Oracle Tuxedo システム入門

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Oracle Tuxedo の管理ツール

以下の節では、Tuxedo アプリケーションを管理するためにユーザが利用できる BEA Tuxedo 管理プロセスについて説明します。

 


Oracle Tuxedo ツールのアーキテクチャ

次の図で示されているように、Tuxedo アプリケーションを管理するための BEA Tuxedo 管理プロセスでは、BEA Tuxedo 管理情報ベース (MIB) に基づいて作成されたさまざまなツールが包括的に利用されています。

図 4-1 Oracle Tuxedo アプリケーションを管理するためのツール

Oracle Tuxedo アプリケーションを管理するためのツール

BEA Tuxedo の MIB には、Tuxedo アプリケーションの操作に必要なすべての情報が格納されています。Tuxedo の MIB は、すべてのアプリケーションで共通の TM_MIB と、それぞれが BEA Tuxedo システムのサブシステムを記述する次のコンポーネント MIB で構成されます。

MIB リファレンス ページ (TM_MIB(5)、汎用リファレンス ページ MIB(5)) は、『Oracle Tuxedo のファイル形式とデータ記述方法』で定義されています。

ツールの MIB とのインタフェース

次のリストで簡単に説明されている BEA Tuxedo 管理ツールは、MIB との各種インタフェースを提供します。

他のシステム コンポーネントとの MIB のインタフェース

MIB は、以下の BEA Tuxedo システム コンポーネントにアクセスします。

 


Oracle Tuxedo Administration Console を使用した管理操作

Java および Web 技術に基づく BEA Tuxedo Administration Console では、実質的にどこからでも、セキュリティ認可を与えられていれば自宅からでも BEA Tuxedo アプリケーションを操作できます。Administration Console は Java ベースのアプレットであり、Web ブラウザにダウンロードして Tuxedo アプリケーションをリモートで管理することができます。

Administration Console は、複数層型システムの管理に必要な多くのタスクを簡略化します。システム イベントのモニタ、システム リソースの管理、管理オブジェクトの作成とコンフィグレーション、およびシステムの統計情報の表示ができます。

Oracle Tuxedo Administration Console を使用する利点

ブラウザの要件

BEA Tuxedo システムの各リリースでは、リリースの時点で利用可能なブラウザがサポートされています。Oracle Tuxedo Administration Console でサポートされているブラウザについては、『Oracle Tuxedo システムのインストール』の「Oracle Tuxedo Administration Console の起動」を参照してください。

制限事項

現時点の Oracle Tuxedo Administration Console では、BEA Tuxedo リリース 7.1 以後に導入された機能がサポートされていません。

関連項目

 


Oracle Tuxedo Administration Console のメイン メニュー

初めて Web にアクセスして Oracle Tuxedo Administration Console を起動すると、次のメイン ウィンドウが表示されます。

図 4-2 Oracle Tuxedo Administration Console のメイン メニュー

Oracle Tuxedo Administration Console のメイン メニュー

メイン ウィンドウは、主に次の 4 つの要素から構成されます。

ツリー

[Tree View] ペインはメイン GUI ウィンドウの左側に表示されます。ツリーは、1 つの BEA Tuxedo アプリケーションを構成する管理オブジェクトの階層構造です。オブジェクトのネストのレベルと親オブジェクトを示すことによって、オブジェクト間の関係がグラフィカルに表されます。ツリー全体 (Tuxedo アプリケーション内の設定可能なあらゆる種類のすべてのオブジェクト) を表示するか、またはオブジェクトのサブセットを表示することができます。

アプリケーションを設定してアクティブにすると、アプリケーション内の管理クラス オブジェクトを表すラベル付きのアイコンがツリーに表示されます。

ツリーには、管理オブジェクトそれぞれに対して 1 つずつ、複数のルートが含まれます。最初のルートは、Tuxedo アプリケーションから構成されます。次のルートには、BEA Tuxedo TM_MIB で定義されるオブジェクト クラスが表示されます。オブジェクト クラスの各セットは Tuxedo アプリケーションの一部です。3 番目のレベルは、オブジェクト クラスに属すオブジェクトのインスタンスを表します。

たとえば、アプリケーション内に、SITE1 に存在する romeojuliet という 2 つのマシンが含まれているとします。両方のマシンがオブジォクトなので、それらが属しているオブジェクト クラスの名前 Machines の下に表示されます。つまり、次のように表示されます。

Machines
SITE1/romeo
SITE1/juliet

ツリー内の各オブジェクトの名前の前にはアイコンが付いています。たとえば、各マシンはコンピュータのアイコンで表され、各クライアントは人の形で表されます。

コンフィグレーション ツール

コンフィグレーション ツールは、選択したクラスの BEA Tuxedo システム オブジェクトの属性を設定したり変更するためのユーティリティです。ツリーのオブジェクトを選択すると、そのオブジェクトの [Configuration Tool] ペインがメイン ウィンドウの右側に表示されます。

コンフィグレーション ツール領域のタブ付きフォルダは、管理オブジェクトの属性に関する情報を表示したり入力するための電子フォームです。オブジェクトの管理クラス (マシンやサーバなど) ごとに、フォルダがあります。クラスに対応付けられている属性の数は、クラスによって大きく異なります。そのため、オブジェクトを選択してコンフィグレーション ツールを開くと、どこからでも 1 ~ 8 個のフォルダが表示されます。

コンフィグレーション ツール領域にデータが入力されると、タブ付きページの下に 4 つのボタンが表示されます。これらのボタンを使用すると、フォルダで行うコンフィグレーション作業を制御できます。

ツールバー

ツールバーには、頻繁に行う管理操作のためのツールを呼び出す 12 個のボタンが並んでいます。ボタンには、アイコンと名前が付いています。次の表は、各ボタンについて示しています。

ボタン
説明
Stop
現在の操作を中断し、管理者に制御を戻します。この後で、管理者は新しい操作を要求できます。
Refresh
ツリーとコンフィグレーション ツールの各ウィンドウを最新の内容で更新します。
Search
ツリーで、特定の管理オブジェクト クラスまたはオブジェクトを検索します。
Activate
Tuxedo アプリケーションの一部または全部をアクティブにします。
Deactivate
Tuxedo アプリケーションの一部または全部を非アクティブにします。
Migrate
サーバ グループまたはサーバ マシンを別の場所に移行します。または、マスタ マシンとバックアップ マシンを入れ替えます。
Log file
アクティブな Tuxedo アプリケーション内の特定のマシンから ULOG ファイルを表示します。
Event
システム生成イベントをモニタするウィンドウを表示します。
Stats
Tuxedo アプリケーションのアクティビティをグラフィカルに表示できるタブ付きページを表示します。
Settings
Administration Console セッションの次のデフォルト設定を行えます。
  • BEA Tuxedo オンライン マニュアルの場所
  • データの順序付けの方法 (状態または名前)
  • デフォルトの作業モード (表示のみまたは編集モード)
CS Help
状況依存ヘルプを表示します。フィールドまたは特定の画面領域をクリックすると、選択した項目についての情報が表示されます。
Help
Administration Console のオンライン ヘルプを別の Web ブラウザで開きます。

関連項目

 


コマンドライン ユーティリティを使用した操作の管理

BEA Tuxedo は、BEA Tuxedo システムに基づいて作成されたアプリケーションの各構成要素を管理するためのコマンドを提供します。これらのコマンドを使用すると、共通の管理ユーティリティにアクセスできます。管理ユーティリティでは、次のタスクを行うことができます。

コマンドライン ユーティリティを使用したアプリケーションのコンフィグレーション

アプリケーションは、コマンドライン ユーティリティを使用してコンフィグレーションできます。具体的には、テキスト エディタを使用してアプリケーションのコンフィグレーション ファイル (UBBCONFIG) を作成および編集し、tmloadcf というコマンドライン ユーティリティを使用してテキスト ファイル (UBBCONFIG) をバイナリ ファイル (TUXCONFIG) に変換できます。この後、アプリケーションを起動します。

次のリストは、アプリケーションのコンフィグレーションに使用できるコマンドライン ユーティリティを示しています。

コマンドライン ユーティリティを使用したアプリケーションの操作

アプリケーションを一度コンフィグレーションすると、次のコマンドライン ユーティリティを使用してアプリケーションを操作できるようになります。

コマンドライン ユーティリティを使用したアプリケーション キューの管理

コマンドライン ユーティリティの qmadmin(1) を使用すると、アプリケーション キューのすべての管理機能を実行できます。tmadmin コマンドや tmconfig コマンドと同じように、qmadmin は多くのサブコマンドを実行できるようにする対話型のメタ コマンドです。

1 つの BEA Tuxedo アプリケーションで、複数のアプリケーション キュー デバイスを設定し、複数のサーバ マシン上でアプリケーション キューを実行できます。各マシンにはそれぞれ専用のキュー デバイスがあり、qmadmin を実行して、各サーバ マシン上の特定のアプリケーション キュー デバイスをモニタしたり管理することができます。

コマンドライン ユーティリティを使用した Domains アプリケーションの管理

BEA Tuxedo Domains (マルチ ドメイン) アプリケーションを作成するには、既存の BEA Tuxedo アプリケーションを他のドメインと統合します。そのためには、システム サーバ (DMADMGWADM、および GWTDOMAIN) のドメイン ゲートウェイ グループを UBBCONFIG ファイルに追加する必要があります。これらのサーバについては、「Oracle Tuxedo Domains (マルチ ドメイン) サーバ」で説明します。

Domains コンフィグレーションに関与する BEA Tuxedo アプリケーションのすべての Domains コンフィグレーション情報は、DMCONFIG というファイルに格納されます。UBBCONFIG ファイルと同様に、DMCONFIG ファイルも任意の名前を持つことができます。ただし、そのファイルの内容が『Oracle Tuxedo のファイル形式とデータ記述方法』のリファレンス ページ「DMCONFIG(5)」で説明されている形式に準拠している場合に限ります。テキスト エディタを使用して DMCONFIG ファイルを作成および編集し、dmloadcf というコマンドライン ユーティリティを使用してテキスト ファイル (DMCONFIG) をバイナリ ファイル (BDMCONFIG) に変換します。BDMCONFIG ファイルは、DMADM サーバを実行するマシン上に配置する必要があります。

注意 : DMADM サーバは、Tuxedo ドメインのどのマシン (マスタ マシン、非マスタ マシン) でも実行できます。

次のリストは、Domains コンフィグレーションに関与する BEA Tuxedo アプリケーションのシステム サーバのドメイン ゲートウェイ グループを設定および操作するために使用できるコマンドライン ユーティリティを示しています。

関連項目

 


MIB を使用した操作の管理

BEA Tuxedo MIB は、Tuxedo アプリケーションの管理に使用します。MIB では、すべての Tuxedo ドメインで必要とされるアプリケーションの構成要素を定義します。MIB では、Tuxedo アプリケーションがクラス (サーバ、グループ、マシン、ドメインなど) として定義されます。各クラスは、各種の属性 (ID、状態など) によって特徴付けられるオブジェクトから構成されます。

Tuxedo サーバ マシンがアクティブになると、そのサービスの名前が掲示板 (BB) で宣言されます。掲示板は、MIB の実行時 (動的) 表現です。掲示板は、MIB のグローバルおよびローカルの状態変化がポストされる場所です。Tuxedo システムでは、マスタ マシン上にあるバイナリの TUXCONFIG ファイルを使用して掲示板を作成し、TUXCONFIG のコピーをアプリケーション内の非マスタ マシンに転送してそれらのマシンで掲示板を設定します。掲示板は、Tuxedo アプリケーションの各サーバ マシンで実行します。

次の図は、Oracle Tuxedo MIB の操作の概略です。

図 4-3 Oracle Tuxedo MIB の操作の概略

Oracle Tuxedo MIB の操作の概略

AdminAPI

AdminAPI は、BEA Tuxedo MIB のシステム設定に直接アクセスして操作するためのアプリケーション プログラミング インタフェースです。AdminAPI を使用すると、ログ ファイルのモニタやアプリケーションの動的な再コンフィグレーションなどの管理タスクを自動化し、人が行う作業を減らすことができます。このような利点は、ミッション クリティカルなリアルタイム アプリケーションで重要です。MIB プログラミング インタフェースを使用すると、BEA Tuxedo システムにおける操作を簡単に管理することができます。特に、独自のプログラムを使用してアプリケーションのモニタ、コンフィグレーション、チューニングを行うことができます。MIB は、次のように定義されます。

MIB ユーザのタイプ

MIB では、システム (またはアプリケーション) 管理者、システム オペレータ、その他という 3 つのタイプのユーザが定義されています。次の表は、各タイプについて示しています。

ユーザのタイプ
説明
システム (またはアプリケーション) 管理者
アプリケーションの正常な実行を維持する責任者。管理者には、すべての管理ツールと MIB のすべての管理機能を使用する権限が与えられます。管理者は、実行中のアプリケーションのコンフィグレーション、管理、変更を行うことができます。
システム オペレータ
実行中のアプリケーションの日々の操作をモニタし、問題に対応する担当者。オペレータは、実行中のアプリケーションに関する統計をモニタします。イベントおよび警告に対応して、サーバの起動やマシンの停止などを行う場合もあります。オペレータは、アプリケーションの再コンフィグレーション、サーバまたはマシンの追加、マシンの削除は行いません。
その他
MIB を読み取る必要はあるが、アプリケーションを変更する権限を持たない人またはプロセス (カスタム プログラムなど)。

MIB のクラス、属性、状態

クラスとは、BEA Tuxedo アプリケーションを構成するエンティティ (サーバ、マシンなど) のタイプです。属性とは、クラス内のオブジェクトの特徴を表すもので、ID、状態、コンフィグレーション パラメータ、実行時の統計などがあります。属性には、MIB の操作および応答に共通するものや、個々のクラスに共通するものがあります。すべてのクラスには、オブジェクトの状態を示す状態属性があります。

MIB(5) リファレンス ページに定義されている共通の属性は、クラスに依存しません。これらの属性は、入力操作を制御したり、ユーザが何をしようとしているかを MIB に伝達したり、特定のクラスに依存しない出力バッファの特徴をプログラマに示します。

関連項目

 


イベント ブローカを使用したイベントの管理

イベントとは、アプリケーション プログラムまたは BEA Tuxedo システム内で、管理者、オペレータ、またはソフトウェアの興味を引く状態の変化またはその他の事象です。イベントの例には、「株式が指値かそれ以上の値で取り引きされた」や「ネットワーク障害が発生した」などがあります。

BEA Tuxedo イベント ブローカは、BEA Tuxedo ATMI アプリケーションで動作するプロセス間のアプリケーション イベントおよびシステム イベントの非同期ルーティングを実現します。アプリケーション イベントはアプリケーション定義のイベントの発生、システム イベントはシステム定義のイベントの発生を意味します。

アプリケーション定義のイベントとシステム定義のイベントの違い

アプリケーション定義のイベントは、アプリケーションの設計者によって定義されます。そのため、アプリケーション固有のものです。アプリケーションに対して定義されたすべてのイベントは、アプリケーションで実行されているクライアント プロセスおよびサーバ プロセスによって追跡されます。

システム定義のイベントは、BEA Tuxedo システムのコードによって定義されます。通常、TM_MIB(5) で定義されたオブジェクトが対応付けられています。システム定義の全イベントのリストは、『Oracle Tuxedo のファイル形式とデータ記述方法』の「EVENTS(5)」リファレンス ページに記載されています。これらすべてのイベントは、BEA Tuxedo システムのユーザによって追跡されます。

アプリケーションのイベントのモニタ

次の表は、BEA Tuxedo アプリケーションでイベントをモニタできるようにするための基本的な作業を示しています。

作業
説明
  1. モニタするイベントを決める
アプリケーション プログラムは、a) 対象となるイベントの発生時にそのイベントを検出し、b) 検出されたイベントが tppost(3c) を介してイベント ブローカにポストされるように記述します。
アプリケーション設計者は、どのイベントをモニタするのかを決めます。システム イベントの場合、アプリケーション設計者は「EVENTS(5)」リファレンス ページからシステム定義のイベントを選択します。
  1. イベント リストを作成する
システム イベントのリストが EVENTS(5) によって BEA Tuxedo システムからユーザに提供されるように、アプリケーション イベント サブスクリプションのリストが関心のあるユーザに提供されます。システム定義のイベントの名前はドット (.) で始まり、アプリケーション定義のイベントの名前はドット (.) で始まることはできません。
アプリケーション定義イベントのリストを用意する際、アプリケーション設計者はリファレンス ページ「EVENTS(5)」、「TMUSREVT(5)」、「TMSYSEVT(5)」、および「field_tables(5)」を参照する必要があります。

イベントのサブスクライブ

BEA Tuxedo アプリケーションの管理者は、クライアントまたはサーバ プロセスの代わりに、アプリケーション定義イベントまたはシステム定義イベントの公開リストを使用し、tpsubscribe(3c) を呼び出してサブスクリプションを要求できます。EVENTS(5) は、システム イベントによって生成された通知メッセージとイベント名 (tppost(3c) が呼び出されたときに引数として使用される名前) をリストします。サブスクライバは、正規表現のワイルドカード機能を使用して、tpsubscribe を 1 回呼び出すだけでイベントのカテゴリ全体に対応することができます。

システム定義イベントの各サブスクリプションは、いくつかある通知方法の 1 つを指定します。通知方法の 1 つはメッセージを ULOG に配置することです。EVENT_MIBT_EVENT_USERLOG クラスを使用して、サブスクライバはシステム USERLOG メッセージを書き込むことができます。イベントが検出されて合致すると、これらのイベントは ULOG に書き込まれます。

イベント ブローカは、MIB オブジェクトの 100 種類以上の状態の変化をシステム イベントとして認識します。システム イベントのポストには、イベントが発生したオブジェクトの現在の MIB 表現が含まれます。

関連項目


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