実行時コンポーネントの使用法

ドキュメントのダウンロード

サイトマップ

用語集

検索

e-docs > WebLogic Integration > DI トピック > WebLogic Integration データの変換 > 実行時コンポーネントの使用法

WebLogic Integration データの変換

実行時コンポーネントの使用法

WebLogic Integration は、com.bea.wlxt クラスを使用して、実行時データ変換をサポートします。この章では、このクラスを Java クラスと呼びます。Java クラスでは、バイナリフォーマットと XML フォーマットとの間のデータ変換にさまざまな方法が使用されます。この Java クラスは、BPM (Business Process Management) のワークフローから開始される WebLogic Server を使用して EJB にデプロイするか、任意の Java アプリケーションに統合できます。

データ変換 Java クラスには、バイナリデータを XML に変換する parse() メソッドがいくつかあります。また、データ変換実行時コンポーネントには、XML データをバイナリフォーマットに変換する serialize() メソッドもいくつかあります。バイナリデータフォーマットは MFL ドキュメントを通じて記述されます。WebLogic Integration では、MFL ドキュメントを使用してバイナリデータを XML から読み込み、XML に書き込みます。MFL ドキュメントは parse() メソッドまたは serialize() メソッドで URL を使用して指定します。

以下の節では、WebLogic Integration 実行時データ変換ツールを使用してバイナリデータを XML に解析し、XML をバイナリにシリアライズする方法を示すサンプルコードを示します。

バイナリから XML へ

次のコードリストでは、parse() メソッドを使用してバイナリデータファイルを XML に解析しています。

コードリスト 6-1 バイナリから XML への Parse() メソッドのサンプル

1 import com.bea.wlxt.*;
2 import org.w3c.dom.Document;
3 import java.io.FileInputStream;
4 import java.net.URL;
5 
6 public class Example
7 {
8  public static void main(String[ ] args)
9  {
10   try
11   {
12    WLXT wlxt = new WLXT();
13    URL mflDocumentName = new URL(“file:mymfl.mfl”);
14    FileInputStream in = new FileInputStream(“mybinaryfile”);
15
16    Document doc = wlxt.parse(mflDocumentName, in, null);
17    String xml = wlxt.getXMLText(doc, 0, 2);
18    System.out.println(xml);
19   }
20    catch (Exception e)
21  {
22    e.printStackTrace(System.err);
23  }
24 }
25}

このコードの次のシーケンスに注意してください。

行 12 で、Java クラスの新しいインスタンスがインスタンス化されています。
行 13 で、以前に Format Builder で作成された MFL ファイルの URL (Uniform Resource Locator) が作成されています。
行 14 および 15 で、mybinaryfile のバイナリデータに対する FileInputStream が作成されています。
行 16 で MFL ドキュメントの URL およびバイナリデータのストリームが、parse メソッドに渡されています。
行 17 以降で、parse メソッドにより、バイナリデータが W3C Document オブジェクトのインスタンスにコンバートされます。このインスタンスは、さらに getXMLText() メソッドを使用して XML テキストにコンバートされます（別の方法として、parse メソッドにより、バイナリデータを W3C Document オブジェクトのインスタンスにコンバートした後、W3C DOM API を通じてそのオブジェクトを直接操作することもできる）。

DTD を参照する XML 生成

WebLogic Integration のデータ変換ツールの parse() メソッドを使用して、DTD (Document Type Definition : 文書型定義) または XML スキーマで生成された XML ドキュメント内で DTD または XML スキーマへの参照を含むことができます。次のリストは、この機能を示します。

コードリスト 6-2 DTD 参照による XMLの生成のサンプル

1 import com.bea.wlxt.*;
2 import org.w3c.dom.Document
3 import java.io.FileInputStream;
4 import java.net.URL;
5
6 public class Example2
7 {
8  public static void main(String[ ] args)
9  {
10   try
11   {
12     WLXT wlxt = new WLXT();
13     URL mflDocumentName = new URL(“file:mymfl.mfl”);
14     FileInputStream in = new FileInputStream(“mybinaryfile”);
15
16     Documentdoc=wlxt.parse(mflDocumentName,in,"mydtd.dtd",
17     null);String xml = wlxt.getXMLText(doc, 0, 2);
18     System.out.println(xml);
19   }
20     catch (Exception e)
21   {
22     e.printStackTrace(System.err);
23   }
24  }
25 }

リスト6-1 とリスト6-2 とでは、違いが見られるのは、行 16 だけです。つまり、この行 16 では、DTD ファイル（mydtd.dtd）を指定できる別の parse メソッドが呼び出されているため、生成される XML ドキュメントでは、DTD ファイルが参照されます。次の例では、生成される XML ドキュメントの DOCTYPE ステートメントを示します。ここでは、mydtd.dtd を参照しています。

<?xml version=”1.0”?>
<!DOCTYPE someRootNode SYSTEM ‘mydtd.dtd’>

このような parse メソッドにより、生成される XML に XML スキーマを参照させることができます。

Debug Writer の指定

WebLogic Integration でサポートされるすべての parse() メソッドでは、最後のパラメータとして、PrintWriter を渡すことができます。このパラメータが null でない場合、WebLogic Integration はデバッグメッセージを指定した PrintWriter に印刷します。MFL ドキュメントとバイナリデータが一致しないとき変換をデバッグする必要がある場合に、この印刷が役立ちます。

デバッグメッセージを印刷したくない場合、前のリストに示すように、このパラメータに null を渡します。

コードリスト 6-3 Debug Writer を渡す例

1 import com.bea.wlxt.*;
2 import org.w3c.dom.Document
3 import java.io.FileInputStream;
4 import java.io.PrintWriter;
5 import java.net.URL;
6 
7 public class Example2
8 {
9  public static void main(String[ ] args)
10 {
11   try
12   {
13     WLXT wlxt = new WLXT();
14     URL mflDocumentName = new URL(“file:mymfl.mfl”);
15     FileInputStream in = new FileInputStream
16     (“mybinaryfile”);
17     Document doc=wlxt.parse(mflDocumentName,in,new
       PrintWriter(System.out,true));
18     String xml = wlxt.getXMLText(doc, 0, 2);
19     System.out.println(xml);
20   }
21     catch (Exception e)
22   {
23     e.printStackTrace(System.err);
24   }
25  }
26 }

行 17 で、parse() メソッドの最後のパラメータとして、PrintWriter オブジェクトが System.out PrintStream から呼び出されます。このオブジェクトの呼び出しにより、次のようなデバッグメッセージがコンソールに表示されます。

コードリスト 6-4 デバッグ出力

Parsing FieldFormat NAME at offset 0
  Field NAME Found delimiter [;]
  Field NAME type String offset 0 value=[John Doe]
Done FieldFormat NAME
Group PAYINFO repeat until delim=[*]
  Parsing 1st instance of StructFormat PAYINFO at offset 18
    Parsing FieldFormat PAYDATE at offset 18
.
.
.

XML からバイナリへの変換

次のサンプルコードリストは、WebLogic Integration ツールを使用して XML テキストをバイナリフォーマットにコンバートする方法を示します。

コードリスト 6-5 XML からバイナリへの変換のサンプル

1 import com.bea.wlxt.*;
2 import java.io.FileInputStream;
3 import java.io.FileOutputStream;
4 import java.net.URL;
5 
6 public class Example4
7 {
8  public static void main(String[ ] args)
9  {
10   try
11   {
12    WLXT wlxt = new WLXT();
13    URL mflDocumentName = new URL(“file:mymfl.mfl”);
14    FileInputStream in = new FileInputStream(“myxml.xml”);
15    FileOutputStream out = new FileOutputStream(“mybinaryfile”);
16   
17    wlxt.serialize(mflDocumentName, in, out, null);
18    out.close();
19   }
20   catch (Exception e)
21   {
22       e.printStackTrace(System.err);
23   }
24  }
25 }

このコードの次のシーケンスに注意してください。

行 12 で、Java クラスの新しいインスタンスが作成されています。
行 13 で、MFL ファイルの URL が作成され、XML テキストを含むファイルに対する FileInputStream が作成されています。
FileOutputStream もインスタンス化され、XML からバイナリへの変換によって生成される。バイナリデータが格納されます。
行 17 では serialize() メソッドが呼び出され、FileInputStream 'in' (myxml.xml) に含まれる XML データが、'mymfl.mfl' に記述されるバイナリフォーマットに変換されます。生成されるこのバイナリデータは FileOutputStream ‘out’ (ファイル ‘mybinaryfile’) に書き込まれます。

ドキュメントオブジェクトのバイナリフォーマットへの変換

次のサンプルリストは、W3C ドキュメントオブジェクトをバイナリフォーマットに変換する方法を示します。

コードリスト 6-6 ドキュメントオブジェクトのバイナリフォーマットへの変換

1  import com.bea.wlxt.*;
2  import java.io.FileOutputStream;
3  import java.net.URL;
4
5 import org.w3c.dom.Document;
6
7  import org.apache.xerces.parsers.DOMParser;
8
9  public class Example5
10  {
11    public static void main(String[] args)
12    {
13       // XML をドキュメント オブジェクトに解析する
14       Document doc = null;
15       try
16       {
17         DOMParser parser = new DOMParser();
18         parser.parse("myxml.xml");
19         doc = parser.getDocument();
20       }
21       catch (Exception e)
22       {
23         e.printStackTrace(System.err);
24         System.exit(1);
25       }
26
27       try
28       {
29         WLXT wlxt = new WLXT();
30         URL mflDocumentName = new URL("file:mymfl.mfl");
31         FileOutputStream out = new
           FileOutputStream("mybinaryfile");
32
33         wlxt.serialize(mflDocumentName, doc, out, null);
34    out.close();
35       }
36       catch (Exception e)
37       {
38       e.printStackTrace(System.err);
39       }
40    }
41  }

このサンプルは、Java クラスの serialize() メソッドにドキュメントオブジェクトを指定する方法を示します。アプリケーションにすでに Document オブジェクト形式の XML が含まれる場合や、DOM API を使用して Document オブジェクトが作成済みであればこの方法が便利です。行 14 ～ 25 では、ファイル myxml.xmlに含まれる XML テキストが XML パーサを使用して Document オブジェクトに変換されます。このドキュメントオブジェクトは行 33 に渡され、MFL ファイル「mymfl.mfl」によって指定されたバイナリフォーマットにコンバートされます。

Debug Writer の指定

serialize メソッドは、デバッグメッセージのロギング用の PrintWriter パラメータ指定もサポートします。PrintWriter オブジェクトで serialize メソッドを呼び出すサンプルを次に示します。

wlxt.serialize(mflDocumentName, in, out, new
   PrintWriter(System.out, true));

この呼び出しにより、コンソールには、デバッグメッセージが、次のように表示されます。

コードリスト 6-7 デバッグ出力

Processing xml and mfl nodes tcp1
Processing xml node NAME
Checking MFL node NAME
Found matching MFL node NAME
Writing field NAME value John Doe
Processing xml node PAYINFO
Checking MFL node PAYINFO

XML から XML への変換

WebLogic Integration データ変換ツールには、XSLT を介して XML を変換するメソッドもあります。XSLT は、このようの変換のために設計された言語です。Java クラスは、 XSLT スタイルシートを XML ドキュメントに適用する transform() メソッドを提供します。XSLT スタイルシートは、XML ドキュメントのノードで実行される変換を記述する XML ドキュメントです。スタイルシートを使用すれば、XML ドキュメントを HTML、PDF、または別の XML 固有言語に変換できます。

次のサンプルコードリストは、Java クラスによって提供されるメソッドの 1 つを使用した XML ドキュメントの変換方法を示します。

コードリスト 6-8 XML から XML への変換

1  import com.bea.wlxt.*;
2  import java.io.FileInputStream;
3  import java.io.FileOutputStream;
4  import java.net.URL;
5
6  import org.xml.sax.InputSource;
7
8  public class Example7
9  {
10    public static void main(String[] args)
11    {
12
13       try
14       {
15         WLXT wlxt = new WLXT();
16         URL stylesheet = new URL("file:mystylesheet.xsl");
17         FileInputStream in = new FileInputStream("myxml.xml");
18         FileOuputStream out = new FileOutputStream
19         (“myoutputfile”)
20
21         wlxt.transform(new InputSource(in), out, stylesheet);
22
23         out.close();
24       }
25       catch (Exception e)
26       {
27       e.printStackTrace(System.err);
28       }
29    }
30  }

このコードの次のシーケンスに注意してください。

行 15 で WLXT のインスタンスが作成されます。
行 16 で、すでに作成されている XSLT スタイルシートの URL が作成されます。
行 17で、、XML テキストを含むファイルに対して FileInputStream が作成されます。
XSLT 変換によって作成されるテキストに対する FileOutputStream も作成されます。
行 21 で Java クラスの transform() メソッドが呼び出され、myxml.xml ファイル内の XML が、mystylesheet.xsl スタイルシートに従って変換されます。変換の出力は myoutputfile ファイルに書き込まれます。

初期化メソッド

Java クラスは、MFL ドキュメントと XSLT スタイルシートを前処理するためのメソッドをいくつか提供します。これらのドキュメントが前処理されると、内部的にキャッシュされ、parse()、serialize()、または transform() メソッドで参照されるときに再利用されます。MFL ドキュメントや XSLT スタイルシートが事前に処理されてキャッシュされるため、前処理により、これらのメソッドのパフォーマンスは大幅に改善されます。この方法は、同じ MFL ドキュメントや XSLT スタイルシートが繰り返し使用される EJB オブジェクト、またはサーブレットでデータ変換が使用されるときに特に便利です。

Java クラスでは、java.util.Properties オブジェクトまたは Properties ファイルのファイル名をパラメータに使用する init() メソッドが 2 つ提供されます。この init() メソッドは、WLXT.stylesheets および WLXT.MFLDocuments のプロパティを Properties オブジェクトから取り出します。各プロパティには前処理とキャッシュの対象となるドキュメントをカンマで区切ったリストが含まれることになっています。これらのドキュメントが後で parse()、serialize()、または transform() メソッドで参照される場合、前処理されたバージョンがキャッシュから取り出されます。

次のサンプルリストは、init()メソッドを使用して、Java クラスのインスタンスを初期化する方法を示します。

コードリスト 6-9 myconfig.cfg プロパティファイル

WLXT.MFLDocuments=file:mymfl.mfl
WLXT.stylesheets=file:mystylesheet.xsl

コードリスト 6-10 myconfig.cfg ファイルを使用した init() メソッドのサンプルソースコード

1  import com.bea.wlxt.*;
2  import java.io.FileInputStream;
3  import java.io.FileOutputStream;
4  import java.net.URL;
5
6  import org.xml.sax.InputSource;
7  import org.w3c.dom.Document;
8
9  public class Example8
10  {
11    public static void main(String[ ] args)
12    {
13
14      WLXT wlxt = null;
15
16      // プロパティ ファイルを使用して WLXT を初期化する
17      try
18      {
19        wlxt = new WLXT();
20        wlxt.init("myconfig.cfg");
21      }
22      catch (Exception e)
23      {
24        e.printStackTrace(System.err);
25      }
26
27      // バイナリ データを XML に解析する
28       Document doc = null;
29       try
30      {
31        URL mflDocumentName = new URL("file:mymfl.mfl");
32        FileInputStream in = new FileInputStream("mybinaryfile");
33
34        doc = wlxt.parse(mflDocumentName, in, null);
35      }
36       catch (Exception e)
37      {
38       e.printStackTrace(System.err);
39      }
40
41       try
42      {
43        URL stylesheet = new URL("file:mystylesheet.xsl");
44        FileOutputStream out = new FileOutputStream
45        (“myoutputfile”)
46
47        wlxt.transform(doc, out, stylesheet);
48
49        out.close();
50      }
51      catch (Exception e)
52      {
53        e.printStackTrace(System.err);
54      }
55    }
56  }

行 20 では、init() メソッドにより、myconfig.cfg ファイルでリストされたドキュメントをオブジェクトが前処理します。このため、2 つのドキュメント（MFL ドキュメントとスタイルシート）は、処理が済んでおりオブジェクト内にキャッシュされてから、次のように指定されます。

MFL ドキュメントは前処理されてから、行 34 で、parse() メソッド内で指定される。
スタイルシートは前処理されてから、行 46 で、transform() メソッドの呼び出し時に指定される。

Java API のマニュアル

Java クラスの使用法に関する詳しい説明については、WebLogic Integration Javadoc で com.bea.wlxt を参照してください。Javadoc は、WebLogic Integration をインストールしたディレクトリの下にある docs¥apidocs ディレクトリにもあります。

Business Process Management への実行時プラグイン

Business Process Management (BPM) の Data Integration プラグインは、従来のシステムで使用されていたバイナリフォーマットと XML との間でのデータ変換をサポートすることにより、アプリケーション間での情報交換を簡単にします。言い換えれば、Data Integration プラグインが提供する BPM アクションを使用して、XML とバイナリ間での変換機能にアクセスできます。

また、Data Integration プラグインは、次の機能も提供します。

バイナリフォーマットでのイベントデータ処理
MFL ドキュメントのインメモリキャッシュおよび変換オブジェクトプール（両方の機能によりパフォーマンスが向上する）
バイナリデータを編集して表示するための BinaryData 変数型
完全の独立したワークフロー定義パッケージのエクスポート
WebLogic Server クラスタ環境での実行

次の図に、WebLogic Integration Data Integration ツールと BPM の関係を示します。

図6-1 BPM への実行時プラグイン