チュートリアル

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ここから内容

チュートリアル 1. 融資申し込みのルーティング

Oracle Service Bus を使用して、エンタープライズ環境でビジネス サービス間の適応性のあるメッセージ ルーティングを行うことができます。Oracle Service Bus を介してクライアントからのメッセージを適切なビジネス サービスにルーティングできます。Oracle Service Bus は、メッセージ処理ロジックでコンフィグレーションされたアクションに基づいて 1 つまたは複数の送り先にメッセージをルーティングします。これらのルーティング アクションは、Oracle Service Bus Console を使用してコンフィグレーションします。ルーティングは、システム間で多数の静的なポイントツーポイントの Web サービス接続を確立する効率的な方法です。

この節では、以下のトピックについて説明します。

 


前提条件

このチュートリアルを開始する前に、「Oracle Service Bus チュートリアルの準備」を完了する必要があります。

 


チュートリアルの目的

このチュートリアルの目的は、Oracle Service Bus Console のグラフィカル環境を使用してルーティング シナリオを作成およびテストすることです。以下のタスクがあります。

このチュートリアルを通じて、次のことを学習できます。

 


シナリオの定義

主要な金融会社が、Oracle Service Bus を使用して、要求された金利に基づいて融資申し込みを適切なビジネス サービスにルーティングします。5% 未満の金利を要求する申し込みは、管理者の承認が必要であり、その処理を行う適切なビジネス サービスにルーティングされます。それ以外の融資申し込みはすべて、適切なビジネス サービスにルーティングされて処理されます。

図 3-1 は、このシナリオをサポートする論理アーキテクチャをまとめたものです。Oracle Service Bus が企業においてクライアントとビジネス サービスの間のメッセージングを仲介する方法を示します。

図 3-1 Oracle Service Bus を介した融資申し込み要求 Web サービスのエクスポーズ

Oracle Service Bus を介した融資申し込み要求 Web サービスのエクスポーズ

Oracle Service Bus の実行時処理の概要

融資申し込みをクライアントからプロキシ サービス LoanGateway1 に送信します。デフォルト プロキシ サービスには、融資申し込みドキュメントの要求金利の値をチェックする条件付きルーティング ステージがあります。金利が 5% 未満の場合、融資申し込みは ManagerLoanReview ビジネス サービスにルーティングされ、5% 以上の場合は NormalLoan ビジネス サービスにルーティングされます。対象ビジネス サービスから図 3-31 に示すような応答が返されます。

注意 : 融資申し込みが NormalLoan ビジネス サービスによって処理される場合、生成される応答の MANAGER は NORMAL に置き換えられます。

必要なリソース

次の表は、このチュートリアルの開発および実行に必要なリソースです。

表 3-1 「融資申し込みのルーティング」チュートリアルのリソース
リソース名
説明
normalLoan
WSDL リソース
NormalLoan
Oracle Service Bus で使用するビジネス サービス
ManagerLoanReview
Oracle Service Bus で使用するビジネス サービス
LoanGateway1
Oracle Service Bus のプロキシ サービス

 


このチュートリアルのタスク

このチュートリアルでは、Oracle Service Bus を使用し、金融会社の融資申し込みを、要求された金利に応じて対象 Web サービスにルーティングします。以下のタスクを実行することによって、プロキシ サービスと関連するリソースを Oracle Service Bus で設計およびコンフィグレーションし、この使用例のシナリオを実装します。

環境の準備

このチュートリアル用に作成したドメインで Oracle Service Bus が動作していること、および「チュートリアルのセットアップ」で説明されているタスクが完了していることを確認します。

セッションの作成とプロジェクトの設定

Oracle Service Bus Console を使用して、Oracle Service Bus 環境でリソースおよびコンフィグレーションをモニタできます。システムのモニタは、セッションを開始しなくても実行できます。ただし、リソースを更新または削除してコンフィグレーション プロパティを変更するには、まず Oracle Service Bus Console でセッションを作成する必要があります。

コンソールの [Change Center] からセッションの作成と管理を行えます。現在のセッション中のシステム コンフィグレーションに対するすべての更新は、一時ファイルとして保存されます。これらの変更は、現在のセッションがアクティブ化されたときにのみ有効になります。図 3-2 は、Oracle Service Bus Console で利用できる [Change Center] ペインです。

図 3-2 [Change Center] を使用したセッションの管理

[Change Center] を使用したセッションの管理

セッションの作成とアクティブ化に加えて、[Change Center] では表 3-2 に示す機能も実行できます。

表 3-2 [Change Center] のオプション
ボタン
目的
作成
新しいセッションを作成する。セッションを作成してコンフィグレーションを変更する必要がある。[終了] 機能を使用してこのセッションを終了しても、[編集] をクリックして再開できる。セッションを再開したら、リソースの変更を続行できる。
編集
作成して終了したセッションを開始する。[編集] を使用する前に、セッションをアクティブ化する必要がある。
[終了]
セッションを中断し、セッションの状態を保存する。中断されたセッションを再開するには、[編集] をクリックする。
[破棄]
変更を保存しないで現在のセッションを終了する。
[アクティブ化]
現在のセッションのコンフィグレーションをランタイムに保存する。
[アクティブ化] をクリックすると、[セッションのアクティブ化] ページが表示される。このページには、セッションのユーザとセッション名が表示される。必要であれば、説明を追加することができる。[送信] をクリックすると、現在のセッションのコンフィグレーションがランタイムに保存される。

注意 : [作成] をクリックしてから、コンソールでシステム コンフィグレーション設定を変更することをお勧めします。コンフィグレーションの変更はこまめに保存し、それらの変更についてコメントを入力してください。現在のセッションのコンフィグレーション変更を保存してアクティブ化するには、一連の変更を完了してから [アクティブ化] をクリックする必要があります。

MortgageBroker プロジェクトとファイル フォルダを作成するには

Oracle Service Bus システム環境では、システム コンフィグレーション エンティティはユーザ定義のプロジェクトにグループ化されます。Oracle Service Bus Console の [プロジェクト エクスプローラ] ページには、[Projects] フォルダの下にデフォルトのプロジェクトおよびさまざまなユーザ定義のプロジェクトが表示されます。このページから、すべてのプロジェクトのコンフィグレーション タスクを実行できます。各プロジェクトは、コンソール上でプロジェクト フォルダ別に表されます。新しいプロジェクト フォルダを追加し、プロジェクト ツリーを移動できます。必要に応じてフォルダをクリックすることで、フォルダを折りたたんだり展開することができます。

Oracle Service Bus システム環境には、事前定義されたリソース タイプがあります。各リソース タイプは、プロジェクト フォルダ内のサブフォルダとして表されます。リソース タイプのフォルダ内に別のリソース タイプを作成し、コンフィグレーションできます。

この節では、セッションを開始し、[Projects] フォルダの下に MortgageBroker プロジェクトを作成するタスクについて説明します。このシナリオでは、MortgageBroker プロジェクトに 3 つのリソース フォルダを作成して、事前定義された次のリソース タイプをそれぞれ保持します。

セッションを開始してプロジェクトを作成するには
  1. Oracle Service Bus Console の [Change Center] で、[作成] をクリックして新しいセッションを作成します。
  2. Oracle Service Bus Console のナビゲーション ペインで [プロジェクト エクスプローラ] を選択します。
  3. ナビゲーション ペインに [プロジェクト エクスプローラ] が開き、コンソールにプロジェクト ページが表示されます。

  4. 図 3-3 に示すように、[プロジェクト] セクションの [新しいプロジェクト名の入力] フィールドに「MortgageBroker」と入力します
  5. 図 3-3 プロジェクトの作成


    プロジェクトの作成

  6. [プロジェクトの追加] をクリックします。

MortgageBroker プロジェクトが作成され、[プロジェクト エクスプローラ] の [Projects] の下に表示されます。

まず WSDL というプロジェクト フォルダを作成し、このフォルダに WSDL リソースを追加する必要があります。WSDL はビジネス サービスおよびプロキシ サービスを作成するための基礎となります。次に、このシナリオで使用するその他のフォルダを作成します。

プロジェクト フォルダを作成するには
  1. [プロジェクト エクスプローラ] で MortgageBroker プロジェクトをクリックして関連するプロジェクト ページを開きます。
  2. [プロジェクト] ページの [フォルダ] にあるフィールドにフォルダ名を入力します。この場合は、図 3-4 に示すように「WSDL」と入力します。
  3. 図 3-4 フォルダの作成


    フォルダの作成

  4. [フォルダの追加] をクリックします。
  5. WSDL フォルダが MortgageBroker プロジェクトのプロジェクト フォルダ リストに表示されます。

  6. 手順 2手順 3 を繰り返して ProxyService フォルダと BusinessService フォルダを作成します。
  7. 3 つのフォルダをすべて作成したら、[アクティブ化] をクリックし、[送信] をクリックして、プロジェクトのディレクトリ構造を保存します。

WSDL リソースの作成

Oracle Service Bus リソースをウィザードに従ってコンフィグレーションします。各ウィザードには、リソースに関する情報の入力をユーザに要求し、プロパティのコンフィグレーション オプションを表示する一連のページがあります。

normalLoan WSDL リソースを作成するには

WSDL は、クライアントとサービスとのパブリック コントラクト (インタフェース仕様) を定義し、サービスがプロキシ サービスまたはビジネス サービスのどちらであるかを示します。WSDL は Web サービスの正式な記述です。WSDL は Web サービスのインタフェースの内容、保存先、呼び出し方法の記述に使用されます。まず、WSDL リソースを作成します。これは、それ以降のサービス登録タスクが WSDL リソースに依存するためです。次に、WSDL を使用してビジネス サービスとプロキシ サービスを登録します。

WSDL をインポートするには
  1. Oracle Service Bus Console の [Change Center] で、[作成] をクリックして新しいセッションを作成します。
  2. Oracle Service Bus Console のナビゲーション ペインで [プロジェクト エクスプローラ] を選択します。
  3. [プロジェクト エクスプローラ] で [MortgageBroker] をクリックしてフォルダを展開し、[WSDL] をクリックして WSDL フォルダを開きます。
  4. [リソース] ペインで、[リソースの種類の選択] ドロップダウン リストから [WSDL] を選択します。
  5. 図 3-5 リソースの種類の選択


    リソースの種類の選択

    [新しい WSDL リソースの作成] ページが表示されます。

  6. [新しい WSDL リソースの作成] ページで以下の情報を入力します (図 3-6 を参照)。
    1. リソース名として「normalLoan」を入力します。
    2. [参照] をクリックします。標準融資プロセスに関連する WSDL を選択します。
    3. BEA_HOME\osb_10.3\samples\servicebus\examples\src\examples\
      webservices\jws_basic\normal\NormalLoanApprovalService.wsdl

    4. 必要に応じて、[リソースの説明] フィールドにリソースの説明を入力できます
    5. リソースが [リソース] ペインに表示されます。表示される [新しい WSDL リソースの作成] ページは、図 3-6 のようになります。
    6. [保存] をクリックして WSDL リソースを作成します。

      図 3-6 WSDL リソースの作成


      WSDL リソースの作成

      これで、normalLoan WSDL リソースが WSDL フォルダに作成されました。セッションをアクティブ化します。セッションのアクティブ化の方法の詳細については、表 3-2 を参照してください。

managerApproval WSDL リソースの作成

ManagerApproval サービスに関連付けられた WSDL リソースを作成するには、「WSDL をインポートするには」の節の手順を完了します。ManagerApprovalService WSDL リソースをインポートするには、次の表に示すコンフィグレーション パラメータを使用します。

表 3-3 ManagerApproval サービスの WSDL
コンフィグレーション パラメータ
Value
WSDL リソース名
managerApproval
ManagerApprovalService WSDL
BEA_HOME\osb_10.3\samples\servicebus\examples\src\
examples\webservices\jws_basic\manager\
ManagerApprovalService.wsdl

プロキシ サービスの作成

この節では、プロキシ サービスを作成します。プロキシ サービスを使用して融資申し込みを適切なビジネス サービスにルーティングします。

プロキシ サービスを作成するには
  1. Oracle Service Bus Console の [Change Center] で、[作成] をクリックして新しいセッションを作成します。
  2. [プロジェクト エクスプローラ] で MortgageBroker プロジェクトを選択します。プロジェクト フォルダが展開してプロジェクトのディレクトリ構造が表示されます。
  3. ProxyService フォルダを選択します。[MortgageBroker/ProxyService] ページが表示されます
  4. [リソースの種類の選択] ドロップダウン リストから [プロキシ サービス] を選択します。
  5. [プロキシ サービスの作成 - 全般的なコンフィグレーション] ページが図 3-7 のように表示されます。

    図 3-7 プロキシ サービスの作成


    プロキシ サービスの作成

  6. プロキシの [サービス名] に「LoanGateway1」と入力します。
  7. [サービスの種類] で、[WSDL Web サービス] を選択してから [参照] をクリックします。
  8. [WSDL の選択] ページが表示されます。プロキシ サービスは最初に作成した WSDL リソースに基づいているため、その WSDL リソースをここで参照する必要があります。

  9. normalLoan WSDL を選択します。[WSDL 定義の選択] ペインに WSDL のコンテンツ カテゴリが表示されます。
  10. 図 3-8 WSDL 定義の選択


    WSDL 定義の選択

    1. [WSDL 定義の選択] ペインで、[ポート] カテゴリの helloPort をクリックします。これは、normalLoan WSDL 用の WSDL ポートです。
    2. [送信] をクリックします。図 3-9 に示すように、ポート名が WSDL ポートのテキスト フィールドに表示されます。
    3. 図 3-9 LoanGateway1 プロキシ サービス


      LoanGateway1 プロキシ サービス

  11. [次へ] をクリックしてプロキシ サービスのコンフィグレーションを続行します。
  12. デフォルト プロトコルの [http] をそのまま使用します。
  13. 注意 : このページで選択したプロトコルによって、次の手順で指定するエンドポイント URI の形式が決まります。ほとんどのサービスで使用されるため、想定されるデフォルトのプロトコルは http です。
  14. [エンドポイント URI] を /loan/gateway1 に設定します。これはクライアントからのメッセージの送信先 URI です。
  15. [すべてのヘッダを取得] オプションのデフォルト ([いいえ]) をそのまま使用し、[次へ] をクリックします。[プロキシ サービスの作成 - HTTP 転送コンフィグレーション] ページが表示されます。
  16. [次へ] をクリックします。
  17. [操作選択コンフィグレーション] ページで、デフォルトの選択アルゴリズム ([SOAP 本体の種類]) をそのまま使用します。[次へ] をクリックします。
  18. [メッセージ コンテンツ処理] ページで、[次へ] をクリックします。
  19. [プロキシ サービスの作成 - 概要] ページが表示されます。このページには、プロキシ サービスのコンフィグレーション設定の概要が表示されます。
  20. 注意 : デフォルトのサービスは RPC Web サービスです。この結果、SOAP 本体にサービス操作の選択情報が含まれます。Java Web サービスの WSDL の操作は、Java Web サービスの public メソッドに相当します。クライアントで選択できる public メソッドが複数ある場合は、各 public メソッド タイプに WSDL の操作定義があります。SOAP ベースの RPC サービスの場合、SOAP 本体はクライアントで選択された操作 (メソッド) を示します。操作は、SOAP ヘッダで指定することもできますが、通常は SOAP 本体で指定します。

    プロキシ サービスを登録する前に、コンフィグレーション設定を確認し、必要に応じて [編集] アイコンをクリックして変更できます。

  21. プロキシ サービスのコンフィグレーション設定に問題がなければ、[保存] をクリックしてサービスを登録します。
  22. LoanGateway1 プロキシ サービスが MortgageBroker プロジェクトの ProxyService フォルダの [リソース] ペインに表示されます。

  23. MortgageBroker/ProxyServices の [リソース] ペインで、[LoanGateway1] リンクをクリックして [プロキシ サービスの表示] ページに移動します。
  24. 図 3-10 [リソース] ペインのプロキシ サービス


    [リソース] ペインのプロキシ サービス

  25. [プロキシ サービスの表示] ページが表示されます。
  26. 図 3-11 の [操作設定] タブには、プロキシ サービスのモニタを有効にするオプションがあります。

    図 3-11 プロキシ サービスのモニタ コンフィグレーション


    プロキシ サービスのモニタ コンフィグレーション

    モニタを有効にするには、以下の手順を実行します。

    1. [操作設定] タブをクリックします。
    2. [モニタ] 設定のパイプライン モニタの有効化チェックボックスを選択します。
    3. サービスの集約間隔を選択します。集約間隔とは、Oracle Service Bus Console ダッシュボードに表示される、サービスに関連する集約統計を計算する間隔です。[集約間隔] のデフォルト値 (5 分) をそのまま使用することもできます。
    4. Oracle Service Bus ダッシュボードの使用とサービスのモニタの詳細については、『Oracle Service Bus Console の使い方』と『Oracle Service Bus オペレーション ガイド』の「モニタ」を参照してください。

    5. [更新] をクリックします。
    6. セッションをアクティブ化します。

これで、Oracle Service Bus Console での LoanGateway1 プロキシ サービスのコンフィグレーションは完了しました。詳細については、表 3-2 を参照してください。

ビジネス サービスの作成

融資ルーティングのシナリオでは、要求金利が 5% 以上の融資申し込みは、標準融資処理サービスにルーティングされて審査を受けます。要求金利が 5% 未満の融資申し込みは管理者の承認が必要であるため、管理者承認サービスにルーティングされます。

以下の手順を実行します。

NormalLoan ビジネス サービスの作成
  1. Oracle Service Bus Console の [Change Center] で、[作成] をクリックして新しいセッションを作成します。
  2. [プロジェクト エクスプローラ] で、[MortgageBroker] プロジェクト ツリーから [BusinesService] フォルダを選択します。
  3. [リソースの種類の選択] ドロップダウン リストから [ビジネス サービス] を選択します。
  4. [ビジネス サービスの作成 - 全般的なコンフィグレーション] ページが図 3-12 のように表示されます。

    図 3-12 ビジネス サービスの作成


    ビジネス サービスの作成

  5. サービスの名前を入力します。ここでは「NormalLoan」と入力します。
  6. [サービスの種類] で、[WSDL Web サービス] を選択してから [参照] をクリックします。ビジネス サービスで使用する WSDL とポートを選択します。
    1. [WSDL ブラウザ] で [normalLoan] WSDL を選択します。
    2. WSDL のポート (helloPort) を選択します。
    3. [送信] をクリックします。
    4. [WSDL ポート] (サービスの種類) のテキスト フィールドに、[ビジネス サービスの作成 - 全般的なコンフィグレーション] ページで選択した値が表示されます。

  7. [次へ] をクリックします。
  8. [ビジネス サービスの作成 - 転送コンフィグレーション] ページが図 3-13 のように表示されます。

    図 3-13 ビジネス サービスの転送コンフィグレーション


    ビジネス サービスの転送コンフィグレーション

  9. デフォルト プロトコルの [http] をそのまま使用します。
  10. [ロード バランシング アルゴリズム] に [なし] を選択します。これは、ロード バランシングが関係するのは、サービスが複数のエンドポイントを指定する場合のみであるためです。
  11. 複数のエンドポイントとロード バランシング アルゴリズムを指定した場合、1 つのエンドポイントが実行時に過負荷状態または使用できない状態であれば、エンドポイント URI のリスト上の次のサービスにメッセージを送信できます。この例はサービスが 1 つしか存在しないため、デフォルトの動作をそのまま使用するか、または [なし] を選択しても、実行時のプロキシ サービスの動作に影響しません。

  12. ビジネス サービスのエンドポイント URI は、サービスがデプロイされているサーバのエンドポイント URI です。[既存の URI] フィールドに表示されているエンドポイント URI の値が http://<host:port>/njws_basic_ejb/NormalSimpleBean であることを確認します。
  13. <host:port> で指定されたホストとポートの値は、Oracle Service Bus サーバが動作するマシンとポートを表します。

    注意 : [既存の URI] リストの無効なエンドポイント URI を削除してください。
  14. このページの他のオプションにはデフォルト設定をそのまま使用します。[次へ] をクリックします。
  15. [ビジネス サービスの作成 - HTTP 転送コンフィグレーション] ページで、このページのデフォルト設定をそのまま使用し、[次へ] をクリックします。
  16. [ビジネス サービスの作成 - SOAP バインディング コンフィグレーション] ページで、デフォルト設定をそのまま使用し、[次へ] をクリックします。
  17. [メッセージ コンテンツ処理] ページで、[次へ] をクリックします。
  18. [ビジネス サービスの作成 - 概要] ページが表示されます。ここで、ビジネス サービスのすべての設定が適切に実装されているかどうかを確認できます。

  19. [保存] をクリックしてコンフィグレーションを設定します。
  20. NormalLoan ビジネス サービスのモニタを有効にするには、[リソース] ペインにある NormalLoan ビジネス サービスをクリックします。[ビジネス サービスの表示] ページが表示されます。このページの [操作設定] タブには、ビジネス サービスのモニタを有効にするオプションがあります。

    モニタを有効にするには、以下の手順を実行します。

    1. [操作設定] タブをクリックします。
    2. [モニタ] フィールドの [有効] チェックボックスを選択します。
    3. サービスの集約間隔を選択します。集約間隔とは、Oracle Service Bus Console ダッシュボードに表示される、サービスに関連する集約統計を計算する間隔です。[集約間隔] のデフォルト値 (5 分) をそのまま使用することもできます。
    4. Oracle Service Bus ダッシュボードの使用とサービスのモニタの詳細については、『Oracle Service Bus Console の使い方』の「モニタ」および Oracle Service Bus オペレーション ガイドの「実行時の Oracle Service Bus のモニタ」を参照してください。

      [更新] をクリックします。

    5. セッションをアクティブ化します。

Oracle Service Bus Console での NormalLoan ビジネス サービスのコンフィグレーションが完了しました。

ManagerLoanReview ビジネス サービスの作成

要求金利が 5% 未満の融資申し込みのルーティング先ビジネス サービスの作成方法について説明します。

以下の表のコンフィグレーション パラメータを使用して、前述の「NormalLoan ビジネス サービスの作成」のタスクを実行します。

表 3-4 ManagerLoanReview ビジネス サービス
コンフィグレーション パラメータ
Value
ビジネス サービス名
ManagerLoanReview
ManagerApprovalService WSDL
managerApproval
helloPort
ロード バランシング アルゴリズム
なし
エンドポイント URI
http://<host:port>/mjws_basic_ejb/ManagerSimpleBean

まとめ

環境の準備」から「ビジネス サービスの作成」までのタスクをすべて完了することで、このチュートリアルに必要なリソースである 2 つのビジネス サービス (NormalLoan と ManagerLoanReview)、1 つのプロキシ サービス (LoanGateway1)、および 2 つの WSDL (normalLoan と ManagerApprovalService) を作成しました。

プロキシ サービスに基本コンフィグレーションを設定したら、次のタスク (LoanGateway1 プロキシ サービスのコンフィグレーション) に進み、融資申し込みのルーティング動作を追加してプロキシ サービスのコンフィグレーションを完了できます。

LoanGateway1 プロキシ サービスのコンフィグレーション

Oracle Service Bus のメッセージ フローは、プロキシ サービスの実装を定義します。メッセージ フローには、パイプライン ペア (プロキシ サービス、またはサービスの処理用の要求パイプラインと応答パイプライン) と、ステージ、パイプライン、およびプロキシ サービスに対して定義できるエラー ハンドラ パイプラインをゼロ個以上入れることができます。パイプラインは、1 つまたは複数のステージを持つことができ、ステージはアクションを持ちます。

メッセージ フローのルーティング動作のコンフィグレーション
  1. Oracle Service Bus Console の [Change Center] で、[作成] をクリックして新しいセッションを作成します。
  2. [プロジェクト エクスプローラ] で、[MortgageBroker] プロジェクト ツリーから [ProxyService] フォルダを選択します。
  3. LoanGateway1 プロキシ サービスに対応する [アクション] カラムで、[メッセージ フローの編集] アイコンをクリックします。プロキシ サービス LoanGateway1 の [メッセージ フローの編集] ページが図 3-14 のように表示されます。
  4. 図 3-14 LoanGateway1 プロキシ サービスのメッセージ フローの編集


    LoanGateway1 プロキシ サービスのメッセージ フローの編集

  5. [LoanGateway1] をクリックし、ショートカット メニューのオプションから [ルートの追加] を選択します。
  6. RouteNode1 がコンフィグレーションのページに追加されます (図 3-15 を参照)。

    図 3-15 ルート ノードの追加


    ルート ノードの追加

  7. [RouteNode1] をクリックし、ショートカット メニューのオプションから [編集ルート] を選択します。
  8. [ステージ コンフィグレーションの編集 : ルート ノード] ページが、図 3-16 に示すように表示されます。このページには、[アクションの追加] という 1 つのリンクがあります。

    注意 : ステージはパイプラインの要素であり、パイプラインに定義されたアクションのコンテナです。アクションとは、実行時にプロキシ サービスを流れるメッセージの処理を定義するパイプライン ステージの要素です。
    図 3-16 [アクションの追加] リンク


    [アクションの追加] リンク

  9. [アクションの追加] リンクをクリックし、ショートカット メニューのオプションから [通信ルーティング テーブル] を選択します
  10. [ステージ コンフィグレーションの編集] ページにルーティング テーブルのコンフィグレーション ページが表示されます。

    図 3-17 ルーティング テーブルのコンフィグレーション ページ


    ルーティング テーブルのコンフィグレーション ページ

    着信メッセージの金利要素の値に基づいてビジネス サービスにメッセージをルーティングするように、ルーティング テーブルをコンフィグレーションする必要があります。XQuery 式エディタを使用して XQuery 式を作成することで、コンテンツ ベースのルーティングをコンフィグレーションできます。

  11. [ルーティング テーブル] の [<式>] をクリックします。XQuery 式エディタが表示されます。
  12. 左側のペインで、[変数の構造] をクリックします。
  13. 図 3-18 [ネームスペース定義] ペイン


    [ネームスペース定義] ペイン

  14. [変数の構造] ペインが表示されます。[変数の構造] ペインの [構造の選択] ドロップダウン リストで [body] を選択します。
  15. 図 3-19 [変数の構造] ペイン

    [変数の構造] ペイン

  16. body 要素の構造が [変数の構造] ペインに表示されます。
  17. [+] をクリックして、[$body - processLoanApp (request)] 要素内にある [processLoanApp] 要素を展開します。
  18. 図 3-20 processLoanApp 要素


    processLoanApp<span style= Element" id="wp1103797"/>

  19. [+] をクリックして、[loanRequest] 要素を展開します。loanRequest ドキュメントの構造がグラフィカル表示されます。実行時に、プロキシ サービスは、メッセージの Rate 要素の値に基づいてルーティングを決定します。
  20. 図 3-21 loanRequest 要素

    loanRequest 要素

  21. Rate 要素に関連付けられた丸いアイコンを XQuery 式 のテキスト ボックスにドラッグ アンド ドロップします。次の XQuery 式がテキスト ボックスに書き込まれます。
  22. $body/exam:processLoanApp/loanRequest/java:Rate
    注意 : ドラッグ アンド ドロップ機能を使用できるのは Internet Explorer (IE) ブラウザのみです。IE 以外のブラウザを使用している場合は、[変数の構造] ペインで [Rate] 要素を選択します。式が [プロパティ インスペクタ] パレットに表示されます。パレットの式をコピーし、XQuery 式のテキスト ボックスに貼り付けます。
    図 3-22 XQuery 式エディタ


    XQuery 式エディタ

  23. [検証] をクリックして、XQuery を検証します。式を送信する前に検証することをお勧めします。式の構文が検証されます。式にエラーがある場合は、[検証] ボタンのすぐ上に表示されます。
  24. 図 3-23 XQuery の検証


    XQuery の検証

  25. [保存] をクリックします。ルーティング テーブルが [ステージ コンフィグレーションの編集] ページに表示されます。<式> は、メッセージの Rate 要素の値を返す式に置き換えられています。
  26. 図 3-24 ルーティング テーブルの表示 - 式


    ルーティング テーブルの表示 - 式

  27. [演算子] ドロップダウン リストで [<] を選択します。関連付けられているテキスト フィールドに数字の「5」と入力します。
  28. これで、ルーティング テーブルにルーティング動作を決める式が含まれました。rate 要素の値が 5 未満の場合は、ルーティング テーブルのコンフィグレーションに従ってルーティングする必要があります。

    図 3-25 ルーティング テーブルの表示 - ルーティング条件


    ルーティング テーブルの表示 - ルーティング条件

  29. 金利が 5 未満の場合のメッセージのルーティング先サービスを定義するために、[サービス] リンクをクリックします。[サービスの選択] ページが表示されます。
    1. [ManagerLoanReview] ビジネス サービスを選択します。
    2. [送信] をクリックします。
  30. [ルーティング テーブル] の [操作] ドロップダウン リストで、[processLoanApp] 操作を選択します。これは、融資申し込みの金利の値が 5 未満の場合に、ManagerLoanReview ビジネス サービスで実行時に呼び出される操作です。

これで、ManagerLoanReview ビジネス サービスへの融資申し込みのルーティング ケースが定義されました。融資申し込みの要求金利が 5% 以上の場合、そのメッセージは NormalLoan ビジネス サービスにルーティングされます。次の節では、このケース (デフォルト ケース) の説明のために、ルーティング テーブルに条件を追加する方法を示します。

ルーティング テーブルへのデフォルト (else) 条件の追加
  1. ([ルーティング テーブル] ラベルの下にある) [ケース] アイコンをクリックし、[デフォルト ケースの挿入] を選択します。else 条件 (デフォルト ケース) がルーティング テーブルに追加されます。
  2. 図 3-26 ルーティング テーブルのデフォルトの条件


    ルーティング テーブルのデフォルトの条件

  3. デフォルト (else) 条件の [サービス] リンクをクリックします。[サービスの選択] ページが表示されます。
    1. NormalLoan ビジネス サービスを選択します。
    2. [送信] をクリックします。
  4. [操作] ドロップダウン リストで、サービスの操作として [processLoanApp] を選択します。
  5. この手順で、ルート ノード RouteNode1 のメッセージ フローのコンフィグレーションは完了です。

    これらのタスクを完了すると、[ステージ コンフィグレーションの編集] ページが図 3-27 のように表示されます。

    図 3-27 メッセージ フローのルーティング動作
  6. [検証] をクリックして、RouteNode1 ルーティング コンフィグレーションを検証します。
  7. [ステージ コンフィグレーションの編集] ページで [保存] をクリックして、コンフィグレーションを保存し、[メッセージ フローの編集] ページに戻ります。
  8. 図 3-28 LoanGateway1 プロキシ サービスのメッセージ フローのマップ


    LoanGateway1 プロキシ サービスのメッセージ フローのマップ

  9. [メッセージ フローの編集] ページで [保存] をクリックし、[MortgageBroker/ProxyService] ページに戻ります。
  10. [Change Center] で、[アクティブ化] をクリックしてセッションをアクティブにします。詳細については、表 3-2 を参照してください。

まとめ

LoanGateway1 プロキシ サービスのコンフィグレーション」によって、LoanGateway1 ルーティング テーブルの実行時メッセージ ルーティング動作のコンフィグレーションが完了します。融資申し込みで指定された金利が 5% 未満の場合、メッセージは ManagerLoanReview ビジネス サービスにルーティングされます。それ以外の場合は、NormalLoan ビジネス サービスにルーティングされます。

テスト コンソールを使用した融資申し込みのルーティング コンフィグレーションのテスト

Oracle Service Bus でクライアントと対象ビジネス サービスを使用するためのコンフィグレーションを完了したら、コンフィグレーションをテストできます。このシナリオのプロキシ サービスである LoanGateway1 のルーティング動作は、融資申し込みメッセージの要求金利に基づいています。金利の値を変更すると、ルーティング動作は次のように変更されます。

融資申し込みの ManagerLoanReviewService のルーティングをテストするには

  1. ServiceBusTutorial ドメインの WebLogic Server を起動します。
  2. Oracle Service Bus Console で、現在のセッションがアクティブ化されていることを確認してください。
  3. 左側のパネルで、[リソース ブラウザ|プロキシ サービス] をクリックします。
  4. LoanGateway1 の [アクション] カラムにある [テスト コンソールの起動] アイコンをクリックしてテスト コンソールを起動します (図 3-29 を参照)。
  5. 図 3-29 LoanGateway1 のテスト コンソール


    LoanGateway1 のテスト コンソール

  6. [loanRequest] フィールドのデフォルトのペイロードを以下のコードと置き換えます。
  7. <loanRequest xmlns:java="java:normal.client">
        <!--Optional:-->
        <java:Name>Smith</java:Name>
        <!--Optional:-->
        <java:SSN>1234567</java:SSN>
        <!--Optional:-->
        <java:Rate>4.1</java:Rate>
        <!--Optional:-->
        <java:Amount>9000000</java:Amount>
        <!--Optional:-->
        <java:NumOfYear>10</java:NumOfYear>
        <!--Optional:-->
        <java:Notes>管理者用融資申し込み確認サービス</java:Notes>
    </loanRequest>
  8. その他のデフォルト設定をそのまま使用し、[実行] をクリックします。応答は、図 3-30 のようになります。
  9. 図 3-30 ManagerLoanApplicationReview サービスからの応答


    ManagerLoanApplicationReview サービスからの応答

テスト コンソールの [呼び出しのトレース] セクションは、要求金利が 4.1 (5 未満) であるため、プロキシ サービス が ManagerLoanReview ビジネス サービスに要求をルーティングすることを示します。

normalLoanProcessor を使用して融資申し込みのルーティングをテストするには

  1. ServiceBusTutorial ドメインの WebLogic Server を起動します。
  2. Oracle Service Bus Console で、セッションがアクティブ化されていることを確認してください。
  3. 左側のパネルで、[リソース ブラウザ|プロキシ サービス] をクリックします。
  4. LoanGateway1 の [アクション] カラムにある [テスト コンソールの起動] アイコンをクリックしてテスト コンソールを起動します。
  5. [loanRequest] フィールドのデフォルトのペイロードを以下のコードと置き換えます。
  6. <loanRequest xmlns:java="java:normal.client">
        <!--Optional:-->
        <java:Name>Smith</java:Name>
        <!--Optional:-->
        <java:SSN>1234567</java:SSN>
        <!--Optional:-->
        <java:Rate>5.3</java:Rate>
        <!--Optional:-->
        <java:Amount>9000000</java:Amount>
        <!--Optional:-->
        <java:NumOfYear>10</java:NumOfYear>
        <!--Optional:-->
        <java:Notes>管理者用融資</java:Notes>
    </loanRequest>

その他のデフォルト設定をそのまま使用し、[実行] をクリックします。応答は、図 3-31 のようになります。

図 3-31 NormalLoanProcessor からの応答

NormalLoanProcessor からの応答

テスト コンソールの [呼び出しのトレース] セクションは、要求金利が 5.3 (5 を超える) であるため、プロキシ サービス が NormalLoan ビジネス サービスに要求をルーティングすることを示します。

チュートリアルの開始

チュートリアル 1. 融資申し込みのルーティング」を完了したら、「チュートリアル 2. 融資申し込みの変換」に進んでください。


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