C ODI SAPアダプタのコンポーネント、互換性およびアップグレード

ODI SAPアダプタのコンポーネントの互換性について理解することが重要です。必要な場合は、ODI SAPアダプタの新しいバージョンにアップグレードすることもできます。

この付録の内容は次のとおりです。

C.1 コンポーネント

ODI SAP ABAPアダプタは3つのコンポーネントで構成されています。

  • ODI SAP LKMおよびODI SAP RKM

  • ODI SAP OpenTool (odi-sap.jar)

  • ODI SAPコンポーネント

KMはSAP JCoまたはODI SAP OpenTool (内部的にSAP JCoが使用されます)を介してSAPシステムに接続します。KMは直接的または間接的にSAPシステムに接続し、ODI SAPコンポーネントの一部として配布されたRFCを呼び出します。

ノート:

次の事項に注意してください。

  • KMはODIソフトウェアまたはパッチとともに出荷され、ODIリポジトリの中心にインストールされます。

  • ODI SAP OpenTool (odi-sap.jar)は、各ローカルODIソフトウェア・インストール環境の一部です。これは、ODI Studioのインストール環境およびODIエージェントのインストール環境に適用されます。OpenToolはODIソフトウェアの一部です。

  • ODI SAPコンポーネントは、ODIが接続するすべてのSAPシステムにインストールする必要があります。このインストールは、ODI SAPアダプタのインストールの一部として行われます。

C.2 互換性

互換性に関するいくつかの規則を次に示します。

  • 新しいKMでは新しいOpenToolバージョンが必要となることがあります。必要な最低限のOpenToolバージョンは、KMの説明に記載されています。OpenToolのバージョンは、java -jar odi-sap.jarを使用してodi-sap.jarを実行することによって確認できます。

  • 新しいKMでは新しいODI SAPコンポーネントが必要となることがあります。アップデートの必要性については、それぞれのリリースまたはパッチのノートに記述されています。

  • ODI OpenToolsには後方互換性があります。OpenToolは、既存のODIマッピングまたはODIシナリオに影響を与えることなく、新しいバージョンにアップグレードできます。

  • 既存のODIシナリオは、新しいODI SAPコンポーネント・バージョンおよび新しいOpenToolバージョンとともに動作します。

C.3 ODI SAPアダプタのアップグレード

ノート:

アップグレード・ステップの主な情報源は、製品またはパッチのリリース・ノートです。次に示すステップだけではなく、他のステップが必要となることがあります。

疑問がある場合は、Oracle製品サポートに連絡してください。

特に示されていない場合、新しいODI SAP Adapterバージョンへのアップグレードは次のステップで構成されています。

  • OpenToolのアップグレード

    OpenToolはODIソフトウェアまたはパッチの一部として出荷されるため、手動でアップグレードする必要はありません。必要な場合は、odi-sap.jarを置き換えることによって、OpenToolをアップグレードします。

  • ODI SAPコンポーネントのアップグレード

    ODI SAPコンポーネントのアップグレードについては、ODI SAPコンポーネントの更新で説明します。

  • KMのアップグレード

    SAPアダプタのアップデートがODIのアップデートの一部として行われた場合、「KMを必須更新で置換」が選択されていると、Upgrade AssistantによってKMがすでに置き換えられていることがあります。選択されていない場合、リポジトリでKMを手動でアップデートする方法は2つあります。要件に基づいて選択してください。両方の方法は組み合せることができます。たとえば、いくつかのマッピングを方法1で開始し、テストが成功した場合、方法2を適用できます。

    ノート:

    どのKMアップデート方法を使用する場合も、すべてのマッピングをテストすることをお薦めします。

C.3.1 方法1: 新しいKMとして追加

このアップデート・パスでは、既存のKMは変更されずにそのまま残り、更新されたKMが新しいKMとしてインポートされます。すべての既存のマッピングおよび既存のODIシナリオは変更されません。このアプローチでは、ステップごとに新しいKMにアップデートできますが、新しいKMを使用するにはすべてのマッピング/モデルをアップデートする必要があります。

  • 複製モードですべての新しいKMファイルをプロジェクト内またはグローバルKM (使用しているほう)にインポートします。これにより、新しいKMオブジェクト情報が作成されます。

  • 各KMの名前をCopy of <KM Name>から<KM Name>に変更します。たとえば、Copy of LKM SAP ERP to SQLからLKM SAP ERP to SQL v38に変更します。

  • すべてのマッピング/モデル(アップデートされたKMを使用する)でL/RKMをv38に切り替えます。たとえば、LKM SAP ERP to SQLからLKM SAP ERP to SQL v38に切り替えます。

ノート:

既存のODIシナリオは再生成されるまで変更されません。

C.3.2 既存のKMの置換え

このアップデート・パスでは、リポジトリ内のアクティブなKMが新しいバージョンに置き換えられます。古いKMを使用しているマッピングまたはモデルは、アップデートされたKMをすぐに使用するようになります。既存のODIシナリオは再生成されるまで変更されません。

すべてのKMで繰り返すステップ:

  • 既存のKMのバックアップを取得します。たとえば、KMを右クリックして「エクスポート」をクリックします。

  • KMを右クリックして、「置換のインポート...」を選択して対応する新しいKMファイルを選択し、「OK」をクリックします。

  • マッピングまたはモデルを変更する必要はありません。

ノート:

既存のODIシナリオは再生成されるまで変更されません。

C.4 ODI 11gからODI 12cへのアップグレード

ODI 12cでは、リポジトリ・オブジェクトを識別するGUID (ODI 11gでは内部ID)とマッピング(ODI 11gのインタフェースにはなかった)が導入されています。GUIDを導入したため、12cリポジトリがレガシー・モードである場合を除いて、内部IDを使用したodiRef APIコールは失敗します。11g ODI SAPのシナリオは、内部IDを使用しているため、12cレガシー・リポジトリ・モードでしか動作しません。GUIDへの移行に伴って、デフォルトのABAP_PROGRAM_NAMEがアップグレード中に変わります。このデフォルトのABAP_PROGRAM_NAMEは、開発中の便宜のためにのみ用意されています。詳細は、「ODI SAPのトランスポート・リクエストの管理」を参照してください。

ノート:

明示的に設定されるABAP_PROGRAM_NAME KMオプションは変わりません。

11gのインタフェースから12cのマッピングへの移行に伴って、アップグレード中に、11gインタェースは新しい12cマッピング・オブジェクトに変換されます。つまり、新しいマッピングでもデータ変換はまったく同じですが、12cではセマンティクスが新しくなるため、同じSAP KMバージョンを使用する場合でも異なるABAPコードが生成されるということです。

アップグレード・パス

アップグレード・パスでは、まず既存のODI SAPシナリオがすべてODI 11gで実行されます(フェーズ1)。その次のステップバイステップの移行で、ODI SAPシナリオを再生成/再デプロイしてから、これらのシナリオの実行がODI 11gからODI 12cに切り替わります(フェーズ2)。アップグレード・パスは、汎用のODIアップグレードの推奨事項に合致しています。

このアップグレード・パスには、次のような利点があります。

  • フェーズ1でABAPの再デプロイが不要

  • フェーズ1でODIシナリオの再生成が不要

  • フェーズ2でアップグレードされるマッピングには、SAP KM (最新フィックス/機能)を使用

ご不便をおかけするのは、ODI 11gとODI 12c (リポジトリとエージェントがまったく別)を並行して使用する点のみです。

フェーズ1: ODI 11gを使用

フェーズ1では、既存のODI 11gリポジトリと実行環境を保持し、並行して新しいODI 12c環境を設定します。このフェーズは次のステップで構成されます。

  • 標準のODIアップグレード手順に続いて、すべてデフォルトのオプション(KMを置換え)を使用してODI 11gからODI 12cにアップグレードします。

  • ODI 11g環境を保持します。ODI 11g環境は使用し続けるので、インプレース・アップグレードは実行しないでください。

  • ODI SAPジョブの実行については、引き続きODI 11gを使用します。

フェーズ2: 12cへの移行

最終的には、すべてのODI SAPインタフェースシナリオを再生成し、再デプロイする必要があります。ODI 12cを使用してインタフェース/マッピング/シナリオを再デプロイして以降は、ジョブがODI 12cで実行されるため、11gのインタフェース/マッピング/シナリオの実行は無効にする(たとえば、11gのスケジューラを無効にする)必要があります。フェーズ2は、次のステップで構成されています。

ODI SAPマッピング/シナリオがすべて移行されたら、ODI 11g環境をオフにできます。