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B2B Integration 入門

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概要

企業は、内部および外部の中心的なビジネス プロセスを統合、自動化、および合理化して、今日の流動的な企業間(B2B)電子商取引環境での業績向上を図ります。それらのビジネス プロセスは顧客、パートナ、ディストリビュータ、およびサプライヤとの電子商取引上の会話の推進力であるとともに、企業内部のビジネスを合理化する手段でもあります。B2B 統合および自動化の対象となるビジネス プロセスには、設計と仕様、製造とテスト、調達、販売、注文処理、顧客サービス、およびプランニングがあります。これらのプロセスをサポートするために、B2B 統合ではワークフローの処理、メッセージングとルーティング、およびエンタープライズ アプリケーションの統合をサポートする必要があります。

BEA WebLogic Integration は、Web 上で複合的な電子商取引システムを実装するための XML および Java ベースの電子商取引プラットフォームです。WebLogic Integration を使用すると、既存のバックエンド アプリケーション、データベース、顧客、およびパートナを自動的で柔軟性のある、電子的なコラボレーションに連結する電子商取引システムを迅速にデプロイできます。

WebLogic Integration は、BEA WebLogic Server をベースとするソフトウェア フレームワークと一連のサービスを提供します。WebLogic Server という基盤にビジネス プロセス管理、アプリケーションとデータの統合、および B2B 統合のフレームワークを追加したものが WebLogic Integration です。このマニュアルは、その中の B2B 統合(メッセージング、接続、およびビジネス プロトコル)に関するコンポーネントの入門書です。

WebLogic Integration の B2B Integration コンポーネントは完全に Java で実装され、J2EE 標準の API を利用します。ビジネス パートナ間でドキュメントを交換するのに使用する標準のフォーマットは XML です。World Wide Web が E ビジネスの標準的な通信メディアになっているので、WebLogic Integration は HTTP をサポートします。

WebLogic Integration を使用すると、社内のビジネス プロセスと企業間のビジネス メッセージ交換を統合することができ、企業間のトレーディング ネットワークの実装と開発が容易になります。さまざまな開発モデルがサポートされています。

以下の節では、B2B Integration の概要を説明します。

 


WebLogic Integration: B2B 統合のサポート

WebLogic Integration は、複数の部署、複数の企業(インターネット経由)、またはそれらの両方にまたがるビジネス プロセスを統合するためのインフラストラクチャ プラットフォームです。WebLogic Integration プラットフォームは、ミッションクリティカルでスケーラブルな現実世界の電子商取引コラボレーションの構築をサポートします。その機能は以下のとおりです。

注意: トレーディング パートナ計量クライアントのサポートは、WebLogic Integration の本リリースより非推奨になりました。トレーディング パートナ計量クライアント の代替機能に関する詳細については、『BEA WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

WebLogic Integration は、WebLogic Server から継承した多くの機能も提供します。以下にそれらの機能の一部を紹介します。

 


E ビジネスの要件を満たす

WebLogic Integration は企業間のコラボレーションを管理し、複雑で長期間にわたる可能性のある、さまざまな企業による多様なビジネス トランザクションでの会話を可能にします。以下の節では、そのような B2B の電子商取引環境を構築するフレームワークの要件を示し、それらの要件が WebLogic Integration でどのように満たされるのかを説明します。

トレーディング パートナの連結

トレーディング パートナは、1 つまたは複数の他のトレーディング パートナと結合してビジネス上の特定の目的を持つ電子商取引コミュニティを形成します。電子商取引コミュニティのビジネス パートナは、大企業から企業内の小さな部署まで規模はさまざまです。B2B 電子商取引の基本的な構成要素の 1 つは、そのトレーディング パートナです。具体的に言うと、ビジネス パートナ間のシステム対システムの会話でノードとして機能するトレーディング パートナ アプリケーションです。トレーディング パートナーのグループで形成される電子商取引コミュニティは以下のことが可能です。

トレーディング パートナには、それが電子商取引コミュニティのビジネス上の目的とどのような点で合致するのかを定義する特殊なアイデンティティが必要です。WebLogic Integration 環境のトレーディング パートナは、別のエンティティと協定を結んで、会話で定義されている特定のロールで特定のビジネス交換(会話)に参加するエンティティを明確に表します。

今日の多様な B2B 電子商取引アクティビティの要件を満たすために、企業ではさまざまな接続オプションを使用できなければなりません。プロセスやプロトコルの異なる多くのトレーディング パートナとのビジネス トランザクションに参加する必要がある場合は、そのような柔軟性が不可欠です。

その目的のために、WebLogic Integration のトレーディング パートナ アプリケーションはピア ツー ピア モードで直接、またはハブ アンド スポーク モードで仲介機能を経由して、あるいはそれらの両方で他のトレーディング パートナと通信するようにコンフィグレーションできます。それらの異なるコンフィグレーション モードは、トレーディング パートナ間のダイレクト メッセージングまたは仲介メッセージングを可能にします。メッセージ フローの仲介機能ではメッセージのルーティングやフィルタ処理といった機能を実行でき、会話内のトレーディング パートナにサービスを提供することもできます。B2B Integration のコンフィグレーションのモデル化については、コンフィグレーション モデルを参照してください。

一部のビジネス パートナでは、適度なバックエンド統合の要件がある場合や、WebLogic Integration ソフトウェアをインストールせずに協調的プロセスに参加する必要がある場合もあります。WebLogic Integration はゼロウェイト クライアントをサポートして、中小規模の企業やバックエンド統合の要件がほとんどまたはまったく存在しない企業でも簡単に E ビジネス コミュニティに参加できるようにしています。そのような企業では、Web ブラウザまたはファイル共有クライアントを使用して、WebLogic Integration をデプロイするビジネス パートナと通信できます。接続先の WebLogic Integration のインスタンスは、それらの企業のニーズを満たすサーバとして機能します。トレーディング パートナ計量クライアントの設定とコンフィグレーションの詳細については、『B2B Integration サンプルの使い方』を参照してください。

次の図は、WebLogic Integration がサプライ チェーンの顧客とサプライヤのピア ツー ピアの関係でデプロイされる単純なシナリオを示しています。トレーディング パートナとしての顧客またはサプライヤは、他のトレーディング パートナと複数のピア ツー ピア ビジネス パートナーシップをサポートできます。

図1-1 トレーディング パートナ間のピア ツー ピア メッセージング


 

次の図は、WebLogic Integration が ハブ アンド スポーク モードでコンフィグレーションされるシナリオを示しています。トレーディング パートナ Net Market は、ハブとして複数のトレーディング パートナに仲介サービスを提供します。たとえばこのシナリオは、ハブが仲介としての役割を果たすオークション サービスと考えることもできます。

図1-2 ハブ アンド スポーク コンフィグレーションの仲介メッセージング


 

会話とロールの定義

トレーディング パートナが他のトレーディング パートナと結合してビジネス上の特定の目的を持つ電子コミュニティを形成するとき、それらのトレーディング パートナは会話に参加することになります。会話の特性は以下のとおりです。

会話参加者の間で交換できるビジネス メッセージは、トレーディング パートナーがその会話の中で果たすロールによって決まります。会話のロールと他の詳細事項は、WebLogic Integration B2B Console を使用して会話定義で指定します。会話とは、会話定義のアクティブなインスタンスのことです。

会話定義の特性は以下のとおりです。

Messaging API および cXML API を使用してメッセージング アプリケーションを記述する方法の詳細については、『B2B Integration メッセージング アプリケーション プログラミング ガイド』および『B2B Integration cXML の実装』を参照してください。

WebLogic Integration Studio ツールを使用してビジネス メッセージを作成し、会話でのそれらの交換を管理する場合、与えられたロールでその会話に参加する各トレーディング パートナはそのロールで必要な協調的ワークフローを実装しなければなりません。協調的ワークフローは、会話の特定のトレーディング パートナのロールについて適切なビジネス メッセージを適切なときに処理するために必要なプロセスをカプセル化します。

たとえば、次の図は 2 つの参加ロール(バイヤとサプライヤ)との単純な会話、およびそれら 2 つのロールの仮定的なワークフローを表しています。

図1-3 価格と在庫の照会の会話の協調的ワークフロー


 

上の図の以下の点に注目してください。

ビジネス プロセスの管理

ビジネス メッセージを作成したり、会話でそれらの交換を調整したりする手段としては、ワークフローを使用することをお勧めします。あるいは、WebLogic Integration Messaging API または cXML API を使用する Java メッセージング アプリケーションを記述することもできます。この節では、B2B Integration のメッセージング アプリケーションを開発および管理する方法について説明します。

ワークフローはビジネス プロセスです。ビジネス プロセスは、複数のアプリケーション、複数の部署、およびファイアウォールやインターネットを経由した複数のビジネス パートナ(トレーディング パートナー)にまたがる場合があります。企業のビジネス プロセスは、パブリックとプライベートという 2 つの大きなカテゴリに分類できます。

パブリック ビジネス プロセスとプライベート ビジネス プロセス

ビジネス プロセスは、パブリック プロセスまたはプライベート プロセスとして設計できます。

パブリック プロセスは、インタフェース プロセスです。それらのプロセスの定義と設計は、それらを使用するオーガニゼーションによって認識、理解、および合意され、RosettaNet のPartner Interface Process(PIP)の場合と同じように業界または業界区分全体でカスタマイズまたは標準化できます。パブリック プロセスは、トレーディング パートナ間の正式な契約です。この契約には、メッセージ交換のコンテンツとセマンティクスが規定されます。それらのプロセスは、トレーディング パートナごとに異なる方法で実装できます。

B2B Integration のコンテキストでは、協調的ワークフローは異なるトレーディング パートナとの複数の会話で再利用されることになっており、ワークフローはパブリック プロセスとして設計する必要があります。

会話の参加者は、プライベートで、非協調的なワークフローを実装することもできます。この種のワークフローは、バックエンド処理を統合できます。プライベート プロセスは、オーガニゼーション内で遂行されるビジネス プロセスです。プライベート プロセスの定義と設計は、そのオーガニゼーションに固有のものであり、オーガニゼーションの外からはわかりません。トレーディング パートナの企業内で、プライベート プロセスはパブリック プロセスおよびバックエンド ビジネス システムに接続します。パブリック プロセスのコンテキストで、プライベート プロセスはパブリック ワークフローの部分的なタスクを実装するサブワークフローまたはサブプロセスと見なすことができます。たとえばトレーディング パートナは、協調的ワークフローと連携して動作し、トレーディング パートナにローカルで発生するが会話定義で必ずしも指定する必要のないプロセスを実装するプライベート ワークフローを実装できます。

Business Process Management(BPM)

WebLogic Integration には、Business Process Management(BPM)というコンポーネントがあります。このコンポーネントは、プロセスのアクティビティのタスク順序を管理し、プロセスのアクティビティまたはステップで必要とされる適切なリソースを呼び出してビジネス プロセスを自動化および統合します。Business Process Management の構成要素には、GUI ワークフロー設計ツール(WebLogic Integration Studio)、GUI モニタ ツール(WebLogic Integration Worklist)、およびワークフローをモニタおよび管理するプロセス エンジンがあります。

WebLogic Integration 環境で、協調的ワークフローとはトレーディング パートナの会話定義のロールを実装するワークフローのことです。B2B 会話のメッセージ編成方法は、協調的ワークフロー テンプレートで定義します。テンプレートの 1 つは、会話とロールの定義で説明されているように会話定義のロールごとに定義します。

B2B Integration の BPM プラグインは、B2B Integration の協調的ワークフローを作成するための機能を追加して元々便利な Studio 設計ツールをさらに強化します。このプラグインの機能を利用すると、ビジネス メッセージの内容の作成と抽出、メッセージ配信のサービス品質(QoS)の指定、メッセージ トークンの処理などができます。

WebLogic Integration Studio を使用して協調的ワークフローを設計する方法については、『B2B Integration ワークフローの作成』を参照してください。

WebLogic Integration が提供するビジネス プロセス管理機能は以下のとおりです。

Messaging API の使用(非推奨)

WebLogic Integration Studio などの Business Process Management 機能を使用する代わりに、トレーディング パートナーは WebLogic Integration Messaging API に基づく Java ベースの XOCP メッセージング アプリケーションを実装することもできます。Messaging API の使い方については、『B2B Integration メッセージング アプリケーション プログラミング ガイド』を参照してください。

Messaging API は、WebLogic Integration リリース 2.0 で提供されていました。C-Enabler API というメッセージング API も、WebLogic Collaborate 製品で提供されていました。

cXML API の使用(非推奨)

WebLogic Integration B2B は、メッセージを送受信するための複数のビジネス プロトコルをサポートします(ビジネス プロトコルのサポートを参照)。cXML(Commerce eXtensible Markup Language)プロトコルについては、WebLogic Integration B2B は cXML API を提供します。cXML API は、cXML メッセージの送受信、cXML ドキュメントの作成と処理、コラボレーション アグリーメントのメッセージへのマッピングなどを可能にするクラスを備えています。詳細については、『B2B Integration cXML の実装』を参照してください。

ビジネス プロトコルのサポート

ビジネス メッセージは、トレーディング パートナ間の通信の基本単位であり、会話の一部として交換されます。ビジネス メッセージは、1 つまたは複数の XML ビジネス ドキュメント、1 つまたは複数の添付ファイル、またはそれら両方の組み合わせで構成されます。ビジネス メッセージの内容とフォーマットは、会話に対して選択されたビジネス プロトコルによって異なります(ビジネス メッセージを参照)。

ビジネス プロトコルは、トレーディング パートナ間のビジネス情報の交換を調整するBusiness Processと関連付けられます。ビジネス プロトコルは、ビジネス メッセージの構造、メッセージの処理方法、および適切な受信側へのルーティング方法を規定します。ビジネス プロトコルは、永続性や信頼性と関連するメッセージの特性も指定できます。ビジネス プロトコルは、会話定義およびトレーディング パートナの配信チャネルに手動でバインドします。ビジネス プロトコルは、関連付けられた会話定義と関連付けられたトレーディング パートナの配信チャネルの両方を通じてコラボレーション アグリーメントに間接的にバインドされます(コラボレーション アグリーメントの定義を参照)。

WebLogic Integration では、以下のビジネス プロトコルがサポートされます。

これらの標準のプロトコルに応じてメッセージを送受信できるようにすることで、WebLogic Integration はトレーディング パートナが単一のプロトコルに統一する必要性をなくし、B2B 電子商取引を立ち上げる上での優れた柔軟性と格好の条件を企業に提供します。

サポート対象のビジネス プロトコルは、ロジック プラグインを使用することでそれらの独自の機能をカスタマイズおよび拡張することができます。ロジック プラグインは、実行時にビジネス メッセージをインターセプトして処理する Java クラスです。WebLogic Integration では、システム ロジック プラグインが用意されています。カスタム ロジック プラグインを記述すれば、それらのロジック プラグインに機能を付け足すこともできます。XOCP のシステム ロジック プラグインには、XOCP ルータと XOCP フィルタがあります。これらのプラグインは、リポジトリの Xpath 式に基づいてメッセージ受信側の処理に直接関わります。カスタム ロジック プラグインでは、ルーティングやフィルタ処理だけでなく、それらとは関係のないさまざまなサービスも実行できます。たとえば、カスタム ロジック プラグインは請求処理を目的として各トレーディング パートナから送信されるメッセージの数をトラッキングするために使用できます。

システム ロジック プラグインとカスタム ロジック プラグインの管理の詳細については、『B2B Integration 管理ガイド』と『B2B Integration Administration Console オンライン ヘルプ』を参照してください。カスタム ロジック プラグインを記述する場合には、『B2B Integration ロジック プラグイン プログラミング ガイド』を参照してください。

XOCP (非推奨)

eXtensible Open Collaboration Protocol(XOCP)は、BEA 固有のビジネス プロトコルです。XOCP ビジネス プロトコルは、標準ベースの ebXML Transport Routing & Packaging(TRP)プロトコルをサポートします。XOCP のメッセージングの特性は以下のとおりです。

RosettaNet

WebLogic Integration は、RNIF 1.1 と RNIF 2.0 の両方による RosettaNet メッセージの送受信をサポートします。また、他の RosettaNet パートナとの相互運用性もサポートしています。さらに、WebLogic Integration の協調的ワークフローは RosettaNet Partner Interface Processes(PIP)に参加することもできます。

RosettaNet は、情報技術、電子部品、半導体といった業界の主要な企業で構成された、業界全体のオープンな E ビジネス プロセス規格を策定および実装するための独立した非営利団体です。それらの規格は共通の E ビジネス言語を構成し、サプライ チェーン パートナ間のプロセスをグローバルに調整します(RosettaNet オーガニゼーションの詳細については http://www.rosettanet.org を参照)。その目的をサポートするために、RosettaNet は RosettaNet Implementation Framework(RNIF)、Partner Interface Processes(PIP)、およびビジネス ディクショナリとテクニカル ディクショナリの仕様を提供します。

RosettaNet(http://www.rosettanet.org)は、その Partner Interface Processes(PIP)を次のように定義しています。

「RosettaNet PIP は、トレーディング パートナ間のビジネス プロセスを定義する XML ベースの特殊なシステム間会話です。各 PIP 仕様には、ビジネス ドキュメントとそのボキャブラリ、およびビジネス プロセスとそのメッセージ会話の編成方法が含まれます。PIP は、サプライ チェーン ネットワークのバックボーンを表す 7 つのクラスタ(中心的なビジネス プロセスのグループ)に適合します。各クラスタは、さらに細かなセグメントに区分されます。それらのセグメントは、複数種のサプライ チェーン パートナが関わる企業間プロセスです。各セグメントには個別の PIP があります。」

PIP には 1 つまたは複数のアクティビティが含まれ、アクティビティではアクションを指定します。PIP は、以下の中心的なプロセスに適用されます。

RNIF は、PIP を実装するための交換プロトコルを提供します。RNIF は、XML を使用したトレーディング パートナのサーバ間の情報交換を規定し、その内容は転送、ルーティングとパッケージ化、セキュリティ、信号、トレーディング パートナの協定を網羅します。

WebLogic Integration での RosettaNet サポートの詳細については、『B2B Integration RosettaNet の実装』を参照してください。

cXML (非推奨)

WebLogic Integration は、トレーディング パートナーのサーバで cXML 規格に従って cXML メッセージを送受信できるように cXML API を提供します。cXML API は、cXML メッセージの送受信、cXML ドキュメントの作成と処理、コラボレーション アグリーメントのメッセージへのマッピングなどを可能にするクラスを備えています。

http://www.cxml.org の Web サイトでは、cXML が次のように定義されています。

「cXML は、購買アプリケーション、電子商取引ハブ、およびサプライヤの間でビジネス ドキュメントを安定的にやり取りできるように合理化されたプロトコルです。」

cXML トランザクションは、フォーマットと内容が適切に定義されているシンプル テキスト ファイルのドキュメントで構成されます。ほとんどの cXML ドキュメントは、ビジネスで以前から利用されているハードコピーのドキュメントと見かけは似ています。cXML ドキュメントの主な種類には、カタログ、パンチアウト、および発注書があります。cXML では、ビジネス メッセージの共通の DTD を定義します。

cXML プロトコルは、バイヤがカタログを参照し、サプライヤに対して発注書を送付するという状況でバイヤとサプライヤを連結するように設計されています。バイヤは、サプライヤのカタログを直接参照できます。あるいは、Ariba 交換機能(Ariba Commerce Server Network)でバイヤとサプライヤの間のメッセージを仲介することもできます。

WebLogic Integration での RosettaNet サポートの詳細については、『B2B Integration cXML の実装』を参照してください。

ebXML

WebLogic Integration は、HTTP などの通信プロトコルで ebXML メッセージの転送に使用されるメッセージ エンベロープとヘッダ ドキュメント スキーマを定義する ebXML メッセージ サービス仕様 v1.0 をサポートしています。さらに WebLogic Integration は、ebXML ビジネス メッセージをモデル化するワークフローの作成と実行もサポートしています。

ebXML メッセージ サービス仕様は、基本となる SOAP (Simple Object Access Protocol) および SOAP Messages with Attachments 仕様のレイヤ化された拡張のセットです。ebXML メッセージ サービス は SOAP 仕様および SOAP Messages with Attachments で提供していないセキュリティと信頼性機能を持っています。

WebLogic Integration をデプロイしているトレーディング パートナは ebXML を使用して、WebLogic Integration の Business Connect をデプロイしている他のトレーディング パートナとやり取りできます。WebLogic Integration の Business Connect は軽量クライアントなのでデプロイに時間がかからず、新しいビジネス パートナへのエントリの障壁を取り除いて企業がそれらのパートナを迅速に追加できるようにします。

WebLogic Integration の Business Connect の詳細については、『Using WebLogic Integration − Business Connect』を参照してください。

WebLogic Integration での ebXML サポートの詳細については、『B2B Integration ebXML の実装』を参照してください。

ビジネス メッセージ

ビジネス メッセージは、トレーディング パートナ間の通信の基本単位です。ビジネス メッセージは、会話の一部として交換されます。ビジネス メッセージは、1 つまたは複数の XML ビジネス ドキュメント、1 つまたは複数の添付ファイル、またはそれら両方の組み合わせで構成されます。

ビジネス メッセージの内容とフォーマットは、会話に対して選択されたビジネス プロトコルによって異なります。WebLogic Integration において、ビジネス メッセージを 1 つまたは複数のトレーディング パートナに送信する第一の手段は協調的ワークフローです(Business Process Management(BPM)を参照)。

この節では、B2B Integration 環境で交換されるビジネス メッセージの基本構造を説明します。WebLogic Integration Studio を使用してビジネス メッセージを作成および処理する方法については、『B2B Integration ワークフローの作成』を参照してください。

XOCP ビジネス メッセージ

XOCP ビジネス プロトコルは、オープン スタンダードの ebXML Transport Routing & Packaging(TRP)プロトコルをサポートしています(「ebXML メッセージ サービス仕様」については http://www.ebxml.org を参照)。ebXML TRP プロトコルは、メッセージ サービスで XML ベースの電子メッセージをサポートするための通信フォーマットと通信プロトコルを定義します。

次の図は、XOCP プロトコルに基づいて会話で交換されるビジネス メッセージの構造を表しています。

図1-4 XOCP ビジネス メッセージ


 

以下の部分に注意してください。

注意: B2B エンジンは、エンコードされたメッセージの送信をサポートします。XOCP ビジネス メッセージは、受信側トレーディング パートナの WebLogic Integration リポジトリで指定されたエンコーディングを使用してエンコードされます。B2B Console と Bulk Loader を使用してトレーディング パートナをコンフィグレーションする方法については、『B2B Integration Administration Console オンライン ヘルプ』および『B2B Integration 管理ガイド』の「Bulk Loader の操作」を参照してください。

RosettaNet ビジネス メッセージ

WebLogic Integration は、RosettaNet Implementation Framework バージョン 1.1 と 2.0 による RosettaNet メッセージの送受信をサポートします。RosettaNet 1.1 プロトコルに基づいて会話で交換されるビジネス メッセージは、RosettaNet オブジェクト(RNO)と呼ばれます。RosettaNet 2.0 プロトコルに基づいて会話で交換されるエンティティのことは、RosettaNet ビジネス メッセージ(RBM)と呼びます。

B2B Integration BPM プラグインは、RosettaNet ビジネス メッセージおよび Partner Interface Protocols(PIP)を簡単に開発できる機能を追加して Studio の機能を強化します。

次の図は、RosettaNet 1.1 ビジネス プロトコルに基づいて会話で交換される RosettaNet オブジェクトの構造を表しています。

図1-5 RosettaNet ビジネス メッセージ


 

以下の部分に注意してください。

RosettaNet Implementation Framework 2.0 では、RosettaNet ビジネス メッセージ(RBM)の作成において以下のような大きな変更が導入されています。

注意: B2B エンジンは、エンコードされたメッセージの送信をサポートします。B2B エンジンでは、UTF-8 を使用してすべての RosettaNet メッセージをエンコードします。

cXML ビジネス メッセージ

WebLogic Integration は、cXML メッセージの送受信をサポートしています。cXML の要求と応答のトランザクションは、プロファイル、パンチアウト、注文、またはサブスクリプションという 4 つの大まかなタイプのいずれかに属します。次の図は、cXML ビジネス プロトコルに基づいて会話で交換される XML 要求ビジネス メッセージの構造を表しています。

図1-6 cXML ビジネス メッセージ


 

以下の部分に注意してください。

注意: B2B エンジンは、エンコードされたメッセージの送信をサポートします。B2B エンジンでは、UTF-8 を使用してすべての cXML メッセージをエンコードします。

ebXML ビジネス メッセージ

ebXML ビジネス メッセージには 1 つの XML ビジネス ドキュメントと 1 つまたは複数の添付ファイルが含まれています。ebXML メッセージは通信プロトコルに依存しない MIME/マルチパート メッセージ エンベロープであり、メッセージ パッケージと呼ばれます。全てのメッセージ パッケージは SOAP Messages with Attachments 仕様に準拠しています。

WebLogic Integration における ebXML ビジネス メッセージの詳細については、『B2B Integration ebXML の実装』の「ワークフローで ebXML を使用する」を参照してください。

トランザクションのセキュリティの確保

信頼性のあるセキュアな通信は、B2B 電子商取引環境に不可欠な要素です。そのことは、E ビジネス コラボレーションが同じオーガニゼーション内のパートナ間で行われる場合も、ファイアウォールやインターネットを介して複数のオーガニゼーションのパートナ間で行われる場合でも同じです。

WebLogic Integration B2B のセキュリティは、高度なセキュリティのサポートとサービスを提供する WebLogic Server のセキュリティ機能に基づいて確立されます。WebLogic Integration B2B は、以下のセキュリティ機能をサポートします。

セキュリティに関する包括的な説明、およびセキュリティ サービスのコンフィグレーションの詳細については、『B2B Integration セキュリティの実装』を参照してください。

コラボレーション アグリーメントの定義

B2B 電子商取引の必要不可欠な要素は、ビジネス パートナ間の協定の確立と管理です。WebLogic Integration 環境で、それらの協定はトレーディング パートナ間のコラボレーション アグリーメントという形態をとります。コラボレーション アグリーメントを使用して、トレーディング パートナーはそれらの間の会話について合意します。特に、それらのトレーディング パートナが参加する対会話、各トレーディング パートナのメッセージ送受信の特性について合意します。

コラボレーション アグリーメントのパーティ

会話定義は、会話でトレーディング パートナが使用する 2 つ以上のロールを定義します。コラボレーション アグリーメントのパーティは、会話定義のロールをトレーディング パートナーにバインドします。たとえば、会話とロールの定義で説明した価格と在庫の照会の会話に基づくコラボレーション アグリーメントを考えてみてください。そのコラボレーション アグリーメントには、バイヤとサプライヤの 2 つのパーティが存在します(図1-7 を参照)。

コラボレーション アグリーメントの配信チャネル

トレーディング パートナのメッセージ送受信の特性は、配信チャネルにカプセル化されます。通常、配信チャネルはそのトレーディング パートナによってサポートされている各ビジネス プロトコルで 1 トレーディング パートナにつき 1 つです。

注意: XOCP ビジネス プロトコルを使用するトレーディング パートナでは、ハブとスポークの 2 つの配信チャネルが必要です。ハブ アンド スポーク モードで配信チャネルをコンフィグレーションする方法については、ハブ アンド スポーク コンフィグレーションを参照してください。

トレーディング パートナのアプリケーションは、その配信チャネルを通じて別のトレーディング パートナの配信チャネルと通信します。会話は直接的にも間接的にも行えます。つまり、トレーディング パートナ間のピア ツー ピアで行うことも、仲介機能(ルーティング プロキシ)配信チャネルを通じて行うこともできます。

ピア ツー ピアおよびハブ アンド スポークのコンフィグレーションの詳細については、コンフィグレーション モデルを参照してください。

配信チャネルの構成要素は、B2B Console を使用してコンフィグレーションおよびモニタします。配信チャネルには、以下の情報が含まれます。

ピア ツー ピア コンフィグレーションのコラボレーション アグリーメント

会話とロールの定義で説明した価格と在庫の照会の会話を例として利用します。参加トレーディング パートナの配信チャネルは、それらのトレーディング パートナ間の通信の細部を外部から隔離します。

次の図は、ビジネス会話に互いに直接参加している 2 つのトレーディング パートナ間のコラボレーション アグリーメントの構成要素を示しています。トレーディング パートナは、ピア ツー ピア コンフィグレーションでコンフィグレーションされています。この場合、ビジネス メッセージの配信先のトレーディング パートナはコラボレーション アグリーメントのもう一方のトレーディング パートナです。

図1-7 コラボレーション アグリーメントの構成要素


 

この図は、各トレーディング パートナの配信チャネルと会話定義(会話のロールを定義)がトレーディング パートナ間のコラボレーション アグリーメントとどのように関連するのかを示しています。

ハブ アンド スポーク コンフィグレーションのコラボレーション アグリーメント

トレーディング パートナが仲介機能(またはルーティング プロキシ)を通じて会話に参加するように WebLogic Integration がコンフィグレーションされた場合、コラボレーション アグリーメントは各トレーディング パートナと仲介機能の間で作成されます。この場合、トレーディング パートナは仲介トレーディング パートナ(つまり、ルーティング プロキシ配信チャネル)のことをビジネス メッセージの配信先として認識します。

たとえば、トレーディング パートナ A とトレーディング パートナ B のQuery Price and Availabilityの会話が仲介トレーディング パートナ(仲介機能 A)を通じて行われる場合は、2 つのコラボレーション アグリーメントが作成されます。

次の図は、仲介機能 A が仲介トレーディング パートナである価格と在庫の照会の会話のトレーディング パートナ A、仲介機能 A、およびトレーディング パートナ B の間で作成されたコラボレーション アグリーメントを示しています。

図1-8 ハブ アンド スポーク コンフィグレーションのトレーディング パートナ間のコラボレーション アグリーメント


 

この図の以下の点に注意してください。

会話の管理

トレーディング パートナー間の関係を正常に維持するために不可欠なのは、さまざまなトレーディング パートナーのコラボレーションで交換されるビジネス メッセージの整合性を確保する確かなサービスの提供です。WebLogic Integration は、以降の節で説明するようにメッセージング サービスと会話調整サービスを提供します。

メッセージング サービス

柔軟性のあるメッセージング サービスは、トレーディング パートナ間の情報の転送を容易にします。メッセージング コンポーネントは、非干渉遅延同期メッセージング機能を利用して通信の柔軟性を実現します。

このメッセージング サービスには、以下の機能と特性があります。

会話調整サービス

ビジネスの会話は複雑で長期に及ぶ場合があり、数日に及ぶ場合もあります。会話には必ずライフ サイクルがあります。ライフ サイクルは、始まりと終わりがはっきりしています。WebLogic Integration ソフトウェアは、会話調整サービスを提供します。

会話調整サービスは、ビジネス プロトコルごとに異なります。ビジネス プロトコルは、会話終了プロトコルをそれぞれの方法で定義します。XOCP ベースの会話の場合、会話コーディネータによって以下のことが行われます。

システムとアプリケーションの管理

ワークフローの管理は、ローカル ビジネス プロセスの実行を制御し、バックエンド エンタープライズ アプリケーションとビジネス プロセスの統合を管理するプロセス エンジンで行います。詳細については、ビジネス プロセスの管理を参照してください。

ワークフローを除いて、B2B Integration の構成要素は主に B2B Console を使用してコンフィグレーションおよび管理します。B2B Console は、リポジトリ サービスと連携して機能します。

この節では、B2B 統合をサポートする管理サービスについて説明します。

次の図は、この節と 会話の管理で説明される WebLogic Integration のサービスを表しています。

図1-9 WebLogic Integration B2B のサービス


 

リポジトリ サービス

リポジトリ サービスでは、データをリポジトリに格納します。このデータは、トレーディング パートナで企業間のコラボレーションに参加するために必要となります。データには以下のものがあります。

リポジトリには以下の機能もあります。

リポジトリと Bulk Loader の詳細については、『B2B Integration 管理ガイド』の「リポジトリの操作」および「Bulk Loader の操作」を参照してください。

管理サービス

管理サービスは、トレーディング パートナー、会話、コラボレーション アグリーメントなどのコンフィグレーション、管理、およびモニタといった複数のシステム管理機能をサポートしています。

これらのサービスを通じて、管理者はシステムの B2B Integration の構成要素を作成、コンフィグレーション、および管理できます。ビジネス開発者は、コラボレーション アグリーメントを設定し、システムのステータスをモニタできます。さらに、ビジネス パートナは管理サービスを使用してトレーディング パートナのセッションの開始と終了、会話の退出または終了、および配信チャネルの有効化、無効化、開始、または停止を行うことができます。

WebLogic Integration B2B Console

管理サービスには、主に Web ベースの B2B Console を使用してアクセスします。コンフィグレーション情報はすべて、データベース管理システムによってサポートされている WebLogic Integration リポジトリに格納されます。以下の構成要素をコンフィグレーションおよびモニタできます。

トレーディング パートナ間のデータとビジネス プロセスの交換をスムーズにするために、B2B Console のインポート機能とエクスポート機能を使用して、リポジトリ データを XML ファイルにエクスポートしたり、XML ファイルのデータを WebLogic Integration リポジトリにインポートしたりできます。

リポジトリからエクスポートするデータの範囲を選択することで、作成する XML ファイルにリポジトリのデータ全体が格納されるのか、あるいはトレーディング パートナ、会話定義、コラボレーション アグリーメント、ビジネス プロトコル定義、またはロジック プラグインのいずれかのエンティティに関連するデータだけが格納されるのかを指定できます。

B2B Console の使い方の詳細については、『B2B Integration 管理ガイド』および『B2B Integration Administration Console オンライン ヘルプ』を参照してください。

Bulk Loader

B2B Console で WebLogic Integration リポジトリのデータをエクスポートおよびインポートできるだけでなく、コマンドラインから Bulk Loader 機能を使用してもリポジトリ データをエクスポートおよびインポートできます。B2B Console のインポート機能およびエクスポート機能と同じように、Bulk Loader ユーティリティでもリポジトリのデータ全体を XML ファイルにエクスポートするのか、それとも一部だけをエクスポートするのかを指定できます。Bulk Loader の使い方の詳細については、『B2B Integration 管理ガイド』の「Bulk Loader の操作」を参照してください。

Java Management Extensions Management Bean

モニタのみを目的として、WebLogic Integration は Java Management Extensions(JMX)Management Bean(Mbean)を使用して管理サービスのデータと統計を表示するユーザ記述アプリケーションをサポートしています。

トレーディング パートナは、管理サービス パッケージに含まれている MBean サーバ(Mbean のリポジトリ)を通じて JMX Mbean を使用して、管理サービスとの間でメッセージを送受信できます。

管理アプリケーションのプログラミングの詳細については、『B2B Integration 管理アプリケーション プログラミング ガイド』を参照してください。

ロギング サービス

WebLogic Integration の B2B Integration コンポーネントは、エラー メッセージおよび情報メッセージのロギング機能を提供します。ログ メッセージはすべてタイムスタンプを付けて、WebLogic Server ログまたは別のログ ファイルに送信できます。詳細については、『B2B Integration ログへのメッセージの書き込み』を参照してください。

 

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