WebLogic Portal 10.0 へのアップグレード

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WebLogic Portal 10.0 へのアップグレード プロセスの概要

この節では、BEA WebLogic Portal を 10.0 にアップグレードするための方法と手順の概要を説明します。WebLogic Portal 9.2 および 9.2 Maintenance Pack 1(MP1) アプリケーションを WebLogic Portal 10.0 にアップグレードできます。また、WebLogic Portal 8.1 SP4、SP5、および SP6 アプリケーションを直接 10.0 にアップグレードすることもできます。

この章のトピックは、以下のとおりです。

WebLogic Portal アップグレードのほとんどは、WebLogic アップグレード ウィザードの実行によって行います。WebLogic アップグレード ウィザードについては、「WebLogic のアプリケーション環境のアップグレード」を参照してください。

 


用語の定義

ここで説明するさまざまな作業を明確にするために、用語について簡単に説明します。

移行

サード パーティの技術から BEA Products へのアプリケーションやドメインの移動。たとえば、IBM、webMethods、あるいは自作システムから BEA への顧客の移行などがあります。

アップグレード

以前のリリースまたは Service Pack から、新しいリリースまたは Maintenance Pack への BEA プラットフォーム (およびコンポーネント) の更新。たとえば、9.2 MP1 から 10.0 への更新のように、既存のアプリケーションやドメインを新しいバージョンで実行するための更新などがあります。
アプリケーション環境をアップグレードするために必要なプロセスは、そのアプリケーションのスコープによって変わります。アプリケーション環境には、WebLogic ドメイン、およびそのドメインに関連するすべてのアプリケーションとアプリケーション リソースがあります。ファイアウォール、ロード バランサ、データベース、LDAP サーバなどの外部リソースもアプリケーション環境です。

相互運用性

(1) あるリリースまたは Service Pack でデプロイされたアプリケーションが、別のリリースまたは Service Pack でデプロイされた別のアプリケーションと通信する機能。(2) WebLogic Platform コンポーネントが、標準のプロトコルを使用してサード パーティ製のソフトウェアと通信する機能。

互換性

あるリリースまたは Service Pack で作成されたアプリケーションが別のリリースまたは Service Pack で動作すること。アプリケーションの再ビルドが必要な場合があります。

 


Portal 10.0 MP1 へのアップグレードの概要

以下のバージョンからは、WebLogic Portal 10.0 MP1 に直接アップグレードできます。

アップグレード プロセスでは、ポータル アプリケーションとリソースを WebLogic Portal 10.0 MP1 にアップグレードする必要があります。

注意 : アップグレード インストーラを使用して WebLogic Portal 10.0 インストールを 10.0 MP1 にアップグレードする場合、アップグレード後に、必ず -clean および -initialize オプションを指定して workshop4WP.exe を実行してください。アップグレード後に -clean および -initialize オプションを指定して Workshop を起動していない場合、Web サービス アプリケーションはデプロイできません。
注意 : データベース構造が同じであるため、WebLogic Portal 10.0 から 10.0 MP1 へのデータベース アップグレードは必要ありません。

アップグレード プロセスのおおまかな手順は以下のとおりです。

  1. WebLogic アップグレード ウィザードを使用してドメインをアップグレードします。詳細については、「アップグレードの手順」を参照してください。
  2. 既存の WebLogic Portal アプリケーションが WebLogic Portal 10.0 MP1 で実行されるようにアップグレードします。これは WebLogic Workshop にあるインポート ユーティリティを使用して自動的に実行できます。このユーティリティの使用方法については、『ポータル開発ガイド』を参照してください。
ヒント : WebLogic Portal 10.0 MP1 起動スクリプトを実行した際に変更内容が上書きされてしまうため、ドメインを WebLogic Portal 10.0 MP1 にアップグレードする前に、カスタマイズしたドメイン起動スクリプトを必ずバックアップしてください。起動スクリプト (および setDomainEnv.cmd/sh) を変更した場合は、その内容を手動でコピーして、アップグレードしたドメインに保持しておく必要があります。

 


Portal 9.2 および 9.2.x から 10.0 へのアップグレードの概要

WebLogic Portal 9.2 および 9.2.x アプリケーションは容易に 10.0 にアップグレードできます。WebLogic Portal 10.0 でも WebLogic Portal API は存続しています (10.0 で非推奨になった Commerce API を除く)。データベースおよびファイル ベースの資産の中核的なフォーマットも大半は変更ありません。変更点については、新しいフォーマットにアップグレードするため、また必要に応じて手動での変更を行うためのツールが用意されています。

アップグレード プロセスでは、WebLogic Portal 9.2 または 9.2.x のポータル アプリケーションとリソースを WebLogic Portal 10.0 にアップグレードします。

アップグレード プロセスのおおまかな手順は以下のとおりです。

  1. WebLogic アップグレード ウィザードを使用してドメインをアップグレードします。詳細については、「アップグレードの手順」を参照してください。
  2. 既存の WebLogic Portal 9.2 および 9.2.x アプリケーションが WebLogic Portal 10.0 で実行されるようにアップグレードします。これは WebLogic Workshop にあるインポート ユーティリティを使用して自動的に実行できます。このユーティリティの使用方法については、『ポータル開発ガイド』を参照してください。
ヒント : 起動スクリプトのドメインの設定方法をカスタマイズした場合は、WebLogic Portal 10.0 の起動スクリプトの実行時にその変更内容が上書きされます。起動スクリプト (および setDomainEnv.cmd/sh) を変更した場合は、その内容を手動でコピーして、アップグレードしたドメインに保持しておく必要があります。

 


Portal 8.1 SP4、SP5、および SP6 から 10.0 へのアップグレードの概要

WebLogic Portal では、8.1 SP4、SP5、および SP6 アプリケーションを直接 10.0 にアップグレードできます。WebLogic Portal 10.0 でもほとんどの WebLogic Portal API は存続しています (10.0 で非推奨になった Commerce API を除く)。データベースおよびファイル ベースの資産の中核的なフォーマットも大半は変更ありません。変更点については、新しいフォーマットにアップグレードするため、また必要に応じて手動での変更が必要であることを表示するためのツールが用意されています。

アップグレード プロセスでは、WebLogic Portal 8.1 SP4、SP5、および SP6 のポータル アプリケーションとリソースを WebLogic Portal 10.0 にアップグレードします。WebLogic Portal 8.1 を 9.2 にアップグレードしてから、さらに 10.0 にアップグレードする必要はありません。

アップグレード プロセスのおおまかな手順は以下のとおりです。

  1. WebLogic アップグレード ウィザードを使用してドメインをアップグレードします。詳細については、「アップグレードの手順」を参照してください。
  2. 既存の WebLogic Portal 8.1 SP4、SP5、および SP6 アプリケーションが WebLogic Portal 10.0 で実行されるようにアップグレードします。これは WebLogic Workshop にあるインポート ユーティリティを使用して自動的に実行できます。このユーティリティの使用方法については、『ポータル開発ガイド』を参照してください。
ヒント : 起動スクリプトのドメインの設定方法をカスタマイズした場合は、WebLogic Portal 10.0 の起動スクリプトの実行時にその変更内容が上書きされます。

 


ライブラリ モジュールの変更点

WebLogic Portal 8.1 から 10.0 にアップグレードする場合は、表 1 -1 に示す新しいライブラリが config.xml ファイルに追加されます。使用されないライブラリは config.xml ファイルから削除されます。WebLogic Portal 9.2 または 9.2 MP1 から 10.0 にアップグレードする場合は、新しいライブラリが追加され、config.xml ファイルのモジュールのバージョン番号が 10.0 に変更されます。

表 1-1 は、WebLogic 10.0 の新しいライブラリ モジュールまたは WebLogic 10.0 で変更されたライブラリ モジュールを示しています。

表 1-1 WebLogic Portal のライブラリ モジュールの変更点
ライブラリ モジュール
新規または削除
content-management-web-lib
新規 (10.0)
content-management-app-lib
新規 (10.0)
wlp-analytics-app-lib
新規 (10.0)
wlp-analytics-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-common-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-common-web
新規 (10.0)
wlp-tools-framework-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-framework-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-custom-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-custom-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-content-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-content-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-analytics-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-analytics-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-im-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-im-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-portal-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-portal-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-serviceadmin-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-serviceadmin-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-ugm-app-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-ugm-web-lib
新規 (10.0)
wlp-tools-admin-web-lib
9.2 および 9.2 MP1 から削除

 


バイナリ互換性のサポート

WebLogic Portal 10.0 では、WebLogic Portal 10.0 ドメイン (アップグレードされたドメインまたは新規ドメイン) にデプロイされた Portal 9.2 アプリケーションのバイナリ互換性をサポートします。10.0 より前の Workshop ライブラリ モジュールへの参照は、/<BEAHOME>/wlserver_10.0/common/deployable-libraries/wlp-compat/ ディレクトリを使用する、新しい Workshop ライブラリへの参照に自動的に置き換えられます。

 


サポートされている機能の比較

この節では、WebLogic Portal 8.1 または 9.2 と WebLogic Portal 10.0 リリースで異なる重要な機能について説明します。

セキュリティ

注意 : 次の節の内容は、WebLogic Portal 8.1 から 10.0 にアップグレードした場合にのみ該当します。

WebLogic Portal 8.1 には、WebLogic Portal 固有の RDBMSAuthenticator がありました。これは非推奨になりました。WebLogic Server 9.2 には、ユーザおよびグループ用の RDBMS ユーザ ストアを持つ、デフォルトの新しい SQLAuthenticator 認証プロバイダがあります。新しい WebLogic Server SQLAuthenticator にアップグレードすることを推奨します。

WebLogic アップグレード ウィザードを実行してドメインをアップグレードするときに、8.1 インストールの RDBMSAuthenticator を使用するかどうかが決定されます。RDBMSAuthenticator が検出されると、WebLogic SQLAuthenticator にアップグレードしてこれをデフォルトの認証プロバイダにするか、既存の RDBMS ユーザ ストアを使用し続けるかを、以下のいずれかに指定するように求められます。

ドメインのアップグレード プロセス中にユーザ ストアをアップグレードしない場合は、後で手動でアップグレードできます。WebLogic Portal 固有の RDBMSAuthenticator から WebLogic SQLAuthenticator にアップグレードするスクリプトは、WEBLOGIC_HOME/common/p13n/db/dbms/upgrade_fromdbmsauth_towlssqlauth.sql です。

詳細については、「8.1 および 9.2 PointBase データベースのアップグレード」を参照してください。

注意 : WebLogic Portal 8.1 アプリケーションを 10.0 にアップグレードし、アップグレードしたドメインで UserProviderControl.createUser() クラスを使用すると、新しいユーザが WebLogic Portal にログインしようとしたときに javax.security.auth.login.LoginException エラーが表示される場合があります。これは、デフォルトで、WebLogic Portal 10.0 ドメインの新しいユーザが、移行された認証プロバイダ (通常は、JAAS フラグを REQUIRED に設定してコンフィグレーションします) ではなく SQLAuthenticator で作成されるためです。WebLogic Portal の Domain Upgrade Wizard では JAAS 設定の調整や既存の認証プロバイダの削除は行われないため、必要に応じて手動で JAAS 設定を調整するか、または認証プロバイダを削除して、この例外を回避してください。

対話管理 (パーソナライゼーション)

対話管理により、パーソナライズされたポータル アプリケーションを開発、管理、および測定できます。パーソナライゼーションおよびキャンペーン管理を組み合わせて、対話管理の基盤を確立します。これらの機能により、目的のユーザに合わせてコンテンツを表示できます。

BEA WebLogic アップグレード ウィザードを実行すると、コンテンツ セレクタ、プレースホルダ、セグメント、キャンペーンなどの WebLogic Portal 8.1 または 9.2 の対話機能がアップグレードされます。

BEA WebLogic アップグレード ウィザードを実行して Portal 8.1 または 9.2 インストールが検出されたときに、「セキュリティ」で説明されているように、RDBMSAuthenticator のアップグレード オプションを選択できます。このオプションを選択すると、既存の認証プロバイダが新しい WebLogic Server SQLAuthenticator に置き換えられ、パーソナライゼーション機能をはじめとするすべてのコンテンツがアップグレードされます。後で手動でパーソナライゼーション機能を Portal 10.0 RDBMS ユーザ ストアにアップグレードすることもできます。

注意 : イベントは 10.0 にアップグレードされたコンテンツ リポジトリに対して発生します (イベント追跡をリポジトリ レベルでオフにしている場合を除く)。イベントは、リポジトリのコンテンツの追加、更新、および削除だけでなく、リポジトリ コンフィグレーションの変更に対しても発生する場合があります。アップグレードされなかった 8.1 または 9.2 のリポジトリのコンテンツに対してはイベントは発生しません。そのリポジトリから追加、更新または削除されたコンテンツに対して、イベントが発生します。

バージョン 8.1 または 9.2 で別個の行動追跡データベースを作成している場合は、「個別の 8.1 の行動追跡データベースのアップグレード」の説明に従ってアップグレードしてください。

Autonomy

WebLogic Portal 9.2 以降と共に新しい Autonomy エンジンがインストールされます。これは、起動する前に適切にコンフィグレーションできるように、アップグレード後はデフォルトで無効になっています。WebLogic Portal 8.1 で有効にされている Autonomy サービスも、アップグレード後は無効になります。検索サービスのインストール方法およびコンフィグレーション方法の詳細については、『WebLogic Portal の検索の統合ガイド』を参照してください。

検索をはじめとする Autonomy API およびすべてのコンテンツ管理 API は、WebLogic Portal 9.2 で非推奨になりました。非推奨の API を使用し続ける場合は、「10.0 ポータル アプリケーションにおける 8.1 検索の使用」の説明に従って、アプリケーションに古い Autonomy API を手動で追加する必要があります。

WebLogic Portal 8.1 を WebLogic Portal 10.0 にある新しいバージョンの Autonomy にアップグレードする方法については、「Autonomy 検索サービスのアップグレード」を参照してください。


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