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Oracle Secure Backupリファレンス
リリース10.1
B28441-02
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obtar -g

用途

obtar -gは、バックアップ説明ファイルに指定されたディレクトリおよびファイルのバックアップ・イメージを作成する場合に使用します。自動的にボリューム・ラベルが作成され(-zオプション)、バックアップ日付ファイルが更新され、索引ファイルが生成されます(-Gオプション)。

構文

obtar -g::=

obtar -g backup-description-file
[ -f devicename ]
[ -F { cur | end | file-number } ]
[ -L backup-level ]
[ -lR ] [ -v [ -v ] ] [ -z ]

意味

obtar -gには多くのオプションを指定できます。この項では、使用する可能性が最も高いオプションについて説明します。obtar -gのその他のオプションについては、「obtarのオプション」を参照してください。

-g backup-description-file

バックアップ説明ファイル(BDF)のパス名を指定します。-g brhost:/work/mybdfのように、バックアップ説明ファイル名の一部としてホスト名を指定する場合、Oracle Secure Backupクライアント・ソフトウェアをこのホストにインストールする必要があります。バックアップ説明ファイルとして相対パス名を指定すると、バックアップ説明ファイルが現行ディレクトリを基準として検索されます。

データ以外にも、BDFに指定された各パス名がバックアップ・イメージの構成要素として記録されます。このデータをリストアする場合、リストアするデータの場所としてこのパス名が使用されます。データをリストアするときに使用するobtar -xコマンドには、リストアするデータの場所として別のホストまたはディレクトリを指定するためのオプションが用意されています。

obtar -gは、デフォルトでは複数のローカルまたはリモート・マウント・ポイントにアクセスしません。この動作を上書きするには、BDFでマウント・ポイント文(「マウント・ポイント文」を参照)を使用するか、-Xcrossmpオプションを指定します。

ファイルのバックアップ時にファイルのコンテンツが変更されると、警告が発行されます。

-f devicename

mkdevコマンドを使用して作成されたバックアップ・デバイスの名前を指定します。-fを指定しない場合は、TAPE環境変数(定義されている場合)によって指定されたデバイスに書き込まれます。

-F { cur | end | file-number }

curを指定すると、バックアップ・イメージは現行のボリューム位置に書き込まれます。-Fオプションを指定しない場合、curがデフォルトです。

endを指定すると、ボリューム・セットの既存の最終バックアップ・イメージの直後に新しいバックアップ・イメージが書き込まれます。このオプションは、最終バックアップ・イメージ全体が書込み済の場合に使用します。(最終バックアップ・イメージを書き込んだときにメディア・エラーが発生してobtarが失敗していた場合、-F endを使用すると、望ましくない結果が生じます)。

file-numberを指定すると、指定したファイル位置にバックアップ・イメージが書き込まれます。ボリューム上の各バックアップ・イメージには、1から始まる番号が付けられます。-F 1を指定すると、バックアップ・イメージがボリュームの先頭に書き込まれます。1より大きい値を指定する場合、少なくともfile-numberから1を引いた数のバックアップ・イメージがボリューム上に存在している必要があります。

-L backup-level

バックアップ・レベルを指定します。このオプションを省略すると、全体バックアップが実行されます。

-l

バックアップまたはリストア時に、ファイル・システムのマウント・ポイントへのアクセスを禁止します。-Xchkmnttabも指定する場合、-lを指定すると、リモート・マウント・ポイントにアクセスしないようにマウント表(/etc/mnttab)が参照されます。

-R

rootアクセス権を使用してobtarを実行します。-Rを使用するには、特権ユーザーとしてのリストア実行(perform restores as privileged user)権を備えたクラスのメンバーである必要があります。rootとしてログインしている場合は、-Rを使用する必要はありません。

-v [-v]

バックアップするファイルおよびディレクトリのバックアップ・イメージ・ラベルおよびパス名を表示します。-v -v(または-vv)を指定すると、バックアップ・イメージ・ラベルの他、バックアップするファイルおよびディレクトリのパス名、権限、所有者、サイズおよび最終変更日が表示されます。

-z

バックアップ・イメージのラベルを表示します。

ボリュームへのバックアップ・イメージの作成

例4-5のコマンドでは、all_bdfという名前のBDFを使用して、デバイスtape1にロードされたボリュームの現行のテープ位置にバックアップ・イメージを作成しています。

例4-5 ボリュームへのバックアップ・イメージの作成

obtar -g all_bdf -f tape1

リモートBDFの使用

例4-6のコマンドでは、hersheyという名前のホストにあるrd_bdfという名前のBDFを使用してバックアップ・イメージを作成しています。この場合、hersheyにはOracle Secure Backupがインストールされている必要があります。

例4-6 リモートBDFの使用

obtar -g hershey:/admin/bdf/rd_bdf -f tape1

全体バックアップの作成

例4-7のコマンドでは、all_bdfという名前のBDFに指定されたデータの全体バックアップを実行するよう指定しています。-Rオプションは、root権限を使用してコマンドを実行する必要があることを示しています。

例4-7 全体バックアップの作成

obtar -g all_bdf -f tape2 -L full -R

増分バックアップの作成

例4-8のコマンドでは、例4-7と同じデータに対して増分バックアップを実行するよう指定しています。

例4-8 増分バックアップの作成

obtar -g all_bdf -f tape2 -L incr -R

バックアップ・イメージに関する情報の表示

例4-9では、-vを使用して、バックアップするデータに関する情報を表示しています。バックアップ・イメージのボリューム・ラベルや、バックアップするデータのパス名が表示されます。

例4-9 バックアップに関する情報の表示

obtar -g first_bdf -f tape1 -v

Backup started on Wed Nov 09 2005 at 14:57:42
Volume label:
    Volume ID:          VOL000009
    Volume sequence:    1
    Volume set owner:   root
    Volume set created: Tue Nov 08 14:54:32 2005

Archive label:
    File number:        4
    File section:       1
    Owner:              lashdown
    Client host:        dlsun1976
    Backup level:       0
    S/w compression:    no
    Archive created:    Wed Nov 09 14:57:42 2005

Dumping all files in /tmp
/tmp/
/tmp/.X11-pipe/
/tmp/.X11-pipe/X0
...
/tmp/smc898/
/tmp/smc898/boot.pid

Backup complete on Wed Nov 09 2005 at 14:58:01

マウント・ポイントの動作の制御

リモート・ファイル・システム上のファイルを指し示すシンボリック・リンク・ファイルがパス/usr/dir1に多数含まれているとします。たとえば、/usr/dir1/linkfile/usr/dir2/data-fileのシンボリック・リンクで、/usr/dir2はNFSマウント・ポイントです。

次の構文を使用して/tmp/example.bdfという名前のBDFを作成するとします。

+/usr/dir1

例4-10に示されるobtar -g文では、シンボリック・リンクが指し示すデータをバックアップするよう指定する-hオプションを指定しています。

例4-10 -hの指定

obtar -g /tmp/example.bdf -f vt1 -h

例4-10の場合、デフォルトでは/usr/dir2マウント・ポイントにアクセスしないため、/usr/dir1/linkfileが指し示すデータはバックアップされません。このため、/usr/dir2/data-fileのデータはバックアップされません。

次の構文を使用するようBDFを変更するとします。

+/usr/dir1
@crossremotemountpoints

例4-10に示したコマンドを再実行します。この場合、BDFによって/usr/dir1ファイル・システムのリモート・マウント・ポイントにアクセスするよう指示されるため、/usr/dir1/linkfileが指し示すデータがバックアップされます。/usr/dir1/linkfile/usr/dir2/data-fileを指し示し、/usr/dir2はリモート・ファイル・システムをマウントするため、/usr/dir2/data-fileのデータがバックアップされます。

次に、例4-11に示したobtar -g文では、-hとともに-lを指定し、その他のマウント・ポイント・オプションを無視して複数のマウント・ポイントにアクセスしないようにしています。

例4-11 -hおよび-lの指定

obtar -g /tmp/example.bdf -f vt1 -h -l

例4-11では、シンボリック・リンク・ファイルはバックアップされますが、リンクが指し示すファイルはバックアップされません。これは、-lオプションによってBDFの@crossremotemountpoints文が上書きされるためです。

バックアップの特定ファイル・システムへの制限

ファイル・システムにローカルまたはNFSマウント・ポイントが含まれる場合は通常、マウント・ポイントを介してアクセス可能なすべてのデータがバックアップされます。obtar -lオプションを使用すると、複数のマウント・ポイントにアクセスしないようにすることができます。たとえば、ホストchicagoのトップレベルのディレクトリがホストboston/homeディレクトリにマウントされているとします。このとき、BDFにより、boston/homeディレクトリのすべてのデータをバックアップするよう指定します。例4-12では、boston/homeディレクトリのすべてのデータとともにchicagoのすべてのデータがバックアップされています。

例4-12 マウントされたファイル・システム上のデータのバックアップ

obtar -g home_bdf -f tape1 -R

例4-13に示すように、-lオプションを指定すると、boston/homeディレクトリのデータのみがバックアップされます。

例4-13 マウントされたファイル・システム上のデータの除外

obtar -g home_bdf -f tape1 -R -l

BDFでNFSマウント・ポイントを明示的に指定すると、-lの使用の有無にかかわらず、このマウント・ポイントによって指定されたデータがバックアップされます。

-Fを使用したバックアップ・イメージの位置の指定

ボリュームにバックアップ・イメージを作成する場合は通常、バックアップ・イメージの書込みはボリュームの現行位置から開始されます。場合によっては、新しいバックアップ・イメージの書込みの開始位置を明示的に指定する必要があることがあります。たとえば、バックアップが失敗し、ボリュームの位置が読取り不可能なバックアップ・イメージの途中になってしまったとします。この場合、バックアップを再開するときに、読取り不可能なバックアップ・イメージの前から書込みを開始する必要があります。

-Fオプションを使用すると、指定した位置からバックアップ・イメージを書き込むことができます。例4-14のコマンドでは、バックアップ・イメージをバックアップ・イメージ3として書き込んでいます。

例4-14 指定した位置からのバックアップ・イメージの作成

obtar -g all_bdf -f tape1 -F 3

指定したボリューム位置からバックアップ・イメージを作成する場合、ボリュームに以前のバックアップ・イメージが他に含まれていても、新しいバックアップ・イメージが最終バックアップ・イメージになります。たとえば、これまで11のバックアップ・イメージがあった場合、バックアップ・イメージ番号3を書き込むと、イメージ4〜11が事実上削除されます。-F curを使用(または完全に省略)する際、ボリューム位置が先頭にある場合は、以前のデータがボリューム上に存在するかどうかにかかわらず、新しいバックアップ・イメージは新しいボリュームのファイル1として書き込まれます。

ボリューム・セットを使用する際に、-F endまたは-F file-numberを指定すると、obtarにより、ボリューム位置がボリューム・セット内の指定ファイルに最初に設定されます。現在ロードされているボリュームとは異なるボリューム上に指定ファイルがある場合、必要なボリューム変更を行うように求められます。