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Oracle VM Serverユーザーズ・ガイド
リリース2.2
B57076-01
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4 ゲスト仮想マシンの作成

この章では、Oracle VM Serverを使用してゲスト仮想マシンを作成する方法を説明します。 準仮想化ゲストとハードウェア仮想化ゲストは、テンプレートまたはvirt-installコマンドライン・ツールを使用して作成できます。 virt-installは、インタラクティブ・シェルとして使用することも、コマンドラインからすべてのパラメータを一度に設定することもできます。 次の形式で、複数のパラメータをvirt-installツールに指定できます。

virt-install [options]

virt-installコマンドライン・ツールのパラメータは、付録A「コマンドライン・ツール」を参照してください。

また、ゲスト仮想マシンは、Oracle VM Managerを使用して作成することもできます。これは、ゲストを作成する場合の推奨方法です。 Oracle VM Managerでのゲストの作成の詳細は、『Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド』を参照してください。

準仮想化ゲストの方がハードウェア仮想化ゲストよりパフォーマンスが優れているため、可能な場合は、準仮想化ゲストを作成することをお薦めします。

ゲスト仮想マシンを作成するには、インストール・ツリーまたはテンプレートへのアクセス権が必要です。 ホストIPアドレスおよびホスト名が必要な場合もあります。

この章の構成は次のとおりです。

4.1 サポートされているゲスト・オペレーティング・システム

作成可能な、サポートされているゲスト・オペレーティング・システムのリストについては、『Oracle VM Serverリリース・ノート』を参照してください。

4.2 インストール・ツリーの作成

virt-installコマンドライン・ツールまたはOracle VM Managerを使用して、ローカル・ハード・ディスクまたはCD-ROMから準仮想化ゲスト仮想マシンを作成することはできません。 ただし、インストール・ツリーを作成してNFS共有としてマウントするか、あるいはHTTPまたはFTPを介して使用できるようにすることはできます。 たとえば、ISOファイルを作成してマウントし、NFSを介して使用できるようにするには、次のように指定します。

# mkdir -p /el/EL5-x86
# mount -o ro,loop /path/to/Enterprise-R5-x86-dvd.iso /el/EL5-x86
# exportfs *:/el/EL5-x86/

ゲスト仮想マシンを作成するときに、インストール先を次のように指定します。

nfs:example.com:/el/EL5-x86

同様に、example.comというコンピュータでHTTP経由でアクセスできるインストール・ツリーを設定するには、次のように指定します。

# cd /var/www/html
# mkdir EL5-x86
# mount -o ro,loop /path/to/Enterprise-R5-x86-dvd.iso EL5-x86

ゲスト仮想マシンを作成するときに、インストール先を次のように指定します。

http://example.com/EL5-x86

注意:

複数のISOファイル(CD)がある場合は、各ISOファイル(CD)をマウントし、内容を1つのディレクトリにコピーできます。 これによって、すべてのISOファイルが同じ場所から使用できるようになります。

4.3 テンプレートを使用したゲストの作成

ゲストは、テンプレートを使用して作成できます。 また、Oracle VM Managerにテンプレートを登録し、そのテンプレートを使用してゲストを作成することもできます。 Oracle VM Managerでのテンプレートの使用の詳細は、『Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド』を参照してください。

テンプレートは、.tgzファイルとして圧縮されます。 テンプレートには、最小限のゲスト構成ファイル(vm.cfgおよびsystem.img)が含まれています。テンプレートは、一般にFTPサーバーまたはHTTPサーバーに格納されています。 次の例に、HTTPサーバーからのOracle Enterprise Linuxテンプレートのダウンロード方法とそのテンプレートを使用したゲストの作成方法を示します。

テンプレートからゲスト仮想マシンを作成するには、次の手順を実行します。

  1. rootユーザーとしてOracle VM Serverにログインします。

  2. Oracle VMテンプレートの.zipファイルをOracle VM Serverにダウンロードし、/OVS/seed_poolディレクトリに配置します。

  3. 解凍ツールを使用して、このファイルを解凍します。 解凍ツールは、次のURLからダウンロードできます。

    http://oss.oracle.com/el4/unzip/unzip.html

  4. .tgzファイルを抽出します。 この手順によって、テンプレートの名前でディレクトリが作成されます。 このディレクトリには、テンプレートのファイルが含まれています。 次に例を示します。

    # cd /OVS/seed_pool
    # tar xzf OVM_template_name.tgz
    

    これによって、次のディレクトリ構造が作成されます。

    /OVS/seed_pool/OVM_template_name
             |
             |- System.img               (operating system image file)
             |- extra.img                (optional additional image file(s))
             |- vm.cfg                   (virtual machine configuration file)
             |- README
    
  5. ディレクトリを仮想マシンのファイルがある場所に変更します。

    # cd /OVS/seed_pool/OVM_template_name
    
  6. 次のコマンドを実行して、新しいMACアドレスを生成します。

    #export PYTHONPATH=/opt/ovs-agent-2.3#python -c "from OVSCommons import randomMAC; print randomMAC()"
    
  7. vm.cfgファイルを編集して、vifで始まる行を次のように変更します。

    vif = [ 'mac=00:16:3E:xx:xx:xx', ] # for PVM
    

    または

    vif = [ 'type=netfront, mac=00:16:3E:xx:xx:xx', ] # for PVHVM
    

    ここで、00:16:3E:xx:xx:xxは、6で生成されたMACアドレスです。

  8. Oracle VM Serverコマンドラインからゲスト仮想マシンを作成して起動します。

    # xm create vm.cfg
    
  9. VNCを使用して、ゲスト仮想マシンのコンソールに接続します。

    1. 次のコマンドを実行して、VNCポート番号を検索します。

      # xm list -l OVM_template_name |grep location
      

      これによって、ゲスト仮想マシンのVNCコンソールに割り当てられているポート番号が表示されます。 複数の行が表示される場合もありますが、次のような行が表示されます。

      (location 0.0.0.0:5901)
      

      VNC Viewerを使用してゲスト仮想マシンに接続するときに、このポート番号(この例では5901)を使用します。

    2. 別のコンピュータから任意のVNC Viewerを使用して、ゲスト仮想マシンに接続します。 たとえば、Oracle Enterprise Linuxでは、次のコマンドを使用します。

      # vncviewer hostname:vnc_port
      

      ここで、hostnameはOracle VM ServerのIPアドレスまたはホスト名、vnc_portaで検索したポート番号です。

    3. テンプレートで必要なゲスト仮想マシンの構成をすべて完了します。

ゲストが作成され、起動されます。

4.4 virt-installを使用したゲストの作成

次の例に、virt-installコマンドライン・ツールによる準仮想化ゲストの作成方法とハードウェア仮想化ゲストの作成方法を示します。 ここでは、インタラクティブなセッションを使用します。 コマンドライン・オプションとして、virt-installパラメータを一度に渡すこともできます。 具体的に示すと、次のようにkickstartオプションを渡すことができます。

virt-install -x ks=options

準仮想化ゲストまたはハードウェア仮想化ゲストを対話形式で作成する手順は、次のとおりです。

  1. rootとしてコマンドライン・シェルを開き、virt-installコマンドライン・ツールを実行してインタラクティブなインストール・プロセスを開始します。

    # virt-install
    
  2. そのホストでハードウェア仮想化ゲストを作成する場合は、次の質問が表示されます。

    Would you like a fully virtualized guest (yes or no)?
    

    ハードウェア(完全)仮想化ゲストを作成すると、Microsoft Windowsのようなオペレーティング・システムを、修正せずに実行できます。 準仮想化ゲストを作成する場合はno、ハードウェア仮想化ゲストを作成する場合はyesを入力します。 [Enter]を押します。

  3. 次の質問が表示されます。

    What is the name of your virtual machine?
    

    これは、ゲストを識別するラベルです。 ゲスト構成ファイル名として使用され、/etc/xen/nameとして保存されます。 また、多くのxmコマンドでも使用されます。 次のようにゲストの名前を入力します。

    myguest
    

    構成ファイルが作成されます。 [Enter]を押します。

  4. 次の質問が表示されます。

    How much RAM should be allocated (in megabytes)? Setting the RAM to a value less than 256 megabytes is not recommended.
    

    ゲストに割り当てるRAMサイズの入力を要求されます。 RAMはゲストにのみ割り当てられ、dom0からは使用できません。 コンピュータで使用できるRAMの量を確認するには、xm infoコマンドを実行してfree_memory列を確認します。 空きメモリーがメガバイト単位で表示されます。 これがゲストに割り当てることのできるRAMの総量です。 次のように、ゲストに割り当てるRAMの量をメガバイト単位で入力します。

    1024
    

    [Enter]を押します。

  5. 次の質問が表示されます。

    What would you like to use as the disk (path)?
    

    ゲストには、virt-installで割り当てられたディスク・ストレージが、1つの物理ハード・ディスクのように単一の仮想ハード・ディスクとして表示されます。 これはhdaと表示され、通常の物理ハードウェアと同様にパーティション化してゲストで管理できます。 次のように、ゲストのディスク・イメージとして使用されるローカルの絶対パスとファイル名を入力します。

    /OVS/running_pool/myguest/System.img
    

    ゲストへの完全なディスクとしてエクスポートされます。 [Enter]を押します。

  6. 前の手順で指定したファイルが存在しない場合、次の質問が表示されます。

    How large would you like the disk to be (in gigabytes)?
    

    ゲスト用の仮想ディスクのサイズをギガバイト単位で入力します。 この例では、8GBを入力します。 たとえば、次のように入力します。

    8
    

    [Enter]を押します。

  7. 次の質問が表示されます。

    Would you like to enable graphics support (yes or no)?
    

    グラフィックス・サポートは、ゲストが仮想グラフィックス・カードを使用できるかどうかによって決まります。 ハードウェア仮想化ゲストを作成する場合は、この質問の回答を常にyesにする必要があります。 準仮想化ゲストを作成する場合は、yesまたはnoを選択できます。 [Enter]を押します。

  8. virt-installユーティリティでは、準仮想化ゲストとハードウェア仮想化ゲストに対して別々のインストール場所が要求されます。 準仮想化ゲストは、NFS、FTPおよびHTTPを使用して、インストール・ツリーからインストールできます。 ハードウェア仮想化ゲストは、dom0のISOファイルからインストールできます。

    • 準仮想化ゲストを作成する場合は、次の質問が表示されます。

      What is the install location?
      

      これは、Anacondaによって使用される形式のOracle Enterprise Linuxインストール・ツリーへのパスです。 NFS、FTPおよびHTTPの場所がサポートされています。 次に例を示します。

      nfs:example.com:/path/to/tree/
      http://example.com/path/to/tree/
      ftp://example.com/path/to/tree/
      

      次のように、インストール・ツリーのパスを入力します。

      http://example.com/EL5-x86
      

      [Enter]を押します。


      注意:

      インストール場所は、ネットワーク上にする必要があります。 ローカル・ディスクまたはCD-ROMからはインストールを実行できません。 詳細は、第4.2項「インストール・ツリーの作成」を参照してください。

    • ハードウェア仮想化ゲストを作成する場合は、次の質問が表示されます。

      What would you like to use for the virtual CD image?
      

      これは、dom0のファイル・システム上のISOファイルへのパスです。 次に例を示します。

      /mypath/myISO.iso
      

      [Enter]を押します。


      注意:

      NFS、FTPおよびHTTPの場所はサポートされていません。 ISOファイルはマウントしないでください。virt-installがISOファイルをマウントして、そのファイルからインストールを開始します。

ゲスト・オペレーティング・システム・インストーラが起動します。 7でグラフィックス・サポートを有効にした場合は、VNSウィンドウとグラフィカル・インストーラが表示されます。 グラフィックス・サポートを無効にすると、テキスト・ベースのインストーラが表示されます。 たとえば、Oracle Enterprise Linuxのテキスト・ベースのインストールは次のように表示されます。

図4-1 テキスト・ベースのインストーラの画面

図4-1の説明が続きます。
「図4-1 テキスト・ベースのインストーラの画面」の説明

ゲスト・オペレーティング・システムのインストールを完了するには、プロンプトに従ってください。

4.5 準仮想化ゲストの手動作成

準仮想化ゲストを手動で作成する手順は、次のとおりです。

  1. ルート・ファイル・システムの作成

  2. ルート・ファイル・システムの移入

  3. ゲストの構成

4.5.1 ルート・ファイル・システムの作成

ルート・ファイル・システムを作成する手順は、次のとおりです。

  1. ゲストのルート・パーティションを作成します。 ルート・パーティションは、次のいずれかになります。

    • 物理パーティション

    • 論理ボリューム・マネージャ対応の仮想ブロック・デバイス

    • ファイル対応の仮想ブロック・デバイス

    次のいずれかの方法でルート・ファイル・システムを作成します。

    1. 物理ディスク・パーティションの使用

      ゲスト・ルートのディスク・パーティションを作成します。

      パーティションにファイル・システムを作成します。

    2. 論理ボリューム・マネージャ対応の仮想ブロック・デバイスの使用

      特に効果的な方法は、ゲスト・ファイル・システムのサポートとして論理ボリューム・マネージャ(LVM)ボリュームを使用することです。これによって、ボリュームの動的な拡張と縮小、スナップショットなどの機能を実行できます。

      LVMボリュームをサポートするパーティションを初期化するには、次を入力します。

      # pvcreate /dev/sda10
      

      物理パーティションにvgというボリューム・グループを作成します。

      # vgcreate vg /dev/sda10
      

      myvmdisk1という4GBの論理ボリュームを作成します。

      # lvcreate -L4096M -n myvmdisk1 vg
      

      これで、/dev/vg/myvmdisk1を使用できます。 パーティションにファイル・システムを作成します。

      # mkfs -t ext3  /dev/vg/myvmdisk1
      
    3. ファイル対応の仮想ブロック・デバイスの使用

      4GBのファイル対応の仮想ブロック・デバイスを作成するには、次を入力します。

      # dd if=/dev/zero of=vm1disk bs=1k seek=4096k count=1
      

      ディスク・ファイルにファイル・システムを作成します。

      # mkfs -t ext3 vm1disk
      

      ファイル・システムの作成の確認が求められます。 ファイル・システムの作成を確認して、yを入力します。

4.5.2 ルート・ファイル・システムの移入

ゲストのルート・ファイル・システムには、複数の方法で移入できます。

  • dom0のルート・ファイル・システムのコピー

  • オペレーティング・システムのインストール

  1. dom0のルート・ファイル・システムをコピーするには、/mntにゲスト・ルート・パーティションをマウントします。

    # mount -t <File system type> <Guest Root Partition> /mnt
    

    ルート・ファイル・システムをdom0からdomUにコピーします。

    # rsync -avH /boot /mnt
    # rsync -avH /root /mnt
    # rsync -avH /dev /mnt
    # rsync -avH /var /mnt
    # rsync -avH /etc /mnt
    # rsync -avH /usr /mnt
    # rsync -avH /bin /mnt
    # rsync -avH /sbin /mnt
    # rsync -avH /lib /mnt
    

    64ビットのコンピュータを使用している場合、次を入力します。

    # rsync -avH /lib64  /mnt
    

    すべてのコンピュータに対して処理を続行します。

    # rsync -avH /selinux /mnt
    # mkdir /mnt/{proc,sys,home,tmp}
    # chmod 777 /mnt/tmp
    # unmount /mnt
    
  2. オペレーティング・システムをインストールします。 インストールには複数の方法があります。

    • CD-ROMからのOracle VM Server対応のオペレーティング・システムのインストール

    • ネットワーク・ドライブからのOracle VM Server対応のオペレーティング・システムのインストールまたはPXE(Preboot Execution Environment)のインストール

ゲストのルート・ファイル・システムを作成した後、その構成をふまえてゲスト構成ファイルを修正します。 たとえば、/etc/hosts、/etc/fstabおよびネットワーク構成ファイルを更新します。

4.5.3 ゲストの構成

ゲストを構成するには、次のゲスト構成ファイルを修正します。

  1. /mnt/etc/fstabを編集して、ゲストでマウントされたファイル・システムを記述します。

    /dev/sda1 / ext3 defaults 1 1
    none /dev/pts devpts gid=5,mode=620 0 0
    none /dev/shm tmpfs defaults 0 0
    none /proc proc defaults 0 0
    none /sys sysfs defaults 0 0
    

    /dev/sda1は、構成ファイルで設定されるdomUのルートです。

  2. /mnt/etc/sysconfig/networkを編集して、有効なホスト名を設定します。

    GATEWAYは、dom0と同じ値です。

    ホスト名は、仮想マシンの名前(mycomputer.example.comなど)です。使用する名前は、一意で、別のマシンでは使用されていないものにします。

    NETWORKING=yes
    HOSTNAME=mycomputer.example.com
    GATEWAY=139.185.48.1
    
  3. /mnt/etc/hostsファイルを編集して、IPアドレスとホスト名を設定します。 使用するIPアドレスは、一意で、別のコンピュータでは使用されていないものにします。

    127.0.0.1 localhost.localdomain localhost
    139.185.48.212  mycomputer.example.com  hostname
    
  4. /mnt/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0ファイルを編集します。 vifと同じMACアドレスを使用します。 そのゲスト・オペレーティング・システムに対して複数のMACアドレスがエクスポートされる場合は、dom0で、eth1、eth2のように、複数のネットワーク・インタフェースを構成する必要があります。

    NETMASKおよびBROADCASTアドレスは、dom0の対応するネットワーク・インタフェースと一致させる必要があります。

    HWADDRは、MACアドレスvifと同じです。

    IPADDRは、/mnt/etc/hostsファイルと同じです。

    DEVICE=eth0
    BOOTPROTO=static
    HWADDR=00:50:56:02:ff:d3
    IPADDR=10.1.1.1
    NETMASK=255.255.254.0
    BROADCAST=10.1.1.255
    ONBOOT=yes
    TYPE=Ethernet
    
  5. /lib/tlsを/lib/tls.disabledに移動します。

    # mv /mnt/lib/tls /mnt/lib/tls.disabled
    
  6. /mntをアンマウントします。

    # unmount /mnt
    
  7. ゲストを作成します。

    # xm create -c /etc/xen/domain-config-file
    
  8. ゲストのコンソールを取得します。

    #xm console [Domainname|DomainID]
    

ゲスト仮想マシンが作成され、起動されます。

4.6 ハードウェア仮想化ゲストの手動作成

ハードウェア仮想化ゲストを手動で作成する手順は、次のとおりです。

  1. CD-ROMパックまたはネットワーク・インストール方法(PXEインストール)を使用して、ディスクにオペレーティング・システムをインストールします。

  2. ゲスト構成ファイル/etc/xen/domain.cfgを作成します。 これは、(高度なオプションを使用しない)最小限のハードウェア仮想化ゲスト構成ファイルです。 使用する構成に合わせて、このファイルを修正します。

    #Config File for Full virtualization
    import os, re
    arch = os.uname()[4]
    if re.search('64', arch):
      arch_libdir = 'lib64'
    else:
      arch_libdir = 'lib'
    # Kernel for hvm domain will be hvmloader
    kernel="/usr/lib/xen/boot/hvmloader"
    builder='hvm'
    # Memory in MB  for HVM guest domU
    memory=3000
    # Name of domain
    name="hvm-dom"
    # No of virtual cpus
    vcpus=4
    # Mac address and corresponding bridge
    vif=[ 'mac=00:50:56:1e:34:b5 , bridge=xenbr0' ]
    # Disk in which Guest OS is installed
    disk=[ 'phy:/dev/cciss/c0d1,hda,w' ]
    # Here /dev/cciss/c0d1  is the disk onwhich OS is installed.
    device_model='/usr/' + arch_libdir + '/xen/bin/qemu-dm'
    # Enable vnc library
    sdl=0
    vnc=1
    # Vncviewer no is 1
    vncviewer=1
    # Password to access the vnc for this guest
    vncpasswd="welcome"
    vnclisten="0.0.0.0"
    ne2000=1
    serial='pty'
    # Enable USB
    usb=1
    usbdevice='mouse'
    

    構成ファイルの例については、付録C「ゲスト構成」を参照してください。

  3. 構成ファイルを修正できるように、/mntにゲスト・ルート・ファイル・システムをマウントします。

  4. /mnt/etc/sysconfig/networkを編集して、ホスト名を指定します。

    GATEWAYは、dom0と同じです。

    ホスト名は、仮想マシンの名前(mycomputer.example.comなど)です。使用する名前は、一意で、別のコンピュータでは使用されていないものにします。

    NETWORKING=yes
    HOSTNAME=mycomputer.example.com
    GATEWAY=10.1.1.1
    
  5. /mnt/etc/hostsファイルを編集して、ホスト名とIPアドレスを設定します。 使用するIPアドレスは、一意で、別のマシンでは使用されていないものにします。

    127.0.0.1 localhost.localdomain localhost
    10.1.1.1  mycomputer.example.com  hostname
    
  6. /mnt/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0を編集します。

    vifと同じMACアドレスを使用します。 複数のMACアドレスがゲスト・オペレーティング・システムにエクスポートされる場合、eth1やeth2などの複数のネットワーク・インタフェースを構成する必要があります。

    NETMASKおよびBROADCASTアドレスは、dom0の対応するネットワーク・インタフェースと一致させる必要があります。

    HWADDRは、vifのMACアドレスと同じです。

    IPADDRは、/mnt/etc/hostsファイルと同じです。

    DEVICE=eth0
    BOOTPROTO=static
    HWADDR=00:50:56:02:ff:d3
    IPADDR=10.1.1.1
    NETMASK=255.255.254.0
    BROADCAST=10.1.1.255
    ONBOOT=yes
    TYPE=Ethernet
    

    ハードウェア仮想化ゲストの場合、/etc/fstabファイルの修正は必要ありません。 ハードウェア仮想化ゲストは、通常のオペレーティング・システムと同様に起動されます。 通常どおり、起動時にパーティション表が読み取られます。

  7. /mntをアンマウントします。

    # unmount /mnt
    
  8. ゲストを作成します。

    # xm create -c /etc/xen/domain-config-file
    
  9. VNCViewerを使用して、ゲストを表示します。

    # vncviewer hostname_of_dom0
    # password : welcome
    

    ゲストが表示されます。

4.7 ハードウェア仮想化ゲストの準仮想化ゲストへの変換

ハードウェア仮想化ゲストを準仮想化ゲストに変換できます。 準仮想化ゲストとしての直接インストールはサポートされていないため、この例では、Oracle Enterprise Linux 4 Update 4を使用します。また、このオペレーティング・システムでは準仮想化ドライバを使用できます。 この例では、ハードウェア仮想化ゲストとしてOracle Enterprise Linuxをインストールした後、準仮想化ゲストに変換する手順を示します。

Oracle Enterprise Linux 4 Update 5の準仮想化ゲストを作成する手順は、次のとおりです。

  1. Oracle Enterprise-R4-U5-x86_64-dvd.isoイメージをOracle VM Serverコンピュータのローカル・ファイル・システムにコピーします。

    # ls -l /root/Enterprise-R4-U5-x86_64-dvd.iso
    -rw-r--r-- 1 root root 2530611200 Aug  2 13:03 /root/Enterprise-R4-U5-x86_64-dvd.iso
    
  2. ゲスト・ディスク・イメージとして使用される論理ボリュームを作成します。

    # lvcreate -L8G -n el4u5 VolGroup00
    
  3. virt-installコマンドライン・ツールを実行し、ハードウェア仮想化マシンのdomUを作成して、Oracle Enterprise Linuxオペレーティング・システムをインストールします。

    # virt-install -n el4u5 -f /dev/VolGroup00/el4u5 -v -c /root/Enterprise-R4-U5-x86_64-dvd.iso -r 512 --vnc
    

    次のエラー・メッセージが表示されたときは、

    main: unable to connect to host: Connection refused (111)
    

    VNCViewerを実行して、ゲスト・コンソールを再接続する必要があります。

    # vncviewer :0
    
  4. Oracle Enterprise Linuxのインストールが開始されます。 インストールで、次の項目を選択します。

    インストール・タイプ: サーバー

    パッケージ選択: デフォルト

    パーティション・レイアウト・タイプ: ゲストに単一のルート・パーティションが使用されていることを確認します。 仮想ディスクの構成に、LVMは使用しないでください。 スワップ・パーティションまたは/usrや/bootなどの他の場所にマウントされた他のパーティションを作成しないでください。

    ファイアウォール: 無効

    SELinux: 無効

    ネットワーク: DHCPまたは固定IPアドレスのいずれかのネットワーク設定を構成します。

  5. Oracle Enterprise Linuxのインストールが完了した後、ゲストを再起動します。 ゲストが自動的に再起動しない場合、次のようにxmコマンドライン・ツールを使用して、ゲストを再起動します。

    # xm list
    Name    ID   Mem VCPUs      State   Time(s)
    Domain-0 0   944     2     r-----   5670.8
    # xm create el4u5
    
    Using config file "/etc/xen/el4u5".
    Started domain el4u5
    # vncviewer :0
    
  6. DHCPを介して割り当てられている場合、ゲストのIPアドレスまたはホスト名に注意します。

    Oracle VM ServerインストールCD-ROMのextra_kernels/EL4U5PV_64ディレクトリにあるOracle Enterprise Linux 4 Update 5のdomUカーネルをゲストにコピーします。

    # cd extra_kernels/EL4U5PV_64/
    # scp kernel-xenU-version.EL.x86_64.rpm 10.1.1.1:
    
  7. rootとしてゲストにログインし、/etc/modprobe.confファイルの内容を次に置き換えます。

    alias scsi_hostadapter xenblk
    alias eth0 xennet
    
  8. kernel-xenU RPMをインストールします。

    # rpm -ivh kernel-xenU-version.EL.x86_64.rpm
    warning: kernel-xenU-version.EL.x86_64.rpm: V3 DSA signature: NOKEY, key ID b38a8516
    Preparing...                ########################################### [100%]
       1:kernel-xenU            ########################################### [100%]
    WARNING: No module xenblk found for kernel version.ELxenU, continuing anyway
    
  9. ゲストの/boot/grub/grub.confファイルを編集して、このエントリを示すようにデフォルトを変更します。

    title Enterprise Linux Enterprise Linux AS (version.ELxenU)
            root (hd0,0)
            kernel /boot/vmlinuz-version.ELxenU ro root=LABEL=/
            initrd /boot/initrd-version.ELxenU.img
    
  10. ゲストを停止します。 ホスト構成ファイルの/etc/xen/el4u5を次のようなエントリに変更します。

    name = "el4u5"
    memory = "512"
    disk = [ 'phy:/dev/VolGroup00/el4u5,hda,w', ]
    bootloader="/usr/bin/pygrub"
    vcpus=1
    on_reboot   = 'restart'
    on_crash    = 'restart'
    
  11. xmコマンドライン・ツールを使用して、ゲストを再起動します。

    # xm create -c el4u5
    

    ハードウェアの構成が表示されます。

  12. ネットワーク・アダプタおよびキーボードの構成を削除します。

  13. ゲストにログインし、/etc/sysconfig/hwconfファイルを削除します。

    ゲストを停止します。

  14. ゲスト構成ファイルの/etc/xen/el4u5を修正して、次のようなvifエントリを追加します。

    name = "el4u5"
    memory = "512"
    disk = [ 'phy:/dev/VolGroup00/el4u5,hda,w', ]
    vif = [ 'bridge=xenbr0', ]
    bootloader="/usr/bin/pygrub"
    vcpus=1
    on_reboot   = 'restart'
    on_crash    = 'restart'
    
  15. ゲストを起動して、rootとしてログインします。 次のコマンドを実行します。

    # ifconfig eth0
    

    HWaddr(MACアドレス)に注意します。

  16. /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0ファイルの内容を次に置き換えます。

    TYPE=Ethernet
    DEVICE=eth0
    BOOTPROTO=dhcp
    ONBOOT=yes
    HWADDR=xx:xx:xx:xx:xx:xx
    

    ゲストのifconfigコマンドで通知された実際のMACアドレスにxx:xx:xx:xx:xx:xxを置き換えます。

  17. ホストで、domU構成ファイルの/etc/xen/el4u5を編集して、MACアドレスをvifエントリに追加します。

    vif = [ 'mac=xx:xx:xx:xx:xx:xx, bridge=xenbr0', ]
    

    ゲストのifconfigコマンドで通知された実際のMACアドレスにxx:xx:xx:xx:xx:xxを置き換えます。

  18. 次のように、xm createコマンドでゲストを起動します。

    # xm create /etc/xen/el4u5
    

    これでゲストを使用できます。

4.8 Red Hat Enterprise Linux 3.8またはRed Hat Enterprise Linux 3.9での準仮想化ゲストの作成

Red Hat Enterprise Linux 3.8またはRed Hat Enterprise Linux 3.9を使用して準仮想化ゲストを作成することはできません。 最初にハードウェア仮想化ゲストを作成した後、準仮想化ゲストに変換する必要があります。

  1. 第4.4項「virt-installを使用したゲストの作成」の説明に従って、Red Hat Enterprise Linux 3.8またはRed Hat Enterprise Linux 3.9を使用してハードウェア仮想化ゲストを作成します。

  2. https://linux.oracle.com/switch.htmlの手順に従って、ゲスト・オペレーティング・システムのネットワーク更新サーバーをOracle更新サーバー(ULN)に切り替えます。

  3. 第4.7項「ハードウェア仮想化ゲストの準仮想化ゲストへの変換」の説明に従って、ハードウェア仮想化ゲストを変換します。

4.9 準仮想化ドライバのインストール

最適なパフォーマンスを実現するために、ハードウェア仮想化ゲストに準仮想化ドライバをインストールできます。 準仮想化ドライバは最適化され、ゲスト仮想マシンのオペレーティング・システムのパフォーマンスを向上させます。

ハードウェア仮想化ゲストとしてOracle Enterprise Linux Release 4 Update 4をインストールするには、ハードウェアの準仮想化ドライバのインストールが必要な場合があります。 この項では、これらの準仮想化ドライバのインストール手順を示します。

Windowsオペレーティング・システムの準仮想化ドライバをインストールする手順は、『Oracle VM Windows Paravirtual Drivers Installation Guide』を参照してください。

Oracle Enterprise Linuxゲスト・オペレーティング・システムの準仮想化ドライバをインストールする手順は、次のとおりです。

  1. 次のURLのOracle Unbreakable Linux Network(ULN)から準仮想化ドライバをダウンロードしてインストールします。

    http://linux.oracle.com/
    

    kmod-xenpv-kernel_typeというパッケージ名を検索します。 たとえば、ゲストのhugememカーネルを実行している場合は、次のコマンドでドライバをインストールします。

    # up2date kmod-xenpv-hugemem
    
  2. /etc/modprobe.confファイルを修正して、既存のeth0行をコメント・アウトして次の行を追加します。

    alias scsi_hostadapter xen_vbd
    alias eth0 xen_vnif
    
  3. depmodを実行します。

  4. /etc/xen/vm.cfgファイルを編集して、vifエントリを次に置き換えます。

    vif = [ '', ] # for PVM
    

    または

    vif = [ 'type=netfront, ', ] # for PVHVM
    
  5. ドメインを停止します。

    # xm shutdown mydomain
    
  6. ドメインを起動します。

    # xm create /OVS/running_pool/myguest/vm.cfg
    
  7. kudzuのプロンプトが表示されたら、古いネットワーク構成を削除します。

  8. 新しく起動したゲスト・オペレーティング・システムで、次のコマンドを実行してeth0の新しいMACアドレスを検索します。

    # ifconfig eth0
    
  9. /etc/xen/vm.cfgファイルを編集して、新しいMACアドレスを追加します。

    vif = [ 'mac=xx:xx:xx:xx:xx:xx, bridge=xenbr0', ] # for HVM
    

    または

    vif = [ 'type=netfront, mac=xx:xx:xx:xx:xx:xx, bridge=xenbr0', ] # for PVHVM
    
  10. 次の内容で/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0ファイルを作成または編集します。

    TYPE=Ethernet
    DEVICE=eth0
    BOOTPROTO=dhcp
    ONBOOT=yes
    HWADDR=xx:xx:xx:xx:xx:xx
    
  11. 新しいinitrdイメージを作成します。 ゲスト・オペレーティング・システムのカーネル・バージョンを使用します。

    # mkinitrd -f /boot/initrd-version.ELsmp.img version.ELsmp --omit-scsi-modules --with=xen-vbd --with=xen-vnif --preload xen-vbd --preload xen-vnif
    
  12. ドメインを再起動します。

  13. /boot/grub/grub.confファイルを編集して、kernel行の最後に次のコマンドを追加します。

    kernel /vmlinuz-version.el5 ro root=LABEL=/ clock=pit nohpet nopmtimer hda=noprobe hdb=noprobe ide0=noprobe