用途
mkdev
コマンドは、Oracle Secure Backup用にデバイスを構成する場合に使用します。このコマンドでは、管理ドメインのデバイスにOracle Secure Backupでの名前と属性が割り当てられます。
各デバイスは、Oracle Secure Backupで使用するためには、少なくとも1つのアタッチメントを備えている必要があります。アタッチメントはホストとそのデバイス間のデータ・パスを記述したものです。アタッチメントには、デバイスの接続先であるホストと、デバイスへのアクセスに使用するRAWデバイス名を指定します。
前提条件
mkdev
コマンドを使用するには、管理ドメインの構成の変更(modify administrative domain's configuration)権を備えている必要があります。
Oracle Secure Backupテープ・デバイスを構成するには、その前に、任意のSCSIターゲットをスキャンして開くシステム・ソフトウェアをすべて無効にしておく必要があります。Oracle Secure Backupが、テープ・ライブラリやドライブへのアクセスのため他のシステム・ソフトウェア(監視ソフトウェアなど)との競合を余儀なくされた場合は、予期しない動作が発生することがあります。
構文
構文1
テープ・ドライブを構成する場合は、次の構文を使用します。「構文1の意味」を参照してください。
mkdev::=
mkd•ev --type/-t tape [ --attach/-a aspec[,aspec]... ] [ --inservice/-o | --notinservice/-O ] [ --wwn/-W wwn ] [ --library/-l devicename ] [ --dte/-d dte ] [ --blockingfactor/-f bf ] [ --maxblockingfactor/-F maxbf ] [ --automount/-m { yes | no } ] [ --erate/-e erate ] [ --current/-T se-spec ] [ --uselist/-u se-range ] [ --usage/-U duration ] [ --queryfreq/-q query_frequency ] [ --serial/-N serial-number ] [ --model/-L model-name ] devicename ...
構文2
ライブラリを構成する場合は、次の構文を使用します。「構文2の意味」を参照してください。
mkdev::=
mkd•ev --type/-t library [ --attach/-a aspec[,aspec]... ] [ --inservice/-o | --notinservice/-O ] [ --wwn/-W wwn ] [ --autoclean/-C { yes | no } ] [ --cleanemptiest/-E { yes | no } ] [ --cleaninterval/-i { duration | off } ] [ --barcodereader/-B { yes | no | default } ] [ --barcodesrequired/-b { yes | no } ] [ --unloadrequired/-Q { yes | no } ] [ --serial/-N serial-number ] [ --model/-L model-name ] devicename ...
意味
構文1の意味
次のオプションにより、テープ・ドライブを構成できます。
このデバイスをテープ・ドライブとして指定します。
アタッチメントを構成します。アタッチメントは、ホストへのデバイスの物理接続または論理接続です。アタッチメントはデバイスとは区別され、ホストとデバイスの間のデータ・パスを記述したものです。
Oracle Secure Backupではアタッチメントを使用してデバイスにアクセスするので、デバイスは、Oracle Secure Backup用に少なくとも1つのアタッチメントを持っている必要があります。ファイバ・チャネルによってアタッチされたテープ・ドライブまたはライブラリが、複数のアタッチメントを持っていることはよくあります。ホストごとに、そのホストにアクセスするためのアタッチメントが1つずつあります。aspecプレースホルダの詳細は、「aspec」を参照してください。
関連資料: アタッチメントの詳細は、『Oracle Secure Backup管理者ガイド』を参照してください。 |
テープ・ドライブがOracle Secure Backupから論理的に使用可能であることを指定します。
テープ・ドライブがOracle Secure Backupから論理的に使用不可能であることを指定します。
デバイスのWorld Wide Nameを指定します。wwnプレースホルダの詳細は、「wwn」を参照してください。
テープ・ドライブのあるライブラリの名前を指定します。
テープ・ドライブが搭載されているライブラリにおける、そのテープ・ドライブのデータ転送要素(DTE)番号を指定します。DTEはライブラリにおけるテープ・ドライブのSCSI-2名です。DTEは、1〜nの番号を付けられ、ライブラリにおけるドライブの識別に使用されます。
--library
を指定した場合は、dte番号を指定する必要があります。スタンドアロン・テープ・ドライブの場合は、dteオプションは使用できません。
ブロッキング・ファクタを指定します。ブロッキング・ファクタは、テープに書き込まれるデータの1ブロック当たりに含めることができる512バイトのレコードの数を決定するものです。デフォルトでは、Oracle Secure Backupにより64Kのブロックがテープに書き込まれ、この場合、ブロッキング・ファクタは128です。
最大ブロッキング・ファクタを指定します。最大ブロッキング・ファクタにより、Oracle Secure Backupが、ブロッキング・ファクタが不明のテープから最初に読み込むデータ量が制御されます。
最大ブロッキング・ファクタに指定可能な最大値は、4096です(ブロッキング・ファクタは物理テープ・ブロック当たりに格納できる512バイト・レコードの数)。この値は、最大テープ・ブロック・サイズが2MBであることを意味します。この最大値は、デバイスとオペレーティング・システムの制限の影響を受けるため、最大ブロック・サイズが小さくなることがあります。
自動マウント・モードが設定されます。このマウント・モードは、テープ・ドライブに物理的にロードされたボリュームをOracle Secure Backupが使用する方法を制御します(「mountdev」の説明を参照してください)。
この値をyes
(デフォルト)に設定すると、オペレータ操作なしで、テープがバックアップおよびリストア操作用にマウントされます。このオプションをno
に設定した場合は、ボリュームは、使用可能にするには手動でマウントする必要があります。
no
に設定すると有益なのは、テープ・ドライブをバックアップでなくオンデマンド・リストア操作の実行専用とする場合です。バックアップのスケジュール時には自動マウントをyes
に設定したが、マウントされていない適格なテープがドライブにある場合は、Oracle Secure Backupにより、このドライブがバックアップに使用されます。
エラー率の割合を指定します。エラー率は、リカバリされたエラーの数を書き込まれた総ブロック数で除算したものに100を乗算した数値です。デバイスによってレポートされたエラー率がここに指定した値を超えると、Oracle Secure Backupにより警告が発行されます。デフォルトは8
です。
また、ドライブのエラー・カウンタを読取りまたはリセットしようとしているときにSCSIエラーが発生すると、Oracle Secure Backupにより警告が発行されます。一部のドライブでは、このような操作を実行するために必要なSCSIコマンドがサポートされていません。このような警告を回避するには、このオプションに対してnone
を指定することでエラー率のチェックを無効にします。
記憶域要素の番号を指定します。このオプションは、次の基準が満たされているときにのみ、ドライブに対して適用されます。
そのドライブがライブラリ内にある。
そのドライブにはテープがロード済であることが認識されている。
このドライブが、自身がロードされた記憶域要素を判別できていない。
se-specプレースホルダの詳細は、「se-spec」を参照してください。
このデバイスが使用できる記憶域要素の範囲を指定します。このオプションが適用されるのは、ライブラリに搭載されているテープ・ドライブのみです。
デフォルトでは、ライブラリ内のすべてのドライブからライブラリ内のすべてのテープにアクセスすることが可能になります。バックアップを同時実行する複数のドライブを搭載するライブラリでは、複数のテープの使用をパーティション化する必要があります。
たとえば、記憶域要素の前半にある各テープを1番目のドライブで使用し、後半にある各テープを2番目のドライブで使用する場合です。あるいは、単一ドライブ上で様々なタイプのバックアップ用にいろいろな使用リストを設定する場合です。
se-rangeプレースホルダの詳細は、「se-range」を参照してください。
クリーンアップ・サイクルの間隔を指定します。たとえば、--usage 1month
により、毎月のクリーンアップ・サイクルがリクエストされます。durationプレースホルダの詳細は、「duration」を参照してください。
構成済の間隔を初期化し、最後のクリーンアップ以降のドライブ使用時間を反映させるには、chdevコマンドで--usage
オプションを指定します。たとえば、最新のクリーンアップが1週間前であったものと設定するには、chdev
コマンドで--usage 1week
オプションを指定します。
問合せ頻度をkb数で指定します。問合せ頻度とは、1KBのブロックの数で表した、テープ位置をサンプリングする間隔です。最大許容問合せ頻度は1048576(1MB)で、これは1GBの問合せ頻度になります。問合せ頻度0
では、位置のサンプリングが無効になります。
Oracle Secure Backupではバックアップ中、テープの位置が周期的にサンプリングされます。この位置情報は、リストア操作を加速するために、obtar
によってOracle Secure Backupカタログに保存されます。ただし、一部のデバイスでは、このサンプリングによってバックアップ・パフォーマンスが低下することがあります。Oracle Secure Backupにより、サポート対象のすべてのドライブ・タイプについて最適の問合せ頻度の決定を試みた結果、問合せ頻度の調整が必要なことに気づく場合があります。
テープ・デバイスのシリアル番号を指定します。
テープ・デバイスのモデル名を指定します。
構成するテープ・ドライブの名前を指定します。アタッチメントを指定する場合は、1つのdevicenameのみを指定できます。デバイス名の命名規則については、「devicename」を参照してください。
構文2の意味
次のオプションにより、ライブラリを構成できます。ここに記載されていないオプションについては、「構文1の意味」を参照してください。
このデバイスをライブラリとして指定します。
自動テープ・クリーンアップを有効にするかどうかを指定します。クリーンアップ・サイクルは、クリーンアップが必要なことがドライブによりレポートされたときか指定された使用時間が経過したときに開始されます。
Oracle Secure Backupでは、カートリッジがドライブにロードされたかまたはドライブからアンロードされたときに、クリーンアップ要件がチェックされます。その時点でクリーンアップが必要となった場合は、Oracle Secure Backupでは次のステップを実行します。
クリーニング・カートリッジをロードします。
クリーンアップ・サイクルが完了するまで待機します。
クリーニング・カートリッジをその元の記憶域要素に戻します。
リクエストされたロードまたはアンロードを再開します。
なお、cleanコマンドを実行することで、手動でドライブをクリーンアップできます。
どのクリーニング・テープを使用するかを指定します。このオプションは、ライブラリに複数のクリーニング・テープを装着したときに便利です。
デフォルト値のyes
では、最も空きのあるクリーニング・テープが指定され、これにより、クリーンアップが複数回必要な場合、各クリーニング・テープが順繰りに使用されます。
no
値が指定されると、obtool
では、最も使用されていないクリーニング・テープが使用されます。これにより、各クリーニング・テープは消耗するまで使用され、その後次のクリーニング・テープが消耗するまで使用される、というようになります。
クリーンアップ間隔があるかどうか、ある場合は間隔のdurationを指定します。デフォルトはoff
です。durationは、ドライブの使用開始からクリーンアップ・サイクルの開始までの間隔です。durationプレースホルダの詳細は、「duration」を参照してください。
自動ドライブ・クリーンアップを有効にした場合は、durationにクリーンアップ・サイクルの間隔を指定します。クリーンアップ要件をレポートしていないドライブの場合は、クリーンアップ間隔をたとえば、30days
に指定できます。
バーコード・リーダーがあるかどうかを指定します。デバイスの多くは、バーコード・リーダーが付いているかどうかをレポートします。そのようなデバイスにはdefault
を指定できます。この情報をレポートしないデバイスの場合は、yes
またはno
を指定します。
ライブラリのテープに読取り可能なバーコードが付いていることをOracle Secure Backupに要求させるかどうかを指定します。デフォルトはno
です。yes
を指定して、ライブラリのテープに読取り可能なバーコードがない場合は、Oracle Secure Backupによりテープの使用が拒否されます。
通常、Oracle Secure Backupでは、読取り可能なバーコードのあるテープとそうでないテープを区別しません。このポリシーにより保証されるのは、Oracle Secure Backupでは、リストアに必要なテープを要求する際に、バーコードとボリュームIDの両方をいつでも使用できるということです。
デバイスから記憶域要素にテープを移動する際に、事前にアンロード操作が必要かどうかを指定します。通常はこのオプションはデフォルトのyes
に設定したままにしておきます。何も指定しない場合、デフォルトであるyesの値は外部デバイス表ob_drives
から設定されます。ただし、問題が発生する場合、特にドライブのアンロード中のオフライン待機中にタイムアウトが発生する場合は、この値をno
に設定してください。
テープ・デバイスのシリアル番号を指定します。
テープ・デバイスのモデル名を指定します。
構成するライブラリの名前を指定します。アタッチメントを指定する場合は、1つのdevicenameのみを指定できます。デバイス名の命名規則については、「devicename」を参照してください。
例
例2-81では、テープ・ドライブを構成します。
例2-81 テープ・ドライブの構成
ob> lsdev library lib1 in service drive 1 tape1 in service library lib2 in service drive 1 tape2 in service ob> mkdev --type tape --inservice --library lib1 --erate 8 --dte 2 --blockingfactor 128 --uselist 1 --usage 4minute --automount yes hptape ob> lsdev library lib1 in service drive 1 tape1 in service drive 2 hptape in service library lib2 in service drive 1 tape2 in service
例2-82では、テープ・ライブラリを構成します。