ASMCMDインスタンス管理コマンド

このトピックでは、ASMCMDインスタンス管理コマンドの概要を示します。

この項で示すコマンドの一部は、クラスタ構成のリソースであるGrid Plug and Play(GPnP)プロファイルに影響を及ぼします。Oracle Restart構成では、プロファイルは、Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルではなく実際にはリソース属性にあります。しかし、コマンドの機能はどちらの構成に対しても同じです。

関連項目:

Oracle Grid Infrastructureのインストールおよび構成の詳細は、使用しているオペレーティング・システムの『Oracle Grid Infrastructureインストレーションおよびアップグレード・ガイド』

表10-4に、Oracle ASMインスタンス管理コマンドと簡単な説明を示します。

表10-4 ASMCMDインスタンス管理コマンドの概要

コマンド 説明

dsget

Oracle ASMインスタンスとそのクライアントで使用されるディスク検出文字列値を取得します。

dsset

Oracle ASMインスタンスとそのクライアントで使用されるディスク検出文字列値を設定します。

lsct

現在のOracle ASMクライアントに関する情報をリストします。

lsop

ディスク・グループまたはOracle ASMインスタンスでの現行操作をリストします。

lspwusr

Oracle ASMパスワード・ファイルからユーザーをリストします。

orapwusr

Oracle ASMパスワード・ユーザーを追加、削除または変更します。

pwcopy

指定した場所にパスワード・ファイルをコピーします。

pwcreate

指定した場所にパスワード・ファイルを作成します。

pwdelete

指定した場所にあるパスワード・ファイルを削除します。

pwget

パスワード・ファイルの場所を戻します。

pwmove

パスワード・ファイルの場所を移動します。

pwset

パスワード・ファイルの場所を設定します。

showclustermode

Oracle ASMクラスタの現在のモードを表示します。

showclusterstate

クラスタの現在の状態を表示します。

showpatches

Oracle Grid Infrastructureホームに適用されたパッチをリストします。

showversion

Oracle ASMクラスタのリリースおよびソフトウェアのパッチ・レベルを表示します。

shutdown

インスタンスを停止します。

spbackup

Oracle ASM SPFILEをバックアップします。

spcopy

Oracle ASM SPFILEをコピーします。

spget

Oracle ASM SPFILEの場所を取得します。

spmove

Oracle ASM SPFILEを移動します。

spset

Oracle ASM SPFILEの場所を設定します。

startup

インスタンスを起動します。

dsget

目的

Oracle ASMインスタンスとそのクライアントで使用されるディスク検出文字列値を取得します。

構文および説明

dsget [ --normal | --parameter | --profile [-f] ]

dsgetコマンドの構文オプションの詳細は、表10-5を参照してください。

表10-5 dsgetコマンドのオプション

オプション 説明

--normal

Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルの検出文字列と、Oracle ASMインスタンスに設定されている検出文字列を取得します。プロファイルおよびパラメータ設定ごとに1行を戻します。これがデフォルトの設定です。

--parameter

Oracle ASMインスタンスのASM_DISKSTRINGパラメータ設定を取得します。

--profile [-f]

検出文字列をGPnPプロファイルから取得します。-f--profileとともに指定すると、dsgetは検出文字列をローカルのGPnPプロファイルから取得します。

次の例では、dsgetを使用してGPnPプロファイルおよびASM_DISKSTRINGパラメータから現在のディスク検出文字列値を取得します。

例10-6 ASMCMD dsgetコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > dsget
profile: /devices1/disk*
parameter: /devices2/disk*

dsset

目的

Oracle ASMインスタンスとそのクライアントで使用されるディスク検出文字列値を設定します。

指定するディスク文字列は、既存のマウント済ディスク・グループに対して有効である必要があります。更新された値はすぐに有効になります。

構文および説明

dsset [ --normal | --parameter | --profile [-f] ] diskstring

dssetコマンドの構文オプションの詳細は、表10-6を参照してください。

表10-6 dssetコマンドのオプション

オプション 説明

--normal

Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルとOracle ASMインスタンスに検出文字列を設定します。指定した検出文字列によって必要なディスク・グループおよび投票ファイルがすべて検出されることをOracle ASMインスタンスで正常に検証された後に、更新が行われます。インスタンスでサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用していない場合、このコマンドは失敗します。

これがデフォルトの設定です。

--parameter

ディスク検出文字列によって現在マウントされているディスク・グループおよび投票ファイルがすべて検出されることが検証された後に、ディスク文字列がメモリー内で更新されることを指定します。ディスク文字列は、SPFILEまたはGPnPプロファイルに永続的に記録されません。

--profile [-f]

必要なディスク・グループをすべて検出できるかどうかをOracle ASMインスタンスで検証せずに、GPnPプロファイルにプッシュされるディスク検出文字列を指定します。更新は、クラスタを構成するすべてのノードに必ず伝播されます。

-f--profileとともに指定すると、クラスタ内の他のノードと同期せずに、指定したディスク文字列はローカルのGPnPプロファイルにプッシュされます。このコマンド・オプションは、ローカル・プロファイル・ファイルのみを更新します。このオプションはリカバリにのみ使用します。Oracle Clusterwareスタックが稼働している場合、コマンドは失敗します。

diskstring

ディスク検出文字列の値を指定します。

ディスク検出およびディスク検出文字列の詳細は、Oracle ASMディスク検出を参照してください。

次の例では、dssetを使用してディスク検出文字列の現在の値をGPnPプロファイルに設定します。

例10-7 ASMCMD dssetコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > dsset /devices1/disk*,/devices2/disk*

lsct

目的

V$ASM_CLIENTビューから現在のOracle ASMクライアントについての情報を表示します。Oracle DatabaseやOracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)などのクライアントでは、ASMCMDが現在接続しているOracle ASMインスタンスによって管理されるディスク・グループを使用します。

構文および説明

lsct [--suppressheader] [-g] disk_group

次の表に、lsctコマンドのオプションを示します。

表10-7 lsctコマンドのオプション

オプション 説明

-g

GV$ASM_CLIENTビューから選択します。出力には、GV$ASM_CLIENT.INST_IDが含まれます。

--suppressheader

列ヘッダーを非表示にします。

disk_group

ディスク・グループを指定します。

クライアント情報は、指定したディスク・グループにのみリストされます。

次の例では、dataディスク・グループにアクセスするクライアントの情報を表示します。

例10-8 ASMCMD lsctコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > lsct data
DB_Name  Status    Software_Version  Compatible_version  Instance_Name  Disk_Group
+ASM     CONNECTED       18.0.0.0.0          18.0.0.0.0  +ASM           DATA
asmvol   CONNECTED       18.0.0.0.0          18.0.0.0.0  +ASM           DATA
orcl     CONNECTED       18.0.0.0.0          18.0.0.0.0  orcl           DATA

lsop

目的

Oracle ASMインスタンス内のディスク・グループでの現行操作をリストします。

構文および説明

lsop

lsopは、V$ASM_OPERATIONビューから情報を表示します。

次に、lsopコマンドの例を示します。この例では、現在のOracle ASMインスタンスのディスク・グループに対する操作をリストします。

例10-9 ASMCMD lsopコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > lsop
Group_Name  Dsk_Num  State  Power
DATA        REBAL    WAIT   2   

ASMCMD [+] > lsop
Group_Name  Dsk_Num  State  Power  
FRA         REBAL    REAP   3  

lspwusr

目的

ローカルのOracle ASMパスワード・ファイルからユーザーをリストします。

構文および説明

lspwusr [--suppressheader]

表10-8に、lspwusrコマンドのオプションを示します。

表10-8 lspwusrコマンドのオプション

オプション 説明

--suppressheader

出力で列のヘッダーを非表示にします。

次に、lspwusrコマンドの例を示します。この例では、ローカルのOracle ASMパスワード・ファイルに指定されている現在のユーザーをリストします。

例10-10 ASMCMD lspwusrコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > lspwusr
Username sysdba sysoper sysasm 
     SYS   TRUE    TRUE   TRUE 
 ASMSNMP   TRUE   FALSE  FALSE 

orapwusr

目的

Oracle ASMパスワード・ファイルのユーザーを追加、削除または変更します。

構文および説明

orapwusr { --add | --modify | --delete | grant {sysasm|sysdba|sysoper} | 
           --revoke {sysasm|sysdba|sysoper} } user

表10-9に、orapwusrコマンドのオプションを示します。

表10-9 orapwusrコマンドのオプション

オプション 説明

--add

パスワード・ファイルにユーザーを追加します。パスワードの入力も要求します。

--modify

指定したユーザーのパスワードを変更します。

--delete

パスワード・ファイルからユーザーを削除します。

--grant role

ユーザーのロールを設定します。オプションは、sysasmsysdbaおよびsysoperです。

--revoke role

ユーザーのロールを削除します。オプションは、sysasmsysdbaおよびsysoperです。

user

追加、削除または変更するユーザーの名前。

orapwusrは、クラスタ内のすべてのノードでパスワードを更新しようとします。このコマンドを実行するにはSYSASM権限が必要です。SYSDBAとしてログインしているユーザーは、このコマンドを使用してパスワードを変更することができません。

次に、orapwusrコマンドの例を示します。この例では、hruserをOracle ASMパスワード・ファイルに追加します。

例10-11 ASMCMD orapwusrコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > orapwusr --add hruser

pwcopy

目的

指定した場所に、Oracle ASMまたはデータベース・インスタンスのパスワード・ファイルをコピーします。

構文および説明

pwcopy [--asm |--dbuniquename string] source  destination [-f]

表10-10に、pwcopyコマンドのオプションを示します。

表10-10 pwcopyコマンドのオプション

オプション 説明

--asm

--asmオプションは、ASMCMDがログインしているOracle ASMインスタンスに、パスワード・ファイルを関連付けます。

--dbuniquename string

--dbuniquename stringオプションは、パスワード・ファイルに関連付けられた一意のデータベース名を特定します。

source

source値は、既存のパスワード・ファイルが存在する場所を特定します。

destination

destination値は、パスワード・ファイルをコピーする場所を特定します。

-f

—fオプションを使用すると、チェックなしでパスワード・ファイルをコピーできます。

pwcopyは、あるディスク・グループから別のディスク・グループに、オペレーティング・システムからディスク・グループに、またはディスク・グループからオペレーティング・システムに、パスワード・ファイルをコピーします。—fオプションを指定すると、パスワード・ファイルを同じディスク・グループにコピーできます。

CRSDリソースを特定するには、–-asmまたは--dbuniquenameのいずれかが必要です。–-asmまたは--dbuniquenameのいずれかがpwcopyコマンドに含まれている場合、ターゲット・ファイルは現在のパスワード・ファイルに設定されます。

パスワードをコピーするディスク・グループのcompatible.asmディスク・グループ属性を12.1以上に設定する必要があります。

Oracle ASMおよびデータベースのパスワード・ファイルを管理するには、SYSASMまたはSYSDBA権限が必要です。

次の例では、あるディスク・グループのOracle ASMパスワード・ファイルを別のディスク・グループにコピーします。pwcopyコマンドに--asmオプションが含まれているため、ターゲット・ファイル(+fra/orapwasm_new)は現在のパスワード・ファイルに設定されます。

例10-12 ASMCMD pwcopyコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > pwcopy --asm +DATA/orapwasm +FRA/orapwasm_new
copying +DATA/orapwasm -> +FRA/orapwasm_new

pwcreate

目的

注意:

Oracle ASMをクラスタで構成している場合は、Oracle ASMパスワード・ファイルの作成にpwcreateを使用しないでください。クラスタ構成でOracle ASMパスワード・ファイルにアクセスできない場合は、新しいファイルを作成するのではなく、使用可能なバックアップを使用してパスワード・ファイルをリストアしてください。クラスタで共有Oracle ASMパスワード・ファイルを再作成する方法の詳細、たとえばドキュメント1929673.1などを閲覧するには、My Oracle Support (https://support.oracle.com)の記事を参照してください。

指定した場所に、Oracle ASMまたはデータベース・インスタンスのパスワード・ファイルを作成します。

構文および説明

pwcreate { --asm  |--dbuniquename string } file_path sys_password

表10-11に、pwcreateコマンドのオプションを示します。

表10-11 pwcreateコマンドのオプション

オプション 説明

--asm

--asmオプションは、ASMCMDがログインしているOracle ASMインスタンスに、パスワード・ファイルを関連付けます。

--dbuniquename string

--dbuniquename stringオプションは、パスワード・ファイルに関連付けられた一意のデータベース名を特定します。

file_path

file_path値は、パスワード・ファイルを作成する場所を特定します。

sys_password

sys_password値は、SYSの初期パスワードを特定します。

pwcreateは、sys_passwordで識別されるSYSの初期パスワードで、file_pathによって指定されたディスク・グループに、パスワード・ファイルを作成します。

–-asmまたは--dbuniquenameのいずれかが必要です。パスワードを配置するディスク・グループのcompatible.asmディスク・グループ属性を12.1以上に設定する必要があります。

Oracle ASMおよびデータベースのパスワード・ファイルを管理するには、SYSASMまたはSYSDBA権限が必要です。

詳細は、「ディスク・グループでの共有パスワード・ファイルの管理」を参照してください。

次の例では、Oracle ASMディスク・グループにOracle ASMパスワード・ファイルを作成します。

例10-13 ASMCMD pwcreateコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > pwcreate –-asm '+DATA/orapwasm' 'welcome'

pwdelete

目的

Oracle ASMまたはデータベース・インスタンスのパスワード・ファイルを削除します。

構文および説明

pwdelete { --asm |--dbuniquename string | file_path }

表10-12に、pwdeleteコマンドのオプションを示します。

表10-12 pwdeleteコマンドのオプション

オプション 説明

--asm

--asmオプションは、ASMCMDがログインしているOracle ASMインスタンスに、パスワード・ファイルを関連付けます。

--dbuniquename string

--dbuniquename stringオプションは、パスワード・ファイルに関連付けられた一意のデータベース名を特定します。

file_path

file_path値は、パスワード・ファイルが存在する場所を特定します。

pwdeleteは指定したパスワード・ファイルを削除します。CRSDリソースを特定し、CRSDリソースからパスワードの場所を削除するには、–-asmまたは--dbuniquenameのいずれかが必要です。

Oracle ASMおよびデータベースのパスワード・ファイルを管理するには、SYSASMまたはSYSDBA権限が必要です。

次の例では、ディスク・グループから指定したパスワード・ファイルを削除します。

例10-14 ASMCMD pwdeleteコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > pwdelete +FRA/orapwasm_bak

pwget

目的

Oracle ASMまたはデータベース・インスタンスのパスワード・ファイルの場所を戻します。

構文および説明

pwget { --asm | --dbuniquename string }

表10-13に、pwgetコマンドのオプションを示します。

表10-13 pwgetコマンドのオプション

オプション 説明

--asm

--asmオプションは、ASMCMDがログインしているOracle ASMインスタンスに、パスワード・ファイルを関連付けます。

--dbuniquename string

--dbuniquename stringオプションは、パスワード・ファイルに関連付けられた一意のデータベース名を特定します。

pwgetは、–-asmで識別されるOracle ASMインスタンスまたは--dbuniquenameで識別されるデータベース・インスタンスのパスワード・ファイルの場所を戻します。

Oracle ASMおよびデータベースのパスワード・ファイルを管理するには、SYSASMまたはSYSDBA権限が必要です。

次の例では、Oracle ASMパスワード・ファイルの場所を返します。

例10-15 ASMCMD pwgetコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > pwget --asm
+DATA/orapwasm

pwmove

目的

指定した場所に、Oracle ASMまたはデータベース・インスタンスのパスワード・ファイルを移動します。

構文および説明

pwmove { --asm | --dbuniquename string } source  destination [-f]

表10-14に、pwmoveコマンドのオプションを示します。

表10-14 pwmoveコマンドのオプション

オプション 説明

--asm

--asmオプションは、ASMCMDがログインしているOracle ASMインスタンスに、パスワード・ファイルを関連付けます。

--dbuniquename string

--dbuniquename stringオプションは、パスワード・ファイルに関連付けられた一意のデータベース名を特定します。

source

source値は、既存のパスワード・ファイルが存在する場所を特定します。

destination

destination値は、パスワード・ファイルを移動する場所を特定します。

-f

—fオプションは、関連付けられたリソースのパスワード・ファイルを消去し、新しいファイルを登録します。

pwmoveは、あるディスク・グループから別のディスク・グループに、オペレーティング・システムからディスク・グループに、またはディスク・グループからオペレーティング・システムに、パスワード・ファイルを移動します。—fオプションを指定すると、パスワード・ファイルを同じディスク・グループ内のファイルに移行できます。

CRSDリソースを特定するには、–-asmまたは--dbuniquenameのいずれかが必要です。

パスワードを移動するディスク・グループのcompatible.asmディスク・グループ属性を12.1以上に設定する必要があります。

Oracle ASMおよびデータベースのパスワード・ファイルを管理するには、SYSASMまたはSYSDBA権限が必要です。

次の例では、あるディスク・グループから別のディスク・グループにパスワード・ファイルを移動します。

例10-16 ASMCMD pwmoveコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > pwmove --asm +FRA/orapwasm_bak +DATA/orapwasm
moving +FRA/orapwasm_bak -> +DATA/orapwasm

pwset

目的

Oracle ASMまたはデータベース・インスタンスのパスワード・ファイルの場所を設定します。

構文および説明

pwset { --asm  | --dbuniquename string } file_path

表10-15に、pwsetコマンドのオプションを示します。

表10-15 pwsetコマンドのオプション

オプション 説明

--asm

--asmオプションは、ASMCMDがログインしているOracle ASMインスタンスに、パスワード・ファイルを関連付けます。

--dbuniquename string

--dbuniquename stringオプションは、パスワード・ファイルに関連付けられた一意のデータベース名を特定します。

file_path

file_path値は、パスワード・ファイルが存在する場所を特定します。

pwsetは、Oracle ASMまたはデータベース・インスタンスのパスワード・ファイルの場所を、file_pathで指定した値に設定します。CRSDリソースを特定するには、--dbuniquenameまたは–-asmのいずれかが必要です。

Oracle ASMおよびデータベースのパスワード・ファイルを管理するには、SYSASMまたはSYSDBA権限が必要です。

次の例では、ディスク・グループにOracle ASMパスワード・ファイルの場所を設定します。

例10-17 ASMCMD pwsetコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > pwset --asm +DATA/orapwasm

showclustermode

目的

Oracle ASMクラスタの現在のモードを表示します。

構文および説明

showclustermode

showclustermodeは、Oracle ASMクラスタの現在のモードを表示します。考えられる戻り値は、ASMクラスタ: Flexモード有効またはASMクラスタ: Flexモード無効です。

次に、showclustermodeコマンドの使用例を示します。

例10-18 ASMCMD showclustermodeコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > showclustermode
ASM cluster : Flex mode disabled

showclusterstate

目的

クラスタの現在の状態を表示します。

構文および説明

showclusterstate

showclusterstateは、Oracle ASMクラスタの現在の状態を表示します。戻される値は、normalin-upgradeまたはin-rollingpatchモードのいずれかです。

次に、showclusterstateコマンドの使用例を示します。

例10-19 ASMCMD showclusterstateコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > showclusterstate

showpatches

目的

Oracle Grid Infrastructureホームで適用されたパッチをリストします。

構文および説明

showpatches [-l]

次の表に、showpatchesコマンドのオプションを示します。

表10-16 showpatchesコマンドのオプション

オプション 説明

—l

パッチに関するすべての詳細を表示します。

showpatchesは、Oracle Grid Infrastructureホームに適用されているパッチをリストします。

次に、showpatchesコマンドの使用例を示します。

例10-20 ASMCMD showpatchesコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > showpatches -l
Oracle ASM release patch level is [0] and no patches have been applied on the local node. The release patch string is [18.1.0.0.0].

showversion

目的

Oracle ASMクラスタのリリースおよびソフトウェアのパッチ・レベルを表示します。

構文および説明

showversion [[[--releasepatch] [--softwarepatch]] | [--active]]

次の表に、showversionコマンドのオプションを示します。

表10-17 showversionコマンドのオプション

オプション 説明

--releasepatch

クラスタ・レベルのパッチ・バージョンを表示します。

かわりに、asmcmd showversion --activeを使用します。

--softwarepatch

ローカル・ノードでのパッチ・レベルを表示します。

かわりに、asmcmd showpatches -lを使用します。

--active

アクティブなバージョンとアクティブなパッチ・レベルを表示します。

showversionは、Oracle ASMクラスタのリリースおよびソフトウェアのパッチ・レベルを表示します。リリースおよびソフトウェアのパッチ・オプションは、Oracle ASMまたはOracle Grid Infrastructureホームのどちらがパッチ適用されているかに応じて異なることがあります。

注意:

Oracle Grid InfrastructureまたはOracle ASMホームにパッチを適用しているときは、releasepatchオプションおよびsoftwarepatchオプションは異なる場合があります。標準モードのときは、これらのオプションは同じです。接続されているOracle ASMインスタンスがない場合、リリース・パッチ情報は表示されません。

次に、showversionコマンドの使用例を示します。

例10-21 ASMCMD showversionコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > showversion --active
Oracle ASM active version on the cluster is [18.0.0.0.0]. The cluster upgrade state is [NORMAL]. The cluster active patch level is [0].

shutdown

目的

インスタンスを停止します。

構文および説明

shutdown [--target target_instance] [--normal | --abort|--immediate ]

表10-18に、shutdownコマンドのオプションを示します。

表10-18 shutdownコマンドのオプション

オプション 説明

--target target_instance

ターゲット・インスタンスを指定します。target_instanceの値は、Oracle ASM (ASM)インスタンス、IOServer (IOS)インスタンスまたはOracle ASMプロキシ(APX)インスタンスのいずれかにできます。

--normal

通常停止します。これはデフォルト・アクションです。

--abort

すべての既存の操作を中断して停止します。

--immediate

即時停止します。

デフォルトのターゲット・インスタンスは、ORACLE_SID環境変数によって決まります。デフォルトのアクションは標準停止です。

Oracle ASMインスタンスの停止を中断(--abort)オプションで試みる前に、Oracle ASMインスタンスを使用するデータベース・インスタンスをすべて停止し、Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)ボリュームにマウントされているファイルシステムをすべてディスマウントすることを強くお薦めします。

Oracle ASMインスタンスの停止の詳細は、Oracle ASMインスタンスの停止についてを参照してください。

次に、shutdownコマンドの例を示します。1つ目の例では、標準アクションでOracle ASMインスタンスの停止を実行します。2つ目の例では、即時アクションで停止を実行します。3つ目の例では、すべての既存の操作を中断する停止を実行します。

例10-22 ASMCMD shutdownコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > shutdown --target ASM --normal

ASMCMD [+] > shutdown --target ASM --immediate

ASMCMD [+] > shutdown --target ASM --abort

spbackup

目的

Oracle ASM SPFILEをバックアップ・ファイルにバックアップします。

構文および説明

spbackup source destination

表10-19に、spbackupコマンドのオプションを示します。

表10-19 spbackupコマンドのオプション

オプション 説明

source

ソース・ファイルの名前を指定します。

destination

宛先のファイルを指定します。

spbackupは、ターゲット・ディスク・グループ内でSPFILEを作成せずに、同じまたは異なるディスク・グループ内でSPFILEの1つまたは複数のバックアップを作成する場合に使用する必要があります。

spbackupを使用する場合、次のことに注意してください。

  • spbackupでは、Oracle ASM SPFILEをディスク・グループからディスク・グループまたはオペレーティング・システム・ファイルにバックアップできます。

  • spbackupでは、Oracle ASM SPFILEをオペレーティング・システム・ファイルからディスク・グループにバックアップできます。

  • spbackupでは、オープンされたOracle ASMインスタンスでOracle ASM SPFILEが使用されている場合、Oracle ASM SPFILEをバックアップできます。

  • spbackupでは、同じディスク・グループで内にOracle ASM SPFILEの複数のバックアップを作成できます。

spbackupは、GPnPプロファイルに作用しません。作成されるバックアップ・ファイルは、特殊なファイル・タイプではなく、SPFILEとして識別されません。このバックアップ・ファイルはspcopyを使用してコピーできません。このバックアップ・ファイルをディスク・グループ間でコピーするには、ASMCMD cpコマンドを使用します。

SPFILEファイルとして識別されるディスク・グループ内のバックアップ・ファイルのコピーを作成するには、次の手順を実行します。

  1. ASMCMD cpコマンドを使用して、バックアップ・ファイルをディスク・グループからオペレーティング・システム・ファイルにコピーします。cpを参照してください。

  2. ASMCMD spcopyコマンドを使用して、オペレーティング・システム・ファイルをディスク・グループにコピーします。spcopyを参照してください。

次に、spbackupコマンドの例を示します。1つ目の例では、dataディスク・グループのSPFILEをバックアップします。2つ目の例では、SPFILEをdataディスク・グループからfraディスク・グループにバックアップします。

例10-23 ASMCMD spbackupコマンドの使用方法

ASMCMD> spbackup  +DATA/asm/asmparameterfile/registry.253.721810181
                  +DATA/spfileBackASM.bak

ASMCMD> spbackup  +DATA/asm/asmparameterfile/registry.253.721810181
                  +FRA/spfileBackASM.bak

spcopy

目的

Oracle ASM SPFILEをソースの場所から宛先の場所のSPFILEにコピーします。

構文および説明

spcopy [-u] source destination

表10-20に、spcopyコマンドのオプションを示します。

表10-20 spcopyコマンドのオプション

オプション 説明

-u

Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルを更新します。

source

ソース・ファイルの名前を指定します。

destination

宛先を指定します。

spcopyを使用する場合、次のことに注意してください。

  • spcopyでは、Oracle ASM SPFILEをディスク・グループから異なるディスク・グループまたはオペレーティング・システム・ファイルにコピーできます。

  • spcopyでは、Oracle ASM SPFILEをオペレーティング・システム・ファイルからディスク・グループにコピーできます。

  • spcopyでは、オープンされたOracle ASMインスタンスでOracle ASM SPFILEが使用されている場合、Oracle ASM SPFILEをコピーできます。

  • spcopyでは、同じディスク・グループ内にOracle ASM SPFILEの複数のコピーを作成できません。その目的ではspbackupを使用できます。

GPnPプロファイルを更新するには、spcopy-uオプションを指定します。また、spcopy-uオプションを指定せずに実行する場合は、spsetを使用してGPnPプロファイルを更新することもできます。

SPFILEをコピーし、GPnPプロファイルを更新した後で、新しい場所のSPFILEを使用するには、そのSPFILEを使用してインスタンスを再起動します。Oracle ASMインスタンスが新しい場所のSPFILEを使用して稼働している場合は、ソースのSPFILEを削除できます。

spcopyを使用してOracle ASM SPFILEをディスク・グループにコピーするには、ターゲット・ディスク・グループのCOMPATIBLE.ASM属性を11.2以上に設定する必要があります。

次に、spcopyコマンドの例を示します。1つ目の例では、Oracle ASM SPFILEをdataディスク・グループからfraディスク・グループにコピーします。2つ目の例では、Oracle ASM SPFILEをdataディスク・グループからあるオペレーティング・システムの場所にコピーします。3つ目の例では、Oracle ASM SPFILEをあるオペレーティング・システムの場所からdataディスク・グループにコピーし、-uオプションを指定してGPnPプロファイルを更新します。

例10-24 ASMCMD spcopyコマンドの使用方法

ASMCMD> spcopy  +DATA/asm/asmparameterfile/registry.253.721810181
                +FRA/spfileCopyASM.ora

ASMCMD> spcopy +DATA/asm/asmparameterfile/registry.253.721810181
                $ORACLE_HOME/dbs/spfileCopyASM.ora

ASMCMD> spcopy -u /oracle/product/11.2.0/grid/dbs/spfileTestASM.ora
                  +DATA/ASM/spfileCopyASM.ora

関連項目:

spget

目的

Oracle ASM SPFILEの場所をGrid Plug and Play(GPnP)プロファイルから取得します。

構文および説明

spget

spgetによって取得される場所は、GPnPプロファイルに指定されている場所ですが、現在使用されているSPFILEの場所とはかぎりません。たとえば、再起動していないOracle ASMインスタンスに対してspsetまたは-uオプションを指定したspcopyによって場所が最近更新されている場合があります。次にOracle ASMを再起動すると、この場所は、現在使用されているOracle ASM SPFILEを指します。

次に、spgetコマンドの例を示します。この例では、GPnPプロファイルからSPFILEの場所を取得して表示します。

例10-25 ASMCMD spgetコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > spget
+DATA/ASM/ASMPARAMETERFILE/registry.253.813507611

spmove

目的

ソースから宛先にOracle ASM SPFILEを移動し、GPnPプロファイルを自動的に更新します。

構文および説明

spmove source destination

表10-21に、spmoveコマンドのオプションを示します。

表10-21 spmoveコマンドのオプション

オプション 説明

source

ソース・ファイルを指定します。

destination

宛先のファイルを指定します。

spmoveを使用する場合、次のことに注意してください。

  • spmoveでは、オープン・インスタンスでPFILEまたは別のSPFILEを使用している場合、Oracle ASM SPFILEを移動できます。SPFILEを移動した後で、新しい場所のSPFILEを使用するには、そのSPFILEを使用してインスタンスを再起動します。

  • spmoveでは、オープンされたOracle ASMインスタンスでOracle ASM SPFILEが使用されている場合、Oracle ASM SPFILEを移動できません。

アップグレード後のOracle ASMインスタンスの初期化パラメータ・ファイルのコピーおよび移動の詳細は、「Oracle ASM初期化パラメータ・ファイルのバックアップ、コピーおよび移動について」を参照してください。

spmoveを使用してOracle ASM SPFILEをディスク・グループに移動するには、ディスク・グループ属性COMPATIBLE.ASM11.2以上に設定する必要があります。

次に、spmoveコマンドの例を示します。1つ目の例では、Oracle ASM SPFILEをdataディスク・グループからあるオペレーティング・システムの場所に移動します。2つ目の例では、SPFILEをあるオペレーティング・システムの場所からdataディスク・グループに移動します。

例10-26 ASMCMD spmoveコマンドの使用方法

ASMCMD> spmove +DATA/spfileASM.ora
               /oracle/product/11.2.0/grid/dbs/spfileMoveASM.ora

ASMCMD> spmove /oracle/product/11.2.0/grid/dbs/spfile+ASM.ora
               +DATA/ASM/spfileMoveASM.ora

spset

目的

Oracle ASM SPFILEの場所をGrid Plug and Play(GPnP)プロファイルに設定します。

構文および説明

spset location

表10-22に、spsetコマンドのオプションを示します。

表10-22 spsetコマンドのオプション

オプション 説明

location

Oracle ASM SPFILEの場所を指定します。この場所は、SPFILEへのフルパスです。

次に、spsetコマンドの例を示します。この例では、dataディスク・グループ内のOracle ASM SPFILEコマンドの場所を設定します。

例10-27 ASMCMD spsetコマンドの使用方法

ASMCMD> spset +DATA/asm/asmparameterfile/asmspfile.ora

startup

目的

デフォルトのインスタンスを起動します。

構文および説明

startup [--mount] [--nomount] [--restrict] [ --pfile pfile ]

表10-23に、startupコマンドのオプションを示します。

表10-23 startupコマンドのオプション

オプション 説明

--mount

マウント操作を指定します。これはデフォルト・アクションです。

--nomount

ノーマウント操作を指定します。

--restrict

制限モードを指定します。

--pfile pfile

Oracle ASM初期化パラメータ・ファイル。

このコマンドは、ORACLE_SID環境変数によって指定されたインスタンスを起動します。変数は、Oracle ASMインスタンス、IOServerインスタンスまたはAPXプロキシ・インスタンスのいずれかに設定できます。

Oracle ASMインスタンスに対するデフォルトのアクションは、ディスク・グループをマウントし、Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)のボリュームを使用可能にする起動です。

次に、startupコマンドの例を示します。この例では、ディスク・グループをマウントせずにOracle ASMインスタンス(ORACLE_SID=+ASM)を起動し、asm_init.ora初期化パラメータ・ファイルを使用します。

例10-28 ASMCMD startupコマンドの使用方法

ASMCMD> startup --nomount --pfile asm_init.ora

関連項目: