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Oracle® Fusion Middleware異種データベースのためのOracle GoldenGateの使用
12c (12.3.0.1)
E94566-03
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16 Oracle GoldenGateシステムの準備

この章では、Oracle GoldenGateのキャプチャおよび配信がサポートされるようにOracle GoldenGateが対話するデータベースを正しく構成する手順について説明します。ソース・システムにのみ適用される手順、ターゲットにのみ適用される手順、およびその両方に適用される手順があります。

内容は次のとおりです。

16.1 データベース接続の構成

この項では、SQL ServerデータベースへのExtractおよびReplicatの接続を設定する手順について説明します。

16.1.1 Extractのデータベース接続の構成

Extractでは、ODBC (Open Database Connectivity)接続でソースSQL Serverデータベースに接続します。この接続を確立するには、「データ ソース(ODBC)」コントロール・パネルからデータ・ソース名(DSN)を設定します。手順は、ODBC接続の構成を参照してください。

ご使用のデータベース環境でトランスポート・レイヤー・セキュリティ(TLS) 1.2を使用する場合、サポートされる接続プロトコルを強制的に使用するため、Extractに次のパラメータを含めてください。

DBOPTIONS DRIVER SQLNCLI11

16.1.2 Replicatのデータベース接続の構成

Replicatは、次のようにしてターゲット・データベースに接続しDML操作を実行できます。

  • ODBCを使用します。

  • OLE DBを使用します。この方法がデフォルトで、ODBCを使用する方法よりもパフォーマンスが多少向上します。

  • SQL Serverレプリケーション・ユーザーとしてOLE DBを使用します。IDENTITY列、外部キー制約、およびトリガーに、NOT FOR REPLICATIONを設定する必要があります。

    注意:

    Replicatでは常にODBCを使用してメタデータを問い合せるため、ターゲットODBC接続を構成する必要があります。

使用する方法を選択する前に、次のガイドラインと手順を確認してそれぞれのメリットとデメリットを評価します。

16.1.2.1 ODBCまたはデフォルトのOLE DBの使用

ReplicatがODBC接続またはデフォルトのOLE DB接続を介して接続すると、次のような制限が適用されます。

  • ODBCまたはデフォルトのOLE DBを使用している場合に、ソースとターゲットに対してIDENTITY列をまったく同じに保つには、Replicatはトランザクションで特別な操作を作成し、必ずターゲットに対してシードがインクリメントされるようにします。これらの手順によって、配信パフォーマンスが低下する場合があります。

  • 冗長な操作の可能性を排除するために、ターゲット表に対するトリガーおよび制約を調整または無効にする必要があります。

ReplicatをODBCまたはOLE DBと組み合せて使用するには、次の手順に従います。

  1. ODBCのみを使用する場合、DBOPTIONSパラメータにUSEODBCオプションを指定してReplicatパラメータ・ファイルに含めます。(デフォルトのOLE DB接続を使用する場合、パラメータは不要です。)
  2. ターゲット表に対するトリガーおよび制約を無効にします。トリガーおよびカスケード制約の無効化を参照してください。
  3. 双方向のSQL Server構成でIDENTITY列を使用するには、それぞれに異なるシード値を持ち、構成内のサーバーの数と等しい増分値を持つようにIDENTITY列を定義します。たとえば、2つのサーバーのインストールは次のようになります。
    • Sys1は、増分値2で、1にシード値を設定します。

    • Sys2は、増分値2で、2にシード値を設定します。

    3つのサーバーのインストールは次のようになります。

    • Sys1は、増分値3で、1にシード値を設定します。

    • Sys2は、増分値3で、2にシード値を設定します。

    • Sys3は、増分値3で、3にシード値を設定します。

  4. ODBCデータ・ソースを構成します。詳細は、ODBC接続の構成を参照してください。

注意:

OLE DBは、ODBC接続設定を使用して、使用するドライバの情報とともにOLE DBの接続情報を取得します。

16.1.2.2 OLE DBでのUSEREPLICATIONUSERの使用

ReplicatがUSEREPLICATIONUSERオプションを指定してOLE DB経由でSQL Serverレプリケーション・ユーザーとして接続し、IDENTITY、トリガー、および外部キー制約に対してNOT FOR REPLICATIONが有効になっている場合は、次のような利点と制限が適用されます。

  • Replicatが挿入を実行すると、IDENTITYシードがインクリメントされません。双方向のSQL Server構成では、前の項の手順3で示した例のように、シード値と増分値をずらして設定します。

  • トリガーは、冗長な操作を回避するために、ターゲット上でReplicatユーザーに対して自動的に無効になります。ただし、他のユーザーに対してはターゲット上でトリガーが起動されます。

  • 外部キー制約は、Replicatトランザクションのターゲットに対して強制されません。CASCADE更新および削除は行われません。これらも冗長な操作を防ぎます。

  • CHECK制約は、Replicatトランザクションのターゲットに対して強制されません。これらの制約は、データの取得前にソースに対して強制されますが、ターゲットに制約がないことでデータの整合性の問題が発生するかを検討します。

    注意:

    通常のIDENTITY、トリガー、および制約の機能は、Replicatレプリケーション・ユーザー以外のユーザーに対しては有効のままです。

USEREPLICATIONUSERを設定してReplicatを使用するには、次の手順に従います。

  1. SQL Server Management Studio (またはその他のインタフェース)で、次のオブジェクトにNOT FOR REPLICATIONフラグを設定します。アクティブ/パッシブ構成の場合、パッシブ・データベースでのみ設定します。アクティブ/アクティブ構成の場合、両方のデータベースで設定します。
    • 外部キー制約

    • チェック制約

    • IDENTITY

    • トリガー(定義のテキスト変更が必要です。詳細は、SQL Serverのドキュメントを参照してください。)

  2. 双方向構成用にIDENTITY値をパーティション化します。
  3. ReplicatのMAP文で、ソース表を適切なターゲットにマップし、ソース表がトリガーまたは外部キー・カスケード制約で参照する子表をマップします。トリガーおよびカスケードされる子の操作がOracle GoldenGateによってレプリケートされるため、参照される表を適切なターゲットにマップし、データの整合性を保ちます。ExtractのTABLEパラメータに同じ親と子のソース表を含めます。

    注意:

    参照先の表がMAP文に含まれていない場合、整合性違反(レプリケートされていない表への外部キーが含まれている表に行が挿入される場合など)をアラートするエラーは表示されません。

  4. Replicatパラメータ・ファイルに、USEREPLICATIONUSERオプションを指定してDBOPTIONSパラメータを含めます。
  5. ODBCデータ・ソースを構成します。詳細は、ODBC接続の構成を参照してください。

16.1.3 ODBC接続の構成

次の手順に従って、ソースSQL ServerデータベースおよびターゲットSQL Serverデータベース用のSQL Serverシステムのデータ・ソース名(DSN)を作成します。DSNには、ODBC (Open Database Connectivity)を介したSQL Serverデータベースへの接続方法に関する情報が格納されます。

注意:

OLE DBを適用接続の方法として使用している場合でも、Replicatでは、ターゲット・データベースへのメタデータに関する問合せに、常にODBCを使用します。したがって、Replicatには常にDSNが必要です。

SQL ServerのDSNの作成手順

  1. ODBCクライアントを実行するには、「コントロール パネル」「管理ツール」「データソース(ODBC)」の順に選択します。
  2. ODBCクライアントの「ODBCデータ ソース アドミニストレータ」ダイアログ・ボックスで「システムDSN」タブを選択し、「追加」をクリックします。
  3. 「データ ソースの新規作成」で、エディションに適したSQL Serverドライバを選択してから、「完了」をクリックします。SQL Serverに接続するための新規データソースを作成するウィザードが表示されます。
  4. 次の情報を入力してから、「次」をクリックします。
    • 名前: 任意の名前にできます。Windowsクラスタで、クラスタ内のすべてのノードにわたって同じ名前を使用します。

    • 説明: (オプション)このデータ・ソースの説明を入力します。

    • サーバー: SQL Serverインスタンス名を選択します。

  5. ログイン認証のために、次のいずれかを実行してから「次へ」をクリックします。
    1. Oracle GoldenGateでWindows認証を使用するには、「統合Windows認証を使用する」を選択します。
    2. データベース資格証明を使用するには、「ユーザーが入力するSQL Server用のログインIDとパスワードを使う」を選択して、ログイン情報を指定します。
  6. デフォルト・データベースが、Oracle GoldenGateが接続するデータベースに設定されていない場合は、「既定のデータベースを以下のものに変更する」をクリックして、正しい名前を選択します。ANSIを使用するためのその他の設定を設定します。「次へ」をクリックします。
  7. 次のページはデフォルト設定のままにします。「完了」をクリックします。
  8. 「データ ソースのテスト」をクリックし、接続をテストします。
  9. テストが成功したら、確認ボックスと「データ ソースの新規作成」ボックスを閉じます。
  10. SQL Serverのソースとターゲットのシステムごとに、この手順を繰り返します。

16.2 処理のための表の準備

次の項に示す表属性はOracle GoldenGate環境で処理する必要があります。

16.2.1 ターゲット表に対するトリガーおよびカスケード制約の無効化

SQL Serverがターゲットの環境では、ソースで発生した操作を繰り返す可能性のあるトリガーおよびカスケード制約を考慮します。たとえば、TableBにレコードを挿入するTableAの挿入トリガーがソースにあり、TableAおよびTableBの両方をキャプチャおよび配信するようにOracle GoldenGateが構成されている場合、ターゲット表TableAの挿入トリガーを無効にする必要があります。そうしないと、ReplicatはTableAに挿入し、トリガーが起動してTableBに挿入します。ReplicatはTableBにも挿入しようとするため、異常終了します。

トリガーまたはカスケード制約がソースで発生した操作を繰り返すと、次の条件が両方ともtrueである場合、トリガーまたは制約を使用禁止にする必要はありません。
  • DBOPTIONS USEREPLICATIONUSERパラメータをReplicatに使用します。

  • OLE DB接続をReplicatに使用します。OLE DB接続の使用はデフォルトの構成です。トリガー、制約、またはIDENTITYプロパティでNOT FOR REPLICATIONを有効にする必要があります。

次のシナリオでは、ターゲットでトリガーおよび制約を無効にします。

  • ソースのすべての表がレプリケートされる単方向のレプリケーション。

次のシナリオでは、ターゲットのトリガーおよび制約を有効にします。

  • トリガーまたはカスケード操作によって影響を受ける表がレプリケートされず、これらの表をロードするアプリケーションのみがトリガーまたはカスケード操作を使用している単方向のレプリケーション。

  • ソースのすべての表がレプリケートされる単方向または双方向のレプリケーション。このシナリオでは、ターゲット表のカスケード制約およびトリガーを設定してNOT FOR REPLICATIONを有効にし、ReplicatのDBOPTIONS USEREPLICATIONUSERパラメータを使用してください。

16.2.2 行識別子の割当て

Oracle GoldenGateでは、レプリケートされた更新および削除に対して正しいターゲット行を見つけるために、ソース表とターゲット表に一意の行識別子が必要です。ソース表は、Oracle GoldenGateで使用する行識別子の種類を判別する方法に記載されている任意の種類のキーを持つことができます(ただし、SQL Server Standard Editionインスタンスの表には主キーが必要です)。固定長の列が存在する表に主キーが識別されない場合、それらの固定長列のいずれかの長さは3800バイト未満である必要があります。

16.2.2.1 Oracle GoldenGateが使用する行識別子の種類を判別する方法

TABLEまたはMAP文でKEYCOLS句が使用されないかぎり、Oracle GoldenGateは、使用する行識別子を次の優先順位に従って選択します。

  1. 主キー(Standard Editionインスタンスの表に必要)。
  2. タイムスタンプまたはマテリアライズされていない計算結果列を含まない英数字順で最初の一意キー。
  3. これらのキー・タイプのいずれも存在しない場合、Oracle GoldenGateは、データベースで一意キーでの使用を許可されているすべての列(キー内での使用がOracle GoldenGateでサポートされていない列やOracle GoldenGate構成から除外されている列は除く)で疑似キーを作成します。SQL Serverの場合、Oracle GoldenGateでは、主キーのないターゲット表の行データの長さが8000バイト未満である必要があります。

    注意:

    表に各種のキーが存在する場合や、表にキーがまったくない場合、Oracle GoldenGateはメッセージをレポート・ファイルに記録します。すべての列からキーを作成すると、ソース・システムのOracle GoldenGateのパフォーマンスが低下します。ターゲットでは、このキーはReplicatであまり効率的でないより大きいWHERE句が使用される原因となります。

16.2.2.2 KEYCOLSを使用したカスタム・キーの指定

該当するキーが表にない場合、あるいは識別子を使用しない場合、表に常に一意の値を含んだ列があれば、代替キーを定義できます。ExtractのTABLEパラメータおよびReplicatのMAPパラメータ内にKEYCOLS句を含めることで、この代替キーを定義します。指定されたキーは、Oracle GoldenGateが検出する既存の主キーまたは一意キーを上書きします。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

16.2.3 配列処理を使用したIDENTITYレプリケーションの改善

セッションごとに1つの表しかIDENTITY_INSERTONに設定できないため、セッション内の複数の表にIDENTITYデータを適用するときは、ReplicatがIDENTITY_INSERTの切替えを続ける必要があります。このような状況で、Replicatのパフォーマンスを改善するには、BATCHSQLパラメータを使用します。BATCHSQLを使用すると、Replicatは、一度に1つずつSQL文を適用するかわりに配列処理を使用します。

16.3 グローバリゼーション・サポート

Oracle GoldenGateのグローバリゼーション・サポートにより、ネイティブ言語のエンコーディングでのデータ処理が可能になります。Oracle GoldenGateの適用プロセス(Replicat)では、文字型の列にデータが含まれている場合に、あるキャラクタ・セットから別のキャラクタ・セットへのデータ変換がサポートされます。詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。