PDFウォーターマークでは、表示の目的でダウンロードするPDFファイルにセキュリティ機能を追加することもできます。パスワード・セキュリティを追加したり、ファイル・コンテンツの印刷またはコピーを有効または無効にできます。
この章では、PDFウォーターマークの管理について説明します。
この項では、次の項目について説明します。
静的ウォーターマークは、Inbound Refinery変換の後続のステップとしてコンテンツ・チェックイン中に適用されます。PDFに変換するコンテンツのウォーターマークを選択するには、チェックイン中に有効な「ウォーターマーク・テンプレートID」を入力します。Inbound RefineryでPDFに変換されるドキュメントにのみ、静的ウォーターマークを付加できます。ドキュメントに静的ウォーターマークが付加されると、ドキュメントのすべてのビューアで同じウォーターマークが表示されます。
同じ方法で、自動化されたプロセス(WebDAVまたはBatchLoader)でチェックインしたコンテンツにも静的ウォーターマークを適用できますが、有効なウォーターマーク・テンプレートIDを指定することが条件です。テンプレートおよびテンプレートIDの作成の詳細は、「テンプレート」を参照してください。
動的ウォーターマークは、ユーザーがPDFドキュメントの表示またはダウンロードをリクエストすると、必要に応じて生成されます。動的ウォーターマークには、様々な情報(ユーザー名、リクエスト・ユーザー、ダウンロードの日時など)を含めることができます。このため、ユーザーごとに、同一のコンテンツがそれぞれ異なるウォーターマークを付けて表示される場合があります。動的ウォーターマークを使用すると、Webレイアウト・フォームのみにウォーターマークが適用されます。元のPDFファイルのボールトの場所はそのままです。
動的ウォーターマークはルールベースです。PDFドキュメントに対するリクエストが事前定義のルールを満たしている場合は、そのルールに関連するテンプレートを使用して、リクエスト・ユーザーに戻す前のコンテンツのコピーにウォーターマークが適用されます。要求されたコンテンツに動的ウォーターマークを付加するかどうかを決定するルールの定義と特定条件の設定は、システム管理者が行います。
動的ウォーターマークに対するルールの指定の詳細は、「動的ウォーターマークのルール」を参照してください。
次のタイプのウォーターマークを使用できます。
テキスト: コンテンツ・アイテムのメタデータ値や、ウォーターマークが適用されたポイントでのコンテンツ・アイテムの情報を示す、$DATE$などの特別なキーワードを含むテキストを指定できます。
イメージ: サポートされているビットマップ(ラスター)・フォーマットのイメージです。
シグネチャ: 電子シグネチャが有効な場合、コンテンツ・アイテムに関連付けられた電子シグネチャ・メタデータからウォーターマークを作成できます。
詳細はウォーターマークのタイプおよび配置で指定します。1つのドキュメントに、任意のタイプの1つ以上のウォーターマークを含めることができます。定義したウォーターマークは1つのテンプレートに格納され、このテンプレートはコンテンツIDおよびデフォルト・メタデータ値を使用してチェックインされます。
ウォーターマークをチェックイン時に静的に適用しても、PDFファイルがリクエストされたときに動的に適用しても、テキスト・ウォーターマークやイメージ・ウォーターマークの情報およびそのウォーターマークを使用するための任意のルールを含むウォーターマーク情報が、テンプレートに格納されます。
レガシー・スキーマ・テンプレートは、ウォーターマークに対してサポートされていますが、テンプレートに変更を加えると、新しいスキーマへのアップグレードが行われます。したがって、コンテンツ・サーバーのバージョン12cで変更されたテンプレートは、古いバージョンのコンテンツ・サーバーでは正しく機能しない可能性があります。
テンプレートの作成の詳細は、「データベース・テンプレートの追加または編集」を参照してください。
テンプレートは、デフォルト・メタデータおよび2つの追加メタデータ・フィールドとともに、管理対象コンテンツ・アイテムとしてコンテンツ・リポジトリにチェックインされます。
ウォーターマーク・テンプレートID: テンプレートが作成されたときに割り当てられるテンプレートのコンテンツID (dDocName)です。コンテンツ・アイテムがチェックインされたときに、静的ウォーターマークで指定されます。
ウォーターマーク・テンプレート・タイプ: このフィールドには、サポートされているテンプレート・タイプのリストです。現在は、1つのオプション(デフォルトのPDFW_Template)があります。
これらのフィールド以外に、追加のメタデータ値を指定できます。このことは、値が必要なフィールドにデフォルト値が設定されるようにするのに役立ちます。
ユーザー・パスワードには、ユーザーがPDFを開いて表示するためのパスワードを指定する必要があります。所有者パスワードでは、PDFファイルの変更またはPDFファイル内のセキュリティ設定の変更が制限されます。
セキュリティ設定では、PDFセキュリティを使用して関連するPDFファイル内のアクセス制限が設定されます。これらのアクセス制限は、コンテンツ・サーバーで定義されたコンテンツ・アイテムに対するアクセス制限からは独立しています。
ユーザー/所有者のパスワードは、サードパーティの暗号化ライブラリを使用したPDFウォーターマーク・テンプレートで暗号化されます。暗号化はテンプレートの保存時に自動的に実行され、復号化はそのテンプレートがウォーターマークに対して使用されたときに自動的に実行されます。
オラクル社では、暗号化ライブラリを提供していません。ライブラリbcprov-jdk14-138.jar
は、推奨されるサードパーティの暗号化ライブラリであり、BouncyCastle.orgからダウンロードできますが、他のライブラリも使用できます。暗号化ライブラリの指定の詳細は、「暗号化ライブラリに対するクラスパスの指定」を参照してください。
レガシー・テンプレートのパスワードは、テンプレートが保存されるまで暗号化されません。テンプレートは、変更しないかぎり保存できません。したがって、テンプレート・パスワードを暗号化するには、各レガシー・テンプレートを編集し、保存する前に小規模な変更を実行します。
ルールを使用して、動的ウォーターマークに適用するテンプレートが決定されます。テンプレートの作成後に、テンプレートのルールを定義できます。静的または動的ウォーターマーク設定には、同じテンプレートを使用できます。ルールは、動的ウォーターマークにのみ使用されます。
テンプレートに複数のルールがある場合、ルールはリストの順に適用されます。最も特別なテストを伴うルール(多数の条件)がリストの上の位置に、一般的なルール(より少ない条件)が後に続くように順序付けます。すべてのルールは、適用されるウォーターマークについて、テストが成功する必要があります。
ルール内で、選択したメタデータ・フィールドの値に基づいて条件を指定できます。たとえば、特定の作成者についてdDocAuthor
フィールドをテストしたり、特定タイプのドキュメントについてdDocType
をテストできます。ルールの条件を定義する順序は関係ありません。テストが成功するには、関連するルールのすべての条件がtrueになる必要があります。
PDF ConverterによるPDFは、より高速なWeb表示のために最適化されている場合があります。このようなコンテンツに静的ウォーターマークを適用した場合は、最適化が失われます。ウォーターマーク適用後の最適化には、PDFウォーターマークでは提供されないサードパーティのオプティマイザが必要となります。最適化を使用するには、Distillerエンジン/オプティマイザがインストールされ、完全に作動している必要があります。選択するオプティマイザは、コマンドライン(スクリプト・ファイルや.bat
ファイル)を介して変換を実行できる必要があります。
注意:
PDFウォーターマークでは、PDFオプティマイザは提供されません。最適化機能を使用する場合は、使用前にサードパーティのDistillerエンジンをインストールし、そのオプティマイザが完全に作動していることを確認します。オプティマイザは、コマンドライン(スクリプト・ファイルや.bat
ファイル)を介して変換を実行できる必要があります。
オプションを使用して、テキスト・ウォーターマークやイメージ・ウォーターマークをページの上部(ヘッダー)、中央、下部(フッター)、またはページ内の特定の場所にX-Y座標で配置できます。1つのドキュメントに、複数のウォーターマークを使用できます。
次のイメージには、各位置の参照点がポイントで示されています。サンプル・イメージの各位置では、関連付けられた参照点に対する相対的な方向が示されています。各位置のサンプル・テキストは、使用可能な横方向の位置合わせオプション(左、右、中央)のいずれかを示しています。すべてのテキストの位置合わせオプションは、各位置で使用できます。
標準的な配置では、テキストおよびイメージはページの中央上部、中心または中央下部のポイントを参照します。イメージは、関連付けられた参照点を中心に中央揃えされ、水平方向に配置されます。テキストの場合は、この参照点に対して横方向の位置合わせ(左、右または中央揃え)を指定できます。
明示的に配置されたウォーターマークでは、座標はポイント(1ポイント=1/72インチ)で指定します。基点(0, 0)は、ページの左下隅です。イメージの場合は、これらの座標によってイメージの左下隅が指定され、イメージは右上方向に拡張されます。テキストでは、標準の配置オプションと同様に、これらの座標によって、位置合わせオプションの水平の参照点が指定されます。
この項では、PDFウォーターマークの管理に使用されるタスクについて説明します。
PDFファイルがレンダリングされるとき、テンプレートで定義したパスワードによって、そのPDFファイル内の対応するパスワードが設定されます。テンプレートに格納されたパスワードは、サードパーティの暗号化ライブラリを使用して暗号化されます。テンプレートに格納されたパスワードを暗号化するために、PDFウォーターマークで使用する暗号化ライブラリへの参照をコンテンツ・サーバーに提供する必要があります。
オラクル社では、パスワードを暗号化する暗号化ライブラリを提供していません。この手順では、サードパーティの暗号化ライブラリを使用することを前提にしています。そのようなライブラリの1つにBouncy Castle Crypto APIs for Javaがあり、BouncyCastle.orgからダウンロードできますが、他のライブラリも使用できます。マシンのJDKバージョンと一致するバージョンを使用します。
.jar
ファイルをダウンロードし、コンテンツ・サーバーがアクセスできる場所に保存します。PDFウォーターマークに対するテンプレート、ルールおよび構成の定義は、「PDFウォーターマークの管理」ページを使用してコンテンツ・サーバーで管理します。
テンプレートを作成する前に、必要なメタデータ・フィールド値を定義します。テンプレートをチェックインした後でも、必要に応じて修正できます。
テンプレートのチェックイン向けに特定のメタデータ・フィールドを定義するには、次の手順に従います。
メイン・メニューから、「管理」→「PDFウォーターマークの管理」を選択します。
「PDFウォーターマークの管理」ページで、「構成」タブをクリックします。
定義または編集するフィールドの名前と値のペアをハイライトし、「編集」をクリックします。
「デフォルト値の編集」ページで、選択したフィールドの名前に適用される値を設定します。
「適用」をクリックします。
テンプレートを追加する手順は、次のとおりです。
「PDFウォーターマークの管理」ページで「テンプレート」タブを選択します。
既存のテンプレートを編集するには、テンプレートを選択して「編集」をクリックします。新しいテンプレートを作成するには、「追加」をクリックします。
新規テンプレートの追加/「テンプレートの編集」ページでテンプレートの名前を指定し、意味のあるコンテンツIDを割り当てます。テンプレートをチェックインした後は、IDを変更できません。
セキュリティをテンプレートに追加するには、「セキュリティ」タブをクリックします。
「セキュリティ・レベル」で暗号化のビット深度を選択します。数値が大きいほど、暗号化の強度が増します。この暗号化レベルは、ウォーターマーク・テンプレートではなく、PDFファイル自体に定義されたパスワードに適用されます。オラクル社では、テンプレートに格納されたパスワードを暗号化する暗号化ライブラリを提供していません。暗号化ライブラリの追加の詳細は、「暗号化ライブラリに対するクラスパスの指定」を参照してください。
テンプレートに関連付けられたPDFファイルへのアクセスを制限するには、「ユーザー・パスワード」を指定します。ユーザーは、PDFを表示またはダウンロードするためにこのパスワードを指定する必要があります。
PDFファイルの変更またはPDFファイル内のセキュリティ設定の変更を制限するには、「所有者パスワード」を指定します。
このパスワードは、現在のウォーターマーク・テンプレートではなく、関連するPDFファイル自体に適用されます。テンプレートへのアクセスは、コンテンツ・サーバーのセキュリティ・モデルによって管理されます。
ユーザーがPDFファイルの一部を印刷できないようにするには、印刷の許可を「いいえ」に設定します。低解像度での印刷を許可するには、「低下」を選択します。
ユーザーがPDFファイルの一部をコピーできないようにするには、コピーの許可を「いいえ」に設定します。
終了したら、「OK」をクリックします。
テンプレートのルールを定義する前に、テンプレートを作成する必要があります。詳細は、「テンプレートの追加または編集」を参照してください。
ルールを追加または編集する手順は、次のとおりです。
この項では、次の項目について説明します。
コンテンツ・サーバーは処理済のコンテンツをInbound Refineryから受け取ります。Inbound Refineryは、PDF Converterがインストールされ、有効な状態で、必要なファイル形式をPDFに変換するように構成されている必要があります。PDFファイルが提供されると、コンテンツのチェックイン時に選択したウォーターマーク・テンプレートが適用されます。
ウォーターマークの複数の要素は、受信PDFにウォーターマークを適用するために使用するテンプレート内に事前に定義されています。ウォーターマークは、動的ウォーターマークのルールに関係なく適用されてリクエスタに配信されます。静的ウォーターマークに加えて、ルールベースのウォーターマーク(動的)を適用することもできます。
ユーザーがWeb表示可能なPDFをリクエストすると、定義済のルールに基づいてチェックが行われ、リクエスタに配信するWeb表示可能なPDFにウォーターマークを適用するかどうかが決定されます。
PDFドキュメントに対するリクエストが事前定義のルールを満たしている場合は、そのルールに関連するテンプレートを使用して、リクエスト・ユーザーに戻す前のコンテンツのコピーにウォーターマークが適用されます。
注意:
PDFウォーターマークでは、PDFオプティマイザは提供されません。最適化機能を使用する場合は、使用前にサードパーティのDistillerエンジンをインストールし、そのオプティマイザが完全に作動していることを確認します。オプティマイザは、コマンドライン(スクリプト・ファイルや.bat
ファイル)を介して変換を実行できる必要があります。