネット・サービス名radsm01repl-scan.acme.com
と、レプリケーション・ユーザー名repuser_from_boston
の資格証明を追加します。mkstore -wrl /dbfs_repdbfs/REPLICATION -createCredential \ "radsm01repl-scan.acme.com:1522/zdlradsm" "repuser_from_boston" "pwd"
-
-
Oracleウォレットに資格証明のリストを表示する次のコマンドを実行して、すべてのユーザーの資格証明が正しく追加されたことを確認します(パスワードまたは検証は表示されません)。
mkstore -wrl wallet_location -listCredential
たとえば、次のコマンドは
/dbfs_repdbfs/REPLICATION
に格納されているOracleウォレット内の資格証明のリストを表示します。mkstore -wrl /dbfs_repdbfs/REPLICATION -listCredential Oracle Secret Store Tool : Version 12.1.0.1 Copyright (c) 2004, 2012, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved. List credential (index: connect_string username) 1: radsm01repl-scan1.acme.com:1522/zdlradsm repuser_from_boston
関連項目:
-
tnsnames.ora
の場所については、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 -
ネット・サービス名の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。
タスク6: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・サーバー構成の作成
DBMS_RA.CREATE_REPLICATION_SERVER
を実行して、このアップストリーム・リカバリ・アプライアンスをレプリケートするダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスごとにレプリケーション・サーバー構成を作成します。
注意:
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで保護ポリシー(ADD_DB
)にデータベースを追加してデータベース・アクセス(GRANT_DB_ACCESS
)を付与する前に、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでCREATE_REPLICATION_SERVER
を実行すると、ORA-600
エラーが発生する可能性があります。
-
zdlradsm_rep
というレプリケーション・サーバー構成を作成します。注意:
レプリケーション・サーバー構成名は任意です。ただし、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスのサービス名を使用することをお薦めします。これは、データベース名(この例では
zdlradsm
)の後に_rep
を付けたものでもあります。 -
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、レプリケーション・アカウント
repuser_from_boston
を使用してダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにログインします。このアカウントは「タスク3: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・ユーザー・アカウントの作成」で作成されました。 -
構成では、「タスク5: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのOracleウォレットの作成」で作成したOracleウォレットに格納されているネット・サービス名
radsm01repl-scan.acme.com:1522/zdlradsm
を使用します。 -
Oracleウォレットは
/dbfs_repdbfs/REPLICATION
に格納されています。 -
すべてのリカバリ・アプライアンスに事前インストールされているリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのファイル名は
/u01/app/oracle/product/12.1.0.2/dbh1/lib/libra.so
です。このモジュールは、SBTメディア管理ライブラリとして機能します。RMANは、リカバリ・アプライアンスにバックアップするためのチャネルを割当てまたは構成する際に、このモジュールを参照します(「リカバリ・アプライアンス・レプリケーションのための保護されたデータベースの構成」を参照)。
レプリケーション・サーバー構成を作成するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、
RASYS
としてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続します。 -
ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスごとに
DBMS_RA.CREATE_REPLICATION_SERVER
プロシージャを実行します。次の例では、
ZDLRA Des Moines
というダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにzdlradsm_rep
というレプリケーション・サーバー構成を作成します。BEGIN DBMS_RA.CREATE_REPLICATION_SERVER ( replication_server_name => 'zdlradsm_rep', sbt_so_name => '/u01/app/oracle/product/12.1.0.2/dbh1/lib/libra.so', catalog_user_name => 'RASYS', wallet_alias => 'radsm01repl-scan.acme.com:1522/zdlradsm', wallet_path => '/dbfs_repdbfs/REPLICATION'); END;
-
レプリケーション・サーバー構成の作成を確認します。
SELECT COUNT(*) should_be_one FROM RA_REPLICATION_SERVER WHERE REPLICATION_SERVER_NAME = 'ZDLRADSM_REP'; SHOULD_BE_ONE ------------- 1
構成が正しく作成された場合、戻り値は
1
です。
関連項目:
-
プロシージャの引数の説明については、「CREATE_REPLICATION_SERVER」を参照してください
-
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの詳細は、『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。
-
有効なクライアント構成ファイル・パラメータとその定義のリストについては、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
タスク7: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスの保護ポリシーとの関連付け
レプリケーション・サーバー構成を保護ポリシーに割り当てることで、保護されたデータベースそれぞれをレプリケートするダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを指定します。このタスクが完了すると、リカバリ・アプライアンス・レプリケーションは有効になります。
注意:
1つの保護ポリシーに複数のレプリケーション・サーバー構成を割り当てることができます。
このタスクでは、次のことを想定しています。
-
「タスク6: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・サーバー構成の作成」で作成した
zdlradsm_rep
というレプリケーション・サーバー構成を使用します。 -
レプリケーション・サーバー構成を、「タスク2: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーの作成」で作成した保護ポリシー
reppolicy_us_gold
に追加します。
レプリケーション・サーバー構成を保護ポリシーに関連付けるには:
-
リカバリ・アプライアンス管理者としてリカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続していることを確認します。
-
保護ポリシーとレプリケーション・サーバー構成の組合せごとに、
DBMS_RA.ADD_REPLICATION_SERVER
プロシージャを実行します。たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。
BEGIN DBMS_RA.ADD_REPLICATION_SERVER ( replication_server_name => 'zdlradsm_rep', protection_policy_name => 'reppolicy_us_gold'); END;
関連項目:
リカバリ・アプライアンス・レプリケーションのための保護されたデータベースの構成
リカバリ・アプライアンス・レプリケーション環境に参加する保護されたデータベースはそれぞれ、正しく構成する必要があります。たとえば、保護されたデータベースごとに、次を実行する必要があります。
-
アップストリームおよびダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上の仮想プライベート・カタログ所有者のOracleウォレット資格証明を、Oracleウォレットに追加します。
注意:
レプリケーション構成では、ダウンストリーム資格証明の追加は要求されません。ただし、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスがアクセス不可の場合、およびRMANがダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスからバックアップのリストアを試行する場合、RMANはダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで仮想プライベート・カタログに直接接続する必要があります。この場合、Oracleウォレットでダウンストリーム資格証明が必要になります。
-
Oracleウォレットの内容を確認します。
-
アップストリーム・リカバリ・アプライアンスの仮想プライベート・カタログでデータベースを登録します。
-
保護されたデータベースをバックアップし、RMANチャネルを割り当てる際に正しいOracleウォレットの場所を指定します。
保護されたデータベースの構成方法については、『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。
リカバリ・アプライアンスのレプリケーション・サーバー構成のテスト
レプリケーション・スキーマに関わる保護されたデータベースごとに、次のプロシージャを使用して、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスからすべてのダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスへのレプリケーションをテストします。このプロシージャを繰り返して、複雑なレプリケーション・トポロジの各レプリケーション・パスをテストします。
この項では、次のことを前提にしています。
-
アップストリーム・リカバリ・アプライアンス
ZDLRA Boston
からダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスZDLRA Des Moines
へのorcl11
のバックアップのレプリケーションをテストします。 -
ZDLRA Boston
ではテープにもバックアップします。
保護されたデータベースのレプリケーションをテストするには: