1 WebCenter Contentの移行シナリオの概要

WebCenter Contentリリース11gまたは12cを別のオンプレミス・インフラストラクチャまたはOracle Cloud Infrastructureに移行したいとお考えですか。新しい方法(chghostツールおよびテンプレート・ビルダー機能)を使用して、WebCenter Contentインスタンスを短時間で再配置またはクローニングできます。ファイル・システムのデータをコピーし、必要に応じてデータベース・スキーマをコピーしてから、構成ファイルを少し編集するだけで済みます。新しいインフラストラクチャが古いものとまったく同じになる予定であれば、WebCenter Contentリリース12.2.1.3.0および12.2.1.4.0でchghostツールを使用できます。テンプレート・ビルダーの方法は、WebCenter Content 11gと12cの両方のリリースで様々なユースケースに使用できます。

1.1 WebCenter Contentリリース11gの別のオンプレミス・インフラストラクチャへの移行について

WebCenter Contentリリース11gを別のオンプレミス・インフラストラクチャまたはOracle Cloud Infrastructureに移行したいとお考えですか。これを読んで各自の設定および要件に最適なアプローチを見つけてください。

クラスタ化の有無を問わず、WebCenter Content 11gインスタンスを、オペレーティング・システムが同じであるかどうかにかかわらず、新しいオンプレミス・ホストに移行できます。新しいホストに異なるディレクトリ構造を作成することも可能です。「クラスタ化されたWebCenter Content 11gを同じかまたは異なるインフラストラクチャ上の新しいホストに移行する方法」および「クラスタ化されていないWebCenter Contentリリース11gを同じかまたは異なるインフラストラクチャ上の新しいホストに移行する方法」を参照してください。これらのトピックに記載されている段階的なシナリオは、WebLogic ServerまたはWebCenter Contentのバージョンが既存のインフラストラクチャ上のバージョンからアップグレードまたは変更される場合には適用されないことに注意してください。

データベースを移行するシナリオもいくつかあります。そのようなシナリオの1つは、WebCenter ContentをOracle Cloudに移行する場合です。2番目のシナリオは、オンプレミス移行でデータベースを新しいインフラストラクチャに移行する場合です。3番目のシナリオは、WebCenter Contentをクローニングする場合です。これらのどのケースでも、データベース・スキーマは、新しいデータベース・インスタンスで使用可能であることと、WebCenter Contentが存在している新しいホストからアクセス可能であることが前提となります。構成ウィザード(config.sh)を実行するときに、新しい場所にあるデータベース・スキーマへの接続を保証する追加ステップを実行する必要があります。

1.2 WebCenter Contentリリース12cの別のオンプレミス・インフラストラクチャへの移行について

chghostスクリプトまたはWebLogicテンプレート・ビルダーを使用してWebCenter Content 12cを移行できます。移行先となる新しいインフラストラクチャのコンポーネントは、方法を検討して決定する際の重要な要素になります。

WebCenter Content 12cがクラスタ化されているかどうかにかかわらず、WebCenter Contentを移行する新しいインフラストラクチャが同じになる予定であれば、移行にchghostスクリプトを使用することを検討してください。新しいホストのインフラストラクチャが同じであるとは、同じオペレーティング・システム、同じディレクトリ構造で同じバージョンのJDKを使用しているという意味です。WebCenter Contentのディレクトリ構造も同じままである必要があります。新旧インフラストラクチャ間の類似性は、同じトポロジで同じバージョンのFusion MiddlewareおよびWebCenter Contentの使用を超えて拡張されます。「クラスタ化されていないWebCenter Content 12cを同じインフラストラクチャ上の新しいホストに移行する方法」および「クラスタ化されたWebCenter Content 12cを同じインフラストラクチャ上の新しいホストに移行する方法」を参照してください。

クラスタ化の有無を問わず、WebCenter Content 12cをオペレーティング・システムおよびWebCenter Contentのディレクトリ構造が変化するインフラストラクチャに移行する場合、「クラスタ化されていないWebCenter Content 12cを異なるインフラストラクチャに移行する方法」および「クラスタ化されたWebCenter Content 12cを異なるインフラストラクチャ上の新しいホストに移行する方法」に記載された情報の使用を検討してください。cghostユーティリティの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』ネットワーク構成の変更に関する項を参照してください。

1.3 WebCenter Contentリリース11gおよび12cのOracle Cloud Infrastructureへの移行について

WebCenter Content 11gおよび12cは、クラスタ化の有無を問わず、WebCenter Contentを同じかまたは異なる別のインフラストラクチャに移行する場合に適用される同一のアプローチを使用して、Oracle Cloud Infrastructureに移行できます。異なるオペレーティング・システムに移行して、異なるディレクトリ構造を作成できます。

データベースの移行またはWebLogic ServerやWebCenter Contentのアップグレードは、ここに記載されているアプローチには含まれません。WebCenter ContentをOracle Cloud Infrastructureに移行する予定の場合、次の点を考慮してください:

データのサイズおよび使用可能な接続帯域幅

移行するデータ量はどの程度ですか。これは、主にWebCenter Contentのvaultおよびweblayoutディレクトリに格納された内容に影響されますが、システム上に存在するアーカイブを含むこともあります。コンテンツ・サーバーの_OCSスキーマや_MDSスキーマなど、検討する必要のあるデータベース・スキーマもあります。コンテンツの量が少ない場合は、rsyncなどの一般的なファイル・システム・ツールでデータをコピーすれば十分です。パブリック・インターネットを介したデータ移行が、ネットワーク・コストが高い、ネットワーク接続が信頼できない、転送時間が長い、またはセキュリティが心配であるといった理由で実行不可能である場合、データ転送サービスを使用してデータのオフライン転送を行うことを検討できます。詳細は、「データ転送サービスの概要」を参照してください。

可用性/停止時間

許容できる停止時間はどの程度ですか。開発システムの場合、稼働時間の要件は、本番システムほど厳格ではない可能性があります。そのため、システムを停止して、Oracle Cloud Infrastructureに移行してから再起動することが可能です。また、停止時間は、WebCenter Contentに格納されているコンテンツの量と、それをクラウド・インフラストラクチャにコピーする時間の長さに応じて異なります。停止時間を最小限に抑えるため、前もっていくつかのステップを実行し、(移行発生前までの)現在のシステムを、コンテンツの移行先の場所に同期できます。

統合

Oracle Cloud Infrastructureに移行する予定のWebcenter Contentインスタンスに接続されたオンプレミス・アプリケーション、クラウド・アプリケーション、サードパーティ・アプリケーション、認証および認可プロバイダなどの他のアプリケーションまたはシステムはありますか。

データベースおよびデータ・ソース

データベースは、データベースをコピーするためにサポートされるいずれかの方法を使用して、Oracle Clound Infrastructureベースのデータベースにコピーできます。これを行うには、新しい場所にあるデータベースにアクセスできるようにデータ・ソースの各XMLファイルでJDBC接続文字列を更新するだけで済みます。この更新は、新しいホストでWebLogic Server、管理対象サーバーおよびWebCenter Contentを起動する前に行う必要があります。Oracle Cloud Infrastructure上のデータベースは前もって構成し、DataGuardなどのツールを使用して、新しいクラウドベースのデータベースを、古い場所にある稼働システムの現在の変更に同期することができます。『ディザスタ・リカバリ・ガイド』に必要なガイダンスが含まれます。

ファイル・システム

ファイル・システム(クラスタの場合は特に共有ファイル・システム)は、移行の発生前に早めにコピーしておくことができます。その場合、既存のシステムと新しいクラウドベース・システム間でファイル・システム・レベルの変更が確実に同期されるように、いくつかのファイル・システム・ツールが必要です。『ディザスタ・リカバリ・ガイド』を参照してください。