既存ドメインへのポータルの追加

この章では、既存のドメインにポータル機能を追加する方法について説明します。以下に紹介する手順と作業は非常に専門的であり、理解するには WebLogic Server と J2EE アーキテクチャについての十分な知識が必要になります。

 

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ドメインについての前提条件

この章では手順をざっと説明しますが、その手順全体では、既存ドメインに関する以下の事がらを前提としています。

• 既存ドメインはすでにバックアップされている。

• 既存ドメインは <BEA_HOME>¥user_projects¥ ディレクトリにインストールされている。

• 既存ドメインには J2EE アプリケーションと少なくとも 1 つの Web アプリケーションが含まれているが、ポータル機能は組み込まれていない。

• 既存ドメイン（この章では yourDomain と呼ぶ） は保持されなければならない。すなわち、portalDomain に置き換えるわけではない。

• 作業を実行する担当者は、WebLogic Server プラットフォームと J2EE アーキテクチャ全般に精通している。

 

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作業を始める前に

先に進む前に、以下の点について決定しておきましょう。

• 既存ドメインを保持するか置き換えるか

• 既存データベースを使用するか置き換えるか

• エンタープライズ アプリケーションを既存のものから選ぶか新たにインストールするか

これらを決定してから、どの手順を実行するかを選択し作業を開始します。

既存ドメインを保持するか置き換えるか

最初に決定すべきことは、図 3-1 に示したように、既存の Web アプリケーションを含んでいるドメインに関することです。

• 既存ドメインを新規ポータル ドメインに置き換えてもよい場合には、手順 A に従って、Web アプリケーション コンポーネントを新規ポータル ドメインに移動します。

• 既存ドメインを保持する必要がある場合には、手順 B に従って、既存ドメイン内にポータル機能をインストールします。

  図3-1 決定事項 1

  
   

手順 A

1. ステップ 1: ドメインの新規作成で説明したように、Domain Configuration Wizard を使用して、新しいポータル ドメイン portalDomain を作成します。

2. 既存の Web アプリケーションを構成するオブジェクトを新規ポータル ドメインにインポートします。

3. ステップ 2: ポータルの新規作成で説明したように、Portal Wizard を使用して、ポータルとポータル Web アプリケーションを新規作成します。

以上の手順が完了したら、既存のポータル Web アプリケーションと完全なポータル Web アプリケーションを含んだ単一のドメインができあがります。

手順 B

1. ステップ 1: ドメインの新規作成で説明したように、Domain Configuration Wizard を使用して、partsDomain という新しい WLP ドメインを作成します。

注意: この partsDomain はテンプレートとして使用されますが、起動はされません。したがって、そのドメインへのリンクを [スタート] メニューに追加してはいけません。

2. このあとの手順を続行し、手順の説明に従って、partsDomain を使用して既存ドメインにリソースをコピーします。

既存データベースを使用するか置き換えるか

もう 1 つの決定事項は、図 3-2 に示したように、どのようなデータベースを使用するかということです。

• 既存のデータベースを保持する必要がなければ、手順 C に従って、Web アプリケーション コンポーネントを新規ポータル ドメインに移動します。

• 既存ドメインを保持する必要がある場合には、手順 D に従って、既存ドメイン内にポータル機能をインストールします。

  図3-2 決定事項 2

  
   

手順 C

既存の Web アプリケーションを新規データベースでサポートできる場合には、既存の Web アプリケーションをサポートするデータベース オブジェクトを、新規ドメイン内のそのデータベースにロードします。

手順 D

既存の Web アプリケーションに関連付けられているデータベースを引き続き使用するには、以下のエントリをしかるべき場所に設定する必要があります。

JDBC エントリ

以下の JDBC エントリを既存ドメイン内の config.xml ファイルに追加する必要があります。

• commercePool: ポータル Web アプリケーションには、2 つの接続プールと、プールごとに 2 つのデータ ソース（リスト 3-1 に示す）が必要になる。

コード リスト 3-1 commercePool データソース エントリ

<JDBCDataSource

  JNDIName="weblogic.jdbc.pool.commercePool"

  Name="commercePool"

  PoolName="commercePool"

  Targets="portalServer"

/>

• commercePool データソース: コマース機能には、リスト 3-2 に示すような commercePool データソース エントリが必要になる。

コード リスト 3-2 commercePool データソース エントリ

<JDBCTxDataSource

  EnableTwoPhaseCommit="false"

  JNDIName="weblogic.jdbc.jts.commercePool"

  Name="commercePool"

  PoolName="commercePool"

  Targets="portalServer"

/>

<JDBCDataSource

  JNDIName="weblogic.jdbc.pool.commercePool"

  Name="commercePool"

  PoolName="commercePool"

  Targets="portalServer"

/>

• dataSyncPool: リスト 3-3 に示すような dataSyncPool エントリを追加する。

コード リスト 3-3 dataSyncPool エントリ

<JDBCTxDataSource

  EnableTwoPhaseCommit="false"

  JNDIName="weblogic.jdbc.jts.dataSyncPool" 

  Name="dataSyncPool"

  PoolName="dataSyncPool"

  Targets="portalServer"

/>

• DataSync データ: リスト 3-4 に示すような DataSync データ エントリを追加する。

コード リスト 3-4 DataSync データソース エントリ

<JDBCTxDataSource

  EnableTwoPhaseCommit="false"

  JNDIName="weblogic.jdbc.jts.dataSyncPool"

  Name="dataSyncPool"

  PoolName="dataSyncPool" 

  Targets="portalServer"

/>

<WebAppComponent

  Name="datasync" 

  ServletReloadCheckSecs="300"

  Targets="portalServer"

  URI="datasync"

/>

レルムの選択（省略可能）

• 既存のデータベース レルムを使用するのに、特別なコンフィグレーションは不要。

• 新しい RDBMS レルムを使用するには、それを 1 つコンフィグレーションしてから、 config.xml 内でそれを参照する必要がある。

KeyBootstrap（コマース機能を使用する場合）

ポータル アプリケーションでコマース クレジット カード機能を使用するには、KeyBootstrap クラスへの参照（リスト 3-5 に示す）が必要になります。

コード リスト 3-5 KeyBootstrap クラスへの参照

<StartupClass

  ClassName="com.beasys.commerce.ebusiness.security.KeyBootstrap"

  FailureIsFatal="false"

  Name="KeyBootstrap"

  Targets="portalServer"

/>

P13N Console

• config.xml ファイルに、リスト 3-6 に示すようなエントリを追加することで、Personalization Console をデプロイする。

コード リスト 3-6 Personalization Console デプロイメント エントリ

<Application 

   Deployed="true"

   TwoPhase="true"

   StagedTargets="portalServer" 

   Name="p13nConsoleApp" 

   Path="<BEA_HOME>/weblogic700/portal/lib"

>

<WebAppComponent 

   Name="p13nConsole" 

   ServletReloadCheckSecs="300"

   Targets="portalServer" 

   URI="p13nConsole.war"

/>

</Application>

WLPDocs サービス

• WebLogic Portal Administration Tools をオンライン ヘルプにリンクするには、WLPSDocs サービスが必要になる。

コード リスト 3-7 WLPSDocs サービスのエントリ

<Application

   TwoPhase="true"

   StagedTargets="portalServer"

   Deployed="true"

   Name="wlpDocsApp"

   Notes=""

   Path="<BEA_HOME>/weblogic700/portal/lib"

>

   <WebAppComponent 

     IndexDirectoryEnabled="false" 

     Name="wlpDocs"

     Targets="portalServer" 

     URI="wlpDocs.war"

     ServletReloadCheckSecs="300" 

   />

</Application>

Tax サービスと Payment サービス（省略可能）

既存ドメインにサンプルの Payment サービスおよび Tax サービスを追加するには、リスト 3-8 に示すエントリが必要になります。ポータル アプリケーションへのこれらのサービスの追加については、『管理者ガイド』の「Commerce サービスの管理」 ( http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wlp/docs70/admin/commerce.htm) を参照してください。

コード リスト 3-8 Tax サービスと Payment サービスのエントリ

<Application

  Deployed="true"

  TwoPhase="true"

  StagedTargets="portalServer"

  Name="paymentWSApp"

  Path="<BEA_HOME>/user_projects /myPARTSdomain/beaApps/paymentWSApp"

>

 <EJBComponent

  Name="payment"

  URI="payment.jar"

  Targets="portalServer"

 />

 <WebAppComponent

  Name="payment-webservice"

  URI="pay-ws"

  Targets="portalServer"

/>

</Application>

<Application

  TwoPhase="true"

  StagedTargets="portalServer"

  Deployed="true"

  Name="taxWSApp"

  Path="<BEA_HOME>/user_projects/myPARTSdomain/beaApps/taxWSApp"

>

  <EJBComponent

    Name="tax"

    URI="tax.jar"

    Targets="portalServer"

  />

  <WebAppComponent

    Name="tax-webservice"

    URI="tax-ws"

    Targets="portalServer"

  />

</Application>

サーバ参照の検証

以上の編集が済んだら、config.xml ファイルを調べます。 portalServer への参照をすべて検索し、それらを既存ドメインの対象サーバの名前に置き換えます。

これで、既存ドメイン内の config.xml ファイルには必要なエントリが設定されたので、WebLogic Portal サーバから、J2EE エンタープライズ ポータル アプリケーションを構成するすべてのコンポーネントに接続することができます。 次のステップは、これらのコンポーネントがサーバ上のどのエンタープライズ アプリケーション内で動作できるかを特定することです。

エンタープライズ アプリケーションを既存のものから選ぶか新たにインストールするか

BEA WebLogic Platform 7.0 ドメインでは、ポータルには完全な J2EE アプリケーションが必要です。決定事項 3 では、図 3-3 に示すように、エンタープライズ アプリケーションを指定します。すなわち、手順 Eに従って、既存ドメインにエンタープライズ アプリケーションを追加するか、それとも、手順 Fに従って、既存ドメイン内にすでに存在するエンタープライズ アプリケーションにポータル機能を結合します。

図3-3 決定事項 3

 

手順 E

1. <BEA_HOME>¥user_projects¥portalDomain¥beaApps¥portalApp ディレクトリの内容をそっくり既存ドメイン内にコピーします。

2. 既存の Web アプリケーションを構成するオブジェクトを、このエンタープライズ アプリケーション内に移動します。

手順 F

1. 既存ドメイン内の完全なエンタープライズ アプリケーションを作業の出発点とします。

2. 以下のディレクトリの内容およびサブフォルダをすべて、このアプリケーション ディレクトリ構造にコピーします。

   tools/

   DataSync/

   toolSupport/

3. 以下のディレクトリ内の portalApp-project.eaprj ファイルをコピーします。

bea¥user_projects¥portalDomain¥beaApps¥portalApp-project

4. BEA XML エディタを使って、既存ドメイン内と partsDomain 内の META-INF/weblogic-application.xml ファイルをマージします。これらのファイルのマージに当たっては、リスト 3-9 に示すエントリをコピーし、その中の「portalApp」という文字列を既存ドメイン内の J2EE アプリケーションの名前に置き換えます。たとえば、既存のエンタープライズ アプリケーションの名前が existingApp であったとすると、該当するエントリはそれぞれ、existingAppTools、existingAppDataSync、および existingAppTool となります。

コード リスト 3-9 weblogic-application.xml のコード

<module>

  <web>

    <web-uri>tools</web-uri>

    <context-root>portalAppTools</context-root>

  </web>

</module>

<module>

  <web>

    <web-uri>datasync</web-uri>

    <context-root>portalAppDataSync</context-root>

  </web>

</module>

<module>

  <web>

    <web-uri>toolSupport</web-uri>

    <context-root>portalAppTool</context-root>

  </web>

</module>

5. application-config.xml を既存のエンタープライズ アプリケーション内にコピーします。

6. ポータル エンタープライズ アプリケーションへの参照を config.xml に挿入するか、 WebLogic Server Console を使ってこれらのモジュールをデプロイします。

7. ステップ 2: ポータルの新規作成で説明したように、Portal Wizard を使用して、ポータルとポータル Web アプリケーションを新規作成します。

   以上の手順を完了すれば、単一のドメインで、既存の Web アプリケーションと完全な WebLogic Portal インスタンスを両方とも実行できるようになっているはずです。