14 ASMCAによるOracle ACFSおよびOracle ADVMの管理

Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)では、Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)およびOracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)の管理用ユーティリティを提供します。

Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)は、Oracle ASMインスタンス、Oracle ASMディスク・グループ、Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(ADVM)ボリュームおよびOracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)ファイル・システムのインストールと構成を支援します。さらに、ASMCAコマンドライン・インタフェースを使用できます。

この章では、以下のトピックについて説明します。

ASMCAによるOracle ASMインスタンスおよびディスク・グループの管理の詳細は、「ASMCAによるOracle ASMの管理」を参照してください。

注意:

ASMCA機能およびメニュー・オプションによっては、Oracle RAC構成などの特定の環境でしか使用できないものがあります。特定のASMCAページの詳細は、「ヘルプ」ボタンで表示されるオンライン・ヘルプを参照してください。

Oracle ACFSおよびOracle ADVMを管理するためのASMCA GUIツール

この項では、次の項目について説明します。

ASMCAによるOracle ADVMボリュームの管理

注意:

データベース・ファイルの格納を目的としたOracle ACFSファイルシステムのOracle ADVMボリュームを作成する場合は、ASMCAツールではなくASMCMD volcreateコマンドまたはSQL ALTER DISKGROUP ADD VOLUME SQL文を使用して、列のストライプ化が1に設定されていることを確認します。

Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントを使用すると、Oracle ADVMボリュームを作成または構成できます。

Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントの画面で選択したボリュームを右クリックして、構成オプション・メニューを表示します。

メニューには、次を実行するためのオプションがあります。

  • 無効なボリュームの有効化および有効なボリュームの無効化

  • ステータス詳細の表示

  • Oracle ACFSファイルシステムにマウントされていないボリュームのサイズの変更

  • ボリュームの削除

ボリュームの作成、すべてのボリュームの有効化および無効化のオプションがあります。

ボリュームを作成するダイアログを表示するには、「作成」をクリックします。ディスク・グループのリストから選択する既存のOracle ASMディスク・グループに、一意のボリューム名を指定する必要があります。また、ボリュームのサイズを指定する必要があります。必要に応じて、冗長性レベルおよびストライプ化の特性を指定できる、ボリュームを作成するための拡張オプションの表示を選択できます。

Oracle ADVMボリュームを含むディスク・グループの互換性パラメータCOMPATIBLE.ASMおよびCOMPATIBLE.ADVMは、11.2以上に設定する必要があります。Oracle ACFSの暗号化、レプリケーション、セキュリティおよびタグ付けを使用するには、ファイルシステムに作成したボリューム上のディスク・グループのASMおよびADVMの互換性属性が11.2.0.2以上に設定されていることが必要です。

AIX上にOracle ADVMボリュームを作成する前に、必要なユーザー認証が作成されていることを確認します。

関連項目:

ASMCAによるOracle ACFSファイルシステムの管理

Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントを使用すると、Oracle ACFSファイルシステムを作成または構成できます。

既存のファイルシステムを構成するには、Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントの画面で選択したファイルシステムを右クリックし、構成オプション・メニューを表示します。

メニューには、次を実行するためのオプションがあります。

  • ステータス詳細の表示

  • ファイルシステムのマウントおよびディスマウント

  • ファイルシステムのサイズ変更

  • ファイルシステムの削除

  • セキュリティ・コマンドの表示または実行

  • スナップショットの作成または削除

ファイルシステムのマウントなど、一部のコマンドにはroot権限が必要です。ASMCAでは、rootとして、手動で実行するコマンドが生成されます。

Oracle ACFSファイルシステムをWindows上で作成する場合、コンピュータの管理者でもあるWindowsドメイン・ユーザーとしてASMCAを実行します。

「作成」、「すべてをマウント」、「すべてをディスマウント」および「セキュリティと暗号化」コマンドのボタンがあります。

Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントを使用すると、Oracle ACFSファイルシステムを作成できます。

「作成」を選択し、作成するOracle ACFSファイルシステムのタイプと既存のOracle ADVMボリュームをリストから選択します。「マウント・ポイント」フィールドを指定します。マウント・ポイントには既存のディレクトリを指定する必要があります。ファイルシステムは、使用可能にするためにマウントする必要があります。「自動マウント」オプションを有効化することを選択できます。「説明」フィールドに、ファイルシステムの説明を指定することもできます。

マウント・コマンドは、オペレーティング・システムのプロンプトで、rootまたはWindowsのAdministratorとして手動で実行する必要があります。

Oracle Database用にOracle ACFSファイルシステムを作成することを選択できます。

関連項目:

ASMCAによるOracle ACFSのセキュリティおよび暗号化の管理

Oracle ASM Configuration Assistantにより、Oracle ACFSファイルシステムのセキュリティと暗号化を構成できます。

Oracle ACFSファイルシステムのセキュリティの構成の最初の手順として、セキュリティ・システムを初期化する必要があります。Oracle ACFSファイルシステムの暗号化の最初の手順として、暗号化システムを初期化する必要があります。同じファイルシステムでOracle ACFSのセキュリティと暗号化の両方を使用する必要はありません。セキュリティと暗号化の両方を使用する場合は、暗号化を初期化して設定してから、セキュリティ・レルムで暗号化を有効にする必要があります。

表示されるダイアログで、セキュリティ管理者およびセキュリティ管理者のオペレーティング・システム・グループを指定するための情報を入力します。パスワードで保護されたウォレットを作成することを選択できます。ダイアログの入力フィールドへの入力が完了したら、「コマンドの表示」をクリックして、オペレーティング・システム・プロンプトでrootまたはAdministratorユーザーとして実行する必要のあるコマンドを表示します。次に例を示します。

# /sbin/acfsutil sec init -u grid -g asmadmin
# /sbin/acfsutil encr init

セキュリティが初期化されると、メニュー・オプションを使用してOracle ACFSファイルシステムのセキュリティおよび暗号化を管理できます。

メニューには、次を実行するためのオプションがあります。

  • 暗号化の設定

  • 暗号化の有効化および無効化

  • セキュリティの準備および有効化

  • セキュリティの有効化および無効化

関連項目:

データベース用のOracle ACFSファイルシステムの作成

データベース使用のOracle ACFSファイルシステムを作成するには、ディスク・グループ構成オプション・メニューから「データベース使用のACFSの作成」を選択し、ダイアログ入力ボックスを表示できます。

注意:

データベース・ファイルの格納を目的としたOracle ACFSファイルシステムのOracle ADVMボリュームを作成する場合は、ASMCAツールではなくASMCMD volcreateコマンドまたはSQL ALTER DISKGROUP ADD VOLUME SQL文を使用して、列のストライプ化が1に設定されていることを確認します。

このダイアログでは、次の情報を入力する必要があります。

  • ボリューム名

    作成するOracle ADVMボリュームの名前です。

  • マウント・ポイント

    データベース・ホームのインストール先となるファイルシステムのマウント・ポイントです。データベース・ホームを含めるファイルシステムは、Oracle Grid Infrastructureのベース・ディレクトリ(グリッド用のORACLE_BASE)の下に配置しないでください。

  • サイズ(GB)

    デフォルトは7GBで、最小の推奨サイズです。

  • 所有者名

    データベースをインストールし、データベース・ホームのソフトウェアを所有するユーザーのオペレーティング・システム名です。

  • 所有者グループ

    データベース・ホームの所有者のオペレーティング・システム・グループです。

マウント・ポイントには既存のディレクトリを指定する必要があります。ファイルシステムは、使用可能にするためにマウントする必要があります。

「構成コマンドの自動実行」を選択してASMCA構成コマンドを自動的に実行します。このオプションを使用するには、ASMCAの「設定」ページでroot資格証明を指定する必要があります。

マウント・コマンドは、オペレーティング・システムのプロンプトで、rootまたはWindowsのAdministratorとして手動で実行することもできます。

関連項目:

Oracle ACFSおよびOracle ADVMを管理するためのASMCAコマンドライン・インタフェース

ASMCAコマンドライン・インタフェースは、Oracle ASMディスク・グループ、ボリュームおよびOracle ACFSを構成するための非GUIサポートを提供します。

ASMCAコマンドライン・インタフェースの実行の一般情報は、ASMCAコマンドラインの実行を参照してください。

Oracle ACFSおよびOracle ADVM用のASMCAコマンド

この項では、Oracle ACFSオブジェクトを管理するためにASMCAコマンドラインで実行できるコマンドについて説明します。

Windowsドメイン・ユーザーとしてASMCAコマンドを実行します。

Oracle ACFSスナップショットの作成

—createACFSSnapshotは、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)のスナップショットを作成します。

構文

asmca -silent
   -createACFSSnapshot
       (-acfsMountPoint mount_path )
       (-snapshotName snapshot_name )
       [-snapshotMode { r|w } ]
       [-parentSnapshotName parent_snapshot_name ]

表14-1に、—createACFSSnapshotコマンドで使用可能なオプションを示します。

表14-1 -createACFSSnapshotコマンドのオプション

オプション 説明

-acfsMountPoint mount_path

マウント・ポイントとして使用する既存のパスを指定します。これは、Oracle RAC環境で必須です。

-snapshotName anapshot_name

Oracle ACFSスナップショットの名前を指定します。

-snapshotMode r|w

Oracle ACFSスナップショットのモード、読取り専用(r)または読取り-書込み(w)のいずれかを指定します。

-parentSnapshotName parent_snapshot_name

Oracle ACFSの親スナップショットの名前を指定します。

Oracle ACFSスナップショットの削除

—deleteACFSSnapshotは、既存のOracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)のスナップショットを削除します。

構文

asmca -silent
   -deleteACFSSnapshot
       (-acfsMountPoint mount_path )
       (-snapshotName snapshot_name )

表14-2に、—deleteACFSSnapshotコマンドで使用可能なオプションを示します。

表14-2 -deleteACFSSnapshotコマンドのオプション

オプション 説明

-acfsMountPoint mount_path

マウント・ポイントとして使用する既存のパスを指定します。これは、Oracle RAC環境で必須です。

-snapshotName anapshot_name

Oracle ACFSスナップショットの名前を指定します。

ボリュームの作成

-createVolumeは、Oracle ADVMボリュームを作成します。

構文

asmca -silent
      -createVolume
        { -volumeName volume_name
         -volumeDiskGroup diskgroup
         -volumeSizeGB size_GB
         [ -volumeRedundancy { INHERIT | HIGH | NORMAL | EXTERNAL } ] ... }
       [-sysAsmPassword sysasm_password ]

表14-3に、-createVolumeコマンドで使用可能なオプションを示します。

表14-3 -createVolumeコマンドのオプション

オプション 説明

-volumeName volume_name

作成するボリュームの名前を指定します。

-volumeDiskGroup diskgroup

ボリュームを作成するディスク・グループの名前を指定します。

-volumeSizeGB size_GB

ボリュームのサイズをGBで指定します。

-volumeRedundancy { INHERIT | HIGH | NORMAL | EXTERNAL }

ボリュームの冗長性設定を指定します。

複数のコマンドに共通のその他のオプションについては、表9-1を参照してください。

Oracle ADVMボリュームを作成するには、次のようにします。

例14-1 asmca -silent -createVolumeの使用方法

$ asmca -silent
        -createVolume
           -volumeName volume1 
           -volumeDiskGroup mynewdg 
           -volumeSizeGB 1 

Volume volume1 created successfully.
Oracle ACFSファイルシステムの作成

-createACFSは、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)を作成します。

このコマンドは、Oracle ACFSファイルシステムをマウントしません。Oracle ACFSファイルシステムのマウントの詳細は、Linux環境の場合はmountを、Windows環境の場合はacfsmountvolを参照してください。

構文

asmca -silent
      -createACFS
       { -acfsVolumeDevice volume_device }
       { -acfsMountPoint mount_path }
       [-acfsUserName acfs_username ]
       [-acfsUserGroup acfs_usergroup ]
       [-sysAsmPassword sysasm_password ]

表14-4に、-createACFSコマンドで使用可能なオプションを示します。

表14-4 -createACFSコマンドのオプション

オプション 説明

-acfsVolumeDevice volume_device

Oracle ADVMボリューム・デバイスの名前を指定します。

-acfsMountPoint mount_path

マウント・ポイントとして使用する既存のパスを指定します。これは、Oracle RAC環境で必須です。

-acfsUserName acfs_username

Oracle ACFSユーザー名を指定します。

-acfsUserGroup acfs_usergroup

Oracle ACFSグループ名を指定します。

複数のコマンドに共通のその他のオプションについては、表9-1を参照してください。

Oracle ACFSファイルシステムを作成するには、次のようにします。

例14-2 asmca -silent -createACFSの使用方法

$ asmca -silent
        -createACFS
           -acfsVolumeDevice /dev/asm/volume1-457
           -acfsMountPoint /acfsmounts/acfs1