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匿名ユーザとは、ログインすることなくポータルを訪問するユーザのことです。ユーザに関する情報が少ないため、匿名ユーザの扱いには制限があります。ただし、追跡ツールを使用することで、こうしたユーザに関するアクセス日時や、リクエストまたはセッションに含まれる情報などを把握することができます。
匿名ユーザの追跡により、複数のセッションで匿名ユーザに対してパーソナライズされたコンテンツを表示できるようになります。たとえば、追跡情報に基づき、訪問者の資格、委託管理、およびパーソナライゼーションのタイプを設定できます。匿名ユーザの追跡を使用すると、データベース内に匿名ユーザのレコードが用意され、匿名ユーザの好みなどの意味のある情報を保存することができます。
開発者は、Workshop for WebLogic を使用して匿名ユーザの追跡をプログラムで設定します。Administration Console を使用して匿名ユーザの追跡を設定することはできません。
注意 : | 現時点では、追跡の対象外である匿名ユーザに対するキャンペーンと行動追跡はサポートされていません。 |
WebLogic Portal では、ポータルへの非認証の訪問者を識別し、その訪問者に関する情報を保持できます。匿名ユーザの追跡を有効にした場合は、あらかじめ決められた時間 (デフォルトでは 30 秒) が経過すると、非認証ユーザにクッキーが送信され、プリファレンス情報がメモリではなくデータベースに保存されます。
追跡対象である匿名ユーザがポータルに戻るたびに、クッキー内の ID が追跡対象匿名ユーザ データベース内の主キーと照合され、データベース内に保持されている過去のユーザ プロパティを利用して、パーソナライゼーション ルールとキャンペーン ルールが適用されます。追跡対象である匿名ユーザがポータルに登録されると、ユーザ プロファイルは追跡対象匿名ユーザ データベースからユーザ データベースに移動します。
ユーザがクッキーを無効にした場合やクッキーを頻繁に削除している場合は、ユーザと追跡対象匿名ユーザ データベース内の既存のレコードとを照合する方法はなく、ポータルへの次回のアクセス時に、ユーザは新しい匿名ユーザとして処理されます。
匿名ユーザの追跡をカスタマイズして、サイトへのアクセス時間が指定よりも短いユーザを除外できるので、無関係なユーザのデータが保存されることはありません。
WebLogic Portal では、次のタイプのユーザ追跡プロファイルをサポートしています。
ProfileWrapper
は作成されません。
匿名ユーザの追跡をコンフィグレーションするには、Workshop for WebLogic の Web アプリケーション ディレクトリにある web.xml
ファイルを編集する必要があります。匿名ユーザを追跡するには、ユーザのブラウザでクッキーを有効にします。また、デフォルトでは追跡が有効になっていないため、ポータルの匿名ユーザの追跡を有効にする必要があります。
匿名ユーザの追跡をコンフィグレーションするには、以下のタスクを実行します。
匿名ユーザの追跡を有効にするには、以下の手順を実行して web.xml
ファイルを編集します。
web.xml
ファイルを検索します。通常は、Web アプリケーションの /WEB-INF/
ディレクトリにあります。web.xml
ファイルをダブルクリックして開きます。テキスト エディタで web.xml
ファイルを編集することもできます。PortalServletFilter
セクションを検索します。このセクションは以下のコード サンプルで始まります。<filter-name> PortalServletFilter </filter-name>
<filter-class> com.bea.p13n.servlets.PortalServletFilter
</filter-class>
fireSessionLoginEvent
パラメータの値を false
に変更します。<init-param>
<param-name>fireSessionLoginEvent</param-name>
<param-value>false</param-value>
<description> Option to fire SessionLoginEvent, defaults to false
if not set</description>
</init-param>
createAnonymousProfile
パラメータの値を true
に変更します。 <init-param>
<param-name>createAnonymousProfile</param-name>
<param-value>true</param-value>
<description> Filter will create an anonymous profile for every
session. Defaults to true if not set</description>
</init-param>
デフォルトは、true
です。匿名のユーザ プロファイルの作成を無効にするには、この値を false
に設定します。enableTrackedAnonymous パラメータが true
に設定されている場合は、createAnonymousProfile
パラメータは無視されます。
注意 : | createAnonymousProfile パラメータでは、未登録の匿名ユーザのセッション間での追跡ができません。この場合、enableTrackedAnonymous の値を true に変更する必要があります。サイトにアクセスしたユーザが同じセッションの中で登録を行った場合、ユーザについて収集されたすべてのデータは、登録されたユーザのアカウントに保持されます。 |
enableTrackedAnonymous
パラメータの値を true
に変更します。<init-param>
<param-name>enableTrackedAnonymous</param-name>
<param-value>true</param-value>
<description> Option to track anonymous users, defaults to false if
not set. 'createAnonymousProfile' is ignored if this is true
</description>
</init-param>
trackedAnonymousVisitDuration
パラメータの値を、追跡を開始するまでの秒数に変更します。以下のコード サンプルでは、追跡を 5 秒後に開始するようにコンフィグレーションしています。<init-param>
<param-name>trackedAnonymousVisitDuration</param-name>
<param-value>5</param-value>
<description> Length in seconds visitor must be on site before we start
tracking them. Defaults to 60 seconds if not set</description>
</init-param>
web.xml
ファイルに保存します。ヒント : | 匿名ユーザの追跡を実行すると、大量のデータが生成される可能性があります。古いデータの削除方法を計画する必要が生じる場合もあります。たとえば、2 か月を経過したエントリをデータベースから削除するよう設定することもできます。追跡対象である匿名ユーザが登録済みユーザに変換されたら、追跡対象匿名ユーザ EJB および関連するプロパティ セット EJB をデータベースから削除することもできます。 |
追跡の対象外である匿名ユーザに対して、パーソナライゼーション ツールであるデフォルトの (非キャンペーン) プレースホルダやコンテンツ セレクタなどを使用して、パーソナライズされたコンテンツを表示できます。現時点では、追跡の対象外である匿名ユーザに対するキャンペーンと行動追跡はサポートされていません。
ヒント : | キャンペーンと行動追跡は、ログインしていない匿名ユーザに対しては正式にはサポートされていませんが、このタイプの訪問者に対してパーソナライズされたコンテンツを表示するキャンペーンを作成する場合は、BEA プロフェッショナル サービスの担当者にお問い合わせください。 |
完全に匿名である追跡対象外ユーザと、登録済みユーザまたは追跡対象である匿名ユーザとの違いは、プロファイル情報が保持される期間です。
たとえば、ポータルにアクセスした匿名ユーザが自分の好みを「好きな色 = 紫
」と「趣味 = 読書
」に設定した場合、これらの値はメモリに保持され、ブラウザ セッションの継続中は、これらの値を使用してパーソナライズされたコンテンツの表示とキャンペーンのトリガを行うことができます。ただし、このユーザがブラウザを閉じて、再度ポータルにアクセスした場合は、自分の好みを再入力する必要があります。登録済みユーザと追跡対象である匿名ユーザの好みは、データベースに保存されます。
匿名ユーザの好みがセッション間で一貫して保持されることはありませんが、それでも対話管理機能がいくらか向上します。パーソナライゼーション条件の多くは、登録済みユーザとそのプロファイルのプロパティとは無関係の一般的な HTTP セッションと定義済みのリクエスト プロパティ、日付と時刻、または個人的なセッションの好みに基づいています。そのため、特定のタイプのブラウザから特定の時間帯にポータルにアクセスしている匿名ユーザに対して、パーソナライズされたコンテンツを表示できます。
追跡の対象外である匿名ユーザに対してプレースホルダやコンテンツ セレクタを設定する手順については、『対話管理ガイド』を参照してください。