5 Apache Tomcatを使用したEnterprise Data Qualityの構成

この章では、Tomcat Application Serverと連携して動作するようにEDQおよびデータベースを構成する方法と、必要な追加の構成ステップの実行方法について説明します。

ノート:

これらの手順はApache Tomcat環境にのみ適用されます。Oracle WebLogic Serverを使用している場合、「Oracle WebLogic Serverを使用したEnterprise Data Qualityの構成」の指示に従う必要があります

この章の内容は次のとおりです。

手順の前提条件

この項の手順を実行する前に、次のステップを最初に読んで対応する必要があります。

EDQデータベース・オブジェクトの作成

EDQでは3つのデータベース・アカウントと3つのスキーマが必要です。最初のスキーマには構成データ、2番目には結果データ、3番目にはステージング・データが含まれます。これらのオブジェクトは「必要な外部ソフトウェア・コンポーネントのインストール」でEDQリポジトリとしてインストールしたデータベース内に作成する必要があります

Oracle DatabaseでのEDQリポジトリの作成

この手順は、OracleデータベースをEDQのリポジトリとして構成します。

  1. edqconfigedqresultsおよびedqstagingという名前か、または別の好きな名前の、3つのデータベース・アカウントを作成します。名前を選択するときに、1つのスキーマが構成スキーマになり、もう1つが結果スキーマになることを考慮します。
  2. これらのアカウントそれぞれに次の権限を付与します。
    • CREATE SESSION(通常CONNECTによって付与される)

    • CREATE INDEXTYPE(通常RESOURCEによって付与される)

    • CREATE SEQUENCE(通常RESOURCEによって付与される)

    • CREATE TABLE(通常RESOURCEによって付与される)

    • CREATE TYPE(通常RESOURCEによって付与される)

    • CREATE INDEX

    • DROP TABLE

    • DROP INDEX

    • UNLIMITED TABLESPACE(表領域の自動拡張を許可することを推奨)

Apache DerbyデータベースでのEDQリポジトリの作成

Apache Tomcat上のEDQ 12.2.1.4.3以降では、構成スキーマおよび結果スキーマに対する埋込みApache Derbyデータベースの使用がサポートされています。

この手順は、Apache Derby埋込みデータベースをEDQのリポジトリとして構成します。

  1. EDQに付属するmigration.jarツールを使用して、Apache Derbyデータベースを作成および初期化します。次のコマンドを使用してツールを実行します:

    java -jar migration.jar init 'derby:(/path_to_db;create=true)'

    path_to_dbに入力する値は、存在しないディレクトリを示している必要があります。これは、データベース・ファイルが作成される場所です。ファイルの作成後、EDQで使用するためにファイルをコピーできます。

  2. director.propertiesファイルを編集し、次のプロパティを使用して、Derbyデータベースを使用するようにEDQを構成します:
    dataSource.driverClassName        = org.apache.derby.jdbc.EmbeddedDriver
    dataSource.url                    = jdbc:derby:/path_to_db
    dataSource.username               = APP
    dataSource.password               = app
    
    resultsDataSource.driverClassName = org.apache.derby.jdbc.EmbeddedDriver
    resultsDataSource.url             = jdbc:derby:/path_to_db
    resultsDataSource.username        = APP
    resultsDataSource.password        = app

    ここで、path_to_dbは、ステップ1で作成したデータベース・ファイルを含むディレクトリの絶対位置です。

    EDQ 12.2.1.4.3を使用している場合は、次の追加設定を追加する必要があります:

    indexing.maxthreads         = 1
    workunitexecutor.commitSize = 1
    
    ここで、
    • indexing.maxthreadsは、表の複数の索引が別々のスレッドで作成されないようにします。EDQ 12.2.1.4.4以降では、索引付けロジックが更新されているため、この設定は必要ありません。
    • workunitexecutor.commitSizeは、単一表に対する複数のトランザクションが複数のスレッドで発生しないようにします。EDQ 12.2.1.4.4以降では、この値は自動的に設定されます。

Tomcat 12.2.1.4.3以降のマーケットプレイス・イメージに対するOracle Enterprise Data Qualityの設定プロセスは、スキーマ構成オプションとしてApache Derbyを含めるように更新されていることに注意してください。選択した場合、追加の構成は必要ありません。

Tomcat Application Serverの構成

ノート:

Oracle Enterprise Data Quality (EDQ) 12.2.1.4.0以前から12.2.1.4.1以降のバージョンにアップグレードする場合は、catalina.propertiesファイルを編集してOracle Application Development Framework (ADF) jarへの参照を削除し、ADF jarを削除します。オプションで、lib.adfディレクトリをそれぞれの共有ライブラリ・パスから削除することもできます。

EDQ 12.2.1.4.1以降のバージョンの新規インストールを実行する場合は、ADF jarを設定する必要はありません。ただし、EDQ 12.2.1.4.0の新規インストールを実行する場合は、ADF jarを設定するステップに従います。

必要なOracle Application Development Framework (ADF)共有ディレクトリを作成します。

  1. Tomcatディレクトリにlib.adf ADF共有ディレクトリを作成します。
  2. EDQ製品に付属しているadf-essentials.zipファイルをlib.adfディレクトリに解凍します。このzipファイル内のJARファイルはlib.adfディレクトリにある必要があり、デフォルトで解凍されるadf-essentialsディレクトリではありません。
  3. Oracle ADFが個々の共有ライブラリ・パスからロードされるように、Tomcat common.loaderプロパティを構成します(通常はcatalina.propertiesファイルにあります)。たとえば:
    common.loader=${catalina.base}/lib,${catalina.base}/lib/*.jar,
    ${catalina.home}/lib,${catalina.home}/lib/*.jar,
    ${catalina.home}/lib.adf/*.jar

Tomcat Application Serverで使用するディレクトリの作成

EDQ構成ファイルを格納するために、2つの空のディレクトリを作成します。たとえば、次のようになります。

LinuxおよびUNIXオペレーティング・システムの場合:

/opt/edqconfig/oedqhome

/opt/edqconfig/oedqlocalhome

Windowsオペレーティング・システムの場合:

C:\edqconfig\oedqhome

C:\edqconfig\oedqlocalhome

最初のディレクトリ(oedqhome)はベース構成ディレクトリで、インストール後に変更されない構成ファイルを含みます。2番目のディレクトリ(oedqlocalhome)はローカル構成ディレクトリで、作成するカスタム設定を含みます。アプリケーション・サーバーのユーザーが、作成するこの2つのディレクトリへの読取りおよび書込みアクセス権限を持つことを確認してください。これらのディレクトリの詳細は、「EDQディレクトリ要件」を参照してください

Tomcat Application Serverと連携して動作するEDQの構成

これらのステップに従い、EDQ構成アプリケーション(configapp)を実行して、Apache Tomcatと連携して動作するようにEDQを構成し、リポジトリ・スキーマに必要なEDQオブジェクトを移入します。

ノート:

これらの手順は、「必要な外部ソフトウェア・コンポーネントのインストール」の指示に従って必要なデータベース・スキーマを作成済であると仮定しています

EDQ構成アプリケーションを起動するには、次のステップに従います。

  1. EDQインストール・ユーザーとしてシステムにログインします。

  2. FMW_HOME/edq/oracle.edqディレクトリに移動します。

  3. 次のコマンドを入力して構成アプリケーションを起動します。

    java -jar configapp.jar

    EDQ構成アプリケーション」が表示されます。

表5-1を使用して、EDQを構成します。

表5-1 EDQ構成アプリケーションの実行

画面 実行するアクション

EDQ構成アプリケーションの完了

「開始」をクリックして、構成を続行します。

「取消」をクリックすると、いつでもインストールを取り消すことができます。

構成ディレクトリ

EDQ構成ファイルを格納するために、「Tomcat Application Serverで使用するディレクトリの作成」で作成した2つの空のディレクトリを指定します。

「次へ」をクリックして、続行します。

機能パック

必要な機能パック(使用ランセンスを取得済のもの)を選択します。

「次へ」をクリックして、続行します。

構成スキーマの構成

「選択タイプ」リストから、「EDQデータベース・オブジェクトの作成」で作成した構成スキーマに対する正しいオプションを選択します。

  • JNDI Connectionオプションは使用しないでください

構成スキーマのユーザー名およびパスワードを入力します。

データベースのタイプのオプションとして、「Oracle」または「Postgres」のいずれかを選択します。

データベースを含むシステムのホスト名、ポート番号、およびデータベース一意IDを入力します。(Oracleの一意IDはSIDで、サービス名ではありません。サービス名を必要とするプラガブル・データベースを使用する場合、RAW JDBC URLまたはJNDIソースを使用する必要があります。)

Testをクリックして、データベースへの接続が適切に構成されたことを確認します。

「次へ」をクリックして、続行します。

結果スキーマの構成

「選択タイプ」リストから、「EDQデータベース・オブジェクトの作成」で作成した結果スキーマに対する正しいオプションを選択します。

  • JNDI Connectionオプションは使用しないでください

  • PostgreSQLの場合、「プロパティ」オプションを使用する場合があります。

結果スキーマのユーザー名およびパスワードを入力します。

データベースのタイプのオプションとして、「Oracle」または「Postgres」のいずれかを選択します。

データベースを含むシステムのホスト名、ポート番号、およびデータベース一意IDを入力します。(Oracleの一意IDはSIDで、サービス名ではありません。サービス名を必要とするプラガブル・データベースを使用する場合、RAW JDBC URLまたはJNDIソースを使用する必要があります。)

「テスト」をクリックして、データベースへの接続が適切に構成されたことを確認します。

「次へ」をクリックして、続行します。

選択したオプション

選択内容のサマリーを確認します。選択内容を変更する場合は、「戻る」を使用します。

「終了」をクリックして、構成を完了して次に進みます。

EDQ構成アプリケーションの完了

「完了」をクリックしてインストール・プログラムを終了します。

EDQ機能パックの確認

「Tomcat Application Serverと連携して動作するEDQの構成」の説明に従い、EDQ構成アプリケーションを使用してインストールされたEDQ機能パックを検証できます。また、次のことを認識する必要があります。

  • Siebel Customer Relationship ManagementまたはUniversal Customer Masterとの統合など、EDQ顧客データ・サービス・パックの完全な機能をEDQサーバーで使用する場合、すべての機能パックが必要です。

  • Oracle Watchlist ScreeningをEDQサーバーにインストールする場合、すべての機能パックが必要になります。

Tomcat Application ServerでのEDQアプリケーションのデプロイ

EDQアプリケーションは手動でTomcat Application Serverにデプロイされる必要があります。

  1. アプリケーション・サーバーを停止します。
  2. 次のいずれかのファイルをアプリケーション・サーバーにデプロイします:

    ノート:

    Tomcatバージョン10.1を使用する場合は、jakartaee/edq.warを使用する必要があります。これは12.2.1.4.3以上のバージョンにのみ適用されます。
  3. 「Tomcat Application Serverで使用するディレクトリの作成」で作成したベースおよびローカル構成ディレクトリにEDQをリンクするには、次のいずれかを実行します。
    • EDQサポート・プラットフォームのいずれかで、それらのディレクトリへのパスを指定する-edq.config.pathという名前のJavaプロパティを使用できます。構文は次のとおりで、path_to_base_configはベース構成ディレクトリへのパスで、path_to_local_configはローカル構成ディレクトリへのパスです。

      LinuxおよびUNIXの場合 (コロンでパスを区切る)

      -Dedq.config.path=path_to_base_config:path_to_local_config
      -Doracle.mds.cache=simple
      

      Windowsの場合(セミコロンでパスを区切る)

      -Dedq.config.path=path_to_base_config;path_to_local_config
      -Doracle.mds.cache=simple
      

      ノート:

      oracle.mds.cacheプロパティは、EDQ 12.2.1.4.1以降では必要ありません。
    • Windowsの場合、次に示すように、EDQ_CONFIG_PATHという名前の環境変数をJAVA_OPTS環境変数に追加できます。path_to_base_configはベース構成ディレクトリへのパスで、path_to_local_configはローカル構成ディレクトリへのパスです。

      EDQ_CONFIG_PATH="path_to_base_config;path_to_local_config"
      

    Javaパラメータの設定の詳細は、次に示すApache TomcatのドキュメントWebサイトを参照してください。

    http://tomcat.apache.org/

  4. アプリケーション・サーバー・サービスを再起動し、edq.warが正常にデプロイされるようにします。