Tuxedo サービスメタデータリポジトリの管理

Tuxedo サービスメタデータリポジトリには、Oracle Tuxedo サービスの定義を格納します。Tuxedo クライアントは、この定義情報を使用して Oracle Tuxedo サービスのパラメータ情報にアクセスできます。このリポジトリを使用すると、Tuxedo アプリケーションの開発および管理に際して、一部またはすべての Tuxedo アプリケーションサービスに関する詳細なサービスパラメータ情報を格納および取得できます。

Tuxedo サービスメタデータリポジトリは、アプリケーションの開発または変更時に、開発者と管理者による対話形式のクエリを処理することを目的に設計されました。アプリケーションのプロダクション過程で、自動化された大量のクエリを処理するためのものではありません。

Tuxedo サービスメタデータリポジトリは、5 つのユーティリティと組み合わせて使用します。

JOLT リポジトリとの類似点と相違点

Oracle Jolt にも、Tuxedo サービス情報をアプリケーションから手動で入力できるようにするためのサービスリポジトリが用意されています。サービス情報とは、サービス名、入出力バッファタイプ、パラメータ名、パラメータのデータ型、各パラメータが予期される回数、各パラメータが入力用か、出力用か、入出力両用か、などの情報です。これらすべての点では、Tuxedo サービスメタデータリポジトリとよく似ています。しかし、次の表に示すように、明確な相違点もいくつかあります。

表 8-1 JOLT リポジトリとの類似点と相違点
	Jolt リポジトリ	Tuxedo サービスメタデータリポジトリ
機能	JAVA クライアントによる Tuxedo サーバとの通信用に設計されています。	Tuxedo サーバとの Web サービスベースの通信用に設計されています。
GUI インタフェース	あり。	なし。
プレーンテキストのリポジトリ入力ファイルの使用	使用可 (バルクローダ経由)。	使用可 (`tmloadrepos` 経由)。
サービスおよびパラメータのキーワードと値	あり。	あり (Jolt リポジトリよりも詳しいサービス情報を提供します)。
リポジトリファイルの形式	プレーンテキスト。	バイナリ (サービスがインデックス化されており素早くアクセスできます)。
アクセス方法	管理ユーティリティ、直接編集。	管理ユーティリティ、プログラミング API、システムサービス。
アンロードの出力形式	プレーンテキスト。	プレーンテキストおよび C 疑似コード。
相互運用性	Tuxedo サービスメタデータリポジトリファイルは読み込めません。	既存の Jolt リポジトリファイルを読み込むことはできますが、変更することはできません。また、Jolt リポジトリファイルを作成することもできません。

MIB(5) との類似点と相違点

Tuxedo サービスメタデータリポジトリにプログラム的にアクセスするには、FML32 バッファ形式を使用します。FML32 バッファ形式は、Tuxedo MIB 形式によく似ています。しかし、次の表に示すように、明確な相違点もいくつかあります。

表 8-2 MIB(5) との類似点と相違点
	`MIB(5)`	`METAREPOS(5)`
入出力バッファ	FML32。	FML32。
汎用 MIB フィールド	あり。	あり。ただし、いくつかの制限があります。「METAREPOS(5)」を参照してください。
真正の MIB クラスエンティティ	多数。	真正の MIB クラスエンティティはありませんが、似たようなエンティティを使用します。
サービスエントリ	`BBL` の `.TMIB`。	`TMMETADA` サーバの `.TMMETAREPOS`。

Tuxedo サービスメタデータリポジトリを作成する

メタデータリポジトリファイルには、Tuxedo サービスメタデータリポジトリでアクセスするすべてのサービスパラメータ情報を格納します。tmloadrepos コマンドは、メタデータリポジトリファイルを作成するために使用します。メタデータリポジトリファイルのサービスパラメータ情報は、指定したプレーンテキストのリポジトリ入力ファイルから入力するか、リポジトリ入力ファイルが指定されていない場合はコンピュータのコンソール (標準入力) から直接入力します。たとえば、次のように入力します。

Tuxedo サービスメタデータリポジトリの入力ファイル

repository_input_file には、サービスパラメータキーワードと、それらに関連付けられた値を格納します。キーワードは、サービスレベルとパラメータレベルの 2 つに分類されます。

1 行に指定できるキーワードと値の組み合わせは 1 つのみです。1 行に入力できる文字の長さは 1024 バイトまでです。文字列パラメータ値を引用符で囲む必要はありません。

repository_input ファイルでは、<keyword><=value> という構文を使用します。また、以下の入力規則に従う必要があります。

「(」および「)」

\ および「\」

#

repository_input ファイルは、0 個以上のサービスパラメータ定義で構成できます。各サービス定義は、<service> キーワードで始まる行で開始し、その後に他のいずれかのサービスレベルキーワードで始まる 0 個以上の行が続き、その後にパラメータレベルキーワードが続きます。1 つのサービスで、同じサービスレベルキーワードを繰り返し使用することはできません。

サービスレベルのキーワードと値を使う

サービス定義は、キーワード service<=NAME> またはその省略形 sv<=NAME> で始める必要があります。CARRAY、STRING、または XML バッファタイプを使うサービスに指定できるパラメータは 1 つだけです。次の表に、Tuxedo サービスメタデータリポジトリのサービスレベルキーワードをまとめます。

サービスレベル
キーワード

キーワード
の省略形

値

service

任意の Tuxedo サービス名。

注意 : 値を指定したこのキーは、メタデータリポジトリインスタンスごとに 1 つのみ指定できます。同じメタデータリポジトリ内で重複させることはできません。

tuxservice

tsv

実際の Tuxedo サービス名。

注意 : service キーワードと tuxservice キーワードの違いは以下のとおりです。

service は、メタデータリポジトリに格納するサービスエントリを表します。
tuxservice は実際の Tuxedo サービス名を表します。複数の service 定義で、同じ値の tuxservice を指定できます。

これら 2 つのキーワードを組み合わせて使用すると、1 つの Tuxedo サービスに対して複数のサービス定義を指定できます。tuxservice は、デフォルトでは service と同じ値になります。

servicetype

サービスの呼び出し方式。以下の値を指定できます。

service - サービスが同期型の場合
oneway - サービスがクライアントに応答を送信しない場合
queue - サービスが /Q 関連のアプリケーションの場合

servicemode

サービスの生成元のタイプ (省略可能)。以下の値を指定できます。

tuxedo - このサービスは、Tuxedo から生成したサービスです。

webservice - このサービスは、外部の Web サービスインタフェースから変換された SALT プロキシサービスです。

指定しない場合、tuxedo がデフォルト値になります。

注意 :

Tuxedo サービスに webservice を指定しないでください。webservice は SALT プロキシサービスにのみ予約されています。

export

ex

Y (デフォルト値) または N。Jolt リポジトリでは、このキーワードを使用して、Jolt クライアントに対するサービスの可用性を判別します。

このキーワードは、Tuxedo リポジトリでは使用されていません。既存の Jolt バルクローダファイルとの互換性を維持するために残されています。

inbuf

bt

Tuxedo サービス要求 (入力) バッファタイプ。次の値型のいずれかを選択します (大文字と小文字は区別されます)。

FML、FML32、VIEW、VIEW32、STRING、CARRAY、XML、X_OCTET、X_COMMON、X_C_TYPE、MBSTRING、またはアプリケーション定義のカスタムバッファ型を表すその他の任意の文字列。

注意 : 各サービス定義の「inbuf」の値を NULL にすることはできません。

outbuf

BT

TPSUCCESS が指定された Tuxedo サービス応答 (出力) バッファタイプ。次の値型のいずれかを選択します (大文字と小文字は区別されます)。

注意 : 「service」または「queue」方式のサービスのサービス定義では、「outbuf」の値を NULL にすることはできません。

errbuf

ebt

TPFAIL が指定された Tuxedo サービス応答 (エラー) バッファタイプ。次の値型のいずれかを選択します (大文字と小文字は区別されます)。

inview

vn

入力バッファのビュー名 (省略可能)。

注意 : このキーワードが必須になるのは、バッファタイプとして VIEW、VIEW32、X_COMMON、または X_C_TYPE を使用している場合のみです。

outview

VN

出力バッファのビュー名 (省略可能)。

注意 : このキーワードが必須になるのは、バッファタイプとして VIEW、VIEW32、X_COMMON、または X_C_TYPE を使用している場合のみです。

errview

evn

エラーバッファのビュー名 (省略可能)。

注意 : このキーワードが必須になるのは、バッファタイプとして VIEW、VIEW32、X_COMMON、または X_C_TYPE を使用している場合のみです。

inbufschema

isc

入力バッファに対するカスタマイズされたメッセージスキーマの関連付け (省略可能)。値形式は次のとおりです。

XSD_E:<element_local_name>@namespaceURI

たとえば、XSD_E:Book@http://example.org は、入力バッファが XML ネームスペース「http://example.org」に定義された XML 要素 <Book> に関連付けられていることを表しています。

注意 :

このキーワードは、Oracle SALT 拡張メッセージのマッピングおよび変換機能をサポートするために導入されています。SALT メッセージ変換については、Oracle SALT の『Web サービスのプログラミング』の「データ型のマッピングとメッセージ変換」を参照してください。

outbufschema

osc

出力バッファに対するカスタマイズされたメッセージスキーマの関連付け (省略可能)。値形式は次のとおりです。

XSD_E:<element_local_name>@namespaceURI

errbufschema

esc

エラーバッファに対するカスタマイズされたメッセージスキーマの関連付け (省略可能)。値形式は次のとおりです。

XSD_E:<element_local_name>@namespaceURI

svcdescription

sd

任意の文字列値。文字列が長い場合は、改行して読みやすくできます。

sendqspace

sqs

送信キュースペース名。「queue」方式のサービスでは省略可能です。

sendqueue

sqn

送信キュー名。「queue」方式のサービスでは省略可能です。

rplyqueue

rqn

応答キュー名。「queue」方式のサービスでは省略可能です。

errqueue

eqn

エラーキュー名。「queue」方式のサービスでは省略可能です。

rcvqspace

RQS

受信キュースペース名。「queue」方式のサービスでは省略可能です。

rcvqueue

RQN

受信キュー名。「queue」方式のサービスでは省略可能です。

version

vs

このパラメータは、Tuxedo サービスメタデータリポジトリ専用で、アプリケーションで使用するあらゆる文字列に対応できます。

Oracle Tuxedo では、このパラメータは解釈されません。

attributes

att

このパラメータは、Tuxedo サービスメタデータリポジトリ専用で、アプリケーションで使用するあらゆる文字列に対応できます。

Oracle Tuxedo では、このパラメータは解釈されません。

fieldtbls

ftb

このパラメータは省略可能です。このサービスで使用する FML または FML32 フィールドの検索に使用するフィールドテーブルのカンマ区切りのリストを指定します。fieldtbls は、アプリケーション開発者が参照用に使用するパラメータです。

パラメータレベルのキーワードと値を使う

パラメータの定義では、まず <param><=NAME> キーワード (または省略形 <pn><=NAME>) を指定し、続いてパラメータキーワードを指定します。パラメータキーワードの次は、別の <param> キーワードまたは <service> キーワードが続くか、ファイルの最後になります。<param><=NAME> キーワード以降のパラメータキーワードは、どのような順序で指定してもかまいません。

次の表に、Tuxedo サービスメタデータリポジトリのパラメータレベルキーワードをまとめます。

パラメータレベル
キーワード

メタデータリポジトリ
での省略形

値

param

pn

任意のパラメータ名。

type

pt

byte、short、integer、float、double、string、carray、dec_t、xml、ptr、fml32、view32、mbstring。

注意 : パラメータの型は、サービスバッファタイプと整合させる必要があります。たとえば FML16 バッファの場合、指定できるパラメータ型は byte (char)、short、integer、long、float、double、string、carray です。その他のパラメータ型は指定できません。後に示すバッファタイプとパラメータの型の対応表を参照してください。

subtype

pst

view32 タイプのパラメータのビュー名。

access

pa

in、out、err、inout、inerr、outerr、inouterr、noaccess。

in - 入力にのみ使用するパラメータを示します。
out - 出力にのみ使用するパラメータを示します。
err - エラー出力にのみ使用するパラメータを示します。
inout - 入力と出力の両方に使用するパラメータを示します。
inerr - 入力とエラー出力の両方に使用するパラメータを示します。
outerr - 出力とエラー出力の両方に使用するパラメータを示します。
inouterr - 入力、出力、エラー出力に使用するパラメータを示します。
noacesss - 入力時に提供する必要はあってもサーバでは参照されないパラメータを示します。たとえば、使用されなくなったパラメータや、ビュー内のフィラーフィールドとして提供する必要のあるパラメータなどに使用します。

入力時に必要となるのは、in、inout、inerr、inouterr、または noaccess アクセスを指定したパラメータのセットです。

出力時に返されるのは、out、inout、outerr、または inouterr アクセスを指定したパラメータのセットです。

エラー出力時に返されるのは、err、inerr、outerr、または inouterr アクセスを指定したパラメータのセットです。

count

po

オカレンスの最大数 (デフォルトは 1)。オカレンスを無制限にするには 0 を指定します。値の範囲は [0, 32767] です。

Jolt リポジトリでは、リポジトリエディタでのテスト画面のフォーマットに使用します。それ以外には使用しません。Tuxedo リポジトリでは、表示用に格納され、tmunloadrepos(1) 疑似コードの生成オプションでも使用します。

paramdescription

pd

任意の文字列値。文字列が長い場合は、改行して読みやすくできます。

size

pl

この省略可能なパラメータは、パラメータに割り当てるバイト数を示します。数値以外のパラメータの疑似コード生成で使用します。プログラマの参照用に使用できます。

パラメータの型が carray、string、xml、または mbstring の場合はこの値を指定する必要があります。

requiredcount

ro

パラメータの最小限の指定回数。値の範囲は [0, 32767] です。

fldnum

fno

この省略可能なパラメータは、FML/FML32 フィールドである場合のパラメータのフィールド数を示します。

注意 : fieldtbl ファイルをすでに定義している場合 (環境 FLDTBLDIR(32) を使用してフィールドテーブルディレクトリを指定し、環境 FIELDTBLS(32) または fieldtbl サービスレベルキーワードを使用してフィールドテーブルファイルを指定している場合)、この情報を使用することはお勧めできません。

注意 : fldnum フィールドをコンフィグレーションした場合は、param 値ではなく fldnum 値に基づいて、対応する fldid を受け取ります。

vfbname

vfb

ビュー構造体メンバーでは、このパラメータは省略可能です。このパラメータは、フィールド化バッファのフィールド名を指定するために使用します。「viewfile(5)」を参照してください。

vflag

vfl

ビュー構造体メンバーでは、このパラメータは省略可能です。指定できる値は、「C」、「F」、「L」、「N」、「P」、「S」の組み合わせです。「viewfile(5)」を参照してください。

vnull

vnu

ビュー構造体メンバーでは、このパラメータは省略可能です。このパラメータは、ビューメンバーのデフォルトの null 値を示します。

paramschema

psc

分解された FML32 フィールドの XML スキーマ情報を保存する場合、このパラメータは省略可能です。

注意 :

このパラメータキーワードは、特に、「servicemode=webservice」型付きサービス定義 (アウトバウンド呼び出しの SALT プロキシサービス) 用に導入されています。パラメータ値は、Oracle SALT wsdlcvt ユーティリティによる外部 WSDL ファイルの変換によって生成されます。キーワード値を手動で指定または変更しないでください。

primetype

pxt

分解された FML32 フィールドの元の XML プリミティブデータ型を保存する場合、このパラメータは省略可能です。

注意 :

(

埋め込み型の FML32 または VIEW32 バッファフィールドに格納するパラメータの説明の始まりを示します。

関連付ける値はなく、1 つの行に単独で指定します。このキーワードは、その前に指定されている type キーワードの値が FML32 または VIEW32 である場合にのみ有効です。

埋め込み型のパラメータの説明を終了するには、右括弧「)」を指定します。

)

対応する左括弧「(」で開始した埋め込み型の FML32 または VIEW32 パラメータ定義を終了します。

関連付ける値はなく、1 つの行に単独で指定します。このキーワードは、その前に対応する「(」キーワードがある場合にのみ有効です。

埋め込みの最大レベルは、埋め込み型の FML32 のネストレベル (現時点では 18) によって異なります。

パラメータのオカレンス

通常適用される Tuxedo の規則では、複数のパラメータを指定できるのは FML/FML32、VIEW/VIEW32、X_COMMON、および X_C_TYPE タイプのバッファのみです (その情報構造に起因する)。その他のすべてのタイプのバッファには、対応する型のパラメータを 1 つしか指定できません。たとえば、CARRAY タイプのバッファには、格納する必須情報を記述するための CARRAY 型のパラメータを 1 つのみ指定します。アプリケーションサービスを定義する際は、この規則に従う必要があります。

表 8-5 サービスバッファタイプ (大文字) とサービスパラメータの型 (小文字) の対応表 1
	byte (char)	`short`	`integer`	`long`	`float`	`double`	`string`
`CARRAY`
`FML`	X	X	X	X	X	X	X
`FML32`	X	X	X	X	X	X	X
`STRING`							X
`VIEW`	X	X	X	X	X	X	X
`VIEW32`	X	X	X	X	X	X	X
`X_COMMON`		X		X			X
`X_C_TYPE`	X	X	X	X	X	X	X
`XML`							X
`X_OCTET`
`MBSTRING`

Tuxedo サービスメタデータリポジトリサーバをコンフィグレーションする

Tuxedo サービスメタデータリポジトリをコンフィグレーションするには、以下を行う必要があります。

Tuxedo メタデータサーバを起動すると、.TMMETAREPOS サービスが自動的にアクティブになります。.TMMETAREPOS は Tuxedo システムサービスであるため変更できません。

サーバに対するすべての要求には先着順で応答が返されます。

複数の Tuxedo サービスメタデータリポジトリサーバをコンフィグレーションする

特定の Tuxedo ノードに複数の TMMETADATA サーバを設定する場合は、2 つの重要なコンフィグレーション規則を厳守する必要があります。

Tuxedo サービスメタデータリポジトリファイルにアクセスする

Tuxedo サービスメタデータリポジトリを使用すると、ネイティブクライアントおよびリモートクライアントからアクセスしてパラメータ情報を表示、更新、追加、削除するのが容易になります。

Oracle Tuxedo アプリケーションの設定

Tuxedo サービスメタデータリポジトリの管理