4 Oracle Machine Learning for Rサーバーのインストール
この章では、OML4Rサーバーのインストール方法および管理方法について説明します。この章の内容は、次のとおりです。
- Oracle Machine Learning for Rサーバーについて
OML4Rには、OML4RクライアントとOML4Rサーバーとの相互作用を可能にするOracle Databaseサーバー上のコンポーネントが含まれています。 - Oracle Machine Learning for Rサーバーの要件
OML4Rサーバーをインストールする前に、システム環境を確認し、ユーザーIDに正しい権限があることを確認してください。 - Oracle Database 19c以降の場合のOracle Machine Learning for Rサーバーのインストール
Oracle Database 19c以降の場合のOML4Rサーバーのインストール手順です。 - Oracle Database 12c以前のOracle Machine Learning for Rサーバーのインストール
Oracle Database 12c以前でOML4Rサーバーをインストールする手順。 - OML4Rサーバーのインストールの検証
server.sh
スクリプトを使用して、OML4RサーバーがOracle Database 12c以前に正常にインストールされたことを検証するには、ログ・ファイルを表示します。Oracle Database 18c以降のインストールでは、SQLスクリプトrqcfg.sql
は発生したエラーを返します。 - マルチテナント環境へのOML4Rサーバーのインストール
マルチテナント環境へのOML4Rサーバーのインストールに関する情報。
4.1 Oracle Machine Learning for Rサーバーについて
OML4Rには、OML4RクライアントとOML4Rサーバーとの相互作用を可能にするOracle Databaseサーバー上のコンポーネントが含まれています。
ノート:
OML4Rのバージョンは、サーバーと各クライアント・コンピュータで同じである必要があります。また、Rのバージョンは、サーバーと各クライアント・コンピュータで同じである必要があります。次のコンポーネントがあります。
-
Oracle R Distributionまたはオープン・ソースR
-
OML4Rサーバー
-
RQSYSスキーマ
-
sys
内のメタデータおよび実行可能コード -
OML4Rサーバー・ライブラリ(LinuxおよびUNIXの場合は
$ORACLE_HOME/lib
内、Windowsの場合は%ORACLE_HOME%\bin
内) -
$ORACLE_HOME/R/library
(Windowsの場合は%ORACLE_HOME%\R\library
)内のOML4RパッケージサーバーのOML4RパッケージおよびSupporting Packagesでは、埋込みRの実行がサポートされています。これと同じパッケージを各クライアント・コンピュータに個別にインストールする必要があります(OML4Rパッケージについてを参照してください)。
-
詳細は、次のトピックを参照してください。
関連項目:
- RQSYSスキーマについて
RQSYSスキーマは、Oracle DatabaseでのOracle Machine Learning for Rのシステム・アカウントです。 - OML4Rのセキュリティのベスト・プラクティス
Oracle DatabaseでOML4Rサーバーのセキュリティを損なうリスクを最小化するために、次のセキュリティのベスト・プラクティスをお薦めします。
4.1.1 RQSYSスキーマについて
RQSYSスキーマは、Oracle DatabaseでのOracle Machine Learning for Rのシステム・アカウントです。
これには、メタデータ、PL/SQLパッケージ、およびOML4Rサーバーの内部で使用される他の実行可能コードが含まれています。
OML4Rサーバー・インストール・プロセスでは、パスワードが期限切れになってロックされたアカウントとしてRQSYSが作成されます。rqsys
ユーザーにはCREATE SESSION
権限がありません。
4.1.2 OML4Rのセキュリティのベスト・プラクティス
Oracle DatabaseでOML4Rサーバーのセキュリティを損なうリスクを最小化するために、次のセキュリティのベスト・プラクティスをお薦めします。
Oracle DatabaseインスタンスのOML4Rサーバー・コンポーネントには、ロックされてパスワードが期限切れになったRQSYSスキーマ(OML4Rメタデータを格納および管理する)が含まれます。ユーザーは、データベースの接続資格証明を使用してOML4Rサーバーに接続します。RQADMINロールによって、OML4R Rスクリプト・リポジトリでR関数をスクリプトとして作成する権限がユーザーに付与されます。これらのスクリプトは、OML4Rの埋込みRの実行を使用して実行できます。
次のセキュリティのベスト・プラクティスをお薦めします。
-
RQSYSスキーマをロック解除したり、ログインを有効にしないでください。
-
RQADMINロールは、Rスクリプト・リポジトリを作成および管理するデータベース・ユーザーにのみ付与します。
-
プライベートRスクリプトを作成し、必要に応じて他のユーザーにアクセス権を付与します。グローバルRスクリプトは、すべてのOML4Rユーザーが表示し、実行できます。
-
パラメータまたはOML4Rデータストアを使用して、埋込みRの実行スクリプトとOracle Databaseの間でデータを転送します。Rスクリプトは、サーバーのファイル・システムやネットワークとやり取りしないでください。
-
Oracle Databaseサーバーのリソースおよび使用パターンに基づいて、OML4Rの埋込みRの実行メモリー制限を適切に設定します。デフォルト値は、1接続当たり2 GBです。
-
埋込みRの実行を使用するRスクリプトでOracle Databaseサーバーに接続する際に、明示的なデータベース資格証明を指定するかわりに、自動接続機能(
connect=TRUE
)を使用します。 -
承認されていないRパッケージまたはCライブラリを、埋込みRの実行で使用するためにOracle Databaseサーバーにロードすることを許可しないでください。
-
依存する共有ライブラリを
$ORACLE_HOME/lib
ディレクトリからロードして、承認されていないライブラリの使用を防ぎます。
4.2 Oracle Machine Learning for Rサーバーの要件
OML4Rサーバーをインストールする前に、システム環境を確認し、ユーザーIDに正しい権限があることを確認してください。
OML4Rサーバーの前提条件として、Oracle Databaseと、Oracle R Distributionまたはオープン・ソースRがインストールされている必要があります。
4.2.1 システム要件
OML4Rサーバーのシステム要件を示します。
-
オペレーティング・システムが、「オンプレミス・データベースの場合のOracle Machine Learning for Rのシステム要件」で示されている要件に準拠している必要があります。
-
Oracle Databaseは、Oracle Machine Learning for R向けデータベースのインストールおよび構成の説明に従ってインストールおよび構成される必要があります。
ノート:
OML4Rサーバーは、マルチテナント環境のプラガブル・データベース(PDB)にインストールできます。Oracle Database管理者ガイドを参照してください。
-
Rは、Oracle Machine Learning for R向けのRのインストールの説明に従ってインストールする必要があります。
4.2.2 環境変数
OML4Rサーバーに必要な環境変数を示します。
表4-1 Oracle Machine Learning for Rサーバーの環境変数要件
プラットフォーム | 環境変数要件 |
---|---|
すべて |
Windowsでは、OracleホームおよびOracleインスタンス識別子の値はWindowsレジストリで確認できます。このコンピュータ上に2つ以上のOracleホームまたはOracleインスタンスが存在する場合は、環境変数で必要な値を指定できます。Windowsでの環境変数の作成および変更を参照してください。 |
Linux |
|
|
|
|
|
Microsoft Windows |
Rホーム・ディレクトリの値はWindowsレジストリで確認できます。このコンピュータ上に2つ以上のRホームが存在する場合は、環境変数で必要な値を指定できます。Windowsでの環境変数の作成および変更を参照してください。 |
4.2.3 ユーザー要件
OML4Rサーバーをインストールするオペレーティング・システム・ユーザーの要件を示します。
表4-2 OML4Rサーバーのインストーラのユーザー要件
プラットフォーム | ユーザー要件 |
---|---|
LinuxおよびUNIX |
|
Microsoft Windows |
|
詳細は、次のトピックを参照してください。
- オペレーティング・システム認証について
OML4Rサーバーで使用されるオペレーティング・システム認証について説明します。 - ユーザーIDのグループ・メンバーシップの確認
OML4Rサーバーに必要なグループ・メンバーシップを決定する方法について説明します。
4.2.3.1 オペレーティング・システム認証について
OML4Rサーバーで使用されるオペレーティング・システム認証について説明します。
OML4Rサーバーのインストール・スクリプトでは、ORACLE_HOME
およびORACLE_SID
によって識別されるデータベースへの接続にシステム認証が使用されます。システム認証は、データベース資格証明書ではなくユーザーのオペレーティング・システム資格証明書に基づいています。
たとえば、Linuxシステムでは、OML4Rのインストール・スクリプトで、次の文を使用してパスワードなしでSQL*Plusが起動されます。
$ORACLE_HOME/bin/sqlplus / as sysdba
特別なオペレーティング・システム・グループのメンバーシップによって、Oracle Databaseのシステム認証が行われます。このオペレーティング・システム・グループは、データベースのインストール時に作成され、インストール実行者のIDがグループに自動的に割り当てられます。グループの一般的な名前はOSDBAです。LinuxおよびUNIXでは、OSDBAの名称はdba
です。Windowsでは、OSDBAの名称はora_dba
です。
OML4RサーバーをインストールするユーザーはOSDBAに属している必要があります。
関連項目:
-
『Oracle Database管理者ガイド』のオペレーティング・システム認証の使用に関する説明を参照してください。
-
『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』のインストール時に使用可能になるオペレーティング・システム認証の概要に関する説明を参照してください。
親トピック: ユーザー要件
4.2.3.2 ユーザーIDのグループ・メンバーシップの確認
OML4Rサーバーに必要なグループ・メンバーシップを決定する方法について説明します。
オペレーティング・システム認証についてで説明しているように、OML4Rサーバーのインストール・スクリプトを実行するLinuxまたはUNIXユーザーIDは、dba
グループに属している必要があります。サーバー上でその他のOML4Rスクリプトを実行するには、dba
グループのメンバーシップも必要です。Windowsでは、dba
グループはora_dba
と呼ばれます。
ご使用のLinuxまたはUNIXのユーザーIDのグループ・メンバーシップを確認するには、次のコマンドを入力します。
% groups
dba othergroup
ご使用のWindowsのユーザーIDのグループ・メンバーシップを確認するには:
- Windowsの「コントロール パネル」を開きます。
- 「ユーザー アカウント」を選択します。
- 「ユーザー アカウントの管理」を選択します。
- 「ユーザー アカウント」ダイアログの「ユーザー」タブには、名前、ドメインおよび各ユーザー・アカウントのグループがリストされています。ご使用のIDがグループ
ora_dba
に属していることを確認します。
親トピック: ユーザー要件
4.3 Oracle Database 19c以降の場合のOracle Machine Learning for Rサーバーのインストール
Oracle Database 19c以降のOML4Rサーバーのインストール手順。
rqcfg.sql
スクリプトは、データベースの一部であるOML4R Serverコンポーネントを有効にし、サーバーのいくつかの側面を構成し、一部のOML4Rデータベース・オブジェクトをインストールします。
OML4Rサーバーをインストールする前に、Oracle Machine Learning for Rのインストールの説明に従ってRをインストールします。
R-4.0.5と使用する場合、OML4Rサーバー・パッケージは、個別の各Rバージョンに基づいて構築されています。OML4RをR-4.0.5と使用するには、それらのOML4Rサーバー・パッケージをダウンロードしインストールする必要があります。
- R-3.6.1以降でのOML4R Serverの使用の準備
R-3.6.1の下でビルドされたOML4R Serverパッケージをダウンロードおよびインストールするための手順。 - rqcfg.sqlを使用したOML4Rサーバーのインストール
Oracle Database 19c以降のOML4Rサーバーのインストール手順。
4.3.1 R-3.6.1以降でOML4R Serverを使用するための準備
R-3.6.1の下でビルドされたOML4R Serverパッケージをダウンロードしてインストールする手順。
Oracle Database 18cおよび19cでは、OML4R Serverパッケージは$ORACLE_HOME/R/library/
ディレクトリにあります。R-3.6.1以降と使用する場合は、そのディレクトリ内のOML4Rパッケージの名前を変更するか、それらを削除することができます。その後、使用しているRバージョンと互換性のあるOML4Rサーバー・パッケージをダウンロードしインストールします。
rqcfg.sql
スクリプトを実行します。OML4Rサーバーをすでにインストールしてあり、Rをアップグレードする場合は、rqcfg.sql
スクリプトの実行は必要はありません。
4.3.2 rqcfg.sqlを使用したOML4Rサーバーのインストール
Oracle Database 19c以降のOML4Rサーバーのインストール手順。
Rをインストールした後、 /oml4rserver_install_dir/server/rqcfg.sql
スクリプトを実行し、次の表にある引数の値を指定することで、OML4Rサーバーをインストールします。
表4-3 rqcfg.sqlインストール・スクリプトへの引数
引数 | 説明 |
---|---|
|
RQSYSスキーマの永続表領域を指定します。 |
|
一時表領域を指定します。 |
|
|
|
|
4.4 Oracle Database 12c以前のOracle Machine Learning for Rサーバーのインストール
Oracle Database 12c以前のOML4Rサーバーのインストール手順。
ノート:
表示されるプロンプトに応答する必要なくOML4Rサーバーをインストールするには、デフォルトのバッチ・インストールで説明されているようなバッチ・モード・インストールを使用します。
OML4Rサーバーをインストールするには:
-
システムがOracle Machine Learning for Rサーバーの要件で指定されている要件を満たしていることを確認します。
-
OML4R Serverコンポーネントのインストール・ディレクトリを作成します。ディレクトリには任意の名前を使用できます。次に例を示します。
/oml4r_server_install_dir
-
Oracle Technology NetworkのOracle Machine Learning for R Downloadsページから、OML4Rサーバー・インストール・ファイルおよびSupporting Packagesをダウンロードします。
-
ライセンス契約に同意して、ご使用のプラットフォーム用のOML4R Serverファイルをインストール・ディレクトリにダウンロードします。
-
ライセンス契約に同意して、ご使用のプラットフォーム用のOML4R Supporting Packagesをインストール・ディレクトリにダウンロードします。
インストール・ディレクトリに2つのzipファイルが配置されます。
ore-server-platform-arch-version.zip ore-supporting-platform-arch-version.zip
-
-
これらのファイルを解凍します。
unzip ore-server-platform-arch-version.zip unzip ore-supporting-platform-arch-version.zip
両方のファイルを解凍した後のインストール・ディレクトリは次のようになります。
LinuxまたはUNIXの場合:
/oml4r_server_install_dir ore-server-platform-arch-version.zip ore-supporting-platform-arch-version.zip server.sh /server /supporting
Windowsの場合:
\oml4r_server_install_dir ore-server-platform-arch-version.zip ore-supporting-platform-arch-version.zip server.bat \server \supporting
-
LinuxまたはUNIXの場合は、
server.sh
を実行します。Windowsの場合は、server.bat
を実行します。デフォルトのインタラクティブ・インストールで説明したように、スクリプトによってOML4Rサーバーのデフォルトの初回インストールが実行されます。server
スクリプトの詳細は、serverスクリプトについてを参照してください。LinuxまたはUNIXの場合:
./server.sh
Windowsの場合:
server.bat
ノート:
R-3.3.0以降では、Oracle Linux 6システムの場合、$ORACLE_HOME/hs/admin/extproc.ora
のLD_LIBRARY_PATH
をR-core-extra RPMの場所に設定する必要があります。これにより、これらのライブラリは、extproc
を実行中のOracleプロセスに検出されます。Linuxシステムでは、R-core-extra RPMのデフォルトの場所は/usr/lib64/R/port/Linux-X64/lib
です。extproc.ora
で、次のように入力します。
SET LD_LIBRARY_PATH=/usr/lib64/R/port/Linux-X64/lib
extproc.ora
の変更を有効にするには、データベースの停止と再起動が必要であることに注意してください。
この手順はLinux 7システムでは必要ありません。R-core-extra RPMで提供される必要なバージョンのライブラリは、ネイティブで使用可能です。
関連項目:
出力付きの例については、例A-1
R-core-extra RPMについて
Rは、様々なサード・パーティのライブラリ、zlib
、bzip2
、xz
、pcre
およびcurl
に常に依存します。R-3.3.0より前では、Rは古いバージョンのライブラリに依存し、これらがシステムにない場合でも、同梱されたコピーがオンザフライで構築されて含まれていました。
R-3.3.0は、新しいバージョンのこれらのライブラリに依存し、同梱されたコピーは含まれていません。つまり、これらのライブラリのネイティブ・バージョンがR-3.3.0で必要なものよりも古いため、R-3.3.0がLinux6に対してそのままビルドされないことを意味します。
R-core-extraのRPMには、これらのライブラリの必要なバージョンが含まれ、便宜上、Oracle Linux 6のユーザーのために提供されます。R-core-extraのライブラリの場所をLD_LIBRARY_PATH
に追加すると、これらのライブラリを個別に構築する必要がありません。Oracle Linux 7以降には、これらのライブラリの必要なバージョンが含まれているため、R-core-extra RPMは不要です。
次のトピックでは、Oracle Database 12c以前のOML4R Serverスクリプトについて説明します。
- serverスクリプトについて
server
という1つのスクリプトによって、Oracle Database 12c以前のリリースのOML4Rサーバーのインストールおよび管理が管理されます。
4.4.1 serverスクリプトについて
server
という1つのスクリプトによって、Oracle Database 12c以前のリリースのOML4Rサーバーのインストールおよび管理が管理されます。
OML4Rのサーバー側コンポーネントのインストール、アンインストール、アップグレードまたは構成が必要になったときにはいつでも、server
スクリプトを再実行できます。
次の各トピックでは、スクリプトについて詳しく説明しています。
- serverスクリプト操作の概要
server.sh(.bat)
スクリプトで実行できる操作について説明します。 - serverスクリプトの構文
server.sh(.bat)
スクリプトでは、そのアクティビティを指示する一連のコマンドライン引数がサポートされています。 - serverスクリプトの例
server
スクリプトの使用例。
4.4.1.1 serverスクリプト操作の概要
server.sh(.bat)
スクリプトで実行できる操作について説明します。
server.sh(.bat)
スクリプトでは、次の操作がサポートされています。
-
OML4Rサーバーのインストール
-
OML4Rサーバーのアンインストール
-
OML4Rサーバーのアップグレードおよび旧インストールからのデータの移行
-
Supporting Packagesのインストール(使用可能な場合)
ノート:
server.sh(.bat)
スクリプトを使用すると、Supporting Packagesをインストールできます。または、次の項で説明するように、これらのタスクを別々に実行することもできます。
親トピック: serverスクリプトについて
4.4.1.2 serverスクリプトの構文
server.sh(.bat)
スクリプトでは、そのアクティビティを指示する一連のコマンドライン引数がサポートされています。
スクリプトは、インタラクティブ・モード、バッチ・モードまたはハイブリッド・モードで実行できます。引数なしでスクリプトを実行すると、OML4Rサーバーがインタラクティブ・モードでインストールまたはアップグレードされ、Supporting Packagesのインストールが試行されて、データベース・ユーザーが作成または構成されます。
server.sh(.bat)
スクリプトのコマンドライン引数については、次の表で説明しています。スクリプトの引数は、Linux、UNIXおよびWindowsで同じです。LinuxまたはUNIXシステムで次のコマンドを実行すると、引数のリストおよび短い説明が表示されます。
./server.sh -h
or
./server.sh --help
Windowsシステムで次のコマンドを実行すると、引数のリストおよび短い説明が表示されます。
server.bat -h
or
server.bat --help
表4-4 serverスクリプトのコマンドライン引数
引数 | 説明 |
---|---|
|
OML4Rサーバーをインストールまたはアップグレードします。 インストールまたはアップグレードでは、デフォルトで次の処理が行われます。
|
|
OML4Rサーバーをアンインストールします。
Oracle Machine Learning for Rのアンインストールを参照してください。 |
|
プロンプトを表示しません。 |
|
インタラクティブ・モード(デフォルト)。 |
|
OML4Rサーバーをアンインストールするときに、OracleホームのRパッケージおよびライブラリは保持しますが、データベース・オブジェクトは削除します。Oracleホーム内の他のデータベースに影響を与えることなく、単一データベース・インスタンスまたはプラガブル・データベース(PDB)からOML4Rのサポートを削除できます。 「部分アンインストールの実行」を参照してください。 |
|
OML4Rサーバーをアンインストールするときに、OracleホームのRパッケージおよびライブラリも、データベース・オブジェクトも削除します。 「完全アンインストールの実行」を参照してください。 |
|
|
|
Supporting Packagesをインストールします(デフォルト)。 |
|
|
|
マルチテナントのコンテナ・データベース(CDB)内のプラガブル・データベース(PDB)の名前。 マルチテナント・アーキテクチャを使用すると、Oracle Databaseを、0、1または多数のプラガブル・データベース(PDB)を含むプラガブル・データベースを含むコンテナ・データベースとして機能させることができます。マルチテナント・アーキテクチャの詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。 |
|
RQSYSの永続表領域。 |
|
RQSYSの一時表領域。 |
親トピック: serverスクリプトについて
4.4.1.3 serverスクリプトの例
server
スクリプトの使用例。
server
スクリプトの使用例は、次のトピックを参照してください。
- デフォルトのインタラクティブ・インストール
OML4Rサーバーのデフォルト・インストールの例。 - デフォルトのバッチ・インストール
OML4Rサーバーのバッチ・モードでのインストールの例。
関連項目:
出力付きの例については、例A-1
親トピック: serverスクリプトについて
4.4.1.3.1 デフォルトのインタラクティブ・インストール
OML4Rサーバーのデフォルト・インストールの例。
LinuxまたはUNIXの場合:
./server.sh
例A-1に示すとおり、デフォルトのインタラクティブ・インストールでは次の処理が実行されます。
-
環境の情報が出力されます。
-
パスワードと
rqsys
の永続表領域および一時表領域の入力を求めるプロンプトが表示されます。 -
Supporting Packagesをインストールするかどうか確認するプロンプトが表示されます。(デフォルトでは、Supporting Packagesが使用可能な場合はインストールされます。)
-
OML4Rのユーザー・アカウントを作成するかどうか確認するプロンプトが表示されます。(デフォルトでは、ユーザーが存在しない場合は作成されます。)ユーザーの作成時に、永続表領域および一時表領域の入力を求めるプロンプトが表示されます。
親トピック: serverスクリプトの例
4.4.1.3.2 デフォルトのバッチ・インストール
OML4Rサーバーのバッチ・モードでのインストールの例。
この例では、バッチ・モードで実行するよう指定された、デフォルトのインタラクティブ・インストールで示されているようなインストールを示します。
LinuxまたはUNIXの場合:
./server.sh -y --install --setup-user --perm SYSAUX --temp TEMP --user-perm USERS --user-temp TEMP --user OML_USER
親トピック: serverスクリプトの例
4.5 OML4Rサーバーのインストールの検証
server.sh
スクリプトを使用して、OML4RサーバーがOracle Database 12c以前に正常にインストールされたことを検証するには、ログ・ファイルを表示します。Oracle Database 18c以降のインストールでは、SQLスクリプトrqcfg.sql
は発生したエラーを返します。
12c以前の場合、ログ・ファイルを表示
OML4Rサーバー・インストール・スクリプトserver.sh
によって、インストール・ディレクトリのserverサブディレクトリにログ・ファイルが作成されます。ログ・ファイルを調べて、インストール・プロセスが正常に終了していることを確認します。
LinuxまたはUNIXシステムでは、次のコマンドでログ・ファイルがリストされます。
cd ./oml4r_server_install_dir/server
ls *.log
outcdb.log rqconfig.log rqdrop.log rqgrant.log rqinst.log rqpdrp.log rqproc.log rquser.log
インストールに問題があり、解決できない場合は、My Oracle SupportまたはData WarehousingのR Technologiesで助力を求めることができます。
例4-1 サーバーのインストールを検証する実行例
まず、これらのコマンドをデータベース・サーバー上でRインスタンスから直接実行し、次にOML4Rクライアントから実行します。
ORE
スクリプトを使用してRを起動し、ORE
ライブラリをロードします。
% ORE
> library(ORE)
サーバーに接続します。この例では、ユーザーOML_USERとして接続します。
ore.connect("OML_USER", password="OML_USERpsw", conn_string="", all=TRUE)
いくつかの関数を実行します。
## Is the OML4R client connected to the OML4R server?
## The output of this function should be TRUE.
ore.is.connected()
## List the available database tables.
ore.ls()
## Push an R dataframe to a database table.
df <- data.frame(a="abc",
b=1.456,
c=TRUE,
d=as.integer(1))
of <- ore.push(df)
## Run the self-contained example code in the help files associated with
## the following functions.
example("ore.glm") ## Builds an OML4R generalized linear model.
example("ore.stepwise") ## Builds an OML4R stepwise least squares regression model.
example("ore.odmAI") ## Builds an OML4SQL attribute importance model.
example("ore.doEval") ## Runs an embedded R execution function.
4.6 マルチテナント環境へのOML4Rサーバーのインストール
マルチテナント環境へのOML4Rサーバーのインストールに関する情報。
OML4Rサーバーは、マルチテナント環境内の1つ以上のプラガブル・データベース(PDB)にインストールできます。OML4Rサーバーは、ルート・データベースではなくプラガブル・データベースにインストールする必要があります。
OML4Rサーバーの複数のインスタンスをマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)にインストールした場合に、1つのインスタンスをアンインストールしてその他を保持するには、部分アンインストールの実行で説明する部分アンインストールを実行できます。
関連項目:
-
プラガブル・データベースへの接続の詳細は、『Oracle Machine Learning for Rユーザーズ・ガイド』を参照してください。
-
マルチテナント・アーキテクチャの概要については、『Oracle Database概要』を参照してください。
-
マルチテナント環境の管理の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。