ディスク・グループ属性の管理
ディスク・グループ属性は、Oracle ASMインスタンスではなくディスク・グループに関連付けられるパラメータです。一部のディスク・グループ属性は、ディスク・グループの作成または変更時に設定できます。他のディスク属性は、ディスク・グループの作成時にのみ設定できるか、またはディスク・グループの変更時にのみ設定できます。
この項では、次の項目について説明します。
この項で示したディスク・グループ属性に加えて、テンプレート属性もディスク・グループに割り当てられます。テンプレート属性の詳細は、「ディスク・グループ・テンプレートの管理」を参照してください。
ディスク・グループ属性の表示および設定について
ディスク・グループの属性設定を設定および表示できます。
ディスク・グループ属性は、V$ASM_ATTRIBUTE
ビューおよびASMCMD lsattr
コマンドを使用して表示できます。
ディスク・グループ属性は、ALTER
DISKGROUP
またはCREATE
DISKGROUP
SQL文のATTRIBUTE
句、およびASMCMDのsetattr
コマンドとmkdg
コマンドを使用して設定できます。
関連項目:
-
V$ASM_ATTRIBUTE
ビューの使用例は、例6-1 -
lsattr
コマンドの詳細は、「lsattr」 -
setattr
コマンドの詳細は、「setattr」 -
mkdg
コマンドの詳細は、「mkdg」 -
Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)を使用したディスク・グループ属性の作成の詳細は、「ASMCAによるディスク・グループの管理」
ディスク・グループ属性の概要
この項では、Oracle ASMディスク・グループ属性をリストします。
ACCESS_CONTROL.ENABLED
この属性は、Oracle ASMファイル・アクセス制御を構成し、ディスク・グループの変更時にのみ設定できます。
ACCESS_CONTROL.ENABLED
属性の詳細は、「Oracle ASMファイル・アクセス制御のディスク・グループ属性の設定」を参照してください。
ACCESS_CONTROL.UMASK
この属性は、Oracle ASMファイル・アクセス制御を構成し、ディスク・グループの変更時にのみ設定できます。
ACCESS_CONTROL.UMASK
属性の詳細は、「Oracle ASMファイル・アクセス制御のディスク・グループ属性の設定」を参照してください。
AU_SIZE
この属性は、割当て単位(AU)サイズを指定し、ディスク・グループの作成時にのみ設定できます。例4-1では、CREATE
DISKGROUP
SQL文を使用してAU_SIZE
を指定する方法を示しています。
割当て単位の詳細は、「Oracle ASM割当て単位について」を参照してください。
COMPATIBLE.ASM
この属性は、ディスク・グループのOracle ASM互換性レベルを指定します。互換性属性は、ディスク・グループの作成時に設定し、ディスク・グループの変更時に拡張できますが、互換性属性を元に戻すことはできません。COMPATIBLE.ASM
属性の詳細は、「ディスク・グループの互換性属性」を参照してください。
COMPATIBLE.RDBMS
この属性は、ディスク・グループのデータベース互換性レベルを指定します。互換性属性は、ディスク・グループの作成時に設定し、ディスク・グループの変更時に拡張できますが、互換性属性を元に戻すことはできません。COMPATIBLE.RDBMS
属性の詳細は、「ディスク・グループの互換性属性」を参照してください。
COMPATIBLE.ADVM
この属性は、ディスク・グループのOracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)およびOracle ASM Dynamic Volume Manager (Oracle ADVM)互換性レベルを指定します。互換性属性は、ディスク・グループの作成時に設定し、ディスク・グループの変更時に拡張できますが、互換性属性を元に戻すことはできません。COMPATIBLE.ADVM
属性の詳細は、「ディスク・グループの互換性属性」および「Oracle ASM動的ボリューム・マネージャの概要」を参照してください。
CONTENT.CHECK
CONTENT.CHECK
属性は、ディスク・グループのリバランスのためにデータ・コピー操作を実行する際のコンテンツ・チェックを有効化または無効化します。
属性値は、true
またはfalse
に設定できます。
コンテンツ・チェックには、ユーザー・データにおけるHardware Assisted Resilient Data (HARD)チェック、ブロック・コンテンツとファイル・ディレクトリ情報に対するファイル・ディレクトリのファイル・タイプの検証、およびミラー側の比較を含めることができます。
属性をtrue
に設定すると、すべてのリバランス操作の論理コンテンツ・チェックが有効になります。
この属性は、ディスク・グループの変更時にのみ設定できます。
関連項目:
ディスク・グループのリバランスの詳細は、「ディスク・グループの手動リバランス」と「リバランス操作の調整」
CONTENT.TYPE
この属性では、data
、recovery
またはsystem
のディスク・グループ・タイプが識別されます。タイプ値は、Oracle ASMミラー・コピーのデータがある障害グループ内の最も近くにあるディスクを、Oracle ASMがどこに配置するかを決定します。Oracle ASMでこの属性値を使用すると、ストレージ・メディアでの二重障害によって、異なるコンテンツ・タイプのディスク・グループが使用できなくなる可能性が少なくなります。この属性を指定すると、Oracle ASMは使用可能なストレージ内のすべてのディスク・グループをより適切にデプロイできます。
デフォルト値はdata
で、1から最も近いディスクまでの距離を指定します。recovery
の値は、3から最も近いディスクまでの距離と、5の距離を指定するsystem
の値を指定します。
属性は、ディスク・グループを作成または変更するときに指定されます。ALTER
DISKGROUP
を使用してCONTENT.TYPE
属性が設定または変更される場合、ディスク・グループのリバランスが明示的に実行されるまで新しい構成は反映されません。
CONTENT.TYPE
属性は、標準または高い冗長性に設定されたディスク・グループのみに有効です。ディスク・グループにCONTENT.TYPE
属性を有効にするには、COMPATIBLE.ASM
属性を11.2.0.3
以上に設定する必要があります。
この属性は、ASMCMDのmkdg
、またはSQLのCREATE
およびALTER
DISKGROUP
文を使用して設定できます。
次に例を示します。
SQL> CREATE DISKGROUP data NORMAL REDUNDANCY FAILGROUP controller1 DISK '/devices/diska1' NAME diska1, ... ATTRIBUTE 'compatible.asm' = '12.1.0.1', 'content.type' = 'recovery', ... SQL> ALTER DISKGROUP data SET ATTRIBUTE 'content.type' = 'data';
この属性は、主にOracle Exadataストレージでの使用を対象としています。
ディスク再同期の詳細は、「Oracle ASMの高速ミラー再同期」を参照してください。
関連項目:
-
Oracle Exadataのドキュメント
-
Oracle Exadataストレージでの
CONTENT.TYPE
属性の使用方法の詳細は、My Oracle Support (https://support.oracle.com
)を参照してください
CONTENT_HARDCHECK.ENABLED
CONTENT_HARDCHECK.ENABLED
ディスク・グループ属性は、ディスク・グループのリバランスのためにデータ・コピー操作を実行する際のHardware Assisted Resilient Data (HARD)チェックを有効化または無効化します。
属性値は、true
またはfalse
に設定できます。この属性は、ディスク・グループの変更時にのみ設定できます。
-
CONTENT.CHECK
ディスク・グループ属性が有効(true
)に設定されていると、CONTENT_HARDCHECK.ENABLED
の設定は無視され、HARDチェックを含め、ユーザー・データのコンテンツに対してチェックが実行されます。 -
CONTENT.CHECK
属性は無効(false
)に設定されており、CONTENT_HARDCHECK.ENABLED
属性が有効(true
)に設定されている場合は、HARDチェックのみが実行されます。 -
CONTENT.CHECK
属性が無効(false
)に設定されており、CONTENT_HARDCHECK.ENABLED
属性が無効(false
)に設定されている場合、チェックは実行されません。
関連項目:
ディスク・グループのリバランスの詳細は、「ディスク・グループの手動リバランス」と「リバランス操作の調整」
DISK_REPAIR_TIME
この属性は、削除操作を開始する前に、ディスクを修復してオンラインに戻すまでの時間間隔を指定します。この属性は、ディスク・グループの変更時にのみ設定でき、標準冗長性および高冗長性のディスク・グループにのみ適用できます。
ディスクの修復時間の詳細は、「Oracle ASMの高速ミラー再同期」を参照してください。
FAILGROUP_REPAIR_TIME
この属性は、ディスク・グループ内の障害グループのデフォルトの修復時間を指定します。Oracle ASMで障害グループ全体が失敗したと判別される場合、障害グループの修復時間が使用されます。デフォルト値は、24時間(24h
)です。SQLのALTER
DISKGROUP
OFFLINE
DISK
文のDROP
AFTER
句などを使用して、ディスクに指定された修復時間がある場合、そのディスクの修復時間は、障害グループの修復時間をオーバーライドします。
この属性は、ディスク・グループの変更時にのみ設定でき、標準冗長性および高冗長性のディスク・グループにのみ適用できます。
障害グループの修復時間の詳細は、「Oracle ASMの高速ミラー再同期」を参照してください。
IDP.BOUNDARYおよびIDP.TYPE
注意:
インテリジェント・データ配置(IDP)機能は、Oracle ASM 12cリリース2 (12.2)以降非推奨となったため、将来のリリースではサポート対象外になる予定です。
これらの属性は、Oracle Exadataストレージの構成に使用されます。
関連項目:
Oracle Exadataのドキュメント
LOGICAL_SECTOR_SIZE
LOGICAL_SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性は、ディスク・グループの論理セクター・サイズを指定します。値は、ディスク・グループの作成または変更時に設定できます。
LOGICAL_SECTOR_SIZE
の値は、ディスク・グループで許容されるI/Oの最小単位を指定します。値は、SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性のサイズ以下にする必要があります。
LOGICAL_SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性を使用するには、COMPATIBLE.ASM
を12.2
以上に設定する必要があります。
LOGICAL_SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性の設定の詳細は、「論理セクター・サイズと物理セクター・サイズの指定」を参照してください。
SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性の詳細は、「SECTOR_SIZE」を参照してください。
PHYS_META_REPLICATED
このディスク・グループ属性は、ディスク・グループのレプリケーション・ステータスを追跡します。ディスク・グループのOracle ASM互換性が12.1以上の場合、各ディスクの物理メタデータはレプリケートされます。このメタデータには、ディスク・ヘッダー、空き領域の表ブロック、および割当て表ブロックが含まれます。このレプリケーションは、オンライン非同期で実行されます。ディスク・グループ内のすべてのディスクの物理メタデータがレプリケートされた場合、この属性値は、Oracle ASMによってtrue
に設定されます。
このディスク・グループの属性は、Oracle ASMディスク・グループの互換性(COMPATIBLE.ASM
)が12.1
以上に設定されたディスク・グループにのみ定義されます。この属性は読取り専用であり、情報提供のみを目的としています。ユーザーは、この値を設定または変更できません。値は、true
またはfalse
のいずれかです。
PREFERRED_READ.ENABLED
物理的に切り離された複数のサイトに広がるノードで構成されるOracle Extended Clusterでは、PREFERRED_READ.ENABLED
ディスク・グループ属性によって優先読取り機能をディスク・グループに対して有効にするかどうかを制御します。
優先読取り機能が有効である場合、この機能により、インスタンスでは自身と同じサイトにあるディスクを特定し、そこから読み取ることができるため、パフォーマンスが向上します。
Oracle Extended Cluster内の各Oracle ASMインスタンスは、配置されているサイトを特定するための情報を保持します。優先読取り機能が有効になっている場合は、ディスクがインスタンスと同じサイト内にあれば、サイト情報に基づいてディスクの優先ステータスはtrueと判断されます。そうではなく、ディスクがOracle ASMインスタンスと同じサイトになければ、ディスクの優先ステータスはfalseに設定されます。
拡張クラスタの場合、優先読取り設定は、各ディスク・グループのPREFERRED_READ.ENABLED
ディスク・グループ属性に対するTRUE
設定により、デフォルトで有効になっています。拡張されていないクラスタ(物理サイト1つのみ)の場合、優先読取りは無効になっています。優先読取りステータスは、拡張冗長性、標準冗長性、高冗長性およびフレックス冗長性のディスク・グループに適用されます。
PREFERRED_READ.ENABLED
を使用するには、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)が必要で、COMPATIBLE.ASM
を12.2
以上に設定する必要があります。
PREFERRED_READ.ENABLED
が有効になっていてもいなくても、Oracle ASMインスタンスまたはクラスタ内のクライアント・インスタンスの障害グループ・レベルにASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS
初期化パラメータ(下位互換性のために使用可)を使用して、優先読取りを設定できます。
ディスクに優先読取りステータスが設定されているかどうかを判別するには、V$ASM_DISK
ビューのPREFERRED_READ
列を確認します。
関連項目:
-
ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS
初期化パラメータの詳細は、「ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS」 -
Oracle ASM拡張ディスク・グループの詳細は、Oracle ASM拡張ディスク・グループについて
-
Oracle Extended Clusterの詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーションおよびアップグレード・ガイド』
-
すべての
V$ASM*
動的パフォーマンス・ビューの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』
SCRUB_ASYNC_LIMIT
SCRUB_ASYNC_LIMIT
ディスク・グループ属性は、非同期修正に対して許容される未処理並列読取りリクエストの最大数を設定します。
値の範囲は、1
から1024
です。デフォルト値は1
です。
このディスク・グループ属性を使用するには、COMPATIBLE.ASM
を12.2
以上に設定する必要があります。
修正操作の詳細は、「ディスク・グループの修正」を参照してください。
SECTOR_SIZE
SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性は、ディスク・グループのセクター・サイズを指定します。値は、ディスク・グループの作成または変更時に設定できます。
SECTOR_SIZE
の値は、新規作成されるRedoログおよびOracle ACFSファイルシステムのブロック・サイズに使用されます。ディスクを移行しやすくするために、値を別のセクター・サイズに変更できます。値は、LOGICAL_SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性のサイズ以上にする必要があります。
SECTOR_SIZE
の12.2機能(ディスク・グループの作成後にセクター・サイズを変更する機能を含む)を使用するには、COMPATIBLE.ASM
を12.2
以上に設定する必要があります。
SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性の設定の詳細は、「論理セクター・サイズと物理セクター・サイズの指定」を参照してください。
LOGICAL_SECTOR_SIZE
ディスク・グループ属性の詳細は、「LOGICAL_SECTOR_SIZE」を参照してください。
STORAGE.TYPE
このディスク・グループ属性は、ディスク・グループ内のディスクのタイプを指定します。可能な値は、AXIOM
、ZFSSA
、およびOTHER
です。属性をAXIOM
またはZFSSA
に設定する場合、ディスク・グループ内のすべてのディスクはそのタイプである必要があります。属性をOTHER
に設定する場合、ディスク・グループ内のディスクはどのタイプでも使用できます。
STORAGE.TYPE
ディスク・グループ属性をAXIOM
またはZFSSA
に設定する場合、Pillar AxiomまたはZFSでハイブリッド列圧縮機能(HCC)を使用できます。
注意:
Pillar AxiomストレージをSCSI/ファイバ・チャネルとして追加する必要があります。
STORAGE.TYPE
属性を設定するには、COMPATIBLE.ASM
およびCOMPATIBLE.RDBMS
ディスク・グループ属性を11.2.0.3
以上に設定する必要があります。ZFSストレージを最大限サポートするには、COMPATIBLE.ASM
およびCOMPATIBLE.RDBMS
ディスク・グループ属性を11.2.0.4
以上に設定します。ディスク・グループの互換性属性の詳細は、「ディスク・グループの互換性」を参照してください。
STORAGE.TYPE
属性は、ディスク・グループの作成時、またはディスク・グループ変更時に設定できます。クライアントがディスク・グループに接続されているときに属性を設定できません。たとえば、Oracle ADVMボリュームがディスク・グループ上で有効なときに属性を設定できません。
属性が設定されるまでは、V$ASM_ATTRIBUTE
ビュー内またはASMCMD lsattr
コマンドで、属性は表示されません。
関連項目:
ハイブリッド列圧縮の詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。ハイブリッド列圧縮は、特定のOracleストレージ・システムの機能です。
THIN_PROVISIONED
この属性は、ディスク・グループのリバランスの完了後に、未使用の記憶域領域を破棄する機能を有効化または無効化します。属性値は、true
またはfalse
に設定できます。デフォルト値はfalse
です。
シン・プロビジョニングがサポートされているストレージ・ベンダーの製品には、物理記憶域全体の使用状況をより効率的にするために、破棄された記憶域領域を再利用する機能があります。
注意:
THIN_PROVISIONED
属性は、Linux上のOracle Grid Infrastructure 12.2以上のリリースで、Oracle ASM Filter Driver (Oracle ASMFD)でのみサポートされます。Oracle ASMFDの詳細は、「Oracle ASMフィルタ・ドライバの管理」を参照してください。サポートされているオペレーティング・システム・プラットフォーム(動作保証マトリックス)や構成の問題などOracle ASMFDの詳細は、My Oracle Support (https://support.oracle.com
)で入手可能なMy Oracle Support記事を参照してください。
ディスク・グループのリバランスの詳細は、「リバランス操作の調整」を参照してください。