Avitek Medical Record 開発チュートリアル

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MedRec アプリケーションの開発

 


チュートリアル 5 : MedRec プロジェクト ディレクトリの作成

このチュートリアルでは、MedRec ソース ファイルとコンパイル済みクラスを保持するメイン プロジェクト ディレクトリを作成する方法を説明します。また、高レベルなディレクトリ構造および MedRec アプリケーション スイートのコンポーネントについても説明します。

後続のチュートリアルで、エンタープライズ アプリケーションとそのサブコンポーネント (Web アプリケーション、EJB、Web サービス) をビルドおよびデプロイしやすくする開発ディレクトリ構造と WebLogic Server の Ant タスクについてより詳しく説明しています。

WebLogic Server によるアプリケーションのビルド方法としては、Apache Ant が最適です。Ant は、Java ベースのビルド ツールです。Ant の利点の 1 つは、これがシェルベースのコマンドではなく、Java クラスで拡張されていることです。WebLogic Server 分割開発ディレクトリ環境を使用してアプリケーションをコンパイル、ビルド、デプロイ、パッケージ化するためのさまざまな Ant 拡張クラスを利用できます。

このチュートリアルは、以下の節で構成されています。

 


前提条件

このチュートリアルを始める前に、以下のことを行ってください。

 


手順

MedRec アプリケーション スイートのソース ディレクトリ構造を作成するには、次の手順に従います。

手順 1 : チュートリアル プロジェクト ディレクトリを作成する

まず、MedRec エンタープライズ アプリケーションおよびクライアント プログラムのソース ファイルと出力ファイルを格納する最上位プロジェクト ディレクトリを作成します。このディレクトリは medrec_tutorial という名前にします。

prompt> mkdir c:\medrec_tutorial

手順 2 : プロジェクト サブディレクトリを復元する

BEA では、MedRec アプリケーションのソース コード全体を含む .zip ファイルを提供しています。ソース コード ファイルはこのチュートリアルで使用されます。この .zip ファイルには、MedRec アプリケーションの一部のコンパイル済みクラスを格納した build ディレクトリと、このチュートリアルの手順に対応する XML ファイルも含まれています。

プロジェクト ディレクトリに、必要なファイルとディレクトリを格納するには、次の手順に従います。

  1. medrec_tutorial.zip (MD5 checksum) ファイルをダウンロードします。ダウンロード ファイルは c:\medrec_tutorial ディレクトリに格納します。
  2. コマンド ウィンドウを開いて、MedRecDomain 環境スクリプトでコマンド シェル環境を設定します。
  3. prompt> c:\bea\user_projects\domains\MedRecDomain\bin\setDomainEnv.cmd
  4. MedRec プロジェクト ディレクトリに移動して、ダウンロードした .zip ファイルを復元します。
  5. prompt> cd c:\medrec_tutorial
    prompt> jar xvf medrec_tutorial.zip

手順 3 : プロジェクト ディレクトリの内容を確認する

次のファイルおよびサブディレクトリが作成されていることを確認してください。

prompt> cd c:\medrec_tutorial
prompt> dir
 Directory of C:\medrec_tutorial
04/05/2007  10:44 AM    <DIR>          .
04/05/2007 10:44 AM <DIR> ..
04/05/2007 10:44 AM <DIR> build
04/05/2007 10:44 AM <DIR> dist
04/04/2007 12:50 PM 496 install.properties
04/05/2007 10:44 AM <DIR> lib
04/04/2007 12:50 PM <DIR> META-INF
04/05/2007 10:44 AM <DIR> src
04/04/2007 12:50 PM 996 substitute.xml

\build ディレクトリには、さまざまな MedRec ビルド スクリプトで生成されたクラスが格納されます。編集可能なソース ファイルやデプロイメント記述子は格納されません。これらは \src にあります。\build 内の各サブディレクトリは MedRec Swing クライアント (\swing_client)、または MedRec アプリケーション (\medrecEar\physicianEar、および \startBrowserEar アプリケーション) のコンパイル済みクラスを表します。

\build ディレクトリの内容を見ると、MedRec アプリケーションを構成する多くのクラスがすでにビルドされていることがわかります。特に、すべての medrecEar および startBrowserEar アプリケーションと、physicianEar アプリケーションの Web サービスは、あらかじめコンパイルされています。physicianEar アプリケーションでまだコンパイルされていないのは、このチュートリアルで操作する部分 (EJB と Web アプリケーション) です。このように、利便性のためにあらかじめコンパイルされているので、自分でビルドしなくても、MedRec アプリケーションのさまざまなディレクトリやコンパイル クラスをすぐに参照できます。後続のチュートリアルでは、通常の開発プロセスの一部として、wlcompilejwsc などの WebLogic Ant タスクを使用して、MedRec アプリケーションの一部および全部を再コンパイルする方法を示します。

\src ディレクトリには、すべての MedRec アプリケーションの完全なソースが含まれます。後続のほとんどのチュートリアルでこのディレクトリを扱います。「手順 4 : ソース ディレクトリの内容を確認する」では、\src のサブディレクトリについて説明します。

\build および \src の両方で、1 つの分割開発ディレクトリです。weblogic.Deployer または「チュートリアル 9 : 開発環境の MedRec のデプロイ」で説明する wldeploy Ant タスクを使用して、MedRec の各アプリケーションを開発用サーバの \build のサブディレクトリ (\build\medrecEar など) にデプロイできます。WebLogic Server は、該当する \build サブディレクトリにある .beabuild.txt ファイルを調べて、(\src にある) 必要なデプロイメント記述子を探します。

\dist ディレクトリも出力ディレクトリです。「チュートリアル 14 : 配布用の MedRec のパッケージ化」で、wlpackage タスクで作成する .ear アーカイブ ファイルまたは展開された .ear ディレクトリを格納します。現在は、\build ディレクトリ内のコンパイル済みクラスの一部に対応する、いくつかの JAR ファイルしか格納されていません。\dist ディレクトリには、最終的には、さまざまな MedRec アプリケーションの展開された完全な .ear ディレクトリが格納されます。\dist ディレクトリは、開発時のアプリケーションのコンパイルやデプロイに必須ではないため、分割開発ディレクトリ構造とは見なされません。開発プロセス完了後に完成した最終的なアプリケーション (.ear ファイルまたは展開された .ear ディレクトリ) の格納にのみ使用されます。

\lib ディレクトリには、いくつかの MedRec アプリケーションに必要なコンパイル済みのサード パーティの .jar ファイルが含まれています。struts および log4j の .jar ファイルがサポートされます。

手順 4 : ソース ディレクトリの内容を確認する

\src サブディレクトリには MedRec アプリケーションの完全なアプリケーション ソースが含まれています。後続のほとんどのチュートリアルで、このサブディレクトリを使用します。インストールした \src ディレクトリを確認してください。

prompt> dir src
 Directory of C:\medrec_tutorial\src
04/05/2007  10:44 AM    <DIR>          .
04/05/2007 10:44 AM <DIR> ..
04/04/2007 12:47 PM 19,736 build.html
04/04/2007 12:47 PM 2,938 build.xml
04/05/2007 10:44 AM <DIR> clients
04/05/2007 10:44 AM <DIR> common
04/05/2007 10:44 AM <DIR> initEar
04/04/2007 12:50 PM 4,549 medrec.properties
04/05/2007 10:44 AM <DIR> medrecEar
04/05/2007 10:44 AM <DIR> physicianEar
04/05/2007 10:44 AM <DIR> security
04/05/2007 10:44 AM <DIR> startBrowserEar

medrec_tutorial\src ディレクトリの最上位にある build.xml ファイル (およびこれをブラウザで表示できるようにした build.html) は、プロジェクト全体のビルド ファイルです。このファイルにより、以下の処理が行われます。

チュートリアル 13 : MedRec プロジェクト全体のコンパイル」で WebLogic Server インスタンスをプロダクション モードに移行する前に、このプロジェクト レベルの build.xml を使用します。ただし、この時点ではまだ使用しないでください。次のいくつかのチュートリアルを完了して、このスクリプトが呼び出すアプリケーション レベルの build.xml ファイルを作成する必要があります。

\src ディレクトリには、プロジェクト レベルの build.xml ファイルおよび各アプリケーションのサブディレクトリの build.xml ファイルで使用されるプロパティ値を定義する medrec.properties ファイルも含まれます。

\src の各サブディレクトリは、デプロイ可能な MedRec アプリケーション、またはアプリケーションで使用する MedRec コンポーネントのいずれかを表します。

手順 5 : install.properties ファイルを編集して substitute.xml を実行する

ZIP ファイルを解凍した最上位のプロジェクト ディレクトリには、WebLogic Server と MedRec ドメイン ディレクトリをホストするコンピュータの名前など、環境のローカルな情報を指定する install.properties というファイルが含まれています。環境に固有の情報でこのファイルを編集した後、substitute.xml Ant ファイルを実行します。この Ant ファイルでは、このプロパティ ファイルを使用して、解凍されたファイル内のプレースホルダをローカルな値で置き換えます。

  1. テキスト エディタでプロパティ ファイルを開きます。
  2. prompt> notepad c:\medrec_tutorial\install.properties
  3. WebLogic Server をホストするコンピュータを指すように、SERVER_HOSTNAME プロパティを編集します。
  4. SERVER_HOSTNAME=myhost.mycompany.com
  5. チュートリアル 1 : 開発用の WebLogic ドメインおよびサーバ インスタンスの作成」で、MedRecDomain を作成するときに、管理サーバのポート番号として 71017102 を使用しなかった場合は、適切なポートを指すように SERVER_PORT および SERVER_SSL_PORT プロパティを編集します。
  6. SERVER_PORT=7101
    SERVER_SSL_PORT=7102
  7. WebLogic Server インストール ディレクトリ (デフォルトでは c:/bea/wlserver_10.0) を指すように、WL_HOME プロパティを編集します。
  8. WL_HOME=c:/bea/wlserver_10.0
  9. 新しいプロジェクト ディレクトリを指すように、MEDREC_HOME_DIR プロパティを編集します。
  10. MEDREC_HOME_DIR=c:/medrec_tutorial
  11. 作成した MedRecDomain ディレクトリ (デフォルトでは c:/bea/user_projects/domains/MedRecDomain) を指すように、MEDREC_DOMAIN_DIR プロパティを編集します。
  12. MEDREC_DOMAIN_DIR=c:/bea/user_projects/domains/MedRecDomain
  13. install.properties ファイルを保存して閉じます。
  14. まだ設定していない場合は、MedRecDomain 環境スクリプトでコマンド シェル環境を設定します。
  15. prompt> c:\bea\user_projects\domains\MedRecDomain\bin\setDomainEnv.cmd
  16. c:\medrec_tutorial ディレクトリに移動して、substitute.xml スクリプトを実行します。
  17. prompt> cd c:\medrec_tutorial
    prompt> ant -f substitute.xml

    置換スクリプトが完了するまで数秒かかる可能性があります。最後に以下のような出力が表示されます。

    Buildfile: substitute.xml
    replace:
    BUILD SUCCESSFUL
    Total time: 23 seconds

 


ベスト プラクティス

 


全体像

MedRec アプリケーション スイートは、患者ユーザ ロール、医師ユーザ ロール、および管理者ユーザ ロールの 3 つの個別のアプリケーションで構成されます。各ユーザ ロールの個別のアプリケーションを使用して、必要に応じて WebLogic Server の各インスタンスに各アプリケーション機能を配布できます。たとえば、(WebLogic Server と共に任意でインストールされる) MedRec サンプル ドメインでは、簡単なデモ用に、3 つのアプリケーションすべてが 1 つのサーバ インスタンスにデプロイされます。MedRec チュートリアルでも、1 つのサーバ ドメインにアプリケーションをデプロイします。開発環境では、これが一般的です。ただし、MedRec アプリケーションと Physician アプリケーションを (異なるドメインの) 2 つの異なるサーバ インスタンスにデプロイし、アプリケーション間で Web サービスを使用することもできます。

MedRec プロジェクト ディレクトリには、Web サービスを使用して MedRec にアクセスするクライアント アプリケーションをコンパイルするためのサブディレクトリも含まれます。

 


関連情報


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